JP2017095749A - アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度と高成形性(高延性)とを兼備し、高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得られ得るBH性に優れた、構造部材用アルミニウム合金クラッド板及びアルミニウム合金クラッド構造部材の提供
【解決手段】複数のアルミニウム合金層が5〜15層積層された全体の板厚が1〜5mmのアルミニウム合金クラッド板であって、拡散熱処理後の組織として、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った相互拡散領域を有し、図1のような、X線小角散乱法で測定される析出物の慣性半径Rgが0.3〜2.0nm及び散乱強度I0[Mg]が1000〜5000を有するAl合金クラッド板。
【選択図】図1
【解決手段】複数のアルミニウム合金層が5〜15層積層された全体の板厚が1〜5mmのアルミニウム合金クラッド板であって、拡散熱処理後の組織として、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った相互拡散領域を有し、図1のような、X線小角散乱法で測定される析出物の慣性半径Rgが0.3〜2.0nm及び散乱強度I0[Mg]が1000〜5000を有するAl合金クラッド板。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム合金クラッド板および、この素材アルミニウム合金クラッド板を成形してなるアルミニウム合金クラッド構造部材に関するものである。ここでクラッド板とは、アルミニウム合金層同士を互いに積層し、圧延などで互いに一体に接合した積層板である。
自動車の車体や航空機の機体など、軽量化のためにアルミニウム合金板が素材として用いられる輸送機の構造部材では、高強度化と構造部材の製品形状への成形性あるいは構造材としての延性とが矛盾しやすい。
例えば、構造部材用の7000系アルミニウム合金や超々ジュラルミン(Al-5.5%Zn-2.5%Mg合金)などは、高強度化させるための典型的手段として、ZnやMgなどの高強度化元素量を増加させているが、延性が低下して構造部材に成形しにくい問題がある。また、このように高合金化すると、耐食性が低下したり、保管中に室温時効(時効硬化)して強度が増加して、構造部材への成形性あるいは構造材としての延性が著しく低下するという問題もある。また、圧延工程など板の生産効率も低いという問題もある。
このような高強度化と成形性(延性)との相矛盾する課題は、前記7000系アルミニウム合金板や、超々ジュラルミン板などの、アルミニウム合金板単体(単一の板、単板)の組成や組織、あるいは製法だけで解決することは非常に難しい。
この問題の解決の方向として、従来から、異なる組成や特性を有するアルミニウム合金層(板)同士を互いに2〜4層積層させたアルミニウム合金クラッド板(積層板)が知られている。
この代表的な例は、3000系アルミニウム合金の心材に、7000系アルミニウム合金の犠牲陽極材、4000系アルミニウム合金のろう材をクラッドした3層〜4層構造の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートである。
この他、特許文献1では、心材を高強度化のための5000系アルミニウム合金材、皮材を耐食性向上のための7000系アルミニウム合金材と各々したクラッド材からなる自動車燃料タンク用アルミニウム合金材も提案されている。
また、特許文献2では、1000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系などのアルミニウム合金の融点差を利用して、双ロールを用いた連続鋳造によって、アルミニウム合金同士を最大で4層積層して一体化させたクラッド板の製造方法も提案されている。
更に、特許文献3では、複数のアルミニウム合金層を積層する際に、これらアルミニウム合金層の層間にCu防食層を介在させ、このCu防食層のCuを高温の熱処理によって接合されたアルミニウム合金層にまで拡散させて、クラッド板の耐食性を向上させることも提案されている。
ただ、これら従来のアルミニウム合金クラッド板において、前記した輸送機などの構造部材用として使用するためには、前記した高強度化と成形性(延性)との相矛盾する課題を解決して、これら両方の特性を兼備する必要がある。
このため、特許文献4では、これら両方の特性を兼備した、自動車などの構造部材用の素材アルミニウム合金クラッド板、あるいは、このクラッド板を素材として、プレス成形などの成形加工したアルミニウム合金クラッド構造部材自体が提案されている。
この特許文献4では、各々異なる組成のアルミニウム合金板として、Al−Mg系合金板、Al−Zn系合金板、あるいはAl−Cu系合金板を互いに積層し、単一のアルミニウム合金板では到底兼備できない、高強度と高いプレス成形性あるいは延性の両立を図ることを目的としている。
このため、特許文献4では、これら両方の特性を兼備した、自動車などの構造部材用の素材アルミニウム合金クラッド板、あるいは、このクラッド板を素材として、プレス成形などの成形加工したアルミニウム合金クラッド構造部材自体が提案されている。
この特許文献4では、各々異なる組成のアルミニウム合金板として、Al−Mg系合金板、Al−Zn系合金板、あるいはAl−Cu系合金板を互いに積層し、単一のアルミニウム合金板では到底兼備できない、高強度と高いプレス成形性あるいは延性の両立を図ることを目的としている。
具体的には、図4、5に示すように、Al−Mg系合金層とAl−Zn系合金層など、特定の組成(Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含む)で、かつ組成の互いに異なるAl合金層同士を、3〜7層、全体の板厚が1〜5mmで積層する。
そして、この積層板に拡散熱処理を施し、積層された前記アルミニウム合金層同士のMg、Znが互いに拡散し合った相互拡散領域を有するようにし、これら積層されたアルミニウム合金層同士の各接合界面部の硬度が、この接合界面部を構成する前記積層された各アルミニウム合金層の硬度よりも全て高い組織を有するようにしている。
そして、この積層板に拡散熱処理を施し、積層された前記アルミニウム合金層同士のMg、Znが互いに拡散し合った相互拡散領域を有するようにし、これら積層されたアルミニウム合金層同士の各接合界面部の硬度が、この接合界面部を構成する前記積層された各アルミニウム合金層の硬度よりも全て高い組織を有するようにしている。
前記特許文献4によって、自動車などの構造部材用のアルミニウム合金クラッド板、あるいはアルミニウム合金クラッド構造部材として、強度やプレス成形性などの特性の両立は図れる。
ただ、自動車などの構造部材用に必要な高強度を得るためには、単一のAl−Zn系合金板(7000系合金板)の場合と同様に、例えば、120℃×24時間という低温で長時間の人工時効処理が必要である。
ただ、自動車などの構造部材用に必要な高強度を得るためには、単一のAl−Zn系合金板(7000系合金板)の場合と同様に、例えば、120℃×24時間という低温で長時間の人工時効処理が必要である。
この点で、当然ながら、この特許文献4では、高温で短時間化された人工時効処理によっても、前記構造部材として必要な高強度化が図れるBH性(ベークハード性、人工時効硬化性)の課題についての開示が無い。
言い換えると、前記特許文献4のアルミニウム合金クラッド板あるいはクラッド構造部材は、現行の自動車などの構造部材において、その塗装後に施される、例えば160〜205℃×20〜40分という、高温、短時間化される塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)では、必要な高強度を得ることができないという課題がある。
そして、このような課題を解決しないと、前記塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)の工程(条件)変更の必要性に伴う、煩雑性や非効率性から、前記特許文献4のようなアルミニウム合金クラッド板あるいはクラッド構造部材を、自動車などの構造部材には採用しにくい。
言い換えると、前記特許文献4のアルミニウム合金クラッド板あるいはクラッド構造部材は、現行の自動車などの構造部材において、その塗装後に施される、例えば160〜205℃×20〜40分という、高温、短時間化される塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)では、必要な高強度を得ることができないという課題がある。
そして、このような課題を解決しないと、前記塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)の工程(条件)変更の必要性に伴う、煩雑性や非効率性から、前記特許文献4のようなアルミニウム合金クラッド板あるいはクラッド構造部材を、自動車などの構造部材には採用しにくい。
したがって、アルミニウム合金クラッド構造部材用のアルミニウム合金クラッド板には、高強度化と高成形性と、高温、短時間化される前記塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)での高いBH性を兼備することが要求される。
また、アルミニウム合金クラッド構造部材には、高強度化と高延性と、高温、短時間化される前記塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)での高いBH性を兼備することが要求される。
このような課題に対して、本発明の目的は、高強度と高成形性(高延性)とを兼備し、かつ、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができるBH性に優れた、前記構造部材に適したアルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材を提供することにある。
また、アルミニウム合金クラッド構造部材には、高強度化と高延性と、高温、短時間化される前記塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)での高いBH性を兼備することが要求される。
このような課題に対して、本発明の目的は、高強度と高成形性(高延性)とを兼備し、かつ、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができるBH性に優れた、前記構造部材に適したアルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材を提供することにある。
前記目的を達成するための、本発明の高強度、高成形性で、BH性にも優れたアルミニウム合金クラッド板の要旨は、
複数のアルミニウム合金層からなるアルミニウム合金クラッド板であって、
このアルミニウム合金クラッド板の最表層側の前記アルミニウム合金層よりも内側の前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
これらのアルミニウム合金層は、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接するとともに、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド板のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
前記アルミニウム合金クラッド板の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
かつ、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、
前記各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す、X線小角散乱法で測定された慣性半径Rgにつき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが1.0〜3.0nmの範囲であり、
前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す、前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Mg]が1000〜5000の範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲であることとする。
複数のアルミニウム合金層からなるアルミニウム合金クラッド板であって、
このアルミニウム合金クラッド板の最表層側の前記アルミニウム合金層よりも内側の前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
これらのアルミニウム合金層は、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接するとともに、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド板のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
前記アルミニウム合金クラッド板の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
かつ、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、
前記各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す、X線小角散乱法で測定された慣性半径Rgにつき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが1.0〜3.0nmの範囲であり、
前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す、前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Mg]が1000〜5000の範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲であることとする。
また、前記目的を達成するための、本発明の高強度、高延性で、BH性にも優れたアルミニウム合金クラッド構造部材の要旨は、
複数のアルミニウム合金層からなるアルミニウム合金クラッド構造部材であって、
このアルミニウム合金クラッド構造部材の最表層側の前記アルミニウム合金層よりも内側の前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接するとともに、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド構造部材のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
