JP2017100067A - 油水分離装置 - Google Patents

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幸生 佐藤
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将人 藤田
正和 魚谷
Masakazu Uotani
正和 魚谷
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Hiroshi Koshiyama
博史 腰山
武志 神谷
Takeshi Kamiya
武志 神谷
常俊 本田
Tsunetoshi Honda
常俊 本田
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Abstract

【課題】簡易な構成で低コストに、水と油とを含む混合液体を回収して水分と油分とを確実に分離可能な油水分離装置を提供する。【解決手段】水分および油分が混濁してなる油水混濁液に分散した微細な油滴を粗粒化させ、油分を水分の上層に浮上させる解乳化部と、前記解乳化部によって粗粒化させた油分を含む混合溶液を、基材に親水撥油性を有する油水分離体を形成してなる油水分離フィルタによって油水分離する油水分離部と、前記混合溶液を前記解乳化部から前記油水分離部に向けて移送する移送部と、を備え、前記解乳化部は、前記油水混濁液に対して、直径が100μm未満の気泡を噴射する気泡噴射手段を有し、前記油水分離体は、撥油性付与基および親水性付与基とを有するフッ素系化合物を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、水と油とを含む混合液体から水分と油分に分離させる油水分離装置に関する。
例えば、水に微細な油滴が混濁した油水混濁液を含む排水は、そのままでは排水処理を行うことが困難であり、予め、乳化している油分と水分とを分離させる必要がある。従来、こうした油水混濁液を油分と水分に分離させる方法として、例えば、油水混濁液を貯留する槽内に電圧を印加させる複数枚の電極板を対向配置し、この槽内に油水混合液を供給して電界状態にすることにより、微細な油滴を粗粒化させてエマルションを解乳化する油水分離装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、こうした電界によって粗粒化させた油分を含む油水界面領域の混合液体を、活性炭等の吸着材を収容した吸着槽に導入して油分を吸着する方法も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
一方、微細な気泡(マイクロバブル)を用いて、水中にエマルション状態で含まれている油分を分離させる油水分離装置も提案されている(例えば、特許文献3を参照)。こうした油水分離装置は、油水混濁液を貯留した槽の底部から油水混濁液に向けて微細な気泡と粗大な気泡を交互に、または同時に供給し、微細な気泡に油滴を付着させて粗粒化させ、粗大な気泡によって迅速に液面まで上昇させるものである。また、限外濾過膜や半透膜等の分離膜を利用して、エマルションを解乳化して油水分離を行う方法も提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
特開平7−24212号公報 特開平11−114304号公報 特開平7−289801号公報 特開平5−137903号公報
しかしながら、上述した特許文献に開示された油水混濁液を解乳化する方法は、解乳化後の油水分離を水と油との比重差によって行っているため、特に油水界面では水と油とを確実に分離して回収することが困難であった。
また、油水界面の排液を吸着材に接触させて油分を吸着させる方法では、油分吸着後の吸着材から油を回収したり廃棄することも困難である。
一方、微細な開孔を形成した限外濾過膜等の油水分離膜を利用する解乳化方法では、油水分離膜の油滴と水滴とのサイズの違いによって油分と水分とを分離するため、分離膜の透過流束が著しく小さく、分離膜に油分が吸着されて目詰まりを起こしやすく、処理効率が悪いという課題があった。
さらに、油水分離を行う過程において、混合液体に存在する油分など分離対象物質が油水分離膜に付着して起こるファウリング(目詰り)のため、定期的に逆圧洗浄やエアスクラビング等の物理洗浄を行う必要があるなど、メンテナンスに手間が掛かるといった課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で低コストに、水と油とを含む混合液体から水分と油分とを確実に分離可能な油水分離装置を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の油水分離装置は以下の構成を有する。
[1]水分および油分が混濁してなる油水混濁液に分散した微細な油滴を粗粒化させ、油分を水分の上層に浮上させる解乳化部と、前記解乳化部によって粗粒化させた油分を含む混合溶液を、基材に親水撥油性を有する油水分離体を形成してなる油水分離フィルタによって油水分離する油水分離部と、前記混合溶液を前記解乳化部から前記油水分離部に向けて移送する移送部と、を備え、前記解乳化部は、前記油水混濁液に対して、直径が100μm未満の気泡を噴射する気泡噴射手段を有し、前記油水分離体は、撥油性付与基および親水性付与基とを有するフッ素系化合物を含むことを特徴とする。
このような構成の油水分離装置によれば、油水混濁液を、まず前段側の解乳化部において、直径が100μm未満の気泡の噴射によって油分を粗粒化して浮上させ、この浮上させた油分と水分とを含む混合溶液を、後段側の油水分離部の油水分離フィルタで油分と水分とに分けることによって、液滴の粗粒化による比重差での分離だけでは困難であった油分と水分との確実な分離を可能にして、分離された油分に残存する水分を極めて少なくすることができる。また、油水分離に掛かる時間を短縮して、短時間で効率よく油水分離を行うことができる。
[2]前記フッ素系化合物は、下記式(1)〜(4)で示される構造の化合物のうち、一種又は二種以上を含むことを特徴とする。
Figure 2017100067
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Figure 2017100067
