以下、図面に従って本発明を適用したデジタルカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係るカメラは、デジタルカメラであり、概略、撮像素子から読み出される画像信号に基づく画像データを表示部にライブビュー表示すると共にレリーズ釦の操作に応じて記録用に画像処理した画像データを外部メモリに記録する。また、バルブ撮影モードとして比較明合成モードを設定すると、バルブ撮影中に、画像データの画素毎に明るい方の画素を用いた比較明合成による比較明合成画像を生成し、この画像を用いてバルブ撮影中に露光状態の経過表示を行うことができる。
さらに、このカメラは、バルブ撮影中に予め決めたMコマの画像データを取得すると、ゲイン印加・加算・比較明合成処理を行う(後述する図2のS21参照)。このゲイン印加・加算・比較明合成処理では、基準となる明るさの画像と、背景を一定として光跡を、または光跡を一定として背景をオーバ露出およびアンダ露出のブラケット合成画像を生成する。撮影者はブラケット合成画像の中から、意図に沿った露出の画像を選択することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。本実施形態におけるカメラは、撮像部1、画像処理部10、システム制御部20、およびバス31とこれに接続された各部を有する。
レンズ2は、イメージセンサ4に被写体の光学像を結像する。このレンズ2内には、露出量を調節するための絞り値を決定する絞りを備える。また、メカシャッタ3は、開閉動作によりイメージセンサ4への露出や遮光を行い、シャッタ速度を制御する。イメージセンサ4は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の撮像素子を含み、レンズ2により結像された被写体の光学像を画素毎に電気信号に変換し、画像信号を、画像処理部10およびバス31に出力する。バス31は、各ブロック間で信号の送受信を行うための信号線である。
画像処理部10は、イメージセンサ4から出力された画像信号に画像処理を施し、画像比較合成部11、画像加算合成部14、ゲイン印加部15、および現像処理部16を有する。
画像比較合成部11は、イメージセンサ4から連続的に読み出された画像データと、内部メモリ33に保存された画像データの画素毎の出力を比較し、画素毎に比較明処理を行い、この処理によって生成された比較明合成画像データを用いて合成画像データを生成する。
すなわち、画像比較合成部11における比較明処理では、最初にイメージセンサ4から読み出された画像信号を基に生成された画像データを構成する画素データを比較明合成画像データとして内部メモリ33に記憶する。次に、イメージセンサ4から読み出された画像信号を基に生成された画像データを構成する画素データと、内部メモリに記憶されている比較明合成画像データを構成する複数の画素データについて、それぞれ対応する画素データを比較し、いずれか大きい方、すなわち明るい方の画素データを検出し、この明るい方の画素データを用いて、比較明合成画像データを再構成する。この処理をイメージセンサ4から画像信号が読み出されるたびに繰り返し行う。比較明処理を行うことにより、夜空の星の光跡の画像を得ることができる。
画像加算合成部14は、画素毎の出力を加算し、加算合成データを生成する。すなわち、所定周期でイメージセンサ4から画像信号が読み出される毎に、画像加算合成部14は、画像信号に基づく画像データを加算し、加算合成データを生成する。
ゲイン印加部15は、画像データに対して、所定のゲインを乗算等の印加処理を行う。例えば、画像データにゲインとして0.5を乗算することにより輝度が半分になり暗い画像となり、またゲインとして2を乗算することにより輝度が倍になり明るい画像となる。
現像処理部16は、画像合成部15において生成されたRAW画像データに対して、デモザイキング、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、画像圧縮などの現像処理を行う。
内部メモリ33は、カメラ動作に必要な各種設定情報や、画像処理時に途中経過の画像を一時的に記憶する。内部メモリ33は、フラッシュメモリ、DRAM等の不揮発性のメモリによって構成される。
