JP2017095636A - 有機無機複合体の製造方法 - Google Patents

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太軌 山手
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Abstract

【課題】本発明は、表面硬度を保ちつつ、従来よりも黄着色の少ない有機無機複合体を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の有機無機複合体の製造方法は、
式(I)
SiX4−n (I)
(式中、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した有機基を表し、Xはそれぞれ独立に水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物を、固体酸触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させた後、固体酸触媒を除去して生成物を得る工程(1);
得られた生成物と、電磁線硬化性化合物を混合して有機無機複合体形成用組成物を得る工程(2);及び
得られた有機無機複合体形成組成物と、リン酸類を混合後、樹脂基材上に塗布し、電磁線照射する工程(3)を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機成分と無機成分を1層中に含有し、かつ、表面側が無機化した有機無機複合体の製造方法に関し、特に、着色が少ない有機無機複合体を製造するための方法に関する。
従来、有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又は縮合物を含有し、有機成分と無機成分を1層中に含有した有機無機複合薄膜を形成するためのコーティング剤が開発され、たとえば、特許文献1〜3には、以下の記載がある。
1)特許文献1
下記(A)〜(C)成分を含有する光硬化性組成物を光硬化してなる親水性硬化物。
(A)下記の式
(RSi(X)4−P
[一般式(1)中、Rは炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜3の整数である。]で示される加水分解性シラン化合物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物
(B)光酸発生剤
(C)光触媒
2)特許文献2
(A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン100重量部、(B)アミノ基含有オルガノアルコキシシランと酸無水物の反応生成物0.5〜20重量部、(C)硬化触媒0.01〜10重量部、(D)光触媒性酸化物10〜400重量部からなる混合物を界面活性剤の存在下で水中に乳化分散した光触媒性酸化物含有コーティング用エマルジョン組成物
3)特許文献3
有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合物を含有する有機−無機複合材料であって、材料中の金属系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有することを特徴とする有機−無機複合傾斜材料。
その後、本発明者らは、光感応性化合物の存在下に有機ケイ素化合物に紫外線を照射することにより、表面が非常に高い硬度を有すると共に、内部及び裏面側が適当な硬度を有しつつ、かつ基体との密着性に優れた有機無機複合体を提供した(特許文献4)。
さらに、上記有機無機複合体に紫外線硬化性化合物を配合することにより、表面が非常に高い硬度を有すると共に、基体との密着性及び耐湿性に優れた有機無機複合体および有機無機複合体形成用組成物を提供した(特許文献5)。
特開2000−169755号公報 特開2002−363494号公報 特開2000−336281号公報 WO2006/088079号パンフレット WO2008/069217号パンフレット
しかしながら、従来の有機無機複合体は、シラノール縮合触媒である金属化合物や酸などを含むため、組成物の経時的変化又は硬化時の変質により、形成された有機無機複合体には金属化合物由来の黄着色が生じるという問題があった。本発明は、表面硬度を保ちつつ、従来よりも黄着色の少ない有機無機複合体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に取り組み、鋭意研究した結果、有機ケイ素化合物を固体酸触媒の存在下で加水分解及び/又は縮重合させた後に固体酸触媒を除去して得られた生成物を使用することにより、従来よりも安定な有機無機複合体形成用組成物を調製することができ、また配合する樹脂の硬化にリン酸類を用いることで、形成される有機無機複合体の着色(黄変)が防止できること見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
式(I)
SiX4−n (I)
(式中、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した有機基を表し、Xはそれぞれ独立に水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物を、固体酸触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させた後、固体酸触媒を除去して生成物を得る工程(1);
得られた生成物と、電磁線硬化性化合物を混合して有機無機複合体形成用組成物を得る工程(2);及び
得られた有機無機複合体形成組成物と、リン酸類を混合後、樹脂基材上に塗布し、電磁線照射する工程(3)を有する有機無機複合体の製造方法に関する。
本発明によれば、着色(黄変)のない有機無機複合体を製造する方法を提供することが出来る。
実施例の有機無機複合体Bについて、ESCAにより測定した膜厚方向における各膜成分の分布を示す図である。 比較例の比較用有機無機複合体Bについて、ESCAにより測定した膜厚方向における各膜成分の分布を示す図である。
