JP2017090850A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子、重合体及び重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合体成分の溶解性が良好であって、かつ良好な安定性を示す液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体を含有する液晶配向剤。(式(1)中、R1は1価の有機基であり、R2は、同じ繰返し単位中のNR1及び隣接する繰返し単位中のNR1のそれぞれに対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基である。)【選択図】なし
Description
本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、重合体及び重合体の製造方法に関する。
従来、液晶素子としては、液晶の動作原理が異なる種々の方式が開発されており、例えばTN(Twisted Nematic)型やSTN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、IPS型(In-Plane Switching)、FFS(fringe field switching)型等の各種表示素子が知られている。これら液晶素子は、液晶分子を配向させるための液晶配向膜を有する。液晶配向膜の材料としては、耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などの各種特性が良好である点から、ポリアミック酸やポリイミドが一般に使用されている。液晶配向膜は、通常、重合体成分が溶剤に溶解又は分散された重合体組成物を基板に塗布し、好ましくは加熱することにより形成される(例えば、特許文献1参照)。
近年、液晶表示パネルの表示性能の要求はさらに厳しくなっている。特に、応答速度が速い液晶を用いたときに、表示パネルを長時間駆動させた場合にも安定して表示性能を維持できる性能、すなわち安定性が要求されている。しかしながら、従来のポリアミック酸やポリイミドでは、溶剤に対する溶解性と液晶素子の安定性とを両立させることが難しく、これを改善することが可能な新たな材料が求められている。
本発明は、重合体成分の溶解性が良好であって、かつ良好な安定性を示す液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討し、特定の繰返し単位を有する重合体を用いることにより上記課題を解決可能であることを見出した。具体的には、以下の手段が提供される。
<1>下記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体を含有する液晶配向剤。
(式(1)中、R1は1価の有機基であり、R2は、同じ繰返し単位中のNR1及び隣接する繰返し単位中のNR1に対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基である。)
<2>上記<1>に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<3>上記<2>に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
<4>下記式(1−1)で表される繰返し単位を有する重合体。
(式(1−1)中、R1及びR3は、それぞれ独立に1価の有機基であり、R4は、NR1及びNR3のそれぞれに対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基であり、R6は、NR3及び隣接する繰返し単位中のNR1のそれぞれに対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基である。)
<5>下記式(1−2)で表される繰返し単位を有する重合体。
(式(1−2)中、R41は、保護基、液晶配向性基、架橋性基又はアミン構造含有基であり、R42は、同じ繰返し単位中のNR41及び隣接する繰返し単位中のNR41に対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基である。)
<6>下記式(4)で表される化合物と、下記式(5)で表される化合物とを重合して、下記式(1−1)で表される繰返し単位を有する重合体を製造する、重合体の製造方法。
(式(4)中、R1及びR3は、それぞれ独立に1価の有機基であり、R4は、NR1及びNR3のそれぞれに対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基である。式(5)中、R6は、X1及びX2のそれぞれに対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基であり、X1及びX2は、それぞれ独立にハロゲン原子又は下記式(6)で表される基である。)
(式(6)中、R30は1価の有機基である。)
<7>下記式(30)で表される化合物と、下記式(31)で表される化合物とを重合して、下記式(1−2A)で表される繰返し単位を有する重合体を製造する、重合体の製造方法。
(式(30)中、R41aは、液晶配向性基、架橋性基又はアミン構造含有基である。式(31)中、R42は、X3及びX4のそれぞれに対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基であり、X3及びX4は、それぞれ独立にハロゲン原子又は上記式(6)で表される基である。)
<2>上記<1>に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<3>上記<2>に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
<4>下記式(1−1)で表される繰返し単位を有する重合体。
<5>下記式(1−2)で表される繰返し単位を有する重合体。
<6>下記式(4)で表される化合物と、下記式(5)で表される化合物とを重合して、下記式(1−1)で表される繰返し単位を有する重合体を製造する、重合体の製造方法。
<7>下記式(30)で表される化合物と、下記式(31)で表される化合物とを重合して、下記式(1−2A)で表される繰返し単位を有する重合体を製造する、重合体の製造方法。
上記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体を液晶配向剤の重合体成分に用いることにより、重合体成分の溶剤に対する溶解性と、液晶素子の安定性とを両立させることができる。また、当該液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜によれば、液晶素子の安定性を良好にすることができる。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
<上記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体>
本開示の液晶配向剤は、上記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体(以下、「重合体(PA)」ともいう。)を含有する。なお、本明細書において「繰返し単位」は単量体単位を意味する概念である。したがって、1種の単量体を用いた連鎖重合の場合には、単量体と繰返し単位とが一致し、得られる重合体の化学式は繰返し単位の整数倍で表される。一方、逐次重合の場合には単量体と繰返し単位とが一致せず、例えば単量体Aと単量体Bとを用いた逐次重合により得られる重合体の繰返し単位は「−A−B−」で表される。「有機基」は、炭化水素基を含む基を意味し、構造中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
<上記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体>
本開示の液晶配向剤は、上記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体(以下、「重合体(PA)」ともいう。)を含有する。なお、本明細書において「繰返し単位」は単量体単位を意味する概念である。したがって、1種の単量体を用いた連鎖重合の場合には、単量体と繰返し単位とが一致し、得られる重合体の化学式は繰返し単位の整数倍で表される。一方、逐次重合の場合には単量体と繰返し単位とが一致せず、例えば単量体Aと単量体Bとを用いた逐次重合により得られる重合体の繰返し単位は「−A−B−」で表される。「有機基」は、炭化水素基を含む基を意味し、構造中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
上記式(1)において、R1の1価の有機基は、保護基、液晶配向性基、架橋性基又はアミン構造含有基であることが好ましい。R1の保護基としては、アミノ酸の保護基を一般に用いることができる。好ましくは、熱(例えば50〜300℃の熱)により脱離する基である。R1が保護基である場合の具体例としては、例えばカルバメート系保護基、アミド系保護基、イミド系保護基、スルホンアミド系保護基等が挙げられる。中でも、下記式(7)で表される基が好ましい。
(式(7)中、R7は1価の炭化水素基である。「*」は窒素原子に結合する結合手であることを示す。)
上記式(7)のR7としては、1価の鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。なお、本明細書において「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む概念である。
上記式(7)で表される基の好ましい具体例としては、下記式(7−1)〜式(7−3)のそれぞれで表される基が挙げられる。熱による脱離性が高い点や、脱保護した部分の膜中の残存量を少なくできる点で、下記式(7−1)で表される基が特に好ましい。
(式(7−1)〜式(7−3)中、「*」は窒素原子に結合する結合手であることを示す。)
液晶配向性基は、放射線照射によらずに塗膜にプレチルト角特性を付与可能な基及び光配向性基を含む。これらの具体例としては、例えば下記式(8)〜式(11)のそれぞれで表される基等が挙げられる。
(式(8)〜式(11)中、a及びbは、それぞれ独立に4〜20の整数であり、Y1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合又はアミド結合であり、Y2は、単結合又はアルカンジイル基であり、R8及びR10は、それぞれ独立に1価の有機基であり、R9及びR11は、それぞれ独立に単結合又は2価の連結基である。「*」は窒素原子に結合する結合手であることを示す。)
R8及びR10の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜40のアルキル基、フルオロアルキル基等が挙げられる。R9及びR11の2価の連結基としては、例えば酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、炭素数1〜20のアルカンジイル基等が挙げられる。
