JP2017096638A - ステアリング装置用の試験機及びステアリング装置の試験方法 - Google Patents

ステアリング装置用の試験機及びステアリング装置の試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】左右の車輪を同方向又は逆方向のいずれにも転舵することができるステアリング装置の転舵特性や、このステアリング装置を構成する連結機構等の内部部品の耐久性の試験を簡便に、かつ、実車への搭載状態に即して行うこと。
【解決手段】左右の車輪を転舵するステアリング装置100のラックバー101、102の左右の端部に着脱自在に設けられ、このラックバー101、102に、その軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向への負荷を与える負荷装置6、9、11と、前記ラックバー101、102に設けられ、このラックバー101、102の軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向に負荷された荷重を測定する荷重変換器8、10、12と、ラックバー101、102を結合又は分離状態のいずれかの状態とする連結機構109を切り替える切り替え手段13と、を備えたステアリング装置100用の試験機を構成する。
【選択図】図9

Description

この発明は、車両の車輪を左右に独立して転舵することができるステアリング装置の試験機及びステアリング装置の試験方法に関する。
車両に搭載されるステアリング装置は、この車両の左右の車輪を左右に転舵するためのものである。一般的なステアリング装置は、この左右の車輪を同方向に転舵する共通の1本のラックを備えている。このステアリング装置が、所定の転舵特性や耐久性を備えているかどうか確認するために、例えば特許文献1〜3に示す試験機を用いて試験が行われる。
特許文献1に示す試験装置は、ステアリングホイールに回転力を入力するモータと、パワーステアリング装置のピニオンに作用する捩りトルクを検出するトルクセンサと、モータの回転角を検出する角度センサとを備えている。モータを作動して、所定のトルクとなる回転角度を自動的に記憶しておき、この記憶された角度範囲内でモータを繰り返し作動させて耐久性試験を行う。
特許文献2に示す試験装置は、操舵トルクを検出するトルクセンサと、舵取り機構に操舵補助力を与える電動モータと、トルクセンサの出力に基づいて電動モータを制御する車載コントローラとを備えた電動パワーステアリング装置に、試験装置からトルクセンサの出力信号を模擬したサインスイープ波形の試験信号を送り、前記電動モータを駆動して試験を行う。
特許文献3に示す試験装置は、パワーステアリングの出力軸を、圧力センサを介して空気圧で押圧することによって負荷を発生させ、圧力センサの出力に応じて空気圧の押圧力を制御するように構成したものである。このように制御を行うことで、脈動や振動等の変動がない一定負荷を出力軸に与えて試験を行い得るようにしている。
特開2012−93327号公報 特開2008−232724号公報 特開2000−28652号公報
小回り性能を向上するとともに、その場回転や横方向走行等の特殊走行モードを備えた車両として、出願人は、例えば図14(a)(b)に示すように、左右の車輪を同方向だけでなく逆方向にも転舵し得るステアリング装置100を提案している。このステアリング装置100は、左右の異なる方向に移動可能な一対のラックバー101、102を備えたものである。このステアリング装置100は、一対のラックバー101、102のそれぞれに噛み合うピニオンギアと、各ピニオンギアを連結又は分離したいずれかの状態とする連結機構109(図9等参照)を備えている。各ピニオンギアを連結し、一対のラックバー101、102が一体に同方向に同距離移動可能とした状態(図14(a)参照)、又は、各ピニオンギアを分離し、各ラックバー101、102が逆方向に同距離移動可能とした状態(図14(b)参照)のいずれかの状態となるように構成されている。
このように、一対のラックバー101、102を備えたステアリング装置においては、ステアリングの操作に対するそれぞれのラックバー101、102の挙動を評価しなければならない。ところが、特許文献1、2に記載の試験装置は、共通の1本のラックバーに伝えられるトルクを測定するものであり(特許文献1)、あるいは、舵取り機構に操舵補助力を与える電動モータを駆動するものであるため(特許文献2)、図14(a)(b)に示すように2本のラックバー101、102を備えたステアリング装置100の試験には適用することができない。
特許文献3に示すタイプの試験装置を一対のラックバー101、102のそれぞれに設け、各ラックバー101、102への負荷を同時に制御することによって一対のラックバー101、102を同時に検査することも考えられるが、装置構成が複雑となって、コストが嵩む恐れがある。
また、実車に搭載したステアリング装置は、その軸方向(車両の左右方向)のみならず、垂直方向(車両の上下方向)、及び水平方向(車両の前後方向)にも負荷を受けるが、特許文献1〜3に記載の試験装置では、そのような3次元的な負荷を与える試験を行うことができない。このため、実車への搭載状態に即した評価結果を得ることができない場合があるという問題がある。しかも、上記のように連結機構109を備えたステアリング装置100においては、ステアリング装置100本体の耐久性に加えて、連結機構109の連結及び分離状態における耐久性を同時に試験する必要があるが、上記各特許文献に記載の試験装置では、そのような試験を行うことができないという問題もある。