外部メモリ36は、カメラ本体に装填自在、または内部に固定された不揮発性の記憶媒体であり、例えば、SDカードやCFカード等である。この外部メモリ36は、現像処理部16で現像処理された画像データを記録し、また再生時には、記録された画像データが読み出され、カメラの外部に出力可能である。
表示部37は、TFT(Thin Film Transistor)液晶や有機ELなどの背面表示部やEVF(電子ビューファインダ)によって構成され、現像処理部16によって現像された画像を表示する。
入力IF38は、レリーズ釦等の操作部材や、背面表示部等におけるタッチ操作を入力するためのタッチパネル等を有し、ユーザ操作に基づいて各種のモード設定やレリーズ等撮影動作の指示を行う。
露出検出部34は、イメージセンサから読み出された画像データまたは各合成部で生成された画像データから露出値を検出する。
システム制御部20は、CPU(Central Processing Unit)を有し、内部メモリ33内に記憶されたプログラムに従ってカメラの全体制御を行う。また、システム制御部20は、露光時間算出部21および露光時間制御部22を有する。露光時間算出部21は露出検出部34における露出検出結果から最適な露光時間(シャッタ速度)を算出する。露光時間制御部22は露出時間算出部21における算出結果に応じてメカシャッタ3の開閉タイミング処理を制御する。露光時間算出部21および露光時間制御部22は、ソフトウエアによって処理してもよく、またハードウエアによって処理してもよい。
次に、図1に示したカメラの動作の概要を述べる。システム制御部20による制御に基づいて、レンズ2を構成するフォーカスレンズの調整が行われ、絞りが所定値に設定され、メカシャッタ3が開いて、イメージセンサ4により光学像が電気信号に変換される。イメージセンサ4から読み出された画像信号は、画像処理部10において所定の画像処理が施され、外部メモリ36に記録される。また画像処理部10で所定の画像処理が施された画像データはリサイズされたのち表示部37において表示される。
システム制御部20は、入力IF38を介してユーザからの指示を受け、イメージセンサ4の露出開始、信号読出等のタイミング制御、メカシャッタ3の開閉タイミング制御、レンズ2の絞り制御やオートフォーカス制御を行う。また、システム制御部20は、画像処理部10から画像データを受け取り、表示部37による画像表示や、外部メモリ36に画像データの保存等の制御を行う。
次に、図2に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係るカメラの処理の流れを説明する。このフローチャートは、内部メモリ33に記憶されたプログラムに従って、システム制御部20が各部を制御することにより実行する。
このフローチャートでは、ユーザが入力IFによりバルブ撮影モードを選択し、かつバルブ撮影モード中の比較明合成モードを選択している場合のシーケンスを図示している。バルブ撮影モードであっても、露光中の経過表示を行わない通常のバルブ撮影や、露光中の経過表示を加算画像で行う加算合成表示モードについては、省略してある。なお、経過表示モードの一種である加算合成表示モードが選択されると、バルブ撮影中に所定の周期でイメージセンサ4から画像信号を読み出し、この読み出された画像データを順次加算することにより、露光時間の経過に応じて徐々に画面が明るくなっていくことを表示部37に表示することができる。また、経過表示モードの一種である比較明合成モードは、露光時間によらず背景の明るさは一定で、露光時間に応じて光跡の長さを調整可能である。
ユーザは、バルブ撮影を行うにあたって予め表示部37や光学ファインダ(不図示)を確認して撮影したい被写体を撮影できるように、カメラの向きやレンズの焦点距離(ズーム)を調節しておく。また必要に応じて、釦やタッチパネル等の入力IF38を介して、フォーカスレンズの位置、絞り値、ISO感度等の撮影情報を設定してもよい。
図2に示すフローに入ると、システム制御部20は、レリーズスイッチの最初の押圧動作に応じて1stレリーズスイッチがオンとなったか否かを判定する(S1)。この判定の結果、オンでなければ、待機状態となる。
ステップS1における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンであれば、次に、AFおよびAEを行う(S3)。ここでは、システム手制御部20は、AF(オートフォーカス)を行い、被写体にピントを合わせる。AFにあたっては、システム制御部20は、イメージセンサ4から繰り返し読み出される画像信号のコントラスト値が最大値になるように、レンズ2内のフォーカスレンズを駆動する。また、AE(自動露出制御)を行い、適正露光となる露出時間や絞り等を算出する。
