JP2017092096A - 有機光電変換素子 - Google Patents

有機光電変換素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2017092096A
JP2017092096A JP2015216370A JP2015216370A JP2017092096A JP 2017092096 A JP2017092096 A JP 2017092096A JP 2015216370 A JP2015216370 A JP 2015216370A JP 2015216370 A JP2015216370 A JP 2015216370A JP 2017092096 A JP2017092096 A JP 2017092096A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photoelectric conversion
substituent
formula
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015216370A
Other languages
English (en)
Inventor
小松 真
Makoto Komatsu
真 小松
大祐 古川
Daisuke Furukawa
大祐 古川
健一郎 大家
Kenichiro Oya
健一郎 大家
武史 川田
Takeshi Kawada
武史 川田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2015216370A priority Critical patent/JP2017092096A/ja
Publication of JP2017092096A publication Critical patent/JP2017092096A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

【課題】高い耐久性を有する有機光電変換素子を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の間に非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒並びに式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料を含む少なくも1層の光電変換層とを有する有機光電変換素子であって、前記光電変換層は、溶媒含有率測定1において溶媒含有率が1〜300g/mである、有機光電変換素子を提供する。

Figure 2017092096

【選択図】なし

Description

本発明は、有機光電変換素子に関する。
有機光電変換素子(有機太陽電池、光センサー等)は、塗布プロセスのみで安価に製造できる可能性があり注目されている。
たとえば、光電変換層を塗布する際に、ハロゲン芳香族炭化水素溶媒であるクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンを用いる有機光電変換素子および非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒であるキシレンを用いる有機光電変換素子が知られている(非特許文献1)。
Minze T. Rispens、「Chemical Communications」、2003年7月22日、p.2116−p.2118
しかしながら、上記非特許文献1に記載された有機光電変換素子は、耐久性が十分ではないという課題があった。
そこで、本発明は高い耐久性を有する有機光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明に至った。
[1]第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の間に非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒並びに式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料を含む少なくも1層の光電変換層とを有する有機光電変換素子であって、前記光電変換層は、下記に示す溶媒含有率測定1において溶媒含有率が1〜300g/mである、有機光電変換素子。
Figure 2017092096
〔式(I)中、Zは下記式(Z−1)〜式(Z−7)のいずれかで表される基を表す。Ar及びArは、置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表す。Ar及びArは、同一でも異なっていてもよい。〕
Figure 2017092096
〔式(Z−1)〜式(Z−7)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、置換アミド基、酸イミド基、置換カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。式(Z−1)、(Z−2)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)及び(Z−7)において、複数あるRは同一でも異なっていてもよい。〕
Figure 2017092096
〔式(II)中、Arは2〜5個の芳香環および芳香族複素環が縮合した2価の縮合多環アリーレン基若しくは縮合多環ヘテロアリーレン基を表す。nは1〜6の整数を表す。Rは前述と同じ意味を表す。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
<溶媒含有率測定1>
基板上に形成された上記有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層を、触針式膜厚計によって基板中心部の薄膜層の厚みを測定して、該厚みと薄膜層の面積との積で薄膜層の体積を決定し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析計で薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の質量を測定し、(薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(薄膜層の体積)を溶媒含有率とする。
[2][1]に記載の有機光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
[3][1]に記載の有機光電変換素子を有するセンサー。
本発明によれば高い耐久性を有する光電変換素子を提供することができる。本明細書において、耐久性とは、100時間後の光電変換効率の保持率(初期の光電変換効率/100時間後の光電変換効率)を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>有機光電変換素子の構成
本発明の有機光電変換素子は、第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の間に非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒並びに式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料を含む少なくも1層の光電変換層とを有する有機光電変換素子であって、前記光電変換層は、下記に示す溶媒含有率測定1において溶媒含有率が1〜300g/mである、有機光電変換素子である。
<溶媒含有率測定1>
基板上に形成された上記有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層を、触針式膜厚計によって基板中心部の薄膜層の厚みを測定して、該厚みと薄膜層の面積との積で薄膜層の体積を決定し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析計で薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の質量を測定し、(薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(薄膜層の体積)を溶媒含有率とする。
本発明の有機光電変換素子は、通常支持基板上に作製される。例えば、本発明の有機光電変換素子として、支持基板、第1電極、光電変換層及び第2電極がこの順に積層されている有機光電変換素子が挙げられる。
第1電極及び/又は第2電極と光電変換層との間には、中間層を設けてもよい。中間層としては、電子輸送層、正孔輸送層等が挙げられる。例えば、本発明の有機光電変換素子として、支持基板、第1電極(陰極)、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層及び第2電極(陽極)がこの順に積層されている有機光電変換素子が挙げられる。
(支持基板)
支持基板には、光電変換素子を作製する際に化学的に変化しないものが好適に用いられる。支持基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、シリコン板等が挙げられる。支持基板の光透過性は特に限定されないが、本発明の有機光電変換素子において、例えば、支持基板側から光を取り込む場合、支持基板には、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である光透過性の高い支持基板を用いることが好ましい。一方、光透過性の低い支持基板上に有機光電変換素子を作製する場合には、支持基板に近い方の電極側から光を取り込むことができないため、支持基板から遠い方の電極には、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である光透過性の高い電極を用いることが好ましい。当該電極を用いることにより、たとえ光透過性の低い支持基板を用いたとしても、支持基板側から遠い方の電極から光を取り込むことができる。
(第1電極及び第2電極) 支持基板を用いる場合、支持基板に近い方の電極を第1電極とし、支持基板から遠い方の電極を第2電極とする。第1電極及び第2電極は、陽極又は陰極を表し、いずれか一方が陽極であり、もう一方が陰極である。
第1電極及び第2電極の少なくとも一方が、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極であることが好ましい。波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である電極から、発電に必要な波長の入射光(太陽光)を透過させることができる。
波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である、光透過性の高い電極材料としては、導電性の金属酸化物薄膜、金属薄膜、導電性物質のナノ粒子薄膜、導電性物質のナノワイヤ薄膜、または導電性物質のナノチューブ薄膜、高分子化合物薄膜等が挙げられる。
金属酸化物としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)等からなる導電性材料、NESA等が挙げられる。
金属としては、金、白金、銀、銅等の薄膜が挙げられる。
導電性物質としては、金、銀、等の金属、ITO等の酸化物、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
高分子化合物としては、ポリアニリン及びその誘導体並びにポリチオフェン及びその誘導体等が挙げられる。
高い光電変換効率を得る観点から、光透過性の高い電極材料は、ITO、IZO、銀ナノワイヤ又は酸化スズであることが好ましい。
光透過性の低い電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。
金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又は、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
導電性高分子としては、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。
第2電極は、導電性物質のナノ粒子またはナノファイバーのみから構成されていてもよく、特表2010−525526号に示されるように、導電性物質のナノ粒子またはナノファイバーが、導電性ポリマーなどの所定の媒体中に分散して配置された構成を有していてもよい。
(電子輸送層)
光電変換層から陰極への電子輸送効率を高める観点、及び陰極の剥離のし難さの観点から、本発明の有機光電変換素子は、光電変換層と陰極との間に電子輸送層を設けることが好ましい。
電子輸送層は、電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。有機化合物である電子輸送性材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
前記有機化合物のうち、低分子化合物としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、フラーレン類及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。
前記有機高分子化合物のうち、高分子化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、PEIE(ポリエチレンイミンエトキシレイティド)、PEI(ポリエチレンイミン)等が挙げられる。
前記有機化合物である電子輸送性材料は、これらの中でも、高い光電変換効率を得る観点からポリフルオレン誘導体、PEIE(ポリエチレンイミンエトキシレイティド)、PEI(ポリエチレンイミン)が好ましい。
前記無機化合物の電子輸送性材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO(インジウムスズ酸化物)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛が好ましく、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子を用いることがより好ましい。酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子の平均粒子径は、1nm〜1000nmが好ましく、10nm〜100nmが好ましい。当該平均粒子径は、レーザー光散乱法や、X線回折法によって測定される。
本発明の光電変換素子の電子輸送層は、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である、光透過性の高い電子輸送層であることが好ましい。光透過性を確保する観点から、膜厚は0.1〜300nm程度が好ましく、1〜100nmがより好ましい。
(光電変換層)
本発明の有機光電変換素子が有する光電変換層は、非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒と有機半導体材料とを含む。
本発明の有機光電変換素子が有する光電変換層は、下記に示す溶媒含有率測定1において溶媒含有率が1〜300g/mである。
耐久性を高める観点から、溶媒含有率は1〜100g/mであることが好ましく、1〜70g/mであることがより好ましい。
(光電変換層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(光電変換層の体積)を上記範囲内とすることにより、光電変換層中の有機半導体の相溶性が向上し、光電変換層のモルフォロジーが維持されることが、本発明において高い耐久性を奏する1つの要因であると考えられる。
<溶媒含有率測定1>
基板上に形成された上記有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層を、触針式膜厚計によって基板中心部の薄膜層の厚みを測定して、該厚みと薄膜層の面積との積で薄膜層の体積を決定し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析計で薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の質量を測定し、(薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(薄膜層の体積)を溶媒含有率とする。
(有機半導体材料)
光電変換層は、光電変換効率の観点から、式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料を含む。
Figure 2017092096
〔式(I)中、Zは下記式(Z−1)〜式(Z−7)のいずれかで表される基を表す。Ar及びArは、3価の芳香族炭化水素基または3価の芳香族複素環基を表す。Ar及びArは、同一でも異なっていてもよい。〕
Figure 2017092096
〔式(Z−1)〜式(Z−7)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、置換アミド基、酸イミド基、置換カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。式(Z−1)、(Z−2)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)及び(Z−7)において、複数あるRは同一でも異なっていてもよい。〕