本発明の有機無機複合体の製造方法は、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物を得る工程(1)、有機無機複合体形成用組成物を得る工程(2)、及び有機無機複合体を得る工程(3)を有するものである。
以下に、詳細に説明する。
〔1〕工程(1)
工程(1)は、有機ケイ素化合物を、固体酸触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させた後、固体酸触媒を除去して生成物を得る工程である。
(1−1)有機ケイ素化合物
本発明に用いる有機ケイ素化合物は、以下の式(I)で表される有機ケイ素化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は2種以上を混合して用いることもできる。
SiX4−n (I)
式(I)中、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した有機基を表し、Xは夫々独立に水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよい。
ここで、Rで表される「Siに炭素原子が直接結合した有機基」としては、置換されていてもよい炭化水素基等が挙げられる。
上記「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、通常、炭素数1〜30の炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基である。
また、上記「炭化水素基」は、酸素原子、窒素原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい。
「炭素数1〜10のアルキル基」としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
「炭素数3〜8のシクロアルキル基」としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
「炭素数2〜10のアルケニル基」としては、具体的には、ビニル基、1−プロペン−1−イル基、2−プロぺン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、1−ブテン−1−イル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、3−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、1−ペンテン−2−イル基、4−ペンテン−2−イル基、3−メチル−1−ブテン−1−イル基、1−ヘキセン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基、1−ヘプテン−1−イル基、6−ヘプテン−1−イル基、1−オクテン−1−イル基、7−オクテン−1−イル基等が挙げられる。
「炭素数3〜8のシクロアルケニル基」としては、具体的には、1−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロペンテン−1−イル基、1−シクロヘキセン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、3−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられる。
「炭素数2〜10のアルキニル基」としては、具体的には、エチニル基、1−プロピン−1−イル基、2−プロピン−1−イル基、1−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、1−ペンチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、1−ヘキシン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基、1−ヘプチン−1−イル基、1−オクチン−1−イル基、7−オクチン−1−イル基等が挙げられる。
「シクロアルキルアルキル基」としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基と炭素数1〜10のアルキル基の結合した基が挙げられる。
「アリール基」は、単環又は多環のアリール基を意味し、多環アリール基の場合は、完全不飽和環に加え、部分飽和環を有する基も包含する。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられ、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
「アリールアルキル基」としては、炭素数6〜10のアリール基と炭素数1〜10のアルキル基が結合した基が挙げられる。
「アリールアルケニル基」としては、炭素数6〜10のアリール基と炭素数2〜10のアルケニル基が結合した基が挙げられる。
「酸素原子を有する炭化水素基」としては、アルコキシアルキル基;エポキシ基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基等のオキシラン環(エポキシ基)を有する基;アクリロキシメチル基、メタクリロキシメチル基等が挙げられる。
ここで、「アルコキシアルキル基」としては、炭素数1〜6のアルコキシ基と炭素数1〜6のアルキル基が結合した基が挙げられる。
「エポキシアルキル基」としては、炭素数3〜10のエポキシアルキル基が好ましく、具体的には、グリシジル基、グリシジルメチル基、2−グリシジルエチル基、3−グリシジルプロピル基、4−グリシジルブチル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基等のエポキシ基を含む直鎖状のアルキル基;β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、2−グリシジルプロピル基、2−グリシジルブチル基、3−グリシジルブチル基、2−メチル−3−グリシジルプロピル基、3−メチル−2−グリシジルプロピル基、3−メチル−3,4−エポキシブチル基、3−エチル−3,4−エポキシブチル基、4−メチル−4,5−エポキシペンチル基、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル基等のエポキシ基を含む分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
