JP2017089664A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピストン5aを構成する筒部17aを、大径円筒部26と、小径円筒部27とにより構成する。大径円筒部26の外周面のうち、ピストン5aを小径シリンダ部13の内側の奥部まで嵌装した初期状態で、ピストンシール6の内周面と当接したシール当接部25のインナ側に隣接した位置に、シール当接部25と同じ外径を有し、インナ、アウタ両パッド及びロータのそれぞれの許容摩耗量の和以上の軸方向寸法を有する予備円筒面部29を設ける。この予備円筒面部29のインナ側に隣接した位置に形成する小径円筒部27の外径寸法D27を、軸方向の全長に亙り大径円筒部26の外径寸法D26よりも小さくする。更に、小径円筒部27の軸方向寸法L27を、ピストンシール6の軸方向寸法L6よりも大きくする。
【選択図】図1
Description
前記アウタパッド4は、前記ロータ10のアウタ側面と対向する状態で、軸方向の変位を可能に支持されている。
前記ピストン5は、底部16と、筒部17とを有する有底筒状であり、前記底部16がアウタ側に配置された状態で、前記キャリパ2の小径シリンダ部13の内側に油密に嵌装されている。尚、前記筒部17の外径寸法は、後述するピストン側係止面22が形成された部分を除き、前記筒部17の軸方向に関して全長に亙り変化しない。
先ず、図8(A)に示す様に、前記ピストン5を前記小径シリンダ部13の最奥部まで押し込んだ状態で、図示しない組立用治具により、前記ピストンブーツ7の外側リップ18を、前記シリンダ側係止面21に内嵌する。この状態で、前記ピストンブーツ7の蛇腹部20は伸張しており、前記内側リップ19のインナ側端面は、前記ピストン5の底部16のアウタ側面のうち、前記ピストン5の径方向に関して外端部に当接している。
このうちの両パッド(インナパッド、アウタパッド)は、車輪と共に回転するロータを両側から挟んで設けられている。
前記キャリパは、前記両パッドのうちの一方のパッドの軸方向側面に対向する位置に、前記一方のパッドに対向する側を開口させた状態でシリンダ部が設けられている。
前記ピストンは、前記シリンダ部の内側に嵌装されている。
前記ピストンブーツは、前記ピストンの外周面と前記シリンダ部の開口部との間に設けられている。この様なピストンブーツは、前記シリンダ部に対する前記ピストンの変位を許容しつつ、前記ピストンと前記シリンダ部との嵌装部に異物が浸入する事を防止する為のものである。
前記ピストンシールは、前記シリンダ部の内周面のうち、前記ピストンブーツが設けられた位置より前記ロータと反対側となる部分に、全周に亙り形成された係止凹溝に係止されている。この状態で、前記ピストンシールの内周面は、前記ピストンの外周面に弾性的に当接している。
この様な本発明のディスクブレーキ装置は、前記シリンダ部の内部から前記ピストンを前記ロータに向けて押し出す事により、前記一方のパッドを前記ロータの側面に押し付ける事により制動を行う。
又、前記ピストンの外周面のうち、前記予備円筒面部の前記ロータと反対側に隣接した位置に、前記予備円筒面部より、前記ピストンの径方向に関して内側に凹んでおり、軸方向寸法が、前記ピストンシールの軸方向寸法よりも大きい連通部が形成されている。
先ず、ピストンブーツの組付作業を短い時間で行える理由は、本発明の場合、前記ピストンブーツを組み付ける作業のうち、図8(A)に示す状態から図8(B)に示す状態に変化する工程での、シリンダ部に対するピストンのロータ方向への変位量を小さく抑えられるからである。即ち、前記ピストンブーツを図8に示した手順で組み付ける為には、図8(B)に相当する状態で、シリンダ内部空間とブーツ内部空間とが連通している必要がある。本発明の場合、前記ピストンを、連通部のロータ側端縁が、係止凹溝(ピストンシール)のロータ側端縁よりもロータ側に位置し、且つ前記連通部の反ロータ側端縁が、前記係止凹溝(ピストンシール)の反ロータ側端縁よりも反ロータ側に位置する状態まで変位させる事で、前記シリンダ内部空間と前記ブーツ内部空間とを連通させる事ができる。この様に、本発明の場合、前記連通部を設けていない構造と比べて、前記ピストンのロータ側への変位量を少なく抑える事ができる。この結果、前記ピストンブーツの組付作業に要する時間を短縮できる。