上記式(1)及び(2)中、Rf、Rfは、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
上記式(3)及び(4)中、Rf、Rfは、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Zは、酸素原子、窒素原子、CF基又はCF基である。
また、上記式(2)及び(4)中、Rは、2価の有機基であって、直鎖状又は分岐状の連結基である。
また、上記式(1)〜(4)中、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか1の親水性賦与基である。
[3]前記油水分離体は、有機結合剤、無機結合剤の少なくとも一方、または両方によって前記基材に結合されていることを特徴とする。
[4]前記基材は、少なくとも水分を透過可能な多孔質体から成ることを特徴とする。
[5]前記基材は、少なくとも複数種類の多孔質体を重ねたものから成ることを特徴とする。
[6]前記油水分離体に、更にフッ素樹脂粒子を添加したことを特徴とする。
[7]前記解乳化部は、解乳化後の混合液体をオーバーフローによって前記移送部に流出させることを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成で低コストに、水と油とを含む混合液体から水分と油分とを確実に分離可能な油水分離装置を提供できる。
実施形態における油水分離装置を示す断面図である。 油水分離体を示す模式図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である油水分離装置について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明の油水分離装置の一例を示す断面図である。
本実施形態の油水分離装置20は、解乳化部30と、油水分離部40と、この解乳化部30および油水分離部40の間で液体を移送させる移送部50と、を備えている。
解乳化部30は、水分および油分が混濁してなる油水混濁液に分散した微細な油滴を粗粒化させ、油分を水分の上層に浮上させる。また、油水分離部40は、解乳化部30によって粗粒化させた油分を含む混合溶液を、油水分離体14(図2参照)を形成してなる油水分離フィルタ10によって油分と水分に分離させる。
解乳化部30は、微細な気泡によって、油水混濁液の乳化した微細な油滴(エマルション)を粗粒化させる気泡噴射型解乳化装置からなる。解乳化部30は、油水混濁液を導入する液槽31と、液槽31の底部付近に配された気泡発生装置32と、この気泡発生装置32に向けて高圧ガスを供給するガス供給装置33とを備えている。
液槽31は、例えば、外形形状が矩形を成し、上部の開放面から底部に向けて延びる混合液体の流入管31aが形成されている。更に、液槽31の側面底部には排水口31bが、側面上部にはオーバーフローにより油分を液槽31の外部に流出させるる排油口31cが、それぞれ形成されている。
気泡発生装置32は、入力された高圧ガスを微細気泡化させる多数の微細孔を設けた散気板を備えている。こうした散気板に形成された微細孔からガスを噴出させることによって、液槽31内の油水懸濁液に対して、直径が100μm未満の微細な気泡Bを生じさせる。
気泡発生装置32によって生じさせる100μm未満の気泡Bとしては、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルが挙げられる。マイクロバブルの気泡サイズとしては、直径が100μm未満かつ10μm以上、特に数十μm〜10μmの範囲が好ましい。マイクロナノバブルは、直径が10μm〜100nmの範囲の気泡である。ナノバブルは、直径が数百nm以下の気泡で、特に100nm〜10nmの範囲が好ましい。
また、気泡発生装置32によって生じさせる気泡Bは、上述したマイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルのうちの1つであっても、これらを組み合わせた複数の直径範囲の気泡を混合したものであってもよい。例えば、気泡Bとしてマイクロバブルとマイクロナノバブルとを組み合わせたものや、マイクロナノバブルとナノバブルとを組み合わせたものが挙げられる。
気泡発生装置32の散気板は、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルを発生させるために、通気口(開口)の平均直径が100μm未満、例えば、数十μm〜10μmの範囲、または10μm〜数百nmの範囲、あるいは数百nm〜10nmの範囲のものを用いる。
また、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルを複数組み合わせた気泡Bを発生させる場合には、例えば、複数の直径の通気口(開口)が混在した散気板を用いたり、互いに直径の異なる複数種類の散気板を用いればよい。
こうした気泡発生装置32の散気板の微細孔からガスを噴出させることによって、液槽71内の油水懸濁液に対してマイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルなどの微細な気泡Bを生じさせる。ガス供給装置33は、例えば、コンプレッサーからなり、高圧の空気や窒素ガスなどを気泡発生装置32に供給する。
なお、マイクロナノバブルやナノバブルを発生させる装置としては、比較的気泡の大きなマイクロバブルを発生させた後、このマイクロバブルをマイクロ波や超音波を印加することで気泡を更に微細化する構成にすることもできる。
油水分離部40は、例えば、有底円筒形に形成された油水分離フィルタ10を内部に保持し、下部に排水口49が形成された液槽41を備えている。この液槽41は、上部が開放面を成し、開放面の近傍には、液槽41の外方に延びる排油流路42が一体に形成されている。排油流路42は、油水分離フィルタ10によって分離された油分を液槽41の外部に誘導する。排油流路42は、例えば、液槽41の上縁部分の一部を切り欠いて外方に展開することにより形成できる。