前記アルミニウム合金クラッド構造部材の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
かつ、前記アルミニウム合金クラッド構造部材の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、
前記各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す、X線小角散乱法で測定された慣性半径Rgにつき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが1.0〜3.0nmの範囲であり、
前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す、前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Mg]が1000〜5000の範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲であることとする。
複数のアルミニウム合金層からなるアルミニウム合金クラッド構造部材であって、
このアルミニウム合金クラッド構造部材の最表層側の前記アルミニウム合金層よりも内側の前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接するとともに、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド構造部材のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
前記アルミニウム合金クラッド構造部材の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
かつ、前記アルミニウム合金クラッド構造部材の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、
前記各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す、X線小角散乱法で測定された慣性半径Rgにつき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが1.0〜3.0nmの範囲であり、
前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す、前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Mg]が1000〜5000の範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲であることとする。
本発明で言うアルミニウム合金クラッド板とは、構造部材用の素材として、アルミニウム合金クラッド板アルミニウム合金層同士を互いに積層し、圧延などで互いに一体に接合した、アルミニウム合金クラッド板であって、調質として、後述する拡散熱処理を施したアルミニウム合金クラッド板を言う(以下、アルミニウムをアルミやAlとも言う)。
本発明で言うアルミニウム合金クラッド構造部材とは、前記拡散熱処理を施したアルミニウム合金クラッド板を素材とし、この素材アルミニウム合金クラッド板(素材積層板)をプレス成形などで構造部材の製品形状に成形加工した構造部材であって、人工時効硬化処理(塗装焼き付け硬化処理)される前の構造部材を言う。
また、前記拡散熱処理を施さないアルミニウム合金クラッド板を素材とする場合には、この素材アルミニウム合金クラッド板(素材積層板)をプレス成形などで構造部材の製品形状に成形加工した後で、前記拡散熱処理を施した構造部材であって、人工時効硬化処理(塗装焼き付け硬化処理)される前の構造部材を言う。
更に、前記平均散乱強度I0[Zn]や前記平均散乱強度I0[Mg]の、[Zn]、[Mg]とは、ZnやMgの平均散乱強度を意味するものではなく、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層の[Zn]や、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層の[Mg]など、測定対象となるアルミニウム合金層(測定場所)を意味する。
本発明で言うアルミニウム合金クラッド構造部材とは、前記拡散熱処理を施したアルミニウム合金クラッド板を素材とし、この素材アルミニウム合金クラッド板(素材積層板)をプレス成形などで構造部材の製品形状に成形加工した構造部材であって、人工時効硬化処理(塗装焼き付け硬化処理)される前の構造部材を言う。
また、前記拡散熱処理を施さないアルミニウム合金クラッド板を素材とする場合には、この素材アルミニウム合金クラッド板(素材積層板)をプレス成形などで構造部材の製品形状に成形加工した後で、前記拡散熱処理を施した構造部材であって、人工時効硬化処理(塗装焼き付け硬化処理)される前の構造部材を言う。
更に、前記平均散乱強度I0[Zn]や前記平均散乱強度I0[Mg]の、[Zn]、[Mg]とは、ZnやMgの平均散乱強度を意味するものではなく、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層の[Zn]や、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層の[Mg]など、測定対象となるアルミニウム合金層(測定場所)を意味する。
本発明は、アルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材に、高強度、高成形性(あるいは高延性)とBH性にも優れさせたものとするために、前記した層数と板厚、互いにクラッドするアルミニウム合金層をMg、Zn、中でも特にZnを多く含む特定の組成とすることを前提とする。
その上で、素材アルミニウム合金クラッド板の段階か、アルミニウム合金クラッド構造部材(製品形状)にプレス成形した後で、拡散熱処理を施すことによって、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有する、アルミニウム合金クラッド構造部材とする。
そして、このような元素の拡散によって、これらMg、Znなどで形成する新たな複合析出物を互いの接合界面部に析出させる。
そして、このような元素の拡散によって、これらMg、Znなどで形成する新たな複合析出物を互いの接合界面部に析出させる。
その上で、本発明では、前記した短時間化される人工時効処理によっても、前記輸送機の構造部材として必要な高強度化(BH性)を保証するために、前記拡散熱処理後で、人工時効硬化処理(T6処理)前のアルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材の組織を更に制御し、規定する。
すなわち、前記Mg、Znなどで形成する新たな複合析出物を互いの接合界面部に析出させるに際して、前記拡散熱処理条件の制御によって、クラッドされたアルミニウム合金層毎に、前記X線小角散乱法によって測定される、そのサイズと量とを特定の範囲に制御する。
この制御によって、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも、必要な高強度を得ることができる、BH性(ベークハード性、塗装焼付硬化性、人工時効硬化性とも言う)を持たせる。
これによって、本発明は、拡散熱処理を施された素材アルミニウム合金クラッド板に、高強度化と高成形性とを兼備させるとともに、成形後のアルミニウム合金クラッド構造部材ともども、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができるBH性も優れさせることができる。
すなわち、前記Mg、Znなどで形成する新たな複合析出物を互いの接合界面部に析出させるに際して、前記拡散熱処理条件の制御によって、クラッドされたアルミニウム合金層毎に、前記X線小角散乱法によって測定される、そのサイズと量とを特定の範囲に制御する。
この制御によって、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも、必要な高強度を得ることができる、BH性(ベークハード性、塗装焼付硬化性、人工時効硬化性とも言う)を持たせる。
これによって、本発明は、拡散熱処理を施された素材アルミニウム合金クラッド板に、高強度化と高成形性とを兼備させるとともに、成形後のアルミニウム合金クラッド構造部材ともども、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができるBH性も優れさせることができる。
本発明の、前記構造部材に適した素材アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材(以下、単にクラッド構造部材とも言う)の前提となる構成を先ず説明する。なお、以下の実施態様の説明での、素材アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材におけるアルミニウム合金層についての組成や積層の仕方などの規定の意義は、クラッドされる前のアルミニウム合金板や鋳塊の規定意義とも読み替えることができる。
図4、5は、素材アルミニウム合金クラッド板(以下、単にクラッド板とも言う)、あるいはプレス成形後のアルミニウム合金クラッド構造部材(以下、単にクラッド構造部材とも言う)の平板状部分の、幅方向あるいは圧延方向(長手方向)の一部の断面を示している。
アルミニウム合金クラッド構造部材では、このような断面構造が、製品形状の全般に亘って、また、素材板では、板の幅方向あるいは圧延方向の全般に亘って、均一に(一様に)延在している。
アルミニウム合金クラッド構造部材では、このような断面構造が、製品形状の全般に亘って、また、素材板では、板の幅方向あるいは圧延方向の全般に亘って、均一に(一様に)延在している。
(積層の仕方)
本発明の素材クラッド板(クラッド構造部材)は、Mg、Znの1種または2種を規定する範囲で含むアルミニウム合金層同士であって、MgかZnかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が、互いに5〜15層(枚)積層(クラッド)されている。そして、これら積層されたクラッド板全体の板厚は1〜5mmの範囲である、比較的薄いクラッド構造部材(素材クラッド板)である。
本発明の素材クラッド板(クラッド構造部材)は、Mg、Znの1種または2種を規定する範囲で含むアルミニウム合金層同士であって、MgかZnかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が、互いに5〜15層(枚)積層(クラッド)されている。そして、これら積層されたクラッド板全体の板厚は1〜5mmの範囲である、比較的薄いクラッド構造部材(素材クラッド板)である。
本発明の素材クラッド板(クラッド構造部材)では、積層の際に組み合わせるアルミニウム合金層の互いの組成によって、積層の仕方を変えることが必要である。図4、5を用いて、このような積層の仕方を説明する。
図4は、Al−Mg系のアルミニウム合金層(後述する表1のAのアルミニウム合金層)を最表層側の前記アルミニウム合金層(両最外層、二つの最外層)として、Al−Zn系のアルミニウム合金層(後述する表1のBのアルミニウム合金層)を各々その内側(内方側、内部側)に積層し、中心にAl−Mg系アルミニウム合金層(後述する表1のAのアルミニウム合金層)を配置し、これらを合計で5層積層した例である。
図5は、やはりAl−Mg系アルミニウム合金層(後述する表1のAのアルミニウム合金層)を最表層側の前記アルミニウム合金層(両最外層、二つの最外層)として、Al−Zn−Mg系のアルミニウム合金層を各々その内側に積層し、中心にAl−Mg系のアルミニウム合金層(後述する表1のAのアルミニウム合金層)を配置し、これらを合計で5層積層した例である。
これら図4、5はいずれも、互いに積層される板(あるいは層)を、Mg、Znの1種または2種を前記規定する範囲で各々含むアルミニウム合金層同士であって、少なくともMgかZnかの互いの含有量が異なるアルミニウム合金層同士とした例である。
これら組み合わせるアルミニウム合金層のうち、Znを前記規定含有量範囲で含む、図4のAl−Zn系、図5のAl−Zn−Mg系のアルミニウム合金層は、耐食性に劣るため、クラッド板の耐食性を確保するために、クラッドの内側になるように積層している。 これらZnを含むアルミニウム合金層を、クラッドの外側(表面側、表層側)になるように積層した場合には、Znの含有量が多いために、クラッド構造部材の耐食性が低下する。
したがって、これら図4、5では、クラッドの最表層側(両方の最外側、両表面側、両表層側)のアルミニウム合金層には、Al−Mg系など、Mgを3〜10質量%の範囲で含むアルミニウム合金層を積層している。
但し、このようなAl−Mg系などの場合でも、Mgの他にZn、Cuを多く含む場合には、やはり耐食性が低下する。
このため、耐食性を大きく低下させない、Zn含有量を2質量%以下(0質量%を含む)に各々抑制したアルミニウム合金層とする必要がある。
但し、このようなAl−Mg系などの場合でも、Mgの他にZn、Cuを多く含む場合には、やはり耐食性が低下する。
このため、耐食性を大きく低下させない、Zn含有量を2質量%以下(0質量%を含む)に各々抑制したアルミニウム合金層とする必要がある。
積層する層(後述する鋳塊あるいは板の枚数、積層数)は、素材クラッド板(クラッド構造部材)の特性を発揮させるためには、多層とするほど効果的で、5層(5枚)以上の層とすることが必要である。4層以下では、積層の仕方を工夫しても、板厚が1〜5mmの範囲と比較的薄いアルミニウム合金クラッド板においては、特性的には単体の板(単板)と大差がなくなり、積層する意味が無くなる。一方で、クラッド板の特性としては、15層(15枚)を超えて積層すれば、より特性向上が望めるが、実用的な製造工程での生産性を考えると、非効率で非現実的になるため、15層程度が上限である。
(素材クラッド板の製造方法)
本発明の素材クラッド板の製造方法につき説明する。
通常の単体の板(単板)では、前記7000系などで、Mgを10質量%まで、あるいはZnを30質量%までなど、本発明のように高合金化した場合には、延性が極端に低下して、圧延割れなどを起こして圧延できなくなる。
これに対して、本発明では、薄板同士の、しかも組成の互いに異なる薄板同士の積層板(積層鋳塊)としているため、前記高合金化しても延性が高いので、薄板のクラッドまで冷間圧延を含めて、熱延可能である。すなわち、拡散熱処理を施される前までの本発明クラッド板は、通常の圧延工程により、圧延クラッド板として製造できる点が利点でもある。
本発明の素材クラッド板の製造方法につき説明する。