そこで、この発明は、左右の車輪を同方向又は逆方向のいずれにも転舵することができるステアリング装置100の転舵特性や、このステアリング装置100を構成する連結機構109等の内部部品の耐久性の試験を簡便に、かつ、実車への搭載状態に即して行うことを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明において、左右の車輪を転舵するステアリング装置の入力軸に設けられ、この入力軸を軸周りに回転するアクチュエータと、前記入力軸に設けられ、この入力軸の軸周りの回転角を測定する角度検出手段と、前記入力軸に設けられ、この入力軸に負荷された回転トルクを測定するトルクメータと、前記入力軸に着脱自在に設けられ、この入力軸の軸周りの回転を阻止する入力軸固定治具と、前記ステアリング装置の一対のラックバーの左右の端部に着脱自在に設けられ、この一対のラックバーに、その軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向への負荷を与える負荷装置と、前記一対のラックバーの左右の端部に着脱自在に設けられ、この一対のラックバーの移動を阻止するラックバー固定治具と、前記一対のラックバーに設けられ、この一対のラックバーの移動量を測定する位置検出手段と、前記一対のラックバーに設けられ、この一対のラックバーの軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向に負荷された荷重を測定する荷重変換器と、前記一対のラックバーを左右同方向に一体に移動可能とする結合状態と、左右逆方向に移動可能とする分離状態のいずれかの状態とする前記ステアリング装置に設けられた連結機構を、前記結合状態又は前記分離状態のいずれかの状態に切り替える切り替え手段と、を備えたステアリング装置用の試験機を構成した。
このようにラックバーの左右の端部に着脱自在に負荷装置を設けることにより、検査対象のステアリング装置が、一対のラックバーを備え、左右の車輪を同方向又は逆方向のいずれにも転舵することができるタイプの場合、あるいは一本のラックバーを備え、左右の車輪を同方向にのみ転舵するタイプの場合のいずれに対しても、その転舵特性や耐久性の試験を簡便に行うことができる。また、入力軸の回転及びラックバーの移動を阻止する固定治具をそれぞれ着脱自在に設け、入力軸の回転又はラックバーの移動をこの固定治具で固定した状態で、ラックバーを移動又は入力軸を回転する負荷を与えることにより、このステアリング装置の強度評価を容易に行うことができる。
しかも、負荷装置によって、ラックバーに、その軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向への負荷を与えるとともに、荷重変換器によって、このラックバーの軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向への負荷を測定するようにしたことにより、実車に搭載したのに近い環境において、ステアリング装置の性能変化、亀裂及び破壊の有無の調査を行うことができる。
さらに、試験の際に、切り替え手段によって連結機構の結合状態及び分離状態を切り替え可能としたことにより、ステアリング装置に設けられた連結機構の評価試験も併せて行うことができる。
前記構成においては、前記負荷装置と前記荷重変換器が、前記左右の二つのラックバーの先端に当接した状態で追従する構成とするのが好ましい。
このように構成することにより、二つのラックバーに対して常時負荷を与えつつ、その負荷の大きさを測定することができるため、一層実車に近い状態で評価を行うことができる。
前記各構成においては、前記アクチュエータが、回転モータである構成とするのが好ましい。回転モータを用いることにより、入力軸の回転制御を簡便かつ正確に行うことができ、スムーズに評価試験を進めることができる。
前記各構成においては、前記角度検出手段が、角度計である構成とするのが好ましい。角度計を用いることにより、入力軸の回転を簡便かつ正確に測定することができる。
前記構成においては、前記位置検出手段が、前記ラックバーに噛合い、このラックバーの移動とともに回転する回転センサである構成とするのが好ましい。回転センサを用いることにより、ラックバーの左右への移動量を、簡便かつ正確に測定することができる。
前記各構成においては、前記切り替え手段が、ソレノイドである構成とするのが好ましい。ソレノイドで連結機構の結合状態と分離状態を切り替えるようにすることにより、スムーズに評価試験を進めることができる。
また、この発明においては、左右の車輪を転舵するステアリング装置の入力軸に角度検出手段とトルクメータを設けるとともに、前記ステアリング装置の一対のラックバーの左右の端部に位置検出手段と、荷重変換器と、負荷装置とを設け、前記一対のラックバーを左右同方向に一体に移動可能とする結合状態と、左右逆方向に移動可能とする分離状態のいずれかの状態とする前記ステアリング装置に設けられた連結機構を前記結合状態又は前記分離状態のいずれかの状態に切り替えた上で、前記一対のラックバーに前記負荷装置で、その軸方向、垂直方向、及び水平方向に負荷を与えつつ、前記入力軸を所定の角度範囲内で往復回転させた際の前記入力軸の周りの回転角を前記角度計で、前記入力軸に負荷された回転トルクを前記トルクメータで、前記一対のラックバーの移動量を前記位置検出手段で、前記一対のラックバーに負荷された、その軸方向、垂直方向、及び水平方向への荷重を前記荷重変換器でそれぞれ測定するステアリング装置の試験方法を構成した。
左右の車輪を転舵するステアリング装置の入力軸に角度検出手段とトルクメータを設けるとともに、前記ステアリング装置の一対のラックバーの左右の端部に位置検出手段と、荷重変換器と、負荷装置とを設け、前記一対のラックバーに前記負荷装置で、その軸方向、垂直方向、及び水平方向に、予め定めた規定の、又は所定の変動範囲内で変動する負荷を与えつつ、前記入力軸を所定の角度範囲内で往復回転させた際の前記入力軸の周りの回転角を前記角度計で、前記入力軸に負荷された回転トルクを前記トルクメータで、前記一対のラックバーの移動量を前記位置検出手段で、前記一対のラックバーに負荷された、その軸方向、垂直方向、及び水平方向への荷重を前記荷重変換器でそれぞれ測定するステアリング装置の試験方法により、ステアリングを操作して入力軸を回転させたときのステアリング装置の内部部品の耐久強度(規定回数後のステアリング装置の性能変化、亀裂及び破壊の有無)に関する基礎評価を行うことができる。
また、ラックバーに対して、その軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれに、予めプログラミングした変動荷重を負荷することで、実車においてステアリング装置が受ける負荷に近い負荷を模擬的に与えることができ、実車に即した評価結果を得ることができる。
しかも、切り替え手段によって連結機構の結合状態及び分離状態を切り替え可能としたことにより、ステアリング装置の評価試験とともに、このステアリング装置に設けられた連結機構の評価試験も併せて行うことができる。
この試験方法においては、実車走行時における通常走行モードと特殊走行モードの走行比率に対応して、前記連結機構の前記結合状態及び前記分離状態の比率を決定して試験を行うのが好ましい。このようにすれば、一層実車の走行状態に即した評価試験を行うことができる。
