JP2017093329A - 具材浸漬用調味料 - Google Patents

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Takayuki Higashiyama
貴幸 東山
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Abstract

【課題】具材由来の水分によって調味液の味が大きく変化せず、希釈耐性に優れた調味料の提供。【解決手段】(a)水溶性たんぱく質、(b)粘度調整剤及び(c)ジカルボン酸又はその塩を含有する具材浸漬用調味料であって、(i)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(a)濃度が0.0005質量%以上20質量%以下、(ii)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(c)濃度が0.0005質量%以上2.0質量%以下、(iii)ストレート換算で喫食時の調味液の20℃静粘度が3〜300mPa・s×g/cm3、(iv)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃静粘度が2.1〜80mPa・s×g/cm3、(v)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃におけるBrixが1〜25、及び(vi)ストレート換算で喫食時の調味液のpHが4.0〜7.5であることを特徴とする具材浸漬用調味料。【選択図】なし

Description

本発明は、麺や鍋料理などの具材浸漬料理用の調味料に関する。
麺や鍋料理などの具材浸漬料理においては、具材を調味液に浸漬することで具材そのものの味と調味液が混ざり合った複雑な味わいが楽しめたり、具材のネガティブな風味が押さえられたりすることが従来知られている。一方で、具材を調味液に浸漬することで調味液が希釈され、喫食しているうちに調味液の味が薄くなってしまう場合があった。
例えば、鍋料理などの料理では、具材を食べ終わった後の煮汁を使ってうどんや餅、ラーメンを煮込んだり、飯を入れておじやを作ったりする食べ方が知られている。これは俗に「締め(〆)」などと呼ばれている。一般的に締めにおいては、煮汁に具材のエキス分などが含まれるため芳醇な味わいが楽しめるが、その調理過程で野菜をはじめとする具材から水分が浸出し、締めの料理の味わいが薄くなってしまいがちである。しかし、締めを想定して調味液を濃くすると本来の料理の味わいを損ねてしまうという問題がある。
このような水分増加による調味料の味の変化を防止すべく、麸或いは朧昆布又はパン状体若しくは無害性のスポンジ類に好みの鹹味・旨味・酸味・甘味・苦味等から成る調味材を含浸させたことを特徴とする盛蕎麦・ざる蕎麦・冷しうどん・ひやむぎ・冷し中華又は冷や奴等の冷し物の食用時における調味料(特許文献1)が報告されている。また、長時間の加熱において風味が長持ちする液体調味料として、アスコルビン酸、その塩又はそのエステル、シクロデキストリン、及び酵母エキスを含有する液体調味料が報告されている(特許文献2)。さらに、食用油脂と、食用油脂に均一に分散されたコラーゲン質粉末とを配合したラーメンスープ用調味料(特許文献3)が報告されている。
特開平7−99921号公報 特開2014−93973号公報 特開2005−192532号公報
出雲直人、小岩井淳志、「静粘度〔sv〕と振動式粘度計について」、第24回センシングフォーラム資料、SICE(社)、2007年10月25日、第24巻、p.141−146
しかしながら、前記特許文献1記載の調味料においては、冷し物調味料を食べ始めから終わりまで味を同じに保つことができる旨記載されているが、調味料の他にスポンジ状等の調味基体を使用する必要がある他、技術を冷し物にしか適用できないという問題があった。
また、特許文献2及び3記載の発明では、具材由来の水による希釈に対する耐性については全く記載されていない。すなわち、具材由来の水分などによって調味液の味が薄まる鍋料理や麺類などの食品において、食べ始めから終わりまでの調味液の味を同じように保つことが出来る希釈耐性を簡便に付与することができる技術は全く知られていない。
従って、本発明の課題は、食べ始めから終わりまでの調味液の味を同じように保つことが出来る希釈耐性を付与された具材浸漬用調味料、希釈耐性付与方法、及び食品を提供することである。
そこで本発明者は、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、水溶性たんぱく質、粘度調整剤及びジカルボン酸塩を特定量含有し、さらに20℃と80℃における静粘度、Brix及びpHを特定の範囲に調整することにより、具材からの水分などによって希釈された後でも、おいしさ、まろやかさ、味の濃さ、旨味等が保持できる調味料が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔16〕を提供するものである。
〔1〕(a)水溶性たんぱく質、(b)粘度調整剤及び(c)ジカルボン酸又はその塩を含有する具材浸漬用調味料であって、
(i)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(a)濃度が0.0005質量%以上20質量%以下、
(ii)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(c)濃度が0.0005質量%以上2.0質量%以下、
(iii)ストレート換算で喫食時の調味液の20℃静粘度が3〜300mPa・s×g/cm3