Figure 2017092096
〔式(II)中、Arは2〜5個の芳香環および芳香族複素環が縮合した2価の縮合多環アリーレン基若しくは縮合多環ヘテロアリーレン基を表す。nは1〜6の整数を表す。Rは前述と同じ意味を表す。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
(式(I)で表される単位構造)
式(I)中、Ar及びArで表される3価の芳香族炭化水素基または3価の芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素または置換基を有していてもよい芳香族複素環式化合物から、芳香環または芳香族複素環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を3個除いた残りの原子団を表す。
3価の芳香族炭化水素基及び3価の芳香族複素環基が有する炭素原子数は、通常2〜60であり、好ましくは4〜60であり、より好ましくは4〜20である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含めない。
芳香環または芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基、アルキニル基またはシアノ基が挙げられる。
Ar及びArで表される3価の芳香族炭化水素基の具体例としては、以下の基が挙げられる。

Figure 2017092096

Figure 2017092096
Ar及びArで表される3価の芳香族複素環基の具体例としては、下記式(201)〜式(301)が挙げられる。

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096
(式中、Rは式(Z−1)〜(Z−7)中のRと同じ意味を表す。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
式(201)〜式(301)で表される基の中でも、本発明の反応性化合物の合成の容易さの観点からは、式(202)、式(205)、式(206)、式(207)、式(210)、式(212)、式(220)、式(235)、式(238)、式(270)、式(271)、式(272)、式(273)、式(274)、式(275)、式(286)、式(287)、式(288)、式(291)、式(292)、式(293)、式(296)及び式(301)で表される基が好ましく、式(235)、式(271)、式(272)、式(273)、式(274)、式(286)、式(291)、式(296)及び式(301)で表される基がより好ましく、式(271)、式(272)、式(273)及び式(274)で表される基がさらに好ましく、式(273)で表される基が特に好ましい。
Rで表される水素原子は、軽水素原子であっても重水素原子であってもよい。
Rで表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれでもよい。
直鎖のアルキル基の炭素原子数は、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。前記炭素原子数には、置換基の炭素原子数を含めない。
分岐および環状のアルキル基の炭素原子数は、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数を含めない。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、アダマンチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の非置換アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-n-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基等の置換アルキル基が挙げられる。
アリール基は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。
Rで表される置換基を有していてもよいアリール基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数を含めない。
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基が及び置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フッ素原子等を有するこれらの基が挙げられる。
Rで表される置換基を有していてもよいアルコキシ基は、直鎖、分岐および環状のいずれでもよい。
直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数を含めない。
分岐および環状のアルコキシ基の炭素原子数は、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数を含めない。
置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が挙げられる。
Rで表される置換基を有していてもよいアリールオキシ基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数を含めない。
置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基及び置換基としてアルキル基、アルコキシ基、フッ素原子等を有するこれらの基が挙げられる。
Rで表される置換基を有していてもよいアルキルチオ基は、直鎖、分岐および環状のいずれでもよい。
直鎖のアルキルチオ基の炭素原子数は、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含めない。
分岐および環状のアルキルチオ基の炭素原子数は、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含めない。
置換基を有していてもよいアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
Rで表されるアリールチオ基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含めない。
置換基を有していてもよいアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、炭素原子数1〜12のアルキルオキシフェニルチオ基、炭素原子数1〜12のアルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
1価の複素環基とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基には、前記複素環式化合物が芳香族複素環式化合物である、芳香族複素環基が含まれる。
芳香族複素環式化合物は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、および、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
Rで表される置換基を有していてもよい1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基であることが好ましい。
1価の複素環基の炭素原子数は、通常、2〜60であり、好ましくは4〜20である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含まない。
置換基を有していてもよい1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基及び置換基としてアルキル基、アルコキシ基等を有するこれらの基が挙げられる。
Rで表される置換アミノ基は、2つの置換基を有するアミノ基である。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基が挙げられる。
置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
Rで表されるアシル基は、炭素原子数が通常2〜20であり、好ましくは炭素数2〜18である。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが挙げられる。
イミン残基としては、イミン化合物から水素原子1個を除いた残基を意味する。イミン残基は、−N=C−R1又は−C=N−R1で表される。ここでR1は、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。R1で表される置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアリール基は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアリール基と同義である。
イミン化合物とは、分子内に、−N=C−で表される基を有する有機化合物のことをいう。イミン化合物としては、例えばアルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物が挙げられる。
Rで表されるイミン残基の炭素原子数は通常2〜20であり、好ましくは炭素数2〜18である。例えば、以下の構造式で示される基等が挙げられる。

Figure 2017092096
Rで表される置換アミド基の炭素原子数は通常2〜20であり、炭素原子数2〜18であることが好ましい。
置換アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
Rで表される酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられる。酸イミド基の炭素数は通常4〜20程度である。
酸イミド基としては、例えば以下に示す基等が挙げられる。

