以下、図面を参照して、医用情報処理装置の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100の構成例を示す図である。本実施形態に係る医用情報処理装置100は、乳がん検診が行われる病院に設置され、マンモグラフィ画像と超音波画像とを併用した乳腺画像診断に利用される。例えば、図1に示すように、本実施形態に係る医用情報処理装置100は、マンモグラフィ装置10と、超音波診断装置20と、画像処理装置30と、画像表示装置40とを有する。各装置は、ネットワーク50を介して相互に接続され、マンモグラフィ装置10や超音波診断装置20によって撮像された画像などを相互に送受信する。例えば、医用情報処理装置100にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、医用画像データに付帯情報を付与したDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)形式の医用画像データ等を相互に送受信する。ここで、付帯情報には、例えば、患者を識別する患者ID(Identifier)、検査を識別する検査ID、各装置を識別する装置ID、各装置による1回の撮影を識別するシリーズIDなどが含まれる。以下に示す実施形態では、医用情報処理装置100が、マンモグラフィ装置10と、超音波診断装置20と、画像処理装置30と、画像表示装置40とを有して実現される場合について説明する。なお、本発明に係る医用情報処理装置は、マンモグラフィ装置10、超音波診断装置20、画像処理装置30及び画像表示装置40のうちいずれか一つを用いて実現されてもよい。あるいは、本発明に係る医用情報処理装置は、マンモグラフィ装置10、超音波診断装置20、画像処理装置30及び画像表示装置40のうちいずれかを任意に組み合わせて実現されてもよい。すなわち、本発明に係る医用情報処理装置は、装置単体で実現可能であり、また、複数の装置を任意に組み合わせても実現可能である。
マンモグラフィ装置10は、被検体の乳房にX線を照射し、乳房を透過したX線を検出してマンモグラフィ画像を生成する。
図2及び3は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置10の構成例を示す図である。例えば、図2に示すように、マンモグラフィ装置10は、基台11と、スタンド12とを有する。スタンド12は、基台11上に立設され、撮影台13と、圧迫板14と、X線出力装置15と、X線検出装置16とを支持する。なお、撮影台13と、圧迫板14と、X線検出装置16とは、上下方向へ移動可能に支持されている。
撮影台13は、被検体の乳房Bを支持する台であり、乳房Bが載せられる支持面13aを有する。圧迫板14は、撮影台13の上方に配置され、撮影台13に対して平行に対向するとともに撮影台13に対して接離する方向へ移動可能に設けられている。なお、圧迫板14は、撮影台13に接近する方向に移動した場合に、撮影台13上に支持されている乳房Bを圧迫する。圧迫板14によって圧迫された乳房Bは薄く押し広げられ、乳房B内の乳腺の重なりが減少する。
また、図3に示すように、マンモグラフィ装置10は、入力インターフェース17aと、昇降駆動回路17bと、高電圧発生器17cと、画像処理回路17dと、画像記憶回路17eと、ディスプレイ17fと、通信制御インターフェース17gと、システム制御回路17hとを有する。入力インターフェース17aは、操作者から各種コマンドの入力操作等を受け付ける。昇降駆動回路17bは、撮影台13に接続され、撮影台13を上下方向へ昇降させる。さらに、昇降駆動回路17bは、圧迫板14に接続され、圧迫板14を上下方向(撮影台13に対して接離する方向)へ昇降させる。
X線出力装置15は、X線管15aと、X線絞り器15bとを有する。X線管15aは、X線を発生させる。X線絞り器15bは、X線管15aと圧迫板14との間に配置され、X線管15aから発生したX線の照射範囲を制御する。高電圧発生器17cは、X線管15aに接続され、X線管15aがX線を発生するための高電圧を供給する。
このX線出力装置15は、トモシンセシス撮像が可能である。トモシンセシス撮像では、撮影台13及び圧迫板14の位置を固定し、被検体の乳房を圧迫したまま、乳房に対するX線管15aの角度を変えてX線を出力する。
X線検出装置16は、X線検出器16aと、信号処理回路16bとを有する。X線検出器16aは、乳房Bと撮影台13とを透過したX線を検出して電気信号(透過X線データ)に変換する。信号処理回路16bは、X線検出器16aによって変換された電気信号からX線投影データを生成する。
画像処理回路17dは、信号処理回路16bと、画像記憶回路17eとに接続され、信号処理回路16bによって生成されたX線投影データに基づいてマンモグラフィ画像を生成する。ここで、画像処理回路17dは、例えば、撮影台13及び圧迫板14の位置をMLO(Mediolateral-Oblique:内外斜位)方向で固定し、乳房に対する角度を変えずにX線を出力して生成されたX線投影データに基づいて、マンモグラフィ画像(MLO画像)を生成する。また、画像処理回路17dは、例えば、撮影台13及び圧迫板14の位置をCC(Cranio-Caudal:頭尾)方向で固定し、乳房に対する角度を変えずにX線を出力して生成されたX線投影データに基づいて、マンモグラフィ画像(CC画像)を生成する。
また、画像処理回路17dは、被検体に対して複数の角度各々から撮影された画像に基づいて、3次元画像であるトモシンセシス(Tomosynthesis)画像を発生する。ここで、画像処理回路17dは、例えば、撮影台13及び圧迫板14の位置をMLO方向で固定し、乳房に対する角度を変えてX線を出力して生成されたX線投影データに基づいて、トモシンセシス画像(MLOトモシンセシス画像)を生成する。また、画像処理回路17dは、例えば、撮影台13及び圧迫板14の位置をCC方向で固定し、乳房に対する角度を変えてX線を出力して生成されたX線投影データに基づいて、トモシンセシス画像(CCトモシンセシス画像)を生成する。
具体的には、画像処理回路17dは、被検体に対する複数の角度にそれぞれ対応する複数の画像に基づいて、所定の処理により、トモシンセシス画像を発生する。所定の処理とは、例えば、シフト加算法、フィルタ補正逆投影(Filtered Back Projection:FBP)法などである。すなわち、トモシンセシス撮像により、X線管15aからX線を照射して被検体の乳房を異なる方向から撮像することで3次元画像が生成される。なお、以下では、マンモグラフィ画像と記載する場合、MLO画像及びCC画像に加えて、MLOトモシンセシス画像及びCCトモシンセシス画像も含むものとする。また、トモシンセシス画像と区別するため、MLO画像及びCC画像のことを2次元のマンモグラフィ画像と言う。例えば、MLO画像のことを2次元MLO画像と言い、CC画像のことを2次元CC画像と言う。
画像処理回路17dは、生成したマンモグラフィ画像を画像記憶回路17eに保存する。また、画像処理回路17dは、ディスプレイ17fに接続され、生成したマンモグラフィ画像をディスプレイ17fに表示する。なお、画像処理回路17dは、入力インターフェース17aからの入力操作に基づいて、作成するマンモグラフィ画像の種類の切替えを行うことが可能である。なお、画像記憶回路17eは、画像処理回路17dによって生成されたマンモグラフィ画像以外に、例えば超音波診断装置20や画像処理装置30において生成された画像データ等を記憶してもよい。
通信制御インターフェース17gは、ネットワーク50を介して他の装置との間で行われる通信を制御する。例えば、通信制御インターフェース17gは、ネットワーク50を介して、画像処理回路17dによって生成されたマンモグラフィ画像を他の装置に転送する。ネットワーク50を介して転送されたマンモグラフィ画像は、転送先の装置において、画像表示又は画像処理などを実施することが可能である。
システム制御回路17hは、入力インターフェース17aと、昇降駆動回路17bと、高電圧発生器17cと、X線絞り器15bと、画像処理回路17dと、通信制御インターフェース17gとに接続され、マンモグラフィ装置10の全体を総括して制御する。
