JP2017096429A - 変速機 - Google Patents

変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP2017096429A
JP2017096429A JP2015230143A JP2015230143A JP2017096429A JP 2017096429 A JP2017096429 A JP 2017096429A JP 2015230143 A JP2015230143 A JP 2015230143A JP 2015230143 A JP2015230143 A JP 2015230143A JP 2017096429 A JP2017096429 A JP 2017096429A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ratio
shift
clutch
speed
switching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015230143A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6310900B2 (ja
Inventor
剛 歳實
Go Toshizane
剛 歳實
博基 石垣
Hiroki Ishigaki
博基 石垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2015230143A priority Critical patent/JP6310900B2/ja
Publication of JP2017096429A publication Critical patent/JP2017096429A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6310900B2 publication Critical patent/JP6310900B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

【課題】主変速機構に連結する副変速機構が選択的に切り替わる変速機において、切替レシオを跨いで現変速レシオから目標変速レシオへ変速するのに要する変速時間を大幅に短縮することが可能な変速機を提供する。
【解決手段】キックダウン開始時の現変速レシオR1に係るエンジン回転数N11と、切替レシオR0上の現車速V1に対応するエンジン回転数N01との差回転である第1偏差量ΔN1が所定の第1閾値ΔN1thより大きい場合は、ドライブ側クラッチの繋ぎ替えを開始して変速を開始するようにする。上記クラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスはイナーシャ相から介してトルク相へ変化するように、締結状態にある第2クラッチでは油圧を急激に下げて素早くクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にある第1クラッチでは油圧を徐々に上げてクラッチ要素間を滑らせながら徐々に締結状態になるようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は、主変速機構と複数の副変速機構とから構成された変速機に関し、より詳細には主変速機構における入出力経路(駆動/従動関係)並びに主変速機構に組み合わされる副変速機構が選択的に切り替わるように構成された変速機に関するものである。
主変速機構が第1プーリ及び第2プーリから成るベルト式無段変速機によって構成されると共に駆動力が入力される入力軸がプーリ回転軸間に平行に配置された平行軸式変速機であって、プーリの入力側(ドライブ側)及び出力側(ドリブン側)に、ギヤ対から成る副変速機構がそれぞれ配置された無段変速機(例えば、特許文献1を参照。)が知られている。
ドライブ側の2つの副変速機構は、両振り式の同期係合装置を挟んで入力軸に対し相対回転可能に配置され、選択的に入力軸に一体化されるように構成されている。他方、ドリブン側の2つの副変速機構は、片振り式の同期係合装置を介して第1プーリ回転軸または第2プーリ回転軸に対し相対回転可能に配置され、選択的に第1プーリ回転軸または第2プーリ回転軸に一体化されるように構成されている。従って、ドライブ側の両振り式の同期係合装置を繋ぎ替えると共に、ドリブン側の片振り式の同期係合装置を繋ぎ替えることにより、主変速機構における入出力系統(駆動/従動関係)が選択的に切り替わると共に、主変速機構に組み合わされる副変速機構が選択的に切り替わる。
上記無段変速機では全体の変速比(オーバーオールレシオ)は、主変速機構の変速比(プーリレシオ)と副変速機構における変速比(ギヤレシオ)とが掛け合わされた値となる。従って、主変速機構の駆動/従動関係が選択的に切り替わると共に副変速機構が選択的に切り替わることにより、特許文献1の図10に示されるように、駆動/従動関係が固定された従来の無段変速機に比べ、レシオのロー端(LOW端)及びオーバードライブ端(OD端)が共に拡大され、これにより全体の変速比が従来の無段変速機に比べ拡大されることになる。また、上記無段変速機は、副変速機構として減速ギヤが選択されるときの低速モード(LOWモード)と、副変速機構として増速ギヤが選択されるときの高速モード(HIGHモード)という2つの変速モードを有し、低速度域でのスムーズな発進・加速、ならびに高速度域におけるエンジン回転数をより低く抑えた低燃費状態でのクルーズ走行を可能としている。
また、上記無段変速機ではLOWモードとHIGHモードとの境界に相当するレシオ(切替レシオ)近傍では、締結される同期係合装置のクラッチ要素間の差回転がゼロ又はゼロ近傍に収束するように設定されている。従って、同期係合装置の締結時の締結ショックを低減するために、HIGHモードからLOWモードへ或いはLOWモードからHIGHモードへの切り替えは切替レシオ上で行われる。
国際公開第2013/175568号
例えば車両がHIGHモードで走行中に運転者がアクセルペダルを大きく或いは急激に踏み込んだ場合、変速機を制御する電子制御ユニットは一定条件下で現変速レシオをより大きい変速レシオ(目標変速レシオ)に移行する、いわゆるキックダウンモードを実施する。
図11は、従来の無段変速機に係るキックダウンモードでの変速プロセスを示すグラフである。なお、グラフの詳細については図4を参照しながら後述するため、ここでは省略することとする。
図11に示されるように、電子制御ユニットは先ずHIGHモード上でプーリレシオを連続的に変える、いわゆる通常のプーリ変速によって変速レシオをキックダウン開始時の変速点R11から切替レシオR0上の変速点R01まで変速させる。次に、ドライブ側及びドリブン側の同期係合装置をそれぞれ繋ぎ替えることによって切替レシオR0上の変速点R01から変速点06まで、いわゆる飛び変速する。次に、電子制御ユニットは通常のプーリ変速によって切替レシオR0上の変速点R04から目標変速レシオR2上の目標変速点R21まで変速する。
しかし、上記無段変速機のように、切替レシオ上でドライブ側及びドリブン側の同期係合装置をそれぞれ繋ぎ変える場合、変速点R11から切替レシオ上の変速点03までは通常のプーリ変速による変速プロセスが必要となる。その結果、切替レシオを跨いでキックダウン開始時の現変速レシオR1から目標変速レシオR2へ変速するのに時間を要するという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、主変速機構に組み合わされる副変速機構が選択的に切り替わる変速機において、切替レシオを跨いで現変速レシオから目標変速レシオへ変速するのに要する変速時間を大幅に短縮することが可能な変速機を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る変速機では、駆動源(2)から伝達される駆動力の大部分が通過する主変速機構(20)と、該主変速機構(20)の入力側または出力側にそれぞれ配置され、前記駆動力が選択的に通過する複数の副変速機構(51、52、54、55)と、前記入力側に配置された前記副変速機構(51、52)を介し前記駆動源(2)から前記主変速機構(20)へ前記駆動力を伝達する複数の入力経路(IP1、IP2)と、該入力経路(IP1、IP2)と前記駆動源(2)とをそれぞれ繋ぐ複数の入力側クラッチ機構(61、62)と、前記出力側に配置された前記副変速機構(54、55)を介し前記主変速機構(20)から差動機構(5)へ前記駆動力を伝達する複数の出力経路(OP1、OP2)と、該出力経路(OP1、OP2)と前記主変速機構(20)とをそれぞれ繋ぐ複数の出力側クラッチ機構(63,64)と、前記入力側クラッチ機構(61、62)および前記出力側クラッチ機構(63、64)を駆動する油圧回路(4)と、前記油圧回路(4)を制御する制御装置(10)とを備えた変速機(3)であって、前記制御装置(10)は、低速度域に係る変速レシオを規定する低速モード(LOWモード)及び高速度域に係る変速レシオを規定する高速モード(HIGHモード)、並びに該低速モードと該高速モードが相互に切り替わる変速レシオを規定する切替レシオ(R0)をそれぞれ有し、前記切替レシオ(R0)から所定以上離れた現変速レシオ(R1)から該切替レシオ(R0)を跨いで目標変速レシオ(R2)まで変速する際、前記現変速レシオ(R1)上の変速開始点(R11)において前記入力側クラッチ機構(61、62)および前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えを開始するように構成されていることを特徴とする。