架橋性基は、光又は熱によって同一又は異なる分子間に共有結合を形成可能な基であることが好ましく、具体例としては、例えば下記式(12)〜式(15)のそれぞれで表される基等が挙げられる。なお、下記の式中において、R12〜R15の2価の有機基としては、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、当該2価の炭化水素基の炭素−炭素結合間に−O−、−CO−、−COO−等を有する基などが挙げられる。
(式(12)〜式(15)中、R12〜R14は、それぞれ独立に単結合又は2価の有機基であり、R15は2価の有機基である。「*」は窒素原子に結合する結合手であることを示す。)
アミン構造含有基としては、窒素含有複素環を有する基、2級アミン構造を有する基、保護されたアミノ基を有する基などが挙げられ、具体的には、例えば下記式(16)〜式(19)のそれぞれで表される基等を挙げることができる。下記の式中において、R16〜R18及びR20の2価の有機基の例示については、上記式(12)〜式(15)中のR12〜R15の説明が適用される。
(式(16)〜式(19)中、R16〜R18及びR20は、それぞれ独立に単結合又は2価の有機基であり、R19は窒素原子又はメチン基である。「*」は窒素原子に結合する結合手であることを示す。)
式(1)中のR2は、同じ繰返し単位中のNR1及び隣接する繰返し単位中のNR1に対してカルボニル基とは異なる基で結合する2価の有機基であれば特に限定されないが、同じ繰返し単位中のNR1及び隣接する繰返し単位中のNR1のそれぞれに対して、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族基で結合する2価の有機基であることが好ましい。ここで、芳香族基は、置換又は無置換の芳香環の環部分から、芳香族基の価数に応じた数の水素原子を取り除いた基を意味する。当該芳香環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、イミダゾール環等が挙げられる。置換基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、液晶配向性基、架橋性基、アミン構造含有基等が挙げられる。なお、R2は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族基のいずれかによって構成されていてもよいし、これらの複数の基が結合することによって構成されていてもよい。また、同じ繰返し単位中のNR1と、隣接する繰返し単位中のNR1とが共に芳香族基に結合している場合、同一の環に結合していてもよく、異なる環に結合していてもよい。
重合体(PA)の好ましい具体例としては、上記式(1)で表される繰返し単位が、上記式(1−1)で表される繰返し単位である重合体、上記式(1−2)で表される繰返し単位である重合体が挙げられる。なお、上記式(1−1)のR1及びR3、並びに上記式(1−2)のR41の説明及び好ましい具体例については、上記式(1)の説明が適用される。R4、R6及びR42は、NR1、NR3及びNR41のそれぞれに対してカルボニル基とは異なる基で結合していれば特に限定されないが、「カルボニル基とは異なる基」が、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族基であることが好ましい。
重合体(PA)の合成方法は特に限定されず、重合体(PA)の繰返し単位中のR1,R2に応じて適宜選択することができる。例えば、上記式(1−1)で表される繰返し単位を有する重合体は、上記スキーム0−1のように重合することにより得ることができる。また、上記式(1−2)で表される繰返し単位を有する重合体のうち、R41が液晶配向性基、架橋性基又はアミン構造含有基である重合体は、上記スキーム0−2又は下記スキーム0−3のように重合することにより得ることができ、R41が保護基である重合体は、上記スキーム0−1において、上記式(4)のR1が保護基である化合物を用いた重合により得ることができる。
(スキーム0−3中、R41a、R42及びX3は、上記スキーム0−2中のR41a、R42及びX3と同義である。)
上記スキーム0−1において、上記式(4)中のR4は、ジアミン化合物から2つの1級アミノ基を取り除いた残基が挙げられる。当該ジアミン化合物としては特に限定されないが、例えばm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、o−トリジン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)−2−プロペン酸、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、ドデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサン、下記式(E−1)
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、RIは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などを挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミン化合物を用いることができる。
で表される化合物などを挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミン化合物を用いることができる。
上記式(5)中のR6は、下記式(2)で表される基又は下記式(3)で表される基であることが好ましい。
(式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立にメチレン基又はシクロへキシレン基であり、R5は単結合又は2価の有機基である。rは0又は1である。「*」は結合手であることを示す。)
(式(3)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に置換又は無置換の2価の芳香族基であり、R23は、単結合又は2価の連結基である。tは0〜3の整数である。「*」は結合手であることを示す。)
上記式(2)において、R5の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜18の2価の炭化水素基、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間にヘテロ原子含有基(例えば、−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−NH−等)を含む基などが挙げられる。R5は、好ましくは単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素基であり、より好ましくは、単結合又は炭素数1〜10の鎖状炭化水素基である。R21及びR22はメチレン基が好ましい。rは1が好ましい。
上記式(3)において、Ar1及びAr2の芳香族基については、上記式(1)中のR2で説明した芳香族基の説明が適用される。tは、好ましくは0又は1である。R23の2価の連結基については、R9及びR11の説明が適用される。
X1及びX2のハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。上記式(6)中のR30は、好ましくはトリフルオロメチル基である。
上記式(5)で表される化合物の具体例としては、例えば下記の化合物等が挙げられる。
(式(5−1)〜式(5−8)中、n、m及びkは、それぞれ独立に1〜12の整数であり、R23は単結合又は2価の連結基であり、R24及びR25は、それぞれ独立に置換基であり、a1及びa2は、それぞれ独立に0〜4の整数である。X1、X2は上記式(5)と同義である。)
上記式(3)において、Ar1及びAr2の芳香族基については、上記式(1)中のR2で説明した芳香族基の説明が適用される。tは、好ましくは0又は1である。R23の2価の連結基については、R9及びR11の説明が適用される。
X1及びX2のハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。上記式(6)中のR30は、好ましくはトリフルオロメチル基である。
上記式(5)で表される化合物の具体例としては、例えば下記の化合物等が挙げられる。
上記式(5−1)〜式(5−8)において、nは、好ましくは2〜8である。m、kは、好ましくは1〜4である。R24及びR25の置換基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、液晶配向性基、架橋性基、アミン構造含有基などが挙げられる。a1及びa2は、0又は1が好ましい。上記式(5)で表される化合物は、中でも、上記式(5−1)、式(5−5)、式(5−6)のそれぞれで表される化合物が特に好ましい。
上記スキーム0−2及びスキーム0−3において、R41aの液晶配向性基、架橋性基及びアミン構造含有基については、上記式(1)中のR1の液晶配向性基、架橋性基及びアミン構造含有基の具体例及び好ましい例の説明が適用される。R42は、上記式(3)で表される基が好ましい。上記式(31)で表される化合物の具体例としては、例えば上記式(5−7)及び式(5−8)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。また、上記式(30)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(30−1)〜式(30−4)のそれぞれで表される化合物等が挙げられ、上記式(32)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(32−1)〜式(32−3)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
(式(30−1)〜式(30−4)及び式(32−1)〜式(32−3)中、bは4〜20の整数であり、Y1及びY3は、それぞれ独立に単結合又は2価の連結基であり、Y2は、単結合又はアルカンジイル基であり、Y4は単結合又は2価の有機基であり、R12及びR16は、それぞれ独立に単結合又は2価の有機基であり、R26は置換基である。h1は0〜4の整数である。)
上記スキーム0−1〜スキーム0−3の反応は、好ましくは塩基の存在下、有機溶媒中において行われる。単量体の使用割合は、各スキームに応じて適宜選択することができる。例えば、上記スキーム0−1において、上記式(4)で表される化合物と、上記式(5)で表される化合物との使用割合は、上記式(4)で表される化合物の基NHR(RはR1又はR3)1当量に対して、上記式(5)で表される化合物の基X(Xはハロゲン原子又は上記式(6)で表される基)が、0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.8〜1.2当量となる割合がより好ましい。上記スキーム0−2の場合、上記式(30)で表される化合物と、上記式(31)で表される化合物との使用割合は、上記式(30)で表される化合物の1級アミノ基1当量に対して、上記式(31)で表される化合物の基X(Xはハロゲン原子又は上記式(6)で表される基)が、0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.8〜1.2当量となる割合がより好ましい。また、反応に際しては、必要に応じてパラジウム等の触媒や配位子を用いてもよい。