AFとAEを行うと、次に、2ndレリーズスイッチがオンであるか否かを判定する(S5)。ここでは、システム制御部20は、最初の押圧動作よりも相対的に強い押圧動作がなされ、2ndレリーズスイッチがオンになったかを判定する。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンでなければ、ステップS3に戻り、AF・AE動作を繰り返す。
ステップS5における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンであれば、比較明合成モードによる比較明合成を行う。まず、ブラケット設定反映・合成コマ数Mを決定する(S7)。このステップでは、基準の明るさに対してアンダ、オーバ露出を行うブラケット撮影を行うためのブラケット設定反映・合成コマ数Mの決定を行う。図3および図4を用いて後述するように、本実施形態においては、バルブ撮影中にMコマの画像を取得すると、ゲイン印加・加算・比較明合成処理を行う。このコマ数Mは、ユーザが事前に設定してもよく、また被写体輝度等に応じて自動的に設定してもよい。なお、このコマ数Mは、4、9、16・・・と、整数の2乗となる値を決定する。
ブラケット設定反映・合成コマ数Mを決定すると、次に、画像読み出し周期Tを反映させる(S9)。この周期Tは、イメージセンサ4から画像信号を読み出す周期であり、ユーザが手動で設定した値でもよく、またステップS3におけるAEにおいて算出した適正露光時間に応じた値でもよい。
画像読み出し周期Tを反映させると、次に、露出を開始する(S11)。ここでは、システム制御部20は、イメージセンサ4に対して、露出を開始させる。露出を開始させると、次に、露出時間Tmが経過したか否かを判定する(S13)。ここでは、ステップS11における露出開始後、時間Tmが経過したかを判定し、時間Tmが経過するまで待機状態となる。なお、時間Tmは、本実施形態においては、ステップS9において設定した周期Tに対してT/2の時間としている。
ステップS11における判定の結果、露出時間Tmが経過すると、次に、画像信号を読み出すと共に、次のコマの露出を開始する(S15)。続いて、ステップS15において読み出された画像信号を内部メモリ33に保存する(S17)。
内部メモリ33に画像信号を保存すると、次に、保存コマ数がMか否かを判定する(S19)。ここでは、ステップS15において読み出した画像のコマ数が、ステップS7において決定したコマ数Mに達したか否かを判定する。この判定の結果、保存コマ数がMに達していなかった場合には、ステップS15において露出を開始してから露出時間Tmが経過した時点で、再び、ステップS15における画像信号の読み出しを行うと共に、露出を開始させる。
ステップS19における判定の結果、保存コマ数がMに達すると、ゲイン印加・加算・比較明合成処理を行う(S21)。ここでは、システム制御部20は、ステップS15〜S19において取得したMコマの画像データを用いて、画像比較合成部11、画像加算合成部14、ゲイン印加部15によって、ブラケット合成画像、即ち、背景または光跡の明るさを、基準の明るさに対して、アンダ、オーバ露出となる合成画像を生成させる。このゲイン印加・加算・比較明合成処理の詳細な動作については、図3および図4を用いて後述する。
ステップS21においてゲイン印加・加算・比較明合成処理を行うと、次に、生成されたブラケット合成画像を、内部メモリ33に保存する(S23)。
ブラケット合成画像を内部メモリ33に保存すると、次に、現像処理を行う(S25)。ここでは、システム制御部20は、内部メモリ33に一時記憶された基準となる露出の合成画像の画像データに対して、現像処理部16によって、デモザイキング処理、γ補正処理、ノイズリダクション処理、YC信号生成処理、リサイズ処理等の現像処理を行わせる。なお、リサイズ処理は、読み出された画像の画素数は、液晶表示や電子ビューファインダの表示画素よりも大きいため、表示素子の表示画素数に合わせるためである。
現像処理を行うと、次に、現像画像の表示を行う(S27)。ここでは、システム制御部20は、現像処理部16によって現像処理された基準となる露出の合成画像を、露光経過画像として、表示部37に表示させる。ユーザは、バルブ撮影時の経過画像として確認することができる。