上記構成では、切替レシオ(R0)から所定以上離れた現変速レシオ(R1)から該切替レシオ(R0)を跨いで目標変速レシオ(R2)まで変速する際、現変速レシオ(R1)において入力側クラッチ機構(61、62)間および出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えを開始して目標変速レシオ(R2)へ変速するように制御装置(10)が構成されている。上記クラッチ機構の繋ぎ替えは、同時に入力側の副変速機構(51、52)の切替え又は出力側の副変速機構(54、55)の切替えを伴う。これにより、少なくとも、主変速機構(20)のみを駆動して現変速レシオ(R1)から切替レシオ(R0)まで変速する通常のプーリ変速プロセスが不要となる。場合によっては、切替レシオ(R0)から目標変速レシオ(R2)まで変速する通常のプーリ変速プロセスも不要となる。これにより、切替レシオ(R0)を跨いで現変速レシオ(R1)から目標変速レシオ(R2)へ変速するのに要する変速時間を大幅に短縮することが可能となる。すなわち、切替レシオを跨いで現変速レシオ(R1)から目標変速レシオ(R2)へ変速する変速応答性が向上するようになる。
本発明の第2の特徴は、前記制御装置(10)は、前記現変速レシオ(R1)に係る前記駆動源の現回転数(N11)と、該現回転数(N11)に係る現車速(V1)に対応する前記切替レシオ(R0)上の回転数(N01)との差回転(ΔN1)を第1閾値(ΔN1th)に基づいて判定し、該差回転(ΔN1)が該第1閾値(ΔN1th)よりも大きい場合は、前記変速開始点(R11)において前記入力側クラッチ機構(61、62)および前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えを開始するように構成されていることである。
上記構成では、上記差回転(ΔN1)が予め設定した第1閾値(ΔN1th)よりも大きい場合に限り、上記クラッチ機構の繋ぎ替えを開始して現変速レシオ(R1)から目標変速レシオ(R2)へ変速するように制御装置(10)が構成されている。その結果、通常の変速プロセスよりも却って時間を要する不要な上記クラッチ機構の繋ぎ替えが行われることを防止し、これにより変速応答性が低下することを好適に防止する。
本発明の第3の特徴は、前記制御装置(10)は、前記目標レシオ(R2)に係る前記駆動源の目標回転数(N21)と、該目標回転数(N21)に係る目標車速(V2)に対応する前記切替レシオ(R0)上の回転数(N02)との差回転(ΔN2)を第2閾値(ΔN2th)に基づいて判定し、該差回転(ΔN2)が該第2閾値(ΔN2th)よりも小さい場合は、前記入力側クラッチ機構(61、62)および前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えを前記切替レシオ(R0)上で完了し、その後前記主変速機構(20)を駆動して前記目標変速レシオ(R2)まで変速するように構成されていることである。
上記構成では、上記差回転(ΔN2)が予め設定した第2閾値(ΔN2th)よりも小さい場合は、上記クラッチ機構の繋ぎ替えを切替レシオ(R0)上で完了し、その後切替レシオ(R0)から目標変速レシオ(R2)までは主変速機構(20)を駆動して変速するように制御装置(10)が構成されている。その結果、通常の変速プロセスよりも却って時間を要する不要な上記クラッチ機構の繋ぎ替えが行われることを防止し、これにより変速応答性が低下することを好適に防止する。
本発明の第4の特徴は、前記制御装置(10)は、前記目標レシオ(R2)に係る前記駆動源の目標回転数(N21)と、該目標回転数(N21)に係る目標車速(V2)に対応する前記切替レシオ(R0)上の回転数(N02)との差回転(ΔN2)を第2閾値(ΔN2th)に基づいて判定し、該差回転(ΔN2)が該第2閾値(ΔN2th)よりも大きい場合は、前記入力側クラッチ機構(61、62)および前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えを前記目標変速レシオ(R2)で完了し該目標変速レシオ(R2)まで変速するように構成されていることである。
上記構成では、上記差回転(ΔN2)が予め設定した第2閾値(ΔN2th)よりも大きい場合は、上記クラッチ機構の繋ぎ替えを目標変速レシオ(R2)で完了するように制御装置(10)が構成されている。つまり、上記クラッチ機構の繋ぎ替えが完了するのと同時に、全変速レシオが目標変速レシオ(R2)にダイレクトに切り替わる。これにより、現変速レシオ(R1)から切替レシオ(R0)を跨いで目標変速レシオ(R2)まで変速する際の変速応答性が向上する。
本発明の第5の特徴は、前記制御装置(10)は、最初に実施される前記入力側クラッチ機構(61、62)または前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相からトルク相へ変化するように前記油圧回路(4)を制御するように構成されていることである。
上記構成では、最初に実行される入力側クラッチ機構または出力側クラッチ機構の繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相からトルク相へ変化するように構成されている。すなわち、変速が開始する変速点(R11)では、現変速レシオ(R1)と切替レシオ(R0)との差回転が第1閾値(ΔN1th)以上離れているため、解放状態にあるクラッチ機構ではクラッチ要素間の差回転が大きい状態にある。変速プロセスがトルク容量の大きいトルク相から開始する場合、変速ショックが大きくなる。従って、上記構成では、変速ショックを軽減しながら素早く繋ぎ替えるようにするため、クラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相から開始してトルク相へ変化するようにクラッチ機構に供給される油圧を制御している。すなわち、締結状態にあるクラッチ機構では油圧を急激に下げて素早くクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にあるクラッチ機構では油圧を徐々に上げてクラッチ要素間を滑らせながら徐々に締結状態になるようにしている。これによりクラッチ要素間の差回転が大きい場合であっても変速ショックを軽減しながらクラッチ繋ぎ替えを素早く行うことが可能となる。
本発明の第6の特徴は、前記制御装置(10)は、前記目標変速レシオ(R2)に係る前記差回転(ΔN2)が前記第2閾値(ΔN2th)よりも小さい場合、最後に実施される前記入力側クラッチ機構(61、62)または前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えに係る変速プロセスがトルク相からイナーシャ相へ変化するように前記油圧回路(4)を制御するように構成されていることである。
上記構成では、差回転(ΔN2)が第2閾値(ΔN2th)よりも小さい場合、入力側クラッチ機構または出力側クラッチ機構のうち最後に実行されるクラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスがトルク相からイナーシャ相へ変化するように構成されている。すなわち、変速が完了する変速点(R21)では、目標変速レシオ(R2)と切替レシオ(R0)との差回転が近接した状態にある。解放状態にあるクラッチ機構ではクラッチ要素間の差回転が小さい状態にある。従って、上記構成では、繋ぎ替えに係る変速プロセスがトルク相から開始してイナーシャ相へ変化するようにクラッチ機構に供給される油圧を制御している。すなわち、締結状態にあるクラッチ機構では油圧を徐々に下げてクラッチ間を徐々に滑り状態にする一方、解放状態にあるクラッチ機構では油圧を急激に上げてクラッチ容量を上げながら締結状態になるようにしている。これによりクラッチ繋ぎ替えを素早く行うことが可能となる。
本発明の第7の特徴は、前記制御装置(10)は、前記目標変速レシオ(R2)に係る前記差回転(ΔN2)が前記第2閾値(ΔN2th)よりも大きい場合、最後に実施される前記入力側クラッチ機構(61、62)または前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相からトルク相へ変化するように前記油圧回路(4)を制御するように構成されていることである。
上記構成では、差回転(ΔN2)が第2閾値(ΔN2th)よりも大きい場合、入力側クラッチ機構または出力側クラッチ機構のうち最後に実行されるクラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相からトルク相へ変化するように構成されている。すなわち、変速が完了する変速点(R21)では、目標変速レシオ(R2)と切替レシオ(R0)との差回転が第2閾値(ΔN2th)以上離れているため、解放状態にあるクラッチ機構ではクラッチ要素間の差回転が大きい状態にある。変速プロセスがトルク容量の大きいトルク相から開始する場合、変速ショックが大きくなる。従って、上記構成では、変速ショックを軽減しながら素早く繋ぎ替えるため、クラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相から開始してトルク相へ変化するようにクラッチ機構に供給される油圧を制御している。すなわち、締結状態にあるクラッチ機構では油圧を急激に下げて素早くクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にあるクラッチ機構では油圧を徐々に上げてクラッチ要素間を滑らせながら徐々に締結状態になるようにしている。これによりクラッチ要素間の差回転が大きい場合であっても変速ショックを軽減しながらクラッチ繋ぎ替えを素早く行うことが可能となる。