上記反応に使用する塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン等の3級アミン;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、t−ブチルリチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属類などが挙げられる。塩基の使用割合は、上記スキーム0−1の場合には上記式(4)で表される化合物1モル、上記スキーム0−2の場合には上記式(30)で表される化合物1モル、上記スキーム0−3の場合には上記式(32)で表される化合物1モルに対して、0.2〜4モルとすることが好ましく、2〜3モルとすることがより好ましい。
上記反応に使用する触媒としては、例えばパラジウムジベンジリデンアセトン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジウム類が挙げられる。配位子としては、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジ−t−ブチルビフェニルホスフィン等のリン類を好ましく使用することができる。触媒及び配位子のそれぞれの使用割合は、上記スキーム0−1の場合には上記式(4)で表される化合物1モル、上記スキーム0−2の場合には上記式(30)で表される化合物1モル、上記スキーム0−3の場合には上記式(32)で表される化合物1モルに対して、触媒については0.001〜0.5モル、配位子については0.01〜1モルとすることが好ましい。
上記反応に使用する触媒としては、例えばパラジウムジベンジリデンアセトン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジウム類が挙げられる。配位子としては、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジ−t−ブチルビフェニルホスフィン等のリン類を好ましく使用することができる。触媒及び配位子のそれぞれの使用割合は、上記スキーム0−1の場合には上記式(4)で表される化合物1モル、上記スキーム0−2の場合には上記式(30)で表される化合物1モル、上記スキーム0−3の場合には上記式(32)で表される化合物1モルに対して、触媒については0.001〜0.5モル、配位子については0.01〜1モルとすることが好ましい。
上記反応における反応温度は、好ましくは−100℃〜200℃、より好ましくは−80〜100℃である。反応時間は、好ましくは0.01〜48時間、より好ましくは0.1〜36時間である。反応に使用する有機溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンなどを好ましく使用することができる。有機溶媒の使用量は、使用する単量体の合計量100質量部に対して、400〜900質量部とすることが好ましく、500〜700質量部とすることがより好ましい。
以上のようにして、重合体(PA)を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれる重合体(PA)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
以上のようにして、重合体(PA)を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれる重合体(PA)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
重合体(PA)の溶液粘度は、これを濃度10質量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、重合体(PA)の溶液粘度(mPa・s)は、重合体(PA)の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体(PA)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
液晶配向剤中の重合体(PA)の配合割合は、液晶素子の安定性や配向性、残像低減効果をバランス良く発現させる観点で、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。
重合体(PA)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
液晶配向剤中の重合体(PA)の配合割合は、液晶素子の安定性や配向性、残像低減効果をバランス良く発現させる観点で、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。
なお、重合体(PA)を含む液晶配向剤は、残像の発生が少ない液晶素子を得ることができる点でも優れている。これは、重合体(PA)を含む液晶配向剤を用いた場合、主鎖中の−NH−に導入した保護基が、例えば製膜時の加熱等によって脱離することで、製膜後には配向性の高い構造が再生されることによるものと推測される。
<その他の成分>
本開示の液晶配向剤は、重合体(PA)以外のその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、上記式(1)で表される繰返し単位を有さない重合体(以下「その他の重合体」ともいう。)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」ともいう。)などが挙げられる。
本開示の液晶配向剤は、重合体(PA)以外のその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、上記式(1)で表される繰返し単位を有さない重合体(以下「その他の重合体」ともいう。)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」ともいう。)などが挙げられる。
上記その他の重合体は、液晶素子に要求される各種特性を改善するために使用することができる。その他の重合体としては、例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、又はポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他の重合体としては、これらの中でも、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体を好ましく使用することができる。なお、その他の重合体は、公知の方法に従って合成して得たものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
その他の重合体が、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である場合、液晶配向剤中におけるその他の重合体の含有割合は、安定性がより高く、かつ残像がより少ない液晶素子を得る観点から、液晶配向剤中に含まれる重合体成分の合計100質量部に対して、好ましくは95質量部以下、より好ましくは5〜90質量部、さらに好ましくは20〜90質量部である。
その他の重合体が、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である場合、液晶配向剤中におけるその他の重合体の含有割合は、安定性がより高く、かつ残像がより少ない液晶素子を得る観点から、液晶配向剤中に含まれる重合体成分の合計100質量部に対して、好ましくは95質量部以下、より好ましくは5〜90質量部、さらに好ましくは20〜90質量部である。
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性や電気特性を向上させるために使用することができる。このようなエポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル[4,4’−メチレンビスアニリン]、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を好ましいものとして挙げることができる。その他、エポキシ基含有化合物の例としては、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを用いることができる。エポキシ基含有化合物を液晶配向剤に配合する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100質量部に対して、40質量部以下とすることが好ましく、0.1〜30質量部とすることがより好ましい。
なお、その他の成分としては、上記のほか、官能性シラン化合物、分子内に少なくとも一つのオキセタニル基を有する化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤などを挙げることができる。これらの配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
<溶剤>
本開示の液晶配向剤は、重合体(PA)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本開示の液晶配向剤は、重合体(PA)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10質量%の範囲である。すなわち、液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
<液晶素子>
本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
[工程1:塗膜の形成]
先ず基板上に液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
先ず基板上に液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmである。基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、液晶配向膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。
[工程2:配向処理]
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることによって塗膜に液晶配向能を付与するラビング処理、基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理などが挙げられる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることによって塗膜に液晶配向能を付与するラビング処理、基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理などが挙げられる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
[工程3:液晶セルの構築]