Figure 2017092096
Rで表される置換カルボキシ基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシ基を表す。置換カルボキシ基の炭素原子数は通常2〜60であり、炭素原子数2〜48であることが好ましい。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含めない。
置換カルボキシ基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基などが挙げられる。
Rで表される置換基を有していてもよいアルケニル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含めない。
分岐および環状のアルケニル基の炭素原子数は、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。前記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含めない。
置換基を有していてもよいアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基及び置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フッ素原子等を有していてもよいこれらの基が挙げられる。
Rで表される置換基を有していてもよいアルキニル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。 アルキニル基の炭素原子数は、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。前記炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。
分岐および環状のアルキニル基の炭素原子数は、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。前記炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。
置換基を有していてもよいアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基及び置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フッ素原子等を有するこれらの基が挙げられる。
前記式(I)で表される単位構造としては、光電変換効率の観点から下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2017092096
〔式(III)中、Zは前述と同様の意味を表す。〕
式(III)で表される単位構造としては、例えば、式(501)〜式(505)で表される単位構造が挙げられる。
Figure 2017092096
〔式中、Rは、前述と同じ意味を表わす。Rが2つある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
上記の式(501)〜式(505)で表される単位構造の中でも、光電変換効率の観点からは、式(501)、式(502)、式(503)、式(504)で表される単位構造が好ましく、式(501)、式(504)で表される単位構造がより好ましく、式(501)で表される単位構造が特に好ましい。
(式(II)で表される単位構造)
Arで表される芳香環および芳香族複素環からなる群より選ばれる2〜5個の環が縮合した2価の縮合多環アリーレン基若しくは2価の縮合多環ヘテロアリーレン基は、芳香環および芳香族複素環からなる群より選ばれる2〜5個の環が縮合した環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団をいう。
2価の縮合多環アリーレン基若しくは縮合多環ヘテロアリーレン基が有する炭素数は、通常2〜60であり、好ましくは4〜60であり、より好ましくは4〜20である。
Arで表される縮合多環アリーレン基又は縮合多環ヘテロアリーレン基の具体例としては、下記式(108)〜式(181)が挙げられる。
Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096

Figure 2017092096
式(108)〜式(181)で表される基の中でも、本発明の反応性化合物の合成の容易さの観点からは、式(109)、式(111)、式(113)、式(115)、式(120)、式(121)、式(124)、式(125)、式(128)、式(129)、式(132)および式(136)で表される基が好ましく、
式(120)、式(121)、式(124)、式(125)、式(132)および式(136)で表される基がより好ましく、
式(136)で表される基が特に好ましい。
前記式(II)で表される単位構造としては、光電変換効率の観点から下記式(IV)で表される化合物であることが好ましい。

Figure 2017092096
(式中、X及びXは、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、Rは前述と同じ意味を表す。2つのRは同一でも異なっていてもよい。)
化合物の入手性の観点から、前記式(IV)中、X及びXは、いずれも硫黄原子であることが好ましい。
(その他の有機半導体材料)
光電変換層は、光電変換層の正孔輸送性または/および電子輸送性を高めるため、電子供与性化合物または/および電子受容性化合物として、式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料以外の有機半導体材料を含んでいてもよい。電子供与性化合物、電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
光電変換層に含まれる電子供与性化合物としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
光電変換層に含まれる電子受容性化合物としては、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントロリン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。
フラーレン及びフラーレン誘導体としては、炭素原子数が60、70、76、78、84であるフラーレン及びその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
フラーレン誘導体としては、例えば、式(15)で表される化合物、式(16)で表される化合物、式(17)で表される化合物、式(18)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017092096
(15) (16) (17) (18)