現像画像の表示を行うと、次に、2ndレリーズスイッチのオフを検知したか否かを判定する(S29)。本実施形態においては、ユーザがレリーズ釦を強く押し込んでから離すまで、すなわち2ndレリーズスイッチがオンになるとバルブ撮影を開始し、2ndレリーズスイッチがオフになるとバルブ撮影が終了する。なお、最初、2ndレリーズスイッチがオンした後、オフしてもバルブ撮影を続行し、再度、2ndレリーズスイッチがオンした際に、バルブ撮影を終了するようにしても勿論かまわない。
ステップS29における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオフでなかった場合には、ステップS15に戻る。M+1コマ目以降の画像も露出時間Tm経過後にイメージセンサ4から読み出され(S15)、内部メモリ33に保存される(S17)。内部メモリ33に保存すると、内部メモリ33に保存されたMコマの合成処理前の画像データを消去し、空いた記録領域を次のMコマの画像データの記録に用いる。
上述の処理を繰り返すことにより、ユーザが事前に設定、または自動設定された画像データ読み出し周期Tに応じて決まる露出時間Tmにて露光し、読み出した画像データを比較明合成した画像データを合成し、露光経過表示を行うことができる。システム制御部20は、これらの動作を行うように、メカシャッタ3、イメージセンサ4およびその後の画像処理等を制御する。比較明合成モードにおいては、1stレリーズスイッチがオンした後のAE制御により、背景の明るさが適正露出となるように、画像読み出し周期T(露出時間Tm)を自動設定してもよい。
一方、ステップS29における判定の結果、2ndレリーズスイッチのオフを検知すると、バルブ撮影の終了処理を行う。まず、外部メモリに記録を行う(S31)。ここでは、ステップS23において最終的に保存されたゲイン印加・加算・比較明合成処理で生成されたブラケット合成画像の画像データを外部メモリ36に記録する。
外部メモリ36に画像データを記録すると、次に、画像表示を行う(S33)。ここでは、ステップS31において外部メモリ36に保存された画像データに基づく画像の内、基準となる露出の合成画像を、表示部37に表示する。表示部37に画像を表示すると、撮影を完了する。
このように、本発明の一実施形態においては、バルブ撮影中に、時間Tmごとに画像データを取得し、予め設定されたコマ数Mの画像データを取得すると(S19→Yes)、このMコマの画像データを用いて基準となる露出の画像、オーバ露出の画像、アンダ露出の画像の画像データを生成し(S21)、基準となる露出の画像の比較明合成画像を表示している(S27)。この比較明合成画像は、画像データの画素毎に明るい方の画素を選択することにより合成した画像であることから、夜空の星のように輝点が時間と共に移動している場合には、光跡を記録することができる。
また、実質的にブラケット撮影を行ったと同様の画像データを生成することができることから(S21参照)、撮影終了後にブラケット合成画像、すなわち、基準となる露出の画像、オーバ露光の画像、アンダ露光の画像を表示部37に表示させ、ユーザの意図する露出の画像を選択することができる。
次に、図3を用いて、ステップS21におけるゲイン印加・加算・比較明合成処理によるブラケット合成画像データの生成について説明する。図3は、背景の明るさを基準、オーバ、アンダとするブラケット合成画像を生成するための概念ブロック図である。この図3の例では、露光時間Tで読み出した画像データを比較明合成した画像データを基準の露出とし、背景の明るさを−1段、+1段の画像データを同時に生成する。なお、図3中、「比」は比較明合成を行うことを示し、「+」は加算処理を行うことを示す。また、RAW1〜RAW4は、ロー画像データを示す。図3ではRAW1〜RAW4までしか示してないが、RAW5以降の画像は、RAW1〜RAW4と同様に処理される。
基準の明るさに対して、−1段、+1段の画像を生成するためには、図3に示すように連続的に順次読み出した4コマの画像データRAW1〜RAW4に対して、下記の3通りの合成方法の組み合わせによって画像データを生成する。
−1段:合成画像データ1=比較明合成(RAW1,RAW2,RAW3,RAW4)
0段:合成画像データ2=比較明合成{(RAW1+RAW2),(RAW3+RAW4)}