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。具体的には、(1)それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化する方法(ODF方式)、などが挙げられる。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが挙げられる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。具体的には、(1)それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化する方法(ODF方式)、などが挙げられる。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが挙げられる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより液晶素子が得られる。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。
本開示の液晶素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光フィルム等に用いることができる。ままた、本開示の液晶配向剤を用いて形成された液晶素子は位相差フィルムに適用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例において、重合体の重量平均分子量Mw及び重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。なお、以下では、式Xで表される化合物を単に「化合物X」と記すことがある。
[重合体の重量平均分子量Mw]:以下の条件におけるGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:N,N−ジメチルホルムアミド(臭化リチウム30mM、リン酸5.6mLを含む。)
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)]:E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[重合体の重量平均分子量Mw]:以下の条件におけるGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:N,N−ジメチルホルムアミド(臭化リチウム30mM、リン酸5.6mLを含む。)
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)]:E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
1Lのナスフラスコに、化合物(4−2−1A)28.6g、アセトニトリル300mL、二炭酸−t−ブチル(Boc2O)45.8g、及びトリエチルアミン1.01gを加え、室温で6時間反応させた。反応終了後、反応液を100mLまで濃縮した後、1Lの水に再沈殿させて生じた沈殿をろ過により回収、乾燥することで化合物(4−2−1)を43.8g得た。
1Lのナスフラスコに化合物(4−2−2A)25.4g、アセトニトリル300mL、二炭酸−t−ブチル(Boc2O)48.0g、及びN,N−ジメチルアミノピリジン1.22gを加え、室温で6時間反応させた。反応終了後、反応液を100mLまで濃縮した後、1Lの水に再沈殿させて生じた沈殿をろ過により回収、乾燥することで化合物(4−2−2)を40.9g得た。
1Lのナスフラスコに、化合物(4−2−3A)37.6g、アセトニトリル400mL、二炭酸−t−ブチル(Boc2O)45.8g、及びトリエチルアミン1.01gを加え、室温で6時間反応させた。反応終了後、反応液を100mLまで濃縮した後、1Lの水に再沈殿させて生じた沈殿をろ過により回収、乾燥することで化合物(4−2−3)を45.8g得た。
温度計を備えた300mLの三口フラスコにプロパギルブロミド11.9g、N,N−ジメチルホルムアミド100mL、炭酸カリウム27.6g、鉄アセチルアセトナート錯体3.53g、及び銅アセチルアセトナート錯体0.026gを加えて、空気下で50℃で一昼夜反応させた。反応終了後、酢酸エチル200mLを加えて、水で3回洗浄した後、有機層を50mLまで濃縮した。次に、シリカカラムで精製(展開溶剤:ヘキサン:酢酸エチル=9:1(v/v))し、濃縮、乾固することでオイル状の化合物(5−6−1)を5.9g得た。
[合成例5]
酸二無水物としてシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(A1)22.4g(100モル部)、ジアミン化合物として下記式(D1)で表される化合物13.4g(50モル部)及び3,5−ジアミノ安息香酸7.61g(50モル部)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)246g(モノマー濃度を15質量%に調整)に溶解し、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸を15質量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は132mPa・sであった。ここで得られたポリアミック酸を重合体(PAA−1)とした。
酸二無水物としてシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(A1)22.4g(100モル部)、ジアミン化合物として下記式(D1)で表される化合物13.4g(50モル部)及び3,5−ジアミノ安息香酸7.61g(50モル部)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)246g(モノマー濃度を15質量%に調整)に溶解し、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸を15質量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は132mPa・sであった。ここで得られたポリアミック酸を重合体(PAA−1)とした。
[比較合成例1〜3]
下記表1に示すモノマー組成で、合成例5と同様の方法で重合を行った。
下記表1に示すモノマー組成で、合成例5と同様の方法で重合を行った。
表1中、酸二無水物の数値は、重合に使用した酸二無水物の全量100モル部に対する各化合物の使用割合(モル部)を示し、ジアミン化合物の数値は、重合に使用したジアミン化合物の全量100モル部に対する各化合物の使用割合(モル部)を示す。「−」は、対応する化合物を使用しなかったことを示す(以下同じ)。化合物の略称は以下の通りである。
A1:シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
D2:3,5−ジアミノ安息香酸
なお、(D1)、(4−2−1A)、(4−2−2A)、(4−2−3A)は、対応する番号で表されるジアミン化合物を使用したことを示す。
A1:シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
D2:3,5−ジアミノ安息香酸
なお、(D1)、(4−2−1A)、(4−2−2A)、(4−2−3A)は、対応する番号で表されるジアミン化合物を使用したことを示す。
温度計及び窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに、化合物(4−2−1)を4.86g(100モル部)、及び60%水素化ナトリウム0.4g(100モル部)を仕込み、系内窒素で置換し、テトラヒドロフランを63.2g(モノマー総質量の9倍質量)を仕込み5℃以下に氷冷した。続いて、1,4−ジブロモブタン2.16gを加え、室温に戻して一昼夜反応させた。反応終了後、シクロペンタノン702gを加えて、水351mLで3回分液洗浄を行った後、有機層を35.1gまで濃縮し、351gのメタノールに注いで生じた沈殿をろ過にて回収し、真空乾燥することで重合体(PA−1)を4.3g得た。Mwは21,000であった。
[実施例2、3]
下記表2に示すモノマー組成で、実施例1と同様の方法で重合を行った。
[比較例1]
保護アミンに替えて、熱分解性の保護基を有さない化合物(4−2−1A)を出発原料とした以外は実施例1と同様の方法で重合を行ったところ、不溶性の重合体が得られた。
[実施例2、3]
下記表2に示すモノマー組成で、実施例1と同様の方法で重合を行った。
[比較例1]
保護アミンに替えて、熱分解性の保護基を有さない化合物(4−2−1A)を出発原料とした以外は実施例1と同様の方法で重合を行ったところ、不溶性の重合体が得られた。
表2中、化合物(4)及びジアミン化合物の数値は、重合に使用した化合物(4)とジアミン化合物との全量100モル部に対する各化合物の使用割合(モル部)を示す。化合物(5)の数値は、重合に使用し化合物(5)の全量100モル部に対する各化合物の使用割合(モル部)を示す。(4−2−1)、(4−2−2)、(4−2−3)、(4−2−1A)は、対応する番号で表される化合物を使用したことを示す。
[実施例4]
(1)液晶配向剤の調製
重合体(PA)として上記実施例1で得た重合体(PA−1)に、溶剤としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、さらにエポキシ添加剤としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル[4,4’−メチレンビスアニリン](下記式(E−1)で表される化合物)を重合体成分の全量100質量部に対して5質量部加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度6.0質量%の溶液とした。なお、目視にて観察したところ、重合体(PA−1)は溶剤に完全に溶解していた。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤(S1)を調製した。
(1)液晶配向剤の調製
重合体(PA)として上記実施例1で得た重合体(PA−1)に、溶剤としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、さらにエポキシ添加剤としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル[4,4’−メチレンビスアニリン](下記式(E−1)で表される化合物)を重合体成分の全量100質量部に対して5質量部加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度6.0質量%の溶液とした。なお、目視にて観察したところ、重合体(PA−1)は溶剤に完全に溶解していた。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤(S1)を調製した。
(2)ラビング配向用液晶表示素子の製造
片面に櫛歯状に設けられたクロム電極を有する厚さ1mmのガラス基板上に、上記で調製した液晶配向剤(S1)をスピンナーにより塗布した。次いで、80℃のホットプレート上で1分間のプレベークを行った後、230℃のホットプレート上で10分間ポストベークして、膜厚約0.08μmの塗膜を形成した。形成された塗膜面に対し、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロールの回転数1,000rpm、ステージの移動速度25mm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmにてラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。さらにこの基板を超純水中で1分間超音波洗浄し、100℃クリーンオーブンで10分間乾燥して、櫛歯状のクロム電極を有する面上に液晶配向膜を有する基板を製造した。この液晶配向膜を有する基板を「基板A」とした。