通常の単体の板(単板)では、前記7000系などで、Mgを10質量%まで、あるいはZnを30質量%までなど、本発明のように高合金化した場合には、延性が極端に低下して、圧延割れなどを起こして圧延できなくなる。
これに対して、本発明では、薄板同士の、しかも組成の互いに異なる薄板同士の積層板(積層鋳塊)としているため、前記高合金化しても延性が高いので、薄板のクラッドまで冷間圧延を含めて、熱延可能である。すなわち、拡散熱処理を施される前までの本発明クラッド板は、通常の圧延工程により、圧延クラッド板として製造できる点が利点でもある。
このため、圧延によりクラッド板とする前に、Mg、Znの1種または2種を規定する範囲で含むアルミニウム合金鋳塊あるいは板同士であって、MgかZnかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金鋳塊あるいは板同士を、互いに5〜15枚積層(クラッド)する。そして、通常の圧延工程と同様に、必要に応じて均質化熱処理を施した後で、熱間圧延してクラッド板とできる。
前記板厚範囲で更に薄肉化するためには、これに加えて、中間焼鈍を必要により施しながら、冷間圧延する。これら圧延クラッド板に、必要により調質(焼鈍、溶体化などの熱処理)を施して、本発明クラッド板を製造する。
ここで、各アルミニウム合金鋳塊を各々別個に均質化熱処理した後に、互いに重ね合わせて積層した鋳塊を、熱延温度に再加熱後に熱間圧延しても良い。或いは、各アルミニウム合金鋳塊を各々別個に均質化熱処理した後に各々別個に熱間圧延を行い、さらに必要に応じて各々別個に中間焼鈍或いは冷間圧延を施して、各々別個に適当な板厚とした後に、互いに重ねあわせて積層した板材を、さらに冷間圧延を施してクラッド板とする工程でも良い。
ここで、各アルミニウム合金鋳塊を各々別個に均質化熱処理した後に、互いに重ね合わせて積層した鋳塊を、熱延温度に再加熱後に熱間圧延しても良い。或いは、各アルミニウム合金鋳塊を各々別個に均質化熱処理した後に各々別個に熱間圧延を行い、さらに必要に応じて各々別個に中間焼鈍或いは冷間圧延を施して、各々別個に適当な板厚とした後に、互いに重ねあわせて積層した板材を、さらに冷間圧延を施してクラッド板とする工程でも良い。
本発明のクラッド板全体の板厚を1〜5mmの比較的薄い範囲とするのは、この範囲が、前記した輸送機の構造部材で汎用されている板厚範囲ゆえである。板厚が1mm未満であれば、構造部材として必要な剛性、強度、加工性、溶接性などの必要特性を満たさない。一方、板厚が5mmを超えた場合には、輸送機の構造部材へのプレス成形が困難となり、また重量増加によって、前記した輸送機の構造部材として必要な軽量化が図れない。
前記圧延クラッド法によって、最終的なクラッド板全体の板厚を1〜5mmとするための、前記鋳塊の厚み(板厚)は、積層する枚数(層数)や圧延率などにも勿論よるが、50〜200mm程度である。また、最終的なクラッド板全体の板厚が1〜5mmの場合の、積層された各合金層の厚みは、積層する枚数(層数)にもよるが0.05〜2.0mm(50〜2000μm)程度である。
また、単体で均質化熱処理、熱間圧延、または冷間圧延を施した後に、積層して冷間圧延工程でクラッド板とするプロセスの場合、積層する段階の各板材の厚みは、積層する枚数(層数)や圧延率などにも勿論よるが、0.5〜5.0mm程度である。
また、単体で均質化熱処理、熱間圧延、または冷間圧延を施した後に、積層して冷間圧延工程でクラッド板とするプロセスの場合、積層する段階の各板材の厚みは、積層する枚数(層数)や圧延率などにも勿論よるが、0.5〜5.0mm程度である。
(拡散熱処理)
所定の板厚とした、前記冷延後に、調質(調質処理)として、拡散熱処理を行う。この拡散熱処理は、冷延後や、冷延後の一連の調質の一環として、溶体化処理・焼入れ処理などの後に実施してもよく、クラッド圧延後の荒鈍、あるいは所定の板厚に冷間圧延を行う途中の中間焼鈍工程で実施してもよい。
なお、工程としては、拡散熱処理をいずれかの段階で実施した後に、成形試験前に溶体化処理を施す工程でもよい。この場合、溶体化処理後の平均冷却速度を溶体化処理温度から100℃までの温度域を35℃/秒以上、100℃から室温までの温度域を30℃/秒以下とすることで、拡散熱処理の後述する効果を阻害せずに、拡散熱処理のみを施す場合と同様な効果が得られる。
また、構造部材に成形後に、人工時効処理前(塗装焼き付け処理前)の段階で拡散熱処理を施しても良い。
所定の板厚とした、前記冷延後に、調質(調質処理)として、拡散熱処理を行う。この拡散熱処理は、冷延後や、冷延後の一連の調質の一環として、溶体化処理・焼入れ処理などの後に実施してもよく、クラッド圧延後の荒鈍、あるいは所定の板厚に冷間圧延を行う途中の中間焼鈍工程で実施してもよい。
なお、工程としては、拡散熱処理をいずれかの段階で実施した後に、成形試験前に溶体化処理を施す工程でもよい。この場合、溶体化処理後の平均冷却速度を溶体化処理温度から100℃までの温度域を35℃/秒以上、100℃から室温までの温度域を30℃/秒以下とすることで、拡散熱処理の後述する効果を阻害せずに、拡散熱処理のみを施す場合と同様な効果が得られる。
また、構造部材に成形後に、人工時効処理前(塗装焼き付け処理前)の段階で拡散熱処理を施しても良い。
但し、この拡散熱処理の条件は、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有し、このような元素の拡散によって、これらMg、Znなどで形成する新たな複合析出物(時効析出物)を、互いの接合界面部に析出させるために、非常に重要となる。
すなわち、この拡散熱処理によって、クラッドされたアルミニウム合金層毎に、前記X線小角散乱法によって測定される、そのサイズと量とを規定する特定の範囲に制御して、素材アルミニウム合金クラッド板に、高強度化と高成形性とを兼備させるとともに、成形後のアルミニウム合金クラッド構造部材ともども、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができる、BH性も優れさせることができる。
すなわち、この拡散熱処理によって、クラッドされたアルミニウム合金層毎に、前記X線小角散乱法によって測定される、そのサイズと量とを規定する特定の範囲に制御して、素材アルミニウム合金クラッド板に、高強度化と高成形性とを兼備させるとともに、成形後のアルミニウム合金クラッド構造部材ともども、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができる、BH性も優れさせることができる。
このために、この拡散熱処理条件は、460℃以上、550℃以下の加熱温度範囲で、10分以上100時間以下の保持時間の範囲で実施する。
高温、長時間ほど拡散が進行し、強度増大効果が向上し、温度が460℃未満、保持時間が10分未満では、拡散熱処理が不十分となり、前記X線小角散乱法によって測定される析出物のサイズや量が、その規定する下限を満たさない可能性が生じる。
ただ、加熱温度が550℃を超え、また、保持時間が100時間を超えては、拡散の進行によって表層側までZnの拡散が顕著となり、前記X線小角散乱法によって測定されるサイズや量が、その上限を超えて、固溶Mgによる延性向上効果を阻害する。また、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μmを超える可能性もある。
高温、長時間ほど拡散が進行し、強度増大効果が向上し、温度が460℃未満、保持時間が10分未満では、拡散熱処理が不十分となり、前記X線小角散乱法によって測定される析出物のサイズや量が、その規定する下限を満たさない可能性が生じる。
ただ、加熱温度が550℃を超え、また、保持時間が100時間を超えては、拡散の進行によって表層側までZnの拡散が顕著となり、前記X線小角散乱法によって測定されるサイズや量が、その上限を超えて、固溶Mgによる延性向上効果を阻害する。また、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μmを超える可能性もある。
更に、前記条件での拡散熱処理後は、遅滞なく、直ちに急冷するが、この冷却は、板の温度領域に応じた、以下の2段階の冷却速度で行うことが好ましい。
すなわち、先ず、1段目の冷却として、板が拡散熱処理温度から100℃になるまでの高温側の温度域の平均冷却速度を35℃/秒以上で急冷する。この急冷手段自体は公知の水冷や空冷を問わない。
そして、さらに、続く2段目の冷却として、板が100℃の温度から室温になるまでの温度域を30℃/秒以下の比較的遅い平均冷却速度で冷却する。
このように、拡散熱処理温度から室温までの温度域を、100℃を境として、高温側を急冷、低温側を緩冷とする、上記2段階の平均冷却速度で冷却することが好ましい。
これによって、各アルミニウム合金層や相互拡散領域において、人工時効処理(塗装焼付硬化熱処理)時の時効析出物形成に必要な過飽和固溶状態の形成、および時効析出を促進する原子空孔が凍結される。さらに、100℃から室温までの温度域を上記平均冷却速度に制御することで、所望の特性を得るための時効析出物の形態が得られる。これらの冷却過程の制御によって、所望のBH性が得られる。
前記1段目の冷却速度が35℃/秒未満か、前記2段目の冷却速度が30℃/秒を超えた場合には、前記X線小角散乱法によって測定される析出物のサイズや量が、その規定する下限を満たさない可能性が生じる。
ここで、板が拡散熱処理温度から100℃になるまでの1段目の温度域を、より好ましくは60℃/秒以上、さらに好ましくは100℃/秒以上、および、板が100℃から室温になるまでの2段目の温度域を、より好ましくは20℃/秒以下、さらに好ましくは15℃/秒以下で行うことで、より好ましい特性が得られる。
すなわち、先ず、1段目の冷却として、板が拡散熱処理温度から100℃になるまでの高温側の温度域の平均冷却速度を35℃/秒以上で急冷する。この急冷手段自体は公知の水冷や空冷を問わない。
そして、さらに、続く2段目の冷却として、板が100℃の温度から室温になるまでの温度域を30℃/秒以下の比較的遅い平均冷却速度で冷却する。
このように、拡散熱処理温度から室温までの温度域を、100℃を境として、高温側を急冷、低温側を緩冷とする、上記2段階の平均冷却速度で冷却することが好ましい。
これによって、各アルミニウム合金層や相互拡散領域において、人工時効処理(塗装焼付硬化熱処理)時の時効析出物形成に必要な過飽和固溶状態の形成、および時効析出を促進する原子空孔が凍結される。さらに、100℃から室温までの温度域を上記平均冷却速度に制御することで、所望の特性を得るための時効析出物の形態が得られる。これらの冷却過程の制御によって、所望のBH性が得られる。
前記1段目の冷却速度が35℃/秒未満か、前記2段目の冷却速度が30℃/秒を超えた場合には、前記X線小角散乱法によって測定される析出物のサイズや量が、その規定する下限を満たさない可能性が生じる。
ここで、板が拡散熱処理温度から100℃になるまでの1段目の温度域を、より好ましくは60℃/秒以上、さらに好ましくは100℃/秒以上、および、板が100℃から室温になるまでの2段目の温度域を、より好ましくは20℃/秒以下、さらに好ましくは15℃/秒以下で行うことで、より好ましい特性が得られる。
但し、当然ながら、積層するアルミニウム合金層の組成や、積層数、積層する組み合わせによって、拡散熱処理によるアルミニウム合金層同士のMgとZnの相互拡散や、拡散熱処理後の平均結晶粒径は大きく異なる。
このため、積層するアルミニウム合金層の前記条件によっては、前記条件範囲内であっても、温度が低すぎたり、保持時間が短すぎたりして、前記アルミニウム合金層同士のMgとZnの相互拡散が不足し、前記X線小角散乱法によって規定されるサイズや量とならない場合がある。
したがって、積層するアルミニウム合金層の組成や、積層数、積層する組み合わせに応じて、後述する実施例の通り、拡散熱処理の温度や時間の最適な条件を求めて(選択して)、精緻に制御する必要がある。
この点で、前記特許文献4では、その実施例の通り、450℃×1時間の拡散熱処理を施しており、拡散熱処理温度が低く、拡散熱処理温度から室温までの平均冷却速度が不明であり、アルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材を、前記特定のX線小角散乱法によって規定される組織(析出部のサイズや量)とすることができておらず、前記短時間での人工時効硬化処理を施した際のBH性を保証できない可能性がある。
このため、積層するアルミニウム合金層の前記条件によっては、前記条件範囲内であっても、温度が低すぎたり、保持時間が短すぎたりして、前記アルミニウム合金層同士のMgとZnの相互拡散が不足し、前記X線小角散乱法によって規定されるサイズや量とならない場合がある。
したがって、積層するアルミニウム合金層の組成や、積層数、積層する組み合わせに応じて、後述する実施例の通り、拡散熱処理の温度や時間の最適な条件を求めて(選択して)、精緻に制御する必要がある。
この点で、前記特許文献4では、その実施例の通り、450℃×1時間の拡散熱処理を施しており、拡散熱処理温度が低く、拡散熱処理温度から室温までの平均冷却速度が不明であり、アルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材を、前記特定のX線小角散乱法によって規定される組織(析出部のサイズや量)とすることができておらず、前記短時間での人工時効硬化処理を施した際のBH性を保証できない可能性がある。
(アルミニウム合金)
拡散熱処理前のクラッド(構造部材あるいは構造部材への成形前の素材板)における、アルミニウム合金層の組成を、以下に説明する。
前記最表層側(両方の最外側)のアルミニウム合金層は、前記した通り、Al−Mg系など、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、耐食性を大きく低下させないために、Zn含有量を2質量%以下(0質量%を含む)に抑制したアルミニウム合金層とする。
これに対して、前記最表層側のアルミニウム合金層よりも内側の、複数層あるいは3〜13層積層されたアルミニウム合金層の組成は、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むものとする。すなわち、クラッド(積層)される前のアルミニウム合金板や鋳塊、あるいはクラッドされたアルミニウム合金層の組成は、Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むものとする。
但し、前記最表層側のアルミニウム合金層よりも内側のアルミニウム合金層の組成で、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の2種を含む(3元系の)場合には、クラッド全体の強度を向上させるあるいは確保するために、Znの含有量をMgの含有量よりも多くすることが好ましい。
拡散熱処理前のクラッド(構造部材あるいは構造部材への成形前の素材板)における、アルミニウム合金層の組成を、以下に説明する。