本発明の第8の特徴は、前記制御装置(10)は、車速(V1)、アクセルペダル開度(AP)、単位時間当たりのアクセルペダル開度変化量(ΔAP)、並びに全変速レシオに基づいて前記入力側クラッチ機構(61、62)および前記出力側クラッチ機構(63、64)の繋ぎ替えを開始して前記目標変速レシオ(R2)へ変速するように構成されていることである。
上記構成では、車速(V1)、アクセルペダル開度(AP)、単位時間当たりのアクセルペダル開度変化量(ΔAP)等に基づいて上記クラッチ機構の繋ぎ替えを開始するか否かを制御装置(10)は判断する。これにより、走行モードに応じ変速時間が短くなる最適な変速プロセスを実施することが可能となる。
本発明の変速機によれば、切替レシオを跨いで現変速レシオから目標変速レシオまで変速するのに要する変速時間を大幅に短縮することが可能となる。これにより、切替レシオを跨いで現変速レシオから目標変速レシオまで変速する際の変速応答性が向上するようになる。
本発明の一実施形態に係る変速機を備えた車両の構成例を示す概略図である。 図1に示す変速機のスケルトン図である。 エンジンから差動機構に到る動力伝達経路を示す説明図である。 本実施形態の変速機に係るキックダウンモードでの第1飛び変速モードに係る変速プロセスを示すグラフである。 本実施形態の電子制御ユニットによる飛び変速制御を示すフロー図である。 図5のステップS1に係る飛び変速適性判断を示すフロー図である。 第1飛び変速モードに係るアクセルペダル開度、プーリレシオ、オーバーオールレシオ、第1及び第2プーリ側圧、並びにドリブン側及びドライブ側クラッチ圧の各時系列変化を示すタイムチャートである。 HIGHモードからLOWモードへの飛び変速に係るリニアソレノイド弁の油圧供給対象の切替えを示す説明図である。 本実施形態の変速機に係るキックダウンモードでの第2飛び変速モードに係る変速プロセスを示すグラフである。 第2飛び変速モードに係るアクセルペダル開度、プーリレシオ、オーバーオールレシオ、第1及び第2プーリ側圧、並びにドリブン側及びドライブ側クラッチ圧の各時系列変化を示すタイムチャートである。 従来の無段変速機に係るキックダウンモードでの変速プロセスを示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る変速機3を備えた車両1の構成例を示す概略図である。
本実施形態の車両1は、駆動力を発生するエンジン2と、エンジン2から伝達される駆動力の回転数を所望の回転数に変速する変速機3と、変速機3の油圧作動機器(後述するプーリ機構20、前後進切換機構70、第1から第4クラッチ61,62,63,64及びトルクコンバータ12)を駆動する油圧を供給する油圧回路4と、変速機3から伝達される駆動力を左右の駆動輪WL,WRに分配する差動機構5と、差動機構5によって分配された各駆動力を左右の駆動輪WL,WRにそれぞれ伝達する左右のドライブシャフト6L,6Rと、左右のドライブシャフト6L,6Rによって伝達された駆動力を車両1の推進力に変換する左右の駆動輪WL,WRとを備える。
エンジン2は、内燃機関の他、電動機或いはこれらが組み合わされたハイブリッドエンジンである。
油圧回路4は、オイルストレーナ(図示せず)から作動油(オイル)を吸引して下流へ圧送する油圧ポンプ(図示せず)と、信号油圧とスプリング力との力の釣り合いによって所定の油圧に調圧するレギュレータ弁(図示せず)と、通電量に応じた油圧を供給するリニアソレノイド弁CL1−L/SOL,CL2−L/SOL(図8)と、リニアソレノイド弁の制御対象(供給先)を切り替えるオン/オフソレノイド弁(図示せず)等から構成される。
また、車両1は、エンジン2及び変速機3をそれぞれ制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10を備える。電子制御ユニット10は、複数の制御対象物に対し1つのユニットとして構成されるだけでなく、単一の制御対象物に対し1つのユニットとして構成されていても良い。例えばエンジン2を制御するためのエンジンECU、変速機3を制御するためのAT−ECUなどのように、単一の制御対象物に対し1つのユニットとして構成されていても良い。なお、本実施形態の電子制御ユニット10は、エンジン2及び変速機3を制御する1つのユニットとして構成されている。
また、電子制御ユニット10には、制御パラメータとして、例えばアクセルペダルセンサ31から出力されるアクセルペダル開度、エンジントルクセンサ32から出力されるエンジントルク、エンジン回転センサ33から出力されるエンジン回転数、主入力軸回転センサ34から出力される主入力軸回転数、副入力軸回転センサ35から出力される副入力軸回転数、第1出力軸回転センサ36から出力される第1出力軸回転数、第2出力軸回転センサ37から出力される第2出力軸回転数、足軸トルクセンサ38から出力されるドライブシャフトトルク、車速センサ39から出力される車速、の各種計測信号等がリアルタイム又は必要に応じ入力されるようになっている。
次に、本実施形態の車両1が備える変速機3の構成を説明する。図2は、図1に示す変速機3のスケルトン図である。また、図3はエンジン2から差動機構5に到る動力伝達経路を示す説明図である。
図3に示されるように、変速機3は主変速機構としてプーリ機構20と、副変速機構としてギヤ対51,52,54,55とを備えた平行軸式変速機である。エンジン2から伝達される駆動力は、プーリ機構20の第1プーリ21とエンジン2とを連結する第1入力経路IP1を介して、或いは第2プーリ22とエンジン2とを連結する第2入力経路IP2を介して選択的にプーリ機構20へ入力される。これら入力経路の切替えは、第1クラッチ61及び第2クラッチ62のクラッチ締結状態を繋ぎ替えることにより行われる。なお、ここで言う「クラッチ締結状態を繋ぎ替える」とは、締結状態にあるクラッチを解放状態にする一方、解放状態にあるクラッチを締結状態にすることを意味している。
他方、プーリ機構20を通過した駆動力は、プーリ機構20の第2プーリ22と差動機構5とを連結する第1出力経路OP1を介して、或いは第1プーリ21と差動機構5とを連結する第2出力経路OP2を介して選択的に差動機構5に出力される。これら出力経路の切替えは、第3クラッチ63及び第4クラッチ64のクラッチ締結状態を繋ぎ替えることにより行われる。また、以降では、プーリ機構20の入力側(上流側)をドライブ側(DR側)と呼び、出力側(下流側)をドリブン側(DN側)と呼ぶことにする。
また、例えばドライブ側クラッチ61,62のクラッチ締結状態が繋ぎ替わると、入力経路IP1,IP2が切り替わるのと同時に駆動力が通過する副変速機構51,52も同時に切り替わる。従って、以降ではドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替え、入力経路IP1,IP2の切替え、及びドライブ側副変速機構51,52の切替えは互いに同じ意味として用いることにする。同様に、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替え、出力経路OP1,OP2の切替え、及びドリブン側副変速機構54,55の切替えは互いに同じ意味として用いることにする。
このように、変速機3はプーリ機構20の上流側と下流側に副変速機構をそれぞれ備える共に、各副変速機構に対し個別にクラッチを備える。そしてドライブ側副変速機構51,52の切替え及びドリブン側副変速機構54,55の切替えは、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替え、並びにドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えによってそれぞれ行われることになる。以下、図2を参照しながら変速機3の各構成について更に説明する。
変速機3は、エンジン2のクランクシャフト16と入力軸13との間にトルクコンバータ12を備えている。従って、本実施形態に係る変速機3を備えた車両1では、発進時の半クラッチ制御はトルクコンバータ12によって行われる。変速機3は、エンジン2からトルクコンバータ12を介して接続された入力軸13と、入力軸13に対して平行に配置され内周軸14A及び外周軸14Bから成る同芯二重軸の第1出力軸14と、同じく入力軸13に対して平行に配置された第2出力軸15とを備える。
入力軸13は、エンジン2から伝達される駆動力が入力される主入力軸13Aと、主入力軸13Aと回転中心が同じで第2クラッチ62を介して連結される副入力軸13Cとから構成される。
第1出力軸14と第2出力軸15との間には、プーリ機構(主変速機構)20が配設される。プーリ機構20は、第1出力軸14に設けられた第1プーリ21と、第2出力軸15に設けられた第2プーリ22と、第1プーリ21と第2プーリ22との間に巻き掛けられた無端ベルト23とを備える。第1プーリ21及び第2プーリ22の溝幅は油圧(プーリ側圧)によって相互に逆方向に増減され、これにより第1出力軸14及び第2出力軸15間の変速比を連続的に変化させる。第1プーリ21は、第1出力軸14の外周軸14Bに固定された第1固定プーリ21Aと、第1固定プーリ21Aに対して接近・離間可能な第1可動プーリ21Bとで構成される。また、第2プーリ22は、第2出力軸15に固定された第2固定プーリ22Aと、第2固定プーリ22Aに対して接近・離間可能な第2可動プーリ22Bとで構成される。
