以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
以下に説明する本発明の各実施形態は、例えば光学レンズ等からなる撮影光学系によって結像される光学像(被写体像)を固体撮像素子等を用いて光電変換し、この光電変換処理の結果により得られた画像信号を、静止画像や動画像を表わすデジタル画像データに変換し、その画像データを記録媒体に記録し、また記録媒体に記録されたデジタル画像データに基いて静止画像や動画像を表示装置を用いて表示し得るように構成される撮影機器(カメラ)に適用した場合の例示である。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態の撮影機器(以下、単にカメラという)の概略的な構成について以下に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の撮影機器(カメラ)の内部主要構成の概略を示すブロック構成図である。
本実施形態のカメラ1は、図1に示すように、カメラボディ10とレンズ鏡筒20とによって構成されている。本カメラ1は、カメラボディ10に対してレンズ鏡筒20が着脱自在に構成されたいわゆるレンズ交換式カメラである。本実施形態においては、撮影機器としてレンズ交換式カメラを例に挙げて説明するが、本発明を適用し得る撮影機器であるカメラとしては、この形態に限られることはなく、例えばカメラボディ10とレンズ鏡筒20とが一体に構成された形態のレンズ固定式のカメラであっても全く同様に適用することができる。
カメラボディ10は、信号処理制御部11と、ボディ側通信部12と、撮像素子13と、記録部14と、操作部15と、一時記録部16と、表示部18と、タッチパネル18bと、時計部19と、顔検出部31等を有して構成されている。
信号処理制御部11は、本カメラ1の全体の動作を統括的に制御する制御部としての機能を備え、各種構成ユニットを制御する制御信号を処理すると共に、撮像素子13によって取得した画像信号(画像データ)についての画像信号処理等を行う信号処理部としての機能を備えた回路部である。
信号処理制御部11の内部には、フォーカス処理部11aと、画像処理部11bと、タッチ判定部11cと、表示制御部11d等の各種の回路部が具備されている。
このうち、フォーカス処理部11aは、撮像素子13から出力される画像信号を受けてコントラスト検出等を行なって、焦点調節処理,または、ピント位置判定、遠近判定(測距)処理等の画像信号処理を行なう回路部である。
画像処理部11bは、撮像素子13によって取得された画像データに基いて各種の画像処理を施す処理回路部である。
タッチ判定部11cは、タッチパネル18bからの指示入力信号を受けて、その指示内容を判定する信号処理回路である。例えば、表示部18の表示画像上のアイコン表示等が表示されている時に、使用者(ユーザー)が、表示中のアイコン表示等に対応するタッチパネル18b上の位置をタッチ操作,スライド操作等を行なうと、それらの操作を判定する。タッチ判定部11cによる判定結果は、信号処理制御部11へと伝達され、これを受けて信号処理制御部11は表示中のアイコン表示に応じた制御処理を実行する。
表示制御部11dは、表示部18を駆動制御する制御回路部である。表示制御部11dは、撮像素子13及びレンズ26(後述する)等からなる撮像部によって生成され取得された画像データ(画像信号)を受けて、これを表示部18の表示パネル上に画像として視認可能に表示させるための制御を行う。
ここで、上記撮像部は、撮影対象とする対象物(被写体)からの光を透過させて被写体の光学像を結像させる撮影光学系であるレンズ26等(後述する)と、このレンズ26によって結像された被写体像を受けて光電変換処理を行う撮像素子13とを含んで構成されるユニットである。
撮像素子13は、例えばCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)等の回路素子を用いたCCDイメージセンサー若しくはMOS(Metal Oxide Semiconductor;金属酸化膜半導体)等を用いたMOS型イメージセンサー等の固体撮像素子である光電変換素子等が適用される。撮像素子13によって生成されたアナログ画像信号は、信号処理制御部11のフォーカス処理部11a,画像処理部11bへと出力されて各種の画像信号処理が行なわれる。
記録部14は、撮像素子13から出力され上記画像処理部11bにて処理済みの画像信号を受けて、これを所定の形態に変換する信号処理回路部と、この信号処理回路部によって生成された画像データを記録する記録媒体と、この記録媒体を駆動制御する制御部等を含んで構成される構成部である。ここで行われる画像信号の変換処理としては、例えば信号圧縮処理等を行って記録形態の画像データ変換する処理や、記録媒体に記録済みの画像データを読み込んで伸長処理等を施して画像信号を復元させる信号処理等である。なお、この種の圧縮伸長処理については、記録部14に含まれる信号処理回路部で行なう形態に限られることはなく、例えば信号処理制御部11内に同様の信号処理回路部を設け、それによって実行するような形態としてもよい。
一時記録部16は、撮像素子13によって取得された画像データ等を一時的に記録しておく回路部であって、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory),RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等が適用される。
操作部15は、カメラ1のカメラボディ10の外装部分に設けられる通常の押しボタン式若しくはスライド式,ダイヤル式等の形態の各種の操作部材であって、例えばシャッターリリースボタン(特に図示せず)等、各種の一般的な操作部材を含めた操作用の構成部を指すものである。なお、操作部15に含まれる操作部材として、例えばいわゆる四方向操作部材等もある。この四方向操作部材は、例えば表示部18上に表示されるメニュー画面の項目選択を行なったり、表示画像上の位置を指示するような場合にも用いられる。四方向操作部材は、後述のタッチパネル18bに代わる操作部材として機能する。四方向操作部材からの指示信号は信号処理制御部11へと出力され、この信号処理制御部11内の制御回路によって各種の制御が行われる。
また、本実施形態のカメラ1においては、上記操作部15とは別の操作用の操作部材として、タッチパネル18bを有している。このタッチパネル18bは、表示部18の表示面上に配置されており、使用者(ユーザー)が表示部18に表示中の画像に対応する所定領域、例えば各種アイコン表示に相当する領域に対してタッチ操作やスライド操作等を行うことによって、各種の操作指示信号が発生するように構成された操作部材である。このタッチパネル18bからの指示入力信号は、信号処理制御部11のタッチ判定部11cに送られて、その操作入力が判定される。
表示部18は、信号処理制御部11の表示制御部11dによって制御される。即ち、表示部18は、例えば撮像素子13から出力され信号処理制御部11の画像処理部11bによって処理済みの画像データ等に基いてライブビュー画像を表示したり、記録部14により伸長処理された画像データ等に基いて記録済み画像の再生表示を行ったり、記録部14等に予め用意された各種アイコンデータ等に基くアイコンやメニュー画面等を表示する表示ユニットである。表示部18は、例えば液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display),プラズマディスプレイ(PDP;Plasma Display),有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OEL;Organic Electro-Luminescence Display)等の表示パネルと、その駆動回路等を含んで構成される。