前記最表層側(両方の最外側)のアルミニウム合金層は、前記した通り、Al−Mg系など、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、耐食性を大きく低下させないために、Zn含有量を2質量%以下(0質量%を含む)に抑制したアルミニウム合金層とする。
これに対して、前記最表層側のアルミニウム合金層よりも内側の、複数層あるいは3〜13層積層されたアルミニウム合金層の組成は、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むものとする。すなわち、クラッド(積層)される前のアルミニウム合金板や鋳塊、あるいはクラッドされたアルミニウム合金層の組成は、Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むものとする。
但し、前記最表層側のアルミニウム合金層よりも内側のアルミニウム合金層の組成で、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の2種を含む(3元系の)場合には、クラッド全体の強度を向上させるあるいは確保するために、Znの含有量をMgの含有量よりも多くすることが好ましい。
また、拡散熱処理前のクラッド(構造部材あるいは構造部材への成形前の素材板)の、前記アルミニウム合金クラッド板全体のMgとZnとの各平均含有量は、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲とする。
そして、前記組成のアルミニウム合金層(板)同士であって、少なくともMgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層(板)同士が互いに積層され、前記アルミニウム合金クラッド板全体として、MgとZnとを各々前記含有量範囲で含むことが、成形性と強度との兼備の上で必要となる。
(アルミニウム合金層の組成)
これらMg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むアルミニウム合金層とは、Al−Zn系、Al−Mg系の2元系アルミニウム合金であっても良い。また、これら2元系に、更に、Zn、MgやCu、Zr、Agの選択的添加元素を加えた、Al−Zn−Mg系、Al−Zn−Cu系、Al−Mg−Cu系などの3元系、Al−Zn−Cu−Zrなどの4元系、Al−Zn−Mg―Cu−Zrなどの5元系などであっても良い。
これらMg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むアルミニウム合金層とは、Al−Zn系、Al−Mg系の2元系アルミニウム合金であっても良い。また、これら2元系に、更に、Zn、MgやCu、Zr、Agの選択的添加元素を加えた、Al−Zn−Mg系、Al−Zn−Cu系、Al−Mg−Cu系などの3元系、Al−Zn−Cu−Zrなどの4元系、Al−Zn−Mg―Cu−Zrなどの5元系などであっても良い。
これらのアルミニウム合金層を、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接して接合するように、互いに組み合わせて積層し、クラッド板全体としてはMgとZnとを、あるいはCu、Zr、Agの選択的添加元素などを、前記平均含有量範囲で含むように、所定枚数積層する。
以下に、クラッドされるアルミニウム合金層やクラッド板の組成としての、各元素の含有あるいは規制する意味につき個別に説明する。なお、クラッド板としての組成の場合は、各元素の含有量を、アルミニウム合金層の各元素の含有量から、積層される各板(全部の板)の各々の元素の含有量の平均値であると読み替える。含有量に関する以下の%表示は全て質量%の意味である。
Mg:3〜10%
前記最表層側のアルミニウム合金層や、これよりも内側に積層されたアルミニウム合金層での、必須の合金元素であるMgは、Znとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性(成形性や延性)を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Mg含有量が3%未満では強度が不足し、10%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。
前記最表層側のアルミニウム合金層や、これよりも内側に積層されたアルミニウム合金層での、必須の合金元素であるMgは、Znとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性(成形性や延性)を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Mg含有量が3%未満では強度が不足し、10%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。
Zn:5〜30%
前記内側に積層されたアルミニウム合金層での、必須の合金元素であるZnは、Mgとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性(成形性や延性)を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Zn含有量が5%未満では強度が不足し、強度と成形性とのバランスも低下する。一方Znが30%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。製造可能な場合でも、粒界析出物MgZn2が増えて粒界腐食が起こりやすくなり、耐食性が著しく劣化するし、成形性も低下する。
前記内側に積層されたアルミニウム合金層での、必須の合金元素であるZnは、Mgとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性(成形性や延性)を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Zn含有量が5%未満では強度が不足し、強度と成形性とのバランスも低下する。一方Znが30%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。製造可能な場合でも、粒界析出物MgZn2が増えて粒界腐食が起こりやすくなり、耐食性が著しく劣化するし、成形性も低下する。
Cu、Zr、Agのうちの1種または2種以上
前記最表層側のアルミニウム合金層や、これよりも内側に積層されたアルミニウム合金層での、Cu、Zr、Agは、作用機構に多少の差はあるが、共にクラッド板やクラッド構造部材の強度を向上させる同効元素であり、必要により含有させる。
Cuは強度向上効果の他に、少量での耐食性向上効果もある。Zrは鋳塊及びクラッド板の結晶粒微細化によって、Agはクラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面に形成される時効析出物の微細化によって、各々少量の含有でも強度向上効果がある。
ただ、これらCu、Zr、Agの含有量が多すぎると、クラッド板の製造が困難になったり、製造可能でも、耐SCC性などの耐食性が却って低下したり、延性や強度特性が却って低下するなどの、種々の問題が生じる。したがって、これらを選択的に含有させる場合は、Cu:0.5〜5質量%、Zr:0.3質量%以下(但し0%を含まず)、Ag:0.8質量%以下(但し0%を含まず)とする。
前記最表層側のアルミニウム合金層や、これよりも内側に積層されたアルミニウム合金層での、Cu、Zr、Agは、作用機構に多少の差はあるが、共にクラッド板やクラッド構造部材の強度を向上させる同効元素であり、必要により含有させる。
Cuは強度向上効果の他に、少量での耐食性向上効果もある。Zrは鋳塊及びクラッド板の結晶粒微細化によって、Agはクラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面に形成される時効析出物の微細化によって、各々少量の含有でも強度向上効果がある。
ただ、これらCu、Zr、Agの含有量が多すぎると、クラッド板の製造が困難になったり、製造可能でも、耐SCC性などの耐食性が却って低下したり、延性や強度特性が却って低下するなどの、種々の問題が生じる。したがって、これらを選択的に含有させる場合は、Cu:0.5〜5質量%、Zr:0.3質量%以下(但し0%を含まず)、Ag:0.8質量%以下(但し0%を含まず)とする。
その他の元素:
これら記載した以外のその他の元素は、前記最表層側のアルミニウム合金層や、これよりも内側に積層されたアルミニウム合金層での、不可避的不純物である。溶解原料として、純アルミニウム地金以外に、アルミニウム合金スクラップの使用による、これら不純物元素の混入なども想定(許容)して含有を許容する。具体的には、Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下、Li:0.1%以下、Mn:0.5%以下、Cr:0.3%以下、Sn:0.1%以下、Ti:0.1%以下の、各々の含有量であれば、本発明に係るクラッド板の延性や強度特性を低下させず、含有が許容される。
これら記載した以外のその他の元素は、前記最表層側のアルミニウム合金層や、これよりも内側に積層されたアルミニウム合金層での、不可避的不純物である。溶解原料として、純アルミニウム地金以外に、アルミニウム合金スクラップの使用による、これら不純物元素の混入なども想定(許容)して含有を許容する。具体的には、Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下、Li:0.1%以下、Mn:0.5%以下、Cr:0.3%以下、Sn:0.1%以下、Ti:0.1%以下の、各々の含有量であれば、本発明に係るクラッド板の延性や強度特性を低下させず、含有が許容される。
(クラッド板全体の組成)
本発明では、前記アルミニウム合金層の組成とともに、前記拡散熱処理前のクラッド板全体の平均組成として、MgとZnの平均含有量を規定する。
このクラッド板全体のMgとZnの平均含有量は、積層された前記各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を、前記したクラッド比率に対応した重み付けを行った加重相加平均値として求める。そして、この加重相加平均値として、クラッド板全体のMgとZnの平均含有量を、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲で含むものとする。
すなわち、クラッド板全体の平均組成として、Mg、Znの1種または2種を前記規定する平均含有量範囲で各々含み、これに更に、Cu、Zr、Agのうちの1種または2種以上を選択的に含有し、残部をアルミニウムおよび不可避的不純物とした組成からなるものとする。
本発明では、前記アルミニウム合金層の組成とともに、前記拡散熱処理前のクラッド板全体の平均組成として、MgとZnの平均含有量を規定する。
このクラッド板全体のMgとZnの平均含有量は、積層された前記各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を、前記したクラッド比率に対応した重み付けを行った加重相加平均値として求める。そして、この加重相加平均値として、クラッド板全体のMgとZnの平均含有量を、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲で含むものとする。
すなわち、クラッド板全体の平均組成として、Mg、Znの1種または2種を前記規定する平均含有量範囲で各々含み、これに更に、Cu、Zr、Agのうちの1種または2種以上を選択的に含有し、残部をアルミニウムおよび不可避的不純物とした組成からなるものとする。
ここで、クラッド板全体のMgとZnの平均含有量は、クラッド板の各アルミニウム合金層を構成する各々のアルミニウム合金のMg、Znの含有量に、当該アルミニウム合金層のクラッド比率に対応した重み付けを行って求めた加重相加平均値とする。なお、クラッド比率とは、例えば5層のアルミニウム合金クラッド板において、各アルミニウム合金層が均等な厚みであれば、各アルミニウム合金層のクラッド比率は全て20%となる。 このクラッド比率を用いて、Mg、Znの含有量の加重相加平均値を算出し、クラッド板全体のMgとZnの平均含有量とする。
このクラッド板全体の平均組成として、Mg、Znの含有量の各々の平均含有量が少なすぎて、前記各下限値未満となった場合、クラッド板が500℃×2時間の拡散熱処理を施した後の組織として、Mg、Znなどの積層した互いの板の組織への拡散が不足する。 この結果、この拡散によって、これらMg、Znなどで形成する新たな複合析出物(時効析出物)の、互いの接合界面部への析出量が不足する。このため、MgとZnの相互拡散領域の前記板厚方向での合計の厚さが薄くなりすぎて、前記アルミニウム合金クラッド板を高強度化できない。具体的には、人工時効処理後のアルミニウム合金クラッド構造部材の強度として、400MPa以上の0.2%耐力を有することができなくなる。
一方、このクラッド板全体の平均組成として、Mg、Znの含有量の各々の平均含有量が多すぎて、前記各上限値を超えた場合、クラッド板の延性が著しく低下する。したがって、前記構造部材用の7000系アルミニウム合金板や超々ジュラルミン板、2000系アルミニウム合金板や8000系アルミニウム合金板と同等のレベルに、プレス成形性が低下して、クラッド板とする意味が無くなる。
本発明は、構造部材用の7000系、超々ジュラルミン(Al-5.5%Zn-2.5%Mg合金)、2000系、8000系などのアルミニウム合金板の代替を意図している。すなわち、成形素材としてのクラッド板の段階では、これら高強度材の延性を大きく向上させるとともに、構造部材に成形後に、拡散熱処理や人工時効処理によって、これら従来の単板からなる高強度材並みに、高強度化させることを主眼としている。このため、最終的なクラッド板の組成は、クラッド板全体の組成として、前記構造部材用の7000系アルミニウム合金板や超々ジュラルミン板、2000系アルミニウム合金板や8000系アルミニウム合金板の組成と同一か、あるいは、これに近似する組成とする必要がある。
したがって、このような観点からも、本発明のクラッド板の組成を、従来の構造用の7000系、超々ジュラルミン、2000系、8000系などのアルミニウム合金板の単板に近づけることの意義がある。すなわち、これら従来のアルミニウム合金板の主要元素である、Mg、Znの1種または2種を、Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の範囲で各々含むことの意義がある。
この点で、本発明クラッド板あるいはアルミニウム合金層は、前記従来のアルミニウム合金板の組成でも、選択的に含まれているSiやLiを含んでも良い。
この点で、本発明クラッド板あるいはアルミニウム合金層は、前記従来のアルミニウム合金板の組成でも、選択的に含まれているSiやLiを含んでも良い。