図1に戻って、超音波診断装置20は、超音波を送受信する超音波プローブで被検体を走査することで収集された反射波データに基づいて、超音波画像を生成する。
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置20の構成例を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置20は、超音波プローブ21と、入力インターフェース22と、ディスプレイ23と、装置本体24とを備える。超音波プローブ21は、後述する装置本体24が備える送受信回路24aと通信可能に接続される。また、入力インターフェース22、及びディスプレイ23は、装置本体24が備える各種の回路と通信可能に接続される。
超音波プローブ21は、被検体Pの体表面に接触され、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ21は、複数の圧電振動子(振動子とも言う)を有する。これら複数の圧電振動子は、送受信回路24aから供給される送信信号に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体Pの体内組織において反射され、反射波信号として複数の圧電振動子にて受信される。超音波プローブ21は、複数の圧電振動子にて受信した反射波信号を、送受信回路24aへ送る。
なお、第1の実施形態は、超音波プローブ21は、被検体P内の2次元領域を走査(2次元走査)する1Dアレイプローブであっても、被検体P内の3次元領域を走査(3次元走査)するメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。
入力インターフェース22は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等に対応する。入力インターフェース22は、超音波診断装置20の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体24の各回路に対して適宜転送する。
ディスプレイ23は、操作者が入力インターフェース22を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体24において生成された超音波画像データに基づく画像(超音波画像)等を表示したりする。
装置本体24は、超音波プローブ21が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。図4に示すように、装置本体24は、例えば、送受信回路24aと、Bモード処理回路24bと、ドプラ処理回路24cと、画像生成回路24dと、画像メモリ24eと、記憶回路24fと、処理回路24hとを有する。送受信回路24a、Bモード処理回路24b、ドプラ処理回路24c、画像生成回路24d、画像メモリ24e、記憶回路24f、通信制御インターフェース24g及び処理回路24hは、互いに通信可能に接続される。
送受信回路24aは、超音波プローブ11による超音波の送受信を制御する。例えば、送受信回路24aは、後述する処理回路24hの指示に基づいて、超音波プローブ21が行う超音波送受信を制御する。送受信回路24aは、送信波形データを作成し、作成した送信波形データから超音波プローブ21が超音波を送信するための送信信号を生成する。そして、送受信回路24aは、超音波プローブ21に送信信号を印加することで、超音波がビーム状に集束された超音波ビームを送信させる。
また、送受信回路24aは、超音波プローブ21が受信した反射波信号に所定の遅延時間を与えて加算処理を行うことで、反射波信号の受信指向性に応じた方向から反射成分が強調された反射波データを生成し、生成した反射波データをBモード処理回路24b及びドプラ処理回路24cに送信する。
例えば、送受信回路24aは、アンプ回路(適宜「Amp」と記載する)、A/D(Analog/Digital)変換器(適宜「ADC」と記載する)、生成回路、直交検波回路(適宜「IQ」と記載する)等を有する。アンプ回路は、反射波信号をチャネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。
生成回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。そして生成回路は、受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行う。生成回路の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
そして、直交検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(以下、IQ信号と記載する)を反射波データとして、バッファに格納する。なお、直交検波回路は、加算器の出力信号を、RF(Radio Frequency)信号に変換した上で、バッファに格納しても良い。IQ信号や、RF信号は、位相情報が含まれる信号(受信信号)となる。なお、直交検波回路は、生成回路の後段に配置されるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、直交検波回路は、生成回路の前段に配置されてもよい。かかる場合、生成回路は、I信号及びQ信号の加算処理を行う。
Bモード処理回路24bは、送受信回路24aが反射波信号から生成した反射波データに対して各種の信号処理を行う。Bモード処理回路24bは、送受信回路24aから受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点(観測点)ごとの信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理回路24bは、生成したBモードデータを画像生成回路24dへ送る。
ドプラ処理回路24cは、送受信回路24aから受信した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を、走査領域内の各サンプル点で抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理回路24cは、移動体の運動情報として、平均速度、分散値、パワー値等を各サンプル点で抽出したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。ドプラ処理回路24cは、生成したドプラデータを画像生成回路24dへ送る。
画像生成回路24dは、Bモード処理回路24bやドプラ処理回路24cが生成したデータから超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路24dは、Bモード処理回路24bが生成したBモードデータから、反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路24dは、ドプラ処理回路24cが生成したドプラデータから、移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。このドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
画像メモリ24eは、Bモード処理回路24b、ドプラ処理回路24c、及び画像生成回路24dにより生成されたデータを記憶するメモリである。例えば診断の後に、操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっており、静止画的に、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能である。なお、画像メモリ24eは、送受信回路24aを通過後の画像輝度信号、その他の生データ、ネットワーク50を介して取得した画像データなどを記憶してもよい。例えば、画像メモリ24eは、マンモグラフィ装置10や画像処理装置30において生成された画像データ等を記憶してもよい。