(iv)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃静粘度が2.1〜80mPa・s×g/cm3
(v)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃におけるBrixが1〜25、及び
(vi)ストレート換算で喫食時の調味液のpHが4.0〜7.5
であることを特徴とする具材浸漬用調味料。
〔2〕(c)ジカルボン酸又はその塩が、コハク酸又はその塩である〔1〕記載の具材浸漬用調味料。
〔3〕(a)水溶性たんぱく質が、水溶性コラーゲンである〔1〕又は〔2〕記載の具材浸漬用調味料。
〔4〕さらに(d)核酸塩を含有し、成分(c)と(d)の質量比(c/d)が0.03〜200である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の具材浸漬用調味料。
〔5〕さらに(e)水あめを含有する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の具材浸漬用調味料。
〔6〕(c)ジカルボン酸又はその塩が、コハク酸ナトリウム及びコハク酸二ナトリウムから選ばれる1種又は2種である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の具材浸漬用調味料。
〔7〕(b)粘度調整剤が、キサンタンガム、澱粉、タマリンドシードガム、グアーガム及びペクチンから選ばれる1種又は2種以上である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の具材浸漬用調味料。
〔8〕(d)核酸塩が、イノシン酸二ナトリウムである〔4〕〜〔7〕のいずれかに記載の具材浸漬用調味料。
〔9〕(a)水溶性たんぱく質が、15%水溶液を液温40℃に調整した状態で測定した粘度が1〜10mPa・sである水溶性たんぱく質である〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の具材浸漬用調味料。
〔10〕さらに(g)乳化剤を、ストレート換算で喫食時の調味液中に0.005〜1.1質量%含有する〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の具材浸漬用調味料。
〔11〕(g)乳化剤が、レシチンである〔10〕記載の具材浸漬用調味料。
〔12〕レシチンが、大豆レシチン及び卵黄レシチンから選ばれる1種又は2種である〔11〕記載の具材浸漬用調味料。
〔13〕(a)水溶性たんぱく質、(b)粘度調整剤及び(c)ジカルボン酸又はその塩を配合し、次の(i)〜(vi)になるように調整することを特徴とする、調味液への希釈耐性付与方法。
(i)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(a)濃度が0.0005質量%以上20質量%以下、
(ii)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(c)濃度が0.0005質量%以上2.0質量%以下、
(iii)ストレート換算で喫食時の調味液の20℃静粘度が3〜300mPa・s×g/cm3
(iv)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃静粘度が2.1〜80mPa・s×g/cm3
(v)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃におけるBrixが1〜25、及び
(vi)ストレート換算で喫食時の調味液のpHが4.0〜7.5
〔14〕〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の調味料を用いて得られた食品。
〔15〕鍋料理又は澱粉食品浸漬料理である〔14〕記載の食品。
〔16〕澱粉食品が、麺類である〔15〕記載の食品。
本発明によれば、具材浸漬用調味液に対して、食べ始めから終わりまでの調味液の味を同じように保つことが出来る希釈耐性を付与することができる。即ち本発明の調味料を用いることで、具材の浸漬により調味液が希釈されても味が保たれ、これまで実現できなかった本来の料理と締めの両方をどちらもおいしく食べることが実現できる。さらに、例えばおでんや味噌汁のように経時的に調味液が煮詰って味が濃くなるような料理に対して、本発明によって予め煮詰まることを想定して希釈された調味液をおいしさを保ったまま提供することができ、家庭用用途以外でも、産業用用途の展開も期待できる。
以下、本発明の具材浸漬用調味料、希釈耐性付与方法、食品について詳細に説明する。
本発明の具材浸漬用調味料とは、具材を浸漬して調味するための調味料である。例えば、鍋つゆのように調味液の中に具材を浸漬して加熱調理して使用するための調味料や、例えばそばつゆのように調味液に麺類などの具材を浸して使用するための調味料や、例えば冷やし中華のたれのように麺類や具材に後からかけて使用する調味料も含まれる。具材浸漬用調味料の形状は、固形状、粉末状や液体状、ペースト状などどのようなものでもよい。また、具材浸漬用調味料は、調理時に水やだしなどを加えて最適な濃度に調整して用いる濃縮タイプのものや、調味料をそのまま料理に使用するストレートタイプのものなど、どのような方法で使用するものでもよい。本発明の具材浸漬用調味料は具材を浸漬する工程のある料理であれば何でもよく、例えば鍋料理、澱粉食品などの具材浸漬料理に用いることができるが、特に調理工程で具材由来の水分が浸出し、調味液が薄まりやすい鍋料理用途において本発明は有用である。