グリシドキシアルキル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
「窒素原子を有する炭化水素基」としては、−NR’(式中、R’は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、各R’は互いに同一でも相異なっていてもよい。)を有する炭化水素基、又は−N=CR’’(式中、R’’は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、各R’’は互いに同一でも相異なっていてもよい。)を有する炭化水素基が挙げられる。
例えば、−NR’を有する基としては、具体的には、アミノメチル基、1−アミノエチル基、N−メチルアミノメチル基等が挙げられる。−N=CR’’を有する基としては、具体的には、−CHN=CHCH基、−CHN=C(CH基、−CHCHN=CHCH基、−CHN=CHPh基、−CHN=C(Ph)CH基等が挙げられる。
上記「置換されていてもよい」の置換基としては、ハロゲノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、メタクリロキシ基等が挙げられる。アルキル基、アルケニル基、アリール基としては、Rにおけるものと同じ炭化水素基が挙げられる。
上記のうち、ビニル基、オキシラン環を有する基は、有機無機複合体の表面の無機化の観点からは、好ましい基である。
式(I)中、nは、1又は2を表し、nが1のものが特に好ましい。nが2のとき、各Rは同一でも相異なっていてもよい。
式(I)中、Xは、それぞれ独立に水酸基又は加水分解性基を表す。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃〜100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、アミノ基若しくは置換アミノ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシルオキシ基が好ましい。
「炭素数1〜4のアルコキシ基」としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
「炭素数1〜6のアシルオキシ基」(ただし、炭素数にはカルボニル基の炭素を含まない)としては、具体的には、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
「ハロゲノ基」としては、具体的には、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基等が挙げられる。
式(I)で表される有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)−n−プロピルトリメトキシシラン、4−オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリス[(メタ)アクリロキシ]シラン、メチルトリス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明においては、特定の有機ケイ素化合物の混合物を用いることが好ましい。
すなわち、下記の数式(1)を満たす量の式(I−1)で表される有機ケイ素化合物と、式(I−2)で表される有機ケイ素化合物の混合物である。
SiX4−n (I−1)
SiX4−n (I−2)
30モル%≦{〔式(I−1)の化合物〕}/{〔式(I−1)の化合物〕+〔式(I−2)の化合物〕}×100 <100モル%・・・(1)
式(I−1)中、nは1又は2を表し、nが2のときRは互いに同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合する有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。
式(I−2)中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。
上記R中の有機基及び加水分解性基としては、式(I)における有機基及び加水分解性基と同じ有機基が挙げられる。
上記R中のビニル基含有炭化水素基としては、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルケニル基等が挙げられる。
式(I−1)で表される化合物としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、2−シクロプロペニルトリメトキシシラン、2−シクロペンテニルトリメトキシシラン、2−シクロヘキセニルトリメトキシシラン、ジビニルジアミノシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジアセトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジ(3−ブテニル)ジメトキシシラン、アリルエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
式(I−2)で表される化合物としては、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)−n−プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン等が挙げられる。