記憶回路24fは、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための装置制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)、診断プロトコルや各種設定情報などの各種データなどを記憶する。なお、記憶回路24fは、画像メモリ24eが記憶する画像の保管などに使用されてもよい。また、記憶回路24fに記憶されるデータは、図示しないインターフェースを介して、外部装置へ転送することができる。
また、記憶回路24fは、ボディーマークを記憶する。図5は、第1の実施形態に係るボディーマークの一例を示す図である。図5に示す例は、乳房を模式的に表したボディーマークの一例として、乳腺領域の模式図を示している。例えば、図5に示すように、乳腺領域の模式図は、左右それぞれの乳房について、乳房の領域を表す円形の領域(以下、乳房領域)と、腋窩部の領域を表す略三角形の領域(以下、腋窩領域)とを有する。
ここで、乳房領域を表す円形の領域は、上下及び左右に分けられて、4つの領域「A」〜「D」に分割される。例えば、「A」の領域(以下、A領域)は、乳房の内側上部の領域を示し、「B」の領域(以下、B領域)は、乳房の内側下部の領域を示す。また、例えば、「C」の領域(以下、C領域)は、乳房の外側上部の領域を示し、「D」の領域(以下、D領域)は、乳房の外側下部の領域を示す。また、腋窩領域を表す略三角形の領域「C’」(以下、C’領域)は、領域Cから斜め上方に伸び、かつ、領域Cから離れるにつれて細くなる形状を有する。また、例えば、図5中には図示しない「E」の領域(以下、E領域)は、乳輪部分を示す。なお、ここでいう模式図としては、乳房における位置関係を示すものであれば、各種の図を用いることができる。
通信制御インターフェース24gは、ネットワーク50を介して他の装置との間で行われる通信を制御する。例えば、通信制御インターフェース24gは、ネットワーク50を介して、画像生成回路24dによって生成された超音波画像を他の装置に転送する。ネットワーク50を介して転送された超音波画像は、転送先の装置において、画像表示又は画像処理などを実施することが可能である。
処理回路24hは、超音波診断装置20の処理全体を制御する。具体的には、処理回路24hは、入力インターフェース22を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路24fから読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づいて、送受信回路24a、Bモード処理回路24b、ドプラ処理回路24c、及び画像生成回路24d等の処理を制御する。また、処理回路24hは、画像メモリ24eが記憶する超音波画像データをディスプレイ23に表示させる。
また、処理回路24hは、超音波プローブ21を用いて被検体Pの乳房を走査した際の関心領域の位置を、乳房の模式図上に対応付けた走査位置情報を生成する。例えば、処理回路24hは、模式図上において超音波走査時の関心領域に対応する位置に、超音波プローブ21を模式的に示したプローブマークを重畳させた走査位置情報を生成する。
より具体的には、処理回路24hは、入力インターフェース22を介して、模式図上へのプローブマークの配置を操作者から受け付ける。ここで、操作者は、模式図上において超音波走査時の関心領域に対応する位置にプローブマークを配置する。これにより、処理回路24hは、走査位置情報を生成する。処理回路24hは、生成した走査位置情報を記憶回路24fに格納させる。処理回路24hは、被検体を一意に識別可能な識別情報(患者ID)を走査位置情報に対応付けて記憶回路24fに格納させる。言い換えると、記憶回路24fは、被検体を一意に識別可能な識別情報を、乳房の模式図に関心領域の位置を付した走査位置情報に対応付けて記憶する。また、処理回路24hは、走査位置情報をDICOM形式或いはJPEG形式で記憶回路24fに格納させる。言い換えると、記憶回路24fは、走査位置情報をDICOM形式或いはJPEG形式で記憶する。
図1に戻って、画像処理装置30は、マンモグラフィ装置10によって生成されたマンモグラフィ画像や、超音波診断装置20によって生成された超音波画像などを処理する。この画像処理装置30は、主に、マンモグラフィ検査の技師によってマンモグラフィ検査が行われる際に利用される。また、画像処理装置30は、マンモグラフィ検査の技師や放射線科医からマンモグラフィ画像に関する所見の入力を受け付け、受け付けた所見を示す情報を所見情報として記憶する。例えば、画像処理装置30は、画像保管サーバやワークステーションなどである。
画像表示装置40は、マンモグラフィ画像や超音波画像、マンモグラフィ画像に関する所見情報などを画像処理装置30から取得して表示する。この画像表示装置40は、主に、超音波検査の技師や放射線科医によって超音波検査が行われる際に利用される。例えば、画像表示装置40は、操作者によって持ち運びが可能であり、無線LAN(Local Area Network)を介してネットワーク50に接続可能なタブレット端末である。なお、画像表示装置40は、例えば、ノートパソコンやデスクトップ型パソコンであってもよい。
このような、医用情報処理装置100では、乳がん検診において、トモシンセシス画像と超音波画像とを併用した乳腺画像診断が実施される。図6は、トモシンセシス画像と超音波画像とを併用した乳腺画像診断の一例を示す図である。
従来、2次元のマンモグラフィ(2DMG)画像を参照しながら超音波検査を実施する場合には、超音波検査者は、超音波画像の撮像位置を理解して、超音波画像の関心領域と、2次元のマンモグラフィ画像との対応関係を把握する(図6左図参照)。ここで関心領域は、例えば、超音波画像において病変部位である可能性が高いと判定された部位である。このため、関心領域について、超音波画像とマンモグラフィ画像とを併用してより詳細な診断が行われる場合がある。また、超音波検査者は、トモシンセシス画像を参照しながら超音波検査を実施する場合も同様に、超音波画像の関心領域とトモシンセシス画像との対応関係を把握する必要がある(図6右図参照)。
ここで、2次元のマンモグラフィ画像或いはトモシンセシス画像は乳房を圧迫して乳房を撮像する。また、超音波検査時には被検体が仰臥位となる。すなわち、2次元のマンモグラフィ画像或いはトモシンセシス画像と、超音波画像とでは乳房の形態が異なっている。このため、超音波画像の関心領域と2次元のマンモグラフィ画像或いはトモシンセシス画像との対応関係を把握することは容易ではない。
ここで、2次元のマンモグラフィ画像のMLO画像及びCC画像を用いて、超音波診断装置による撮像位置との対応関係を超音波診断装置の乳房の模式図上に示す技術が開示されている。しかしながら、この技術は、マンモグラフィ画像の情報に基づいて対応する超音波撮像領域を関連付けるものであって、超音波診断装置による撮像位置をマンモグラフィ画像やトモシンセシス画像と関連付けるものではない。
更に、トモシンセシス画像は再構成のアルゴリズム上、微小石灰化のようなきわめて小さい対象物では、再構成断面に対象物が存在しない場合には対象物にぼけが生じたり、対象物が映らなかったりすることがある。また、トモシンセシス画像によってより良い診断をするためにも、関心領域同士の重なりや関心領域と乳腺組織との重なりを避け、適切な断面に関心領域を設定することが重要である。
このようなことから、第1の実施形態に係る画像処理装置30は、対象物の形状が異なる乳房の画像を併用する診断において、超音波診断装置による関心領域を、MLOトモシンセシス画像或いはCCトモシンセシス画像に対応付ける。以下では、画像処理装置30の詳細について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る画像処理装置30の構成例を示す図である。図7に示すように、画像処理装置30は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、通信制御インターフェース33と、記憶回路34と、処理回路35とを有する。
入力インターフェース31は、操作者から各種操作や各種情報の入力を受け付ける。例えば、入力インターフェース31は、キーボードやマウス、ボタン、トラックボール、タッチパネルなどである。
