JP2017094305A - 撹拌システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、被処理水の生物処理に利用する撹拌システムにおいて、生物処理された処理水の水質を維持しつつ、撹拌に使用する電力を低減することである。【解決手段】上記課題を解決するために、撹拌羽根を有する撹拌機と、被処理水を撹拌羽根により撹拌するための撹拌槽と、撹拌槽内の微生物の混合状態または処理水の水質を計測する計測手段と、計測手段の計測値に基づいて撹拌羽根の回転数を制御する回転数制御部と、を備えた撹拌システムを提供する。これにより、良好な混合状態又は水質の場合には、一時的に回転数を停止あるいは低下し、混合状態又は水質は悪化した場合には、再び回転数を高めて良好な混合状態を維持するという制御が可能となるため、良好な混合状態時における不要な撹拌が削減され、電力消費量を低減することができる。【選択図】図2
Description
本発明は、被処理水を撹拌羽根により撹拌する撹拌槽を備えた撹拌システムに関する。更に詳しくは、撹拌羽根の回転数を制御することにより電力消費量が低減された撹拌システムに関する。
食品工場の排水や下水等の有機性廃水の浄化処理として、微生物による生物処理が利用されている。生物処理では、有機性廃水に含まれる有機物が微生物により分解され、所定の水質となるように有機性廃水を処理する。
生物処理が施されている間、有機性廃水は、有機物と微生物との接触量を増加させるために、撹拌羽根を有する撹拌機により撹拌されている。例えば、特許文献1には、嫌気性処理方法において、撹拌羽根が撹拌槽の底部に配置された撹拌手段を用いて、撹拌羽根の末端から径方向外側に10cm離れた位置での流速が0.3m/秒を超え0.8m/秒以下となるように有機性廃水を撹拌する方法が記載されている。
従来、生物処理に利用される撹拌システムでは、良好な混合状態となるように撹拌羽根の回転数を設定すると、その後、特段の制御することなく一定の回転数で撹拌羽根の回転を継続している。そのため、長時間稼働により多量の電力を消費している。
本発明は、有機性廃水等の被処理水を生物処理するための撹拌システムにおいて、処理水の水質を維持しつつ、撹拌に使用する電力の低減を目的とする。
本発明は、有機性廃水等の被処理水を生物処理するための撹拌システムにおいて、処理水の水質を維持しつつ、撹拌に使用する電力の低減を目的とする。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、撹拌槽内の微生物の混合状態又は処理水の水質を計測しながら、この計測値に基づいて撹拌羽根の回転数を制御することにより、処理水の水質を維持しつつ撹拌に使用する電力を低減できることを見出して、本発明を完成した。
具体的には、以下の撹拌システムである。
具体的には、以下の撹拌システムである。
上記課題を解決するための本発明の撹拌システムとは、被処理水の生物処理に利用する撹拌システムにおいて、撹拌羽根を有する撹拌機と、被処理水と微生物を前記撹拌羽根により撹拌するための撹拌槽と、前記撹拌槽内の微生物の混合状態又は処理水の水質を計測する計測手段と、前記計測手段の計測値に基づいて前記撹拌羽根の回転数を制御する回転数制御部と、を備えたことを特徴とする。
従来の撹拌システムでは、良好な混合状態を得るための所定の回転数で撹拌羽根を回転させ、その後は特段の制御を行っていない。しかしながら、良好な混合状態に至ると、その後撹拌を停止又は低下させても、被処理水の流動によって微生物の混合状態が一時的に保たれている。
本発明の撹拌システムによれば、微生物の混合状態又は処理水の水質を計測する計測手段と、この計測値に基づいて撹拌羽根の回転数を制御する回転数制御部を備えているため、良好な混合状態又は水質の場合には、一時的に回転数を停止あるいは低下し、混合状態又は水質は悪化した場合には、再び回転数を高めて良好な混合状態を維持するという制御が可能となる。
これにより、良好な混合状態時における不要な撹拌力が削減されるため、電力消費量を低減することができる。