(クラッド構造部材の組織)
本発明では、以上のように合金組成自体や、合金組成の組み合わせとした上で、拡散熱処理後で、人工時効硬化処理(T6処理)前の、アルミニウム合金クラッド板や、これを成形したアルミニウム合金クラッド構造部材の組織を規定する。
本発明では、以上のように合金組成自体や、合金組成の組み合わせとした上で、拡散熱処理後で、人工時効硬化処理(T6処理)前の、アルミニウム合金クラッド板や、これを成形したアルミニウム合金クラッド構造部材の組織を規定する。
拡散熱処理によって、クラッドしたアルミニウム合金層が含むMg、Znを、積層した(接合した)アルミニウム合金層同士で相互拡散させる。
このような元素の相互拡散によって、これらMg、Znなどで形成する、Zn−Mg系の新たな微細複合析出物(時効析出物)を互いの接合界面部に、高密度に析出させて、界面部組織制御(ナノレベルのサイズの微細析出物の超高密度分散)を行う。
このような元素の相互拡散によって、これらMg、Znなどで形成する、Zn−Mg系の新たな微細複合析出物(時効析出物)を互いの接合界面部に、高密度に析出させて、界面部組織制御(ナノレベルのサイズの微細析出物の超高密度分散)を行う。
そして、前記アルミニウム合金クラッド構造部材の前提となる組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下とするとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有するものとする。
(相互拡散組織)
本発明でいう元素の相互拡散組織は、アルミニウム合金層の平均結晶粒径とともに、前記拡散熱処理が施された後の、アルミニウム合金クラッド板あるいはアルミニウム合金クラッド構造部材の組織である。このような組織は、素材のアルミニウム合金クラッド板を成形して構造部材とせずとも、素材のアルミニウム合金クラッド板の段階で、判別、評価できる。
本発明でいう元素の相互拡散組織は、アルミニウム合金層の平均結晶粒径とともに、前記拡散熱処理が施された後の、アルミニウム合金クラッド板あるいはアルミニウム合金クラッド構造部材の組織である。このような組織は、素材のアルミニウム合金クラッド板を成形して構造部材とせずとも、素材のアルミニウム合金クラッド板の段階で、判別、評価できる。
アルミニウム合金層が含むMg、Znを、積層したアルミニウム合金層同士で相互拡散させるためには、前提として、互いに積層されるアルミニウム合金層は、Mg、Znの1種または2種を規定する範囲で各々含むアルミニウム合金層同士であって、少なくともMgかZnの互いの含有量が異なるアルミニウム合金層同士である必要がある。
すなわち、互いに同じMg、Znの含有量では、互いの層の、その他の元素の含有量が例え違ったとしても、このMgとZnとの接合された層同士の相互拡散が生じないため、MgとZnとの新たな微細複合析出物(時効析出物)を互いの接合界面部に、高密度に析出させることができない。
すなわち、互いに同じMg、Znの含有量では、互いの層の、その他の元素の含有量が例え違ったとしても、このMgとZnとの接合された層同士の相互拡散が生じないため、MgとZnとの新たな微細複合析出物(時効析出物)を互いの接合界面部に、高密度に析出させることができない。
したがって、前記クラッドするアルミニウム合金層のMg、Znを多く含む前記特定の組成とすることや、互いに積層、接合される層を、少なくともMgかZnの互いの含有量が異なるアルミニウム合金層同士とすることは、単に延性の観点からだけではなく、拡散熱処理によって、前記元素の拡散による複合析出物が互いの接合界面部に析出させて高強度化するための組成でもある。
(平均結晶粒径)
本発明では、このような、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有していることによる高強度化メカニズムの発現を保証するために、前記拡散熱処理後で、人工時効硬化処理(T6処理)前のアルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材の組織として、積層された前記アルミニウム合金層(板厚中心部)の平均結晶粒径がいずれも200μm以下とする。
本発明では、このような、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有していることによる高強度化メカニズムの発現を保証するために、前記拡散熱処理後で、人工時効硬化処理(T6処理)前のアルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材の組織として、積層された前記アルミニウム合金層(板厚中心部)の平均結晶粒径がいずれも200μm以下とする。
これは、前記拡散熱処理や、続く人工時効硬化処理(T6処理)によっても、積層された前記各アルミニウム合金層(板厚中心部)の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径を、200μmを超える値に粗大化させないようにすることを意味する。
積層された前記各アルミニウム合金層(板厚中心部)の結晶粒径の全てを平均化した平均結晶粒径が200μmを超えた場合、積層されたアルミニウム合金層のうちの多くの結晶粒径が200μmを超えて粗大化していることを意味する。
このため、前記T6処理や、更に塗装焼き付け処理を施された後のアルミニウム合金クラッド構造部材が400MPa以上の0.2%耐力を有することができなくなる可能性が生じる。
積層された前記各アルミニウム合金層(板厚中心部)の結晶粒径の全てを平均化した平均結晶粒径が200μmを超えた場合、積層されたアルミニウム合金層のうちの多くの結晶粒径が200μmを超えて粗大化していることを意味する。
このため、前記T6処理や、更に塗装焼き付け処理を施された後のアルミニウム合金クラッド構造部材が400MPa以上の0.2%耐力を有することができなくなる可能性が生じる。
本発明クラッド板の厚みや積層のために組み合わせる各々のアルミニウム合金層の厚みが厚い場合には、1層当たりのアルミニウム合金層の平均結晶粒径の、強度や成形性への寄与は小さくなる。しかし、本発明では、アルミニウム合金層同士が互いに5〜15層(枚)積層(クラッド)されており、かつ、これら積層されたクラッド板全体の板厚が1〜5mmの薄板であるので、1層当たりのアルミニウム合金層の平均結晶粒径の、強度や成形性への寄与が著しく大きくなる。
(板厚方向における析出物の分布状態)
更に、本発明では、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができるように、BH性を向上させるために、前記拡散熱処理後で、人工時効硬化処理(T6処理)前のアルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材の、板厚方向における析出物の分布状態を更に規定することを特徴とする。
すなわち、前記拡散熱処理の条件の選定によって、素材アルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材の、前記拡散熱処理後の、板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、特定の前記アルミニウム合金層の、析出物のサイズを示すX線小角散乱法で測定された慣性半径Rgと、前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき制御する。
これによって、素材板の段階では高成形性を有し、かつ、前記した高温短時間の人工時効処理では必要な高強度を得ることができるBH性を有することができる。
更に、本発明では、自動車などの構造部材で使用されている高温短時間の人工時効処理でも必要な高強度を得ることができるように、BH性を向上させるために、前記拡散熱処理後で、人工時効硬化処理(T6処理)前のアルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材の、板厚方向における析出物の分布状態を更に規定することを特徴とする。
すなわち、前記拡散熱処理の条件の選定によって、素材アルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材の、前記拡散熱処理後の、板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、特定の前記アルミニウム合金層の、析出物のサイズを示すX線小角散乱法で測定された慣性半径Rgと、前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき制御する。
これによって、素材板の段階では高成形性を有し、かつ、前記した高温短時間の人工時効処理では必要な高強度を得ることができるBH性を有することができる。
具体的には、先ず、素材板やクラッド構造部材の、前記拡散熱処理後の、板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、前記各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す、X線小角散乱法で測定された慣性半径Rgにつき規定する。
すなわち、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多い(Zn含有量よりも多い)アルミニウム合金層の、板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲とする。
と同時に、前記アルミニウム合金層のうち、Zn含有量が最も多い(Mg含有量よりも多い)アルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgを1.0〜3.0nmの範囲とする。
前記平均慣性半径Rgが0.3nm未満か、前記平均慣性半径Rgが1.0nm未満では、析出物のサイズが小さすぎて、BH性に寄与しなくなる。
一方、前記平均慣性半径Rgが2.0nmを超えるか、あるいは、前記平均慣性半径Rgが3.0nmを超えると、前記拡散熱処理後の強度が極端に増大し、延性が低下する。さらに、すでに前記拡散熱処理時の時効析出が促進されているため、その後のBH性に寄与しなくなる。
すなわち、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多い(Zn含有量よりも多い)アルミニウム合金層の、板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲とする。
と同時に、前記アルミニウム合金層のうち、Zn含有量が最も多い(Mg含有量よりも多い)アルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgを1.0〜3.0nmの範囲とする。
前記平均慣性半径Rgが0.3nm未満か、前記平均慣性半径Rgが1.0nm未満では、析出物のサイズが小さすぎて、BH性に寄与しなくなる。
一方、前記平均慣性半径Rgが2.0nmを超えるか、あるいは、前記平均慣性半径Rgが3.0nmを超えると、前記拡散熱処理後の強度が極端に増大し、延性が低下する。さらに、すでに前記拡散熱処理時の時効析出が促進されているため、その後のBH性に寄与しなくなる。
同時に、前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す、前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき、前記アルミニウム合金層のうち、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Mg]を1000〜5000の範囲とする。
と同時に、前記アルミニウム合金層のうち、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]を、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲とする。
なお、ここで、前記平均散乱強度I0[Zn]、前記平均散乱強度I0[Mg]の、[Zn]、[Mg]とは、前記した通り、ZnやMgの平均散乱強度の意味ではなく、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層の平均散乱強度I0と、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層の平均散乱強度I0という、測定場所(測定位置)を意味する。
と同時に、前記アルミニウム合金層のうち、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]を、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲とする。
なお、ここで、前記平均散乱強度I0[Zn]、前記平均散乱強度I0[Mg]の、[Zn]、[Mg]とは、前記した通り、ZnやMgの平均散乱強度の意味ではなく、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層の平均散乱強度I0と、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層の平均散乱強度I0という、測定場所(測定位置)を意味する。
前記平均散乱強度I0[Mg]が1000未満か、前記平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0未満では、析出物のサイズが小さすぎて、BH性に寄与しなくなる。
一方、前記平均散乱強度I0[Mg]が5000を超えるか、前記平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で50.0を超えては、延性が低下する。
一方、前記平均散乱強度I0[Mg]が5000を超えるか、前記平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で50.0を超えては、延性が低下する。
この延性に関しては、アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層では、固溶Mg原子による効果で加工硬化特性が増大するため、転位の障害となるクラスタのサイズや形成量が小さくてもよい。
一方、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層では、Mgと異なり、固溶Zn原子は加工硬化特性向上に寄与しない。
そこで、本発明では、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層での、クラスタのサイズや形成量を適切な範囲に制御することで、クラスタハードニング効果を発揮させ、加工硬化特性を増大させ、延性を向上させる。