左右の車輪を転舵するステアリング装置の入力軸にアクチュエータを、一対のラックバーの左右の端部に、その軸方向、垂直方向、及び水平方向に負荷を与える負荷装置を着脱自在に設けるとともに、ステアリング装置の連結機構を結合状態と分離状態との間で切り替える切り替え手段を設け、アクチュエータ又は負荷装置を作動させた際のこのステアリング装置の挙動をトルクメータ等で測定する構成を採用した。このように3方向から負荷を与えることで、より実車が走行時に受ける荷重に近い状態で、ラックバーに荷重が負荷される。さらに、このラックバーに負荷された軸方向、垂直方向、及び水平方向への荷重を荷重変換器で測定することにより、その負荷状態をより正確に把握することができる。
しかも、この構成を備えた試験機を用いると、ステアリング装置の構成(一対のラックバーを備えた構成、一本のラックバーを備えた構成)に関係なく、ステアリング操作に対するラックバーの挙動、ラックバーが受けた振動等によるステアリングの挙動、ステアリング装置、及び、このステアリング装置に設けられた連結機構の耐久性等の各種試験を簡便に行うことができる。このため、検査工程における作業効率を大幅に向上することができ、コスト削減に寄与することが期待される。
この発明に係る試験機(入力軸回転試験)の構成を示す正面図であって、(a)は連結機構を結合した状態、(b)は連結機構を分離した状態 この発明に係る試験機(ラックバー移動試験)の構成を示す正面図であって、(a)は連結機構を結合した状態、(b)は連結機構を分離した状態 この発明に係る試験機(正入力強度試験)の構成を示す正面図であって、(a)は連結機構を結合した状態、(b)は連結機構を分離した状態 この発明に係る試験機(逆入力強度試験)の構成を示す正面図であって、(a)は連結機構を結合した状態、(b)は連結機構を分離した状態 この発明に係る試験機(正入力耐久試験)の構成を示す正面図であって、(a)は連結機構を結合した状態、(b)は連結機構を分離した状態 この発明に係る試験機(逆入力耐久試験)の構成を示す正面図であって、(a)は連結機構を結合した状態、(b)は連結機構を分離した状態 この発明に係る試験機(3軸負荷正入力耐久試験)の構成において連結機構を結合した状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図 この発明に係る試験機(3軸負荷正入力耐久試験)の構成において連結機構を分離した状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図 この発明に係る試験機(連結機構耐久試験)の構成において連結機構を結合した状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図 この発明に係る試験機(連結機構耐久試験)の構成において連結機構を分離した状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図 ステアリング装置の連結機構を示す正面図であって、(a)は結合状態、(b)は分離状態 連結機構耐久試験のフローを示すフローチャート 実車シミュレーション耐久試験のフローを示すフローチャート 一対のラックバーを備えたステアリング装置を示す正面図であって、(a)ラックバー同士が接近した状態、(b)ラックバー同士が離れた状態
この発明に係るステアリング装置の試験機、及び試験方法は、図14(a)(b)に示すように一対のラックバー101、102を備え、左右の車輪を同方向又は逆方向のいずれの方向にも転舵することができるタイプのステアリング装置100に特に適している。以下、このタイプのステアリング装置100の構成を説明した上で、このステアリング装置100への、この発明に係る試験機及び試験方法の適用例について説明する。
このステアリング装置100は、左右の車輪を転舵するための一対のラックバー101、102を備えている。ここでは、左側の車輪に接続されるラックバーを第一ラックバー101、右側の車輪に接続されるラックバーを第二ラックバー102と称する。第一ラックバー101と第二ラックバー102は、図14(a)(b)に示すように、ラックケース103内に収容されている。第一ラックバー101と第二ラックバー102には、それぞれ同期用ラックギア101a、102aが形成されている。両同期用ラックギア101a、102aと噛み合うように、第一同期ギア104が設けられている。この第一同期ギア104は、同期用ラックギア101a、102aの歯の並列方向に沿って一定の間隔で配置された三つのギア104a、104b、104cから構成される。第一ラックバー101が入力軸からの入力によって一方向に移動すると、その動きが第一同期ギア104によって第二ラックバー102の逆方向への動きに変換される。このとき、この第一ラックバー101と第二ラックバー102の移動量は同じである。
第一同期ギア104の隣り合うギア104a、104b間、ギア104b、104c間には、それぞれ、第二同期ギア105を構成する二つのギア105a、105bが配置されている。第二同期ギア105は同期用ラックギア101a、102aには噛み合わず、第一同期ギア104のみに噛み合っている。この第二同期ギア105は、第一同期ギア104の3つのギア104a、104b、104cを、同方向に同角度だけ回転させるためのものである。この第二同期ギア105によって、第一ラックバー101と第二ラックバー102を、各ラックバー101、102の全長に亘ってスムーズに相対移動することができる。
第一ラックバー101と第二ラックバー102には、同期用ラックギア101a、102aとは別に、それぞれ転舵用ラックギア101b、102bが形成されている。第一ラックバー101の転舵用ラックギア101bには、入力軸と一体に形成された、又は接続された第一ピニオンギア106aが噛み合うとともに、第二ラックバー102の転舵用ラックギア102bには、第一ピニオンギア106aと同軸上に設けられた第二ピニオンギア106b(図11(a)(b)参照)が噛み合っている。第一ピニオンギア106aと第二ピニオンギア106bの間には、両ピニオンギア106a、106bを互いに結合及び分離することが可能な連結機構109(図9等参照)が設けられている。
この連結機構109を分離すると、第一ピニオンギア106aと第二ピニオンギア106bは相対回転可能な状態となる。この状態で入力軸1から回転力が入力されて第一ピニオンギア106aが回転すると、その回転に伴って第一ラックバー101が一方向に移動する。この移動に伴って、第一同期ギア104の作用により、第二ラックバー102が逆方向に同距離移動する。このように一対のラックバー101、102を逆方向に移動することにより、左右の車輪を互いに逆方向に転舵することができ、小回り走行や横方向移動等の特殊な走行モードを実現できる。