換言すると、表示部18は、再生モード時には表示制御部11dの制御下において、撮影記録済みの画像データに基く画像を再生表示する表示装置となる一方、撮影モード時には表示制御部11dの制御下において、撮像素子13から出力され画像処理部11bを経て処理済み画像データに基いて順次連続的にリアルタイムの画像を表示し続けることによって、撮影範囲を観察,確認を行なう電子ビューファインダとしても機能する。なお、本実施形態においては、表示部18の表示パネルをカメラボディ10の背面側に設けた例を示しているが、表示部18の構成例としては、このような形態に限られることはない。例えば、電子ビューファインダ(EVF;Electric View Finder)として利用し得る小型の表示パネルで構成される表示部とする形態としてもよい。さらに、背面に設ける表示部と小型表示部とを設け、両者を切り換えて使用するような形態としてもよい。
時計部19は、いわゆるリアルタイムクロック(Real-Time Clock;RTC)と言われるコンピュータの内部時計である。時計部19は、例えばデータファイル等の日時情報の付与を行ったり、制御処理中における計時や時間制御等の際に利用される。
顔検出部31は、撮像素子13から出力される画像データに基いて表示される画像の中に、人間の顔若しくは特定種類の動植物等(例えば犬,猫,鳥,花等)の被写体に対応する画像が存在するかどうかを検出するための被写体像検出回路部である。顔検出部31としては、顔画像を検出するだけでなく、これに加えて、例えば色検出やパターン検出等を行なうものを含めてよい。なお、信号処理制御部11は、顔検出部31によって検出された被写体像が撮影画面内で移動しても、その像パターンを常に追尾し続け、かつフォーカスを合わせ続ける制御等を行う機能を有する。
ボディ側通信部12は、後述するレンズ側通信部22との間で電気的に接続することによって、カメラボディ10とレンズ鏡筒20との間で制御信号,情報信号等をやり取りするカメラボディ10側の通信用信号処理回路部である。
次に、レンズ鏡筒20は、レンズ制御部21と、レンズ側通信部22と、レンズ側操作部23と、ズーム駆動部24aと、フォーカス駆動部24bと、絞り駆動部24cと、ズームレンズ位置検出部25aと、フォーカスレンズ位置検出部25bと、第1回動検出部27aと、第2回動検出部27bと、撮影光学系であるレンズ26等によって主に構成されている。
レンズ制御部21は、上記カメラボディ10側の信号処理制御部11の制御下においてレンズ鏡筒20側の各構成ユニットの動作を制御する制御部である。なお、このレンズ制御部21を省略して構成することもできる。その場合には、レンズ鏡筒20側の制御は、カメラボディ10側の信号処理制御部11が担うようにすればよい。
レンズ側通信部22は、上記ボディ側通信部12との間で電気的に接続することによって、レンズ鏡筒20とカメラボディ10との間で制御信号,情報信号等をやり取りするレンズ鏡筒20側の通信用信号処理回路部である。
レンズ側操作部23は、レンズ鏡筒20側に設けられる各種の操作部材であり、具体的には例えば、手動によるフォーカス調節操作を行なうフォーカスリング23a(第1操作部材,第1操作リング)と、手動によるズーム操作を行なうズームリング23b(第2操作部材,第2操作リング)等である。これら二つの操作リング23a,23bは、例えば円環状(リング状)に形成され、レンズ鏡筒20の外周側に外周面を露呈するように配設され、かつ当該レンズ鏡筒20の撮影光学系であるレンズ26の光軸周りに回動し得るように設けられた円環状操作部材である。そして、これら二つの操作リング23a,23bは光軸方向に並設され、互いに近接する位置に設けられている。
なお、上記二つの操作リング23a,23b以外のレンズ側操作部23としては、例えば通常撮影と近接撮影等の撮影モード切換用の操作部材や、電動ズーミングを行なうためのズームスイッチ等、その他の操作部材が設けられていてもよい。これらその他の操作部材については、本発明に直接関連しない部分であるので、その図示及び詳細説明は省略する。
ここで、本実施形態のカメラ1におけるフォーカシング(ピント合わせ、ピント制御、焦点調節)制御は、基本的にはオートフォーカス(自動焦点調節)制御(以下、AF制御と略記する)である。このAF制御の概略は、例えばカメラボディ10側の操作部15に含まれるシャッターリリースボタンの半押し操作をトリガーとして開始される。この場合、撮像素子13から出力される画像データに基いてコントラストAF制御や像面位相差AF制御等が適宜実行される(通常AF制御モード)。これに加えて、この状態にあるときに使用者(ユーザー)が上記シャッターリリースボタンの半押し操作を維持しつつ、手動にて上記フォーカスリング23aの回動操作を行うと、その回動操作に応じたフォーカシング(ピント合わせ、ピント制御、焦点調節)(マニュアルフォーカシング;MF)を行なうことができる。つまり、AF制御からマニュアルフォーカス(手動焦点調節)制御(以下、MF制御と略記する)への移行を、フォーカスモードの切り換え操作を行なうことなくシームレス(seamless;継ぎ目無く)に実行し得るように制御するいわゆるAF+MF制御モードを有する。
さらに、本実施形態のカメラ1においては、フォーカスモードの別の形態の一つとして、フォーカスガイドモードを備えている。
ここでは、特に、フォーカシング制御(ピント合わせ)用のリング操作部を使った別の仕様を提案しているが、これは、操作部材がもともとピント合わせ用を想定する場合、それに関連するモードに切り替わる方がユーザの混乱を招かないと考えたためである。以下に記載するようにフォーカスガイドモードは、ノンリニア制御(図8参照)、補助ガイド表示(図6、図13等参照)を有するので、この特徴を受け継いで、ノンリニアズーム制御や、どのリング回転位置でどの範囲をズーミングするかをガイド表示したズームガイドモードといった改良が可能であることは言うまでもない。しかし、ここでは、ユーザが悩みやすいピント位置制御の説明に注力する。ピント制御もズーム制御も、光学系を構成するレンズ群の光軸方向の位置調節を行うという意味では、同様の概念として捉えられ、いずれも光学系の位置制御である。この位置調整を撮影パラメータ調整の一つと呼んでも良い。
このフォーカスガイドモードは、撮像部からの出力を受けて、撮影画面内の所定領域の距離分布判定(測距)動作を行ない、その測距結果に応じて複数のフォーカスゾーン(遠景,中景,近景等)を設定し、設定したフォーカスゾーンに応じたフォーカスガイドアイコン51(後述する図5,図6参照)を表示部18上に表示させる。使用者(ユーザー)は、上記フォーカスガイドアイコン51を用いて所望のフォーカスゾーンの指定操作を行なうと、指定されたフォーカスゾーンに対してフォーカシング(ピント合わせ、ピント制御、焦点調節)制御がなされるというものである。このときの、各フォーカスゾーン間では、段階的なフォーカシング(ステップフォーカシング)制御を行なうようにしている。
本実施形態のカメラ1におけるフォーカスガイドモードは、例えば他のフォーカスモード(通常AF制御モード,MF制御モード,AF+MF制御モード)に設定されているとき、所定の操作(具体的には後述するように二つの操作リング23a,23bの同時回動操作等)を行なうとフォーカスモードの移行がシームレスに実行されるように構成している(詳細は後述する)。特に、マニュアルフォーカスモードの時に、この機能を有効にすれば、リニアにピント合わせできる通常MFと、ノンリニアであったり、補助ガイド表示付きであったりするフォーカスガイドモードを、リング操作で簡便に選択でき、かつ、仮に、それぞれの操作を誤ったとしても同様の操作で同様のパラメータが操作できるというメリットがあり、ユーザの混乱を招かずにすむ。つまり、操作量とパラメータ量の関係の切り換えを行うだけである。また、パラメータ量変化を0にすれば、操作禁止と同様の制御が可能となる。
このように、本実施形態のカメラ1におけるフォーカシング(ピント合わせ、ピント制御、焦点調節)制御に関しては、例えばAF制御のみを行なう通常AF制御モードと、MF制御のみを行なうMF制御モードと、AF制御からMF制御への移行をシームレスに実行し得るAF+MF制御モードと、フォーカスガイドモード等、複数のフォーカスモードを設け、これら複数のフォーカスモードを適宜切り換えて行ない得るように構成されている。
第1回動検出部27aは、上記フォーカスリング23a(第1操作リング)の回転量、即ち操作リングの回転の機械的変位量を電気信号に変換し、この信号を処理して回転方向や回転量等を検出するセンサ等を含む回路部である。また、第2回動検出部27bは、上記ズームリング23b(第2操作リング)の回転量を検出する回路部である。第1回動検出部27a,第2回動検出部27bとしては、例えばロータリエンコーダ等が適用される。