主入力軸13Aと第1固定プーリ21Bとの間には、副入力軸13Cに相対回転可能に配設される第1駆動ギヤ51Aと、第1出力軸14の外周軸14Bに一体に配設される第1従動ギヤ51Bとから成る上述した第1副変速機構51が設けられている。第1駆動ギヤ51Aと第1従動ギヤ51Bのギヤ比は1よりも大きい。そのため、第1副変速機構51は、主入力軸13Aからの駆動力を減速させて第1固定プーリ21Bに伝達する減速ギヤ列として機能する。
また、上述した第1入力経路IP1は、主入力軸13A、第1副変速機構51及び第1出力軸14の外周軸14Bとによって構成されている。
主入力軸13Aと第2固定プーリ22Bとの間には、副入力軸13Cに相対回転可能に配設される第2駆動ギヤ52Aと、第2出力軸15に配設される第2従動ギヤ52Bとから成る上述した第2副変速機構52が設けられている。第2駆動ギヤ52Aと第2従動ギヤ52Bのギヤ比は1よりも小さい。そのため、第2副変速機構52は、主入力軸13Aからの駆動力を増速させて第2固定プーリ22Bに伝達する増速ギヤ列として機能する。
また、上述した第2入力経路IP2は、主入力軸13A、副入力軸13C、第2副変速機構52及び第2出力軸15とによって構成されている。
主入力軸13Aと第1出力軸14との間には、副入力軸13Cに相対回転可能に配設される第3駆動ギヤ53Aと、後述する第4クラッチ64に配設される第3従動ギヤ53Cと、第3駆動ギヤ53Aと第3従動ギヤ53Cとの間に配設される第3アイドルギヤ53Bとから成る第3副変速機構53が設けられている。第3アイドルギヤ53Bはアイドル軸17上に相対回転自在に支持されている。第3アイドルギヤ53Bがあることによって、上記の3つのギヤ53A,53B,53Cからなるギヤ列は、駆動力の回転方向を逆転させて伝達するギヤ列として機能する。
以降では、主入力軸13A、副入力軸13C及び第3副変速機構53とから成る動力伝達経路を第3入力経路IP3と呼ぶことにする。
第2可動プーリ22Aと差動機構5との間には、第2出力軸15に配設される中間駆動ギヤ54Aと、第1出力軸14の内周軸14Aに配設される中間従動ギヤ54Cと、中間駆動ギヤ54Aと中間従動ギヤ54Cとの間に配設される中間アイドルギヤ54Bと、最終駆動ギヤ26と、差動機構5の外周に形成され最終駆動ギヤに噛み合う最終従動ギヤ27とから成る上述した第4副変速機構54が設けられている。中間アイドルギヤ54Bはアイドル軸18上に相対回転自在に支持されている。ここで、図2において、中間アイドルギヤ54Bと中間従動ギヤ54Cは隣接していないが、実際には、中間アイドルギヤ54Bと中間従動ギヤ54Cとは互いに隣接し、これらは互いに噛合(係合)している。
また、上述した第1出力経路OP1は、第2出力軸15と第4副変速機構54とによって構成されている。
第1出力軸14の内周軸14Aの下流側には、最終駆動ギヤ26と、この最終駆動ギヤ26に噛み合う最終従動ギヤ27とから成る上述した第5副変速機構55が設けられている。また、上述した第2出力経路OP2は、第1出力軸14の内周軸14Aと第5副変速機構55とによって構成されている。
入力軸13の副入力軸13Cと同軸には、前後進切換機構70が配設される。前後進切換機構70は、副入力軸13Cからの駆動力を第2副変速機構52(第2入力経路IP2)に伝達するか第3副変速機構53(第3入力経路IP3)に伝達するかを選択的に切り換えるように構成されている。上述した通り、副入力軸13Cには第2駆動ギヤ52A及び第3駆動ギヤ53Aが相対回転可能に支持されており、前後進切換機構70のスリーブ71を中立位置から図中左に動かすと、第2駆動ギヤ52Aと副入力軸13Cとが結合し、駆動力が第2入力経路IP2に伝達される。一方、前後進切換機構70のスリーブ71を中立位置から図中右に動かすと、第3駆動ギヤ53Aと副入力軸13Cとが結合し、駆動力が第3入力経路IP3に伝達される。
また、上述した通り、本実施形態の変速機3は、上述したクラッチ繋ぎ替えに係る4つのクラッチ(多板摩擦クラッチ)を備えている。具体的には、エンジン2から第1入力経路IP1への動力伝達の有無を切り替える第1クラッチ61と、エンジン2から第2入力経路IP2への動力伝達の有無を切り替える第2クラッチ62と、第2プーリ22から第1出力経路OP1への動力伝達の有無を切り替える第3クラッチ63と、第1プーリ21から第2出力経路OP2への動力伝達の有無を切り替える第4クラッチ64である。
従って、第1クラッチ61及び第2クラッチ62のクラッチ締結状態を繋ぎ替えることにより、エンジン2から伝達される駆動力が入力する入力経路が第1入力経路IP1から第2入力経路IP2へ、或いは第2入力経路IP2から第1入力経路IP1へ切り替わる。
他方、第3クラッチ63及び第4クラッチ64のクラッチ締結状態を繋ぎ替えることにより、プーリ機構20から駆動力が出力される出力経路が第1出力経路OP1から第2出力経路OP2へ、或いは第2出力経路OP2から第1出力経路OP1へ切り替わる。
なお、上記ドライブ側クラッチ及びドリブン側クラッチの各繋ぎ替えは、油圧回路4から供給される油圧(作動油)によって行われ、油圧回路4は電子制御ユニット10によって制御されるようになっている。
図4は、本実施形態の変速機3に係るキックダウンモードでの第1飛び変速モードに係る変速プロセスを示すグラフである。なお、グラフの縦軸は入力側の回転数に相当するエンジン回転数(rpm)を示し、横軸は出力側の回転数に相当する車速(km/h)を示している。従って、グラフの傾きは、プーリ機構20での変速レシオ(以下、「プーリレシオ」という。)と副変速機構での変速レシオ(以下、「ギヤレシオ」という。)とが掛け合わされた全変速レシオ(オーバーオールレシオ)に相当するものである。
実線Rmaxは、全変速レシオが最大となるLOW端レシオでのエンジン回転数と車速との相関を示している。他方、実線Rminは、全変速レシオが最小となるOD端レシオでのエンジン回転数と車速との相関を示している。
また、実線Rmaxと実線Rminとの間に位置する点線R0は、上記第1から第4クラッチ61,62,63,64での各差回転がゼロ又はその近傍に収束するオーバーオールレシオ(以下、「切替レシオ」という。)でのエンジン回転数と車速との相関を示している。従って、切替レシオR0から離れるに従い、上記第1から第4クラッチ61,62,63,64での各差回転は増大する。
また、実線R0’は、第1入力経路IP1と第2出力経路OP2とがプーリ機構20の無端ベルト23を介さずに直結するオーバーオールレシオ(以下、「直結レシオR0’」という。)でのエンジン回転数と車速との相関を示している。なお、図7及び図8を参照しながら後述するが、直結レシオR0’はドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが完了する時のオーバーオールレシオでもある。
変速点R11は、キックダウンモード(以下、「キックダウン」という。)開始時における現エンジン回転数N11に対応するオーバーオールレシオR1(現変速レシオR1)上の変速点を表している。
目標変速点R21は、キックダウン完了時における目標エンジン回転数N21に対応するオーバーオールレシオR2(目標変速レシオR2)上の変速点を表している。
また、切替レシオR0上の変速点R01は、キックダウン開始時における現車速V1に対応する切替レシオR0上の変速点を表している。
変速点R0’1はドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが完了する時の直結レシオR0’上の変速点を表している。また、変速点R03はドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが完了する時の切替レシオR0上の変速点を表している。
また、変速点R02はキックダウン完了時における目標車速V2に対応する切替レシオR0上の変速点である。
実線Rmaxと切替レシオR0とによって挟まれた部分は、車両1の低速度域でのオーバーオールレシオを規定する低速モード(LOWモード)におけるエンジン回転数と車速との相関を示している。他方、切替レシオR0と実線Rminとによって挟まれた部分は、高速度域での全変速レシオを規定する高速モード(HIGHモード)におけるエンジン回転数と車速との相関を示している。
なお、低速モードでは、ドライブ側クラッチとして第1クラッチ61が締結されると共にドリブン側クラッチとして第3クラッチ63が締結される。そのため、ドライブ側副変速機構として第1副変速機構51が選択され、ドリブン側副変速機構として第4副変速機構54が選択される。そして、プーリ機構20において第1プーリ21が駆動プーリとなると共に、第2プーリ22が従動プーリとなり、トルクフローは第1プーリ21から第2プーリ22へ流れる。
高速モードでは、ドライブ側クラッチとして第2クラッチ62が締結されると共にドリブン側クラッチとして第4クラッチ64が締結される。そのため、ドライブ側副変速機構として第2副変速機構52が選択され、ドリブン側副変速機構として第5副変速機構55が選択される。そして、高速モードでは、プーリ機構20において第1プーリ21が従動プーリとなると共に、第2プーリ22が駆動プーリとなり、トルクフローは第2プーリ22から第1プーリ21へ流れる。