本発明の撹拌システムによれば、微生物の混合状態又は処理水の水質を計測する計測手段と、この計測値に基づいて撹拌羽根の回転数を制御する回転数制御部を備えているため、良好な混合状態又は水質の場合には、一時的に回転数を停止あるいは低下し、混合状態又は水質は悪化した場合には、再び回転数を高めて良好な混合状態を維持するという制御が可能となる。
これにより、良好な混合状態時における不要な撹拌力が削減されるため、電力消費量を低減することができる。
更に本発明の撹拌システムは、回転数制御部は、所定の回転数で撹拌羽根を回転する運転モード、及び、撹拌羽根の回転を停止する停止モードを実行するという特徴を有する。
この特徴によれば、良好な混合状態又は水質の場合には、撹拌羽根の回転を停止する停止モードが実行され、撹拌に係る電力の供給を停止するため、電力消費量を最大限に削減することができる。
また、停止モードを実行することにより、撹拌システムの総運転時間を減少することができる。そのため、モーター等の寿命が延びるという効果も有する。
この特徴によれば、良好な混合状態又は水質の場合には、撹拌羽根の回転を停止する停止モードが実行され、撹拌に係る電力の供給を停止するため、電力消費量を最大限に削減することができる。
また、停止モードを実行することにより、撹拌システムの総運転時間を減少することができる。そのため、モーター等の寿命が延びるという効果も有する。
更に本発明の撹拌システムは、計測手段は、撹拌槽内の下部に設置された微生物濃度を計測する微生物濃度計、又は、汚泥界面の水位を計測する汚泥界面計測器であるという特徴を有する。
微生物濃度計又は汚泥界面計測器は、撹拌羽根の回転数の変化に対して応答が素早く、変化量も大きいため、混合状態の制御として優れた計測手段である。また、これらの計測器を用いることにより、処理水の水質が変化する前に混合状態の悪化を検知可能であるため、処理水の変動幅を小さくすることができる。
微生物濃度計又は汚泥界面計測器は、撹拌羽根の回転数の変化に対して応答が素早く、変化量も大きいため、混合状態の制御として優れた計測手段である。また、これらの計測器を用いることにより、処理水の水質が変化する前に混合状態の悪化を検知可能であるため、処理水の変動幅を小さくすることができる。
本発明の撹拌システムによると、生物処理における処理水の水質を維持しつつ、撹拌に使用する電力を低減することができる。
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、本明細書において、本発明の撹拌システムの各構成についての説明は、対応する撹拌方法あるいは撹拌システムの制御方法が記載されているものとする。
なお、本明細書において、本発明の撹拌システムの各構成についての説明は、対応する撹拌方法あるいは撹拌システムの制御方法が記載されているものとする。
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例の撹拌システムを適用した下水処理設備10の構造を示す概略説明図である。
下水処理設備10は、紙面左から第1生物処理槽から第8生物処理槽の8つの生物処理槽により構成されており、第1、第3、第5、第7生物処理槽は、本発明の撹拌システムを備えた嫌気処理槽からなる。また、第2、第4、第6、第8生物処理槽は、散気装置を備えた好気処理槽を構成している。なお、本発明の撹拌システムは、嫌気処理槽、好気処理槽のいずれに適用してもよく、また、1つ又は複数の生物処理槽に適用してもよい。
下水Wは第1生物処理槽に供給され、嫌気処理及び好気処理を交互に施されて第8生物処理槽から排出される。
図1は、本発明の第1の実施例の撹拌システムを適用した下水処理設備10の構造を示す概略説明図である。
下水処理設備10は、紙面左から第1生物処理槽から第8生物処理槽の8つの生物処理槽により構成されており、第1、第3、第5、第7生物処理槽は、本発明の撹拌システムを備えた嫌気処理槽からなる。また、第2、第4、第6、第8生物処理槽は、散気装置を備えた好気処理槽を構成している。なお、本発明の撹拌システムは、嫌気処理槽、好気処理槽のいずれに適用してもよく、また、1つ又は複数の生物処理槽に適用してもよい。
下水Wは第1生物処理槽に供給され、嫌気処理及び好気処理を交互に施されて第8生物処理槽から排出される。