これとは別に、電極を有さない厚さ1mmのガラス基板の一面に、上記と同様にして液晶配向剤(S1)の塗膜を形成し、ラビング処理を行い、洗浄、乾燥して、片面上に液晶配向膜を有する基板を製造した。この液晶配向膜を有する基板を「基板B」とした。
続いて、基板Aの液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、各液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となるように、間隙を介して2枚の基板A,Bを対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−2042)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することによりIPS型液晶セルを製造した。
片面に櫛歯状に設けられたクロム電極を有する厚さ1mmのガラス基板上に、上記で調製した液晶配向剤(S1)をスピンナーにより塗布した。次いで、80℃のホットプレート上で1分間のプレベークを行った後、230℃のホットプレート上で10分間ポストベークして、膜厚約0.08μmの塗膜を形成した。形成された塗膜面に対し、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロールの回転数1,000rpm、ステージの移動速度25mm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmにてラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。さらにこの基板を超純水中で1分間超音波洗浄し、100℃クリーンオーブンで10分間乾燥して、櫛歯状のクロム電極を有する面上に液晶配向膜を有する基板を製造した。この液晶配向膜を有する基板を「基板A」とした。
これとは別に、電極を有さない厚さ1mmのガラス基板の一面に、上記と同様にして液晶配向剤(S1)の塗膜を形成し、ラビング処理を行い、洗浄、乾燥して、片面上に液晶配向膜を有する基板を製造した。この液晶配向膜を有する基板を「基板B」とした。
続いて、基板Aの液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、各液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となるように、間隙を介して2枚の基板A,Bを対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−2042)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することによりIPS型液晶セルを製造した。
(3)安定性の評価
上記(2)で製造した液晶セルを用いて安定性を評価した。評価は以下のようにして行った。まず、上記の液晶セルに、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR1)を測定した。次いで、液晶セルを、80℃オーブン中で200時間静置した後、室温中に静置して室温まで自然冷却した。冷却後、液晶セルに5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR2)を測定した。なお、測定装置は(株)東陽テクニカ製「VHR−1」を使用した。このときのVHRの変化率(ΔVHR)を下記数式(2)により算出し、ΔVHRによって液晶セルの安定性を評価した。評価は、ΔVHRが1%未満であった場合を安定性「良好」、1%以上2%未満であった場合を「可」、2%以上であった場合を「不良」と判定した。その結果、実施例4では安定性「可」であった。
ΔVHR[%]=(VHR1−VHR2)/(VHR1)×100 …(2)
上記(2)で製造した液晶セルを用いて安定性を評価した。評価は以下のようにして行った。まず、上記の液晶セルに、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR1)を測定した。次いで、液晶セルを、80℃オーブン中で200時間静置した後、室温中に静置して室温まで自然冷却した。冷却後、液晶セルに5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR2)を測定した。なお、測定装置は(株)東陽テクニカ製「VHR−1」を使用した。このときのVHRの変化率(ΔVHR)を下記数式(2)により算出し、ΔVHRによって液晶セルの安定性を評価した。評価は、ΔVHRが1%未満であった場合を安定性「良好」、1%以上2%未満であった場合を「可」、2%以上であった場合を「不良」と判定した。その結果、実施例4では安定性「可」であった。
ΔVHR[%]=(VHR1−VHR2)/(VHR1)×100 …(2)
(4)液晶配向性の評価
上記(2)で製造した液晶セルにつき、電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を液晶配向性「良好」、異常ドメインがひとつでもある場合を液晶配向性「不良」と判定した。その結果、この実施例の液晶セルの液晶配向性は「良好」であった。
(5)残像特性(焼き付き特性)
基板として、櫛歯状にパターニングされたクロムからなる2系統の金属電極(電極a及び電極b)を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とを一対として用いた以外は上記(2)と同様にしてIPS型液晶セルを製造した。次いで、液晶セルの基板の外側両面に偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子を製造した。このIPS型液晶表示素子を25℃、1気圧の環境下に置き、電極bには電圧をかけずに、電極aには交流電圧3.5Vと直流電圧5Vの合成電圧を2時間印加した。その直後、電極a及び電極bの双方に交流4Vの電圧を印加した。両電極に交流4Vの電圧を印加し始めた時点から、電極a及び電極bの光透過性の差が目視で確認できなくなるまでの時間を測定した。この時間が100秒未満であった時の残像特性を「良好」、100秒以上150秒未満であった時の残像特性を「可」、そして150秒を超えた場合の残像特性を「不良」として評価した。その結果、実施例4の液晶セルでは残像特性「良好」の結果であった。
上記(2)で製造した液晶セルにつき、電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を液晶配向性「良好」、異常ドメインがひとつでもある場合を液晶配向性「不良」と判定した。その結果、この実施例の液晶セルの液晶配向性は「良好」であった。
(5)残像特性(焼き付き特性)
基板として、櫛歯状にパターニングされたクロムからなる2系統の金属電極(電極a及び電極b)を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とを一対として用いた以外は上記(2)と同様にしてIPS型液晶セルを製造した。次いで、液晶セルの基板の外側両面に偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子を製造した。このIPS型液晶表示素子を25℃、1気圧の環境下に置き、電極bには電圧をかけずに、電極aには交流電圧3.5Vと直流電圧5Vの合成電圧を2時間印加した。その直後、電極a及び電極bの双方に交流4Vの電圧を印加した。両電極に交流4Vの電圧を印加し始めた時点から、電極a及び電極bの光透過性の差が目視で確認できなくなるまでの時間を測定した。この時間が100秒未満であった時の残像特性を「良好」、100秒以上150秒未満であった時の残像特性を「可」、そして150秒を超えた場合の残像特性を「不良」として評価した。その結果、実施例4の液晶セルでは残像特性「良好」の結果であった。
[実施例5、比較例2,3]
使用する重合体の種類を下記表3に示す通り変更した以外は上記実施例4と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例4と同様にして各種評価を行った。その結果を下記表3に示した。
使用する重合体の種類を下記表3に示す通り変更した以外は上記実施例4と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例4と同様にして各種評価を行った。その結果を下記表3に示した。
表3中の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体の全量100質量部に対する各化合物の使用割合(質量部)を示す。(PA−1)、(PAA−1)、(RPAA−1)、(E−1)は、対応する番号の化合物を使用したことを示す。
[実施例6]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として上記実施例2で得た重合体(PA−2)に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度5.0質量%の溶液とした。なお、目視にて観察したところ、重合体(PA−2)は溶剤に完全に溶解していた。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)光配向用液晶表示素子の製造
上記で調製した液晶配向剤を、櫛歯状にパターニングされたクロムからなる2系統の金属電極(電極a及び電極b)を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板の面上に膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分、200℃のクリーンオーブンで1時間乾燥して塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線10,000J/m2を基板法線方向から照射し、液晶配向膜を形成した。次に、上記光照射処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−7028)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に偏光板を貼り合わせて横電界方式液晶表示素子を作製した。
(1)液晶配向剤の調製
重合体として上記実施例2で得た重合体(PA−2)に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度5.0質量%の溶液とした。なお、目視にて観察したところ、重合体(PA−2)は溶剤に完全に溶解していた。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)光配向用液晶表示素子の製造