鍋料理の例としては、しゃぶしゃぶ、すき焼き、キムチ鍋、寄せ鍋、湯豆腐、ちゃんこ鍋、豆乳鍋、ごま豆乳鍋、鴨鍋、水炊き、カレー鍋、ごま鍋、味噌鍋、モツ鍋、洋風鍋、おでん、とんこつ鍋、チゲ鍋、スンドゥブ鍋、雑炊、リゾット、きりたんぽ鍋、ちりとり鍋、おじや、おかゆ、バーニャカウダなどがある。特に、ちゃんこ鍋やとんこつ鍋のように、鍋料理を食べ終わった後に締めとして雑炊やラーメンを作ることが多い料理において、本来の鍋料理と締めのどちらもおいしく食べることができるため有用である。また、おでんのように経時的に調味液が煮詰って味が濃くなるような料理に対して、本発明によって予め煮詰まることを想定して希釈された調味液をおいしさそのままに提供することができるため有用である。
澱粉食品とは、澱粉を主体として製造された食品、または澱粉を多く含む食材(例えば、米、麦、イモなどの穀類)を主体として製造された食品のことを指しており、その例としては、春雨、ビーフン、そば、中華そば、ビビン麺、素麺、冷麦、餃子の皮、くずきり、フォー、クスクス、うどん、ラーメン、パスタ、スパゲッティなどの麺類が挙げられるほか、米飯、パン、きりたんぽ、すいとん、団子、餅、オートミール、ニョッキなどが挙げられる。なかでも麺類は、下茹でしたものを使用する際には、下茹での際に麺が水分を多く含むため喫食中に調味液が薄くなりがちであり、調味液中で麺を調理する場合は、麺が調味液の水分を吸い取ったり、調理時の加熱によって調味液が煮詰まったりするため調味液が濃くなりがちである。そのため、調味液に希釈耐性を付与することで事前においしさを保ったまま調味液の水分量の調整が可能な本発明は有用である。
本発明の具材浸漬用調味料は、(a)水溶性たんぱく質、(b)粘度調整剤及び(c)ジカルボン酸又はその塩を含有し、下記(i)〜(vi)の条件を有する。
(i)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(a)濃度が0.0005質量%以上20質量%以下、
(ii)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(c)濃度が0.0005質量%以上2.0質量%以下、
(iii)ストレート換算で喫食時の調味液の20℃静粘度が3〜300mPa・s×g/cm3
(iv)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃静粘度が2.1〜80mPa・s×g/cm3
(v)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃におけるBrixが1〜25、
(vi)ストレート換算で喫食時の調味液のpHが4.0〜7.5。
(a)水溶性たんぱく質としては、動物又は植物又は微生物由来の水溶性たんぱく質が挙げられ、水溶性であれば、天然のたんぱく質でもよいし、天然のたんぱく質の分解物(ペプチド)であってもよい。具体的には、水溶性コラーゲン、水溶性ポリペプチド、酵母エキス、畜肉エキスが挙げられる。例えば酵母エキスとしては小川香料社製のミート風調味料「OGテイストMT」などを用いることができる。中でも本発明の希釈耐性付与効果の点から水溶性コラーゲンが好ましく、魚介類、鳥類又は哺乳類由来の水溶性コラーゲンがより好ましい。市販品としては、新田ゼラチン社製の水溶性コラーゲン「SCP−3100」を用いることができる。また、これらの水溶性たんぱく質は、1種又は2種以上を用いることができる。また、魚介類や豚のように水溶性コラーゲンを始めとする水溶性たんぱく質を含む食材を使用する場合においても、最終的にそれら原料由来と添加物由来の水溶性コラーゲンを始めとする水溶性たんぱく質とを合算して本発明の使用割合の好適範囲となるように、1種類以上の原料を選択して使用することができる。また、水溶性たんぱく質としては、15%水溶液を液温40℃に調整した状態で測定した粘度が1〜10mPa・sであるものが好ましい。
(b)粘度調整剤としては、食品に使用できる粘度調整剤であれば限定されないが、希釈耐性付与効果、耐熱性の点から、キサンタンガム、澱粉(澱粉分解物や加工澱粉を含む)、タマリンドシードガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、寒天などが挙げられるが、キサンタンガム、加工澱粉、タマリンドシードガム、グアーガムがより好ましい。これらの粘度調整剤は、1種又は2種以上を使用できる。特にタマリンドシードガム、キサンタンガム、加工澱粉についてはそれぞれが異なる粘性温度依存性を持つため、これらの粘度調整剤のうち1種又は2種以上を組み合わせて使用することで、加熱料理喫食時の具材浸漬用調味料温度帯である80℃付近で所望の粘度を実現しつつ、常温付近の具材浸漬用調味料の粘度を所望の粘度に調整することが可能になる。
(b)粘度調整剤の本発明調味料中の含有量は、20℃及び80℃の粘度を所望の範囲とする点から、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.06〜5質量%がさらに好ましい。
(c)ジカルボン酸又はその塩としては、コハク酸又はその塩が好ましく、コハク酸塩がより好ましく、コハク酸アルカリ金属塩がさらに好ましく、コハク酸ナトリウム塩がさらに好ましく、例えばコハク酸ナトリウムやコハク酸二ナトリウムがさらに好ましい。これらの中でも特にコハク酸二ナトリウム(例えば日本触媒社製の「コハク酸二ナトリウム」)は具材に調味料を浸透しやすくする効果が高く、より好適に用いることができる。コハク酸二ナトリウムを始めとするコハク酸塩は、その濃度が規定の範囲に調整されるものであれば何でもよく、例えば魚介類由来のものや化学合成のものを用いることができる。また、魚介類のようにコハク酸二ナトリウムを始めとするコハク酸塩を含む食材を使用する場合においても、最終的にそれら原料由来と添加物由来のコハク酸二ナトリウムを始めとするコハク酸塩とを合算して本発明の使用割合の好適範囲となるように、1種類以上の原料を選択して使用することができる。