ズーム駆動部24aは、レンズ制御部21の制御下においてレンズ26内のズーム駆動機構部26a(後述する)の駆動制御を行なう制御回路部でありズーム駆動手段である。フォーカス駆動部24bは、同様にレンズ制御部21の制御下においてレンズ26内のフォーカス駆動機構部26b(後述する)の駆動制御を行なう制御回路部でありフォーカス駆動手段である。なお、フォーカシング方法については、必ずしもレンズを動かさず、撮像素子を動かす場合もある。絞り駆動部24cは、同様にレンズ制御部21の制御下においてレンズ26内の絞り駆動機構部26c(後述する)の駆動制御を行なう制御回路部である。
ズームレンズ位置検出部25aは、ズーム光学系の光軸上の位置を検出する位置検出回路である。また、フォーカスレンズ位置検出部25bは、フォーカス光学系の光軸上の位置を検出する位置検出回路である。なお、上記二つの位置検出部(25a,25b)は、例えば初期位置判定用のスイッチやフォトカプラ等を含んで構成される。
レンズ26は、上述したように撮影対象となる対象物(被写体)からの光を透過させて被写体の光学像を結像させるための複数の光学レンズ等からなる撮影光学系と、この撮影光学系の個々の光学レンズをそれぞれ保持する複数の鏡筒部材と、これら複数の鏡筒部材をそれぞれ個別に光軸方向に進退させる駆動用鏡筒等のほか、ズーム駆動機構部26aと、フォーカス駆動機構部26bと、絞り駆動機構部26c等を具備して構成される。なお、撮影光学系は複数の光学レンズからなり、例えば変倍動作(ズーミング)に寄与するズーム光学系,焦点調節動作(フォーカシング)に寄与するフォーカス光学系,レンズ収差補正用の光学系等によって構成される。
ズーム駆動機構部26aは、撮影光学系のうちズーム動作に関与するズーム光学系を駆動するための駆動源(アクチュエータ)やその駆動力を伝達する駆動機構等を含む駆動ユニットである。
フォーカス駆動機構部26bは、撮影光学系のうちフォーカス動作に関与するフォーカス光学系を駆動するための駆動源(アクチュエータ)やその駆動力を伝達する駆動機構等を含む駆動ユニットである。
絞り駆動部24cは、撮影光学系を透過する光束の光量を調整するための絞り機構を駆動する駆動源(アクチュエータ)やその駆動力を伝達する駆動機構等を含む駆動ユニットである。
なお、カメラボディ10,レンズ鏡筒20は、上述した構成部以外にもその他の各種構成ユニット等を有して構成されているものであるが、それらの各種構成ユニット等は、本発明に直接関連しない構成であるので、従来の一般的なカメラと同様の構成を具備するものとして、その詳細説明及び図示を省略している。
例えば、撮影光学系の光路を開閉し、撮影動作の際に撮影光学系を透過する光束の光量を調整するためのシャッター機構については図示及び説明を省略しているが、本実施形態のカメラ1においても、従来のカメラと同様の通常のシャッター機構を有している。このシャッター機構は、カメラボディ10側に配設するフォーカルプレーンシャッターでもよいし、レンズ鏡筒20側に配設するレンズシャッターでもよい。シャッター機構がカメラボディ10側に配設されている場合には、シャッター機構は主にボディー側の制御部によって制御される。また、シャッター機構がレンズ鏡筒20側に配設されている場合には、シャッター機構は主にボディー側の制御部の制御下においてレンズ制御部21を介して制御される。
このように構成された本実施形態のカメラ1を用いて撮影を行なう際の作用を以下に説明する。図2は、本実施形態のカメラ1を用いて撮影を行なう際の撮影状況の概念図である。本実施形態のカメラ1を手に持つ使用者(ユーザー)100が、図2に示すように、主要な撮影対象としての二人の人物等101を含む光景を撮影するものとする。この場合において、本カメラ1による撮影範囲内には、主要撮影対象101(中景)と、この主要撮影対象101を基準として使用者(ユーザー)100寄りの位置(近景)に花等102が存在し、使用者(ユーザー)100よりも後方の位置(遠景)として山等103が存在する状況を想定している。
図3は、本実施形態のカメラにおけるカメラ制御の処理シーケンスを示すフローチャートである。図4は、図3の処理シーケンスのうちのサブルーチン(ステップS117の処理)を示すフローチャートである。
まず、本実施形態のカメラ1が電源オン状態とされて動作可能な起動状態にあるものとする。この状態にあるとき、ステップS101において、信号処理制御部11は、現在設定されている動作モードが撮影モードにあるか否かの確認を行なう。ここで、撮影モードに設定されていることが確認された場合には、次のステップS102の処理に進む。また、撮影モード以外に設定されていることが確認された場合には、ステップS151の処理に進む。
ステップS102において、信号処理制御部11は、撮像素子13及びレンズ26等からなる撮像部と表示部18等を制御して画像データの取得処理及びライブビュー画像表示処理を実行する。その後、ステップS111の処理に進む。
続いて、ステップS111において、信号処理制御部11は、ボディ側通信部12を制御してレンズ側通信部22を介してレンズ鏡筒20のレンズ制御部21との間でレンズ通信処理を行なう。このレンズ通信処理において、カメラボディ10に装着されているレンズ鏡筒20の種類等のレンズ情報の取得等が行われる。
なお、上記レンズ通信処理においては、カメラボディ10にレンズ鏡筒20が装着されているか否かの確認や、レンズ交換操作が行なわれたか否か等の確認も合わせて行なう。ここで、例えばボディ側通信部12とレンズ側通信部22との通信が確立できない場合には、カメラボディ10にレンズ鏡筒20が装着されていないものと判断し、その場合には、信号処理制御部11は、表示制御部11dを介して表示部18を制御して、その旨の警告表示等を表示する制御を行ない、これにより使用者(ユーザー)にレンズ鏡筒20の装着を促す。そして、レンズ装着の確認を待って、レンズ通信処理を実行する。また、レンズ通信処理が行われることによって、現在、カメラボディ10側の信号処理制御部11が保持しているレンズ鏡筒20に関するレンズ情報と、レンズ通信処理の結果、現在カメラボディ10に装着されているレンズ鏡筒20側から取得したレンズ情報とが一致しない場合には、レンズ交換操作が行なわれたものと判断し、その場合には、信号処理制御部11は、新たに取得したレンズ情報を一時記録部16等に一時記録する等の処理を行なう。その後、ステップS116の処理に進む。
ステップS116において、信号処理制御部11は、通信部12,22を介してレンズ制御部21との通信を行なって、第1回動検出部27a,第2回動検出部27bからの信号を監視して、上記フォーカスリング23a(第1操作リング),上記ズームリング23b(第2操作リング)が操作されたか否かの確認を行なう。ここで、上記両リング23a,23bの少なくとも一方の操作が確認された場合には、次のステップS117の処理に進む。また、上記両リング23a,23bのいずれの操作も確認されない場合には、ステップS118の処理に進む。
次の、ステップS117において、信号処理制御部11は、リング操作検出処理のサブルーチン(図4の処理シーケンス)を実行する。その後、ステップS118の処理に進む。なお、上記ステップS117の処理の詳細は、図4を用いて後述する。
次に、ステップS118において、信号処理制御部11は、現在設定されている撮影処理に関する動作モードが静止画撮影モードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、静止画撮影モードに設定されていることが確認された場合には、次のステップS119の処理に進む。また、静止画撮影モード以外の動作モードが設定されている場合には、ステップS121の処理に進む。
ステップS119において、信号処理制御部11は、所定の静止画撮影処理を実行する。この静止画撮影処理のシーケンスは、従来一般のカメラで行われる処理と同様である。したがって、その詳細説明は省略する。