+1段:合成画像データ3=RAW1+RAW2+RAW3+RAW4
但し、比較明合成(RAW1,RAW2,・・・RAWn)は、既述の画像比較合成部11における比較明合成データの生成処理と同様にして、RAW1からRAWnまで順次に累積的に比較明合成画像データを生成することによって得られた合成画像データを示し、(RAW1+RAW2+・・・+RAWn)はRAW1からRAWnを加算合成して得られた合成画像データを示す。
すなわち、合成画像1は、RAW1〜RAW4の画像の比較明合成によって生成した画像である。比較明合成画像は、同一アドレスの画素出力を比較し、大きい方(すなわち明るい方の画素)を選択することによって生成する合成画像である。また、合成画像2は、RAW1とRAW2を加算した加算画像と、RAW3とRAW4を加算した加算画像を用いて比較明合成した合成画像である。また、合成画像3は、RAW1〜RAW4の全てを加算した加算画像である。したがって、合成画像2の背景の明るさを基準露出とすると、合成画像1の背景の明るさは基準露出の1/2倍であり、合成画像3の背景の明るさは基準露出の2倍となる。
基準となる露光時間Tで読み出した画像の合成画像データは、合成画像2の画像データに相当するので、合成前の1コマの露出時間TmをT/2に設定し、(RAW1+RAW2)および(RAW3+RAW4)の合計露光時間がTとなるようにする(図2のS13参照)。また、−1段,0段,+1段の3パターンの合成画像データを生成するための合成コマ数Mは4に設定する(図2のS7参照)。
なお、M+1コマ目以降の合成画像の生成にあたっては、内部メモリ33への保存コマ数がMに到達するまで、イメージセンサ4から画像信号を読み出し、内部メモリ33に画像データの保存を繰り返し、Mコマに達した時点で、システム制御部20は、画像比較合成部11、画像加算部14によって、合成画像1〜合成画像3を生成する。1〜Mコマ目と、M+1〜2Mコマ目までの画像で合成した合成画像データ1同士、合成画像データ2同士、合成画像データ3同士を用いて、比較明合成処理を行い、ここで生成された比較明合成画像を、内部メモリ33に記録する(S23)。合成前の合成画像データ1〜3は内部メモリ33より削除する。さらに、内部メモリ33に記録されたMコマの合成処理前の画像データを消去し、空いた記録領域を次のMコマ(2M+1〜3M)の画像データの保存領域とする。
次に、図4を用いて、ステップ21におけるゲイン印加・加算・比較明合成処理によるブラケット合成画像データの生成にあたって、背景の明るさを一定とし、光跡の明るさを基準、オーバ、アンダとするブラケット合成画像の生成を説明する。
露光時間Tで読み出した画像データを比較明合成した画像データを基準の露出として、−1段、0段、+1段を生成するためには、図4に示すように、連続的に順次読み出した4コマの画像データRAW1〜RAW4に対して、下記の3通りの合成方法の組合せで画像データを生成する。
−1段:合成画像データ4:合成画像データ4=0.5×(RAW1+RAW2+RAW3+RAW4)
0段:合成画像データ5=比較明合成{(RAW1+RAW2),(RAW3+RAW4)}
+1段:合成画像データ6=比較明合成{2×RAW1,2×RAW2,2×RAW3,2×RAW4}
但し、比較明合成(RAW1,RAW2,・・・RAWn)は、既述の画像比較合成部11における比較明合成データの生成処理と同様にして、RAW1からRAWnまで順次に累積的に比較明合成画像データを生成することによって得られた合成画像データを示し、(RAW1+RAW2+・・・+RAWn)はRAW1からRAWnを加算合成して得られた合成画像データを示す。
すなわち、合成画像4は、画像加算合成部14によってRAW1〜RAW4の画像データの加算合成処理を行って生成した画像に、ゲイン印加部15によって0.5倍の乗算を施した画像である。また、合成画像5は、RAW1とRAW2を加算した加算画像と、RAW3とRAW4を加算した加算画像を用いて、画像比較合成部11によって比較明合成し、この比較明合成画像にゲイン印加部15によって1倍の乗算を施した画像である。また、合成画像6は、画像比較合成部11によってRAW1〜RAW4に対して比較明合成処理を行った後に、ゲイン印加部15によって2を乗算した画像である。したがって、合成画像4〜6の背景の明るさはいずれも基準露出の明るさとなる。一方、合成画像4の光跡の明るさは基準露出の1/2倍であり、合成画像6の光跡の明るさは基準露出の2倍となる。なお、合成画像データ5を得るにあたって、ゲイン印加部15によって1倍の乗算処理を行っているが、この乗算処理を省略してもよい。また、ゲイン印加部15のゲイン(係数)は、×0.5、×1、×2の組合せ以外にも、例えば、合成画像4の生成時には×1、合成画像5の生成時には×2、合成画像6の生成時には×4等、任意のゲイン値を乗算してもよい(後述する図5の例も同様)。