〔式(15)〜(18)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、1価の芳香族複素環基又はエステル構造を有する基を表す。複数個あるRは、同一でも異なっていてもよい。Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。複数個あるRは、同一でも異なっていてもよい。C60、C70は、炭素原子数がそれぞれ60、70であることを表す。〕
及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基は、前記Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基と同じ意味を表す。
で表される1価の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基及びイソキノリル基が挙げられる。
で表されるエステル構造を有する基は、例えば、式(19)で表される基が挙げられる。
Figure 2017092096
(19)
(式中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の芳香族複素環基を表す。)
で表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び1価の芳香族複素環基の定義及び具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及び1価の芳香族複素環基の定義及び具体例と同じである。
60フラーレンの誘導体の具体例としては、[6,6]チエニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)および以下の化合物が挙げられる。
Figure 2017092096
70フラーレンの誘導体の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2017092096
また、C84フラーレンの誘導体の具体例としては、 [6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
光電変換層中がフラーレン誘導体を含む場合、フラーレン誘導体の含有量は、光電変換効率の観点から、式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。
光電変換層の厚さは、光電変換効率の観点からは、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
(非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒)
本発明の光電変換素子の光電変換層は少なくとも1種以上の非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒を含む。光電変換効率の観点からは、2種以上の非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒を含むことが好ましい。さらには、耐久性の観点から、光電変換層はハロゲン原子を有する溶媒を含まず、2種以上の非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒を含むことが特に好ましい。
光電変換層中に二種以上の非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒を含む場合は、各溶媒の含有量の合計が前記所定の濃度範囲内に含まれていればよく、各溶媒の含有量の比率は限定されない。
芳香族炭化水素溶媒とは、芳香族性を有する共役不飽和環構造を含む炭化水素溶媒である。芳香族性を有する共役不飽和環構造としては、例えば、ベンゼン系環構造や非ベンゼン系環構造が挙げられる。ベンゼン系環構造としては、たとえば、ベンゼンの単環構造やベンゼンを有する縮合多環構造が挙げられる。ベンゼンを有する縮合多環構造としては、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンなどが挙げられる。非ベンゼン環構造としては、たとえば、フルベン、アズレンなどが挙げられる。上記芳香族性を有する共役不飽和環構造は置換基を有していても良い。
上記芳香族炭化水素溶媒の芳香族性を有する共役不飽和環構造が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基、アルキニル基またはシアノ基が挙げられる。
非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒とは、芳香族炭化水素溶媒のうち、置換基としてハロゲン原子を含まない芳香族炭化水素溶媒である。
非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒は式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料と親和性が高く、光電変換層中に非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒が含まれることにより、光電変換層中の有機半導体の相溶性が向上し、光電変換層のモルフォロジーが維持されることが本発明において高い耐久性を奏する1つの要因であると考えられる。ただし、本発明の高い耐久性が得られる効果は上記理由に限定されるものではない。
非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒は、式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料を溶解させるものであれば特に限定されない。該溶媒としては、例えば、不飽和炭化水素溶媒、エーテル溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒等が挙げられる。不飽和炭化水素溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、プソイドクメン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。エーテル溶媒としては、例えば、アニソール、4-メチルアニソール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル等が挙げられる。エステル溶媒としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン等のケトン溶媒、酢酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸ブチル、安息香酸ベンジル等が挙げられる。
(溶媒含有率測定)
上記溶媒含有率測定1において、溶媒含有率測定用の薄膜層は、本発明の有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層である。
より具体的には、該薄膜層は、光電変換層と同じ非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒及び光電変換層と同じ有機半導体材料を用いて作成された、光電変換層と同じ濃度の溶液を基板上へ成膜し、光電変換層と同じ温度、同じ時間、同じ雰囲気下で加熱することによって得られる、光電変換層と実質的に同じ厚みの層(±10%以内)である。光電変換層の厚みは、触針式膜厚計で測定してもよいし、電子顕微鏡による断面観察によって測定してもよい。
上記基板は溶媒含有率測定用の薄膜層を製造する際および溶媒含有率を測定する際に化学的に変化しないものが好適に用いられる。基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、シリコン板等が挙げられる。
本発明の有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層中に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)で測定した値である。当該分析法を採用することにより、複数の成分を測定することができ、さらに、微量な溶媒の質量も測定することができる。
GC−MSに有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層中の溶媒を導入する方法としては、ヘッドスペースサンプラーを取り付けた方法を用いる(ヘッドスペースGC−MS)。
具体的には、有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層が形成されたガラス基板を、短冊状に切断して試料容器に入れ、光電変換層と同じ加熱温度、同じ加熱時間で加熱した後、ヘッドスペース内の気相をGC−MSへ導入し、各溶媒の含有量を測定する。