上記で調製した液晶配向剤を、櫛歯状にパターニングされたクロムからなる2系統の金属電極(電極a及び電極b)を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板の面上に膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分、200℃のクリーンオーブンで1時間乾燥して塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線10,000J/m2を基板法線方向から照射し、液晶配向膜を形成した。次に、上記光照射処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−7028)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に偏光板を貼り合わせて横電界方式液晶表示素子を作製した。
(3)安定性の評価
上記(2)で製造した液晶表示素子を用いて、上記実施例4と同様の方法により安定性を評価した。その結果、実施例6では安定性「可」であった。
(4)液晶配向性の評価
上記(2)で製造した液晶表示素子につき、上記実施例4と同様の方法により液晶配向性を評価した。その結果、この実施例の液晶セルの液晶配向性は「良好」であった。
(5)残像特性の評価
上記(2)で製造した液晶表示素子を用いて、上記実施例4と同様の方法により残像特性を評価した。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
上記(2)で製造した液晶表示素子を用いて、上記実施例4と同様の方法により安定性を評価した。その結果、実施例6では安定性「可」であった。
(4)液晶配向性の評価
上記(2)で製造した液晶表示素子につき、上記実施例4と同様の方法により液晶配向性を評価した。その結果、この実施例の液晶セルの液晶配向性は「良好」であった。
(5)残像特性の評価
上記(2)で製造した液晶表示素子を用いて、上記実施例4と同様の方法により残像特性を評価した。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
[実施例7、比較例4,5]
使用する重合体の種類を下記表4に示す通り変更した以外は上記実施例6と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例6と同様にして液晶表示素子を製造するとともに、得られた液晶表示素子を用いて各種評価を行った。その結果を下記表4に示した。
使用する重合体の種類を下記表4に示す通り変更した以外は上記実施例6と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例6と同様にして液晶表示素子を製造するとともに、得られた液晶表示素子を用いて各種評価を行った。その結果を下記表4に示した。
表4中の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体の全量100質量部に対する各化合物の使用割合(質量部)を示す。(PA−2)、(PAA−1)、(RPAA−2)は、対応する番号の重合体を使用したことを示す。
上記実施例4〜7の結果から、上記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体(PA)は、液晶配向剤の溶剤に対する溶解性が良好であり、得られる液晶素子において良好な安定性及び配向性を示すとともに、残像も少ないことが明らかとなった。
上記実施例4〜7の結果から、上記式(1)で表される繰返し単位を有する重合体(PA)は、液晶配向剤の溶剤に対する溶解性が良好であり、得られる液晶素子において良好な安定性及び配向性を示すとともに、残像も少ないことが明らかとなった。
[実施例8]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として上記実施例3で得た重合体(PA−3)に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度5.0質量%の溶液とした。なお、目視にて観察したところ、重合体(PA−3)は溶剤に完全に溶解していた。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)垂直配向性評価用の液晶表示素子の製造
厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、ホットプレートで80℃、1分間、プレベークを行い、200℃で60分間加熱することにより、膜厚0.08μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間、超音波洗浄を行い、次いで200℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、ラビング処理を施した液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次いで上記一対の基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面がアンチパラレルとなるように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止して液晶セルとし、さらにこの液晶セルの外側両面に偏光板を貼り合わせることにより、垂直配向性評価用の液晶表示素子を製造した。
(3)垂直配向性の評価
上記(2)で製造した垂直配向性評価用の液晶表示素子について、結晶回転角法によってプレチルト角を測定した。評価は、プレチルト角が87°以上の場合を垂直配向性「良好」、87°未満の場合を垂直配向性「不良」として行った。その結果、この実施例8では配向性「良好」であった。なお、垂直配向性評価用の液晶表示素子を製造する際において、基板上に形成した塗膜に対してラビング処理を行ったが、このラビング処理は、液晶配向膜の垂直配向規制力を減殺する効果があることが知られている。したがって、ラビング処理を施したにもかかわらず87°以上のプレチルト角を示す場合には、その液晶配向膜は、液晶分子の垂直配向性が極めて優れていると言える。また、かかる結果を与える液晶配向剤は、ODF方式による垂直配向型の液晶表示素子の製造に用いた場合にも、表示ムラ(ODFムラ)が殆ど発生しないことが経験的に明らかになっている。
(1)液晶配向剤の調製
重合体として上記実施例3で得た重合体(PA−3)に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度5.0質量%の溶液とした。なお、目視にて観察したところ、重合体(PA−3)は溶剤に完全に溶解していた。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)垂直配向性評価用の液晶表示素子の製造
厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、ホットプレートで80℃、1分間、プレベークを行い、200℃で60分間加熱することにより、膜厚0.08μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間、超音波洗浄を行い、次いで200℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、ラビング処理を施した液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次いで上記一対の基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面がアンチパラレルとなるように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止して液晶セルとし、さらにこの液晶セルの外側両面に偏光板を貼り合わせることにより、垂直配向性評価用の液晶表示素子を製造した。
(3)垂直配向性の評価
上記(2)で製造した垂直配向性評価用の液晶表示素子について、結晶回転角法によってプレチルト角を測定した。評価は、プレチルト角が87°以上の場合を垂直配向性「良好」、87°未満の場合を垂直配向性「不良」として行った。その結果、この実施例8では配向性「良好」であった。なお、垂直配向性評価用の液晶表示素子を製造する際において、基板上に形成した塗膜に対してラビング処理を行ったが、このラビング処理は、液晶配向膜の垂直配向規制力を減殺する効果があることが知られている。したがって、ラビング処理を施したにもかかわらず87°以上のプレチルト角を示す場合には、その液晶配向膜は、液晶分子の垂直配向性が極めて優れていると言える。また、かかる結果を与える液晶配向剤は、ODF方式による垂直配向型の液晶表示素子の製造に用いた場合にも、表示ムラ(ODFムラ)が殆ど発生しないことが経験的に明らかになっている。
(4)電圧保持率評価用の液晶表示素子の製造
形成された塗膜に対してラビング処理並びにこれに引き続く洗浄及び乾燥処理を施さなかった以外は、垂直配向性評価用の液晶表示素子を製造する場合と同様の方法により、電圧保持率評価用の液晶表示素子を製造した。
(5)電圧保持率の評価
上記(4)で製造した電圧保持率評価用の液晶表示素子に対し、60℃において1Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167マイクロ秒のスパンで印加した後、電圧印加の解除から167ミリ秒後の電圧保持率VHR[%]を測定した。測定は、東陽テクニカ製VHR−1を用いて行った。この実施例8では、VHR=98%であった。
(6)耐光性の評価
上記(4)で製造した液晶表示素子に、上記(5)の電圧保持率の評価と同様の条件で初期の電圧保持率を測定した。その後、100ワット型白色蛍光灯下5cmの距離に配置し、500時間光を照射してから再度上記(5)と同条件で電圧保持率を測定した。初期値と比較した電圧保持率の低下率が1%以下であった場合を耐光性「良好」、1%を超えて2%以下であった場合を「可」、2%を超えた場合を耐光性「不良」とした。この実施例8では、耐光性「良好」の結果であった。
形成された塗膜に対してラビング処理並びにこれに引き続く洗浄及び乾燥処理を施さなかった以外は、垂直配向性評価用の液晶表示素子を製造する場合と同様の方法により、電圧保持率評価用の液晶表示素子を製造した。
(5)電圧保持率の評価
上記(4)で製造した電圧保持率評価用の液晶表示素子に対し、60℃において1Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167マイクロ秒のスパンで印加した後、電圧印加の解除から167ミリ秒後の電圧保持率VHR[%]を測定した。測定は、東陽テクニカ製VHR−1を用いて行った。この実施例8では、VHR=98%であった。
(6)耐光性の評価
上記(4)で製造した液晶表示素子に、上記(5)の電圧保持率の評価と同様の条件で初期の電圧保持率を測定した。その後、100ワット型白色蛍光灯下5cmの距離に配置し、500時間光を照射してから再度上記(5)と同条件で電圧保持率を測定した。初期値と比較した電圧保持率の低下率が1%以下であった場合を耐光性「良好」、1%を超えて2%以下であった場合を「可」、2%を超えた場合を耐光性「不良」とした。この実施例8では、耐光性「良好」の結果であった。
[実施例9、比較例6,7]
使用する重合体の種類を下記表5に示す通り変更した以外は上記実施例8と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例8と同様にして液晶表示素子を製造するとともに、得られた液晶表示素子を用いて各種評価を行った。その結果を下記表5に示した。