その一方で、この連結機構109を結合すると、第一ピニオンギア106aと第二ピニオンギア106bは相対回転不能の状態となる。この状態で入力軸1から回転力が入力されて第一ピニオンギア106aが回転すると、第一及び第二ラックバー101、102は、一体に同方向に同距離移動する。このように一対のラックバー101、102を同方向に移動することにより、通常のステアリング装置と同様に、左右の車輪を同方向に転舵することができる。
各ラックバー101、102には、各ラックバー101、102に形成された転舵用ラックギア101b、102bにそれぞれ噛合い、各ラックバー101、102の移動とともに回転する回転センサ107、108が設けられている。この回転センサ107、108の回転数を検知することによって、各ラックバー101、102の左右への移動量を測定することができる。
なお、実際のステアリング装置100には、ラックバー101、102と車輪とを接続するタイロッドを取り付けるタイロッド取り付け部からラックケース103にかけて、可動部への異物の侵入を防止するためのブーツが設けられるが、本図ではその図示を省略している。
ステアリング装置用の試験機は、図1から図10に示すように、左右の車輪を転舵するステアリング装置100の入力軸1に設けられ、この入力軸1を軸周りに回転するアクチュエータとしてのモータ2と、入力軸1に設けられ、この入力軸1の軸周りの回転角を測定する角度検出手段としての角度計3と、入力軸1に設けられ、この入力軸1に負荷された回転トルクを測定するトルクメータ4と、入力軸1に着脱自在に設けられ、この入力軸1の軸周りの回転を阻止する入力軸固定治具5(図4参照)と、ステアリング装置100のラックバー101、102の左右の端部(車輪側の端部)に着脱自在に設けられ、このラックバー101、102に負荷を与える負荷装置6と、ラックバー101、102の左右の端部に着脱自在に設けられ、このラックバー101、102の移動を阻止するラックバー固定治具7(図3参照)と、ラックバー101、102に設けられ、このラックバー101、102の移動量を測定する位置検出手段としての回転センサ107、108と、ラックバー101、102に設けられ、このラックバー101、102に負荷された荷重を測定する荷重変換器8とを備えている。
ここで、角度計3はレゾルバである。レゾルバの代わりに、エンコーダ、ホールセンサ、磁気式角度センサ、多回転角度センサ等を用いてもよい。トルクメータ4はトルク変換器である。負荷装置6はエアシリンダである。エアシリンダの代わりに、油圧シリンダ、ロボットシリンダ等を用いてもよい。荷重変換器8はロードセルである。ロードセルの代わりに、プッシュプルゲージ、ひずみ測定器等を用いてもよい。回転センサ107、108は多回転角度センサである。多回転角度センサの代わりに、レゾルバ、エンコーダ、磁気式角度センサ、ホールセンサ等を用いてもよい。
モータ2は入力軸固定治具5(図4参照)と、負荷装置6はラックバー固定治具7(図3参照)と、それぞれ適宜置き換えることができるように構成されている。
さらに、図14(a)(b)に示すステアリング装置100の試験方法について、事例をいくつか挙げて説明する。これらはあくまでも事例であって、この試験機をこれ以外の試験方法、あるいはステアリング装置(例えば、一本のラックバーを備えた構成のもの)にも適用することができる。
(1)入力軸回転試験
入力軸回転試験は、ステアリング装置100の入力軸1を回転させ、出力軸が無負荷時のステアリング装置100内の摩擦抵抗を確認する試験である。
入力軸回転試験においては、図1(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、入力軸1に接続したモータ2を一定速度で両回転方向に回転駆動してラックバー101、102を左右に移動する。その際の入力軸1の回転角を角度検出手段としての角度計3で、入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、ラックバー101、102の左右への移動量を位置検出手段としての回転センサ107、108でそれぞれ測定し、出力軸が無負荷時のステアリング装置100の摩擦抵抗を確認する。この試験では、ラックバー101、102は左右の負荷装置6、6側と接続されておらず、ラックバー101、102は無負荷の状態となっている。
連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合すると、一対のラックバー101、102は同方向に同距離移動する一方で(図1(a)参照)、連結機構109を分離すると、一対のラックバー101、102は逆方向に同距離移動する(図1(b)参照)。
(2)ラックバー移動試験
ラックバー移動試験は、ステアリング装置100の出力軸を移動させ、入力軸1が無負荷時のステアリング装置100内の摩擦抵抗を確認する試験である。
ラックバー移動試験においては、図2(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、一対のラックバー101、102の左右の端部(車輪側の端部)に荷重変換器8を介して接続した負荷装置6を駆動して、ラックバー101、102をそれぞれ左右に移動する。その際の入力軸1の回転角を角度計3で、ラックバー101、102の左右への移動量を回転センサ107、108で、ラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8でそれぞれ測定し、入力軸1が無負荷時のステアリング装置100の摩擦抵抗を確認する。この試験では、角度計3はステアリング装置100の抵抗にならないように留意して設けられる。
連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合した状態においては、一対のラックバー101、102を同方向に一定速度で移動させる一方で(図2(a)参照)、連結機構109を分離した状態においては、一対のラックバー101、102を互いに逆方向に一定速度で移動させて試験を行う(図2(b)参照)。
(3)正入力強度試験
正入力強度試験は、ステアリング装置100の出力軸を固定させ、入力軸1より過大入力トルクを静的に負荷して、ステアリング装置100の強度を確認する試験である。