ディスプレイ32は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUIや各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、タッチパネルなどである。
通信制御インターフェース33は、ネットワーク50を介して他の装置との間で行われる通信を制御する。例えば、通信制御インターフェース33は、ネットワークカードやネットワークアダプタであり、Ethernet(登録商標)のLANを介してネットワーク50に接続することで、他の装置との間で通信を行う。また、例えば、通信制御インターフェース33は、無線LANを介してネットワーク50に接続することで、他の装置との間で無線通信を行う。
記憶回路34は、画像データ34a、所見情報34b、及び患者情報34cなどの各種データや画像処理及び表示処理を行うための制御プログラム34dを記憶する記憶装置である。また、記憶回路34に記憶されるデータは、図示しないインターフェースを介して、外部装置へ転送することができる。また、記憶回路34は、マンモグラフィ装置10や超音波診断装置20において生成された画像データ等を記憶してもよい。
記憶回路34が記憶する各種データについて説明する。例えば、記憶回路34は、画像データ34aとして、被検体の乳房を撮像したマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを記憶する。具体的には、記憶回路34は、マンモグラフィ画像と撮影方向を示す情報とを、画像ごとに関連付けて記憶する。この記憶回路34には、後述する画像データ取得機能35aによってマンモグラフィ画像と撮影方向を示す情報とが格納される。
より具体的には、記憶回路34は、MLO画像と、CC画像とを記憶する。また、記憶回路34は、MLOトモシンセシス画像やCCトモシンセシス画像を記憶する。なお、ここでいう撮影方向を示す情報は、例えば、マンモグラフィ装置の装置座標系で表される位置情報であり、マンモグラフィ装置によってマンモグラフィ画像が生成された際に付帯情報として各画像に付与される。
また、例えば、記憶回路34は、被検体のマンモグラフィ画像に関する所見情報34bを記憶する。この記憶回路34には、後述する所見情報作成機能35bによって所見情報が格納される。
また、例えば、記憶回路34は、患者を一意に識別可能な患者情報34cを記憶する。例えば、患者情報には、患者ID(Identifier)、氏名、年齢、受診歴などが含まれる。また、例えば、記憶回路34は、制御プログラム34dを記憶する。制御プログラム34dには、各機能に対応するプログラムが含まれる。この制御プログラム34dは、処理回路35によって読み出される。そして、処理回路35は、記憶回路34から読み出した制御プログラム34dを実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。
処理回路35は、画像処理装置30の動作を制御する。処理回路35は、図7に示すように、画像データ取得機能35aと、所見情報作成機能35bと、表示制御機能35cと、位置特定機能35dと、位置情報生成機能35eと、送信機能35fとを実行する。ここで、例えば、図7に示す処理回路35の構成要素である画像データ取得機能35aと、所見情報作成機能35bと、表示制御機能35cと、位置特定機能35dと、位置情報生成機能35eと、送信機能35fが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路34に記録されている。処理回路35は、各プログラムを記憶回路34から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路35は、図7の処理回路35内に示された各機能を有することとなる。
画像データ取得機能35aは、被検体の乳房を撮像したマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを取得する。具体的には、画像データ取得機能35aは、通信制御インターフェース33を介してマンモグラフィ装置20と通信を行うことで、診断対象の被検体に関するマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを取得し、取得したマンモグラフィ画像と撮影方向を示す情報とを記憶回路34に格納する。ここで、画像データ取得機能35aは、被検体の左右いずれかの乳房について、MLOトモシンセシス画像及びCCトモシンセシス画像の少なくともいずれか一方を取得する。
また、画像データ取得機能35aは、走査位置情報を超音波診断装置20の記憶回路24fから取得する。そして、画像データ取得機能35aは、被検体を一意に識別可能な識別情報を、取得した走査位置情報に対応付けて記憶回路34に格納させる。
所見情報作成機能35bは、操作者から入力された所見に基づいて、被検体のマンモグラフィ画像に関する所見情報を作成する。具体的には、所見情報作成機能35bは、入力インターフェース31を介して、マンモグラフィ検査の技師からマンモグラフィ画像に関する所見の入力を受け付ける。そして、所見情報作成機能35bは、受け付けた所見を示す所見情報を作成する。所見情報作成機能35bは、作成した所見情報を記憶回路34に格納する。
表示制御機能35cは、マンモグラフィ画像を参照するための参照画面をディスプレイ32に表示する。具体的には、表示制御機能35cは、入力インターフェース31を介して操作者から表示要求を受け付けた場合に、診断対象の被検体に関するマンモグラフィ画像を記憶回路34から読み出し、診断対象の被検体に関する所見情報を記憶回路34bから読み出す。そして、表示制御機能35cは、読み出したマンモグラフィ画像及び所見情報を配置した参照画面をディスプレイ32に表示する。また、表示制御機能35cは、後述する出力画像をディスプレイ32に表示する。なお、出力画像のことを位置特定情報とも言う。
位置特定機能35dは、演算部の一例である。位置特定機能35dは、乳房の模式図上に付された超音波検査における関心領域の位置に基づいて、3次元画像上の位置を求める。例えば、位置特定機能35dは、走査位置情報から、3次元画像上における関心領域の位置情報を求める。ここで、位置特定機能35dは、指定された識別情報に対応する走査位置情報を記憶回路34から取得し、走査位置情報から3次元画像上における関心領域の位置情報を求める。なお、位置特定機能35dは、超音波診断装置20の記憶回路24fから走査位置情報を直接取得してもよい。
位置情報生成機能35eは、画像生成処理部の一例である。位置情報生成機能35eは、3次元画像上の位置に基づいて、出力画像を生成する。例えば、位置情報生成機能35eは、3次元画像上に関心領域の位置情報を対応付けた出力画像を生成する。そして、位置情報生成機能35eは、出力画像と、当該出力画像を生成する際に用いた走査位置情報とを対応付けて記憶回路34に格納させる。
続いて、図8〜図10を用いて、位置特定機能35d及び位置情報生成機能35eの処理動作について説明する。図8は、第1の実施形態に係る画像処理装置30による処理手順を示すフローチャートであり、図9A〜図9Cは、第1の実施形態を説明するための図である。図10は、第1の実施形態に係る画像処理装置30による処理手順を示すフローチャートである。また、図8及び図9A〜図9Cでは、CCトモシンセシス画像を用いる場合を説明し、図10では、MLOトモシンセシス画像を用いる場合を説明する。なお、CCトモシンセシス画像を用いる場合及びMLOトモシンセシス画像を用いる場合、位置特定機能35dは、乳房の模式図における関心領域の相対的な位置を特定し、3次元画像上における関心領域の位置情報を求める。そして、位置情報生成機能35eは、3次元画像上に関心領域の位置情報を対応付けた出力画像を生成する。