上述のステップS118の処理にて、静止画撮影モード以外の動作モード設定が確認されて、ステップS121の処理に進むと、このステップS121において、信号処理制御部11は、現在設定されている撮影処理に関する動作モードが動画撮影モードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、動画撮影モードに設定されていることが確認された場合には、次のステップS122の処理に進む。また、動画撮影モード以外の動作モード、即ち静止画撮影モードが設定されている場合には、上述のステップS101の処理に戻る。
ステップS122において、信号処理制御部11は、所定の動画撮影処理のシーケンスを開始する。この動画撮影処理のシーケンスも、従来一般のカメラで行われる処理と同様である。したがって、その詳細説明は省略する。
なお、上述のステップS122の動画撮影処理が開始されると、次のステップS123において、信号処理制御部11は、操作部15からの指示信号を監視し、その処理の間中、常に動画撮影処理の終了指示信号の確認を続ける。ここで、動画撮影処理の終了を指示する指示信号が確認された場合には、ステップS124の処理に進む。また、動画撮影処理終了指示信号が確認されない場合には、上述のステップS102の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS124において、信号処理制御部11は、動画撮影処理の終了処理を実行した後、記録部14を制御して取得済みの画像データを記録する処理を実行する。その後、ステップS101の処理に戻る。
一方、上述のステップS101の処理にて、カメラ1に設定されている動作モードが撮影モード以外であることが確認されて、ステップS151の処理に進むと、このステップS151において、信号処理制御部11は、現在設定されている動作モードが再生モードであるか否かの確認を行なう。ここで、再生モードに設定されていることが確認された場合には、所定の再生処理シーケンスへ移行するものとし、ステップS152の処理に進む。
ステップS152において、信号処理制御部11は、記録部14を制御して記録媒体に記録済みの画像データのサムネイル画像データを読み出して、所定の信号処理を施した後、表示制御部11dを介して表示部18を制御してファイル一覧表示処理を実行する。なお、このファイル一覧表示処理に代えて、次のような表示処理を実行するようにしてもよい。即ち、カメラ1が再生モードにあることが確認されると、信号処理制御部11は記録部14を制御して記録媒体に記録済みの画像データのうち最新画像データを読み出して、所定の信号処理を施した後、表示制御部11dを介して表示部18を制御して最新画像の再生処理を実行するようにしてもよい。その後、ステップS153の処理に進む。
続いて、ステップS153において、信号処理制御部11は、操作部15若しくはタッチパネル18bからの指示信号を監視して、ファイル選択指示信号が発生したか否かの確認を行なう。ここで、ファイル選択指示信号は、表示中のファイル一覧のうちのいずれかを選択する旨の指示信号である。なお、最新画像表示の場合には、表示中の画像データの一つ前の画像データ若しくは記録済み画像データ中の最も古い画像データのいずれかを選択指示する指示信号となる。このステップS153の処理にて、信号処理制御部11がファイル選択指示信号の発生を確認した場合には、次のステップS154の処理に進む。また、ファイル選択指示信号が確認されない場合には、ステップS156の処理に進む。
次に、ステップS154において、信号処理制御部11は、記録部14を制御して記録媒体に記録済みの画像データのうち上述のステップS153の処理にて選択された画像データを読み出して、所定の信号処理を施した後、表示制御部11dを介して表示部18を制御して選択画像の再生処理を実行する。その後、ステップS155の処理に進む。
ステップS155において、信号処理制御部11は、操作部15若しくはタッチパネル18bからの指示信号を監視して、選択画像の表示を終了させる旨の指示信号が発生したか否かの確認を行なう。このステップS155において、選択画像表示終了指示信号が確認されない場合には、上述のステップS154の処理に戻る。即ち、同じ選択画像の表示処理を続行し続ける。また、選択画像表示終了指示信号が確認された場合には、ステップS152の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
一方、上述のステップS153の処理にて、ファイル選択指示信号が確認されずにステップS156の処理に進むと、このステップS156において、信号処理制御部11は、操作部15若しくはタッチパネル18bからの指示信号を監視して、再生モードの終了指示信号が発生したか否かの確認を行なう。ここで、再生モード終了指示信号は、例えばモード切換操作若しくは電源オフ操作等である。このステップS156において、再生モード終了指示信号が確認されない場合には、上述のステップS152の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。また、再生モード終了指示信号が確認された場合には、ステップS101の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。なお、再生モード終了指示信号の発生トリガーとして、電源オフ操作が行なわれた場合には、全ての動作を終了するものとして、本カメラ制御処理シーケンスを終了する。この処理シーケンスについては、図3においては図面の煩雑化を避けるために図示を省略している。
他方、上述のステップS151の処理にて再生モード以外に設定されていることが確認された場合には、他の動作モードへの移行処理シーケンスを実行する。ここで、他の動作モードとしては、例えば画像通信モード等があるが、これらの他の動作モードについては、本発明に直接関係しないので、その詳細説明は省略し、再生モード以外に設定されている場合の処理シーケンスとしては、便宜的に上述のステップS101の処理に戻るようにしている。
本実施形態のカメラ1における上述のような一連の再生処理シーケンスは、従来一般的な形態のカメラと同様である。
なお、本実施形態のカメラ1の信号処理制御部11は、常に操作部15若しくはタッチパネル18b等からの指示信号を監視している。そして、上記処理シーケンス中のいずれの時点においても、操作部15若しくはタッチパネル18b等からの指示信号が確認された場合には、確認した指示信号に対応する処理を割り込ませるように構成している。したがって、カメラ1の動作状況に関らず、所定の割り込み信号(例えば電源オフ信号,リセット信号,動作切換信号等)が確認された場合には、実行中の処理を中断させ、若しくは実行中の処理の終了を待って、割り込み指示に応じた処理(例えば電源オフ処理,リセット処理,動作切換処理等)を実行する。
次に、本実施形態のカメラにおけるリング操作検出処理のサブルーチン(図3のステップS117の処理)の詳細を、図4を用いて以下に説明する。
上述したように、上述の図3のステップS116の処理にて、上記二つの操作リング23a,23bのいずれかが操作されて、ステップS117の処理、即ち図4の処理シーケンスに移行する。
まず、図4のステップS201において、信号処理制御部11は、上述のステップS116の処理による検出結果について、上記二つの操作リング23a,23bが同時に回動操作されたものであるか否かの確認を行なう。ここで、上記二つの操作リング23a,23bの同時回動操作であることが確認された場合には、信号処理制御部11は、各操作リング23a,23bへの回動操作に対応する制御を禁止した上で、次のステップS211の処理に進む。ここで、上記二つの操作リング23a,23bの同時回動操作が検出されると、各操作リングの回動操作に対応する制御を禁止しているのは、次のような理由による。即ち、二つの操作リング23a,23bの同時回動操作が検出された場合、その操作が意図したものであるか、誤操作によるものであるかの判断がつかない。そのために、その同時回動操作が誤操作によるものであったとしても、現在設定されているフォーカス設定やズーム設定が意図せずにズレてしまうことを防止するために、この処理ステップの段階では、同時回動操作に対応する制御を禁止している。