本発明の撹拌システムは、被処理水と微生物を撹拌するための撹拌システムであり、例えば、被処理水を生物学的に浄化するための水処理設備に利用される。水処理設備としては、例えば、食品工場、化学工場、製紙工場等からの有機性廃水を生物処理する汚水処理設備や、下水を生物処理する下水処理設備や、汚泥を生物処理する汚泥処理設備等が挙げられる。
生物処理とは、被処理水に含まれる有機物を微生物によって分解する処理である。生物処理に利用する微生物の種類は特に制限されず、好気性微生物でも嫌気性微生物でもよい。好気性微生物による生物処理では、曝気処理等により被処理水に対して強い撹拌力が供給されるが、嫌気性微生物による生物処理では、曝気処理のような強い撹拌力を供給するような処理を行わないため、本発明の撹拌システムは、嫌気性微生物による生物処理に使用することが好ましい。
微生物は、被処理水W0に対して行う処理に合わせて適宜選択され、例えば、有機物を分解してメタンを生成するメタン生成菌や、硝酸・亜硝酸等を窒素に還元する脱窒菌、硫酸等を還元する硫酸還元菌、水素イオンの還元を行う水素生成菌等が挙げられる。
微生物の形態は特に制限されず、例えば、比重の小さい浮遊菌でも、比重の大きいグラニュール汚泥等でもよい。
微生物の形態は特に制限されず、例えば、比重の小さい浮遊菌でも、比重の大きいグラニュール汚泥等でもよい。
図2は、第1の実施例の撹拌システム1Aを示す概略説明図である。
図2に図示するように、本発明の撹拌システム1Aは、被処理水W0を貯留し、微生物と混合するための撹拌槽2と、撹拌羽根3を有する撹拌機4と、撹拌槽2内の微生物の混合状態を計測するための計測手段として微生物濃度計6と、微生物濃度計6の計測値に基づいて撹拌羽根3の回転数を制御する回転数制御部5を備えている。
図2に図示するように、本発明の撹拌システム1Aは、被処理水W0を貯留し、微生物と混合するための撹拌槽2と、撹拌羽根3を有する撹拌機4と、撹拌槽2内の微生物の混合状態を計測するための計測手段として微生物濃度計6と、微生物濃度計6の計測値に基づいて撹拌羽根3の回転数を制御する回転数制御部5を備えている。
次に、本発明の撹拌システム1Aの各構成について説明する。
(撹拌槽)
撹拌槽2は、被処理水W0を貯留し、微生物と混合するための構成である。本発明の第1の実施例では、被処理水W0は撹拌槽2の下部から供給され、撹拌槽2の内部で生物処理されて処理水W1として撹拌槽2の上部から流出する。このように、被処理水W0の供給及び処理水W1の流出は連続的に行われ、被処理水W0は撹拌槽2の内部に一時的に貯留されている。
(撹拌槽)
撹拌槽2は、被処理水W0を貯留し、微生物と混合するための構成である。本発明の第1の実施例では、被処理水W0は撹拌槽2の下部から供給され、撹拌槽2の内部で生物処理されて処理水W1として撹拌槽2の上部から流出する。このように、被処理水W0の供給及び処理水W1の流出は連続的に行われ、被処理水W0は撹拌槽2の内部に一時的に貯留されている。
なお、被処理水W0の供給の方式としては、特に制限されず、第1の実施例のように被処理水W0の供給を連続的に行う連続式でも、被処理水W0の供給を断続的に行うバッチ式でもよい。水処理設備のように多量の被処理水を処理する場合には、連続式で行うことが好ましい。
被処理水の供給及び排出のための流路は、撹拌槽2のいずれに設置してもよい。第1の実施例では、供給路を下部、流出路を上部に設置しているが、供給路及び流出路のいずれも上部に設置したり、供給路を上部、流出路を下部に設置したりしてもよい。
なお、第1の実施例のように供給路を下部、流出路を上部に設置すると、撹拌槽2の内部を流れる被処理水W0に上昇流が形成されるため、微生物の沈降分離を抑制することができる。よって、撹拌羽根3の回転を停止又は低下した際に、混合状態又は水質が悪化するまでの時間が増えるため、省電力化において優れた構成となる。
なお、第1の実施例のように供給路を下部、流出路を上部に設置すると、撹拌槽2の内部を流れる被処理水W0に上昇流が形成されるため、微生物の沈降分離を抑制することができる。よって、撹拌羽根3の回転を停止又は低下した際に、混合状態又は水質が悪化するまでの時間が増えるため、省電力化において優れた構成となる。