油水分離フィルタ10の開放端10eの近傍、即ち排油流路42に接する部分には、分離した油分を排油流路42に向けて流す排油口15が形成されている。こうした排油口15は、例えば、油水分離フィルタ10の周面に形成した開口と、この開口に接続した筒状部材とからなる。筒状部材は、油水分離フィルタ10の周面に縫い合わせや熱融着などによって接合することができる。
油水分離フィルタ10の表面10a側(図2を参照)には、更に例えば網状部材のような分散板48が設けられている。分散板48は、例えば有底円筒形を成し、上縁部を外方に屈曲させることによって、油水分離フィルタ10の上方に離間して液槽41の開放面41a側の縁部に引っ掛けて係止される。このような分散板48は、水と油とを含む混合液体を液槽41に入れる際に、分散板48が混合液体を一旦受けることにより、混合液体は分散板48を通過する際に大きく速度を落とすことになり、油水分離フィルタ10に加わる混合液体の衝撃を大きく緩和できる。また、空気の巻き込みを抑えることができるとともに、油水分離部40に流入させる混合液体中に、ゴミなどの比較的大きなサイズの固形物が混入していても、これらを予め取り除くことができ、ゴミによる油水分離フィルタ10の閉塞を防止する。
油水分離フィルタ10の裏面10b側(図2を参照)には、支持部材45が重ねて配されている。支持部材45は、例えば有底円筒形を成し、上縁部を外方に屈曲させることによって、油水分離フィルタ10に重ねて液槽41の開放面41a側の縁部に引っ掛けて係止される。支持部材45は、少なくとも水分が通過可能な硬質部材、例えば、多数の開口が形成された金属材料(パンチングプレート)から構成されている。こうした支持部材45は、柔軟な油水分離フィルタ10を裏面10b側(図2を参照)から支持する。
このような支持部材45を油水分離フィルタ10の裏面10b側(図2を参照)に重ねて形成することによって、例えば、油水分離フィルタ10に多量の混合液体を一気に流入させても、液体の重みによって油水分離フィルタ10が変形したり、底部が破損することを防止でき、効率的に液体の油水分離濾過を行うことができる。なお、こうした支持部材45は、比較的に空孔の大きなセラミックス材料や、開口を形成した硬質プラスチック材料などを用いることもできる。
排油流路42の流出端42eには、排油流路42を介して流出する油分を受け止める油槽43が配されている。更に、油水分離部40は、液槽41を上下動させる液槽可動手段44を備えている。なお、液槽41の開放面41aを覆う蓋部材46や、油槽43の開放面43aを覆う蓋部材47を更に備えることが好ましい。
図2は、油水分離装置を構成する油水分離部に設けた油水分離フィルタを示す要部拡大模式図である。油水分離濾過フィルタ10は、基材11と、この基材11に形成された油水分離体14とを備えている。基材11は、グラスファイバー基材11Aと、PET(ポリエチレンテレフタレート)基材11Bからなり、グラスファイバー基材11Aに油水分離体14を形成したグラスファイバー層10Aと、PET基材11Bに油水分離体14を形成したPET層10Bとをそれぞれ構成している。
本実施形態では、表面10a側にグラスファイバー層10Aが形成され、このグラスファイバー層10Aに重ねて、裏面10b側にPET層10Bが形成され、油水分離フィルタ10を形成している。
油水分離フィルタ10(グラスファイバー基材11A,PET基材11B)は、上部が開放端10e(図1参照)を成す袋状、例えば本実施形態では有底の円筒形に形成されたものが好適に用いられる。こうした基材11は、本実施形態では、柔軟な繊維多孔質体から構成されている。繊維多孔質体とは、繊維の集合体であり、繊維間あるいは撚糸間には空隙が存在する織布や編布、不織布等が好適である。
基材11には、液体の流路17が形成されている。こうした流路17は、基材11を構成する繊維多孔質体の空孔(細孔、空洞、連通孔)からなる。流路17は、袋状の油水分離フィルタ10の表面10aと裏面10bとの間を連通し、水分を通過させる。
基材11の少なくとも表面(表層)には、油水分離体14が形成されている。本実施形態では、流路17の内壁表面を含む基材11(グラスファイバー基材11A、PET基材11B)の表面および裏面全体に油水分離体14が形成されている。
なお、油水分離体14は、油水分離体14が基材11の表面に層状を成すように形成されていればよく、更に、基材11の厚み方向の内側まで油水分離体14が含浸されていてもよい。
油水分離体14は、撥油性付与基および親水性付与基とを有するフッ素系化合物を含む材料から構成されている。撥油性付与基は、油水分離体14の表面に例えば40°以上の接触角で油滴を形成させる官能基である。また、親水性付与基は、油水分離体14の表面に例えば20°以下の接触角で水分に対する濡れ性を付与する官能基である。
なお、こうした接触角は、例えば、自動接触角計(協和界面科学社製、「Drop Master 701」)により測定することができる。
油水分離体14は、こうした撥油性付与基および親水性付与基の存在によって、基材11に親水撥油性を付与する。この油水分離体14が形成された基材11に、水と油とを含む混合液体(以下、単に液体と称することがある)が接触すると、油分は接触角の大きい油滴として凝集し、水分は接触角が小さい濡れ性を保ったままとなる。これによって、凝集して大きい油滴となった油分は流路17を通過することができない。一方、濡れ性を保った水分は油水分離体14に接触した状態で流路17を通過することができる。こうした作用によって、油水分離体14は液体の油分だけを選択的に分離することができるのみならず、透水速度を高めることができる。
油水分離体14を構成するフッ素系化合物としては、例えば、下記式(1)〜(4)で示されるフッ素系化合物のうち、少なくとも一種又は二種以上を含む。
Figure 2017100067
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ここで、上記式(1)及び(2)中、Rf、Rfは、それぞれ同一または互いに異なる炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であって、直鎖状又は分岐状であってもよい。