まず、CCトモシンセシス画像を用いる場合を説明する。図8に示すように、位置特定機能35dは、関心領域を通る体軸方向に伸ばした線L1と乳房の模式図の円にあたる部分との交点を求め、L1における関心領域の位置の比を求める(ステップS1)。言い換えると、位置特定機能35dは、模式図において関心領域を通過し体軸方向と平行な第1の直線と模式図との交点とを用いて関心領域の相対的な位置を決定する。例えば、位置特定機能35dは、図9Aに示す走査位置情報を取得した場合、L1における関心領域の位置の比として(a:b)を求める。なお、図9Aでは、右乳房の模式図上に直線状のプローブマークを示している。図9Aに示す例では、模式図は、半径Xの円であり、乳頭位置を原点とする。また、図9Aに示す例では、プローブマークの略中央に付された×印で関心領域である点Pを示す。なお、図9Aの例では、関心領域の位置がプローブマークの略中央である場合を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、関心領域の位置がプローブマークの一方の端部に示されてもよい。
そして、位置特定機能35dは、乳頭を通り体軸と垂直な線L2とL1との交点とL2と模式図の円にあたる部分との交点を求めL2における関心領域の位置の比を求める(ステップS2)。言い換えると、位置特定機能35dは、模式図において乳頭を通過し体軸方向と垂直な第2の直線と第1の直線との交点を用いて関心領域の相対的な位置を決定する。例えば、位置特定機能35dは、図9Aに示すように、L2における関心領域の位置の比として(c:d)を求める。位置特定機能35dは、点Pの座標を(−d,e)とする場合、c=X−d、e=√(X2−d2)(b−a/a+b)を用いて点Pの座標を算出する。
続いて、位置特定機能35dは、圧迫板14に最も近い断面とX線検出器16aに最も近い断面間において、比(a:b)を用いて対応する断面を決定する(ステップS3)。言い換えると、位置特定機能35dは、決定した関心領域の相対的な位置に基づいて、3次元画像から関心領域を含む断面の相対的な位置を特定する。図9Bに示す例では、圧迫板14とX線検出器16aとの間に被検体の乳房を圧迫して固定している場合を示す。この状態でトモシンセシス撮像を行った場合に生成されるトモシンセシス画像の各断面を破線で示している。図9Bに示すように、位置特定機能35dは、圧迫板14とX線検出器16aとを最短距離で結ぶ直線と、トモシンセシス画像の関心領域を含む断面との交点の比が(a:b)となる断面を決定する。すなわち、位置特定機能35dは、圧迫板14から2つ目の断面に関心領域が含まれるものとして決定する。
また、位置特定機能35dは、図9Cに示すように、トモシンセシス画像において、乳頭と、乳房開始(終了)位置を算出し、比(c:d)となる位置を決定し、CCトモシンセシス画像上の対応する位置を決定する(ステップS4)。言い換えると、位置特定機能35dは、決定した関心領域の相対的な位置に基づいて関心領域を含む断面における関心領域の位置情報を求める。図9Cの例では、ステップS3で決定された断面のCCトモシンセシス画像上であって、比がc:dとなる線上に関心領域があることを示す。そして、位置情報生成機能35eは、ステップS3で決定した断面のCCトモシンセシス画像上に、ステップS4で決定した位置である線を示すことで位置特定情報を生成する。なお、位置情報生成機能35eは、例えば図9Cに示す比(c:d)を含んだ位置特定情報を生成してもよい。また、位置情報生成機能35eは、ステップS3で決定した断面のCCトモシンセシス画像のみを位置特定情報としてもよい。
次に、MLOトモシンセシス画像を用いる場合を説明する。図10に示すように、位置特定機能35dは、関心領域を通るX線管15a方向に伸ばした線L1と乳房の模式図の円にあたる部分との交点を求め、L1における関心領域の位置の比(a:b)を求める(ステップS11)。そして、位置特定機能35dは、乳頭を通り体軸と垂直な線L2とL1との交点を求めL2における関心領域の位置の比(c:d)を求める(ステップS12)。
続いて、位置情報生成機能35eは、圧迫板14に最も近い断面とX線検出器16aに最も近い断面間において、比(a:b)を用いて対応する断面を決定する(ステップS13)。そして、位置情報生成機能35eは、トモシンセシス画像において、乳頭と、乳房開始(終了)位置を算出し、比(c:d)となる位置を決定し、LMOトモシンセシス画像上の対応する位置を決定する(ステップS14)。このように、位置情報生成機能35eは、ステップS13で決定した断面のMLOトモシンセシス画像上に、ステップS14で決定した位置を示すことで位置特定情報を生成する。
なお、上述した実施形態では、処理回路24hは、入力インターフェース22を介して、模式図上へのプローブマークの配置を操作者から受け付けるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波プローブ21が位置センサを有する場合には、超音波診断装置20の処理回路24hは、超音波プローブ21が有する位置センサによって測定された位置情報に基づいて、乳房の模式図における関心領域の位置を求めるようにしてもよい。ここで、超音波プローブ21が位置センサを有する場合、処理回路24hは、位置センサによって測定された位置情報に基づいてランドマークとなる位置を更に決定することで乳房の模式図を生成する。以下では、図11A及び図11Bと、図12A及び図12Bを用いて、超音波プローブ21が位置センサを有する場合の位置特定情報を生成する処理について説明する。図11A〜図12Bは、第1の実施形態を説明するための図である。
図11A及び図11Bでは、ランドマークとして腋窩、乳頭、乳頭と平行な位置にある肋骨体を用いる場合を説明する。図11Aに示すように、超音波診断装置20の操作者は、超音波プローブ21を腋窩に当接して位置センサで位置を測定し、次いで超音波プローブ21を乳頭に当接して位置センサで位置を測定する。これにより腋窩と位置センサで測定された腋窩の位置情報とが対応付けられ、乳頭と位置センサで測定された乳頭の位置情報とが対応付けられる。そして、超音波診断装置20の操作者は、超音波プローブ21を肋骨体に当接して位置センサで位置を測定する。これにより、肋骨体と位置センサで測定された肋骨体の位置情報とが対応付けられる。そして、処理回路24hは、腋窩の位置情報、乳頭の位置情報及び肋骨体の位置情報を用いて、乳頭を中心とし、乳頭と肋骨体との距離を半径とする円を決定する。また、処理回路24hは、腋窩から円に対して2本の接線を描出する。これにより、処理回路24hは、図11Aに示す乳房の模式図を生成する。
続いて、超音波診断装置20の操作者は、超音波プローブ21を関心領域に当接して位置センサで位置を測定する。これにより、関心領域と位置センサで測定された関心領域の位置情報とが対応付けられる。そして、処理回路24hは、超音波プローブ21が有する位置センサによって測定された位置情報に基づいて、乳房の模式図における関心領域の位置を求める。すなわち、処理回路24hは、位置センサによって測定された位置情報に基づいてランドマークとなる位置を決定することで生成した乳房の模式図に、求めた関心領域の位置を付した走査位置情報を生成する。そして、処理回路24hは、生成した走査位置情報を記憶回路24fに格納させる。すなわち、記憶回路24fは、処理回路24hによって生成された走査位置情報を記憶する。
なお、かかる場合、位置特定機能35dは、超音波プローブ21が有する位置センサによって測定された関心領域の位置から、3次元画像上における関心領域の位置情報を求める。例えば、位置特定機能35dは、ステップS1及びステップS2と同様にして、関心領域の位置を示す比を算出する。すなわち、位置特定機能35dは、図11Bに示すように、測定された関心領域の位置に基づいて、関心領域を通る体軸方向に伸ばした線における関心領域の位置の比を求める。また、位置特定機能35dは、図11Bに示すように、乳頭を通り体軸と垂直な線における関心領域の位置の比を求める。なお、位置情報生成機能35eは、算出した比を用いて、ステップS3及びステップS4と同様にして位置特定情報を生成する。
次に、図12A及び図12Bでは、ランドマークとして腋窩、乳頭、鎖骨の端部を用いる場合を説明する。図12Aに示すように、超音波診断装置20の操作者は、超音波プローブ21を腋窩に当接して位置センサで位置を測定し、次いで超音波プローブ21を乳頭に当接して位置センサで位置を測定する。これにより腋窩と位置センサで測定された腋窩の位置情報とが対応付けられ、乳頭と位置センサで測定された乳頭の位置情報とが対応付けられる。そして、超音波診断装置20の操作者は、超音波プローブ21を鎖骨の端部に当接して位置センサで位置を測定する。これにより、鎖骨の端部と位置センサで測定された鎖骨の端部の位置情報とが対応付けられる。そして、処理回路24hは、腋窩の位置情報、乳頭の位置情報及び鎖骨の端部の位置情報を用いて、腋窩と鎖骨の端部との距離を一辺とする正方形を描出し、図12Aに示す乳房の模式図を生成する。