正入力強度試験においては、図3(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、一対のラックバー101、102の左右の端部(車輪側の端部)をラックバー固定治具7に固定し、入力軸1に負荷された回転トルクが予め決めた規定トルク値となるように、モータ2を両回転方向に回転駆動する。その際の入力軸1の回転角を角度計3で、入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、それぞれ測定する。さらに、この規定トルク値を超えるトルクを入力軸1に負荷し、この際の入力軸1の回転角、その回転トルクを同様に測定する。これらの測定結果から、ステアリング装置100の性能変化、亀裂、破壊等の有無を判断する。この試験を、連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合した状態(図3(a)参照)、及び分離した状態(図3(b)参照)の両状態について行う。
(4)逆入力強度試験
逆入力強度試験は、ステアリング装置100の入力軸1を固定させ、出力軸より過大荷重を静的に負荷して、ステアリング装置100の強度を確認する試験である。
逆入力強度試験においては、図4(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、入力軸1を入力軸固定治具5に固定し、ラックバー101、102に負荷された荷重が予め定めた規定荷重値となるように、一対のラックバー101、102の左右の端部(車輪側の端部)に荷重変換器8を介して接続した負荷装置6を駆動する。また、ラックバー101、102の移動量を、このラックバー101、102のそれぞれに設けた回転センサ107、108で測定するとともに、ラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8で、入力軸1の回転角を角度計3で、入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、それぞれ測定する。さらに、この規定荷重値を超える荷重をラックバー101、102に負荷し、この際のラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8で、入力軸1の回転角を角度計3で、その回転トルクをトルクメータ4で同様に測定する。これらの測定結果から、ステアリング装置100の性能変化、亀裂、破壊等の有無を判断する。
連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合した状態においては、一対のラックバー101、102を同方向に移動させる一方で(図4(a)参照)、連結機構109を分離した状態においては、一対のラックバー101、102を互いに逆方向に移動させて試験を行う(図4(b)参照)。
(5)正入力耐久試験
正入力耐久試験は、ステアリング装置100の出力軸より負荷を加えて、ステアリング装置100の耐久強度を確認する試験である。
正入力耐久試験においては、図5(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、一対のラックバー101、102の左右の端部(車輪側の端部)に荷重変換器8を介して接続した負荷装置6を駆動することによって、予め定めた規定の、又は所定の変動範囲内で変動する右方向又は左方向への荷重を一対のラックバー101、102に負荷する。さらに、入力軸1に接続したモータ2を一定速度で両回転方向に回転駆動してラックバー101、102を左右に移動する。この際の入力軸1の回転角を角度計3で、入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、ラックバー101、102の左右への移動量を回転センサ107、108で、ラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8でそれぞれ測定し、規定回数後のステアリング装置100の性能変化、亀裂及び破壊の有無を調査する。
連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合した状態においては、一対のラックバー101、102を同方向に移動させる一方で(図5(a)参照)、連結機構109を分離した状態においては、一対のラックバー101、102を互いに逆方向に移動させて試験を行う(図5(b)参照)。
(6)逆入力耐久試験
逆入力耐久試験は、ステアリング装置100の繰り返し負荷に対する耐久強度を確認する試験である。
逆入力耐久試験においては、図6(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、入力軸1を入力軸固定治具5に固定し、一対のラックバー101、102の左右の端部(車輪側の端部)に荷重変換器8を介して接続した負荷装置6を駆動することによって、この一対のラックバー101、102に繰り返し荷重を負荷する。この際の入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、ラックバー101、102の左右への移動量を回転センサ107、108で、ラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8でそれぞれ測定し、規定回数後のステアリング装置100の性能変化、亀裂及び破壊の有無を調査する。
連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合した状態においては、一対のラックバー101、102を同方向に移動させる一方で(図6(a)参照)、連結機構109を分離した状態においては、一対のラックバー101、102を互いに逆方向に移動させて試験を行う(図6(b)参照)。
(7)3軸負荷正入力耐久試験
3軸負荷正入力耐久試験は、ステアリング装置100の出力軸に、軸方向、垂直方向、水平方向に負荷を加え、転舵動作時におけるステアリング装置100の内部部品の耐久強度を確認する試験である。
3軸負荷正入力耐久試験においては、図7(a)(b)及び図8(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、入力軸1にトルクメータ4及び角度計3を取り付ける。さらに、左右に独立する2本のラックバー101、102の出力軸それぞれに回転センサ107、108を取り付け、ラックバー101、102の軸方向、垂直方向、及び水平方向それぞれに荷重変換器8、10、12及び負荷装置6、9、11を取り付ける。そして、この負荷装置6、9、11を駆動することによって、予め定めた規定の、又は所定の変動範囲内で変動する右方向又は左方向への荷重を一対のラックバー101、102に負荷する。