又、前記ピストンブーツの組付作業を安定して行える理由は、上述した様に、本発明の場合、前記ピストンをロータ側に変位させて前記シリンダ内部空間と前記ブーツ内部空間とを連通した状態{図8(B)に相当する状態}で、前記連通部が形成されていない場合と比べて、前記シリンダ部の内側に存在するピストンの軸方向寸法を大きくする事ができるからである。この為、前記ピストンブーツの組付作業の際、前記ピストンが前記シリンダ部から脱落する事の防止を図れる。
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜2を参照しつつ説明する。尚、本例を含めて、本発明のディスクブレーキ装置の特徴は、ピストンの構造を工夫した点にある。この特徴部分以外の構造は図7、8を参照して説明した従来構造のディスクブレーキ装置1の構造とほぼ同様である。以下、本例のディスクブレーキ装置の構造に就いて簡単に説明してから、本例のパッド支持構造に就いて説明する。
このうちのキャリパ2は、アウタ側端部にキャリパ爪8を、インナ側半部にシリンダ部9を、それぞれ有している。これらキャリパ爪8とシリンダ部9とは、車輪と共に回転するロータ10(図7参照)の外周縁よりも径方向外方に存在する(ロータ10を跨ぐ位置に設けた)ブリッジ部11により、それぞれの径方向外端部同士を一体的に結合している。又、前記シリンダ部9は、アウタ側端部寄り部分からアウタ側端縁に掛けての部分に設けられた大径シリンダ部12と、この大径シリンダ部12よりもインナ側に設けられており、この大径シリンダ部12の内径寸法よりも小さい内径寸法を有する小径シリンダ部13とから成る。このうちの小径シリンダ部13の内周面のアウタ側端部寄り部分には、全周に亙りシール係止溝14が形成されている。この様なキャリパ2は、車体に固定されたサポート15(図7参照)に対して、軸方向の変位を可能に支持されている。
前記アウタパッド4は、前記ロータ10のアウタ側面と対向する状態で、軸方向の変位を可能に支持されている。
前記ピストン5aは、底部16と、筒部17aとを有する有底筒状であり、前記底部16がアウタ側に配置された状態で、前記キャリパ2の小径シリンダ部13の内側に油密に嵌装されている。
このうちの大径円筒部26は、前記筒部17aのうち、軸方向中間部からアウタ側端部に掛けての部分(筒部17aのアウタ側の約2/3に相当する部分)に形成されている。この様な大径円筒部26の外周面は、軸方向の全長に亙り外径寸法が変化しない円筒面状に形成されている。又、前記大径円筒部26の外周面のうち、前記ピストン5aを前記小径シリンダ部13の内側の奥部まで嵌装した初期状態{図1(A)及び(D)に示す状態}で、前記大径円筒部26の外周面のうち、前記ピストンシール6の内周面と当接したシール当接部25のインナ側(反ロータ側)に隣接した位置には、前記シール当接部25と同じ外径を有し、前記インナ、アウタ両パッド3、4及び前記ロータ10のそれぞれの許容摩耗量の和以上の軸方向寸法を有する予備円筒面部29{図1(A)に斜格子で示す部分の外周面}が設けられている。尚、前記インナ、アウタ両パッド3、4の許容摩耗量とは、使用時に許容する前記インナ、アウタパッド3、4を構成するライニング28、28(図7参照)の摩耗量である。この様なインナ、アウタ両パッド3、4の許容摩耗量及び前記ロータ10の許容摩耗量は、それぞれ設計的に決められるものである。
このうちのスクリュ35は、外周面の軸方向中間部にフランジ部37が形成されている。又、このスクリュ35の外周面の軸方向中間部からアウタ側端部に掛けての部分には、雄ねじ部38が形成されている。この様な構成を有する前記スクリュ35は、インナ側端部を前記小径シリンダ部13の奥部に形成された貫通孔39に挿入した状態で、前記キャリパ2に対する回転を可能な状態に支持されている。そして、前記スクリュ35は、このスクリュ35のインナ側端部に連結された減速機(図示省略)を介して、電動モータ(図示省略)により回転駆動される。
尚、前記ピストン5aは、前記底部16のアウタ側面に形成されたピストン側凹部44と、前記インナパッド3を構成する裏板45のインナ側面に形成されたパッド側凸部46との係合により、前記インナパッド3に対する回り止めを図られている。
本例のディスクブレーキ装置1に前記ピストンブーツ7を組み込む手順は、先ず、予め前記ピストン5aの内側に前記ナット36と前記スクリュ35とを組み込み、該ピストン5aの前記小径円筒部27のインナ側端面とインナ側端部内周面との連続部に形成された面取り部49と、前記スクリュ35のフランジ部37のアウタ側側面と外周面との連続部に形成された凸球面状の凸球面部50とを当接させる事により、前記ピストン5aと前記スクリュ35とのセンタリングを図る。