一方、ここで、操作リングの同時回動操作ではないことが確認された場合、例えば上記二つの操作リング23a,23bの一方のみの操作が確認された場合には、ステップS202の処理に進む。
ステップS211において、信号処理制御部11は、現在フォーカスガイドモードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、現在既にフォーカスガイドモードに設定されている場合には、ステップS212の処理に進む。
続いてステップS212において、信号処理制御部11は、現在設定されているフォーカスガイドモードを解除して、フォーカスモードのうち例えば通常AF制御処理に設定する。その後、元の処理シーケンス(図3)に戻り、図3のステップS118の処理に進む。なお、上記ステップS212の処理にてフォーカスガイドモードの解除処理の前に、表示部18にその旨の警告表示を行なうようにして、使用者(ユーザー)の諾否を問うようにしてもよい。
一方、上述のステップS211の処理にて、現在フォーカスガイドモードに設定されておらず、通常のフォーカスモードに設定されていることが確認された場合には、ステップS220の処理に進む。
ここで、フォーカスガイドモードの表示画面と、その動作時の概念を説明する。図5,図6は、上述の図2に示す撮影対象をフォーカスガイドモードに設定した本実施形態のカメラ1によって撮影を行なうのに際し、表示部18に表示されるライブビュー画像の一例を示す図である。
上述したように、図2で示すような状況を撮影対象とする場合、図5,図6に示すように、撮影画面内には複数の被写体が含まれることになる。この場合において、カメラ1から各被写体までの距離に差があれば、画面全域でピントが合った状態になるとは限らない。具体的には、上述したように、例えばカメラ1から近距離にある近景の花等102と、遠距離にある遠景の山等103と、両者の中間距離にある中継の人物等101とした場合、これら三つの被写体のうちいずれかに焦点調節を行なうと、他の二つの被写体ではピントの合わない(ズレた)状態になる。このことを表現するために、図5,図6においては、複数の被写体のうち焦点調節がなされている被写体を実線で示し、焦点調整がなされていない被写体(フォーカスがズレている(out of focus)被写体)を点線で示している。具体的には、図5においては、中景の人物等101を実線で描き他を点線で描くことによってピントが合っている状態を示している。図5においては、近景の花等102を実線で描き他を点線で描くことによってピントが合っている状態を示している。
この場合において、カメラ1と各被写体までの距離は、次のようにして求める。まず、撮影画面内において、例えば縦方向の二分の一の位置の水平線H(図5参照)を規定する。そして、この水平線Hを含む所定の領域を対象として、距離分布、遠近判定(測距)動作、例えば撮像素子13からの出力に基いてAF処理を行なうコントラストAF処理を用い、画面左端から右端までの間の水平線H上の画像のコントラストを検出することによって、複数の被写体までの測距動作を行なう。
なお、ここで行なう測距動作としては、上述のコントラストAF処理のほかに、例えば撮像素子13の撮像面上に設けたAF用位相差画素を用いてAF処理を行なう像面位相差AF処理を用いるようにしてもよい。さらに光投射型や、2眼レンズによるものなど、様々な方式が知られている。
こうして得られる距離分布判定(測距)結果をグラフ化した一例を図7に示している。ここで、図7(A)は図2で示す撮影対象を撮影する場合における撮影範囲(図5参照)について所定領域(水平線H)の測距分布の測定を行なった結果、同所定領域(水平線H)のピント位置(距離の逆数に対応)ごとに得られたコントラストピークの分布に従った被写体の遠近判定結果(距離分布)の例を示している。図7(B)は、図7(A)の測距結果に基いて作成されたリング回転量とピントを合わせる位置の関係を示すグラフである。
通常の場合、被写体までの距離の逆数はレンズ繰り出し量(リング回転量)に比例する。また、近距離にある物ほどハイ(高)コントラストとなる傾向がある。一方、遠距離にある物ほどロー(低)コントラスト傾向となるので、そういった領域は無限遠(∞)に設定する。これらのことを考慮して、図7(A)のグラフでは、縦軸に最適ピント位置の分布や、遠近判定など測距結果に基く距離の逆数を取り、横軸に画面内の所定領域(水平線H上)における位置を取っている。この距離分布判定(測距)結果に基いて図7(B)に示すようにリング回転量が設定される。この場合において、水平線H上の位置における近景(花等102)に合焦点を中心とする所定のフォーカス範囲Z1と、同様に中景(人物等101)に合焦点を中心とする所定のフォーカス範囲Z2と、同様に遠景(山等103)に合焦点を中心とする所定のフォーカス範囲Z3と、複数(本実施形態では三つ)のフォーカスゾーンを設定する。そして、あるフォーカスゾーンが指定された時には、そのフォーカスゾーンの範囲内における規定位置に合焦するようフォーカス光学系の駆動制御がまされる。つまり、各フォーカスゾーン内においては、リング回転量に関らず、微少なフォーカシング(ピント合わせ、ピント制御、焦点調節)は行われず、フォーカス光学系は規定の位置に固定される。そして、各フォーカスゾーン間においては、それぞれの規定位置ごとに段階的に制御される。この場合においては、グラフ上においてなだらかな傾斜となるようにスムースな駆動制御が行なわれる。
なお、この形態とは別に、例えば図8に示すようなフォーカス制御を行なうようにしてもよい。図8に示す変形例では、各フォーカスゾーン内においても、若干の範囲内でリング回転量に応じたフォーカス微調整を行なうことができるように駆動制御している。
そして、図7(B),図8においては、近景に対応する最も近距離(最近端という)に合焦させた状態、若しくは遠景に対応する最も遠距離(無限遠;∞:最遠端という)に合焦させた状態から、別の端へとシームレスにワンアクションでフォーカスゾーンを変更することができることを示している。つまり、最至近端の合焦状態からフォーカスリング23aを回し続けると、中間位置を介して最遠端の合焦状態へと至り、ここからさらにフォーカスリング23aを回し続けると、最遠端から最至近端への合焦状態へと移行するように設定されている。つまり、従来は、最至近端と最遠端との間の範囲で一方向のフォーカス制御がなされていた。したがって、合焦状態が一方の端部に至った時には、常に中間位置を介して他方の端部へと戻るように制御されていた。これに対し、本実施形態における操作リングは、無限に回転し続け得る構成として、一方の端部から他方の端部へと直接移行し得るようにフォーカス制御がなされる。
一方、通常のフォーカスモードの設定下では、図9に示すように、フォーカスリング23aを回転させることによってMF制御を行なうことができる。この場合には、最至近端の合焦状態からフォーカスリング23aを回し続けると、やがて中間位置を介して最遠端の合焦状態へと至る。このとき、リング回転量は、最至近端の合焦状態から一定の傾きを保ちつつ最遠端の合焦状態へと至る。そして、最至近端若しくは最遠端の合焦状態にあるときには、それ以上、フォーカスリング23aを回し続けても、そのときの合焦状態、即ち最至近端若しくは最遠端の合焦状態が維持されるように設定される。
なお、上記の例では、距離分布判定(測距)を行なう領域として水平線Hを例にとって説明したが、測距対象領域としては、この形態に限られることはなく、撮影画面の全領域としたり、撮影画面の中央部分の所定領域としたり、その設定は各種の形態で設定すればよい。
そして、フォーカスガイドモードが設定されたときには、図5,図6に示すように、表示部18の表示画面には所定の領域にフォーカスガイドアイコン51が表示される。フォーカスガイドアイコン51は、例えば円環部51aと、この円環部51aの周縁に表示され上記フォーカスゾーンに対応する複数(本実施形態では三つ)の指標51bと、各指標51bから延出される矢印51cと、上記円環部51a上において上記複数の指標51bのうちの一つを明示する識別部51aaとからなる。このフォーカスガイドアイコン51の図形データは、例えば記録部14等の所定の記録領域に予め記憶させておいたものを適宜読み出して利用するように制御される。