また、撹拌槽2を円筒形状とし、該撹拌槽2の接線方向から被処理水W0を供給して、螺旋流を形成するように構成してもよい。その際、撹拌羽根3の回転方向と同方向に供給することが好ましい。これにより、撹拌羽根3の回転を停止又は低下した際に、良好な混合状態を長く維持することができる。
(撹拌機)
撹拌機4は、被処理水W0を撹拌するための撹拌羽根3を備えた構成である。第1の実施例では、撹拌機4は、撹拌槽2の天井部にモーターが設置され、モーターの回転力を撹拌羽根3に伝達するシャフトが天井部より垂下し、該シャフトの下端に撹拌羽根3が取り付けられている。
撹拌機4は、被処理水W0を撹拌するための撹拌羽根3を備えた構成である。第1の実施例では、撹拌機4は、撹拌槽2の天井部にモーターが設置され、モーターの回転力を撹拌羽根3に伝達するシャフトが天井部より垂下し、該シャフトの下端に撹拌羽根3が取り付けられている。
撹拌機4は、被処理水W0を撹拌できればどのように設置してもよく、例えば、第1の実施例ようにシャフトを垂直方向に設置した縦型の撹拌機でも、シャフトを水平方向に設置した横型の撹拌機でもよい。
なお、横型の撹拌機は、撹拌槽2の側面にシャフトの貫通孔を形成するため、シール構造を設ける必要がある。これに対して、縦型の撹拌機は簡素な構成とすることができる。
なお、横型の撹拌機は、撹拌槽2の側面にシャフトの貫通孔を形成するため、シール構造を設ける必要がある。これに対して、縦型の撹拌機は簡素な構成とすることができる。
撹拌羽根3の形状は、被処理水W0を撹拌できれば、どのような形状でもよく、例えば、複数の羽根がシャフトに放射状に取り付けられたプロペラ様の撹拌羽根等がある。
(回転数制御部)
回転数制御部5は、撹拌機4のモーターの回転数を調整することにより、撹拌羽根3の回転数を制御する構成である。また、第1の実施例の回転数制御部5は、撹拌槽2内の微生物の混合状態を計測する微生物濃度計6に接続され、微生物濃度計6の計測値に基づいて撹拌羽根3の回転数を制御している。
回転数制御部5は、撹拌機4のモーターの回転数を調整することにより、撹拌羽根3の回転数を制御する構成である。また、第1の実施例の回転数制御部5は、撹拌槽2内の微生物の混合状態を計測する微生物濃度計6に接続され、微生物濃度計6の計測値に基づいて撹拌羽根3の回転数を制御している。
本発明の回転数制御部5は、微生物の混合状態又は処理水W1の水質の計測値に応じて、混合状態又は水質が良好であると判断すれば、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下し、混合状態又は水質が悪化していると判断すれば、撹拌羽根3の回転数を増加して良好な混合状態を維持するように制御する。
この制御によれば、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下した際に、電力消費量を抑制することができる。また、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下している間は、慣性力により形成される被処理水W0の流れにより一時的に良好な混合状態及び水質が維持される。
この制御によれば、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下した際に、電力消費量を抑制することができる。また、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下している間は、慣性力により形成される被処理水W0の流れにより一時的に良好な混合状態及び水質が維持される。
ここで、撹拌羽根3の回転数と混合状態及び水質の関係について説明すると、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下することにより、徐々に微生物が沈降分離を始めて混合状態が悪化する。そして、混合状態が悪化すると、微生物と被処理水W0の接触量が減少して、水質の悪化を引き起こすことになる。
本発明の撹拌システムにおける回転数制御では、水質の悪化を抑制しつつ、電力消費量を低減することを目的としている。