また、主に、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層で、焼付塗装相当熱処理(人工時効硬化処理)時の耐力増大効果を担うため、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層では、形成されるクラスタのサイズおよび形成量が比較的大きいほうがよく、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rg及び平均散乱強度I0[Zn]を前記規定範囲にそれぞれ制御することで、その効果が得られる。
一方、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層では、Mgと異なり、固溶Zn原子は加工硬化特性向上に寄与しない。
そこで、本発明では、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層での、クラスタのサイズや形成量を適切な範囲に制御することで、クラスタハードニング効果を発揮させ、加工硬化特性を増大させ、延性を向上させる。
また、主に、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層で、焼付塗装相当熱処理(人工時効硬化処理)時の耐力増大効果を担うため、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層では、形成されるクラスタのサイズおよび形成量が比較的大きいほうがよく、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rg及び平均散乱強度I0[Zn]を前記規定範囲にそれぞれ制御することで、その効果が得られる。
(測定対象となる析出物)
アルミニウム合金クラッド構造部材の板厚方向における、X線小角散乱法での測定対象となる析出物とは、主として、用いるアルミニウム合金組成での主要元素であるMg、Znからなる微細析出物(クラスタ)である。
この析出物は、アルミニウム合金層の合金組成によって、当然その組成が異なり、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層では、Mgを主体とし、かつ、これにアルミニウム合金層の合金組成に応じて、Znを含まないか、あるいはZnを含んで、前記した元素を選択的に含む(あるいは含まない)組成となる。
また、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層では、Znを主体とし、かつ、これにアルミニウム合金層の合金組成に応じて、Mgを含まないか、あるいはMgを含んで、前記した元素を選択的に含む(あるいは含まない)組成となる。
この点で、X線小角散乱法での測定対象となる析出物とは、組成によっては識別しない、アルミニウム合金層が含む、後述する条件によるX線小角散乱法での測定が可能な、全析出物(クラスタ)と言うことができる。
アルミニウム合金クラッド構造部材の板厚方向における、X線小角散乱法での測定対象となる析出物とは、主として、用いるアルミニウム合金組成での主要元素であるMg、Znからなる微細析出物(クラスタ)である。
この析出物は、アルミニウム合金層の合金組成によって、当然その組成が異なり、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層では、Mgを主体とし、かつ、これにアルミニウム合金層の合金組成に応じて、Znを含まないか、あるいはZnを含んで、前記した元素を選択的に含む(あるいは含まない)組成となる。
また、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層では、Znを主体とし、かつ、これにアルミニウム合金層の合金組成に応じて、Mgを含まないか、あるいはMgを含んで、前記した元素を選択的に含む(あるいは含まない)組成となる。
この点で、X線小角散乱法での測定対象となる析出物とは、組成によっては識別しない、アルミニウム合金層が含む、後述する条件によるX線小角散乱法での測定が可能な、全析出物(クラスタ)と言うことができる。
(X線小角散乱法での析出物測定方法)
本発明で制御する析出物とは、μm(ミリミクロン)レベルよりも小さい、nm(ナノメートル)レベルの析出物(クラスタ)のサイズと数であり、しかも、問題とするのが、積層された各アルミニウム合金層毎の析出物の分布状態である。
すなわち、本発明では、アルミニウム合金クラッド板あるいはアルミニウム合金クラッド構造部材の、板厚(深さ)方向の分布状態(変化)を、一定のピッチ(間隔)を持った、複数の深さ位置(想定点)で連続的に求める必要がある。
このためには、種々の公知の測定手段の内、X線小角散乱法を用いることが、精度や再現性、測定効率の点で好ましい。
以下に、X線小角散乱法による前記析出物の、各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す慣性半径Rgと、各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す散乱強度I0の測定、導出方法を説明する。
本発明で制御する析出物とは、μm(ミリミクロン)レベルよりも小さい、nm(ナノメートル)レベルの析出物(クラスタ)のサイズと数であり、しかも、問題とするのが、積層された各アルミニウム合金層毎の析出物の分布状態である。
すなわち、本発明では、アルミニウム合金クラッド板あるいはアルミニウム合金クラッド構造部材の、板厚(深さ)方向の分布状態(変化)を、一定のピッチ(間隔)を持った、複数の深さ位置(想定点)で連続的に求める必要がある。
このためには、種々の公知の測定手段の内、X線小角散乱法を用いることが、精度や再現性、測定効率の点で好ましい。
以下に、X線小角散乱法による前記析出物の、各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す慣性半径Rgと、各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す散乱強度I0の測定、導出方法を説明する。
通常の回折条件(散乱角2θが5〜10°以上の領域)では、Bragg条件を満たした回折ピークの広がりから結晶子サイズを求めることができ、金属材料研究では広く利用されている。
これに対し、小角散乱測定は、物質にX線を照射した際に、入射X線が物質内部の電子密度分布の情報を反映して、入射X線の周囲に発生する散乱X線を解析することで、物質中に存在する粒子や密度の不均一なナノメートルオーダーの構造情報を調べる代表的な手法である。
例えばアルミニウム合金などの金属材料であれば、アルミニウム合金中にnm(ナノメートル)オーダーの微細な析出物が存在すると、マトリックスと析出物の電子密度差に対応して、入射X線の周囲に散乱が発生する。
この散乱が発生する領域は、散乱角2θで3〜5°以下の領域であり、散乱体の持つ特徴的なスケール(平均的なサイズ、形状、界面構造に関する情報)を精度良く求めることができる。
X線小角散乱解析を行う上で、実空間でのスケールに相当するパラメータとして、散乱ベクトルq(あるいは文献によってはkやsを使用)(nm−1)を用いる。
q=(4π・sinθ)/λ
θ:散乱角(°)
λ:X線の波長(Å)
これに対し、小角散乱測定は、物質にX線を照射した際に、入射X線が物質内部の電子密度分布の情報を反映して、入射X線の周囲に発生する散乱X線を解析することで、物質中に存在する粒子や密度の不均一なナノメートルオーダーの構造情報を調べる代表的な手法である。
例えばアルミニウム合金などの金属材料であれば、アルミニウム合金中にnm(ナノメートル)オーダーの微細な析出物が存在すると、マトリックスと析出物の電子密度差に対応して、入射X線の周囲に散乱が発生する。
この散乱が発生する領域は、散乱角2θで3〜5°以下の領域であり、散乱体の持つ特徴的なスケール(平均的なサイズ、形状、界面構造に関する情報)を精度良く求めることができる。
X線小角散乱解析を行う上で、実空間でのスケールに相当するパラメータとして、散乱ベクトルq(あるいは文献によってはkやsを使用)(nm−1)を用いる。
q=(4π・sinθ)/λ
θ:散乱角(°)
λ:X線の波長(Å)
一般に、散乱ベクトルqの大きさの逆数が実空間のおよそのスケールに相当する。この散乱角θは、前述したように、およそ5°以下の範囲となり、X線の波長λは用いるX線源によって異なるが、例えば波長1.54ÅのX線の場合であれば、散乱ベクトルqはおよそ7nm−1以下の範囲となる。また、その散乱ベクトルqの定義から、qの値が大きいほど、小さなスケールに関する情報を与え、数Åから数10nm程度までの大きさを持つ散乱体(粒子、濃度ゆらぎなど)のサイズ、形状、分散状況についての情報を得ることができる。
特に、粒子のサイズに関する情報は、散乱ベクトルqが小さい領域の散乱強度プロファイルに反映され、散乱ベクトルqの小さい領域においては、粒子が球状と仮定した場合、散乱強度プロファイルIqとその粒子の慣性半径(あるいは回転半径)Rg、散乱強度I0は、以下の式で表される。
Iq=I0・exp(−Rg2・q2/3)
I0:均一な粒子においては、I0=V2[ρ(r)−ρ0]2
ここで、Vは粒子の体積、ρ(r)は粒子の電子密度、ρ0はマトリックスの平均電子密度であり、粒子の種類が同じであれば、粒子の電子密度は一定であり、粒子とマトリックスの電子密度差となるρ(r)−ρ0は定数となる。従い、I0は粒子の体積の2乗に比例し、この値から粒子の量を見積もることができる。
Iq=I0・exp(−Rg2・q2/3)
I0:均一な粒子においては、I0=V2[ρ(r)−ρ0]2
ここで、Vは粒子の体積、ρ(r)は粒子の電子密度、ρ0はマトリックスの平均電子密度であり、粒子の種類が同じであれば、粒子の電子密度は一定であり、粒子とマトリックスの電子密度差となるρ(r)−ρ0は定数となる。従い、I0は粒子の体積の2乗に比例し、この値から粒子の量を見積もることができる。
この式より、Iqの対数ln{Iq}とq2をプロットすることで、その傾きから、慣性半径Rgを、切片からI0を求めることができる。
なお、慣性半径Rgを求めるためにIqの対数ln{Iq}とq2のプロットを行うqの範囲は、通常はqとRgの積が2以下となるようなqの範囲でプロットを行う。
また、析出物が半径Rの球の場合は慣性半径Rgとの間に以下の関係が成り立つ。
Rg2=3/5・R2
したがって、析出物が球の場合は、慣性半径から実態の大きさを見積もることができる。また、この時のRをギニエ半径と呼ぶ。
なお、慣性半径Rgを求めるためにIqの対数ln{Iq}とq2のプロットを行うqの範囲は、通常はqとRgの積が2以下となるようなqの範囲でプロットを行う。
また、析出物が半径Rの球の場合は慣性半径Rgとの間に以下の関係が成り立つ。
Rg2=3/5・R2
したがって、析出物が球の場合は、慣性半径から実態の大きさを見積もることができる。また、この時のRをギニエ半径と呼ぶ。
(X線の散乱強度プロファイル)
X線小角散乱法により、前記析出物の慣性半径Rgや、散乱強度I0を導出するためには、前記した通り、各アルミニウム合金層の、X線小角散乱法で測定された、X線の散乱強度プロファイルを求める。
図3に、各アルミニウム合金層の板厚(厚さ)方向での測定点と、この測定点におけるX線小角散乱法で測定されたX線の散乱強度プロファイルを示す。この図3は、後述する表2の発明例6のものである。
図3において、上側の図の通り、測定対象のアルミニウム合金層は、横方向が各層の重なり方向、板厚(深さ)方向であり、アルミニウム合金層の延在方向を縦方向に示している。
この上側の図の通り、Mg含有量が最も多い、5質量%のMgを含むAl−5Mgのアルミニウム合金層(両側の最外層2層と真ん中の1層の合計3層)と、Zn含有量が最も多い、20質量%のZnを含むAl−20Znのアルミニウム合金層(Al−5Mgのアルミニウム合金層に各々が挟まれた合計2層)を合計5層、積層した板厚1mmのクラッド板(拡散熱処理後のクラッド構造部材を模擬)である。
この上側の図の通り、各アルミニウム合金層の板厚中心部を通るラインの測定点を〇印の連なりで示しており、各層の板厚中心部を黒丸で示している。
X線小角散乱法により、前記析出物の慣性半径Rgや、散乱強度I0を導出するためには、前記した通り、各アルミニウム合金層の、X線小角散乱法で測定された、X線の散乱強度プロファイルを求める。
図3に、各アルミニウム合金層の板厚(厚さ)方向での測定点と、この測定点におけるX線小角散乱法で測定されたX線の散乱強度プロファイルを示す。この図3は、後述する表2の発明例6のものである。
図3において、上側の図の通り、測定対象のアルミニウム合金層は、横方向が各層の重なり方向、板厚(深さ)方向であり、アルミニウム合金層の延在方向を縦方向に示している。
この上側の図の通り、Mg含有量が最も多い、5質量%のMgを含むAl−5Mgのアルミニウム合金層(両側の最外層2層と真ん中の1層の合計3層)と、Zn含有量が最も多い、20質量%のZnを含むAl−20Znのアルミニウム合金層(Al−5Mgのアルミニウム合金層に各々が挟まれた合計2層)を合計5層、積層した板厚1mmのクラッド板(拡散熱処理後のクラッド構造部材を模擬)である。
この上側の図の通り、各アルミニウム合金層の板厚中心部を通るラインの測定点を〇印の連なりで示しており、各層の板厚中心部を黒丸で示している。
図3において、右側の図はAl−20Znのアルミニウム合金層の板厚中心部のX線の散乱強度プロファイル、左側の図はAl−5Mgのアルミニウム合金層の板厚中心部のX線の散乱強度プロファイルを各々示す。そして、縦軸がX線の散乱強度(散乱X線の散乱強度)であり、横軸が散乱ベクトル(q/nm−1)である。
図3において、右側の図はAl−20Znのアルミニウム合金層の板厚中心部のX線の散乱強度プロファイルの、横軸の散乱ベクトルは、左側ほど大きく、右側ほど小さい。
右側の図では、横軸の散乱ベクトルが0.1q/nm−1近傍のX線散乱強度のピークに対して、このピークから減少する右側の稜線上の、横軸の散乱ベクトルが約0.5q/nm−1から3q/nm−1の間で、図の上側に凸なピークがあることが分かる。即ち、この右側の図の稜線形状は、Znに起因するクラスタの前記凸なピークがあるために、この部分で一端上昇した上で、図の右側に向かって下降している。
右側の図では、横軸の散乱ベクトルが0.1q/nm−1近傍のX線散乱強度のピークに対して、このピークから減少する右側の稜線上の、横軸の散乱ベクトルが約0.5q/nm−1から3q/nm−1の間で、図の上側に凸なピークがあることが分かる。即ち、この右側の図の稜線形状は、Znに起因するクラスタの前記凸なピークがあるために、この部分で一端上昇した上で、図の右側に向かって下降している。
これに対して、左側の図はAl−5Mgのアルミニウム合金層の板厚中心部のX線の散乱強度プロファイルであり、このようにZnを含まない場合の稜線形状には、前記した横軸の散乱ベクトルがさらに大きな領域(約0.8q/nm−1から4q/nm−1の間)で、図の上側に凸なピークが認められる。