また、上記式(3)及び(4)中、Rf、Rfは、それぞれ同一または互いに異なる炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基、Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であって、直鎖状又は分岐状であってもよい。また、Zは、酸素原子、窒素原子、CF基又はCF基である。また、Zが窒素原子又は炭素原子の場合、Zから分岐したペルフルオロアルキル基が当該Zに結合していてもよい。
また、上記式(2)及び(4)中、Rは、2価の有機基であって、直鎖状又は分岐状の連結基であり、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
また、上記式(1)〜(4)中、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか1の親水性賦与基である。
上述したように、上記式(1)〜(4)で示されるフッ素系化合物は、分子中に撥油性賦与基と親水性賦与基とを含む親水撥油剤である。換言すると、油水分離フィルタ10を構成する油水分離体14は、流路17が基材11によって形成されるとともに、この流路17の表面に親水撥油性の油水分離体14が存在するものである。また、上記式(1)〜(4)で示されるフッ素系化合物からなる群から選ばれる一種又は二種以上のフッ素系化合物を含む混合物を、油水分離体14として用いてもよい。
以下、油水分離体14を構成する親水撥油剤について、フッ素系化合物ごとに詳細に説明する。
(親水撥油剤)
「直鎖状の含窒素フッ素系化合物」
上記式(1)又は上記式(2)に示す、直鎖状(又は分岐状)の含窒素フッ素系化合物では、RfとRfからなる含窒素ペルフルオロアルキル基およびRfからなる含窒素ペルフルオロアルキレン基が、撥油性賦与基を構成する。
また、上記式(1)又は上記式(2)に示す含窒素フッ素系化合物では、上記撥油性賦与基であるRf〜Rf中の、フッ素が結合した炭素数の合計が4〜18個の範囲であることが好ましい。フッ素が結合した炭素数が4未満であると、撥油効果が不十分であるために好ましくない。
なお、上記式(2)中、Rは、分子鎖中において撥油性賦与基と親水性賦与基とを繋ぐ連結基である。連結基Rの構造は、直鎖状又は分岐状の、2価の有機基であれば特に限定されるものではない。また、連結基Rは、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
具体的には、例えば、連結基Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であってもよいし、ポリオキシアルキレン基及びエポキシ基から選択される1種以上を含んでいてもよい。
なお、連結基Rは、親水撥油剤に賦与したい特性に応じて、適宜選択して導入することが好ましい。具体的には、例えば、水や有機溶媒への溶解性を調整したい場合、親水撥油剤を含む表面被覆材(コーティング剤)と基材との密着性を改善して耐久性を向上させたい場合、親水撥油剤と樹脂成分又は塗料成分との相溶性を向上させたい場合等が挙げられる。その方法としては、分子間相互作用に影響を及ぼす極性基の有無や種類を調整する、直鎖状又は分岐構造とした炭化水素基の鎖長を調整する、基材や樹脂成分又は塗料成分に含まれる化学構造の一部と類似の構造を導入する、などがある。
また、上記式(1)又は上記式(2)中、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか1の親水性賦与基である。
以下、親水性賦与基Xを場合分けして、親水撥油剤の構造を説明する。
[アニオン型]
親水性賦与基Xがアニオン型である場合、上記Xは、末端に「−CO」、「−SO」、「−OSO」、「−OP(OH)O」、「−OPO 」又は「=OPO」(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Al、R;R〜Rは水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)が挙げられる。また、アルカリ土類金属しては、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)が挙げられる。
また、第4級アンモニウム塩(R)としては、R〜Rが水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基であれば、特に限定されるものではない。より具体的には、Rが全て同じ化合物としては、例えば、(CH、(C、(C、(C、(C11、(C13、(C15、(C17、(C19、(C1021等が挙げられる。また、Rが全てメチル基の場合としては、例えば、Rが(C)、(C13)、(C17)、(C19)、(C1021)、(C1225)、(C1429)、(C1633)、(C1837)等の化合物が挙げられる。さらに、Rが全てメチル基の場合としては、例えば、Rが全て(C17)、(C1021)、(C1225)、(C1429)、(C1633)、(C1837)等の化合物が挙げられる。更にまた、Rがメチル基の場合としては、例えば、Rが全て(C)、(C17)等の化合物が挙げられる。
ところで、油水分離フィルタ10など、水分を含む液体に接触させて使用するような用途においては、水に対する耐久性や親水撥油効果の持続性を有することが望まれる。こうした観点から、本実施形態の油水分離体14を構成する親水撥油剤は、水への溶解性が低い難溶性化合物であることが望ましい。すなわち、本実施形態の油水分離体14を構成する親水撥油剤は、親水性賦与基Xがアニオン型である場合、対イオンである上記Mが、アルカリ土類金属やMg、Alであることが好ましく、特にCa、Ba、Mgが親水撥油性に優れ、水への溶解度が低いことから好ましい。
[カチオン型]
親水性賦与基Xがカチオン型である場合、上記Xは、末端に「−N・Cl」、「−N・Br」、「−N・I」、「−N・CHSO 」、「−N・NO 」、「(−NCO 2−」又は「(−NSO 2−」(R〜Rは水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
[両性型]
親水性賦与基Xが両性型である場合、上記Xは、末端に、カルボキシベタイン型の「−N(CHCO 」、スルホベタイン型の「−N(CHSO 」又はアミンオキシド型の「−N」(nは1〜5の整数、R、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基)を有する。