使用する重合体の種類を下記表5に示す通り変更した以外は上記実施例8と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例8と同様にして液晶表示素子を製造するとともに、得られた液晶表示素子を用いて各種評価を行った。その結果を下記表5に示した。
表5中の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体の全量100質量部に対する各化合物の使用割合(質量部)を示す。(PA−3)、(PAA−1)、(RPAA−3)は、対応する番号の重合体を使用したことを示す。
上記実施例8,9の結果から、重合体(PA)を含む液晶配向剤によれば、配向性、電気特性及び耐光性が良好な液晶素子が得られることが分かった。
上記実施例8,9の結果から、重合体(PA)を含む液晶配向剤によれば、配向性、電気特性及び耐光性が良好な液晶素子が得られることが分かった。
・化合物(9−1A)の合成
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコにニトロフェノール6.96g、炭酸カリウム6.90g、N,N−ジメチルアセトアミド100mL及びステアリルブロミド18.3gを加えて100℃で5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを500mL加え、水で3回分液洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮して生じた結晶をろ過、乾燥することで化合物(9−1A)を17.6g得た。
・化合物(9−1)の合成
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた300mLの三口フラスコに化合物(9−1A)を17.6g、5%パラジウムカーボン0.88g、テトラヒドロフラン100mL、エタノール50mL及びヒドラジン一水和物6.75gを加えて、70℃で2時間反応させた。反応終了後、セライトろ過して得たろ液に酢酸エチル500mLを加え、水で3回分液洗浄した後、有機層を濃縮、乾固、真空乾燥することで化合物(9−1)を14.6g得た。
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコにニトロフェノール6.96g、炭酸カリウム6.90g、N,N−ジメチルアセトアミド100mL及びステアリルブロミド18.3gを加えて100℃で5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを500mL加え、水で3回分液洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮して生じた結晶をろ過、乾燥することで化合物(9−1A)を17.6g得た。
・化合物(9−1)の合成
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた300mLの三口フラスコに化合物(9−1A)を17.6g、5%パラジウムカーボン0.88g、テトラヒドロフラン100mL、エタノール50mL及びヒドラジン一水和物6.75gを加えて、70℃で2時間反応させた。反応終了後、セライトろ過して得たろ液に酢酸エチル500mLを加え、水で3回分液洗浄した後、有機層を濃縮、乾固、真空乾燥することで化合物(9−1)を14.6g得た。
・化合物(9−2A)の合成
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコにヒドロキシベンズアルデヒド12.2g、炭酸カリウム15.2g、N,N−ジメチルアセトアミド200mL及びステアリルブロミド36.7gを加えて100℃で5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを1,000mL加え、水で3回分液洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮して生じた結晶をろ過、乾燥することで化合物(9−2A)を33.7g得た。
・化合物(9−2B)の合成
還流管、ディーンスターク管及び窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコに化合物(9−2A)33.7g、トルエン400mL及びm−フェニレンジアミン3.89gを加えて24時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮して析出した結晶をろ過、乾燥させることで化合物(9−2B)を26.6g得た。
・化合物(9−2)の合成
窒素導入管を備えた500mLのナスフラスコに化合物(9−2B)26.6g、テトラヒドロフラン300mL、水50mL、テトラブチルアンモニウムブロミド0.3g及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム2.70gを加えて室温で2日間反応させた。反応終了後、酢酸エチル500mLを加えて、希塩酸で1回、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固してオイル状の粗精製物を得た。この粗精製物をアルミナカラム精製(展開溶剤:クロロホルム:エタノール=8:2)した後、減圧濃縮、真空乾燥することで化合物(9−2)を13.4g得た。
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコにヒドロキシベンズアルデヒド12.2g、炭酸カリウム15.2g、N,N−ジメチルアセトアミド200mL及びステアリルブロミド36.7gを加えて100℃で5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを1,000mL加え、水で3回分液洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮して生じた結晶をろ過、乾燥することで化合物(9−2A)を33.7g得た。
・化合物(9−2B)の合成
還流管、ディーンスターク管及び窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコに化合物(9−2A)33.7g、トルエン400mL及びm−フェニレンジアミン3.89gを加えて24時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮して析出した結晶をろ過、乾燥させることで化合物(9−2B)を26.6g得た。
・化合物(9−2)の合成
窒素導入管を備えた500mLのナスフラスコに化合物(9−2B)26.6g、テトラヒドロフラン300mL、水50mL、テトラブチルアンモニウムブロミド0.3g及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム2.70gを加えて室温で2日間反応させた。反応終了後、酢酸エチル500mLを加えて、希塩酸で1回、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固してオイル状の粗精製物を得た。この粗精製物をアルミナカラム精製(展開溶剤:クロロホルム:エタノール=8:2)した後、減圧濃縮、真空乾燥することで化合物(9−2)を13.4g得た。
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに2,4−ジブロモフェノール12.6g、炭酸カリウム7.59g、N,N−ジメチルアセトアミド100mL及びステアリルブロミド18.3gを加えて100℃で5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを500mL加え、水で3回分液洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮して生じた結晶をろ過、乾燥することで化合物(20−1)を22.7g得た。
・化合物(20−2A)の合成
温度計、還流管及び窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコに4−フルオロ−3−ブロモニトロベンゼン22.0g、ステアリルアルコール29.8g、テトラヒドロフラン500mL及びトリエチルアミン11.1gを加えて40℃で20時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチル1,000mLを加えて、水で3回分液洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮で析出した結晶をろ過、乾燥することで化合物(20−2A)を42.3g得た。
・化合物(20−2C)の合成
温度計、還流管及び窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコに化合物(20−2A)42.3g、5%パラジウムカーボン2.12g、テトラヒドロフラン500mL、エタノール250mL及びヒドラジン一水和物を27g加えて、2時間還流させた。反応終了後、セライトろ過して得たろ液に酢酸エチル500mLを加えて、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固、真空乾燥することで化合物(20−2C)を39.6g得た。
・化合物(20−2B)の合成
還流管、ディーンスターク管及び窒素導入管を備えた2,000mLの三口フラスコに化合物(20−2C)39.6g、トルエン1,000mL及び化合物(9−2A)33.7gを加えて24時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮して析出した結晶をろ過、乾燥させることで化合物(20−2B)を64.6g得た。
・化合物(20−2)の合成
窒素導入管を備えた1,000mLのナスフラスコに化合物(20−2B)64.6g、テトラヒドロフラン500mL、水100mL、テトラブチルアンモニウムブロミド0.6g及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム3.37gを加えて室温で2日間反応させた。反応終了後、酢酸エチル1,000mLを加えて、希塩酸で1回、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固してオイル状の粗精製物を得た。この粗精製物をアルミナカラム精製(展開溶剤:クロロホルム:エタノール=8:2)した後、減圧濃縮、真空乾燥することで化合物(20−2)を38.8g得た。
温度計、還流管及び窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコに4−フルオロ−3−ブロモニトロベンゼン22.0g、ステアリルアルコール29.8g、テトラヒドロフラン500mL及びトリエチルアミン11.1gを加えて40℃で20時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチル1,000mLを加えて、水で3回分液洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮で析出した結晶をろ過、乾燥することで化合物(20−2A)を42.3g得た。