前記した、横軸の散乱ベクトルが約0.5q/nm−1から3q/nm−1の間での、図3の右側の図、および約0.8q/nm−1から4q/nm−1の間での、図3の左側の図で、上側に凸なX線散乱強度のピークがそれぞれ生じるのは、Zn系クラスタが存在し、このZn系クラスタ間あるいはこのZn系クラスタ同士で、干渉し合うためである。
ここで、Zn系クラスタは、既知のη相やθ相、T相などがまだ準安定な状態として存在するZnクラスタである。したがって、この図のようなX線散乱強度のピークは、Znクラスタの存在を示している。
ここで、Zn系クラスタは、既知のη相やθ相、T相などがまだ準安定な状態として存在するZnクラスタである。したがって、この図のようなX線散乱強度のピークは、Znクラスタの存在を示している。
このような図3のX線の散乱強度プロファイルを解析して、Mg、Znクラスタ(析出物)の慣性半径Rgおよび散乱強度I0を求める解析方法(解析ソフト)は、例えばSchmidtraniらによる公知の解析方法を用いる(I.S.Fedorovaand P.Schmidt:J.Appl.Cryst.11、405、1978参照)。
以上説明したZnクラスタ(析出物)の慣性半径Rgおよび散乱強度I0の求め方は、金属のX線の散乱強度プロファイルからの析出物の特徴的なスケール(平均的なサイズ、形状、界面構造に関する情報)の定量的な求め方を記載した、奥田浩司:日本結晶学会、第41巻、第6号(1999)、327〜334頁や、松岡秀樹:日本結晶学会誌、第41巻、第4号(1999)、213〜226頁、大沼正人:金属、第73巻、第12号(2003)、1233〜1240頁、あるいは大沼正人:金属、第74巻、第1号(2004)、79〜86頁に記載されている。
微小析出物(MgZnクラスタ)の粒度分布:
図1、2に、このように図3のX線の散乱強度プロファイルを解析して得られた、前記析出物(Mg、Znクラスタ)の慣性半径Rgおよび散乱強度I0を示す。
図1において縦軸が慣性半径Rg、図2において縦軸が散乱強度I0であり、共に横軸が前記図3の上側の図で示した、5層のアルミニウム合金層の、表層部からの板厚(深さ)方向の位置(測定点)である。
図1、2に、このように図3のX線の散乱強度プロファイルを解析して得られた、前記析出物(Mg、Znクラスタ)の慣性半径Rgおよび散乱強度I0を示す。
図1において縦軸が慣性半径Rg、図2において縦軸が散乱強度I0であり、共に横軸が前記図3の上側の図で示した、5層のアルミニウム合金層の、表層部からの板厚(深さ)方向の位置(測定点)である。
図1、2において、縦の点線で示す点が、前記5層のアルミニウム合金層全体の板厚中心部であり、この図1、2は、前記板厚中心部において左右対称に積層された前記5層のアルミニウム合金層の前記板厚中心部付近までの、全体の板厚1mmの約半分の深さ(厚み)600μmまでの領域を分析している。
このように、全体の板厚中心部において左右対称に積層されたアルミニウム合金層の場合には、後の半分も、概ね同じ測定結果となるので、前記板厚中心部付近までの全体の板厚の約半分の深さ(厚み)までの領域の分析で良い。この点、全体の板厚中心部において左右非対称に積層されたアルミニウム合金層の場合には、全体の板厚に亘って、網羅的に分析することが好ましい。
このように、全体の板厚中心部において左右対称に積層されたアルミニウム合金層の場合には、後の半分も、概ね同じ測定結果となるので、前記板厚中心部付近までの全体の板厚の約半分の深さ(厚み)までの領域の分析で良い。この点、全体の板厚中心部において左右非対称に積層されたアルミニウム合金層の場合には、全体の板厚に亘って、網羅的に分析することが好ましい。
(人工時効処理)
以上のような組織(拡散熱処理を施した組織)としたアルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材を、更に自動車などの構造部材用に必要な高強度とするために、好ましくは人工時効硬化処理、あるいは構造部材への塗装後の塗装焼き付け硬化処理を施す。
これによって、本発明で規定した、前記X線小角散乱法による、前記アルミニウム合金層中の析出物のサイズ(慣性半径Rg)や、前記アルミニウム合金層中の析出物の量(散乱強度I0)は増大して、構造物として必要な高強度化が達成される。
本発明では、高強度化の目安を、前記人工時効処理後(塗装焼き付け硬化処理後)の強度として、400MPa以上の0.2%耐力とする。
以上のような組織(拡散熱処理を施した組織)としたアルミニウム合金クラッド板やアルミニウム合金クラッド構造部材を、更に自動車などの構造部材用に必要な高強度とするために、好ましくは人工時効硬化処理、あるいは構造部材への塗装後の塗装焼き付け硬化処理を施す。
これによって、本発明で規定した、前記X線小角散乱法による、前記アルミニウム合金層中の析出物のサイズ(慣性半径Rg)や、前記アルミニウム合金層中の析出物の量(散乱強度I0)は増大して、構造物として必要な高強度化が達成される。
本発明では、高強度化の目安を、前記人工時効処理後(塗装焼き付け硬化処理後)の強度として、400MPa以上の0.2%耐力とする。
ちなみに、本発明では、このような高強度を得るための人工時効処理として、通常の単一のAl−Zn系合金板(7000系合金板)の場合と同様な、例えば、120℃×24時間という低温で長時間の人工時効処理は不要である。
本発明では、現行の自動車などの構造部材において、その塗装後に施される、例えば160〜205℃×20〜40分という、高温、短時間化される塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)で、十分に前記必要な高強度を得ることができる。
したがって、高温長時間の人工時効処理を省略できる点も、本発明の大きな利点となる。
本発明では、現行の自動車などの構造部材において、その塗装後に施される、例えば160〜205℃×20〜40分という、高温、短時間化される塗装焼き付け硬化処理(人工時効処理)で、十分に前記必要な高強度を得ることができる。
したがって、高温長時間の人工時効処理を省略できる点も、本発明の大きな利点となる。
ここで、本発明のアルミニウム合金クラッド板や構造部材で規定する、前記したMgとZnの元素の相互拡散組織やアルミニウム合金層の前記平均結晶粒径は、このような条件範囲の人工時効処理によっては、ほとんど変化しない。したがって、本発明のアルミニウム合金クラッド板や構造部材で規定する、前記したMgとZnの相互拡散領域の前記厚みや、アルミニウム合金層の前記平均結晶粒径の測定は、前記拡散熱処理後であっても、この拡散熱処理の後に更に前記人工時効処理を施した後であっても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
複数のアルミニウム合金層が積層されるとともに拡散熱処理が施されて、積層されたアルミニウム合金層のMgとZnの相互拡散領域が各々異なる、アルミニウム合金クラッド板を製造し、成形性(延性)と強度とを比較した。これらの結果を表2に示す。
複数のアルミニウム合金層が積層されるとともに拡散熱処理が施されて、積層されたアルミニウム合金層のMgとZnの相互拡散領域が各々異なる、アルミニウム合金クラッド板を製造し、成形性(延性)と強度とを比較した。これらの結果を表2に示す。
アルミニウム合金クラッド板の具体的な製造は以下の通りとした。
表1に示すA〜Lの合金組成のアルミニウム合金鋳塊を溶解、鋳造し、別個に、常法により均質化熱処理及び熱間圧延、必要により冷間圧延を施し、クラッド比率が全て積層数に応じた均等割合となるように、板厚を同じ1mmに調整した、前記各組成の板材を各々製造した。
これらの板材を、表2に示す各々の組み合わせで重ね合わせて積層し、この積層板材を、400℃×30分の再加熱後に、その温度で熱間圧延を開始する圧延クラッド法にてクラッド板とした。
このクラッド板を、各例とも、更に400℃×1秒の中間焼鈍を施しつつ、冷間圧延し、表2に示す各条件にて、拡散熱処理を施して、表2に示す各クラッド板厚(各層の合計板厚)のクラッド板とした。
これら最終的なクラッド板全体の板厚が1〜5mmの場合の、積層された各合金板の厚みは、0.1〜2.0mm(100〜2000μm)程度の範囲であった。これらクラッド板のクラッド比率は、前記した通り、各アルミニウム合金層の厚み(クラッド比率)が各々均等になるように製造している。
表1に示すA〜Lの合金組成のアルミニウム合金鋳塊を溶解、鋳造し、別個に、常法により均質化熱処理及び熱間圧延、必要により冷間圧延を施し、クラッド比率が全て積層数に応じた均等割合となるように、板厚を同じ1mmに調整した、前記各組成の板材を各々製造した。
これらの板材を、表2に示す各々の組み合わせで重ね合わせて積層し、この積層板材を、400℃×30分の再加熱後に、その温度で熱間圧延を開始する圧延クラッド法にてクラッド板とした。
このクラッド板を、各例とも、更に400℃×1秒の中間焼鈍を施しつつ、冷間圧延し、表2に示す各条件にて、拡散熱処理を施して、表2に示す各クラッド板厚(各層の合計板厚)のクラッド板とした。
これら最終的なクラッド板全体の板厚が1〜5mmの場合の、積層された各合金板の厚みは、0.1〜2.0mm(100〜2000μm)程度の範囲であった。これらクラッド板のクラッド比率は、前記した通り、各アルミニウム合金層の厚み(クラッド比率)が各々均等になるように製造している。
また、前記拡散熱処理は、平均昇温速度は各例とも共通して4℃/分として、表2に示す、クラッド板の到達温度(℃)、保持時間(Hr)とし、この所定時間の保持後、直ちに、表2に示す、種々の冷却速度(℃/S)にて冷却した。
表2の多層アルミニウム合金クラッド板の欄に、このアルミニウム合金クラッド板全体としての、MgとZnとの各平均含有量や、表1の板の合計積層数、板厚、積層した板の組み合わせとして表1に示すA〜Lまでのアルミニウム合金層(板)の種別を、積層した上側から下側への順に示す。
例えば、ADADA、BEBEB、CFCFCなどの順に、5層、11層、13層などの奇数層を積層したクラッド板は、表1のA、B、Cなどの、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層が、各クラッド板の両外側(最上側と最下側)に各々積層されており、表1のD、E、F、G、H、Iなどの、Zn含有量が最も多い各アルミニウム合金層が、クラッド板の内側に積層されていることを意味する。
表2に記載した、アルミニウム合金クラッド板の平均組成であるMg、Znの各含有量は、各アルミニウム合金層(板)の厚みが均等なので、各アルミニウム合金層のクラッド比率は全て積層数に応じた均等割合とした加重相加平均値にて算出した。
前記製造した(前記拡散熱処理後の)アルミニウム合金クラッド板の任意の部位から試料を採取し、この試料の、相互拡散領域、積層された各アルミニウム合金層板厚中心部(板厚中心)の平均結晶粒径と、X線小角散乱法で測定された平均慣性半径Rgと、平均散乱強度I0との板厚方向における各分布を測定した。
また、この試料の伸び(%)も、後述する室温引張り試験により調査した結果を、表2に示す。
また、この試料の伸び(%)も、後述する室温引張り試験により調査した結果を、表2に示す。
(MgとZnの相互拡散領域)
MgとZnの相互拡散領域を、クラッド板の幅方向の任意の5か所から採取した試料5個の、各々の各板厚方向の断面における板厚方向のMgとZnの濃度を、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて各々測定した結果、発明例、比較例とも全ての例でMgとZnの相互拡散領域を有していた。
図6に、1例として、表1のAとDのアルミニウム合金層の組み合わせで、表2の発明例2(ADADADADADA)であり、前記図4のパターンの組み合わせの例の11層の場合の板厚方向のMgとZnの相互拡散領域を示す。
この図6において、横軸が、0〜1000μm(板厚1mm)までの、クラッド板の表面(0μm)から裏面(1000μm)までの板厚方向の各位置を示す。また、縦軸がMgとZnの濃度(含有量、質量%)を示し、ピークが高く濃い線がZn、ピークが低く薄い線がMgを示す。
そして、図6において、Mg濃度が最も高い領域が表1のAの元の(拡散熱処理を施こす前の)アルミニウム合金層、Zn濃度が最も高い領域が表1のDの元の(拡散熱処理を施こす前の)アルミニウム合金層の領域を示し、それ以外のMg、Znの濃度に勾配がついた領域がMgとZnの相互拡散領域である。
ちなみに、図6において、前記拡散熱処理を施こす前の(元の)アルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量は、表1のAのアルミニウム合金層のMg含有量5.0質量%であり、表1のDのアルミニウム合金層のZn含有量20.0質量%である。
MgとZnの相互拡散領域を、クラッド板の幅方向の任意の5か所から採取した試料5個の、各々の各板厚方向の断面における板厚方向のMgとZnの濃度を、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて各々測定した結果、発明例、比較例とも全ての例でMgとZnの相互拡散領域を有していた。
図6に、1例として、表1のAとDのアルミニウム合金層の組み合わせで、表2の発明例2(ADADADADADA)であり、前記図4のパターンの組み合わせの例の11層の場合の板厚方向のMgとZnの相互拡散領域を示す。
この図6において、横軸が、0〜1000μm(板厚1mm)までの、クラッド板の表面(0μm)から裏面(1000μm)までの板厚方向の各位置を示す。また、縦軸がMgとZnの濃度(含有量、質量%)を示し、ピークが高く濃い線がZn、ピークが低く薄い線がMgを示す。
そして、図6において、Mg濃度が最も高い領域が表1のAの元の(拡散熱処理を施こす前の)アルミニウム合金層、Zn濃度が最も高い領域が表1のDの元の(拡散熱処理を施こす前の)アルミニウム合金層の領域を示し、それ以外のMg、Znの濃度に勾配がついた領域がMgとZnの相互拡散領域である。
ちなみに、図6において、前記拡散熱処理を施こす前の(元の)アルミニウム合金層のMgとZnとの各含有量のうちの各最大量は、表1のAのアルミニウム合金層のMg含有量5.0質量%であり、表1のDのアルミニウム合金層のZn含有量20.0質量%である。
(平均結晶粒径)
前記試料における、積層された各アルミニウム合金層の平均結晶粒径を測定した。すなわち、先ず、積層した全てのアルミニウム合金層の各板厚中心部における、前記MgとZnの濃度分布を測定した同じ断面につき、100倍の光学顕微鏡にてそれぞれ5視野ずつ観察して、各アルミニウム合金層の板厚中心部毎の平均結晶粒径を各々測定した。そして、これらの各アルミニウム合金層の板厚中心部毎の平均結晶粒径を、積層した全てのアルミニウム合金層で加重平均化して、請求項1で規定する「積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径」(μm)とした。この結果を表2に示す。