(i)(a)水溶性たんぱく質の本発明調味料中の含有量は、特有のコラーゲン臭を抑えながら良好な希釈耐性付与効果を得る点から、ストレート換算で喫食時の調味液中の濃度として0.0005質量%以上20質量%以下である。さらに成分(a)の好ましいストレート換算での濃度は、0.0006質量%以上であり、より好ましくは0.0008質量%以上であり、さらに好ましくは0.001質量%以上である。また、成分(a)の好ましいストレート換算の濃度は15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
ここで、通常は調味料の包材などには、ストレート使用品である旨や、喫食時の希釈倍率など(あるいは濃縮倍率など)が記載されている。そして、本発明において「ストレート換算」での濃度、粘度等の値とは、具材浸漬用調味料を用いて調理する際に、適した濃度に調整した場合の値のことを意味する。従って、例えばストレート品の場合には、希釈をしないで測定した粘度や成分などの濃度となる。例えば、2倍希釈品の場合には、調味料1部に対して水1部を加えて希釈した際の静粘度や成分などの濃度となる。
(ii)(c)ジカルボン酸又はその塩の本発明調味料中の含有量は、ジカルボン酸特有の異味を感じない範囲で良好な希釈耐性付与効果、を得る点から、ストレート換算で喫食時の調味液中の濃度として0.0005質量%以上2.0質量%以下である。さらに好ましい成分(c)の好ましいストレート換算の濃度は、0.0006質量%以上であり、より好ましくは0.0008質量%以上であり、より好ましくは0.001質量%以上であり、さらに好ましくは0.01質量%以上である。また、成分(c)の好ましいストレート換算の濃度は1.9質量%以下であり、より好ましくは1.8質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
(iii)本発明の調味料は、食べ始めの味及び良好な希釈耐性付与効果の点から、ストレート換算で喫食時の調味液の20℃静粘度が3〜300mPa・s×g/cm3である。当該粘度が3mPa・s×g/cm3未満では、調味液の具材への絡まりが少なく、具材を浸漬した際に所望の効果が得られにくい。また、当該静粘度が300mPa・s×g/cm3を超えると、調味液の流動性が低下し、具材を浸漬した際に味が濃すぎるなどの問題が生じる。好ましい20℃静粘度は、3mPa・s×g/cm3以上であり、より好ましくは4mPa・s×g/cm3以上であり、さらに好ましくは5mPa・s×g/cm3以上であり、さらに好ましくは10mPa・s×g/cm3で以上である。また好ましい20℃静粘度は、250mPa・s×g/cm3以下であり、さらに好ましくは200mPa・s×g/cm3以下であり、さらに好ましくは150mPa・s×g/cm3以下であり、最も好ましくは100mPa・s×g/cm3以下である。
(iv)本発明の調味料は、良好な希釈耐性付与効果の点から、ストレート換算で喫食時の調味液の80℃静粘度が2.1〜80mPa・s×g/cm3である。当該静粘度が80mPa・s×g/cm3を超えると、調味液の流動性が低下し、具材を浸漬した際に所望の効果が得られにくくなる。具体的には、80℃加温時でのストレート換算で喫食時の静粘度が80mPa・s×g/cm3以下が好ましく、75mPa・s×g/cm3以下がさらに好ましく、70mPa・s×g/cm3以下がさらに好ましい。
また、本発明の具材浸漬用調味料は常温で喫食する料理に対しても効果を得られるが、喫食時温度が80℃前後(60℃〜100℃程度)のラーメンやうどんやおじやなどの加熱喫食料理に対しては、喫食時の静粘度が上述のように調整されることでより高い希釈耐性付与効果が得られる。具体的には喫食時の温度が40℃以上、望ましくは60℃以上、さらに望ましくは80℃以上の加熱喫食料理に対して、本発明はより好適な効果を発揮する。
さらには、本発明では喫食時の粘度が全く無いさらさらの状態でも効果を得られるが、ある程度喫食時に粘度があったほうが具材と調味料とが絡みやすいためより好ましい。具体的には、80℃加温時でのストレート換算で喫食時の静粘度が2.1mPa・s×g/cm以上に調整されていることが好ましく、特に4mPa・s×g/cm以上、さらに好ましくは6mPa・s×g/cm以上に調整されていることが好ましい。
本発明では20℃及び80℃加温時での静粘度をもって具材浸漬用調味料の特性を規定しているが、測定時にサンプルの温度に影響を与えにくい好適な静粘度測定方法としては、音叉型振動式粘度計(例えばA&D社の「SV−10」)による測定方法が挙げられる。この粘度計を用いた測定方法の具体例としては、例えば、具材浸漬用調味料をストレート換算で喫食時の濃度に希釈してからサンプル容器に適量充填し、20℃又は80℃に調整後、測定する試料の液面を水平とするため、左右振動子のくびれ中央に液面がくるように高さを調整してから測定する方法がある。振動式粘度計ではその測定原理から[粘度×密度]の値が求まるが、この粘度×密度を「静粘度」と呼ぶ。なお、「静粘度」に関しては、例えば、非特許文献1である『出雲直人、小岩井淳志、「静粘度〔sv〕と振動式粘度計について」、第24回センシングフォーラム資料、SICE(社)、2007年10月25日、第24巻、p.141−146』に参考となる記載がある。