・化合物(20−2C)の合成
温度計、還流管及び窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコに化合物(20−2A)42.3g、5%パラジウムカーボン2.12g、テトラヒドロフラン500mL、エタノール250mL及びヒドラジン一水和物を27g加えて、2時間還流させた。反応終了後、セライトろ過して得たろ液に酢酸エチル500mLを加えて、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固、真空乾燥することで化合物(20−2C)を39.6g得た。
・化合物(20−2B)の合成
還流管、ディーンスターク管及び窒素導入管を備えた2,000mLの三口フラスコに化合物(20−2C)39.6g、トルエン1,000mL及び化合物(9−2A)33.7gを加えて24時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮して析出した結晶をろ過、乾燥させることで化合物(20−2B)を64.6g得た。
・化合物(20−2)の合成
窒素導入管を備えた1,000mLのナスフラスコに化合物(20−2B)64.6g、テトラヒドロフラン500mL、水100mL、テトラブチルアンモニウムブロミド0.6g及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム3.37gを加えて室温で2日間反応させた。反応終了後、酢酸エチル1,000mLを加えて、希塩酸で1回、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固してオイル状の粗精製物を得た。この粗精製物をアルミナカラム精製(展開溶剤:クロロホルム:エタノール=8:2)した後、減圧濃縮、真空乾燥することで化合物(20−2)を38.8g得た。
・化合物(16−1B)の合成
還流管、ディーンスターク管及び窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコに化合物(16−1A)23.1g、トルエン300mL及びニコチンアルデヒド10.72gを加えて24時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮して析出した結晶をろ過、乾燥させることで化合物(16−1B)を19.2g得た。
・化合物(16−1)の合成
窒素導入管を備えた500mLのナスフラスコに化合物(16−1B)19.2g、テトラヒドロフラン300mL、水50mL、テトラブチルアンモニウムブロミド0.2g及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム3.74gを加えて室温で2日間反応させた。反応終了後、酢酸エチル1000mLを加えて、希塩酸で1回、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固してオイル状の粗精製物を得た。この粗精製物をアルミナカラム精製(展開溶剤:クロロホルム:エタノール=8:2)した後、減圧濃縮、真空乾燥することで化合物(16−1)を17.4g得た。
還流管、ディーンスターク管及び窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコに化合物(16−1A)23.1g、トルエン300mL及びニコチンアルデヒド10.72gを加えて24時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮して析出した結晶をろ過、乾燥させることで化合物(16−1B)を19.2g得た。
・化合物(16−1)の合成
窒素導入管を備えた500mLのナスフラスコに化合物(16−1B)19.2g、テトラヒドロフラン300mL、水50mL、テトラブチルアンモニウムブロミド0.2g及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム3.74gを加えて室温で2日間反応させた。反応終了後、酢酸エチル1000mLを加えて、希塩酸で1回、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固してオイル状の粗精製物を得た。この粗精製物をアルミナカラム精製(展開溶剤:クロロホルム:エタノール=8:2)した後、減圧濃縮、真空乾燥することで化合物(16−1)を17.4g得た。
窒素導入管、還流管及び温度計を備えた100mLの三口フラスコに化合物(9−1)3.61g(100モル部)、4,4’−ジブロモジフェニルエーテル3.28g(100モル部)、t−ブトキシカリウム3.40g(304モル部)、ジ−t−ブチルビフェニルホスフィン0.29g(9.7モル部)及びトリスジベンジリデンジパラジウム0.28g(3モル部)を加えて系内を窒素置換した後、ジフェニルエーテル27.6g(モノマー総量が20重量%になる量)を加えて、50℃で4時間反応させた。反応終了後、空気を吹き込んだ後、セライトろ過して得たろ液にシクロペンタノン338g(モノマー総量が2重量%になる量)を加えた後、水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、モノマー総量が10重量%になるまで減圧濃縮した。次に、この溶液を10倍量(体積)のメタノールに注いで生じた沈殿をろ過、乾燥することで重合体(PA−4)の粗精製物を3g得た。次に、重合体(PA−4)の粗精製物3.0g(100質量部)をシクロヘキサノン60g(2,000質量部)及びトリプロピルアミン12.6g(420質量部)を加えて溶かした後、ギ酸4.2g(140質量部)を加えて120℃で8時間撹拌し、その後、しゅう酸0.87g(29質量部)を加え、110℃で2時間加熱した。次に、セライトろ過を行って得られたろ液を水で3回分液洗浄した後、減圧濃縮して乾固、真空乾燥することで重合体(PA−4)2.5gを得た。重合体(PA−4)の重量平均分子量は33,000であった。
[実施例11、13]
下記表6に示す組成で実施例10と同様に重合し、重合体(PA−5)及び重合体(PA−7)をそれぞれ得た(下記スキーム13,15参照)。各重合体の重量平均分子量を表6に併せて示した。なお、表6中、アミン化合物及びジブロモ体の数値は、重合に使用したアミン化合物100モル部に対する各化合物の使用割合(モル部)を示す。(9−1)、(9−2)、(EA)、(20−1)は、対応する番号で表される化合物を使用したことを示す。
下記表6に示す組成で実施例10と同様に重合し、重合体(PA−5)及び重合体(PA−7)をそれぞれ得た(下記スキーム13,15参照)。各重合体の重量平均分子量を表6に併せて示した。なお、表6中、アミン化合物及びジブロモ体の数値は、重合に使用したアミン化合物100モル部に対する各化合物の使用割合(モル部)を示す。(9−1)、(9−2)、(EA)、(20−1)は、対応する番号で表される化合物を使用したことを示す。
窒素導入管、還流管及び温度計を備えた100mLの三口フラスコに化合物(20−2)16.0g(200モル部)、t−ブトキシカリウム3.40g(304モル部)、ジ−t−ブチルビフェニルホスフィン0.29g(9.7モル部)及びトリスジベンジリデンジパラジウム0.28g(3モル部)を加えて系内を窒素置換した後、ジフェニルエーテル64.0g(モノマー総量が20質量%になる量)を加えて、50℃で4時間反応させた。反応終了後、空気を吹き込み、その後、セライトろ過して得たろ液にシクロペンタノン784g(モノマー総量が2質量%になる量)を加え、次いで水で3回分液洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、モノマー総量が10質量%になるまで減圧濃縮した。次に、この溶液を10倍量(体積)のメタノールに注いで生じた沈殿をろ過、乾燥することで重合体(PA−8)の粗精製物を12.0g得た。次に、重合体(PA−8)の粗精製物3.0g(100質量部)をシクロヘキサノン60g(2,000質量部)及びトリプロピルアミン12.6g(420質量部)を加えて溶かした後、ギ酸4.2g(140質量部)を加えて120℃で8時間撹拌し、その後、しゅう酸0.87g(29質量部)を加え、110℃で2時間加熱した。次に、セライトろ過を行って得られたろ液を水で3回分液洗浄した後、減圧濃縮して乾固、真空乾燥することで重合体(PA−8)2.5gを得た。重合体(PA−8)の重量平均分子量は40,000であった。
還流管及び温度計を備えた200mLの三口フラスコに化合物(9−2)8.25g、化合物(5−6−1)2.36g、N,N−ジメチルホルムアミド100mL及びエチルジイソプロピルアミン2.84gを加えて80℃で4時間重合した。反応終了後、反応液を1Lのメタノールに注いで析出した沈殿をろ過、乾燥することで重合体(PA−6)を9.1g得た。得られた重合体(PA−6)の重量平均分子量は5,500であった。
還流管及び温度計を備えた200mLの三口フラスコに化合物(16−1)6.45g、化合物(5−6−1)2.36g、N,N−ジメチルホルムアミド100mL及びエチルジイソプロピルアミン2.84gを加えて80℃で4時間重合した。反応終了後、反応液を1Lのメタノールに注いで析出した沈殿をろ過、乾燥することで重合体(PA−9)を8.9g得た。得られた重合体(PA−9)の重量平均分子量は5,000であった。
[実施例16〜21]
使用する重合体の種類を下記表7に示す通り変更した以外は上記実施例8と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例8と同様にして液晶表示素子(垂直配向性評価用及び電圧保持率評価用)を製造するとともに、得られた液晶表示素子を用いて各種評価を行った。その結果を下記表7に示した。なお、表7中、(PA−4)〜(RA−9)は、対応する番号の重合体を使用したことを示す。
使用する重合体の種類を下記表7に示す通り変更した以外は上記実施例8と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例8と同様にして液晶表示素子(垂直配向性評価用及び電圧保持率評価用)を製造するとともに、得られた液晶表示素子を用いて各種評価を行った。その結果を下記表7に示した。なお、表7中、(PA−4)〜(RA−9)は、対応する番号の重合体を使用したことを示す。
表7に示すように、実施例16〜21の結果からも、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(PA)を液晶配向剤に含有させることにより、液晶素子において良好な安定性及び配向性を示し、また残像も少ない液晶素子が得られることが分かった。
Claims (10)
- 前記R2は、同じ繰返し単位中のNR1及び隣接する繰返し単位中のNR1のそれぞれに対して鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族基で結合する2価の有機基である、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項5に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
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