なお、以降では、現変速レシオR1の変速点R11においてドライブ側クラッチ61,62間およびドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えを開始して目標変速レシオR2上の目標変速点R21へ変速することを「飛び変速」と呼ぶことにする。
また、詳細については図5を参照しながら後述するが、電子制御ユニット10が飛び変速を実施する条件は、切替レシオR0上の現車速V1に対応するエンジン回転数N01と、キックダウン開始時の現変速レシオR1に係るエンジン回転数N11との差回転である第1偏差量ΔN1(=N01−N11)が第1閾値ΔN1thより大きいことである。
また、図4にて示される飛び変速は、太線にて示されるように、現変速レシオR1の変速点R11から切替レシオR上0の変速点R03まで行われる。すなわち、変速点R11から変速点R0’1まではドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが行われ、そして変速点R0’1から変速点R03まではドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが行われる。すなわち、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えは切替レシオR0上で完了する。他方、上記クラッチ繋ぎ替えが完了した後、変速点R03から目標変速レシオR2上の目標変速点R21までは、太点線にて示されるように、プーリ機構20によるプーリ変速が行われる。
電子制御ユニット10が飛び変速を切替レシオR0上で完了する条件は、目標変速レシオR2上の目標エンジン回転数をN21と切替レシオR0上の目標車速V2に対応するエンジン回転数N02との差回転である第2偏差量ΔN2(=N21−N02)が第2閾値ΔN2thより小さいことである。なお、上記第2偏差量ΔN2が第2閾値ΔN2thより大きい場合は、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えは、目標変速レシオR2上の目標変速点R21で完了し、飛び変速は現変速レシオR1の変速点R11から目標変速レシオR2上の目標変速点R21まで行われる。
以降では、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが切替レシオR0上で完了する飛び変速のことを「第1飛び変速モード」と呼ぶと共に、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが目標変速レシオR2上の目標変速点R21で完了する飛び変速のことを「第2飛び変速モード」と呼びことにする。従って、図4にて示される飛び変速は第1飛び変速モードである。以下、電子制御ユニット10による飛び変速制御について説明する。
図5は、本実施形態の電子制御ユニット10による飛び変速制御を示すフロー図である。なお、ここでは車両1がHIGHモードでクルーズ走行中にキックダウンモードが開始される場合を想定している。
先ず、ステップS1では飛び変速適性判断を実施する。詳細については図6を参照しながら後述するが、変速モード、車速、アクセルペダル開度等に基づいて、飛び変速を判断するための前提条件をチェックする。前提条件が全てクリアされる場合にのみ、次ステップにおいて飛び変速を実施するか否か判断する。
ステップS2では、飛び変速を実施するか否かを判断する。図4に示されるキックダウン開始時の現変速レシオR1に係るエンジン回転数N11と、切替レシオR0上の現車速V1に対応するエンジン回転数N01との差回転である第1偏差量ΔN1(=N01−N11)が所定の第1閾値ΔN1thより大きい場合(YES)は、飛び変速を実施するとしてステップS3へ進む。一方、上記第1偏差量ΔN1が第1閾値ΔN1thより小さい場合あるいはステップS1で飛び変速フラグが”0”の場合(NO)は、飛び変速を実施しないものとして処理を終了する。
ステップS3では、第1飛び変速モードを実施するか否かを判断する。図4に示される目標変速レシオR2に対応するエンジン回転数N21と、切替レシオR0上の目標車速V2に対応するエンジン回転数N02との差回転である第2偏差量ΔN2(=N21−N02)が所定の第2閾値ΔN2thより小さい場合(YES)は、第1飛び変速モードを実施するとしてステップS4へ進む。一方、上記第2偏差量ΔN2が第2閾値ΔN2thより大きい場合(NO)は、第2飛び変速モードを実施するとしてステップS8へ進む。
ステップS4では、ドライブ側クラッチ61,62間でクラッチ繋ぎ替えを行う。詳細については図7を参照しながら後述するが、締結(ON)状態にある第2クラッチ62を解放(OFF)状態にすると共に、解放状態にある第1クラッチ61を締結状態にする。なお、上記クラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相から開始してトルク相と変化するように、締結状態にある第2クラッチ62では油圧を急激に下げて素早くクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にある第1クラッチ61では油圧を徐々に上げてクラッチ要素間を滑らせながら徐々に締結状態になるようにする。
ステップS5では、リニアソレノイド弁の油圧供給対象(制御対象)を切り替える。詳細については図8を参照しながら後述するが、オン/オフソレノイド弁によって、ドライブ側クラッチ61に対する油圧の供給元をリニアソレノイド弁からクラッチリデューシング弁(CR弁)へ、ドリブン側クラッチ63,64に対する油圧の供給元をクラッチリデューシング弁(CR弁)からリニアソレノイド弁へ相互に切り替える。
ステップS6では、ドリブン側クラッチ63,64間でクラッチ繋ぎ替えを行う。詳細については図7を参照しながら後述するが、締結(ON)状態にある第4クラッチ64を解放(OFF)状態にすると共に、解放状態にある第3クラッチ63を締結状態にする。なお、上記クラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスがトルク相から開始してイナーシャ相と変化するように、締結状態にある第4クラッチ64では油圧を徐々に下げてクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にある第3クラッチ63では油圧を急激に上げてクラッチ要素間のトルク容量を上げながら締結状態になるようにする。
ステップS7ではプーリ機構20によって目標変速レシオR2上の目標変速点R21まで変速する。
ステップS8ではドライブ側クラッチ61,62間でクラッチ繋ぎ替えを行う。処理内容はステップS4と同じである。
ステップS9ではリニアソレノイド弁の油圧供給対象(制御対象)を切り替える。処理内容はステップS5と同じである。
ステップS10ではドリブン側クラッチ63,64間でクラッチ繋ぎ替えを行う。詳細については図7を参照しながら後述するが、ステップS6と異なり、上記クラッチ繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相から開始してトルク相と変化するようにする。すなわち、締結状態にある第4クラッチ64では油圧を急激に下げて素早くクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にある第3クラッチ63では油圧を徐々に上げてクラッチ要素間を滑らせながら徐々に締結状態になるようにする。
図6は、図5のステップS1に係る飛び変速適性判断を示すフロー図である。
ステップSS1では、現変速レシオがHIGHモード状態であるか否かを判定する。現変速レシオがHIGHモード状態である場合(YES)は、ステップSS2へ進む。それ以外の場合(NO)は、ステップSS6へ進む。
ステップSS2では、車速が閾値以上であるか否かを判定する。車速が閾値以上である場合(YES)は、ステップSS3へ進む。それ以外の場合(NO)は、ステップSS6へ進む。
ステップSS3では、アクセルペダル開度が閾値以上であるか否かを判定する。アクセルペダル開度が閾値以上である場合(YES)は、ステップSS4へ進む。それ以外の場合(NO)は、ステップSS6へ進む。
ステップSS4では、単位時間当たりのアクセルペダル開度が閾値以上であるか否かを判定する。単位時間当たりのアクセルペダル開度が閾値以上である場合(YES)は、ステップSS5へ進む。それ以外の場合(NO)は、ステップSS6へ進む。
ステップSS5では、飛び変速を実施するための前提条件は全て満足するため、飛び変速判断フラグを1に設定する。この場合、次ステップS2において飛び変速を実施するか否かが判断される。
ステップSS6では、飛び変速を実施するための前提条件は満足していないため、飛び変速判断フラグを0に設定する。この場合、次ステップS2において飛び変速を実施しないものと判断される。
図7は、第1飛び変速モードに係るアクセルペダル開度、プーリレシオ、オーバーオールレシオ、第1及び第2プーリ側圧、並びにドリブン側及びドライブ側クラッチ圧の各時系列変化を示すタイムチャートである。
ここで時刻t1にアクセルペダル開度に応じた信号がアクセルペダルセンサ31から入力され、電子制御ユニット10は、図4に示される現変速レシオR1の変速点R11から切替レシオR0上の変速点R03まで飛び変速する第1飛び変速モードを実施する。