有機光電変換素子作製後には、時間の経過に伴い光電変換層中に含有されていた非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒は有機光電変換素子全体へ拡散しうる。したがって、支持基板上に有機光電変換素子を作成した後に、光電変換層の溶媒含有率測定をおこなう場合は、前記溶媒含有率測定1における溶媒含有率を下記の溶媒含有率測定2おける溶媒含有率に読み替える。
すなわち、本発明に係る有機光電変換素子は、支持基板上に形成される有機光電変換素子であって、第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の間に非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒並びに式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料を含む少なくも1層の光電変換層とを有する有機光電変換素子であって、前記光電変換層は、下記溶媒含有率測定2おいて溶媒含有率が1〜300g/mである、有機光電変換素子であってもよい。
<溶媒含有率測定2>
支持基板上に形成された有機光電変換素子の光電変換層を電子顕微鏡による断面観察によって支持基板中心部の光電変換層の厚みを測定して、該厚みと光電変換素子の面積との積で光電変換層の体積を決定し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析計で光電変換素子全体に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の質量を測定し、(光電変換素子全体に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(光電変換層の体積)を溶媒含有率とする。
(正孔輸送層)
光電変換層から陽極への正孔輸送効率を高める観点、及び陽極の剥離のし難さの観点から、本発明の有機光電変換素子は、光電変換層と陽極との間に正孔輸送層を設けることが好ましい
正孔輸送層は、公知の正孔輸送性材料を含むものであってよい。正孔輸送性材料としては、電極の平滑性を向上させ、正孔を輸送する能力を有する導電性高分子化合物が挙げられる。例えば、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリエチレンジオキシチオフェン及びその誘導体、ポリスチレンスルフォネート及びその誘導体、芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物等の高分子化合物、アニリン、チオフェン、ピロール、芳香族アミン化合物等の低分子化合物、CuSCN、CuI等の無機化合物が挙げられる。ポリチオフェン及びその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を繰り返し単位にもつ高分子化合物、CuSCN並びにCuIなどが挙げられる。
本発明の有機光電変換素子が有する正孔輸送層は、波長400nm〜1200nmの光の透過率が10%以上である、光透過性の高い、正孔輸送層であることが好ましく、光透過性を確保する観点から、膜厚は0.1〜300nm程度が好ましく、1〜100nmがより好ましい。
<2>有機光電変換素子の製造方法
以下に、支持基板、第1電極(陰極)、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、第2電極(陽極)がこの順番で積層されている有機光電変換素子の製造方法について詳しく説明する。ただし、本発明は、該実施形態に限定されるものではない。
(支持基板)
支持基板は対向する2面の主面を有する平板状の基板である。基板を準備するにあたり、基板の一方の主面には例えばITOといった電極の材料となり得る導電性材料の薄膜が予め設けられている基板を準備してもよい。
(第1電極形成工程)
第1電極は、前記第1電極の材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって前記支持基板上に成膜することで形成することができる。
第1電極の材料にポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いる場合は、前記有機物を含む塗布液、金属インク、金属ペースト又は溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって第1電極を形成してもよい。
陰極を塗布法により形成する際に用いる塗布液の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、s−ブチルベゼン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類系溶媒、水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
前記第1電極は、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理が施されていてもよい。
(電子輸送層の形成工程)
電子輸送層は、塗布法により形成することが好ましい。電子輸送層を塗布法により形成する際に用いる塗布液は、溶媒と、前記電子輸送性材料とを含む。電子輸送層は、例えば、前記塗布液を第1電極(陰極)上に塗布することにより形成することができる。塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が挙げられる。
なお、塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液も含む。塗布液は、塗布液が塗布される層(活性層など)に与える損傷が少ないものを用いることが好ましく、具体的には塗布液が塗布される層(活性層など)を溶解し難いものが好ましい。
前記塗布液に含まれる溶媒としては、アルコール、ケトン、炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。前記溶媒は、前記電子輸送性材料に対し1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
溶媒と、前記電子輸送性材料とを含む塗布液は、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルター等で濾過することが好ましい。
電子輸送層は、陰極を塗布形成する際に用いられる塗布液に対して濡れ性が高い材料によって構成されることが好ましい。具体的には、電子輸送層は、陰極を塗布形成する際に用いられる塗布液に対する光電変換層の濡れ性よりも、当該塗布液に対する濡れ性が高い方が好ましい。濡れ性は接触角により評価でき、電子輸送層上光電変換層上の当該塗布液の接触角が、光電変換層上の当該塗布液の接触角よりも小さい方が好ましい。このような電子輸送層上に陰極を塗布形成することにより、陰極を形成する際に、塗布液が電子輸送層の表面上に良好に濡れ広がり、膜厚が均一な陰極を形成することができる。
(光電変換層の形成工程)
光電変換層の形成方法は特に限定されない。製造工程の簡易化の観点からは塗布法によって形成することが好ましい。光電変換層は、例えば、非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒及び前述した有機半導体材料を含む塗布液を塗布法により電子輸送層上に塗布し、加熱することで形成することができる。加熱条件は、耐久性の観点から40〜200℃の温度で1〜60分間であることが好ましく、光電変換効率の観点から40〜150℃の温度で3〜30分間であることがより好ましい。
塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらのなかでもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
(正孔輸送層の形成工程)
正孔輸送層の形成方法は特に限定されないが、製造工程の簡易化の観点からは塗布法によって形成することが好ましい。塗布法を用いる場合、例えば前述した正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を正孔注入層上に塗布することにより形成することができる。
前記正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
前記塗布液に含まれる溶媒としては、水、アルコール、ケトン、炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。溶媒は、2種類以上を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。前記溶媒は、前記正孔注入層の材料に対し、1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