基準となる露光時間Tで読み出した画像データの合成画像データは、合成画像データ5に相当するので、合成前の1コマの露出時間TmをT/2に設定し、(RAW1+RAW2)および(RAW3+RAW4)の合計露光時間がTとなるようにする。また、−1段、0段、+1段の3パターンの合成画像データを生成するための合成コマMは4に設定する。
なお、図4に示した光跡の明るさを変えるブラケット合成データの生成においては、加算合成処理または比較明合成処理を行った後に、ゲイン印加部15によって係数を乗算していた。しかし、図5に示すように、先にゲインを印加した後、加算合成処理または比較明合成処理を行うようにしてもよい。
すなわち、図5において、合成画像4は、ゲイン印加部15によってRAW1〜RAW4のそれぞれに0.5倍の乗算を施し、この乗算を施した画像に対して加算合成処理を行って生成した画像である。また、合成画像5は、RAW1とRAW2を加算した加算画像と、RAW3とRAW4を加算した加算画像に対して、ゲイン印加部15によって1倍の乗算を施し、これらの画像に対して画像比較合成部11によって比較明合成した画像である。また、合成画像6は、ゲイン印加部15によって2を乗算した後に、画像比較合成部11によって比較明合成処理した画像である。
なお、合成画像データ4〜6を生成するにあたって、いずれの合成画像データに対しても、加算合成処理または比較明合成処理を行った後に、係数を乗算し、または係数を乗算した後に、加算合成処理または比較明合成処理を行っていた。しかし、合成画像データ毎に異なる組み合わせを採用してもよい。
撮影シーケンスについては、背景の露出をブラケット合成画像データの生成時と同様の処理を行い、画像データの合成方法(図2のS21における処理)については、図4に従う合成処理を行うことで光跡の明るさを−1段、0段、+1段とするブラケット合成画像データの生成が可能となる。
また、図3、4に示すように、基準となる合成画像データ2、5の合成処理にあたって、露光時間Tは同じであるため、一度の撮影で背景と光跡の両方を、−1段、0段、+1段に変化させたブラケット撮影を行うことも可能である。すなわち、ステップS21において、両方の画像処理を実行すればよい。図6に背景および光跡の明るさをブラケット合成した合成画像の例を示す。ここで、図6(a)は背景の明るさを一定とし、光跡の明るさをブラケット合成した例であり、図6(b)は光跡の明るさを一定とし、背景の明るさをブラケット合成した例である。
以上の本実施形態の説明においては、ブラケット合成として、露出を、−1段、0段、+1段(1/2倍、1倍、2倍)の3パターンとしていた。しかし、これに限らず、露出パターンを変えることができる。例えば、露出を1/3倍,1倍,3倍でブラケット合成する例について説明する。この場合は、ステップS7の合成コマ数Mを9とする。
背景の露出を3パターン、すなわち、光跡の明るさを一定とし、背景の明るさを1/3倍、1倍、3倍にするには、下記のようなブラケット合成を行う。
1/3倍:合成画像データ1
=比較明合成(RAW1,RAW2,RAW3,RAW4,RAW5,RAW6,RAW7,RAW8,RAW9)
1倍:画像合成データ2
=比較明合成{(RAW1+RAW2+RAW3),(RAW4+RAW5,RAW6),(RAW7+RAW8+RAW9)}
3倍:画像合成データ3
=RAW1+RAW2+RAW3+RAW4+RAW5+RAW6+RAW7+RAW8+RAW9
次に、光跡の露出を3パターン、すなわち、背景の明るさを一定とし、光跡の明るさを1/3倍、1倍、3倍にするには、下記のようなブラケット合成を行う。
1/3倍:合成画像データ4
=1/3×(RAW1+RAW2+RAW3+RAW4+RAW5+RAW6+RAW7+RAW8+RAW9)
1倍:合成画像データ5
=比較明合成{(RAW1+RAW2+RAW3),(RAW4+RAW5,RAW6),(RAW7+RAW8+RAW9)}
3倍:合成画像データ6