(v)本発明の具材浸漬用調味料のBrixは、ストレート換算で喫食時の調味液(80℃)のBrixとして、1〜25の範囲に調整される必要があり、さらには2〜12、特には3〜10の範囲に調整されることが好ましい。この範囲に調整されていると、具材浸漬時に本発明の希釈耐性効果が好適に発現される。ここで、調味料のBrixが低すぎると、具材に調味料成分が上手く浸漬せず、好ましくない。また、Brixが高すぎると、調理時にこげが発生してしまい、好ましくない。なお、濃縮状態での具材浸漬用調味料のBrixは好ましくは3〜35、より好ましくは5〜30、さらに好ましくは10〜25の範囲に調整する。
本発明の具材浸漬用調味料に使用可能なBrix調整剤としては、Brixが上記の範囲に調整できるものであれば何でもよく、例えば、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、砂糖、ブドウ糖、麦芽糖、水あめ、糖アルコール、トレハロースなどから選択される1種類以上を用いることができる。即ち、Brix調整剤を添加する前の食材によって基になるBrixの値は多少上下するが、最終的に本発明のBrixの好適範囲に入るように、1種類以上のBrix調整剤を選択して使用することができる。これらBrix調整剤のなかでも、特に(e)水あめ(例えば日本澱粉工業社製の「水あめ」)などのデンプン由来の糖類を用いることで、希釈耐性を顕著に高めることができる。水あめの添加量は特に限定されないが、ストレート換算の調味液中に0.1質量%程度添加することで、希釈耐性付与効果を顕著に高めることができる。水あめはさらに多くの量を入れてもよい。ただし、ストレート換算の調味液中に7質量%程度の量を添加すると、調理時に具材に調味料成分が浸漬しにくくなり好ましくない。従って、水あめは、ストレート換算の調味液中に0.1質量%〜6質量%添加されることが好ましく、0.2質量%〜4質量%添加されることがより好ましく、0.4質量%〜3質量%添加されることが最も好ましい。
(vi)本発明の具材浸漬用調味料のpHは、ストレート換算の調味液で、4.0〜7.5に調整される必要があり、さらには4.5〜7.5、特には4.5〜7.0の範囲に調整されることが好ましい。調味料のpHが7.5よりも高いと粘度調整剤の安定性が損なわれ、調味料の保管中に粘度が低下してしまい好ましくない。また、pHが4.0よりも低いと製品に異味が顕れてしまい好ましくない。上記の範囲に調整された調味料を用いると、ストレート換算の調味液中のpHが4.0〜7.5の範囲に調整され、喫食時に本発明の希釈耐性付与効果が好ましく発現される。
本発明の具材浸漬用調味料に使用可能なpH調整剤としては、pHが規定の範囲に調整できるものであれば何でもよく、酢酸、クエン酸、フィチン酸、リン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、炭酸などの有機酸があるほか、これら有機酸の塩などがあり、またこれらを含む食品や食品添加物などを1種類以上用いることができる。例えば、pHが低い調味料に対しては炭酸カリウム(例えば旭硝子株式会社製の「炭酸カリウムFG」)、pHが高い調味料に対しては酢酸(例えばMizkan社製の「穀物酢」)などを用いて、pHの調整を行うことができる。即ち、pH調整剤を添加する前の食材によって基になるpHの値は多少上下するが、最終的に本発明のpHの好適範囲に入るように1種類以上のpH調整剤を選択して使用することができる。
成分(a)と(b)の質量比(a/b)は、異味の防止及び良好な希釈耐性が付与できるバランスの点から、0.01〜150が好ましく、より好ましくは0.01〜120であり、さらに好ましくは0.01〜100であり、さらに好ましくは0.05〜50である。
成分(c)と(b)の質量比(c/b)は、異味の防止及び良好な希釈耐性が付与できるバランスの点から、0.01〜10が好ましく、より好ましくは0.01〜8であり、さらに好ましくは0.01〜5であり、さらに好ましくは0.05〜5である。
本発明の具材浸漬用調味料は、成分(c)と旨味を感じさせるタイミングが異なり、旨味の相乗効果があるため、希釈しても調味料全体の旨味が薄まりづらい特徴がある、(d)核酸塩を含有するのが好ましい。(d)核酸塩としては、イノシン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等を用いることができる。核酸塩は、核酸塩を含む食材を使用することもでき、1種又は2種以上を用いることもできる。
核酸塩の含有量は、(c)ジカルボン酸又はその塩と(d)核酸塩の質量比(c/d)として0.03〜200となる量配合するのが、希釈耐性付与効果が付与されつつ、旨味の相乗効果が高まる点から好ましい。より好ましい(c/d)は0.04〜120であり、さらに好ましくは0.04〜100であり、さらに好ましくは0.05〜20である。
本発明の具材浸漬用調味料は、具材への調味液の浸漬性、希釈耐性付与効果の点から、(f)油及び/又は(g)乳化剤を1種以上含有するのが好ましい。
本発明で用いる(f)油はどのようなものでもよく、例えば、ナタネ油、大豆油、コーン油、ごま油、ベニバナ油、米油、チキンオイル、ラード、卵黄油、魚油などから選択される1種類以上を用いることができる。例えば、ナタネ油(例えば日清オイリオ社製の「日清キャノーラ油」)などを用いると、風味にクセがなく、より汎用的な用途に使用することが可能となる。また、畜肉エキスやパイタンのように、油を含む食材を使用する場合においても、最終的にそれら原料由来の油と上述の油とを合算して好適範囲となるように、1種類以上の原料を選択して使用することができる。なお、油の使用割合は、例えば食品衛生検査指針の「3.脂質(1).油脂の抽出、定量法」に従い、ソックスレー抽出法により「脂質」量とした分析によって、その値を求めることができる。