先ず、電子制御ユニット10はドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えを実施する。クラッチ繋ぎ替えは各クラッチのクラッチ圧(油圧)を変えることによって行われる。
時刻t1からt2において、解放される第2クラッチ62のクラッチ圧(以下、「OFFクラッチ圧」ともいう。)は、急激に下がり、その後一定値を保持するように変化する。一方、締結される第1クラッチ61のクラッチ圧(以下、「ONクラッチ圧」ともいう。)は、いわゆる無効ストロークにより過度的に上昇するが、その後徐々に上がるように変化する。すなわち、締結状態にある第2クラッチ62では油圧を急激に下げて素早くクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にある第1クラッチ61では油圧を徐々に上げてクラッチ要素間を滑らせながら徐々に締結状態になるように電子制御ユニット10は各油圧を制御する。従って、この区間における上記繋ぎ替えに係る変速プロセスは双方のクラッチ間が滑り状態に置かれるイナーシャ相となる。
そして時刻t2に、ONクラッチ圧は急激に上がり、第1クラッチ61は滑り状態から締結状態に変化する。一方、OFFクラッチ圧は徐々に下がり始める。その結果、上記繋ぎ替えに係る変速プロセスは、双方が滑り状態であるイナーシャ相から、一方が締結状態で他方は滑り状態であるトルク相に変化する。
ONクラッチ圧は時刻t3まで一定値を保持し、第1クラッチ61は締結状態を保持する。一方、OFFクラッチ圧は徐々に下がりながら時刻t3でゼロになる。これによりドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが完了する。
電子制御ユニット10はドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えを実施する際、同時にプーリレシオも変化させる。プーリレシオはプーリ側圧を変えることにより行われる。
プーリ側圧は、駆動側の第2プーリ22の側圧が基準となる。第1プーリ21の側圧は第2プーリ22の側圧に維持推力ΔPを加えた側圧となる。第2プーリ22の側圧は、直結するドライブ側クラッチ62のOFFクラッチ圧を基に算出される。すなわち、第2プーリ22の側圧は第2クラッチ62のクラッチ圧の挙動と相似になるように、側圧が急激に下がり、その後一定状態を保持し、その後徐々に下がりながらゼロに変化するように電子制御ユニット10はプーリ側圧の油圧を制御する。
プーリレシオは、第1プーリ21の回転数/第2プーリ22の回転数によって定義される。ところで、LOWモードでは第1プーリ21が駆動プーリ(入力側)となり、第2プーリ22が従動プーリ(出力側)となる。他方、HIGHモードでは第1プーリ21は従動プーリ(出力側)となり、第2プーリ22は駆動プーリ(入力側)となる。つまり、プーリレシオはLOWモードでは入力側の回転数/出力側の回転数によって定義されるのに対し、HIGHモードでは出力側の回転数/入力側の回転数によって定義される。オーバーオールレシオはLOWモードでのプーリレシオと同じ、入力側の回転数/出力側の回転数によって定義される。その結果、HIGHモードでのプーリレシオはオーバーオールレシオとは逆の挙動を示す。
プーリレシオは、時刻t1に現変速レシオR1に対応するプーリレシオPR1から低下し始め、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが完了する時刻t3に直結レシオR0’に対応するプーリレシオPR0’に達する。
そして、プーリレシオは、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが開始する時刻t3から徐々に増加し、上記クラッチ繋ぎ替えが完了する時刻t5に切替レシオR0に対応するプーリレシオPR0に達する。そしてプーリレシオがプーリレシオPR0から増加し始め、時刻t6に目標変速レシオR2に対応するプーリレシオPR2に達する。
なお、詳細については図8を参照しながら後述するが、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが完了する時刻t3から実際にドリブン側の第3クラッチ63が駆動される時刻までの間、第1入力経路IP1と第2出力経路OP2が直結状態となる。ここでは、この直結状態での変速プロセスを直結モードと呼ぶことにする。直結モードでは、エンジン2から伝達される駆動力はプーリ機構20の無端ベルト23を介さずに第1入力経路IP1から第2出力経路OP2へ伝達される。
他方、オーバーオールレシオ(OAレシオ)は、HIGHモードではプーリレシオと逆の挙動を示し、それ以外のモードではプーリレシオと同じ挙動を示す。
図8は、HIGHモードからLOWモードへの飛び変速に係るリニアソレノイド弁の油圧供給対象の切替えを示す説明図である。なお、太線はトルクフローを示し、点線はオイルフローを示している。
本実施形態では、図7に示されるドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替え又はドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えにおける各クラッチ圧の制御(トルク容量制御)は、2つのリニアソレノイド弁CL1−L/SOL,CL2−L/SOLと、1つのオン/オフソレノイド弁(図示せず)を使用して行われる。つまり、4つのクラッチに対し4つのリニアソレノイド弁を個別に割り当てるのではなく、2つのリニアソレノイド弁の各油圧供給対象をオン/オフソレノイド弁によって切り替えるように電子制御ユニット10はオン/オフソレノイド弁を制御している。この場合、各リニアソレノイド弁CL1−L/SOL,CL2−L/SOLの元圧はクラッチリデューシング弁CRから供給されるCR圧となる。以下、詳細に説明する。
図8(a)に示される通り、HIGHモードではドライブ側の第1クラッチ61は第1リニアソレノイド弁CL1−L/SOLに連通し、ドライブ側の第2クラッチ62は第2リニアソレノイド弁CL2−L/SOLに連通している。また、ドリブン側の第4クラッチ64はCR弁に連通している。この場合、ドライブ側の第2クラッチ62は第2リニアソレノイド弁CL2−L/SOLから供給される一定の油圧によって締結されている。また、ドリブン側の第4クラッチは一定値のCR圧によって締結されている。HIGHモードではドライブ側の第1クラッチ61及びドリブン側の第3クラッチ63に対し油圧は供給されない。
この場合、エンジン2から伝達される駆動力は第2入力経路IP2、第2プーリ22、第1プーリ21、及び第2出力経路OP2という経路で差動機構5へ伝達される。
図8(b)に示される通り、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えでは、図7に示されるクラッチ圧(DR側CL圧)に対応する各油圧が、第1リニアソレノイド弁CL1−L/SOL及び第2リニアソレノイド弁CL2−L/SOLから第1クラッチ61及び第2クラッチ62へそれぞれ供給される。他方、第4クラッチ64へはCR弁から一定のCR圧が供給される。
この場合、エンジン2から伝達される駆動力は、第2入力経路IP2及び第2プーリ22を通過するトルクフローと、第1入力経路IP1を通過するトルクフローとが第1プーリ21で合流し、第2出力経路OP2を介して差動機構5へ伝達される
図8(c)に示される通り、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが完了した直後の直結モードにおいて、第1リニアソレノイド弁CL1−L/SOLの油圧供給対象(制御対象)が、ドライブ側の第1クラッチ61からドリブン側の第4クラッチ64へ切り替わる。また、第2リニアソレノイド弁CL2−L/SOLの油圧供給対象(制御対象)が、ドライブ側の第2クラッチ62からドリブン側の第3クラッチ63へ切り替わる。更に、CR弁の油圧供給対象がドリブン側の第4クラッチ64からドライブ側の第1クラッチ61へ切り替わる。リニアソレノイド弁及びCR弁の切替えは、オン/オフソレノイド弁によって行われる。
この場合、ドリブン側の第4クラッチ64は第1リニアソレノイド弁CL2−L/SOLから供給される一定の油圧によって締結されている。また、ドライブ側の第1クラッチは一定値のCR圧によって締結されている。このように直結モードではドライブ側の第2クラッチ62及びドリブン側の第3クラッチ63に対し油圧は供給されない。
また、エンジン2から伝達される駆動力は、第1入力経路IP1、第1プーリ21、及び第2出力経路OP2を介して差動機構5へ伝達される。
図8(d)に示される通り、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えでは、図7に示されるクラッチ圧(DN側CL圧)に対応する各油圧が、第1リニアソレノイド弁CL1−L/SOL及び第2リニアソレノイド弁CL2−L/SOLから第4クラッチ64及び第3クラッチ63へそれぞれ供給される。他方、第1クラッチ61へはCR弁から一定のCR圧が供給される。
この場合、エンジン2から伝達される駆動力は、第1入力経路IP1から第1プーリ21に入力され、そこで一部は第2出力経路OP2を介して差動機構5へ伝達され、残りは第2プーリ22及び第1出力経路OP1を介して差動機構5へ伝達される