前記試料における、積層された各アルミニウム合金層の平均結晶粒径を測定した。すなわち、先ず、積層した全てのアルミニウム合金層の各板厚中心部における、前記MgとZnの濃度分布を測定した同じ断面につき、100倍の光学顕微鏡にてそれぞれ5視野ずつ観察して、各アルミニウム合金層の板厚中心部毎の平均結晶粒径を各々測定した。そして、これらの各アルミニウム合金層の板厚中心部毎の平均結晶粒径を、積層した全てのアルミニウム合金層で加重平均化して、請求項1で規定する「積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径」(μm)とした。この結果を表2に示す。
(板厚方向における析出物の分布状態)
前記試料の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、各アルミニウム合金層中の析出物の平均慣性半径Rgと、平均散乱強度I0とを、X線小角散乱法で測定した。この結果も表2に示す。
X線小角散乱法の測定は、各例とも共通して、試験装置として「SPring−8」の「BL40XU」を用い、エネルギー15keVのX線を用い、5μm×5μmの無散乱スリットによる微小ビームとして、前記試料から作成した試験片表面に対してX線を照射した。
そして、前記試験片から散乱されるX線のうち、5度以下の範囲の微小角度の散乱X線を、2次元のCCD検出器によって測定し、前記試料の板厚方向の断面において、板厚方向に25μmステップで、片側の表層側から、反対側の表層までに亘って順次測定を行い、X線の散乱強度プロファイルを得た。
前記試料の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、各アルミニウム合金層中の析出物の平均慣性半径Rgと、平均散乱強度I0とを、X線小角散乱法で測定した。この結果も表2に示す。
X線小角散乱法の測定は、各例とも共通して、試験装置として「SPring−8」の「BL40XU」を用い、エネルギー15keVのX線を用い、5μm×5μmの無散乱スリットによる微小ビームとして、前記試料から作成した試験片表面に対してX線を照射した。
そして、前記試験片から散乱されるX線のうち、5度以下の範囲の微小角度の散乱X線を、2次元のCCD検出器によって測定し、前記試料の板厚方向の断面において、板厚方向に25μmステップで、片側の表層側から、反対側の表層までに亘って順次測定を行い、X線の散乱強度プロファイルを得た。
この得られた散乱強度プロファイルから、前記した解析方法で、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の慣性半径Rg、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の慣性半径Rgを各々測定した。また、Mg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の散乱強度I0[Mg]、Zn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の散乱強度I0[Zn]を各々測定した。
この測定を前記製造した(前記拡散熱処理後の)アルミニウム合金クラッド板の任意の部位から採取した試料5個について各々行い、得られた前記慣性半径Rg、前記散乱強度I0[Mg]、前記散乱強度I0[Zn]の各値を、これらの試料5個で平均化して、平均慣性半径Rg、平均散乱強度I0[Mg]、平均散乱強度I0[Zn]とした。
この測定を前記製造した(前記拡散熱処理後の)アルミニウム合金クラッド板の任意の部位から採取した試料5個について各々行い、得られた前記慣性半径Rg、前記散乱強度I0[Mg]、前記散乱強度I0[Zn]の各値を、これらの試料5個で平均化して、平均慣性半径Rg、平均散乱強度I0[Mg]、平均散乱強度I0[Zn]とした。
(BH性)
更に、前記製造した(前記拡散熱処理後の)アルミニウム合金クラッド板を、室温で1週間の保持後、180℃×30分の短時間での人工時効処理(T6処理)を各々施し、このT6処理後のアルミニウム合金クラッド板の0.2%耐力(MPa)も調査した。これらの結果も表2に示す。
各例とも、前記試験片をJIS5号試験片に加工し、圧延方向に対して、引張方向が平行となるように室温引張試験を行い、0.2%耐力(MPa)を測定した。室温引張り試験はJIS2241(1980)に基づき、室温20℃で試験を行い、評点間距離50mmで引張速度5mm/分、試験片が破断するまで一定の速度で行った。前記T6処理前のクラッド板の全伸び(%)もこの要領にて測定した。
更に、前記製造した(前記拡散熱処理後の)アルミニウム合金クラッド板を、室温で1週間の保持後、180℃×30分の短時間での人工時効処理(T6処理)を各々施し、このT6処理後のアルミニウム合金クラッド板の0.2%耐力(MPa)も調査した。これらの結果も表2に示す。
各例とも、前記試験片をJIS5号試験片に加工し、圧延方向に対して、引張方向が平行となるように室温引張試験を行い、0.2%耐力(MPa)を測定した。室温引張り試験はJIS2241(1980)に基づき、室温20℃で試験を行い、評点間距離50mmで引張速度5mm/分、試験片が破断するまで一定の速度で行った。前記T6処理前のクラッド板の全伸び(%)もこの要領にて測定した。
表2の発明例1〜12は、拡散熱処理前の組成として、積層されたアルミニウム合金層は規定する合金組成となっており、アルミニウム合金クラッド板のMgとZnとの各平均含有量も規定する範囲である。また、Znを規定含有量範囲で含むD、E、F、G、H、I、Jのアルミニウム合金層が、クラッド板の内側に積層されるとともに、各々の最表層側のアルミニウム合金層A、B、Cが、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなっている。
そして、これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接して接合するよう、合計積層数が5〜13層の規定積層数だけ、全体の板厚が規定範囲となるよう積層されている。
そして、これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接して接合するよう、合計積層数が5〜13層の規定積層数だけ、全体の板厚が規定範囲となるよう積層されている。
更に、発明例1〜12は、適切な条件で拡散熱処理後のアルミニウム合金クラッド板として、積層された前記アルミニウム合金層の平均結晶粒径がいずれも200μm以下であるとともに、MgとZnの相互拡散領域を有している。更に、板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、各アルミニウム合金層中の析出物の平均慣性半径Rgと、平均散乱強度I0とが規定を満たしている。
この結果、発明例のクラッド板は、前記製造後の(前記T6処理前の)クラッド板の全伸びが17%以上であり、高い成形性を示している。また、このアルミニウム合金クラッド板を、構造部材にプレス成形後に人工時効処理したことを想定したBH後の0.2%耐力が400MPa以上の、高強度を示している。
ここで、自動車構造部材にプレス成形される場合の素材クラッド板の全伸びは、17%以上で合格である。また、このアルミニウム合金クラッド板を、自動車構造部材を模擬(想定)した180℃×30分の短時間での人工時効処理後の0.2%耐力は、400MPa以上で合格である。
ここで、自動車構造部材にプレス成形される場合の素材クラッド板の全伸びは、17%以上で合格である。また、このアルミニウム合金クラッド板を、自動車構造部材を模擬(想定)した180℃×30分の短時間での人工時効処理後の0.2%耐力は、400MPa以上で合格である。
これに対して、表2の比較例13〜22は、積層するアルミニウム合金層の積層数や組成が本発明で規定する要件を満足しないか、これらを満足しても拡散熱処理条件が好ましい範囲から外れている。このため、これら比較例は、積層された前記アルミニウム合金層の平均組成、平均結晶粒径、各アルミニウム合金層の平均慣性半径Rg、平均散乱強度I0などが規定から外れている。
この結果、これら比較例は、前記製造後のクラッド板の伸びが17%を満たさないか、人工時効処理後の0.2%耐力が400MPa未満と低すぎ、高強度と成形性、高いBH性を兼備できない。
この結果、これら比較例は、前記製造後のクラッド板の伸びが17%を満たさないか、人工時効処理後の0.2%耐力が400MPa未満と低すぎ、高強度と成形性、高いBH性を兼備できない。
比較例13は、積層数が3層と少なすぎる。
比較例14〜16、22は、拡散熱処理条件が好ましい範囲から外れており、温度が低すぎるか(比較例14、22)、保持時間が短すぎるか(比較例15)、長すぎる(比較例16)。
比較例17〜19は、拡散熱処理後の冷却条件が好ましい範囲から外れており、1段目の冷却速度が遅すぎるか(比較例17、18、19)、2段目の冷却速度が速すぎる(比較例18、19)。
比較例20、21は、積層するアルミニウム合金層の組成が本発明で規定する範囲から外れている。比較例20、21は、それぞれ表1の合金組成KのMg含有量や、合金組成LのZn含有量が少なすぎる。
比較例14〜16、22は、拡散熱処理条件が好ましい範囲から外れており、温度が低すぎるか(比較例14、22)、保持時間が短すぎるか(比較例15)、長すぎる(比較例16)。
比較例17〜19は、拡散熱処理後の冷却条件が好ましい範囲から外れており、1段目の冷却速度が遅すぎるか(比較例17、18、19)、2段目の冷却速度が速すぎる(比較例18、19)。
比較例20、21は、積層するアルミニウム合金層の組成が本発明で規定する範囲から外れている。比較例20、21は、それぞれ表1の合金組成KのMg含有量や、合金組成LのZn含有量が少なすぎる。
これらの実施例から、高強度化と高成形性、高いBH性を兼備したアルミニウム合金クラッド板、あるいは高強度化と高延性、高いBH性とを兼備したアルミニウム合金クラッド構造部材とするための、本発明の各要件の意義が裏付けられる。
本発明によれば、従来の7000系アルミニウム合金などの単板の、高い強度レベルにおける延性との矛盾を解決し、高強度化と高成形性(高延性)とを兼備し、高温短時間の人工時効硬化処理でも、高強度でBH性に優れたアルミニウム合金クラッド板あるいはこのクラッド板が成形された構造部材を提供できる。
Claims (2)
- 複数のアルミニウム合金層からなるアルミニウム合金クラッド板であって、
このアルミニウム合金クラッド板の最表層側の前記アルミニウム合金層よりも内側の前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
これらのアルミニウム合金層は、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接するとともに、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド板のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
前記アルミニウム合金クラッド板の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
かつ、前記アルミニウム合金クラッド板の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、
前記各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す、X線小角散乱法で測定された慣性半径Rgにつき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが1.0〜3.0nmの範囲であり、
前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す、前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Mg]が1000〜5000の範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲であることを特徴とする、高強度、高成形性で、BH性にも優れたアルミニウム合金クラッド板。 - 複数のアルミニウム合金層からなるアルミニウム合金クラッド構造部材であって、
このアルミニウム合金クラッド構造部材の最表層側の前記アルミニウム合金層よりも内側の前記アルミニウム合金層が、各々Mg:3〜10質量%、Zn:5〜30質量%の1種または2種を含むとともに、
前記最表層側のアルミニウム合金層が、Mgを3〜10質量%の範囲で含み、かつ、Znを2質量%以下(0質量%を含む)に抑制した組成からなり、
これらのアルミニウム合金層が、MgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が隣接するとともに、合計積層数が5〜15層で、かつ全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド構造部材のMgとZnとの各平均含有量が、前記積層された各アルミニウム合金層のMg、Znの各含有量を平均化した値として、Mg:2〜8質量%、Zn:3〜20質量%の範囲であり、
前記アルミニウム合金クラッド構造部材の組織として、前記積層された各アルミニウム合金層の結晶粒径を平均化した平均結晶粒径が200μm以下であるとともに、積層されたアルミニウム合金層同士のMgとZnとが互いに拡散し合った、MgとZnの相互拡散領域を有しており、
かつ、前記アルミニウム合金クラッド構造部材の板厚方向における析出物の分布状態を示す指標として、
前記各アルミニウム合金層中の析出物のサイズを示す、X線小角散乱法で測定された慣性半径Rgにつき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが0.3〜2.0nmの範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均慣性半径Rgが1.0〜3.0nmの範囲であり、
前記各アルミニウム合金層中の析出物の量を示す、前記X線小角散乱法で測定された散乱強度I0につき、前記アルミニウム合金層のうちMg含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Mg]が1000〜5000の範囲であるとともに、前記アルミニウム合金層のうちZn含有量が最も多いアルミニウム合金層の板厚方向中心部の平均散乱強度I0[Zn]が、前記平均散乱強度I0[Mg]との比I0[Zn]/I0[Mg]で2.0〜50.0の範囲であることを特徴とする、高強度、高延性で、BH性にも優れたアルミニウム合金クラッド構造部材。
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