本発明においては、例えば、ビニルトリメトキシシランと3−メタクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシランの混合物、ビニルトリメトキシシランと3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシランの混合物等が好ましい。
(1−2)固体酸触媒
本発明に用いる固体酸触媒は、有機ケイ素化合物を加水分解及び/又は縮合できるものであって、反応後に分離できるものであれば特に限定されず、例えば、酸性白土等の粘土鉱物;ヘテロポリ酸;スルホン酸型陽イオン交換樹脂(例えば、アンバーライト(商品名、登録商標)、ダウエックス(商品名、登録商標)、ダイヤイオン(商品名、登録商標)、デニオライト(商品名)、レバチット(商品、登録商標名)、スミカイオン(商品名、登録商標)等);フッ素化スルホン酸樹脂(例えば、ナフィオン(商品名、登録商標)等);無機酸化物(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライト、酸化バナジウム等)等が挙げられる。これらの固体酸触媒は、単独又は二種以上を混合して使用することができる。
(1−3)有機ケイ素化合物の加水分解縮合物
工程(1)の目的は、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(生成物と言うことがある。)を得ることである。
有機溶媒中、固体酸触媒の存在下、所定量の水を添加して、有機ケイ素化合物を(部分)加水分解及び/又は縮合し、反応後に固体酸触媒を除去することにより、目的とする生成物を得る。
有機ケイ素化合物に対する固体酸触媒の添加量は任意に決めることができるが、質量比では、有機ケイ素化合物25gに対して通常0.01〜10gで、好ましくは0.05〜0.5gである。
所定量の水は、固体酸触媒の種類にもよるが、有機ケイ素化合物1モルに対して0.1〜5モルで、好ましくは0.5〜3モルである。
また、反応後は用いた固体酸触媒を反応系から除去する必要があるため、反応には有機溶媒を用いることが好ましい。用いる有機溶媒は、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機溶媒中、固体酸触媒の存在下、有機ケイ素化合物を反応させるときの温度は10〜40℃であり、好ましくは20〜30℃である。また、反応時間は1〜100時間であり、好ましくは8〜16時間である。
反応後は、固体酸触媒を反応系から除去する。固体酸触媒の除去方法は、例えば、減圧濾過、加圧濾過、常圧濾過などの方法により行なわれる。また、固体酸触媒を充填した固定床反応槽を用いることもでき、この場合は濾過などによる除去操作をしなくてもよい。
工程(1)を行った後は、以下に示す工程(2)を行うこととなる。
〔2〕工程(2)
工程(2)は、工程(1)で得られた生成物と、電磁線硬化性化合物を混合して有機無機複合体形成用組成物を得る工程である。
(2−1)電磁線硬化性化合物
本発明に用いる電磁線硬化性化合物は、電磁線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物又は樹脂である。
電磁線硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート系化合物を含むビニル化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。電磁線の照射により重合反応を起こす官能基の数は、1個以上であれば特に限定はない。
(メタ)アクリレート系化合物としては、具体的には、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート 、エポキシ(メタ)アクリレート 、ポリアミド(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート 、ポリスチリル(メタ)アクリレート 、ポリカーボネートジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート 、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート 、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー等が挙げられるが、好ましくはポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ポリウレタン(メタ)アクリレートである。
エポキシ(メタ)アクリレートは、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。また、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物であり、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
また、アクリレート系化合物以外のビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレン、不飽和ポリエステル等が挙げられ、エポキシ樹脂としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が挙げられる。
電磁線硬化性化合物の分子量は、有機無機複合体形成用組成物中に溶解する限り限度はないが、通常は質量平均分子量として500〜50,000、好ましくは1,000〜10,000である。
(2−2)有機無機複合体形成用組成物
電磁硬化性化合物と、工程(1)で得られた生成物を混合する方法は、特に制限はない。必要に応じて、さらに溶媒を添加することもできる。用いる有機溶媒は、特に制限されるものではなく、先に例示した有機溶媒と同一のものが挙げられる。
電磁硬化性化合物と、工程(1)で得られた生成物との配合比は、質量比で、2:98〜98:2であり、好ましくは5:95〜95:5である。
電磁線硬化性化合物の配合量は、有機無機複合体形成用組成物中の全固形分に対して、2〜98質量%、好ましくは5〜95質量%である。
有機ケイ素化合物の加水分解縮合物の配合量は、有機無機複合体形成用組成物中の全固形分に対して、2〜98質量%、好ましくは5〜95質量%である。
