JP2017088748A - 発泡成形用エラストマー組成物及び発泡成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡成形性に優れ、かつ成形品は柔軟性とともに耐摩耗性及び耐傷つき性にも優れる発泡成形用エラストマー組成物、及び該組成物を用いて得られる発泡成形体を提供すること。【解決手段】水添スチレン系ブロック共重合体Aと、ポリプロピレン樹脂B及び発泡剤Cを含有してなる、発泡成形用エラストマー組成物であって、前記水添スチレン系ブロック共重合体Aが、スチレン系炭化水素重合体ブロックaと共役ジエン化合物重合体ブロックbとからなるブロック共重合体A’の水素添加物であり、重量平均分子量が50,000〜200,000であり、温度180℃、せん断速度121.6/sでの見掛け粘度が500〜4300Pa・sである、水添スチレン系ブロック共重合体であり、前記ポリプロピレン樹脂Bが、温度230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトが0.1〜100g/10minである、発泡成形用エラストマー組成物、及び該組成物を用いて得られる発泡成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡成形用エラストマー組成物及び該組成物を用いて得られる発泡成形体に関する。
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴム又は合成ゴム等のゴム類に架橋剤や補強剤等を配合して高温高圧下で架橋したものが汎用されている。しかしながら、このようなゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う行程が必要であり、加工性に劣り、精密な表面形状を成形することは困難である。また、架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形が一般的に不可能である。
そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように、熱プレス成形、射出成形、押出し成形等の汎用の溶融成形技術を利用して成型品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。
水添スチレン系ブロック共重合体は、ゴム弾性を有し、熱可塑性の材料であることから、従来の加硫ゴムに替わる材料として急速に応用が広がっている。また、水添スチレン系ブロック共重合体に、炭化水素系ゴム用軟化剤やポリオレフィン等を加えた組成物として用いることも知られている。さらに、特許文献1には、このような組成物が発泡成形にも用いることができ、ポリオレフィンとして、メルトフローレイト(230℃、21.18N)が4.5〜250g/10min、メルトテンションが0.3cN以上であり、かつ歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンを用いると、射出発泡成形時に内部の気泡(セル)が破泡し難く、転写性に優れた高発泡倍率の射出発泡成形体が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、(A):スチレン系ブロック共重合体の水素添加物、(B):炭化水素系ゴム用軟化剤、及び(C):プロピレン系樹脂に加えて、(D):ポリシロキサンを必須とする、耐傷付き性が良好な熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特開2015−98542号公報 特開平10−067893号公報
特許文献1には、発泡成形に好適な熱可塑性エラストマー組成物として、成分(A):スチレン系エラストマー及び/又はその水添物とともに、成分(B):炭化水素系ゴム用軟化剤と、成分(C):改質ポリプロピレンを併用する組成物が開示され、軟化剤は柔軟性と流動性の向上に有効であること記載されているが、このような組成物は、柔軟性や射出発泡成形性に優れたものではあっても、表面の耐傷付き性や耐摩耗性は十分ではなく、耐傷付き性の求められる用途には課題が残っている。
また、特許文献2には、成分(D)のポリシロキサンとして、25℃動粘度が10〜10,000cStである、いわゆるシリコーンオイルが好適であり、耐傷付き性に効果があることも開示されているが、シリコーンオイルは一方で、消泡効果の高い消泡剤としてもよく知られており、発泡用の組成物への応用は困難である。
本発明の課題は、発泡成形性に優れ、かつ成形品は柔軟性とともに耐摩耗性及び耐傷つき性にも優れる発泡成形用エラストマー組成物、及び該組成物を用いて得られる発泡成形体を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 水添スチレン系ブロック共重合体Aと、該水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、ポリプロピレン樹脂B 1〜50質量部、及び発泡剤C 0.1〜10質量部を含有してなる、発泡成形用エラストマー組成物であって、
前記水添スチレン系ブロック共重合体Aが、スチレン系炭化水素重合体ブロックaと共役ジエン化合物重合体ブロックbとからなるブロック共重合体A’の水素添加物であり、重量平均分子量が50,000〜200,000であり、温度180℃、せん断速度121.6/sでの見掛け粘度が500〜4300Pa・sである、水添スチレン系ブロック共重合体であり、
前記ポリプロピレン樹脂Bが、温度230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトが0.1〜100g/10minである、
発泡成形用エラストマー組成物、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の発泡成形用エラストマー組成物からなる発泡成形体
に関する。
本発明の発泡成形用エラストマー組成物は、発泡成形性に優れ、かつ成形品は柔軟性とともに耐摩耗性及び耐傷つき性にも優れるという効果を奏するものである。