さらに、入力軸1に接続したモータ2を一定速度で両回転方向に回転駆動してラックバー101、102を左右に移動する。この際の入力軸1の回転角を角度計3で、入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、ラックバー101、102の左右への移動量を回転センサ107、108で、ラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8、10、12でそれぞれ測定し、規定回数後のステアリング装置100の性能変化、亀裂及び破壊の有無を調査する。
連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合した状態においては、一対のラックバー101、102を同方向に移動させる一方で(図7(a)(b)参照)、連結機構109を分離した状態においては、一対のラックバー101、102を互いに逆方向に移動させて試験を行う(図8(a)(b)参照)。
(8)連結機構耐久試験
連結機構耐久試験は、ステアリング装置100の通常走行モードと特殊走行モードを切り替える連結機構109(図11(a)(b)参照)を切り替えつつ転舵操作を行い、連結機構109の耐久強度を確認する試験である。
連結機構耐久試験においては、図9(a)(b)、図10(a)(b)に示すように、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、入力軸1にトルクメータ4及び角度計3を取り付ける。さらに、左右に独立する2本のラックバー101、102の出力軸それぞれに回転センサ107、108を取り付け、ラックバー101、102の軸方向、垂直方向、及び水平方向それぞれに荷重変換器8、10、12及び負荷装置6、9、11を取り付ける。そして、この負荷装置6、9、11を駆動することによって、予め定めた規定の、又は所定の変動範囲内で変動する右方向又は左方向への荷重を一対のラックバー101、102に負荷する。
出力軸が、所定の位置(例えば、ラックバー101、102の左右移動方向の中間位置)に移動するごとに、切り替え手段13(図11(a)(b)参照)としてのソレノイド13によって、通常走行モードと特殊走行モードとの間で、連結機構109の走行モードの切り替えを行う。そして、各走行モードで出力軸を駆動した際の入力軸1の回転角を角度計3で、入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、ラックバー101、102の左右への移動量を回転センサ107、108で、ラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8、10、12でそれぞれ測定し、規定回数後のステアリング装置100及び連結機構109の性能変化、亀裂及び破壊の有無、並びに、耐久強度の基礎評価を行う。
連結機構109(図11(a)(b)参照)を結合した状態においては、一対のラックバー101、102を同方向に移動させる一方で(図9(a)(b)参照)、連結機構109を分離した状態においては、一対のラックバー101、102を互いに逆方向に移動させて試験を行う(図10(a)(b)参照)。
この連結機構109は、図11(a)(b)に示すように、入力軸1側の可動部110と、この可動部110と同軸に対向して配置される固定部111とを備えている。可動部110には固定部111側に向かう突部110aが、固定部111側にはこの突部110aと嵌合可能な受け部111aがそれぞれ形成されている。図示しないバネ等の弾性部材によって可動部110が固定部111側へ押し付けられることによって、突部110aと受け部111aは嵌合して軸周りに一体に回転する。切り替え手段としてのソレノイド13は、可動部110を固定部111に対して軸方向に相対移動させる機能を有している。このソレノイド13によって可動部110を駆動することによって、連結機構109の結合又は分離状態を適宜切り替えることができる。
連結機構耐久試験のフローを図12に示すフローチャートを用いて説明する。この連結機構耐久試験は、大きく分けて、通常走行モードでの試験工程(本図S1a〜S3b参照)、通常走行モードから特殊走行モードへの切り替え工程(本図S4a〜S6b参照)、特殊走行モードでの試験工程(本図S7a〜S9b参照)、及び、特殊走行モードから通常走行モードへの切り替え工程(本図S10a〜S12b参照)、の一連の4工程から構成される。ここでは、特殊走行モードとして、各車輪を車両の直進方向から90度転舵して、この車両を横方向に移動可能とする横方向移動モードを例示して説明する。
通常走行モードでの試験工程においては、まず、入力軸1を左方向に回転させる(本図S1a参照)。入力軸1の左方向への回転に伴って出力軸が45度の位置(可動範囲の左端)に移動したら(本図S1bのYES側)、入力軸1を右方向に回転させる(本図S2a参照)。そして、入力軸1の右方向への回転に伴って出力軸が−45度の位置(可動範囲の右端)に移動したら(本図S2bのYES側)、入力軸1を再び左方向に回転させて(本図S3a参照)、出力軸を0度の位置(通常走行モードにおける中立位置)に戻す。
出力軸が0度の位置に戻ったら(本図S3bのYES側)、連結機構109を通常走行モードから特殊走行モードに切り替える。この切り替え工程においては、まず、連結機構109の切り替え手段であるソレノイド13を作動して、連結機構109を分離させる(本図S4a参照)。連結機構109の分離状態が確認できたら(本図S4bのYES側)、入力軸1を左方向に回転させる(本図S5a参照)。入力軸1の左方向への回転に伴って出力軸が90度の位置(横方向移動モードの位置)に移動したら(本図S5bのYES側)、再びソレノイド13を作動して、連結機構109を結合させる(本図S6a参照)。
連結機構109の結合状態が確認できたら(本図S6bのYES側)、特殊走行モード(横方向移動モード)での試験工程に移る。この試験工程においては、まず、入力軸1を左方向に回転させる(本図S7a参照)。入力軸1の左方向への回転に伴って出力軸が95度の位置(可動範囲の左端)に移動したら(本図S7bのYES側)、入力軸1を右方向に回転させる(本図S8a参照)。そして、入力軸1の右方向への回転に伴って、出力軸が85度の位置(可動範囲の右端)に移動したら(本図S8bのYES側)、入力軸1を再び左方向に回転させて(本図S9a参照)、出力軸を90度の位置(横方向移動モードにおける中立位置)に戻す。