続いて、超音波診断装置20の操作者は、超音波プローブ21を関心領域に当接して位置センサで位置を測定する。これにより、関心領域と位置センサで測定された関心領域の位置情報とが対応付けられる。そして、処理回路24hは、超音波プローブ21が有する位置センサによって測定された位置情報に基づいて、乳房の模式図における関心領域の位置を求める。すなわち、処理回路24hは、位置センサによって測定された位置情報に基づいてランドマークとなる位置を決定することで生成した乳房の模式図に、求めた関心領域の位置を付した走査位置情報を生成する。そして、処理回路24hは、生成した走査位置情報を記憶回路24fに格納させる。すなわち、記憶回路24fは、処理回路24hによって生成された走査位置情報を記憶する。
なお、かかる場合、位置特定機能35dは、超音波プローブ21が有する位置センサによって測定された関心領域の位置から、3次元画像上における関心領域の位置情報を求める。例えば、位置特定機能35dは、ステップS1及びステップS2と同様にして、関心領域の位置を示す比を算出する。すなわち、位置特定機能35dは、図12Bに示すように、測定された関心領域の位置に基づいて、関心領域を通る体軸方向に伸ばした線における関心領域の位置の比を求める。また、位置特定機能35dは、図12Bに示すように、乳頭を通り体軸と垂直な線における関心領域の位置の比を求める。なお、位置情報生成機能35eは、算出した比を用いて、ステップS3及びステップS4と同様にして位置特定情報を生成する。
また、位置情報生成機能35eは、関心領域を含む断面において関心領域が存在する位置を、乳頭から体軸方向に対する深さ方向の位置で示す深さ情報を更に生成してもよい。かかる場合、位置特定機能35dは、関心領域を含む断面において関心領域が存在する相対的な位置を、乳頭から体軸方向に対する深さ方向の位置で特定する。図13は、第1の実施形態を説明するための図である。図13の右図は、超音波画像を示す。位置特定機能35dは、例えば、図13の右図に示すように乳房を乳頭から胸壁方向に沿って6分割する。そして、位置特定機能35dは、6分割した領域の乳頭からおよそ3つ目の領域に関心領域があると特定する。位置特定機能35dは、特定した関心領域の深さ方向の位置を位置情報生成機能35eに受け渡す。
続いて、位置情報生成機能35eは、位置特定機能35dにより特定された深さ方向の位置に基づいて、深さ情報を生成する。例えば、位置情報生成機能35eは、特定した深さ方向の位置に基づく出力画像を更に生成する。図13の左図は、CCトモシンセシス画像を示す。位置情報生成機能35eは、例えば図13の左図に示すように、CCトモシンセシス画像を乳頭から胸壁方向に沿って6分割する。そして、位置情報生成機能35eは、6分割した領域の乳頭からおよそ3つ目の領域に関心領域があることを示す深さ情報として、例えば「3/6分位」を生成する。なお、位置情報生成機能35eは、生成した深さ情報を記憶回路34に格納させる。
図7に戻る。送信機能35fは、操作者からの指示に応じて、位置情報生成機能35eによって生成された位置特定情報を超音波診断装置20及び画像表示装置40の少なくともいずれか一方に送信する。具体的には、送信機能35fは、入力インターフェース31を介して、画像処理装置30又は超音波診断装置20の操作者から位置特定情報の送信指示を受け付ける。ここで、送信機能35fは、被検体を一意に識別可能な識別情報を指定して位置特定情報の送信指示を受付ける。そして、送信機能35fは、位置特定情報の送信指示を受け付けると、操作者によって指定された識別情報に対応する位置特定情報を記憶回路34から取得して、超音波診断装置20及び画像表示装置40の少なくともいずれか一方に送信する。ここで、送信機能35fは、記憶回路34に指定された識別情報に対応する位置特定情報が記憶されていない場合には、位置特定機能35d及び位置情報生成機能35eに指示して、図8や図10に示す位置特定情報の生成処理を実行させる。このように、送信機能35fは、超音波走査時に参照されるディスプレイに位置特定情報を出力させる。
図14は、第1の実施形態を説明するための図である。図14では、超音波走査時に参照される画像表示装置40のディスプレイに走査位置情報を表示させ、画像処理装置30のディスプレイ32に位置特定情報を表示させる場合を説明する。なお、図14では、超音波診断装置20の操作者が、超音波走査中に、超音波画像に関心領域を設定して走査位置情報が生成された場合に、超音波画像の関心領域に対応するトモシンセシス画像及び位置特定情報を参照する例を説明する。
図14に示すように、画像表示装置40のディスプレイ(図14中の超音波診断装置20側)に、超音波走査中の超音波画像が表示される。そして、この超音波画像において関心領域が設定されると、図14に示すように、超音波画像の左下側には、走査位置情報が表示される。図14に示す例では、走査位置情報は、右側乳房の模式図上に関心領域の相対的な位置を示す印が表示される。
また、図14に示す例では、画像処理装置30のディスプレイ32(図14中のトモシンセシス側)が、画像表示装置40のディスプレイに隣接して配置される。ここで、超音波診断装置20の操作者が、位置特定情報の送信を画像処理装置30に要求した場合、図14に示すように、画像処理装置30のディスプレイ32に位置特定情報としてCCトモシンセシス画像が表示される。なお、この位置特定情報としては、画像表示装置40のディスプレイに表示中の超音波画像において設定された関心領域と対応する断面として特定されたCCトモシンセシス画像である。すなわち、画像処理装置30のディスプレイ32に表示中の位置特定情報としてのCCトモシンセシス画像は、画像表示装置40のディスプレイに表示中の走査位置情報と対応している。例えば、位置特定情報として、図9Cに示すc:dが表示されてもよい。
また、画像処理装置30は、深さ情報を更に画像処理装置30のディスプレイ32に表示させる。例えば、N分割した乳房において関心領域が乳頭側から何番目の領域に存在するかを示す深さ情報を表示させる。ここで、例えば、深さ情報として「2/5分位」が表示された場合、超音波診断装置20の操作者は、この深さ情報を参照することで、CCトモシンセシス画像において、5分割した乳房において関心領域が乳頭側から2つ目の領域に存在することを把握することができる。これにより、超音波診断装置20の操作者は、CCトモシンセシス画像において、超音波走査で設定した関心領域と対応する深さ方向の位置を把握することが可能になる。
また、位置情報生成機能35eは、3次元画像上に含まれる断面から関心領域を含む断面を特定する断面情報を更に生成してもよい。かかる場合、位置特定機能35dは、3次元画像上に含まれる断面から関心領域を含む断面を特定する。そして、位置情報生成機能35eは、特定した断面に基づく出力画像を更に生成する。例えば、位置情報生成機能35eは、スケールと矢印とを含んだ断面情報を生成する。図14に示す例では、画像処理装置30のディスプレイ32に表示中の断面の位置を示すスケールと矢印が表示される。このスケールは、上側がHead方向を示し、下側がFoot方向を示す。そして矢印は、画像処理装置30のディスプレイ32に表示中のトモシンセシス画像が、3次元画像を体軸方向にスライスした場合にどの位置の断面であるかを示す。なお、この矢印はスケールに沿って上下に移動可能である。矢印を移動させた場合、画像処理装置30のディスプレイ32には、移動後の矢印が示す断面に対応するトモシンセシス画像が表示されるようにしてもよい。