次いで、前述した従来構造と同様に、図1(A)に示す様に、前記ピストン5aを前記小径シリンダ部13の最奥部まで押し込んだ状態で、図示しない組立用治具により、前記ピストンブーツ7の外側リップ18を、前記シリンダ部9を構成する大径シリンダ部12に形成されたシリンダ側係止面21に内嵌する。この状態で、前記ピストンブーツ7の蛇腹部20は伸張しており、内側リップ19のインナ側端面は、前記ピストン5aの底部16のアウタ側面のうち、前記ピストン5aの径方向に関して外端部に当接している。
即ち、本例の場合、図1(A)に示す状態から、図1(B)に示す状態に変化する際、前記ピストン5aのアウタ側への変位量(引き出し量)が、前述した従来構造の様に、前記小径円筒部27が形成されていない場合と比べて小さくて済む。この為、前記ピストンブーツ7の組付作業に要する時間を短縮する事ができる。
又、本例の場合、図1(B)に示す状態で、前記ピストン5aのうち、前記小径シリンダ部13の内側に存在する部分の軸方向寸法が、前述した従来構造の場合と比べて大きい。この為、図1(B)に示す状態で、前記ピストン5aが前記小径シリンダ部13から脱落する事の防止を図れる。この結果、前記ピストンブーツ7の組付作業を安定して行う事ができる。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図3を参照しつつ説明する。本例のディスクブレーキ装置は、前述した実施の形態の第1例と同様に、ピストン5bを構成する筒部17bのうち、前記ピストン5bを小径シリンダ部13(図1参照)の内側の奥部まで嵌装した初期状態{図1(A)及び(D)に示す状態}で、前記筒部17bの外周面のうち、ピストンシール6(図1参照)の内周面と当接したシール当接部25のインナ側(反ロータ側)に隣接した位置に、前記シール当接部25と同じ外径を有し、インナ、アウタ両パッド3、4及びロータ10(図7参照)のそれぞれの許容摩耗量の和以上の軸方向寸法を有する予備円筒面部29(図1に斜格子で示す部分に相当する部分の外周面)が設けられている。
その他の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例と同様である。
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図4、5を参照しつつ説明する。本例のディスクブレーキ装置は、前述した実施の形態の第1例及び第2例と同様に、ピストン5cを構成する筒部17cのうち、前記ピストン5cを小径シリンダ部13の内側の奥部まで嵌装した初期状態{図4(A)及び(D)に示す状態}で、前記筒部17cの外周面のうち、ピストンシール6の内周面と当接したシール当接部25のインナ側(反ロータ側)に隣接した位置に、前記シール当接部25と同じ外径を有し、前記インナ、アウタ両パッド3、4及び前記ロータ10(図7参照)のそれぞれの許容摩耗量の和以上の軸方向寸法を有する予備円筒面部29{図4(A)に斜格子で示す部分の外周面}が設けられている。
本発明の実施の形態の第4例に就いて、図6を参照しつつ説明する。本例のディスクブレーキ装置の場合、ピストン5dを構成する筒部17cの外周面のうち、予備円筒面部29よりもインナ側部分の円周方向複数箇所に、前記ピストン5dの径方向に関して外側から見た形状が円形で、前記筒部17cを径方向に貫通した連通用貫通孔48、48が形成されている。
又、本例の場合、前記各連通用貫通孔48、48の軸方向寸法L48は、ピストンシール6の軸方向寸法L6(図4参照)よりも小さい(L48<L6)。
2 キャリパ
3 インナパッド
4 アウタパッド
5、5a、5b、5c、5d、5e ピストン
6 ピストンシール
7 ピストンブーツ
8 キャリパ爪
9 シリンダ部
10 ロータ
11 ブリッジ部
12 大径シリンダ部
13 小径シリンダ部
14 シール係止溝
15 サポート
16 底部
17、17a、17b、17c、17d 筒部
18 外側リップ
19 内側リップ
20 蛇腹部
21 シリンダ側係止面
22 ピストン側係止面
23 シリンダ内部空間
24 ブーツ内部空間
25 シール当接部
26 大径円筒部
27 小径円筒部
28 ライニング
29 予備円筒面部
30、30a、30b 連通空間
31、31a 部分円筒面部
32 連通用軸方向凹溝
33 連通用凹部
34 インナ側円筒面部
35 スクリュ
36 ナット