本発明の発泡成形用エラストマー組成物は、水添スチレン系ブロック共重合体A、ポリプロピレン樹脂B、及び発泡剤Cを含有するものである。
従来の発泡成形用エラストマー組成物は、軟化剤を含有しているため、良好な柔軟性と流動性を有しているものの、成形体表面の耐傷つき性と耐摩耗性が十分ではない。これに対し、本発明のエラストマー組成物は、特定の水添スチレン系ブロック共重合体とポリプロピレン樹脂との組み合わせにより、軟化剤を含有していなくても又は軟化剤が少量であっても、溶融粘度を低下させることができ、柔軟性と流動性を損なうことなく、耐摩耗性と耐傷つき性を確保することができる。
水添スチレン系ブロック共重合体Aは、スチレン系炭化水素重合体ブロックaと共役ジエン化合物重合体ブロックbとからなるブロック共重合体A’の水素添加物であり、後述する特定の重量平均分子量及び見掛け粘度を有するものである。このような水添スチレン系ブロック共重合体Aを用いることにより、耐摩耗性及び耐傷つき性に優れた発泡成形体を得ることができる。
重合体ブロックaを構成するスチレン系炭化水素としては、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。
重合体ブロックbを構成する共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられる。
ブロック共重合体A’は、重合体ブロックaからなるハードセグメント(硬い部分)と、重合体ブロックbからなるソフトセグメント(柔らかい部分)とから構成されている。ブロック共重合体全体の物性を決定する観点から、ブロック共重合体A’における重合体ブロックaの含有量は、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。
ブロック共重合体A’は、水素添加することにより不飽和結合が減少し、耐熱性、耐候性及び機械的特性が向上することから、その一部又は全部が水素添加されている。水素添加率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。本発明において、水素添加率は、ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の含有量を、水素添加の前後において、1H-NMRスペクトルによって測定し、該測定値から求めることができる。
ブロック共重合体A’の水素添加物、即ち水添スチレン系ブロック共重合体Aの具体例としては、スチレン−エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、(α-メチルスチレン)−エチレン・ブチレンブロック共重合体、(α-メチルスチレン)−エチレン・ブチレン−(α-メチルスチレン)ブロック共重合体等が挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。
水添スチレン系ブロック共重合体Aは、溶融流動性と成形性の観点から、スチレン系炭化水素重合体ブロックaと共役ジエン化合物重合体ブロックbとからなるジブロック共重合体の水素添加物である水添スチレン系ジブロック共重合体を含有していることが好ましい。
水添スチレン系ジブロック共重合体としては、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体、スチレン−エチレン・イソブチレン共重合体等が挙げられる。
水添スチレン系ジブロック共重合体の含有量は、溶融流動性と成形性の観点から、水添スチレン系ブロック共重合体A中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、耐熱性の観点から、50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
水添スチレン系ブロック共重合体Aの重量平均分子量は、機械強度の確保及びベタツキ防止の観点から、50,000以上、好ましくは80,000以上、より好ましくは100,00以上であり、流動性を確保し、発泡成形時に微細な発泡セルを形成する観点から、200,000以下、好ましくは170,000以下、より好ましくは150,000以下である。水添スチレン系ブロック共重合体Aの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した値である。なお、上記重量平均分子量は、水添スチレン系ブロック共重合体Aが2種以上の水添スチレン系ブロック共重合体からなる場合は、水添スチレン系ブロック共重合体全体での重量平均分子量である。
水添スチレン系ブロック共重合体Aの見掛け粘度は、発泡セルの安定性の観点から、500Pa・s以上、好ましくは800Pa・s以上、より好ましくは1,200Pa・s以上であり、流動性を確保し、発泡成形時に微細な発泡セルを形成する観点、及び成形体表面にフローマーク等の外観不良が発生するのを防止する観点から、4,300Pa・s以下、好ましくは4,000Pa・s以下、より好ましくは3,500Pa・s以下である。水添スチレン系ブロック共重合体Aの見掛け粘度は、JIS K 7199の試験方法A2に準拠して、温度180℃、せん断速度121.6/s、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが10mmの条件下で測定した値である。
なお、上記見掛け粘度は、本発明のエラストマー組成物に含まれる水添スチレン系ブロック共重合体A全体での見掛け粘度であり、本発明においては、発泡性及びセルの安定性、並びに流動性及び成形性を併せ持つ観点から、水添スチレン系ブロック共重合体Aは、見かけ粘度が異なる水添スチレン系ブロック共重合体の混合物であることが好ましく、見かけ粘度が3,000〜5,500Pa・s、好ましくは3,500〜5,200Pa・sの水添スチレン系ブロック共重合体を含有していることが好ましい。かかる水添スチレン系ブロック共重合体の含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体Aの総量中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