本発明の具材浸漬用調味料の油濃度は、具材への調味液の浸漬しやすさの点から、ストレート換算で喫食時の濃度として、0.1質量%〜5質量%となるように調整されることで、希釈耐性効果がより高まるため好ましく、さらに0.1質量%〜3質量%、特に0.1質量%〜2質量%となるように調整されることがより好ましい。さらに、調理時にはある程度以上の油があったほうが希釈耐性が高まってより好ましいことから、具体的には喫食時の調味液中の油濃度が0.1質量%以上、特に0.2質量%以上に調整されていることが望ましい。上記の喫食時の調味液中の油濃度を達成するためには、濃縮状態での調味料の油濃度は、0.1〜25質量%、好ましくは0.1〜20質量%の範囲に調整されていることが好ましい。
本発明で用いる(g)乳化剤はどのようなものでもよく、例えばオクテニルコハク酸デンプンナトリウム、レシチン、サポニン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどを用いることができる。これらの中でも特にレシチン(例えば植物レシチン、酵素処理レシチン、酵素分解レシチンなど)はその風味が油との相性が良いため、より好適に用いることができる。レシチンは、その濃度が規定の範囲に調整されるものであれば何でもよく、例えば大豆や卵黄由来のものを用いることができる。また、精製された剤として添加する以外に、酵素分解レシチンや、酵素処理レシチンや、レシチンを含む卵黄や大豆などの食品を1種類以上用いることができる。また、卵黄や豆乳のようにレシチンを含む食材を使用する場合においても、最終的にそれら原料由来のレシチンと上述のレシチンとを合算して本発明のレシチン使用割合の好適範囲となるように、1種類以上の原料を選択して使用することができる。例えば、辻製油製の「SLP−LPC70H(大豆由来、リン脂質含量97%以上、リゾ化割合70%以上)」などを用いることができる。
また、レシチン中にリゾ化されたレシチンが20質量%以上、さらには40質量%以上、特には60質量%以上含有されていることでレシチンが溶解しやすく望ましい。なおかつ、リゾ化レシチンと食塩との割合が質量比で1:2〜1:2000であることが望ましく、さらには1:4〜1:500であることがより望ましい。上記の範囲を満たす場合に本発明の効果がより確実に発現されるため好ましい。
リゾ化レシチンについては、例えばレシチンにリン脂質分解酵素であるホスホリパーゼA2やA1を作用させて加水分解し、リン脂質の2位または1位の脂肪酸を遊離させることにより得ることができる。また、酵素以外の触媒(酸、アルカリ、その他)を用いてリゾ化したレシチンを用いることもできる。この際、リン脂質のリゾリン脂質への置換率をリゾ化率という。即ち、このレシチン中のリゾ化されたレシチンの割合とは、全レシチンに対するリゾレシチンの質量百分率のことである。まず、レシチンにホスホリパーゼAを添加してホスホリパーゼ処理し、その含有レシチンをリゾ化してリゾ化レシチンを得る。この酵素処理は常法で行なえばよく、使用する酵素はホスホリパーゼA2を用いるのが一般的であるが、所定のリゾ化率が達成できるものであれば、どのような酵素を用いてもよい。
本発明の具材浸漬用調味料の乳化剤濃度は、料理の味のバランス及び具材への調味液の浸漬性の点から、ストレート換算で喫食時の濃度として、0.005〜1.1質量%となるように調整されることで、希釈耐性効果がより高まるため好ましく、より好ましくは0.01〜0.8質量%である。また、ストレート換算で喫食する時に、乳化剤を油に対して0.1質量%以上、望ましくは0.2質量%以上、さらに望ましくは0.4質量%以上、特に望ましくは1.0質量%以上含有することで本発明の効果が顕著に高まりより好ましい。なお、上記の喫食時の調味料中の乳化剤割合を達成するためには、濃縮状態の調味液の乳化剤濃度は0.1〜5.0質量%、望ましくは0.2〜3.0質量%の範囲に調整されることがよい。
本発明の具材浸漬用調味料の塩分濃度は、ストレート換算で喫食時の濃度として、0.2〜3.0質量%となるように調整されることで、希釈耐性効果がより高まるため好ましく、さらには0.5〜2.5質量%、さらには1.0〜2.0質量%に調整されていることがより好ましい。また、味噌や醤油のように食塩を含む食材を使用する場合においても、最終的にそれら原料由来の食塩と上述の食塩とを合算して本発明の食塩使用割合の好適範囲となるように、1種類以上の原料を選択して使用することができる。なお、上記の喫食時の調味液中の塩分濃度を達成するためには、濃縮状態における調味液の塩分濃度は、例えば0.2〜20質量%、望ましくは1.0〜15.0質量%の範囲に調整されることがよい。
また、本発明の具材浸漬用調味料には、所望の味を付与するために、例えば、しょうゆ、減塩しょうゆ、食塩、岩塩、天日塩、代用塩、代替塩、低ナトリウム塩、味噌、低ナトリウム味噌、だし、こんぶだし、かつおだし、しいたけだし、魚介だし、畜肉だし、畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキス、こんぶエキス、かつおエキス、しいたけエキス、その他のエキス、魚粉、発酵調味料、ごま、酒、みりん、ゆず果汁、その他の果汁、油脂、豆乳、高甘度甘味料、砂糖、食酢、米酢、穀物酢、酒精酢、りんご酢、ぶどう酢、合成酢、黒酢、中国酢、バルサミコ酢、液糖、野菜ペースト、唐辛子、胡椒、ショウガ、パイタンスープ、コンソメスープ、酵母エキス、カラメル、黒糖、大豆、香料、香辛料、苦味料、酸味料、アミノ酸、アミノ酸塩、グルタミン酸ナトリウムなど一般的な調味料に使用される材料が含有されていてもよい。
本発明の具材浸漬用調味料は、その中身が濃縮されていてもよく、喫食時に調味料を適宜希釈して料理に使用することができる。また、具材に野菜を使用した場合などは、具材から染み出る水分によって調味料が薄まることを想定して、調理開始時の調味料をやや高濃度に調整して使用することもできる。勿論、調味料を希釈せずにそのままの濃度で(ストレート品として)料理に使用してもよい。