前記塗布法による塗布後、前記正孔輸送層を加熱処理、風乾処理、減圧処理等することによって溶媒を除くことが好ましい。
正孔輸送層は、陽極を塗布形成する際に用いられる塗布液に対して濡れ性が高い材料によって構成されることが好ましい。具体的には、正孔輸送層は、陽極を塗布形成する際に用いられる塗布液に対する光電変換層の濡れ性よりも、当該塗布液に対する濡れ性が高い方が好ましい。このような正孔輸送層上に陽極を塗布形成することにより、陽極を形成する際に、塗布液が正孔輸送層の表面上に良好に濡れ広がり、膜厚が均一な陽極を形成することができる。
(第2電極形成工程)
第2電極は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等によって形成することができる。塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
例えば、前記導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤ、または導電性物質のナノチューブを含む、エマルション(乳濁液)やサスペンション(懸濁液)、金属ペーストなどの分散液、溶融状態の低融点金属等を用いて塗布法により形成することができる。塗布法に用いる導電性物質としては、金、銀、等の金属、ITO(インジウムスズ酸化物)等の酸化物、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
第2電極を塗布法により形成する際に用いる塗布液の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、s−ブチルベゼン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類系溶媒、水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
<3>動作
ここで有機光電変換素子の動作機構を簡単に説明する。透明又は半透明の電極を透過して光電変換層に入射した入射光のエネルギーが、電子受容性化合物及び/又は電子供与性化合物で吸収され、電子と正孔とが結合した励起子を生成する。生成した励起子が移動して、電子受容性化合物と電子供与性化合物とが接合しているヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子と正孔とが分離し、独立に動くことができる電荷(電子及び正孔)が発生する。発生した電荷がそれぞれ電極(陰極、陽極)に移動することにより素子外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。
<4>有機光電変換素子の用途
本発明の有機光電変換素子は、有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
また、本発明の光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
<5>太陽電池モジュール
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の高分子化合物を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。
また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1
(高分子化合物Aの合成)
式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料として、国際公開番号WO2013/051676A1の実施例1に記載された方法で、下記の単位構造からなる高分子化合物Aを合成した。
Figure 2017092096
(インク1の作成)
1,2,4−トリメチルベンゼンと、プロピオフェノンの重量比を95:5として混合溶媒を作製した。高分子化合物A及びフラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)を前記混合溶媒に溶解し、インク1を製造した。高分子化合物Aの重量に対するC60PCBMの重量の比は、2.5であった。インク1中、高分子化合物Aの重量とC60PCBMの重量との合計は、インク1の重量に対して、3.5重量%であった。
(光電変換層の評価1)
ガラス基板(24mm×24mm四方)上にインク1をスピンコートにより塗布し、150℃のホットプレート上で5分間加熱することにより光電変換層と実質的に同じ薄膜層を形成した。触針式膜厚計(Dektak8)で基板中心部を測定し、膜厚は180nmであった。光電変換層と実質的に同じ薄膜層が形成された基板を短冊状に切断し、ヘッドスペースGC-MS(GC:島津社製 GC2010、MS:島津社製 QP2010Plus、ヘッドスペースサンプラー:パーキンエルマー製 Turbo Matrix HS)で非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量を測定した。(光電変換層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(光電変換層の体積)は62g/mであった。
(光電変換層の評価2)
ガラス基板(24mm×24mm四方)上にインク1をスピンコートにより塗布し、70℃のホットプレート上で5分間加熱することにより光電変換層と実質的に同じ薄膜層を形成した。触針式膜厚計(Dektak8)で基板中心部を測定し、膜厚は180nmであった。光電変換層と実質的に同じ薄膜層が形成された基板を短冊状に切断し、ヘッドスペースGC-MSで非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量を測定した。(光電変換層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(光電変換層の体積)は326g/mであった。
実施例1
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陰極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEIE水溶液(Polyethyleneimine ethoxylated)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚5nm以下の電子輸送層を形成した。この電子輸送層上に、前記インク1をスピンコートにより塗布し、150℃のホットプレート上で5分間加熱することにより光電変換層(膜厚180nm)を形成した。なお、光電変換層の膜厚は、電子顕微鏡(装置:日本電子製EF−TEM JEM−2200FS、条件:加速電圧200kV)による断面観察により測定した。
次に、正孔輸送材料(SOLVAY社製、Plexcore OC AQ−1300)をスピンコートにより光電変換層上に45nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより正孔輸送層を形成した。
次に、水溶媒のワイヤー状導電体分散液(ClearOhm(登録商標)Ink−N AQ:Cambrios Technologies Corporation社製)をスピンコーターによって塗布し、乾燥させることで、膜厚120nmの導電性ワイヤー層からなる陽極を得た。その後、UV硬化性封止剤を周辺に塗布し、ガラス基板を張り合わせた後、UV光を照射することで封止した。
得られた有機薄膜太陽電池の形状は、10mm×10mmの正四角形であった。擬似太陽光照射装置(分光計器製、商品名:CEP−2000型 分光感度測定装置)を用いて、白色光(キセノンランプ)を照射しながら、得られた有機光電変換素子の電流−電圧特性を測定し、短絡電流密度、開放端電圧、フィルファクター(曲線因子)及び光電変換効率を求めた。白色光の光量は、標準太陽電池(分光計器製、BS−520BK)の出力を測定し、100mW/cm(AM1.5G)に調整した。
得られた有機薄膜太陽電池の耐久性は、耐候性試験装置(商品名Ci4000、ATLAS社製)を放射照度60W/m(波長300−400nm)、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%RHの条件で稼働させて100時間後の光電変換効率の保持率(初期の光電変換効率/100時間後の光電変換効率)を評価した。結果を表1に示す。
比較例1
光電変換層を70℃のホットプレート上で5分間加熱すること以外は、実施例1と同様の有機薄膜太陽電池を作製した。また、実施例1と同様に100時間後の光電変換効率の保持率を評価した。結果を下表1に示す。
Figure 2017092096
表1に示されるように、光電変換層中の非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量が1〜300g/mである実施例1は、比較例1よりも顕著に優れた耐久性を有していた。