なお、本実施形態における油水分離体14を構成する親水撥油剤は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した含窒素フッ素系化合物の構造の具体例においては、含窒素ペルフルオロアルキル基からなる撥油性賦与基として、式(1)及び式(2)中に示すRf及びRfが対称である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、非対称であってもよい。
「環状の含窒素フッ素系化合物」
上記式(3)又は上記式(4)に示す、環状の含窒素フッ素系化合物では、Rf、RfおよびRfからなる含窒素ペルフルオロアルキレン基、さらにはZが、撥油性賦与基を構成する。
また、上記式(3)又は上記式(4)に示す含窒素フッ素系化合物では、上記撥油性賦与基であるRf〜Rf及びZ中の、フッ素が結合した炭素数の合計が4〜18個の範囲であることが好ましい。フッ素が結合した炭素数が4未満であると、撥油効果が不十分であるために好ましくない。
なお、上記式(4)中、Rは、分子鎖中において撥油性賦与基と親水性賦与基とを繋ぐ連結基である。連結基Rの構造は、直鎖状又は分岐状の、2価の有機基であれば特に限定されるものではない。また、連結基Rは、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
具体的には、例えば、連結基Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であってもよいし、ポリオキシアルキレン基及びエポキシ基から選択される1種以上を含んでいてもよい。
また、上記式(3)又は上記式(4)中、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか1の親水性賦与基である。
以下、親水性賦与基Xを場合分けして、親水撥油剤の構造を説明する。
[アニオン型]
親水性賦与基Xがアニオン型である場合、上記Xは、末端に「−CO」、「−SO」、「−OSO」、「−OP(OH)O」、「−OPO 」又は「=OPO」(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Al、R;R〜Rは水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)が挙げられる。また、アルカリ土類金属しては、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)が挙げられる。
また、第4級アンモニウム塩(R)としては、R〜Rが水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基であれば、特に限定されるものではない。より具体的には、Rが全て同じ化合物としては、例えば、(CH、(C、(C、(C、(C11、(C13、(C15、(C17、(C19、(C1021等が挙げられる。また、Rが全てメチル基の場合としては、例えば、Rが(C)、(C13)、(C17)、(C19)、(C1021)、(C1225)、(C1429)、(C1633)、(C1837)等の化合物が挙げられる。さらに、Rが全てメチル基の場合としては、例えば、Rが全て(C17)、(C1021)、(C1225)、(C1429)、(C1633)、(C1837)等の化合物が挙げられる。更にまた、Rがメチル基の場合としては、例えば、Rが全て(C)、(C17)等の化合物が挙げられる。
なお、本実施形態のように、油水分離体14が水分を含む液体と常に接触するような用途においては、水に対する耐久性や親水撥油効果の持続性を有することが望まれる。上記観点から、本実施形態の油水分離体14に用いられる親水撥油剤は、水への溶解性が低い難溶性化合物であることが望ましい。すなわち、本実施形態の油水分離体14に用いられる親水撥油剤は、親水性賦与基Xがアニオン型である場合、対イオンである上記Mが、アルカリ土類金属やMg、Alであることが好ましく、特にCa、Ba、Mgが親水撥油性に優れ、水への溶解度が低いことから好ましい。
[カチオン型]
親水性賦与基Xがカチオン型である場合、上記Xは、末端に「−N・Cl」、「−N・Br」、「−N・I」、「−N・CHSO 」、「−N・NO 」、「(−NCO 2−」又は「(−NSO 2−」(R〜Rは水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
[両性型]
親水性賦与基Xが両性型である場合、上記Xは、末端に、カルボキシベタイン型の「−N(CHCO 」、スルホベタイン型の「−N(CHSO 」又はアミンオキシド型の「−N」(nは1〜5の整数、R、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基)を有する。
なお、油水分離フィルタ10の油水分離体14に用いる親水撥油剤は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した含窒素フッ素系化合物の構造の具体例においては、含窒素ペルフルオロアルキル基からなる撥油性賦与基として、式(3)及び式(4)中に示すRf及びRfがZを挟んで対称である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、非対称であってもよい。
なお、油水分離体14には、更にフッ素樹脂粒子を含有させることも好ましい。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE, CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。
この場合、前記油水分離体14がフッ素系樹脂粒子を含むことで、撥油性を長期間維持することができる。
(結合剤)
本実施形態における油水分離体14は、基材11に上記式(1)〜(4)で示される含窒素フッ素系化合物(親水撥油剤)が単独または結合剤と複合化されたものである。換言すると、基材11に油水分離体14を構成する上記フッ素系化合物(親水撥油剤)が存在するものである。また、油水分離フィルタ10は、分離対象である液体によって上記フッ素系化合物が流失しないために、基材11に当該フッ素系化合物が油水分離体14として固着されている。
具体的には、油水分離フィルタ10は、基材11の表面の一部又は全部が、上記式(1)〜(4)で示される含窒素フッ素系化合物(親水撥油剤)を含む塗膜(塗布膜)、あるいは上記式(1)〜(4)で示される含窒素フッ素系化合物と結合剤とを主成分とする塗膜(塗布膜)によって被覆されていてもよい。
塗膜(塗布膜)は、上述したフッ素系化合物(親水撥油剤)のみからなる場合と、結合剤を含む場合とがある。結合剤を含む場合は、親水撥油剤と結合剤との質量組成比は、0.2〜99.8対99.8〜0.2の範囲であることが好ましい。ここで、親水撥油剤の質量組成比が0.2未満であると、十分な親水撥油性が得られないために好ましくない。また、親水撥油剤の質量組成比が99.8を超えると、結合剤による親水撥油剤の固定効果が相対的に低下するため、経済的に好ましくない。
結合剤としては、具体的には、例えば、有機結合剤(樹脂)や無機結合剤(無機ガラス)が挙げられる。有機結合剤(樹脂)としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等があり、具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリルポリオール系樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂や熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
油水分離体14がもつ親水撥油性の特性を最大限に発揮させるためには、結合剤を用いることが望ましい。結合剤としては、親水性ポリマーを用いることが好ましい。また、親水性ポリマーとしては、ヒドロキシル基を含有しているものが好ましい。
親水性ポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、セルロースなどの多糖およびその誘導体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。親水性ポリマーは、架橋剤により架橋してもよい。このような架橋により、塗膜の耐久性が向上する。
架橋剤としては、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アルデヒド化合物、紫外線架橋型化合物、脱離基含有化合物、カルボン酸化合物、ウレア化合物などが挙げられる。
無機結合剤(無機ガラス)としては、具体的には、例えば、化学式[R14Si(OR15]で示されるトリアルコキシシラン、化学式[Si(OR16](R14〜R16はそれぞれ独立した炭素数1〜6までのアルキル基)で示されるテトラアルコキシシラン等のシラン化合物や、水ガラス等が挙げられる。これらの中でも、水ガラスは、耐久性の向上効果が高いために好ましい。
また、無機補強材として、ヒュームドシリカやコロイダルシリカ等の無機粒子も使用できる。こうした無機補強材を加えることで、含窒素フッ素化合物の水中への溶出性の低減や塗布膜の強度の向上を図ることができる。
(基材)
本実施形態の油水分離フィルタ10において、分離された水を主体的に通過させる液体の流路17は、基材11によって形成されている。基材11の材質としては、分離対象である液体の流路17を形成可能な繊維質材料または多孔質材料であれば特に限定されるものではなく、有機物であってもよいし、無機物であってもよい。更には有機物と無機物との複合物であってもよい。したがって、本実施形態の油水分離フィルタ10における基材11の態様としては、有機物の繊維質材料または多孔質材料、無機物の繊維質材料または多孔質材料が挙げられる。
ここで、基材11として利用可能な有機物としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、セルロース製のろ紙、ろ布(ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド等)、不織布フィルタ(ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド等)、繊維フィルタ(樹脂、ガラス、セラミックス、金属)、焼結フィルタ(金属、セラミックス、プラスチック等の粉末や繊維を熱および圧力により直接接着したもの)などが挙げられる。
これら繊維質材料または多孔質材料からなる基材11において、流路17の幅(すなわち、繊維の間隔)は、例えば、0.1〜150μmであることが好ましく、0.5〜75μmであることがより好ましく、1〜50μmであることがさらに好ましい。ここで、流路17の幅が0.1μm未満であると、水(水分)の透過抵抗が大きくなり、加圧が必要となる場合や、透過に時間が必要となる場合があるために好ましくない。
一方、流路17の幅が150μmを超えると、油(油分)が通過し始めるために好ましくない。これに対して、流路の幅が上記範囲内であると、油の透過が起こらず、実用上適した範囲の通水速度となるために好ましい。なお、基材11に形成された流路17は、必ずしも油分を全く通過させない構成に限定されるものではなく、水分を主体的に通過させ、油分も一定割合で通過可能な幅のものも含む。
油水分離体14は、上記式(1)〜(4)で示されるフッ素系化合物(親水撥油剤)を繊維多孔質体からなる基材に担持させる。
フッ素系化合物を多孔質基材に担持させる方法としては、上記フッ素系化合物(親水撥油剤)の溶解液または分散液に、担持させる多孔質体(多孔質基材)を浸漬、あるいは前記溶解液または分散液を担持させる多孔質体(多孔質基材)にスプレーコートし、乾燥により溶媒を除去する手法などが適用可能である。
また、油水分離体14は、上述した有機物(樹脂)と上記式(1)〜(4)で示されるフッ素系化合物(親水撥油剤)のうち、一種又は二種以上とを含む樹脂組成物によって、繊維状に形成された態様であってもよい。すなわち、上述した親水撥油剤は、各種樹脂に親水撥油性の機能を付与するための添加剤として用いられている。
樹脂組成物は、親水撥油剤と結合剤および無機補強材のほかに、流動性改善剤、界面活性剤、難燃剤、導電付与剤、防カビ剤等の親水撥油以外の機能を付与するために添加剤を任意成分としてさらに含んでもよい。
樹脂組成物の形成方法としては、樹脂の種類にあわせて適切に選択された親水撥油剤が分散又は溶解できる方法であれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、熱可塑性樹脂への親水撥油剤の混合方法としては、押し出し法やロール法による練り込み等により混合する方法がある。
樹脂組成物において、親水撥油剤と樹脂との質量組成比が、0.2〜99.8対99.8〜0.2の範囲であることが好ましい。親水撥油剤の質量組成比が0.2未満であると、親水撥油機能を十分に発揮することができないために好ましくない。一方、親水撥油剤の質量組成比が99.8を超えると、樹脂物性を損ない、成形性を維持することが難しいために好ましくない。
なお、本実施形態では、基材11としてグラスファイバー基材11Aと、PET基材11Bとを接合したものを用いて、グラスファイバー層10AとPET層10Bの2層構造の油水分離フィルタ10を形成しているが、単一の基材からなる1層の油水分離フィルタであっても、3種類以上の基材を用いて、多層構造の油水分離フィルタを形成してもよい。
また、複数種の基材繊維を混紡して1層の基材として用いることもできる。例えば、グラスファイバー繊維とPET繊維とを混紡してグラスファイバー・PET混紡基材とすることもできる。
以上のような構成の油水分離装置20の作用を説明する。
本実施形態の油水分離装置20は、前段側である解乳化部30によって、油水混濁液の油滴を粗粒化して水層に浮上させて排油させる。そして、後段側の油水分離部40で、排油させた油分に交じっている水分と油分とを完全に油水分離させる。
まず、解乳化部30では、油水懸濁液が流入管31aから液槽31に導入される。液槽31では、油水懸濁液に対して、気泡発生装置32からマイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルなとの微細な気泡Bが噴射される。油水懸濁液は、こうした微細な気泡Bによってエマルションが破壊され、次いで、微細な気泡の表面に分離した油滴を付着させて、油滴を迅速に液面まで上昇する。この時、微細な油滴が破壊されて凝集粗粒化が促進される。その結果、分離された油滴は水分との比重差によって液槽31内で浮上し、液槽31の表層部分に高油分濃度の表層(油層)が生じる。また、下層部分は大部分が水の状態となる。
そして、表層部分に浮上した油分は、オーバーフローによって排油口31cから排出され移送部50を介して油水分離部40に移送される。この時、排油口31cから排出される油分Gには、水分Wが混じった混合液体となっている。これは、油分と水分との界面付近の液体が流出する際に、水分を排除できないためである。
油水分離部40に流入した混合液体は、油水分離フィルタ10の親水撥油性によって、油分に残留する水分だけが油水分離フィルタ10を通過し、液槽41の下部に貯留される。この時、油水分離フィルタ10の内部に入り込んだ油分も、グラスファイバー層10Aに留まり、PET層10Bに達することはない。
そして、水分が完全に取り除かれた油分は、排油流路42を介して油槽43によって回収される。一方、油分から取り除かれた水分は、排水口49から液槽41の外部に容易に排水することができる。なお、液槽可動手段44を用いることで、油槽43の高さに合わせて液槽41の高さを最適な位置にすることができる。
本実施形態のように、水と油とが混濁した油水混濁液を、まず前段側の解乳化部30において、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルなとの微細な気泡の噴射によって油滴を粗粒化して上層に浮上させ、油分を主体として水分が混じった混合溶液を、後段側の油水分離部40の油水分離フィルタ10によって油水分離させることによって、油水混濁液の油水分離能力が高められ、効率よく、かつ確実に油水懸濁液を油分と水分とに分離することが可能になる。
また、油水分離フィルタ10は、基材11に対して親水撥油性が付与されるため、油で汚染された有機分子や土泥類が付着し難く、優れた耐ファウリング性が得られる。また、裏返して洗浄する等の物理処理によって付着した汚れが除去され易く、易洗浄性にも優れる。
また、油水分離フィルタ10は、上記式(1)〜(4)に示すフッ素系化合物のみを含む場合には、連続して結合している炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を含有せず、生体蓄積性や環境適応性の点で問題となるPFOSまたはPFOAを生成する懸念がない化学構造でありながら、優れた親水撥油性を付与することが可能である。
また、油水分離フィルタ10を上述した実施形態のようにグラスファイバー層10AとPET層10Bの2層から構成することによって、耐久性に優れているが、一方で柔軟性が低く脆いグラスファイバー層10Aを、強度と柔軟性に優れたPET層10Bで補強でき、耐久性と強度に優れた油水分離フィルタ10を形成することができる。
以上、本発明の油水分離濾過フィルターを備えた油水分離濾過モジュールの実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、移送部に固形物濾過のためのフィルタを更に形成することによって、油水分離と共に混合液体に含まれる固形物も除去することができる。
以下、実施例によって本発明の効果をさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例によって、なんら限定されるものではない。
(合成例1)
「2−[3−[ペルフルオロ(2−メチル−3−ジブチルアミノプロパノイル)]アミノプロピル−ジメチル−アンモニウム]アセテートの合成」
2−メチル−3−ジブチルアミノプロピオン酸メチルの電解フッ素化により得られたペルフルオロ(2−メチル−3−ジブチルアミノプロピオン酸)フルオリド120gを、ジメチルアミノプロピルアミン39gをIPE溶媒500mlに溶解した溶液に、氷浴下滴下した。室温で2時間撹拌した後にろ過を行い、ろ液のIPE層をNaHCO水溶液と、NaCl水溶液とで洗浄処理し、分液した後に水洗を行った。その後、IPEを留去し、さらに蒸留して粗生成物として、(CNCFCF(CF)CONHCN(CHを64g得た(収率47%)。