本発明の具材浸漬用調味料の包装形態には特に限定がなく、レトルトパウチ、ペットボトル、ビン、缶、紙パック、アルミパウチ、ビニール袋、バッグインボックス、樹脂容器、樽、枡、陶器など一般的に使用される調味液容器に充填することができる。調味液の粘度を調整する際にはストレート換算で喫食時の調味液静粘度が所定の値であることが必要であるため、特にレトルト殺菌が必要な容器に調味料を充填する際にはキサンタンガムや加工澱粉のような耐熱性が高い原料を使用して粘度を調整することが好ましい。
本発明の具材浸漬用調味料、特に液状具材浸漬用調味料の製造においては、粘度調整剤を水で膨潤させた後に他の原料を加えて均一に混合することが望ましい。また、原料を混合した後、粘度調整剤の特性によって必要に応じて加熱(例えば加工澱粉であれば80℃3分保持)することで、粘度調整剤を糊化させることができる。上記の工程で原料が均一に混合され、粘度、Brix、pH、塩分を調整し、水溶性たんぱく質、粘度調整剤、ジカルボン酸又はその塩、核酸塩、水あめ、油、食塩、乳化剤を規定の濃度になるように添加した調味料を冷却後に水を加えることで所望の調味液製品の濃縮倍率に調整することができる。
本発明の具材浸漬用調味料を用いれば、前記の具材浸漬料理に良好な希釈耐性を付与することができる。ここで、希釈耐性を付与できる具材浸漬料理としては、前記の鍋料理、澱粉食品浸漬料理が挙げられる。
次に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
<試験例1>
試験例1では、表1〜表5に示すような処方で、ストレートタイプの鍋料理用(水炊き用)の調味料を作製した。具体的には、増粘剤(キサンタンガム、タマリンドシードガム、加工澱粉)、油原料(ナタネ油、チキンオイル)、水溶性たんぱく質原料(水溶性コラーゲン、酵母エキス、ガラエキス)、Brix調整剤(水あめ)、乳化剤(レシチン)、食塩、その他調味料(グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、コハク酸)を準備し、まず、増粘剤を水で膨潤させた後に、他の原料(油原料、レシチン、食塩、その他調味料)を加えて均一に混合した。原料の混合後、調味液を冷却して適量の水を加えることで、所望の鍋料理用調味液のサンプルを得た。
このようにして得られた各調味液750gのサンプルを用いて実際に白菜250g、ねぎ2本を使用した具材浸漬料理(水炊き)を調理し、鍋が煮立ってから5分間保持し、試食して評価する官能試験を行った。次に具材を取り除いた後の調理後の煮汁を用いて締めの料理(ラーメン100g)を1分間煮込んだ後、再び試食して評価する官能試験を行った。
<官能評価>
(1)鍋料理(水炊き)
具材を取り、訓練された優秀な官能検査員のべ10名にてサンプル50g程度を試食して、味と香りについて次の評価基準で評価した。
(2)〆の料理(ラーメン)
具材を取り除いた後の調理後の煮汁を用いて作ったラーメンを上記の官能検査員にて試食して、味と香りについて次の評価基準で評価した。
(おいしさ)
5:おいしい
4:ややおいしい
3:どちらでもない
2:ややおいしくない
1:おいしくない
(まろやかさ)
5:まろやか
4:ややまろやか
3:どちらでもない
2:ややまろやかでない
1:まろやかでない
(味の濃さ)
5:濃すぎる
4:やや濃すぎる
3:適当
2:やや薄い
1:薄い
(旨味の質)
5:違和感がない
4:やや違和感がない
3:どちらでもない
2:やや違和感がある
1:違和感がある
(異味異臭がある)
5:異味異臭が弱い
4:やや異味異臭が弱い
3:どちらでもない
2:やや異味異臭が強い
1:異味異臭が強い
(塩分濃度)
塩分は塩分計(例えばElectronics社製、機種SAT−210)を用い、測定可能レンジ内(例えば0.5%以下)に希釈したサンプルを規定量電解液に注入することで塩分濃度を測定した。その後、測定値に希釈倍率を掛け合わせて元のサンプルの塩分濃度を算出した。
(Brix)
80℃におけるBrixは通常のBrix計でも測定することができるが、耐熱性のある糖用屈折系(例えばアタゴ社の「手持ち屈折計H50」)によって測定することが望ましい。具材浸漬用調味料をストレート換算で喫食時の濃度に希釈してからサンプル容器に適量充填し、80℃に調整後、測定する試料を屈折計に採取して測定した。
(静粘度)
20℃又は80℃における静粘度は音叉型振動式粘度計(例えばA&D社の「SV−10」)によって測定した。具体的には具材浸漬用調味料をストレート換算で喫食時の濃度に希釈してからサンプル容器に適量充填し、20℃又は80℃に調整後、測定する試料の液面を水平とするため、左右振動子のくびれ中央に液面がくるように高さを調整してから測定した。また、別の測定方法として、B型粘度計(例えば東機産業社製の「B−II」)で適切なローターを用いて20℃又は80℃における粘度を測定し、密度比重計(例えば相互理化学硝子製作所社製の「ピクノメーター 比重瓶 温度計付き」)にて調味液の20℃又は80℃における比重を測定した後、粘度の値と比重の値を掛け合わせて計算することでも算出することができるが、測定機器の温度が調味液温度に影響を与えないように計器の温度を調整する必要がある。具体的には、例えば、調味料を喫食時の濃度に希釈してから20℃又は80℃付近に温度調整したB型粘度計の測定用容器に適量充填し、液温を20℃又は80℃に調整後、容器をB型粘度計にセットし、同様に20℃又は80℃に温度調整したローターで測定粘度に適合したものを用いて適切な回転数で粘度を測定することができる。
Figure 2017093329