水添スチレン系ブロック共重合体Aの温度230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトは、流動性及び成形性の観点から、好ましくは1.0g/10min以上、より好ましくは2.0g/10min以上であり、分子の絡み合いによる発泡成形性の向上の観点から、好ましくは80g/10min以下、より好ましくは30g/10min以下、さらに好ましくは20g/10min以下、さらに好ましくは10g/10min以下である。なお、上記メルトマスフローレイトは、水添スチレン系ブロック共重合体Aが2種以上の水添スチレン系ブロック共重合体からなる場合は、水添スチレン系ブロック共重合体全体での測定値である。
水添スチレン系ブロック共重合体Aの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは40〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。
ポリプロピレン樹脂Bは、歪硬化性を示す改質ポリプロピレン樹脂であることが好ましい。歪硬化性を示す改質ポリプロピレン樹脂により、射出発泡成形時に内部の気泡(セル)が破泡し難く、より高発泡倍率の発泡成形体が得られる。
ここで、「歪硬化」とは溶融物の延伸歪みの増加に伴い、粘度が急激に上昇する現象であり、通常は特開昭62−121704号公報に記載の方法、すなわち市販のレオメーターにより測定した伸長粘度と時間の関係をプロットすることで判定することができる。また、例えばメルトテンション測定時の溶融ストランドの破断挙動からも歪硬化性を判定できることが知られている。すなわち、引き取り速度を増加させたときに急激にメルトテンションが増加し、切断に至るときは歪硬化性を示す場合である。本発明において「歪硬化性」を示すかどうかについては、後述する条件で溶融張力を測定した際の溶融ストランドの破断挙動から判定される。即ち、溶融ストランドの引き取り速度を増加させた際に溶融張力が増加し、切断に至るときが歪み硬化性を示す場合である。
歪硬化性を示す改質ポリプロピレン樹脂の温度230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトは、好ましくは1〜100g/10min、より好ましくは1.5〜50g/10min、さらに好ましくは2〜10g/10minである。
歪硬化性を示す改質ポリプロピレン樹脂の溶融張力は、好ましくは10mN以上、より好ましくは20〜200mN、さらに好ましくは40〜150mNである。
ポリプロピレン樹脂Bの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、溶融混練時の分散性を高める観点、及び発泡成形時に冷却過程でヒケ等の外観不良が発生するのを防止する観点から、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、柔軟性及び耐傷つき性の観点から、50質量部以下、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
ポリプロピレン樹脂Bの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。
発泡剤Cとしては、無機系発泡剤、有機系発泡剤、熱膨張性微粒子等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類等が挙げられる。
有機系発泡剤としては、例えば、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ系化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系化合物;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等のフッ化アルカン;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド系化合物;p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のスルホニルセミカルバジド系化合物;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物等が挙げられる。
熱膨張性微粒子としては、イソブタン、ペンタン等の加熱膨張性化合物が、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の熱可塑性樹脂からなるマイクロカプセルに封入された熱膨張性微粒子等が挙げられる。そのような熱膨張性微粒子の市販品としては、松本油脂製薬(株)製の「マイクロスフェア」(商品名、エポキシ樹脂内包マイクロカプセル)、日本フィライト(株)製の「フィライト」(商品名、無機系マイクロバルーン)、AKZO NOBEL社製の「EXPANCEL」(商品名、有機系マイクロバルーン)等が挙げられる。
前記発泡剤のなかでは、安価で安全性が高い観点から、無機系発泡剤、アゾ系化合物及びスルホニルヒドラジド系化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡剤Cの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、発泡倍率を高める観点から、0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、微細な発泡セルを得る観点から、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
発泡剤Cの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜8質量%である。
本発明のエラストマー組成物は、さらに、シリコーン系の固体滑剤Dを含有していることが好ましい。固体滑剤Dの配合により、耐摩耗性がさらに向上する。