出力軸が90度の位置に戻ったら(本図S9bのYES側)、連結機構109を特殊走行モードから通常走行モードに切り替える。この切り替え工程においては、まず、ソレノイド13を作動して、連結機構109を分離させる(本図S10a参照)。連結機構109の分離状態が確認できたら(本図S10bのYES側)、入力軸1を右方向に回転させる(本図S11a参照)。入力軸1の右方向への回転に伴って出力軸が0度の位置(通常走行モードにおける中立位置)に移動したら(本図S11bのYES側)、再びソレノイド13を作動して、連結機構109を結合させる(本図S12a参照)。連結機構109の結合状態が確認できたら(本図S12bのYES側)、必要に応じて上記の通常走行モードでの試験工程(本図S1a参照)に戻って、連結機構耐久試験を継続する。
(9)実車シミュレーション耐久試験
実車シミュレーション耐久試験は、上記の入力軸回転試験、3軸負荷正入力耐久試験、及び、連結機構耐久試験を組み合わせたものであって、ステアリング装置100の通常走行モードと特殊走行モードを実車走行時における各走行モードでの走行比率に対応して切り替え、実車走行に近い状態でステアリング装置100及び連結機構109(図11(a)(b)参照)の耐久強度を確認する試験である。
実車シミュレーション耐久試験においては、図9(a)(b)、図10(a)(b)に示した連結機構耐久試験と同様に、ステアリング装置100を取付台(図示せず)に取り付けた上で、入力軸1にトルクメータ4及び角度計3を取り付ける。さらに、左右に独立する2本のラックバー101、102の出力軸それぞれに回転センサ107、108を取り付け、ラックバー101、102の軸方向、垂直方向、及び水平方向それぞれに荷重変換器8、10、12及び負荷装置6、9、11を取り付ける。そして、この負荷装置6、9、11を駆動することによって、予め定めた規定の、又は所定の変動範囲内で変動する右方向又は左方向への荷重を一対のラックバー101、102に負荷する。
負荷装置6、9、11で一対のラックバー101、102に上記の負荷を作用させつつ、まず、連結機構109を通常走行モードにして、所定回数に達するまで、入力軸1を所定角度まで左右に往復回転させる。所定回数に達したら、連結機構109を特殊走行モードに切り替えて、同様に入力軸1を所定角度まで左右に往復回転させる。この際の入力軸1の回転角を角度計3で、入力軸1に負荷された回転トルクをトルクメータ4で、ラックバー101、102の左右への移動量を回転センサ107、108で、ラックバー101、102に負荷された荷重を荷重変換器8、10、12でそれぞれ測定し、規定回数後のステアリング装置100及び連結機構109の性能変化、亀裂及び破壊の有無、並びに、耐久強度の基礎評価を行う。
実車シミュレーション耐久試験のフローを図13に示すフローチャートを用いて説明する。この実車シミュレーション耐久試験は、大きく分けて、通常走行モードでの繰り返し試験工程(本図S21a〜S24b参照)、通常走行モードから特殊走行モードへの切り替え工程(本図S25a〜S27b参照)、特殊走行モードでの繰り返し試験工程(本図S28a〜S31b参照)、及び、特殊走行モードから通常走行モードへの切り替え工程(本図S32a〜S34b参照)、の一連の4工程から構成される。ここでは、特殊走行モードとして、各車輪を車両の直進方向から90度転舵して、この車両を横方向に移動可能とする横方向移動モードを例示して説明する。
通常走行モードでの繰り返し試験の繰り返し回数Xと、特殊走行モードでの繰り返し試験の繰り返し回数Yは、実車走行時における通常走行モードと特殊走行モードの走行比率(転舵操作の比率)に対応して、適宜決定することができる。例えば、実車走行時に、通常走行モードでの操舵と特殊走行モードでの走行比率が100:1の場合、この走行比率に対応して、通常走行モードでの繰り返し回数Xを100回、特殊走行モードでの繰り返し回数Yを1回とすることができる。
通常走行モードでの繰り返し試験工程においては、まず、入力軸1を左方向に回転させる(本図S21a参照)。入力軸1の左方向への回転に伴って出力軸が45度の位置(可動範囲の左端)に移動したら(本図S21bのYES側)、入力軸1を右方向に回転させる(本図S22a参照)。そして、入力軸1の右方向への回転に伴って出力軸が−45度の位置(可動範囲の右端)に移動したら(本図S22bのYES側)、通常走行モードにおける入力軸1の左右への操舵回数と、予め決めた繰り返し回数Xとを比較し、繰り返し回数Xよりも操舵回数の方が小さい場合は(本図S23のNO側)、通常走行モードでの繰り返し試験を継続する。
この一方で、操舵回数が繰り返し回数X以上となった場合は(本図S23のYES側)、入力軸1を左方向に回転させて(本図S24a参照)、出力軸を0度の位置(通常走行モードにおける中立位置)に戻す。そして、出力軸が0度の位置に戻ったら(本図S24bのYES側)、連結機構109を通常走行モードから特殊走行モードに切り替える。この切り替え工程においては、まず、連結機構109の切り替え手段であるソレノイド13を作動して、連結機構109を分離させる(本図S25a参照)。連結機構109の分離状態が確認できたら(本図S25bのYES側)、入力軸1を左方向に回転させる(本図S26a参照)。入力軸1の左方向への回転に伴って出力軸が90度の位置(横方向移動モードにおける中立位置)に移動したら(本図S26bのYES側)、再びソレノイド13を作動して、連結機構109を結合させる(本図S27a参照)。
連結機構109の結合状態が確認できたら(本図S27bのYES側)、特殊走行モードでの繰り返し試験工程に移る。この繰り返し試験工程においては、まず、入力軸1を左方向に回転させる(本図S28a参照)。入力軸1の左方向への回転に伴って出力軸が95度の位置(可動範囲の左端)に移動したら(本図S28bのYES側)、入力軸1を右方向に回転させる(本図S29a参照)。そして、入力軸1の右方向への回転に伴って、出力軸が85度の位置(可動範囲の右端)に移動したら(本図S29bのYES側)、特殊走行モードにおける入力軸1の左右への操舵回数と、予め決めた繰り返し回数Yとを比較し、繰り返し回数Yよりも操舵回数の方が小さい場合は(本図S30のNo側)、特殊走行モードでの繰り返し試験を継続する。