そして、水質を維持することを重視して制御する場合には、混合状態を計測する計測手段を利用すればよい。これにより、水質の悪化が生じる前に良好な混合状態に戻すように制御する。
また、電力消費量の低下を重視して制御する場合には、処理水W1の水質を計測する計測手段を利用すればよい。これにより、水質の変動は多少生じるものの、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下する時間が長くなり、電力消費量を低下することができる。
そして、水質を維持することを重視して制御する場合には、混合状態を計測する計測手段を利用すればよい。これにより、水質の悪化が生じる前に良好な混合状態に戻すように制御する。
また、電力消費量の低下を重視して制御する場合には、処理水W1の水質を計測する計測手段を利用すればよい。これにより、水質の変動は多少生じるものの、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下する時間が長くなり、電力消費量を低下することができる。
なお、混合状態は、微生物が均等に分布している状態を良好な混合状態とし、微生物が沈降分離して被処理水W0の上下で濃度分布に差異が大きくなることを混合状態が悪化していると判断する。そして、混合状態を計測する計測手段による制御において、混合状態が良好であるか悪化しているかの判断は、混合状態の計測値と水質の変化の関係性を確認し、オペレータが設定した所定の制御値により判断すればよい。
回転数制御部5における撹拌羽根3の回転数の制御方法は、混合状態又は水質の計測値に応じて回転数を増減する方法であれば、特に制限されない。例えば、所定の回転数で撹拌羽根を回転する運転モードと、撹拌羽根の回転を停止する停止モードを設け、オペレータの設定した所定の混合状態計測値に応じて、運転モードと停止モードを切り替えるオンオフ制御方法や、混合状態計測値に応じて適切な回転数に制御するPID制御方法等が挙げられる。
オンオフ制御方法は、停止モードの際に慣性力による被処理水の流動を最大限に利用することができるため、電力消費量の削減において、優れた効果を発揮することができる。
オンオフ制御方法は、停止モードの際に慣性力による被処理水の流動を最大限に利用することができるため、電力消費量の削減において、優れた効果を発揮することができる。
(微生物の混合状態を計測する計測手段)
微生物の混合状態を計測する計測手段としては、微生物の分布の状態を計測する指標となれば、どのような計測器を利用してもよい。例えば、所定の位置に固定された微生物濃度計や、汚泥の沈降界面を計測する汚泥界面計測器等が挙げられる。
微生物の混合状態を計測する計測手段としては、微生物の分布の状態を計測する指標となれば、どのような計測器を利用してもよい。例えば、所定の位置に固定された微生物濃度計や、汚泥の沈降界面を計測する汚泥界面計測器等が挙げられる。
第1の実施例では、微生物濃度計6を利用している。微生物濃度計6は、被処理水W0に含まれる微生物の量又はこの指標となる懸濁物質の量を測定することができる計測手段であり、例えば、活性汚泥浮遊物質(MLSS:Mixed Liquor Suspended Solids)濃度計等が挙げられる。
微生物濃度計6を設置する位置は、特に制限されないが、第1の実施例のように撹拌槽2の底部や、被処理水W0の水面付近に設置することが好ましい。底部や水面付近では、微生物の沈降分離による濃度変化が素早く生じるため、これらの位置に微生物濃度計を設置することにより、混合状態を計測する計測手段として優れた効果を発揮する。
汚泥界面計測器は、撹拌羽根3の回転数を停止又は低下した際に、微生物が沈降分離して形成された上清層と汚泥層の界面の水位を計測する計測器である。汚泥界面計測器としては、どのような方式のものを使用してもよく、例えば、光学式界面計測器や、超音波式界面計測器等が挙げられる。
(処理水の水質を計測する計測手段)