シリコーン系の固体滑材Dとしては、シリコーン変性(メタ)アクリルポリマー、シリカ担持超高分子量シリコーンペレット(シリコンコンセントレート)等が挙げられ、これらは単独で含まれていても、2種以上が併用されていてもよい。本発明では、耐傷付き性の観点から、シリコーン変性(メタ)アクリルポリマーが好ましい。
シリコーン変性(メタ)アクリルポリマーは、少なくとも一つのポリシロキサン部分と少なくとも一つの(メタ)アクリル酸ポリマー部分を含む構造を有するものであり、例えば、信越シリコーン社製の(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー(商品名:KP578)、ワックスタイプの(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー(商品名:KP561P)、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー(KP562P)、東亞合成株式会社のサイマック、日信化学工業株式会社のシャリーヌ等、様々な構造や特性を有するものが知られている。
これらのなかでも、ラジカル重合反応性基、SH基又はその両方を側鎖に有するポリアルキルシロキサンと(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの(共)重合物とが重合した、ブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体が好ましい。かかる共重合体は、例えば、ラジカル重合反応性基、SH基又はその両方を側鎖に有するポリアルキルシロキサンと、(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの(共)重合物とを、公知の重合触媒の存在下でグラフト重合させることで得られる。また、ポリアルキルシロキサン部分を製造する際に、不飽和基を有するシランモノマーを適宜配合することによって、(メタ)アクリルグラフトの起点数を調節することもでき、ポリシロキサン部分も(メタ)アクリル部分も、直鎖状であっても分枝状であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルは併用しても、どちらか一方のみを用いてもよい。
ポリアルキルシロキサン成分のアルキルとしては、炭素数1〜20のアルキル基、芳香族基等が挙げられ、これらの中では、メチル、ブチル及びフェニルが好ましく、メチルがより好ましい。
より具体的に好ましいポリアルキルシロキサンとしては、式(I):
Figure 2017088748
[式中のR1、R2及びR3はそれぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Yはラジカル重合反応性基、SH基又はその両方をもつ有機基、X1及びX2はそれぞれ同一又は異なる水素原子、炭素数1〜20の低級アルキル基、又は式(II):
Figure 2017088748
(式中のR4及びR5は、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、R6は炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、ラジカル重合反応性基、SH基又はその両方をもつ有機基である)
で表されるトリオルガノシリル基、mは1〜10,000の整数、nは1以上の整数、好ましくは1〜50である]
で表される化合物が挙げられる。
ラジカル重合反応性基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等が挙げられる。
ラジカル重合反応性基、SH基又はその両方を側鎖に有するポリアルキルシロキサンと(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの(共)重合物との共重合体において、ポリシロキサン部分の比率が高い方が組成物の摺動性が良くなる傾向があるが、一方で(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの(共)重合物の比率が高い方が組成物への分散性が良くなる傾向がある。これらの観点から、該ポリアルキルシロキサンと該(共)重合物との重合比(ポリアルキルシロキサン/(共)重合物)は、質量比で、5/95〜85/15が好ましく、10/90〜80/20がより好ましく、20/80〜75/25がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの(共)重合物において、メタクリル酸化合物とアクリル酸化合物はどちらか一方でも併用して用いてもよいが、メタクリル酸化合物を多く用いた方が組成物の耐熱性が高くなるため好ましい。エステル成分としては、メチル、エチル、ブチル、2-エチルヘキシル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ラウリル、ステアリル等の炭素数1〜20のアルキルエステル、メトキシエチル、ブトキシエチル等の炭素数1〜20のアルコキシアルキルエステル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジルエステル等が挙げられる。ヒドロキシアルキルエステル成分としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのエステル成分には1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリコーン変性(メタ)アクリルポリマーの融点は、高いほど耐摩耗性が高くなる傾向があり、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上である。また、組成物を溶融混練した際には、シリコーン変性(メタ)アクリルポリマーも溶融して組成物の成分とより均一に混ざるほうが好ましいため、好ましくは220℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。これらの観点から、シリコーン変性アクリルポリマーの融点は、50〜220℃が好ましく、100〜200℃がより好ましい。