=比較明合成(3×RAW1,3×RAW2,3×RAW3,3×RAW4,3×RAW5,3×RAW6,3×RAW7,3×RAW8,3×RAW9)
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、イメージセンサ4から読み出された画像信号を基に生成されたMコマの画像データ全てを画像加算合成部14により加算合成し第1合成画像データを生成している(図3の合成画像3参照)。また、イメージセンサ4から連続的に読み出されたMコマの画像データのうちNコマの画像データを加算合成部14により加算合成した加算合成画像データをNコマ合成し、このNコマの加算合成データ全てを画像比較合成部11により比較明合成し第2合成画像データを生成している(図3の合成画像2参照)。さらに、イメージセンサ4から読み出された画像信号を基に生成されたMコマの画像データ全てを画像比較合成部11により比較明合成し第3合成画像データを生成している(図3の合成画像1参照)。ここで、M、Nは正の整数であり、MはNの2乗の関係で表せ、Nは2以上の正の整数である。このように、本実施形態においては、バルブ撮影中に、明るさの異なるブラケット合成画像を生成している。このためブラケット合成画像の中から画像を選択可能であることから、難易度の高いバルブ撮影の露出失敗を防止し、撮影者の意図に沿った写真の撮影を可能としている。
また、本発明の一実施形態においては、メージセンサから読み出された複数コマの画像データに任意のゲイン値を乗算するゲイン印加部15を有し、イメージセンサ4から読み出された画像信号を基に生成されたMコマの画像データ全てを画像加算合成部14により加算合成して合成画像データを生成し、ゲイン印加部15により合成画像データに任意のゲイン値を乗算して第1合成画像データを生成している(図4の合成画像4)。また、メージセンサ4から読み出された画像信号を基に生成されたMコマの画像データのうちNコマの画像データを画像加算合成部14により加算合成した加算合成画像データをNコマ合成し、Nコマの加算合成データ全てを画像比較合成部11により比較明合成して第1比較明合成データを生成し、ゲイン印加部15により第1比較明合成データに任意のゲイン値を乗算して第2合成画像データを生成している(図4の合成画像5参照)。さらに、イメージセンサ4から読み出された画像信号を基に生成されたMコマの画像データ全てを画像比較合成部11により比較明合成して第2比較明合成データを生成し、ゲイン印加部15により第2比較明合成データに任意のゲイン値を印加して第3合成画像データを生成している(図4の合成画像6参照)。M、Nは正の整数であり、MはNの2乗の関係で表せ、Nは2以上の正の整数である。このように、本実施形態においては、バルブ撮影中に、明るさの異なるブラケット合成画像を生成している。このためブラケット合成画像の中から画像を選択可能であることから、難易度の高いバルブ撮影の露出失敗を防止し、撮影者の意図に沿った写真の撮影を可能としている。
なお、本発明の一実施形態においては、基準の露出となる画像に対して、オーバ露出の画像とアンダ露出の画像をそれぞれ1画像ずつ生成していた。しかし、これに限らず、加算処理とゲイン印加処理を組み合わせて、段差の異なるオーバ露出とアンダ露出の画像を2画像以上生成するようにしても勿論かまわない。
また、本発明の一実施形態においては、バルブ撮影中に比較明合成画像を生成すると共に、ブラケット合成画像を同時に生成していた。しかし、ブラケット合成画像は、撮影終了後にユーザが意図する露出の画像を選択する際に使用することから、露出時間Tm毎に読み出された画像データを全て内部メモリ33に保存しておき、撮影終了後にブラケット合成画像を生成するようにしてもよい。また、ブラケット合成画像の生成はカメラに限らずPC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器で行ってもよい。
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォーンや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、撮影中に繰り返し画像データを読み出すことが可能な機器であれば、本発明を適用することができる。
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。