フォーカスガイドアイコン51は、円環形状の操作部材を模した表示としている。つまり、タッチパネル18bを介してフォーカスガイドアイコン51に対応する表示部18上の位置をタッチ&スライド操作等を行なうことによって、所望の操作を行なうことができる。例えば、図5に示す状態では、この円環部51aの周縁に三つの指標51bが表示されていて、三つのフォーカスゾーンを選択することを表している。各指標51bのそれぞれからは矢印51cが各フォーカスゾーンに対応する被写体に向けて延出されている。そして、図5の状態においては、円環部51a上に表示される識別部51aaは、中景の人物等101を示すフォーカスゾーンに対応する指標51bを明示している。したがって、図5の状態の表示部18の画面上において中景のフォーカスゾーンに合焦した状態が示されている。
この図5の状態から、使用者(ユーザー)がタッチパネル18bごしに円環部51aを、図6に示すように、矢印R方向にスライド操作を行なうと表示部18の表示画像は、近景のフォーカスゾーンに合焦した状態になる。
また、これとは別に、フォーカスガイドアイコン51と同様な形態のダイヤル状部材をカメラボディ10に設け、このダイヤル状部材を操作すると、これに連動して表示部18のフォーカスガイドアイコン51の表示が変化するような形態としてもよい。
このようなフォーカスガイドモード時の作用は、図4の処理シーケンスにより実現できる。即ち、図4において、上述のステップS201の処理にて二つの操作リング23a,23bの同時回動が確認され、かつ上述のステップS211の処理にて、現在フォーカスガイドモードに設定されていないことが確認されてステップS220の処理に進むと、このステップS220において、信号処理制御部11は、フォーカス制御をフォーカスガイドモードへと切り換える。
つまり、本実施形態においては、操作リングの同時回動操作が検出されると、各操作リング23a,23bの制御を禁止して、設定済みのフォーカス設定やズーム設定がズレてしまうことを防ぎつつ、常にフォーカスガイドモードへ移行するようにしている。したがって、検出された同時回動操作が使用者(ユーザー)の意図に反する誤操作であって、かつフォーカスガイドモードへの移行をも意図しない場合であることも考えられる。そのような場合には、上述のステップS220の処理の後に、例えば所定のキャンセル操作を行なうことによって、切り換えられたフォーカスガイドモードをキャンセルして通常のフォーカス制御を行う動作モードへと戻すような制御を割り込ませるようにしてもよい。
また、フォーカスガイドモードへの切り換え手段は、上述のように、操作リングの同時回動操作によるのみに限らず、例えばカメラボディ10若しくはレンズ鏡筒20上に設けた所定の操作部材を操作することによってもよい。
次に、ステップS221において、信号処理制御部11は、通信部12,22を介してレンズ制御部21を制御して、ズームレンズ位置検出部25a,フォーカスレンズ位置検出部25bからの出力信号を読み込んで、現在設定されているフォーカス位置及びズーム位置を一時記録部16に一時的に記録する。
続いて、ステップS222において、信号処理制御部11のフォーカス処理部11aは、通信部12,22,レンズ制御部21を介してフォーカス駆動部24bを制御してフォーカス駆動機構部26bによるフォーカス光学系の駆動を行なって、距離分布測定処理を行なう(図7(A)参照)。
次に、ステップS223において、信号処理制御部11は、上述のステップS221の処理にて一時記録した情報に基いてレンズ26におけるフォーカス光学系及びズーム光学系を元の状態に戻す駆動制御を行なう。
ステップS224において、信号処理制御部11は、画像処理部11b,表示制御部11dを介して記録部14,表示部18等を制御してフォーカスガイドアイコン51のうち円環部51aを表示部18の所定領域に表示させる。同時に、現在設定されているフォーカス位置をフォーカスガイドアイコン51上の対応する位置に表示する。つまり、円環部51a上の対応位置に識別部51aaを表示させる。
続いて、ステップS225において、信号処理制御部11は、フォーカス処理部11aを制御して、上述のステップS222の処理にて得られた距離分布測定結果に基いて、遠景及び近景と中景とする三つのフォーカスゾーンを選択設定する(図7(B)参照)。
次いで、ステップS226において、信号処理制御部11は、画像処理部11b,表示制御部11dを介して記録部14,表示部18等を制御して、設定した遠景,中景,近景に対応するポイントに対して矢印51cの先端を設定する。
続いて、ステップS227において、信号処理制御部11は、画像処理部11b,表示制御部11dを介して記録部14,表示部18等を制御して、フォーカスガイドアイコン51を円周方向に三分割し遠景,中景,近景の各ポイントを示す複数の指標51bを表示させる。同時に、これら複数の指標51bにそれぞれ対応する矢印51cを表示させる。
次に、ステップS228において、信号処理制御部11は、フォーカス処理部11aによって、フォーカスリング23aのリング回転量(操作指示量)とフォーカス位置関係とを再設定する(図7(B),図8参照)。その後、元の処理シーケンス(図3)に戻り、
図3のステップS118の処理に進む。
一方、上述のステップS201の処理にて、同時回動操作ではないことが確認されて、ステップS202の処理に進むと、このステップS202において、信号処理制御部11は、現在フォーカスガイドモードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、現在既にフォーカスガイドモードに設定されている場合には、ステップS203の処理に進む。また、現在フォーカスガイドモードに設定されておらず、通常のフォーカスモードに設定されていることが確認された場合には、ステップS205の処理に進む。
ステップS203において、信号処理制御部11は、上述の図3のステップS116の処理による検出結果について、上記二つの操作リング23a,23bのうちのフォーカスリング23aが回動操作されたものであるか否かの確認を行なう。ここで、フォーカスリング23aの回動操作が確認されている場合には、次のステップS204の処理に進む。また、フォーカスリング23a以外、即ちズームリング23bの回動操作が確認されている場合には、ステップS205の処理に進む。
ここで、ステップS205において、信号処理制御部11は、実行されたリング操作に応じてフォーカス制御若しくはズーム制御を実行する。これらフォーカス制御,ズーム制御は、従来一般のカメラと同様の制御であるので、その詳細は省略する。その後、元の処理シーケンス(図3)に戻り、図3のステップS118の処理に進む。
一方、上述のステップS203の処理にてフォーカスリング23aの回動操作が確認されてステップS204の処理に進むと、このステップS204において、信号処理制御部11は、現在設定されているフォーカス位置が最遠端か若しくは最近端かのいずれかに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、フォーカス位置が最遠端若しくは最近端に設定されていることが確認された場合には、次のステップS206の処理に進む。また、設定されているフォーカス位置が最遠端,最近端のいずれでもない場合には、ステップS207の処理に進む。
ステップS206において、信号処理制御部11は、設定されているフォーカス位置とは別の端部となるようにフォーカス位置を設定する。その後、元の処理シーケンス(図3)に戻り、図3のステップS118の処理に進む。
他方、ステップS207において、信号処理制御部11は、再設定した関係、即ち上述のステップS203の処理によるフォーカスリング23aの操作量に応じたフォーカス制御を実行する。その後、元の処理シーケンス(図3)に戻り、図3のステップS118の処理に進む。