得られた有機無機複合体形成用組成物は、長期の保存安定性に優れるものである。そのため、次の工程(3)を連続して行う以外にも、製造の都合に合わせて随時行うことができる。
〔3〕工程(3)
工程(3)は、得られた有機無機複合体形成用組成物と、リン酸類を混合後、樹脂基材上に塗布し、電磁線を照射することで、目的とする有機無機複合体を得る工程である。
(3−1)リン酸類
本発明に用いるリン酸類としては、具体的には、リン酸、強リン酸(ポリリン酸); リン酸一カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二カルシウム(無水)、リン酸三カルシウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム等のリン酸カリウム塩;リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム等のリン酸アンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等のリン酸ナトリウム塩;第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、メタリン酸マグネシウム等のリン酸マグネシウム塩;第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム等のリン酸アルミニウム塩;亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム;等が挙げられる。
本発明に用いるリン酸類の添加量は、電磁線硬化性化合物の全量に対して、0.01〜20質量%を添加することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。
(3−2)樹脂基材
本発明に用いる樹脂基材は、有機無機複合体を積層できるものである限り制限はないが、例えば、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレインイミド等のポリイミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂;フェノール系エポキシ樹脂、アルコール系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン等のポリエーテル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂;エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンの単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂;エチレン−ポリビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリ三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂;ポリカーボネート、ポリビニルブチラート樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。
また、樹脂として、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリル系化合物よりなる樹脂組成物や、上記アクリル系化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解した樹脂組成物等の光硬化性樹脂及びこれらの混合物等を用いることができる。
基材の大きさや形は特に制限されず、平板、立体物、フィルム等いずれも使用することができる。フィルム状の基材は、未延伸フィルムからなるものであっても、延伸フィルムからなるものであってもよい。また、単層フィルムや二層以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させた積層フィルム等であってもよい。
フィルム状の樹脂基材の厚みは、特に制限されるものではないが、通常100nm〜20μm、好ましくは500〜10μmである。
(3−3)塗布及び電磁線硬化
本発明の有機無機複合体形成用組成物は、リン酸類の添加後、直ちに樹脂基材へ塗布することが好ましい。
樹脂基材上への塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等が挙げられる。また、形成する有機無機複合体の膜厚としては、特に制限されるものではなく、例えば、0.1〜200μm程度である。
電磁線硬化には、紫外線、X線、放射線、イオン化放射線、電離性放射線(α線、β線、γ線、中性子線、電子線)を用いることができ、350nm以下の波長を含む光が好ましい。
電磁線の照射には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光源としては、150〜350nmの範囲のいずれかの波長の光を含む光源であることが好ましく、250〜310nmの範囲のいずれかの波長の光を含む光源であることがより好ましい。
また、有機無機複合体形成用組成物を十分に硬化させるために照射する光の照射光量は、0.1〜100J/cm程度であり、組成物の硬化効率(照射エネルギーと組成物の硬化程度の関係)を考慮すると、0.4〜10J/cm程度であることが好ましく、0.4〜5J/cm程度であることがより好ましい。
(3−4)有機無機複合体
電磁線硬化後は、樹脂基材上に有機無機複合体の膜が形成される。特徴としては、膜表面にシラン化合物の濃縮層が形成されており、表面部の炭素原子含有量が内部(基材との接合部付近)の炭素原子含有量に比して少ない構成となる。
ESCA分析によって測定された、表面から10nmの深さの炭素原子の濃度が、表面から100nmの深さの炭素原子の濃度より20%以上少ない膜であることが好ましい。ここで、「炭素原子の濃度」とは、(全金属原子+酸素原子+炭素原子)を100%とした時の炭素原子のモル濃度を意味する。他の元素の濃度も同様である。なお、金属原子にはケイ素原子も包含される。