処理水の水質を計測する手段としては、生物処理により変動する所定の水質を計測するものであれば、どのような計測器を利用してもよい。例えば、化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)、生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)、全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)、全窒素量、硝酸量、亜硝酸量、アンモニウムイオン量、硫酸量等の計測器が挙げられる。COD、BOD、TOCは、pH等の他の条件の変動の影響が小さく、微生物の混合状態と相関する傾向が認められるため、混合状態を制御するという指標として優れている。
処理水の水質を計測する手段としては、生物処理により変動する所定の水質を計測するものであれば、どのような計測器を利用してもよい。例えば、化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)、生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)、全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)、全窒素量、硝酸量、亜硝酸量、アンモニウムイオン量、硫酸量等の計測器が挙げられる。COD、BOD、TOCは、pH等の他の条件の変動の影響が小さく、微生物の混合状態と相関する傾向が認められるため、混合状態を制御するという指標として優れている。
(試験例)
次に、本発明の撹拌システムの回転数制御の一例として、下水処理設備10の第7生物処理槽(破線で囲む嫌気処理槽)における撹拌羽根の回転数と、微生物の混合状態及び処理水の水質の関係について示した試験例を説明する。なお、この試験例は、本発明の撹拌システムの制御の一例であり、本発明の範囲を制限するものではない。
次に、本発明の撹拌システムの回転数制御の一例として、下水処理設備10の第7生物処理槽(破線で囲む嫌気処理槽)における撹拌羽根の回転数と、微生物の混合状態及び処理水の水質の関係について示した試験例を説明する。なお、この試験例は、本発明の撹拌システムの制御の一例であり、本発明の範囲を制限するものではない。
図3は、本発明の撹拌システムの撹拌羽根の回転数制御と、それに伴う混合状態又は水質の変動を表すグラフである。
(A)は、制御された撹拌羽根の回転数を示すグラフである。撹拌羽根の回転数制御は、18rpmで回転する運転モードと、回転を停止する停止モードを実行するオンオフ制御方法である。グラフの縦軸は回転数を示し、横軸は停止モードの開始後の経過時間を示している。
(A)は、制御された撹拌羽根の回転数を示すグラフである。撹拌羽根の回転数制御は、18rpmで回転する運転モードと、回転を停止する停止モードを実行するオンオフ制御方法である。グラフの縦軸は回転数を示し、横軸は停止モードの開始後の経過時間を示している。
(B)及び(C)は、混合状態の変動を表す指標として、底部の隅に設置したMLSS計の計測値、汚泥界面の水位を計測する汚泥界面計測器の計測値を示すグラフである。
(B)は、撹拌羽根の回転数を停止してから経時的に変化するMLSSの変動を表すグラフである。
(C)は、撹拌羽根の回転数を停止してから経時的に変化する汚泥界面の水位の変動を表すグラフである。
(B)は、撹拌羽根の回転数を停止してから経時的に変化するMLSSの変動を表すグラフである。
(C)は、撹拌羽根の回転数を停止してから経時的に変化する汚泥界面の水位の変動を表すグラフである。
撹拌羽根の回転を停止すると、MLSSは徐々に増加して、運転モードに切り替えると直ちに元の状態に戻ることが示された。また、汚泥界面の水位は徐々に低下して、運転モードに切り替え後、直ちに元の状態に戻ることが示された。
このように、撹拌羽根の回転を停止しても、混合状態は急激に悪化することなく、徐々に分離することが認められた。
このように、撹拌羽根の回転を停止しても、混合状態は急激に悪化することなく、徐々に分離することが認められた。
次に、(D)は、処理水の水質の変動を表す指標として、CODMn(CODMnは、過マンガン酸カリウムを用いた酸性高温過マンガン酸法によるCOD)、TOC、BODの計測値を示すグラフである。
これらの水質は、撹拌羽根の回転を停止しても、一定時間は変動がなく、停止モード開始から約40分間で、CODMnとTOCが上昇を始めた。そして、運転モードに切り替えると、約15分後には元の状態に戻った。
また、BODについては、約60分間で緩やかに上昇を始め、運転モード切り替え後は、上昇が停止した。
この結果、水質による回転数制御として、CODMnとTOCの計測値は、比較的素早く元の状態に戻るため、回転数の制御のための指標として優れることが示された。
また、BODについては、約60分間で緩やかに上昇を始め、運転モード切り替え後は、上昇が停止した。
この結果、水質による回転数制御として、CODMnとTOCの計測値は、比較的素早く元の状態に戻るため、回転数の制御のための指標として優れることが示された。
また、混合状態を示すMLSS及び汚泥界面の水位の計測値は、回転の停止に対して水質の指標より早く応答して変動するため、この計測値に基づく回転数制御によれば、水質が変動する前に良好な混合状態を回復できる。よって、混合状態を計測する計測手段は、水質の変動幅を小さく制御する制御方法として優れた効果を発揮する。
水質の変動幅を小さく制御する制御方法の例としては、例えば、MLSSの所定値を4000mg/Lとし、これを超えた場合に運転モードに切り替わるように制御する方法が挙げられる。なお、MLSSの計測値は、グラフに示すように、上下に激しく振動しながら上昇しているが、このような場合の所定値の設定としては、一定時間所定値を超えた場合に、運転モードに切り替わるように設定すればよい。
また、他の例としては、例えば、汚泥界面の水位の所定値を9mとし、これを下回る場合に運転モードに切り替わるように制御する方法が挙げられる。
また、他の例としては、例えば、汚泥界面の水位の所定値を9mとし、これを下回る場合に運転モードに切り替わるように制御する方法が挙げられる。
このような制御方法によれば、約30分間の停止モードが確保されるため、電力消費量を低減することができる。更には、処理水の水質の変動が始まる前に良好な混合状態に回復するため、処理水の水質を一定に維持することもできる。
(回転数制御部における制御プログラムの例)
次に、回転数制御部における制御プログラムの一例を説明する。なお、この制御プログラムは、本発明の撹拌システムの制御プログラムの一例であり、本発明の範囲を制限するものではない。
図4は、本発明の第1の実施例の撹拌システム1Aの回転数制御部5における制御のフローを表す概略説明図である。
次に、回転数制御部における制御プログラムの一例を説明する。なお、この制御プログラムは、本発明の撹拌システムの制御プログラムの一例であり、本発明の範囲を制限するものではない。
図4は、本発明の第1の実施例の撹拌システム1Aの回転数制御部5における制御のフローを表す概略説明図である。
図4に示すように、本発明の撹拌システム1Aの運転を開始すると、撹拌羽根3の回転数が上昇し、運転モードが開始する。運転モードでは、所定の回転数で撹拌羽根3が回転しつつ、微生物濃度計6によりMLSSが計測されている。そして、計測されたMLSSが所定の値より小さい場合には、混合状態が良好ではないと判断し、MLSSの計測が継続する。一方、計測されたMLSSが所定の値より大きい場合には、混合状態が良好であると判断し、停止モードを開始する。
停止モードでは、撹拌羽根3の回転が停止される。また、運転モードと同様、微生物濃度計6によりMLSSが計測され、計測されたMLSSが所定の値より大きい場合には、混合状態が良好であると判断し、MLSSの計測が継続する。一方、計測されたMLSSが所定の値より小さい場合には、混合状態が良好ではないと判断し、運転モードを開始する。
なお、フローには記載していないが、撹拌システム1Aの運転を停止することにより、この制御プログラムは終了する。
なお、フローには記載していないが、撹拌システム1Aの運転を停止することにより、この制御プログラムは終了する。
この制御プログラムによれば、運転モードと停止モードを繰り返すことにより、処理水W1の水質を維持しつつ、撹拌に使用する電力を低減することができる。
[第2の実施例]
図5は、第2の実施例の撹拌システム1Bを示す概略説明図である。
第2の実施例の撹拌システム1Bでは、第1の実施例の撹拌システム1Aの微生物濃度計6に代えて、処理水W1の水質を計測する水質計測器7を備えた構成である。