また、走査位置情報には、複数の関心領域が設定されてもよい。かかる場合、位置特定機能35dは、走査位置情報から複数の関心領域それぞれの位置を特定する。そして、位置情報生成機能35eは、それぞれの関心領域について特定された断面のトモシンセシス画像上に、関心領域の位置情報を対応付けた位置特定情報を生成する。また、走査位置情報に複数の関心領域が設定されている場合、画像処理装置30は、ディスプレイ32に、走査位置情報において指定された関心領域に対応する位置特定情報を表示してもよいし、所定の間隔ごとに各関心領域に対応する位置特定情報を切り替えて表示してもよい。
なお、図14では、画像表示装置40のディスプレイに走査位置情報を表示させ、画像処理装置30のディスプレイ32に位置特定情報としてトモシンセシス画像を表示させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、画像表示装置40が複数のディスプレイを有する場合には、一方のディスプレイに走査位置情報を表示させ、他方のディスプレイに位置特定情報としてトモシンセシス画像を表示させてもよい。
上述したように、第1の実施形態では、超音波プローブを用いて被検体の乳房を走査した際の関心領域の位置を、乳房の模式図上に対応付けた走査位置情報から関心領域の位置を特定する。続いて、X線管15aからX線を照射して被検体の乳房を異なる方向から撮像することで生成された3次元画像に、関心領域の位置情報を対応付けた位置特定情報を生成する。そして、位置特定情報を例えばディスプレイ32に出力する。これにより、第1の実施形態によれば、例えば、UL撮像時の関心領域とトモシンセシス画像のMLOあるいはCC画像との対応付けが可能となる。これにより、超音波診断装置20の操作者は、超音波画像において設定した関心領域に対応するトモシンセシス画像を参照することができ、ワークフローの効率化が可能である。また、超音波診断装置20による撮像位置とトモシンセシス画像との対応付けが、客観的な手法によって可能となるので、再現性を高めることができる。
なお、図7における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPUCentral Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路34に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路34にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、超音波走査時に、超音波診断装置20の操作者から位置特定情報の要求を受付けた場合に、位置特定情報を生成し、生成した位置特定情報を超音波走査時に参照される画像処理装置30のディスプレイ32に表示する場合を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波走査の終了後に、マンモグラフィ画像と超音波画像とを併用して読影する際に、位置特定情報を生成するようにしてもよい。これにより、読影医は、超音波画像で設定された関心領域に対応するトモシンセシス画像を容易に観察することができ、読影に要する時間を短縮することが可能になる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、走査位置情報から位置特定情報を生成する場合について説明した。ところで、超音波診断装置による走査時に、トモシンセシス画像において設定された関心領域の位置を把握できてもよいものである。そこで、第2の実施形態では、トモシンセシス画像における関心領域と超音波診断装置による撮像位置とを対応付けた参照情報を更に生成する場合について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る画像処理装置300の構成例を示す図である。図15に示すように、画像処理装置300は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、通信制御インターフェース33と、記憶回路34と、処理回路350とを有する。なお、図15に示す構成要素のうち、図7に示した各構成要素と同一の機能を有する場合には、同一の符号を付与して詳細な説明を省略する。
処理回路350は、画像処理装置300の動作を制御する。処理回路350は、図15に示すように、画像データ取得機能35aと、所見情報作成機能35bと、表示制御機能35cと、領域設定機能351と、参照情報生成機能352と、位置特定機能35dと、位置情報生成機能35eと、送信機能35fとを実行する。ここで、例えば、図15に示す処理回路350の構成要素である画像データ取得機能35aと、所見情報作成機能35bと、表示制御機能35cと、領域設定機能351と、参照情報生成機能352と、送信機能35fが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路34に記録されている。処理回路350は、各プログラムを記憶回路34から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路350は、図15の処理回路350内に示された各機能を有することとなる。
領域設定機能351は、X線管15aからX線を照射して被検体の乳房を異なる方向から撮像することで生成された3次元画像において関心領域を設定する。具体的には、領域設定機能351は、入力インターフェース31を介して、表示制御機能35cによって表示された参照画面に配置されたトモシンセシス画像上で任意の位置に任意の大きさの範囲を指定する操作を操作者から受け付ける。そして、領域設定機能351は、操作者によって指定された範囲を関心領域として設定する。
なお、例えば、領域設定機能351は、コンピュータ支援診断の機能を用いて、マンモグラフィ画像から病変部の候補領域を自動検出し、検出した領域を関心領域として設定してもよい。言い換えると、領域設定機能351は、コンピュータ支援診断の結果に基づいて関心領域を設定する。また、例えば、領域設定機能351は、CADによって検出された領域に対して、検出された領域の中から領域を選択する操作を操作者から受け付け、選択された領域を関心領域として設定してもよい。
参照情報生成機能352は、関心領域の位置情報を乳房の模式図上に対応付けた参照情報を生成する。例えば、参照情報生成機能352は、3次元画像における関心領域の相対的な位置を示す位置情報を乳房の模式図上に対応付けた参照情報を生成する。ここで、参照情報生成機能352は、3次元画像において関心領域を含む断面を特定し、3次元画像における断面の相対的な位置と、断面における関心領域の相対的な位置とを位置情報とする。
続いて、図16〜図19を用いて、参照情報生成機能352の処理動作について説明する。図16は、第2の実施形態に係る画像処理装置30による処理手順を示すフローチャートであり、図17A〜図17Cは、第2の実施形態を説明するための図である。図18は、第2の実施形態に係る画像処理装置30による処理手順を示すフローチャートであり、図19は、第2の実施形態を説明するための図である。また、図16及び図17A〜図17Cでは、CCトモシンセシス画像を用いる場合を説明し、図18及び図19では、MLOトモシンセシス画像を用いる場合を説明する。
まず、CCトモシンセシス画像を用いる場合を説明する。図16に示すように、参照情報生成機能352は、トモシンセシス画像の関心領域を含む断面と、圧迫板14とX線検出器16aとを最短距離で結ぶ直線との交点の比(a:b)を算出する(ステップS101)。図17Aでは、圧迫板14とX線検出器16aとの間に被検体の乳房を圧迫して固定している場合を示す。この状態でトモシンセシス撮像を行った場合に生成されるトモシンセシス画像の各断面を破線で示している。また、図17Aに示す例では、圧迫板14から2つ目の断面に関心領域が含まれるものとして説明する。図17Aに示すように、参照情報生成機能352は、圧迫板14とX線検出器16aとを最短距離で結ぶ直線と、トモシンセシス画像の関心領域を含む断面との交点の比(a:b)を算出する。
参照情報生成機能352は、関心領域を含むトモシンセシス画像の境界及び乳頭を検出する(ステップS102)。図17Bでは、右乳房のCCトモシンセシス画像を示す。参照情報生成機能352は、図17Bに示すように、トモシンセシス画像の境界として乳房開始(終了)位置と、乳頭とを検出する。そして、参照情報生成機能352は、図17Bに示すように、検出された乳房開始(終了)位置を通りX軸に平行な直線l1と、乳頭を通る直線l2とを最短距離で結ぶ直線l3が関心領域を通るように設定し、関心領域の位置の比(c:d)を算出する(ステップS103)。なお、図17Bでは、関心領域を丸印で示す。