また、「有機ケイ素化合物の縮合物が濃縮した層」をESCA分析による炭素原子の濃度で規定しているが、濃縮した層では、ケイ素濃度においても濃度が高くなっている。
本発明においては、炭素濃度が低いほどケイ素濃度が高くなる関係にある。なお、本明細書において、複合体中の炭素含有量を規定する時に用いている膜厚の値は、ESCA分析においてスパッタエッチングした時に算出される値であるが、現実の膜厚の値とは必ずしも一致しない。その理由は、スパッタエッチングによりエッチングされる膜厚は、複合体の材質に依存するためである。そのため、現実の膜厚値は、各複合体に対するエッチング速度を換算することで得られる。
本明細書中のESCA分析では、熱酸化SiO膜を標準試料としたSiO換算膜厚を用いた。標準試料はシリコンウェハー上に形成された熱酸化SiO膜である。エリプソメーターによりあらかじめ膜厚を測定してある標準試料を、スパッタエッチングしながらESCA分析することで、エッチング速度を算出した。
〔4〕有機単分子膜の積層
また、本発明においては、上記有機無機複合体の上に、さらに金属界面活性剤の加水分解縮合物からなる有機単分子膜を設けて、薄膜積層体を製造することができる。
有機単分子膜は、外部からの強制力なしに秩序だった構造を形成してなる膜であり、自己組織化膜に該当する。金属系界面活性剤の加水分解縮合物を含む有機単分子膜は、WO03/076064、WO2004/091810、WO2006/009292、WO2009/104424、WO2008/059840パンフレット等に記載されているように、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤」、「該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物」及び水を含む有機溶媒溶液に、本発明の有機無機複合体が積層された基材を接触させることにより形成することができる。また、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤」、「該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物」及び水を含む有機溶媒溶液としては、日本曹達(株)製SAMLAY(登録商標)等が挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
(有機無機複合体の製造)
ビニルトリメトキシシラン(3.80g)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(2.73g)、ソルミックスAP−7(登録商標、エタノールを主剤とするアルコール系混合溶剤、日本アルコール販売株式会社社製)(12.48g)を、100mLサンプル管に仕込み、室温下で15分間撹拌した。
続いて、固体酸触媒ナフィオン(0.30g)、蒸留水(0.99g)を加え、室温下で3日間撹拌した。反応終了後、ナフィオンを濾過で取り除くことで、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物を含む薬液Aを得た。
薬液A(2.41g)、メチルイソブチルケトン(6.14g)、ウレタンアクリレート樹脂(紫光UV−1700B:日本合成化学製)(8.69g)、及びIrgacure907(BASF社製、登録商標)(0.35g)を混合し、均一の溶液となるまで撹拌した。続いて得られた溶液を撹拌しながら、リン酸(0.02g)を滴下し、薬液Bとした。
薬液Bは、直ちにPETフィルム上にバーコート法で、膜厚5μmになるように塗布し、80℃で3分間加熱乾燥し、その後UV照射(365nm:400mJ/cm)を行い、有機無機複合体Bを得た。
(比較例)
薬液A(2.41g)、メチルイソブチルケトン(6.14g)、ウレタンアクリレート樹脂(紫光UV−1700B:日本合成化学製)(8.69g)、及びIrgacure907(BASF社製)(0.35g)を混合し、均一の溶液となるまで撹拌し、比較用薬液Bとした。
比較用薬液Bを、PETフィルム上にバーコート法で、膜厚5μmになるように塗布し、80℃で3分間加熱乾燥し、その後UV照射(365nm:400mJ/cm)を行い、比較用有機無機複合体Bを得た。
(ESCA分析)
実施例で得られた有機無機複合体について、X線光電子分光装置(Quantera II、アルバック・ファイ社製:測定条件 電圧:1kV、100サイクル数、約200nm深さまで測定。)による測定を実施した。測定結果を図1と図2に示す。
有機無機複合体Bでは、表面にシラン化合物の濃縮層が形成されており、表面部の炭素原子含有量が内部(基材との接合部付近)の炭素原子含有量に比して少ない構成となっているのが分かる。

Claims (1)

  1. 式(I)
    SiX4−n (I)
    (式中、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した有機基を表し、Xはそれぞれ独立に水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物を、固体酸触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させた後、固体酸触媒を除去して生成物を得る工程(1);
    得られた生成物と、電磁線硬化性化合物を混合して有機無機複合体形成用組成物を得る工程(2);及び
    得られた有機無機複合体形成組成物と、リン酸類を混合後、樹脂基材上に塗布し、電磁線照射する工程(3)を有する有機無機複合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116462492A (zh) * 2023-05-05 2023-07-21 中国科学院兰州化学物理研究所 一种光固化3d打印水凝胶前驱体制备低收缩率陶瓷的方法

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