シリコーン変性(メタ)アクリルポリマーが常温(23℃)において固体である場合、粒状であることが好ましい。平均粒子径(一次粒子の面積基準平均粒子径)は、0.5〜150μmが好ましく、1〜120μmがより好ましく、5〜100μmがさらに好ましく、30〜70μmがさらに好ましい。一次粒子の形状は、電子顕微鏡観察によって直接観察することができ、任意の粒子を少なくとも30個選んで長径と短径を測長し、楕円に規格化して断面積を算出することで面積基準の平均粒子径を算出することができる。このような計算は電子顕微鏡観察の画像データから、画像処理プログラムを用いることによって簡単に行うこともできる。シリコーン変性(メタ)アクリルポリマーがこのような粒子形状であるとき、粉体原料として取り扱いが容易になる一方で、本発明のエラストマー組成物に練り込まれた際には、分散性が良いので組成物中で速やかに分散し、組成物に良好な摺動性をもたらす。
このような粒子状のシリコーン変性(メタ)アクリルポリマーとしては、日信化学工業製のシャリーヌR-170S、R-181S等として知られているものがあり、これらを用いることもできるし、特開平10−182987号公報に記載の方法により製造したものを用いることもできる。
シリコーン系の固体滑剤Dの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、耐傷つき性及び耐摩耗性の観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、表面の層剥離を防止する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
シリコーン系の固体滑剤Dの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは1〜8質量%、より好ましくは2〜5質量%である。
なお、表面滑り性を向上させるために、固体滑剤Dの代わりに、シリコーンオイルを含有すると、長期使用した際にオイルがブリードしたり、成形時に表層剥離が起こり表面性が悪化したりすることがある。そのため、本発明のエラストマー組成物は、シリコーンオイルを含有していないか、含有していても少量であることが好ましい。シリコーンオイルの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
本発明のエラストマー組成物は、さらに、結晶核剤Eを含有していることが好ましい。結晶核剤の配合により、スキン層が速やかに形成し、成形体表面のエクボやアバタの発生を抑制することができる。
結晶核剤Eとしては、無機系結晶核剤、有機系結晶核剤等が挙げられる。
無機系結晶核剤としては、例えば、タルク、カオリン、クレー、金属酸化物類等が挙げられる。有機系結晶核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、シュウ酸金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー、アイオノマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
結晶核剤Eの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、成形性及び成形体外観の観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上であり、ブルーム抑制の観点から、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。
結晶核剤Eの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは0.01〜4質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。
本発明のエラストマー組成物は、さらに、無機フィラーFを含有していてもよい。無機フィラーの配合により、無機フィラーが発泡核となり、発泡セルの均一性が向上する。
無機フィラーとしては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー、酸化チタン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、焼成クレー、アスベスト、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等が挙げられ、これらの中では、微粒子で均一粒径のものが安価に得やすい観点から、炭酸カルシウムが好ましい。
無機フィラーは、粒状、板状、棒状、繊維状、ウィスカー状等、様々な形状のものが知られているが、本発明では、分散性の観点から、球状のものが好ましい。
球状の無機フィラーの体積中位粒径は、柔軟性の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μmである。
無機フィラーFの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、均一な発泡セルを得る観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上であり、組成物の比重を低く保つこと、分散性の観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
無機フィラーFの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは0.5〜12質量%である。
本発明のエラストマー組成物は、さらに、金属石けんGを含有していてもよい。金属石けんは、発泡剤を均一に分散させる分散剤として作用するため、配合することで、発泡セルの均一性が向上する。