なお、本実施形態においては、円環状操作部材からなる二つの操作リング23a,23bの同時回動操作をフォーカスモードの切り換えのトリガーとしているが、この形態に限られることはない。例えば、押圧式ボタンやスライド摺動式の複数の操作部材を同時に操作することをモード切り換えのトリガーとする形態としてもよい。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、小型化により隣接して設けられる二つの操作リング23a,23bを同時に操作することによって、従来なかった動作モード(具体的にはフォーカス制御のうちのフォーカスガイドモード)へとシームレスに切り換わるように構成した。この場合において、二つの操作リング23a,23bの同時操作を検出した時、各操作リング23a,23bによる通常の制御を禁止するようにした。このように、二つの操作リング23a,23bを同時操作すると、各操作リング23a,23bに割り当てられた通常の制御を禁止したので、たとえ二つの操作リング23a,23bの同時操作が誤操作であったとしても設定ずれ等の事故を防止することができると同時に、フォーカス制御をフォーカスガイドモードへとシームレスに移行させ得る。
また、新たに設けたフォーカスガイドモード時には、画面内の複数の被写体についての距離分布判定を行なって、カメラ1から被写体までの距離に応じて複数のフォーカスゾーンを設定し、使用者(ユーザー)は、所定の操作によって所望のフォーカスゾーンを選択することによって、選択されたフォーカスゾーンに含まれる被写体にフォーカシング(ピント合わせ、ピント制御、焦点調節)を行なうことができるようにしている。したがって、このフォーカスガイドモードによるフォーカス制御では、使用者(ユーザー)が所望する被写体に対して容易にフォーカシングを行なうことができる。これによって、通常のAF制御モードや手動操作によるMF制御モードによるフォーカス制御に比べて、より簡単に所望の被写体へのフォーカシングを行なうことができるので、画像表現の幅を広げ多彩な撮影画像を取得することができる。
[第2の実施形態]
次に説明する第2の実施形態は、フォーカスガイドモード時における表示形態が上述の第1の実施形態とは異なる例を示すものである。本実施形態の撮影機器(カメラ)自体の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であり、カメラ制御シーケンスの一部が異なるのみである。したがって、上述の第1の実施形態と同様の構成については図示を省略し同じ符号を用いて説明する。また、同様の処理シーケンスについてもその図示及び説明は省略し、異なる部分のみを以下に説明する。
図10,図11,図12は、本発明の第2の実施形態の撮影機器(カメラ)におけるカメラ制御処理シーケンスのうちリング操作検出処理のサブルーチン(図3のステップS117の処理に相当)の詳細を示すフローチャートである。このうち、図11は図10の処理シーケンスのうちのサブルーチン(ステップS237のアイコン表示処理)を示すフローチャートである。図12は図10の処理シーケンスのうちのサブルーチン(ステップS243の表示更新処理)を示すフローチャートである。
図13〜図16は、本実施形態の撮影機器(カメラ)において表示部の表示例である。このうち図13は、本撮影機器(カメラ)の表示部に表示されるラブビュー画像の一例を示している。図14〜図16は、本撮影機器(カメラ)におけるフォーカスガイドモード時のラブビュー画像の一例をそれぞれ示している。このうち図14は近景の被写体に合焦した状態を示している。図15は中景の被写体に合焦した状態を示している。図16は遠景の被写体に合焦した状態を示している。なお、図13〜図16においては、上述の第一の実施形態における図5,図6と同様に、合焦状態に有る被写体を実線で、合焦状態にない被写体を点線で示している。
本実施形態において、撮影対象とする範囲内には、図13のライブビュー画像に示すように、近景の被写体として人物101が、中景の被写体として他の人物102が、遠景の被写体として山等103が存在している。この状況において、本実施形態のカメラ1を用いてフォーカスガイドモードでの撮影を行なうことを想定する。
本実施形態のカメラ1におけるカメラ制御処理シーケンス(メインシーケンス)は、上述の第1の実施形態で説明した図3を参照する。
そして、図3のステップS116の処理にて、カメラ1の二つの操作リング23a,23bのいずれかが操作されて、ステップS117のリング操作検出処理に進む。本実施形態におけるリング操作検出処理は、図10の処理シーケンスである。
図10のステップS232において、信号処理制御部11は、上述のステップS116の処理による検出結果について、上記二つの操作リング23a,23bが同時に回動操作されたものであるか否かの確認を行なう。ここで、上記二つの操作リング23a,23bの同時回動操作であることが確認された場合には、信号処理制御部11は、各操作リング23a,23bへの回動操作に対応する制御を禁止し、次のステップS233の処理に進む。また、操作リングの同時回動操作ではないことが確認された場合には、ステップS241の処理に進む。なお、このステップS232の処理は、図4のステップS201の処理と同様である。
ステップS233において、信号処理制御部11は、現在フォーカスガイドモードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、現在既にフォーカスガイドモードに設定されている場合には、ステップS234の処理に進む。また、現在フォーカスガイドモードに設定されていないことが確認された場合には、ステップS236の処理に進む。なお、このステップS233の処理は、図4のステップS211の処理と同様である。
ステップS234において、信号処理制御部11は、表示制御部11dを介して表示部18を制御してフォーカスガイドモードを解除する旨の警告表示を行なう。
続いて、ステップS235において、信号処理制御部11は、現在設定されているフォーカスガイドモードを解除して、同フォーカスガイドモードを終了させ、他のフォーカスモード、例えば通常AF制御処理を設定する。その後、本サブシーケンスを終了し、元の処理シーケンス(図3)に戻る。
一方、ステップS236において、信号処理制御部11は、フォーカス制御をフォーカスガイドモードへと切り換える。なお、このステップS236の処理は、図4のステップS220の処理と同様である。
続いて、ステップS237において、信号処理制御部11は、アイコン表示処理を実行する。このアイコン表示処理の詳細を図11を用いて、次の説明する。
図11のステップS251において、信号処理制御部11は、画面内にある複数の被写体についての測距動作処理(これは、ピント位置から換算される距離分布判定でも良い)を行なう。この測距動作処理は、上述の図4のステップS222の処理と略同様であるものとする。なお、図示及び説明は省略するが、この測距(被写体分布判定)処理には、上述の図4のステップS221,S223の処理を含む物とする。
ステップS252において、信号処理制御部11は、上述のステップS251の処理にて得られた測距結果に基いて測距(距離分布判定、被写体分布)可能とされた複数の被写体(図11において測距可能被写体と表記している)についてナンバリング処理を行なう。このナンバリング処理とは、例えば撮影対象とする範囲内から検出された複数の被写体について、近距離にあるものから順にナンバリングを行なって、対応する被写体の近傍に数字等を用いたナンバリングアイコン52を表示させる処理である。図14〜図16に示す例では、近景被写体101に数字「1」を、中景被写体102に数字「2」を、遠景被写体103に数字「3」を割り振るようにしている。
なお、図14〜図16においては、フォーカスガイドアイコン51A及びナンバリングアイコン52を表示した状態を示しているものであるが、これらの表示処理は、後述するステップS254の処理にて実行される。
続いて、図11のステップS253において、信号処理制御部11は、上述の測距動作で検出された被写体(測距可能被写体)のうち最も至近位置となる近景被写体101に焦点調節を行なう(フォーカス移動)。このときの表示部18の表示状態は、図14に示すようになる。