図8(e)に示される通り、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが完了すると、ドライブ側の第3クラッチ63は第2リニアソレノイド弁CL2−L/SOLから供給される一定の油圧によって締結されている。また、ドライブ側の第1クラッチ61は一定値のCR圧によって締結されている。このようにLOWモードではドライブ側の第2クラッチ62及びドリブン側の第4クラッチ64に対し油圧は供給されない。
この場合、エンジン2から伝達される駆動力は第1入力経路IP1、第1プーリ21、第2プーリ22、及び第1出力経路OP1という経路で差動機構5へ伝達される。
なお、LOWモードからHIGHモードへの飛び変速に係るリニアソレノイド弁の油圧供給対象の切替えについては、例えば上記プロセスと逆のプロセスを経ることにより切替えることが出来る。
以上が、第1飛び変速モードに係る変速プロセスである。次に、第2飛び変速モードに係る変速プロセスについて説明する。
図9は、本実施形態の変速機3に係るキックダウンモードでの第2飛び変速モードに係る変速プロセスを示すグラフである。
この第2飛び変速モードでは、現変速レシオR1の変速点R11から目標変速レシオR2上の目標変速点R21まで変速するに際し、駆動/従動関係(入出力経路または副変速機)が固定された状態でプーリレシオを変化させる通常のプーリ変速を用いずに、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替え及びドリブン側クラッチ63,64のクラッチ繋ぎ変えのみによって現変速レシオR1上の変速点R11から目標変速レシオR2上の目標変速点R21まで飛び変速する。すなわち、ドリブン側クラッチ63,64のクラッチ繋ぎ変えが完了するのと同時に、変速点が目標変速レシオR2上の目標変速点R21に達することになる。
上述した通り、電子制御ユニット10が第2飛び変速モードを実施する条件は、目標変速レシオR2上の目標エンジン回転数をN21と、目標車速V2に対応する切替レシオR0上のエンジン回転数N02との差回転である第2偏差量ΔN2(=N21−N02)が第2閾値ΔN2thより大きいことである。つまり、キックダウン完了時の目標変速点R21が切替レシオR0から第2閾値ΔN2thより大きく離れていることである。
図10は、第1飛び変速モードに係るアクセルペダル開度、プーリレシオ、オーバーオールレシオ、第1及び第2プーリ側圧、並びにドリブン側及びドライブ側クラッチ圧の各時系列変化を示すタイムチャートである。なお、ここでは第1飛び変速モードに比較して異なる点についてのみ説明する
第2飛び変速モードでは目標作動点R21が切替レシオR0から離れた点に位置しているため、ドリブン側の各クラッチ63,64における差回転が大きい。そのため、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えでは、上記繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相から開始してトルク相へ変化するように、電子制御ユニット10は各クラッチ圧(油圧)を制御するようにする。
すなわち、時刻t3からt4において、解放される第4クラッチ64のクラッチ圧(以下、「OFFクラッチ圧」ともいう。)は、急激に下がり、その後一定値を保持するように変化する。一方、締結される第3クラッチ63のクラッチ圧(以下、「ONクラッチ圧」ともいう。)は、いわゆる無効ストロークにより過度的に上昇するが、その後徐々に上がるように変化する。すなわち、締結状態にある第4クラッチ64では油圧を急激に下げて素早くクラッチ間を滑り状態にする一方、解放状態にある第3クラッチ63では油圧を徐々に上げてクラッチ要素間を滑らせながら徐々に締結状態になるように電子制御ユニット10は各油圧を制御する。
そして時刻t4に、ONクラッチ圧は急激に上がり、第3クラッチ63は滑り状態から締結状態に変化する。一方、第4クラッチ64のOFFクラッチ圧は徐々に下がり始める。その結果、上記繋ぎ替えに係る変速プロセスは、双方が滑り状態であるイナーシャ相から、一方が締結状態で他方は滑り状態であるトルク相に変化する。
ONクラッチ圧は時刻t5まで一定値を保持し、第3クラッチ63は締結状態を保持する。一方、第4クラッチ64のOFFクラッチ圧は徐々に下がりながら時刻t5でゼロになる。これによりドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが完了する。
プーリレシオについて見ると、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えの間、キックダウン開始時のプーリレシオPR1から、直結レシオR0’に対応するプーリレシオPR0’まで徐々に低下する。ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが完了した直後に、エンジン2から伝達される駆動力がプーリ機構20を通過しない直結状態が一時的に形成される。そしてドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが開始すると同時に直結状態は終了する。そして、駆動力が再びプーリ機構20を通過する。その結果、プーリレシオが緩やかに増加する。そして、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが完了すると同時にプーリレシオが目標プーリレシオPR2に達する。
このように、第2飛び変速モードでは、ドライブ側クラッチ61,62の繋ぎ替えが開始するのと同時に変速が開始し、ドリブン側クラッチ63,64の繋ぎ替えが完了するのと同時に変速が終了する。
また、キックダウン完了時の目標プーリレシオPR2については、キックダウン完了時の目標エンジン回転数N21及び目標車速V2から算出される目標変速レシオR2をLOWモードでのギヤレシオで除することにより算出される。
以上の通り、本実施形態の変速機3によれば、第1飛び変速モードではプーリ機構20のみを駆動して現変速レシオR1上の変速点R11から切替レシオR0上の変速点R01まで変速する通常のプーリ変速プロセスが不要となる。また、第2飛び変速モードでは、変速点R11から変速点R01まで変速する通常のプーリ変速プロセスに加えて、切替レシオR0上の変速点R02から目標変速レシオR2上の変速点R21まで変速する通常のプーリ変速プロセスも不要となる。従って、切替レシオR0を跨いで現変速レシオR1から目標変速レシオR2まで変速するのに必要な変速時間を大幅に短縮することが可能となる。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態の一例を説明してきたが、本発明の実施形態は上記実施例だけに限定されるものでない。すなわち、本発明に係る技術的特徴の要旨を変更しない範囲において種々の技術的変更・修正を加えることが可能である。
例えば、主変速機構についてはベルト式のプーリ機構20以外に、トロイダル式無段変速機構に対しても適用可能である。また、本発明に係る飛び変速プロセスについて、HIGHモードからLOWモードだけでなくLOWモードからHIGHモードへの飛び変速についても適用可能である。また、クラッチ繋ぎ替えの順番についてはドリブン側を先にドライブ側を後に実施するようにしても良い。
1 変速機
2 エンジン
4 油圧回路
5 差動機構
10 電子制御ユニット
13 入力軸
13A 主入力軸
13C 副入力軸
14 第1出力軸
14A 内周軸
14B 外周軸
15 第2出力軸
16 クランクシャフト
20 プーリ機構
21 第1プーリ
22 第2プーリ
23 無端ベルト
25 最終出力機構
51 第1副変速機構
52 第2副変速機構
53 第3副変速機構
54 第4副変速機構
55 第5副変速機構
61 第1クラッチ
62 第2クラッチ
63 第3クラッチ
64 第4クラッチ

Claims (8)

  1. 駆動源から伝達される駆動力の大部分が通過する主変速機構と、
    該主変速機構の入力側または出力側にそれぞれ配置され、前記駆動力が選択的に通過する複数の副変速機構と、
    前記入力側に配置された前記副変速機構を介し前記駆動源から前記主変速機構へ前記駆動力を伝達する複数の入力経路と、
    該入力経路と前記駆動源とをそれぞれ繋ぐ複数の入力側クラッチ機構と、
    前記出力側に配置された前記副変速機構を介し前記主変速機構から差動機構へ前記駆動力を伝達する複数の出力経路と、
    該出力経路と前記主変速機構とをそれぞれ繋ぐ複数の出力側クラッチ機構と、
    前記入力側クラッチ機構および前記出力側クラッチ機構を駆動する油圧回路と、
    前記油圧回路を制御する制御装置と、を備えた変速機であって、
    前記制御装置は、低速度域に係る変速レシオを規定する低速モード及び高速度域に係る変速レシオを規定する高速モード、並びに該低速モードと該高速モードが相互に切り替わる変速レシオを規定する切替レシオをそれぞれ有し、
    前記切替レシオから所定以上離れた現変速レシオから該切替レシオを跨いで目標変速レシオまで変速する際、前記現変速レシオ上の変速開始点において前記入力側クラッチ機構および前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えを開始するように構成されていることを特徴とする変速機。
  2. 前記制御装置は、前記現変速レシオに係る前記駆動源の現回転数と、該現回転数に係る現車速に対応する前記切替レシオ上の回転数との差回転を第1閾値に基づいて判定し、該差回転が該第1閾値よりも大きい場合は、前記変速開始点において前記入力側クラッチ機構および前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えを開始するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の変速機。