続いて、参照情報生成機能352は、図17Cに示すように、乳房の模式図の、乳頭を通り体軸と垂直な直線L1上のc:dの比を構成する点を通り、体軸と平行となる直線L2を設定する(ステップS104)。そして、参照情報生成機能352は、直線L2上にa:bの比を構成する点を決定する(ステップS105)。なお、図17Cでは、右乳房の模式図を示す。
次に、MLOトモシンセシス画像を用いる場合を説明する。図18に示すように、参照情報生成機能352は、トモシンセシス画像の関心領域を含む断面と、圧迫板14とX線検出器16aとを最短距離で結ぶ直線との交点の比(a:b)を算出する(ステップS201)。図19では、圧迫板14とX線検出器16aとの間に被検体の乳房を圧迫して固定している場合を示す。この状態でトモシンセシス撮像を行った場合に生成されるトモシンセシス画像の各断面を破線で示している。また、図19に示す例では、圧迫板14から2つ目の断面に関心領域が含まれるものとして説明する。図19に示すように、参照情報生成機能352は、圧迫板14とX線検出器16aとを最短距離で結ぶ直線と、トモシンセシス画像の関心領域を含む断面との交点の比(a:b)を算出する。
参照情報生成機能352は、関心領域を含むトモシンセシス画像の境界及び乳頭を検出する(ステップS202)。図19では、右乳房のCCトモシンセシス画像を示す。参照情報生成機能352は、図19に示すように、トモシンセシス画像の境界として乳房開始(終了)位置と、乳頭とを検出する。そして、参照情報生成機能352は、図19に示すように、検出された乳房開始(終了)位置を通りX線管15a側に投影した直線l1と、乳頭を通る直線l2とを最短距離で結ぶ直線l3が関心領域を通るように設定し、関心領域の位置の比(c:d)を算出する(ステップS203)。
続いて、参照情報生成機能352は、図19に示すように、関心領域から、X線管15a側に投影した模式図の交点を結ぶ直線L1を生成する(ステップS204)。そして、参照情報生成機能352は、直線L1上にa:bの比を構成する点を算出する(ステップS205)。なお、図19では、右乳房の模式図を示す。
参照情報生成機能352は、例えば、DICOM形式又はJPEG(Joint Photographic Experts Group)やGIF(Graphics Interchange Format)、ビットマップなどの形式の画像データとして参照情報を生成する。ここで、参照情報生成機能352は、被検体を一意に識別可能な識別情報を更に対応付けた参照情報を生成して記憶回路34に格納させる。
また、参照情報生成機能352は、関心領域が存在する位置を、乳頭から体軸方向に対する深さ方向の位置で示す深さ情報を更に生成してもよい。なお、かかる場合、参照情報生成機能352は、例えば、乳頭側から胸壁方向に対する深さ方向の位置で関心領域の相対的な位置を示してもよい。例えば、参照情報生成機能352は、6分割した乳房において関心領域が乳頭側から3つ目の領域に存在する場合、深さ情報として「3/6分位」を生成してもよい。参照情報生成機能352は、生成した深さ情報に被検体を一意に識別可能な識別情報を更に対応付けて記憶回路34に格納させる。
また、第2の実施形態に係る送信機能35fは、操作者からの指示に応じて、参照情報生成機能352によって生成された参照情報を超音波診断装置20及び画像表示装置40の少なくともいずれか一方に送信する。具体的には、送信機能35fは、入力インターフェース31を介して、画像処理装置30又は超音波診断装置20の操作者から参照情報の送信指示を受け付ける。ここで、送信機能35fは、被検体を一意に識別可能な識別情報を指定して参照情報の送信指示を受け付ける。そして、送信機能35fは、参照情報の送信指示を受け付けると、操作者によって指定された識別情報に対応する参照情報を記憶回路34から取得して、超音波診断装置20及び画像表示装置40の少なくともいずれか一方に送信する。言い換えると、送信機能35fは、超音波走査時に参照されるディスプレイに参照情報を出力させる。
また、参照情報生成機能352は、関心領域の性状に応じた形態で参照情報を生成してもよい。例えば、参照情報生成機能352は、模式図のテンプレートを用いて参照情報を生成する際に、模式図上での関心領域の位置情報を示すだけでなく、乳腺密度が所定値より高い領域や、石灰化している領域、腫瘍の領域などをマンモグラフィ画像から抽出して、模式図上に表示してもよい。例えば、参照情報生成機能352は、模式図上でこれらの領域に対応する部分について、領域の種類ごとに模式図の色とは異なる色で表示したり、あらかじめ領域の種類ごとに決められたマークを表示したりする。
そして、第2の実施形態に係る処理回路350は、参照情報と、走査位置情報とを比較するようにしてもよい。ここで、処理回路350は、例えば、トモシンセシス画像に対して設定された関心領域付近に、超音波走査時に設定した関心領域がある場合には、トモシンセシス画像に対して設定された関心領域が、超音波走査時に設定した関心領域の付近に存在することを超音波走査時の操作者に通知してもよい。或いは、処理回路350は、読影がトモシンセシス画像と超音波画像とを比較して読影する際に、トモシンセシス画像に対して設定された関心領域と超音波走査時に設定された関心領域とが近くに存在することを読影医に通知してもよい。
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
上述した実施形態では、画像処理装置30或いは画像処理装置300において、位置特定機能35dと位置情報生成機能35eとを実行するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置20において、位置特定機能35dを実行し、画像処理装置30或いは画像処理装置300において、位置情報生成機能35eを実行するようにしてもよい。あるいは、超音波診断装置20において、位置特定機能35dを実行し、マンモグラフィ装置10において、位置情報生成機能35eを実行するようにしてもよい。あるいは、超音波診断装置20において、位置特定機能35dと位置情報生成機能35eとを実行するようにしてもよい。あるいは、マンモグラフィ装置10において、位置特定機能35dと位置情報生成機能35eとを実行するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、超音波診断装置20の処理回路24hにおいて、走査位置情報を生成するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、マンモグラフィ装置10、画像処理装置30或いは画像処理装置300において、走査位置情報を生成するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、画像処理装置300において、領域設定機能351と参照情報生成機能352とを実行するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、画像処理装置300において、領域設定機能351を実行し、超音波診断装置20において、参照情報生成機能352を実行するようにしてもよい。あるいは、マンモグラフィ装置10において、領域設定機能351を実行し、超音波診断装置20において、参照情報生成機能352を実行するようにしてもよい。また、マンモグラフィ装置10において、領域設定機能351と参照情報生成機能352とを実行するようにしてもよい。あるいは、超音波診断装置20において、領域設定機能351と参照情報生成機能352とを実行するようにしてもよい。
上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、トモシンセシス画像と超音波画像とを併用する検診において、ワークフローを効率化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。