図5は、第2の実施例の撹拌システム1Bを示す概略説明図である。
第2の実施例の撹拌システム1Bでは、第1の実施例の撹拌システム1Aの微生物濃度計6に代えて、処理水W1の水質を計測する水質計測器7を備えた構成である。
水質計測器7に使用する計測器としては、生物処理により変動する所定の水質を計測するものであれば、どのような計測器を利用してもよく、上述したように、COD、BOD、TOC、全窒素量、硝酸量、亜硝酸量、アンモニウムイオン量、硫酸量等の計測器が挙げられる。
図3の試験例を用いて第2の実施例の撹拌システム1Bの制御方法の例を挙げると、例えば、CODMnの所定値を6mg/Lとし、これを超えた場合に運転モードに切り替わるように制御する方法が挙げられる。
また、TOCの所定値を4mg/Lとし、これを超えた場合に運転モードに切り替わるように制御してもよい。
また、TOCの所定値を4mg/Lとし、これを超えた場合に運転モードに切り替わるように制御してもよい。
この制御方法によれば、水質はやや変動するものの、約50分間の停止モードが得られるため、電力消費量の低減に優れた効果が認められる。
[第3の実施例]
図6は、第3の実施例の撹拌システム1Cを示す概略説明図である。
第3の実施例の撹拌システム1Cでは、第1の実施例の撹拌システム1Aの微生物濃度計6に加えて、更に汚泥界面の水位を計測する汚泥界面計測器8を備えた構成である。
図6は、第3の実施例の撹拌システム1Cを示す概略説明図である。
第3の実施例の撹拌システム1Cでは、第1の実施例の撹拌システム1Aの微生物濃度計6に加えて、更に汚泥界面の水位を計測する汚泥界面計測器8を備えた構成である。
この撹拌システム1Cでは、被処理水W0の上部と下部において、それぞれ混合状態を計測することができるため、例えば、比重の重い懸濁物が混入して微生物濃度計の値が一時的に高くなるような場合や、比重の軽い着色物質が混入して汚泥界面の計測値ができない場合等のトラブルが生じても、一方の値により正常な撹拌処理が行われるという効果がある。
本発明の撹拌システムは、被処理水と微生物を撹拌するための撹拌システムに利用することができる。例えば、被処理水を生物学的に浄化するための水処理設備として、食品工場、化学工場、製紙工場等からの有機性廃水を生物処理する汚水処理設備や、下水を生物処理する下水処理設備や、汚泥を生物処理する汚泥処理設備等に利用することができる。
また、本発明の撹拌システムは、処理水の水質を維持しつつ、電力消費量を低減する撹拌システムの運転方法に利用することができる。
1A,1B,1C 撹拌システム、2 撹拌槽、3 撹拌羽根、4 撹拌機、5 回転数制御部、6 微生物濃度計、7 水質計測器、8 汚泥界面計測器、10 下水処理設備、W 下水、W0 被処理水、W1 処理水、M モーター、B ブロワ
Claims (3)
- 被処理水の生物処理に利用する撹拌システムにおいて、
撹拌羽根を有する撹拌機と、
被処理水と微生物を前記撹拌羽根により撹拌するための撹拌槽と、
前記撹拌槽内の微生物の混合状態または処理水の水質を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測値に基づいて前記撹拌羽根の回転数を制御する回転数制御部と、を備えたことを特徴とする撹拌システム。 - 前記回転数制御部は、所定の回転数で撹拌羽根を回転する運転モード、及び、撹拌羽根の回転を停止する停止モードを実行することを特徴とする請求項1に記載の撹拌システム。
- 前記計測手段は、撹拌槽内の下部に設置された微生物濃度を計測する微生物濃度計、または、汚泥界面の水位を計測する汚泥界面計測器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撹拌システム。
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-
2015
- 2015-11-27 JP JP2015231240A patent/JP2017094305A/ja active Pending
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