Claims (3)

  1. 第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の間に非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒並びに式(I)で表される単位構造及び式(II)で表される単位構造からなる群より選ばれる1種以上の単位構造を有する有機半導体材料を含む少なくも1層の光電変換層とを有する有機光電変換素子であって、前記光電変換層は、下記に示す溶媒含有率測定1において溶媒含有率が1〜300g/mである、有機光電変換素子。
    Figure 2017092096
    〔式(I)中、Zは下記式(Z−1)〜式(Z−7)のいずれかで表される基を表す。Ar及びArは、置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表す。Ar及びArは、同一でも異なっていてもよい。〕
    Figure 2017092096
    〔式(Z−1)〜式(Z−7)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、置換アミド基、酸イミド基、置換カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。式(Z−1)、(Z−2)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)及び(Z−7)において、複数あるRは同一でも異なっていてもよい。〕
    Figure 2017092096
    〔式(II)中、Arは2〜5個の芳香環および芳香族複素環が縮合した2価の縮合多環アリーレン基若しくは縮合多環ヘテロアリーレン基を表す。nは1〜6の整数を表す。Rは前述と同じ意味を表す。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
    <溶媒含有率測定1>
    基板上に形成された上記有機光電変換素子の光電変換層と実質的に同じ薄膜層を、触針式膜厚計によって基板中心部の薄膜層の厚みを測定して、該厚みと薄膜層の面積との積で薄膜層の体積を決定し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析計で薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の質量を測定し、(薄膜層に含まれる非ハロゲン芳香族炭化水素溶媒の含有量)/(薄膜層の体積)を溶媒含有率とする。
  2. 請求項1に記載の有機光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
  3. 請求項1に記載の有機光電変換素子を有するセンサー。
JP2015216370A 2015-11-04 2015-11-04 有機光電変換素子 Pending JP2017092096A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015216370A JP2017092096A (ja) 2015-11-04 2015-11-04 有機光電変換素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015216370A JP2017092096A (ja) 2015-11-04 2015-11-04 有機光電変換素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017092096A true JP2017092096A (ja) 2017-05-25