この一方で、操舵回数が繰り返し回数Y以上となった場合は(本図S30のYES側)、入力軸1を左方向に回転させて(本図S31a参照)、出力軸を90度の位置(横方向移動モードにおける中立位置)に戻す。そして、出力軸が90度の位置に戻ったら(本図S31bのYES側)、連結機構109を特殊走行モードから通常走行モードに切り替える。この切り替え工程においては、まず、連結機構109の切り替え手段であるソレノイド13を作動して、連結機構109を分離させる(本図S32a参照)。連結機構109の分離状態が確認できたら(本図S32bのYES側)、入力軸1を右方向に回転させる(本図S33a参照)。入力軸1の右方向への回転に伴って出力軸が0度の位置(通常走行モードにおける中立位置)に移動したら(本図S33bのYES側)、再びソレノイド13を作動して、連結機構109を結合させる(本図S34a参照)。連結機構109の結合状態が確認できたら(本図S34bのYES側)、必要に応じて上記の通常走行モードでの繰り返し試験工程に戻って、実車シミュレーション耐久試験を継続する(本図S21a参照)。
上記のステアリング装置用の試験機、及び、ステアリング装置の試験方法はあくまでも例示である。左右の車輪を同方向又は逆方向のいずれにも転舵することができるステアリング装置の転舵特性や、このステアリング装置を構成する連結機構等の内部部品の耐久性の試験を簡便に、かつ、実車への搭載状態に即して行う、というこの発明の課題を解決し得る限りにおいて、本試験機又は試験方法の構成に適宜変更を加えることは許容される。
1 入力軸
2 アクチュエータ(モータ)
3 角度検出手段(角度計)
4 トルクメータ
5 入力軸固定治具
6、9、11 負荷装置
7 ラックバー固定治具
8、10、12 荷重変換器
13 切り替え手段(ソレノイド)
100 ステアリング装置
101、102 ラックバー
103 ラックケース
104(104a、104b、104c) 第一同期ギア
105(105a、105b) 第二同期ギア
106a 第一ピニオンギア
106b 第二ピニオンギア
107、108 位置検出手段(回転センサ)
109 連結機構
110 可動部
110a 突部
111 固定部
111a 受け部

Claims (8)

  1. 左右の車輪を転舵するステアリング装置(100)の入力軸(1)に設けられ、この入力軸(1)を軸周りに回転するアクチュエータ(2)と、
    前記入力軸(1)に設けられ、この入力軸(1)の軸周りの回転角を測定する角度検出手段(3)と、
    前記入力軸(1)に設けられ、この入力軸(1)に負荷された回転トルクを測定するトルクメータ(4)と、
    前記入力軸(1)に着脱自在に設けられ、この入力軸(1)の軸周りの回転を阻止する入力軸固定治具(5)と、
    前記ステアリング装置(100)の一対のラックバー(101、102)の左右の端部に着脱自在に設けられ、この一対のラックバー(101、102)に、その軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向への負荷を与える負荷装置(6、9、11)と、
    前記一対のラックバー(101、102)の左右の端部に着脱自在に設けられ、この一対のラックバー(101、102)の移動を阻止するラックバー固定治具(7)と、
    前記一対のラックバー(101、102)に設けられ、この一対のラックバー(101、102)の移動量を測定する位置検出手段(107、108)と、
    前記一対のラックバー(101、102)に設けられ、この一対のラックバー(101、102)の軸方向、垂直方向、及び水平方向のそれぞれの方向に負荷された荷重を測定する荷重変換器(8、10、12)と、
    前記一対のラックバー(101、102)を左右同方向に一体に移動可能とする結合状態と、左右逆方向に移動可能とする分離状態のいずれかの状態とする前記ステアリング装置(100)に設けられた連結機構(109)を、前記結合状態又は前記分離状態のいずれかの状態に切り替える切り替え手段(13)と、
    を備えたステアリング装置用の試験機。
  2. 前記負荷装置(6、9、11)と前記荷重変換器(8、10、12)が、前記左右2つのラックバーに当接した状態で追従し得るようにした請求項1に記載のステアリング装置用の試験機。
  3. 前記アクチュエータ(2)が、回転モータ(2)である請求項1又は2に記載のステアリング装置用の試験機。
  4. 前記角度検出手段(3)が、角度計(3)である請求項1〜3のいずれか1項に記載のステアリング装置用の試験機。
  5. 前記位置検出手段(107、108)が、前記ラックバー(101、102)に噛合い、このラックバー(101、102)の移動とともに回転する回転センサ(107、108)である請求項1〜4のいずれか1項に記載のステアリング装置用の試験機。
  6. 前記切り替え手段(13)が、ソレノイド(13)である請求項1〜5のいずれか1項に記載のステアリング装置用の試験機。
  7. 左右の車輪を転舵するステアリング装置(100)の入力軸(1)に角度検出手段(3)とトルクメータ(4)を設けるとともに、前記ステアリング装置(100)の一対のラックバー(101、102)の左右の端部に位置検出手段(107、108)と、荷重変換器(8、10、12)と、負荷装置(6、9、11)とを設け、前記一対のラックバー(101、102)を左右同方向に一体に移動可能とする結合状態と、左右逆方向に移動可能とする分離状態のいずれかの状態とする前記ステアリング装置(100)に設けられた連結機構(109)を前記結合状態又は前記分離状態のいずれかの状態に切り替えた上で、前記一対のラックバー(101、102)に前記負荷装置(6、9、11)で、その軸方向、垂直方向、及び水平方向に負荷を与えつつ、前記入力軸(1)を所定の角度範囲内で往復回転させた際の前記入力軸(1)の周りの回転角を前記角度計(3)で、前記入力軸(1)に負荷された回転トルクを前記トルクメータ(4)で、前記一対のラックバー(101、102)の移動量を前記位置検出手段(107、108)で、前記一対のラックバー(101、102)に負荷された、その軸方向、垂直方向、及び水平方向への荷重を前記荷重変換器(8、10、12)でそれぞれ測定するステアリング装置の試験方法。
  8. 実車走行時における通常走行モードと特殊走行モードの走行比率に対応して、前記連結機構(109)の前記結合状態及び前記分離状態の比率を決定して試験を行う請求項7に記載のステアリング装置の試験方法。
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