次いで、得られた(CNCFCF(CF)CONHCN(CHを8g、エタノール中で撹拌下モノクロル酢酸ナトリウムと一晩還流させ、ろ過、濃縮後、下記の式5で示されるジメチルベタイン体を9g得た(収率99%)。
Figure 2017100067
本発明の油水分離装置の効果を検証した。
(実験例1)
ポリプロピレン不織布(目付:20g/m、厚さ:0.24mm、平均気孔径:21μm、最大気孔径37μm)を70cm×50cmの長方形に切り取り、親水撥油剤として合成例1にて合成した含窒素フッ素系化合物0.5質量%、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製 エスレックBL−1)0.5質量%、アエロジル300(日本アエロジル株式会社製)0.5質量%、エタノール98.5質量%に調製した液(表面被覆材)に浸漬処理し、自然乾燥した(乾燥後の増量:0.061g)。
内寸法60cm×40cmの木製枠を横にして樹脂製バット上に据え付け、上記親水撥油処理したシートを、中心部の弛みが5cmになるようにして、木枠に固定した。
次に、図1に示すような気泡噴射型の解乳化装置を用いて、微細な気泡(マイクロバブル)によって油水混濁液の乳化した微細な油滴を粗粒化させた後の浮上油層(容量比約1対1の水とn−ヘキサデカンの混合液)5Lを、室温・常圧下、約10秒間で親水撥油処理したシート上に注ぎ、シートを混合液で満たした。水がシートを通過し始めてから50秒間で全量の水が排出され、シート上にはn−ヘキサデカンが残った。通過した水を目視観察したところ、n−ヘキサデカン由来の油膜は認められなかった。油と水とが完全に分離された。
(比較例1)
親水撥油処理をしていないポリプロピレン不織布を、実施例1同様にして容量比6対1の水とn−ヘキサデカンの混合液を注いだところ、n−ヘキサデカンは不織布を通過した。油と水とが分離されなかった。
(実施例2)
目付85g/m、厚さ0.36mm、平均気孔径3.7μmのガラス繊維層とポリエステル繊維層の二層からなる基材を直径47mmの円形に切り取ったものを、合成例1にて合成した含窒素フッ素系化合物の0.1質量%水−イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコールの質量比70:30)に浸漬処理し、80℃で2時間燥して親水撥油フィルターを作成した(乾燥後の増量:0.2g/m)。
この親水撥油フィルターを、有効濾過径35mmのフィルターホルダー(ADVANTEC社:KGS−47)にガラス繊維層を表面にして取り付けて、実施例1と同様の浮上油層250mLを室温・常圧下でフィルターホルダーに供給し油水分離試験を行った。供給開始後、3分間で全量の水がフィルターを通過した。通過した水を目視確認したところ、n−ヘキサデカン由来の油膜は認められなかった。
(比較例2)
親水撥油処理をしていない実施例2のガラス繊維/ポリエステル繊維二層基材を、実施例2と同様にして油水分離試験を行ったところ、n−ヘキサデカンは基材を通過してしまい、油と水は分離されなかった。
本発明の油水分離装置は、油と水とが混濁した油水混濁液から、容易に、かつ確実に水と油とを分離して回収できるので、水と油とを分離してから回収する必要のある施設等に幅広く適用することが可能である。
10 油水分離フィルタ
11 基材
14 油水分離体
20 油水分離装置
30 解乳化部
40 油水分離部
50 移送部

Claims (7)

  1. 水分および油分が混濁してなる油水混濁液に分散した微細な油滴を粗粒化させ、油分を水分の上層に浮上させる解乳化部と、前記解乳化部によって粗粒化させた油分を含む混合溶液を、基材に親水撥油性を有する油水分離体を形成してなる油水分離フィルタによって油水分離する油水分離部と、前記混合溶液を前記解乳化部から前記油水分離部に向けて移送する移送部と、を備え、
    前記解乳化部は、前記油水混濁液に対して、直径が100μm未満の気泡を噴射する気泡噴射手段を有し、
    前記油水分離体は、撥油性付与基および親水性付与基とを有するフッ素系化合物を含むことを特徴とする油水分離装置。
  2. 前記フッ素系化合物は、下記式(1)〜(4)で示される構造の化合物のうち、一種又は二種以上を含むことを特徴とする請求項1記載の油水分離装置。
    Figure 2017100067
    Figure 2017100067
    Figure 2017100067
    Figure 2017100067
    上記式(1)及び(2)中、Rf、Rfは、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
    上記式(3)及び(4)中、Rf、Rfは、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Zは、酸素原子、窒素原子、CF基又はCF基である。
    また、上記式(2)及び(4)中、Rは、2価の有機基であって、直鎖状又は分岐状の連結基である。
    また、上記式(1)〜(4)中、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか1の親水性賦与基である。
  3. 前記油水分離体は、有機結合剤、無機結合剤の少なくとも一方、または両方によって前記基材に結合されていることを特徴とする請求項1または2記載の油水分離装置。
  4. 前記基材は、少なくとも水分を透過可能な多孔質体から成ることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項記載の油水分離装置。
  5. 前記基材は、少なくとも複数種類の多孔質体を重ねたものから成ることを特徴とする請求項4記載の油水分離装置。
  6. 前記油水分離体に、更にフッ素樹脂粒子を添加したことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項記載の油水分離装置。
  7. 前記解乳化部は、解乳化後の混合液体をオーバーフローによって前記移送部に流出させることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一項記載の油水分離装置。
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