Family

ID=58771777

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015216370A Pending JP2017092096A (ja) 2015-11-04 2015-11-04 有機光電変換素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017092096A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020017665A (ja) * 2018-07-26 2020-01-30 株式会社東芝 放射線検出素子の作製方法および放射線検出素子
JP2020088170A (ja) * 2018-11-26 2020-06-04 住友化学株式会社 有機光電変換素子
CN111263982A (zh) * 2017-10-23 2020-06-09 住友化学株式会社 油墨、油墨的固化膜以及光电转换元件

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111263982A (zh) * 2017-10-23 2020-06-09 住友化学株式会社 油墨、油墨的固化膜以及光电转换元件
JP2020017665A (ja) * 2018-07-26 2020-01-30 株式会社東芝 放射線検出素子の作製方法および放射線検出素子
JP7039414B2 (ja) 2018-07-26 2022-03-22 株式会社東芝 放射線検出素子の作製方法および放射線検出素子
JP2020088170A (ja) * 2018-11-26 2020-06-04 住友化学株式会社 有機光電変換素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6718412B2 (ja) インク組成物およびそれを用いて製造した光電変換素子
JP5682108B2 (ja) フラーレン誘導体
JP7080131B2 (ja) 光検出素子
WO2019182142A1 (ja) 光電変換素子
JP2017092096A (ja) 有機光電変換素子
US20120043529A1 (en) Organic photoelectric conversion element
JP7061103B2 (ja) 有機光電変換素子の製造方法
JP7315531B2 (ja) 光検出素子
JP7129995B2 (ja) インク、インクの固化膜、及び光電変換素子
JP5715796B2 (ja) 有機光電変換素子の製造方法
JP7080132B2 (ja) 光検出素子
EP4131443A1 (en) Photodetector element
EP4131440A1 (en) Photodetector element
JP2012191026A (ja) 有機光電変換素子
JP2012023324A (ja) フラーレン構造を有する高分子化合物を含む組成物