次に、ステップS254において、信号処理制御部11は、表示制御部11dを介して表示部18を制御して画面内表示を行なう。ここで、フォーカスガイドアイコン51A及びナンバリングアイコン52を表示させる。フォーカスガイドアイコン51Aは、基本的には上述の第1の実施形態のものと略同様の形態であり、円環部51aとナンバリング指標51dとからなる。本実施形態においては、複数の指標51bに代えて円環部51aを区切って表示する複数の指標51bbを表示するようにしている。識別部51aaは、この複数の指標51bbのうちの一つを、例えば色分け表示等によって明示する。そして、円環部51aの周縁にナンバリング指標51dが表示される。このナンバリング指標51dは、測距結果(被写体分布判定結果)に基いてナンバリングされた被写体に対応する数字アイコンとしている。なお、本実施形態においては、矢印51cは省略されている。また、ナンバリングアイコン52は、測距結果に基いてナンバリングされた被写体近傍の領域に表示される数字等からなるアイコンである。
一方、上述のステップS232の処理にて、上述のステップS116の処理で検出された操作リングの操作が同時回動操作ではないことが確認されてステップS241の処理に進むと、このステップS241において、信号処理制御部11は、フォーカスリング23aのみの回動操作がなされたか否かの確認を行なう。ここで、フォーカスリング23aのみの回動操作が確認された場合には、次のステップS242の処理に進む。また、フォーカスリング23aのみの回動操作ではない場合、即ち二つの操作リングのうちズームリング23bのみの回動操作が確認された場合には、ステップS244の処理に進む。
ステップS242において、信号処理制御部11は、現在のフォーカス制御がフォーカスガイドモードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、現在フォーカスガイドモードに設定されている場合には、ステップS243の処理に進む。また、現在フォーカスガイドモードに設定されていない場合には、ステップS244の処理に進む。
ステップS243において、信号処理制御部11は、表示制御部11dを介して表示部を制御して表示更新処理(詳細は図12参照)を実行する。その後、本サブシーケンスを終了し、元の処理シーケンス(図3)に戻る。
ステップS244において、信号処理制御部11は、操作された操作リングに対応する駆動制御、即ち通常のフォーカス制御若しくはズーム制御を実行する。その後、本サブシーケンスを終了し、元の処理シーケンス(図3)に戻る。
次に、上述のステップS243の処理である表示更新処理の詳細を以下に説明する。
図12のステップS261において、信号処理制御部11は、第1回動検出部27aからの信号を受けてフォーカスリング23aの回動方向が右方向の回動であるかいなかの確認を行なう。ここで、右方向の回動操作が確認された場合には、ステップS262の処理に進む。また、左方向の回動操作が確認された場合には、ステップS263の処理に進む。
ステップS262において、信号処理制御部11のフォーカス処理部11aは、通信部12,22,レンズ制御部21を介してフォーカス駆動部24bを制御してフォーカス駆動機構部26bによるフォーカス光学系の駆動を行なって、現在合焦状態にある被写体からナンバリングの一段階遠方向の被写体へと合焦状態を移動させる。その後、ステップS264の処理に進む。これにより、表示部18のライブビュー画像は、例えば図14に示す状態から図15に示す状態に変位する。
一方、ステップS263において、信号処理制御部11は、ステップS262の処理と同様にして、現在合焦状態にある被写体からナンバリングの一段階近方向の被写体へと合焦状態を移動させる。その後、ステップS264の処理に進む。この場合には、表示部18のライブビュー画像は、例えば図15に示す状態から図14に示す状態に変位する。
なお、本実施形態においては、「右方向」の場合に「一段階遠方向」とし、「左方向」の場合に「一段階近方向」としているが、これは単なる例示であってこれに限られることはない。例えば、反対に、「左方向」の場合に「一段階遠方向」とし、「右方向」の場合に「一段階近方向」としてもよい。
ステップS264において、信号処理制御部11は、再度の測距動作処理を実行する。この測距動作処理は、上述の図11のステップS251の処理と同様の処理である。
続いて、ステップS265において、信号処理制御部11は、上述のステップS264の測距動作処理の結果、フォーカスにずれが生じているか否かの確認を行なう。ここで、フォーカスずれが確認された場合には、次のステップS266の処理に進み、このステップS266において、信号処理制御部11は、フォーカス駆動部24bを制御してフォーカス光学系の駆動を行ないフォーカス位置の微調整動作を実行する。その後、ステップS267の処理に進む。また、上述のステップS264の処理にてフォーカスずれが確認されない場合には、ステップS267の処理に進む。
ステップS267において、信号処理制御部11は、上述のステップS264の再測距処理の結果に基いて撮影画面内の状況を確認し、測距可能被写体に変化が生じたか否かを判断する。ここで、測距可能被写体に変化が生じたことが確認された場合には、ステップS268の処理に進み、このステップS268において、信号処理制御部11は、再測距処理の結果に基いて検出した測距可能被写体についてのナンバリングを更新する処理を実行する。その後、ステップS269の処理に進む。また、上述のステップS267の処理にて測距可能被写体に変化が生じていない場合には、ステップS269の処理に進む。ここで、「測距」と書いているのは、必ずしも、被写体の距離が何メートルとか何十メートルとか距離を測るものである必要はなく、どの位置にピントをあわせば、最もピントが合うかなどレンズのピント合わせ情報などから換算できるものであってもよいことは言うまでもない。むしろ、距離を正確に測ることよりも、どの位置にピント合わせレンズを動かせば、どの被写体にピントが合うかという判定を行うことが重要である。
最後に、ステップS269において、信号処理制御部11は、表示制御部11dを介して表示部18を制御して、画面内表示を更新する処理を実行する。その後、本サブシーケンスを終了し、元の処理シーケンス(図10)に戻る。
以上説明したように上記第2の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、フォーカスガイドアイコン51Aの形態の工夫により、表示部18への表示を簡略化したので、フォーカスガイドモード時のライブビュー画像の煩雑化を抑止することができる。
なお、本実施形態においては、フォーカスガイドモード時の操作をフォーカスリング23aを用いて行なうようにしているが、これに限られることはなく、上述の第1の実施形態と同様に、タッチパネル18bへのタッチ&スライド操作等によるものとして構成してもよい。
なお、本発明は、上記各実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。ここでは、レンズ交換式のミラーレスカメラで説明したが、レンズ交換式である必要はなく、一眼レフ式のカメラであっても構わない。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
上述の各実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。
即ち、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、これらの動作フローを構成する各ステップは、発明の本質に影響しない部分については、適宜省略も可能であることは言うまでもない。
また、ここで説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御や機能は、多くがソフトウエアプログラムにより設定可能であり、そのプログラムをコンピュータが読み取り実行することで上述した制御や機能を実現することができる。そのプログラムは、コンピュータプログラム製品として、フレキシブルディスク,CD−ROM等,不揮発性メモリ等の可搬媒体や、ハードディスク,揮発性メモリ等の記憶媒体に、その全体あるいは一部を記録又は記憶することができ、製品出荷時又は可搬媒体或いは通信回線を介して流通又は提供が可能である。使用者(ユーザー)は、通信ネットワークを介してそのプログラムをダウンロードしてコンピュータにインストールしたり、あるいは記録媒体からコンピュータにインストールすることで、容易に本実施の形態の撮影機器を実現することができる。