37 フランジ部
38 雄ねじ部
39 貫通孔
40 円筒部
41 多角形筒部
42 球面部
43 雌ねじ部
44 ピストン側凹部
45 裏板
46 パッド側凸部
47 球面状凹面
48 連通用貫通孔
49 面取り部
50 凸球面部
Claims (4)
- 車輪と共に回転するロータを両側から挟んで設けられた一対のパッドと、
前記両パッドのうちの一方のパッドの軸方向側面に対向する位置に、前記一方のパッドに対向する側を開口させた状態でシリンダ部が設けられたキャリパと、
前記シリンダ部の内側に嵌装されているピストンと、
前記ピストンの外周面と前記シリンダ部の開口部との間に設けられ、前記シリンダ部に対する前記ピストンの変位を許容しつつ、前記ピストンと前記シリンダ部との嵌装部に異物が侵入する事を防止するピストンブーツと、
前記シリンダ部の内周面のうち、前記ピストンブーツが設けられた位置よりも前記ロータと反対側となる部分に、全周に亙り形成された係止凹溝に係止されており、内周面を前記ピストンの外周面に当接させたピストンシールとを備えており、
前記シリンダ部の内部から前記ピストンを前記ロータに向けて押し出す事により、前記一方のパッドを前記ロータの側面に押し付ける事により制動を行うディスクブレーキ装置であって、
前記ピストンを前記シリンダ部の内側の奥部まで嵌装した初期状態で、前記ピストンの外周面のうち、前記ピストンシールの内周面と当接したシール当接部の前記ロータと反対側に隣接した位置に、前記シール当接部と同じ外径を有し、少なくとも前記パッド及びロータのそれぞれの許容摩耗量の和以上の軸方向寸法を有する予備円筒面部が形成されており、
前記ピストンの外周面のうち、前記予備円筒面部の前記ロータと反対側に隣接した位置に、前記予備円筒面部よりも、前記ピストンの径方向に関して内側に凹んでおり、軸方向寸法が、前記ピストンシールの軸方向寸法よりも大きい連通部が形成されているディスクブレーキ装置。 - 前記連通部が、前記ピストンの外周面のうち、前記予備円筒面部の反ロータ側に隣接した位置から、反ロータ側端縁に掛けての部分に、全周に亙り形成された連通用小径部により構成されている、請求項1に記載したディスクブレーキ装置。
- 前記連通部が、前記ピストンの外周面のうち、前記予備円筒面部の反ロータ側に隣接した位置から、反ロータ側端縁に掛けての部分に形成されており、前記ピストンの径方向外方及び反ロータ側端部が開口した少なくとも一本の連通用軸方向凹溝により構成されている、請求項1に記載したディスクブレーキ装置。
- 前記連通部が、前記ピストンの外周面のうち、前記予備円筒面部の反ロータ側に隣接した部分に、前記ピストンの径方向外方のみが開口した状態で形成された、少なくとも一個の連通用凹部により構成されている、請求項1に記載したディスクブレーキ装置。
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JP2015215916A JP6580946B2 (ja) | 2015-11-02 | 2015-11-02 | ディスクブレーキ装置 |
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JP2015215916A JP6580946B2 (ja) | 2015-11-02 | 2015-11-02 | ディスクブレーキ装置 |
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JP6580946B2 JP6580946B2 (ja) | 2019-09-25 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2015215916A Active JP6580946B2 (ja) | 2015-11-02 | 2015-11-02 | ディスクブレーキ装置 |
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2015
- 2015-11-02 JP JP2015215916A patent/JP6580946B2/ja active Active
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JP6580946B2 (ja) | 2019-09-25 |
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