金属石けんGとしては、脂肪族カルボン酸の金属塩、脂環式カルボン酸の金属塩、芳香族のカルボン酸の金属塩等が挙げられ、好ましくは炭素数35以下の脂肪族カルボン酸の金属塩であり、より好ましくは炭素数35以下のモノカルボン酸の金属塩、さらに好ましくは炭素数10〜32のモノカルボン酸の金属塩である。金属塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛等の塩が挙げられ、これらの中ではアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。好適な具体例としては、ステアリン酸ナトリウムが挙げられる。
金属石けんGの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、分散性の観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、ブルーム抑制の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
金属石けんGの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは0.01〜8質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
本発明のエラストマー組成物には、パラフィンオイルが含まれていてもよいが、パラフィンオイルを多量に配合すると、溶融張力の低下により、発泡成形した際に発泡倍率が上がらない、発泡セルが粗大化してしまう等、発泡成形性が低下する。また、耐傷つき性や耐摩耗性も悪化する。これらの観点から、パラフィンオイルの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは30質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下である。
本発明のエラストマー組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維等の補強剤、無機充填剤、絶縁性熱伝導性フィラー、顔料、水和金属化合物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン等の難燃剤、帯電防止剤、粘着付与剤、架橋剤、架橋助剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤、着色剤、香料等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明の発泡成形用エラストマー組成物は、水添スチレン系ブロック共重合体A、ポリプロピレン樹脂B、及び発泡剤C、さらに必要に応じて、シリコーン系の固体滑剤D、結晶核剤E、無機フィラーF、金属石けんG等を含む原料を混合し、冷却により固化させて得られる。
本発明でいう「混合」とは、各種成分が良好に混合される方法であれば特に限定されず、各種成分を溶解可能な有機溶媒中に溶解させて混合してもよいし、溶融混練によって混合してもよい。
溶融混練する場合には、一般的な押出機を用いることができ、混練状態の向上のため、二軸の押出機を使用することが好ましい。押出機への供給は、予めヘンシェルミキサー等の混合装置を用いて各種成分を混合したものを一つのホッパーから供してもよいし、二つのホッパーにそれぞれの成分を仕込みホッパー下のスクリュー等で定量しながら供してもよい。
本発明のエラストマー組成物は、用途に応じて、ペレット、粉体、シート等の形状とすることができる。例えば、押出機によって溶融混練してストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって円柱状や米粒状等のペレットに切断される。得られたペレットは、通常、射出成形、押出成形によって所定のシート状成形品や金型成形品とする。また、溶融混練物をルーダー等でペレットにし成形加工原料とすることもできる。シート状の組成物に、台紙等を貼付した中間製品としてもよい。
本発明のエラストマー組成物のA硬度は、柔軟性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20〜98、さらに好ましくは25〜95である。
本発明の発泡成形用エラストマー組成物を、常法に従って、適宜加熱成形することにより、発泡成形体が得られる。
本発明のエラストマー組成物を用いた発泡成形体の製造に用いられる装置には、成形材料を溶融できる任意の成形機を用いることができる。例えば、ニーダー、押出成形機、射出成形機、プレス成形機、ブロー成形機、ミキシングロール等が挙げられる。
本発明のエラストマー組成物からなる発泡成形体は、前記のように、射出発泡成形体、押出発泡成形体等、特に限定されないが、意匠の自由度が高い観点から、射出発泡成形体であることが好ましい。
射出成形温度は、180〜240℃程度が好ましい。射出圧力は、10〜150MPa程度が好ましい。射出時間は、0.3〜10秒が好ましい。
射出完了後、金型に射出したエラストマー組成物をすぐに金型から外すことで、発泡成形体が得られる。一方、金型に射出したエラストマー組成物を、冷却固化するまで金型内に保持した場合には、未発泡の成形体となる。
本発明のエラストマー組成物を加熱成形して得られる発泡成形体の用途は、特に限定されるものではなく一般的なスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマーやポリエステル系エラストマー等が用いられる分野に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。実施例及び比較例で使用した原料の各種物性は、以下の方法により測定した。
<成分A(水添スチレン系ブロック共重合体)及び成分A’>
〔単量体組成〕
核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX-400)を用いて測定する。
〔重量平均分子量(Mw)〕
以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を求める。
測定装置
・ポンプ:JASCO(日本分光株式会社)製、PU-980
・カラムオーブン:昭和電工株式会社製、AO-50
・検出器:日立製、RI(示差屈折計)検出器 L-3300
・カラム種類:昭和電工株式会社製「K-805L(8.0×300mm)」及び「K-804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用
・カラム温度:40℃
・ガードカラム:K-G(4.6×10mm)
・溶離液:クロロホルム
・溶離液流量:1.0ml/分
・試料濃度:約1mg/ml
・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ
・検量線用標準試料:昭和電工株式会社製ポリスチレン
〔見かけ粘度〕
JIS K 7199の試験方法A2に準拠して、東洋精機製作所のキャピログラフICを使用し、温度180℃、せん断速度121.6/s、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが10mmの条件下で測定する。
〔メルトマスフローレイト(MFR)〕
ASTM D1238に準拠して、230℃、21.2Nの条件で測定する。
<成分B(ポリプロピレン樹脂)及び成分B’>
〔メルトマスフローレイト(MFR)〕
ASTM D1238に準拠して、230℃、21.2Nの条件で測定する。
〔溶融張力〕
東洋精機製作所のキャピログラフICを使用し、温度180℃、せん断速度121.6/s、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが10mmの条件でピストンを降下させた際にダイから吐出されるストランドを450mm下のロードセル付きプーリーに掛けて2m/minの速度で引き取る。安定後、引き取り速度を3分間で200m/minの速度に達する割合で増加させ、ストランドが破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力とする。なお、ストランドが破断に至らない場合は、引き取り速度を増加させてもロードセル付きプーリーにかかる荷重が増加しなくなった時点の荷重を溶融張力とする。
<成分D(固体滑剤)>
〔平均粒子径〕
走査型電子顕微鏡(SEM)装置を用い、測定する。
一次粒子の形状は、走査型電子顕微鏡観察によって直接観察することができ、任意の粒子を30個選んで長径と短径を測長し、楕円に規格化して断面積を算出することで面積基準の平均粒子径を算出することができる。
測定装置
・SEM:VE−8800(KEYENCE製)
・加速電圧:1.3kV
〔融点〕
示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、JIS K 7121で規定される方法に準拠して10℃/minで昇温して得られる融解ピークの温度を融点とする。融解ピークが複数表れる場合は、より低い温度で表れる融解ピークを融点とする。
実施例1〜15及び比較例1〜7
(1) エラストマー組成物(ペレット)の作製
表5〜7に示す材料をミキサーによりドライブレンドした。ただし、パラフィンオイルを使用する場合は、パラフィンオイル以外の材料をドライブレンドし、これにパラフィンオイルを含浸させて混合物を作製した。
その後、得られた混合物を下記の条件で押出機(連続式混練機)で溶融混練して、ストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって、直径3mm程度、厚さ3mm程度に切断し、エラストマー組成物のペレットを製造した。
〔溶融混練条件〕
押出機:KZW32TW-60MG-NH(商品名、(株)テクノベル製)
シリンダー温度:180〜230℃
スクリュー回転数:300r/min
実施例及び比較例で使用した表5〜7に記載の原料の詳細は以下の通り。
Figure 2017088748
Figure 2017088748
Figure 2017088748
Figure 2017088748
(2) エラストマー組成物の成形体の作製
ペレットを用い、下記の成形体A、Bを作製した。
<成形体A>
ペレットを、下記の条件で射出成形した。冷却後、厚さ2mm×幅125mm×長さ125mmのプレートを金型から外し、未発泡の成形体を作製した。
〔射出成形条件〕
射出成形機:100MSIII-10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度:200℃
射出圧力:59MPa
射出時間:10sec
金型温度:40℃
金型寸法:厚さ2mm、幅125mm、長さ125mm
<成形体B>
ペレットを、下記の条件で射出成形した。射出完了後、すぐに金型を開き(保圧:0sec, 0%、冷却:0sec)、発泡成形体を作製した。
〔射出成形条件〕
射出成形機:100MSIII-10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度:200℃
射出圧力:30%
射出時間:10sec
金型温度:40℃
金型寸法:厚さ5mm、幅95mm、長さ123mm
実施例及び比較例で得られた組成物について、下記の評価を行った。結果を表5〜7に示す。
(1) 柔軟性〔A硬度〕
成形体Aを3枚重ね(合計6mm)としたものについて、JIS K 6253に準拠した測定時間1秒のA硬度(試験開始から1秒後の値)を測定した。測定は温度23℃、湿度50%の室内で1日状態調節の後、実施した。A硬度は90未満が好ましい。
(2) 耐摩耗性〔テーバー摩耗試験〕
成形体Aを用い、JIS K 7204に準拠し、23℃、摩耗輪;H-22、回転速度;72r/min、回転回数;1,000回、荷重;1000gで摩耗損失量(mg)を測定した。摩耗損失量は200mg未満が好ましく、90mg未満がより好ましく、80mg未満がさらに好ましい。
(3) 耐傷つき性〔スクラッチ試験〕
東洋精機製作所製のテーバースクラッチテスタを使用した。成形体Aを用い、タングステンカーバイト製のカッター刃に任意の荷重(0.5〜3.0N)を加え0.5r/minの速度にて試験を実施し、傷の状態を目視にて確認し、以下の評価基準に従って評価した。1N以上の荷重で傷が確認されないことが好ましい。
〔評価基準〕
○:傷が確認されない
×:傷が確認される
(4) 成形性〔結晶化温度〕
JIS K7121に準拠し、サンプル10mgをアルミパンにとり、DSC(パーキンエルマー社製DSC8500)で、冷却速度5℃/minで降温した際の結晶化ピークから結晶化温度を測定した。結晶化温度は90℃以上が好ましい。
(3) 発泡性
(3-1) 発泡倍率
成形体Bの厚み/成形金型の厚み(5mm)の値を発泡倍率として算出した。なお、成形体Bの厚みは、5箇所の厚みの平均値である。発泡倍率は1.7以上が好ましい。
(3-2) 表面性
成形体Bの外観を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、評価した。
〔評価基準〕
◎:表層剥離がみられず、表面に凹凸がなく平滑である
○:表面剥離がみられない
△:成形体表面に通常エクボと呼ばれる凹みが見られる(ヒケの一種と考えられる)
×:ゲート周りに表層剥離が発生している
(3-3) 内部ボイド
成形体Bを厚み方向にカットした断面と、表面の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、評価した。
〔評価基準〕
◎:切断面に粗大気泡(直径2mm以上)が見当たらない
○:切断面に粗大気泡があるものの、表面上では確認できない
×:切断面に粗大気泡があり、表面層が波打って浮いた状態になっている
Figure 2017088748
Figure 2017088748
Figure 2017088748
以上の結果より、実施例1〜15の発泡成形性エラストマー組成物は、発泡成形性が良好であり、柔軟性とともに耐摩耗性及び耐傷つき性も良好であることが分かる。
ポリプロピレン樹脂を配合していない比較例1は、結晶成分がないため結晶化せず、発泡成形体の表面にエクボがみられる。
ポリプロピレン樹脂を過剰に配合した比較例2は、耐傷つき性が不十分である。
メルトマスフローレイトが高すぎるポリプロピレン樹脂を配合した比較例3は、発泡倍率が低い。
ポリプロピレン樹脂の代わりに、低密度ポリエチレン樹脂を配合した比較例4は、結晶化温度が低い。これは、金型内での固まりにくく、サイクル性(作業効率)が悪いことを意味する。また、発泡成形体の表面にエクボがみられる。
見掛け粘度の高い水添スチレン系ブロック共重合体を配合した比較例5は、発泡性が低い。比較例6のように、シリコーン系の固体滑剤を併用しても発泡性は改善されず、また、実施例1と同程度のA硬さ(63)になるまでパラフィンオイルを配合した比較例7では耐傷つき性が顕著に低下する。
本発明の発泡成形用エラストマー組成物は、自動車、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品に有用であり、さらにはグリップ、チューブ、パッキン、ガスケット、クッション体、フィルム、シート等の各種部材に用いられる。

Claims (8)

  1. 水添スチレン系ブロック共重合体Aと、該水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、ポリプロピレン樹脂B 1〜50質量部、及び発泡剤C 0.1〜10質量部を含有してなる、発泡成形用エラストマー組成物であって、
    前記水添スチレン系ブロック共重合体Aが、スチレン系炭化水素重合体ブロックaと共役ジエン化合物重合体ブロックbとからなるブロック共重合体A’の水素添加物であり、重量平均分子量が50,000〜200,000であり、温度180℃、せん断速度121.6/sでの見掛け粘度が500〜4300Pa・sである、水添スチレン系ブロック共重合体であり、
    前記ポリプロピレン樹脂Bが、温度230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトが0.1〜100g/10minである、
    発泡成形用エラストマー組成物。
  2. 水添スチレン系ブロック共重合体Aが、スチレン系炭化水素重合体ブロックaと共役ジエン化合物重合体ブロックbとからなるジブロック共重合体の水素添加物である水添スチレン系ジブロック共重合体を、5〜50質量%含有してなる、請求項1記載の発泡成形用エラストマー組成物。
  3. ポリプロピレン樹脂Bが、温度230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトが1〜100g/10minで、溶融張力が10mN以上であり、歪硬化性を示す改質ポリプロピレン樹脂である、請求項1又は2記載の発泡成形用エラストマー組成物。
  4. さらに、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、シリコーン系の固体滑剤D 1〜20質量部を含有してなる、請求項1〜3いずれか記載の発泡成形用エラストマー組成物。
  5. シリコーン系の固体滑剤Dが、シリコーン変性(メタ)アクリルポリマーである、請求項4記載の発泡成形用エラストマー組成物。
  6. さらに、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、結晶核剤E 0.01〜3.0質量部を含有してなる、請求項1〜5いずれか記載の発泡成形用エラストマー組成物。
  7. 水添スチレン系ブロック共重合体Aが、見かけ粘度が異なる水添スチレン系ブロック共重合体の混合物であり、見かけ粘度が3,000〜5,500Pa・sの水添スチレン系ブロック共重合体を50〜95質量%含有してなる、請求項1〜6いずれか記載の発泡成形用エラストマー組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の発泡成形用エラストマー組成物からなる発泡成形体。
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