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表1〜表5に示すように、本発明の条件を満たす調味料を用いると、最初の鍋料理及び締めのラーメンのいずれも良好な味が保たれていた。
一方、成分(a)又は成分(c)の含有量、20℃及び80℃の静粘度、80℃のBrix又はpHが本発明の条件を満たさない比較例は特に締めのラーメン喫食時に味が低下した。
また、比較例5〜7、実施例24〜27に示すように、具材浸漬用調味液の20℃及び80℃の静粘度は、使用する粘度調整剤の種類や濃度によっても大きく変化する。具体的には、比較例5と実施例24はどちらも粘度調整剤にキサンタンガムを使用した具材浸漬用調味液であるが、20℃の静粘度と80℃の静粘度の変化率が大きく異なる。また、粘度調整剤の種類によってもこの特性は変化するし、複数の粘度調整剤を組み合わせることでも、粘度調整剤の種類によって独特の温度に応じた粘度特性が生じる。このような性質を利用して、喫食時の80℃の静粘度を所望の範囲に保ちつつ、通常製品が流通する温度帯である20℃付近で所望の調味液粘度を得ることができる。この特性によって、喫食時には粘性が低いが流通時には粘性が高い調味液や、喫食時と流通時ともに粘性が低い調味液など、所望の特性を実現することができる。このことで、店頭陳列時に具材が沈殿しにくかったり、工業レベルの大ロットブレンド時に歩留まりが良好であるといった好ましい特性をもちつつ、希釈耐性が高い調味料を製造することができる。

Claims (16)

  1. (a)水溶性たんぱく質、(b)粘度調整剤及び(c)ジカルボン酸又はその塩を含有する具材浸漬用調味料であって、
    (i)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(a)濃度が0.0005質量%以上20質量%以下、
    (ii)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(c)濃度が0.0005質量%以上2.0質量%以下、
    (iii)ストレート換算で喫食時の調味液の20℃静粘度が3〜300mPa・s×g/cm3
    (iv)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃静粘度が2.1〜80mPa・s×g/cm3
    (v)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃におけるBrixが1〜25、及び
    (vi)ストレート換算で喫食時の調味液のpHが4.0〜7.5
    であることを特徴とする具材浸漬用調味料。
  2. (c)ジカルボン酸又はその塩が、コハク酸又はその塩である請求項1記載の具材浸漬用調味料。
  3. (a)水溶性たんぱく質が、水溶性コラーゲンである請求項1又は2記載の具材浸漬用調味料。
  4. さらに(d)核酸塩を含有し、成分(c)と(d)の質量比(c/d)が0.03〜200である請求項1〜3のいずれか1項記載の具材浸漬用調味料。
  5. さらに(e)水あめを含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の具材浸漬用調味料。
  6. (c)ジカルボン酸又はその塩が、コハク酸ナトリウム及びコハク酸二ナトリウムから選ばれる1種又は2種である請求項1〜5のいずれか1項記載の具材浸漬用調味料。
  7. (b)粘度調整剤が、キサンタンガム、澱粉、タマリンドシードガム、グアーガム及びペクチンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜6のいずれか1項記載の具材浸漬用調味料。
  8. (d)核酸塩が、イノシン酸二ナトリウムである請求項4〜7のいずれか1項記載の具材浸漬用調味料。
  9. (a)水溶性たんぱく質が、15%水溶液を液温40℃に調整した状態で測定した粘度が1〜10mPa・sである水溶性たんぱく質である請求項1〜8のいずれか1項記載の具材浸漬用調味料。
  10. さらに(g)乳化剤を、ストレート換算で喫食時の調味液中に0.005〜1.1質量%含有する請求項1〜9のいずれか1項記載の具材浸漬用調味料。
  11. (g)乳化剤が、レシチンである請求項10記載の具材浸漬用調味料。
  12. レシチンが、大豆レシチン及び卵黄レシチンから選ばれる1種又は2種である請求項11記載の具材浸漬用調味料。
  13. (a)水溶性たんぱく質、(b)粘度調整剤及び(c)ジカルボン酸又はその塩を配合し、次の(i)〜(vi)になるように調整することを特徴とする、調味液への希釈耐性付与方法。
    (i)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(a)濃度が0.0005質量%以上20質量%以下、
    (ii)ストレート換算で喫食時の調味液中の成分(c)濃度が0.0005質量%以上2.0質量%以下、
    (iii)ストレート換算で喫食時の調味液の20℃静粘度が3〜300mPa・s×g/cm3
    (iv)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃静粘度が2.1〜80mPa・s×g/cm3
    (v)ストレート換算で喫食時の調味液の80℃におけるBrixが1〜25、及び
    (vi)ストレート換算で喫食時の調味液のpHが4.0〜7.5
  14. 請求項1〜12のいずれか1項記載の調味料を用いて得られた食品。
  15. 鍋料理又は澱粉食品浸漬料理である請求項14記載の食品。
  16. 澱粉食品が、麺類である請求項15記載の食品。
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