  3. 前記制御装置は、前記目標レシオに係る前記駆動源の目標回転数と、該目標回転数に係る目標車速に対応する前記切替レシオ上の回転数との差回転を第2閾値に基づいて判定し、該差回転が該第2閾値よりも小さい場合は、前記入力側クラッチ機構および前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えを前記切替レシオ上で完了し、その後前記主変速機構を駆動して前記目標変速レシオまで変速するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の変速機。
  4. 前記制御装置は、前記目標レシオに係る前記駆動源の目標回転数と、該目標回転数に係る目標車速に対応する前記切替レシオ上の回転数との差回転を第2閾値に基づいて判定し、該差回転が該第2閾値よりも大きい場合は、前記入力側クラッチ機構および前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えを前記目標変速レシオで完了し該目標変速レシオまで変速するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の変速機。
  5. 前記制御装置は、最初に実施される前記入力側クラッチ機構または前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相からトルク相へ変化するように前記油圧回路を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の変速機。
  6. 前記制御装置は、前記目標変速レシオに係る前記差回転が前記第2閾値よりも小さい場合、最後に実施される前記入力側クラッチ機構または前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えに係る変速プロセスがトルク相からイナーシャ相へ変化するように前記油圧回路を制御するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の変速機。
  7. 前記制御装置は、前記目標変速レシオに係る前記差回転が前記第2閾値よりも大きい場合、最後に実施される前記入力側クラッチ機構または前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えに係る変速プロセスがイナーシャ相からトルク相へ変化するように前記油圧回路を制御するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の変速機。
  8. 前記制御装置は、車速、アクセルペダル開度、単位時間当たりのアクセルペダル開度変化量、並びに全変速レシオに基づいて前記入力側クラッチ機構および前記出力側クラッチ機構の繋ぎ替えを開始して前記目標変速レシオへ変速するように構成されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の変速機。
JP2015230143A 2015-11-25 2015-11-25 変速機 Expired - Fee Related JP6310900B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015230143A JP6310900B2 (ja) 2015-11-25 2015-11-25 変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015230143A JP6310900B2 (ja) 2015-11-25 2015-11-25 変速機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017096429A true JP2017096429A (ja) 2017-06-01
JP6310900B2 JP6310900B2 (ja) 2018-04-11

Family

ID=58803505

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015230143A Expired - Fee Related JP6310900B2 (ja) 2015-11-25 2015-11-25 変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6310900B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002331858A (ja) * 2001-05-10 2002-11-19 Nissan Motor Co Ltd 変速比無限大無段変速機の変速制御装置
JP2011021716A (ja) * 2009-07-17 2011-02-03 Jatco Ltd 無段変速機及びその制御方法
WO2013175568A1 (ja) * 2012-05-22 2013-11-28 本田技研工業株式会社 無段変速機
JP2015068463A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 ダイハツ工業株式会社 車両用変速装置
JP2015169260A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 本田技研工業株式会社 無段変速機の制御装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002331858A (ja) * 2001-05-10 2002-11-19 Nissan Motor Co Ltd 変速比無限大無段変速機の変速制御装置
JP2011021716A (ja) * 2009-07-17 2011-02-03 Jatco Ltd 無段変速機及びその制御方法
WO2013175568A1 (ja) * 2012-05-22 2013-11-28 本田技研工業株式会社 無段変速機
JP2015068463A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 ダイハツ工業株式会社 車両用変速装置
JP2015169260A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 本田技研工業株式会社 無段変速機の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6310900B2 (ja) 2018-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3175149B1 (en) Control apparatus for vehicle
WO2014170959A1 (ja) 車両用変速機の制御装置
US9821806B2 (en) Control apparatus for vehicle
EP3176472A1 (en) Continuously variable transmission and control method therefor
EP3176473B1 (en) Continuously variable transmission and method for controlling the same
JP5849102B2 (ja) 無段変速機及びその制御方法
CN110230693B (zh) 车辆用动力传递装置的控制装置
CN109838550B (zh) 车辆用动力传递装置的控制装置
CN110017368B (zh) 车辆用动力传递装置的控制装置
CN110094474B (zh) 车辆用动力传递装置的控制装置
JP6958410B2 (ja) 車両の制御装置
JP6992562B2 (ja) 車両用動力伝達装置の制御装置
JP2017036783A (ja) 動力伝達装置の制御装置
CN109780154B (zh) 车辆用动力传递装置的控制装置
JP6310900B2 (ja) 変速機
JP5962868B2 (ja) 車両用変速機の制御装置
CN110017372B (zh) 车辆用动力传递装置的控制装置
JP6891820B2 (ja) 車両用変速機の制御装置
JP6790750B2 (ja) 車両用動力伝達装置の制御装置
JP6271495B2 (ja) 変速機
JP2017020622A (ja) 動力伝達装置の制御装置
JP2013199985A (ja) 自動変速機の油圧供給装置
JP6984412B2 (ja) 変速機の制御装置
JP2018021582A (ja) 車両用動力伝達装置の制御装置
JP2019138406A (ja) 車両の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170718

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180319

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6310900

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees