JP2017088541A - 異常瘢痕形成抑制剤 - Google Patents

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平井 洋平
Yohei Hirai
洋平 平井
菜々子 葛野
Nanako Kadono
菜々子 葛野
知温 堀米
Toshiharu Horigome
知温 堀米
友美 長谷川
Tomomi Hasegawa
友美 長谷川
安弓 中嶋
Ayumi Nakashima
安弓 中嶋
寛和 金本
Hirokazu Kanemoto
寛和 金本
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Abstract

【課題】異常瘢痕の形成を効果的に抑制できる異常瘢痕形成抑制剤の提供。
【解決手段】硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする、異常瘢痕形成抑制剤。硫酸化グルコサミノグリカンが、ヘパリン類似物質及び/又はヘパラン硫酸である、異常瘢痕形成抑制剤。
【効果】硫酸化グルコサミノグリカンには、創傷の修復過程(未熟瘢痕の形成時期)及び未熟瘢痕の成熟化過程において、コラーゲンの合成と分解を調節する作用があり、異常瘢痕の形成を効果的に抑制できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、未熟瘢痕を正常な成熟瘢痕に導くことにより、肥厚性瘢痕等の異常瘢痕の形成を効果的に抑制できる異常瘢痕形成抑制剤に関する。
創傷治癒過程では、先ず、創面の盛り上がり、赤み、かゆみ、痛み等の症状を伴う未熟瘢痕(創傷と瘢痕の中間的な皮膚状態)が形成される。未熟瘢痕は、線維芽細胞が分泌するコラーゲンを主体とした肉芽組織によって構成されており、損傷組織を修復する役割を果たす。未熟瘢痕は、通常は、半年から1年位経過すると、赤みがとれた白い平らな成熟瘢痕に変化する。そして、成熟瘢痕は、徐々に消失してほとんど目立たなくなるが、深い傷等の場合には成熟瘢痕が消失せずに残ることがある。また、未熟瘢痕が成熟化せずに、炎症が続き、創面が盛り上がった赤色隆起性病変が認められる肥厚性瘢痕が形成される場合がある。
このような異常瘢痕は、醜形による美容上の問題にとどまらず、痛み、かゆみ、拘縮、つっぱり、しこり等の症状を伴い、健康上の問題にもなっている。そのため、このような異常瘢痕については、予防及び治療が重要になっている。
従来、異常瘢痕を治療する薬剤について種々報告されている。例えば、特許文献1には、皮膜形成性担体中に局所用ステロイドとシリコーンゲルとの混合物を含有させてなる組成物が瘢痕の縮小や外観改善に有効であることが報告されている。また、特許文献2には、プロテウス・ブルガリス由来のコンドロイチナーゼABCが、肥厚性瘢痕の理療に有効であることが報告されている。
このように、従来、一旦形成された異常瘢痕を治療する薬剤については多くの報告がなされているが、予防的見地から、未熟瘢痕を正常な成熟瘢痕に導くことにより異常瘢痕の形成を抑制する薬剤については殆ど検討がなされていない。また、異常瘢痕について、一旦形成されたものを除去する作用メカニズムと、形成を抑制する作用メカニズムは異なるため、異常瘢痕を治療する薬剤は、異常瘢痕の形成抑制目的では適用できないと考えられている。
このような従来技術を背景として、消失せずに残存してしまう成熟瘢痕や肥厚性瘢痕等の異常瘢痕の形成を効果的に抑制できる薬剤の開発が切望されている。
特表2003−514835号公報 国際公開第2009/072654号パンフレット
本発明は、肥厚性瘢痕等の異常瘢痕の形成を効果的に抑制できる異常瘢痕形成抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、硫酸化グルコサミノグリカンには、創傷の修復過程(未熟瘢痕の形成時期)及び未熟瘢痕の成熟化過程において、コラーゲンの合成と分解を調節する作用があり、異常瘢痕の形成を効果的に抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする、異常瘢痕形成抑制剤。
項2. 前記硫酸化グルコサミノグリカンが、ヘパリン類似物質及び/又はヘパラン硫酸である、項1に記載の異常瘢痕形成抑制剤。
項3. 肥厚性瘢痕の予防剤である、項1又は2に記載の異常瘢痕形成抑制剤。
項4. 未熟瘢痕が形成された皮膚に適用される、項1〜3のいずれかに記載の異常瘢痕形成抑制剤
項5. 皮膚外用剤である、項1〜4のいずれかに記載の異常瘢痕形成抑制剤。
本発明の異常瘢痕形成抑制剤によれば、創傷の修復過程(未熟瘢痕の形成時期)ではコラーゲンの合成を促進し、創傷治癒効果を高めると共に、未熟瘢痕の成熟化過程ではコラーゲンの分解を促進するので、消失せずに残存してしまう成熟瘢痕や肥厚性瘢痕等の異常瘢痕の形成を効果的に抑制することができる。特に、本発明の異常瘢痕形成抑制剤では、肥厚性瘢痕の形成を効果的に抑制できるので、肥厚性瘢痕の予防剤として好適に使用できる。
ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の存在下で瘢痕皮膚由来の線維芽細胞を培養し、培養前期(ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から7日後まで)と培養後期(ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から7〜14日後)において、培養液中に分泌されたコラーゲン量を測定した結果を示す図である。 ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の存在下で瘢痕皮膚由来の線維芽細胞を培養し、培養後期(ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から7〜14日後)において、培養液中に分泌されたマトリックスメタロプロテアーゼ量を測定した結果を示す図である。
本発明の異常瘢痕形成抑制剤は、硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする。以下、本発明の異常瘢痕形成抑制剤について詳述する。
硫酸化グルコサミノグリカン
硫酸化グルコサミノグリカンとは、アミノ糖を構成単位の1つとして含み、硫酸基を有しているムコ多糖である。
本発明で使用される硫酸化グルコサミノグリカンの種類については、薬学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、例えば、ヘパリン類似物質、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン等が挙げられる。なお、硫酸化グルコサミノグリカンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン等の金属塩;アンモニウム塩等の塩の形態であってもよい。
これらの硫酸化グルコサミノグリカンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、より一層効果的に異常瘢痕形成抑制作用を発揮させるという観点から、好ましくはヘパリン類似物質及びヘパラン硫酸、更に好ましくはヘパリン類似物質が挙げられる。
また、硫酸化グルコサミノグリカンの由来については、特に制限されず、例えば、ムコ多糖類を多硫酸化することにより得られたもの、食用獣の組織(例えば、ヘパリン類似物質の場合であれば、ウシやブタ等の気管軟骨を含む肺臓)等から抽出したもの等が挙げられる。
また、例えば、硫酸化グルコサミノグリカンとしてヘパリン類似物質を使用する場合であれば、日本薬局方外医薬品規格に収戴されているヘパリン類似物質が好適である。
本発明の異常瘢痕形成抑制剤における硫酸化グルコサミノグリカンの配合量については、当該異常瘢痕形成抑制剤の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の異常瘢痕形成抑制剤は、前記硫酸化グルコサミノグリカンの他に、必要に応じて、他の薬理成分を含有していてもよい。このような薬理成分としては、例えば、抗ヒスタミン剤(グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等)、局所麻酔剤(プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、清涼化剤(メントール、カンフル等)、ビタミン類(ビタミンA等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン等)等が挙げられる。
また、本発明の異常瘢痕形成抑制剤は、所望の製剤形態にするために、必要に応じて、基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、水、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)等の水性基剤;油類(オリーブ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ラード、スクワラン、魚油等)、鉱物油(流動パラフィン、パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン等)、ワックス類・ロウ類(ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル等)、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラノリン等)、脂肪酸エステル(パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル等)、高級アルコール(ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等)、コレステロール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン等)等の油性基剤;POE(10〜50モル)フィトステロールエーテル、POE(10〜50モル)ジヒドロコレステロールエーテル、POE(10〜50モル)2−オクチルドデシルエーテル、POE(10〜50モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)オレイルエーテル、POE(2〜50モル)セチルエーテル、POE(5〜50モル)ベヘニルエーテル、POE(5〜30モル)ポリオキシプロピレン(5〜30モル)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)ポリオキシプロピレン(2〜30モル)セチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、これらのリン酸・リン酸塩(POEセチルエーテルリン酸ナトリウムなど)、POE(20〜60モル)ソルビタンモノオレート、POE(10〜60モル)ソルビタンモノイソステアレート、POE(10〜80モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜30モル)グリセリルモノステアレート、POE(20〜100モル)・ポリオキシプロピレン変性シリコーン、POE・アルキル変性シリコーン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジリシノレイン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(5〜100)、ポリソルベート(20〜85)、グリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸グリセリン等)、水素添加大豆リン脂質、水素添加ラノリンアルコール等の界面活性剤;清涼化剤(メントール、カンフル、ボルネオール、ハッカ水、ハッカ油等)、防腐剤(メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等)、着香剤(シトラール、1,8−シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、粘稠剤(カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、湿潤剤(dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D−ソルビトール液、マクロゴール等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、DL−アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。
製剤形態
本発明の異常瘢痕形成抑制剤は、皮膚外用剤、内服剤等のいずれの剤型であってもよいが、異常瘢痕形成をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくは皮膚外用剤が挙げられる。
本発明の異常瘢痕形成抑制剤を皮膚外用剤として使用する場合、その形状については、経皮適用できることを限度として特に制限されないが、例えば、液状、固形状、半固形状(ゲル状、軟膏状、ペースト状)等が挙げられる。
また、本発明の異常瘢痕形成抑制剤を皮膚外用剤として使用する場合、その製剤形態については、経皮適用できることを限度として特に制限されないが、例えば、皮膚外用医薬品、皮膚外用医薬部外品、化粧料、皮膚洗浄料等が挙げられる。本発明の異常瘢痕形成抑制剤を皮膚外用剤にする場合の製剤形態として、具体的には、クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、貼付剤、エアゾール剤、軟膏剤、パック剤等の皮膚外用医薬品;クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、貼付剤、エアゾール剤、軟膏剤、パック剤等の皮膚外用医薬部外品;クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、軟膏剤、パック剤等の化粧料;ボディーシャンプー、ヘアシャンプー、リンス等の皮膚洗浄料等が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、好ましくは皮膚外用医薬品、更に好ましくはクリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、パック剤が挙げられる。
用途・用量
本発明の異常瘢痕形成抑制剤は、創傷の修復過程(未熟瘢痕の形成時期)ではコラーゲンの合成を促進することにより創傷治癒効果を高め、更に未熟瘢痕の成熟化過程ではコラーゲンの分解を促進することにより、正常な成熟瘢痕の形成を促し、異常瘢痕が皮膚に形成されるのを抑制できるので、消失せずに残存する成熟瘢痕や肥厚性瘢痕等の異常瘢痕の形成抑制の目的で使用される。特に、本発明の異常瘢痕形成抑制剤は、未熟瘢痕の成熟化の過程で、コラーゲンの分解を促進することにより、未熟瘢痕を正常な成熟瘢痕に導くことができるので、肥厚性瘢痕の予防剤として好適である。
本発明の異常瘢痕形成抑制剤は、異常瘢痕の形成抑制、即ち異常瘢痕の予防を目的として使用されるので、成熟瘢痕や肥厚性瘢痕が形成される前段階(即ち、未熟瘢痕が形成されている段階)で投与される。ここで、未熟瘢痕とは、創傷治癒の初期段階(創傷治癒開始から6〜12カ月以内程度)に認められる創傷と瘢痕の中間的な皮膚状態であり、線維芽細胞が分泌するコラーゲンを主体とした肉芽組織(幼弱瘢痕組織)が形成された状態で、創面の盛り上がり、赤み、かゆみ、痛み等の症状を伴う皮膚状態を指す。
また、本発明の異常瘢痕形成抑制剤の用量については、剤形、製剤形態、適用する症状の程度等に応じて適宜設定すればよい。例えば、本発明の異常瘢痕形成抑制剤を外用剤として使用する場合であれば、その用量の一例として、1回当たり、皮膚1cm2当たり、硫酸化グルコサミノグリカンが0.1〜3mg程度となる量で、1日1〜数回程度の頻度が挙げられる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1:硫酸化グルコサミノグリカンによる皮膚コラーゲン合成への影響
硫酸化グルコサミノグリカンが線維芽細胞のコラーゲン合成能に与える影響を評価するために以下の実験を行った。
1.実験材料
・細胞:HDF105;ヒト肥厚性瘢痕由来の線維芽細胞(Cell Research Corp, Singapore)
・培地:血清入り;D-MEM/Ham's F-12(和光純薬工業株式会社)/10%FCS添加
無血清;D-MEM/Ham's F-12(和光純薬工業株式会社)
・コラーゲン測定方法:ウェスタンブロッティング法(SDS-PAGE電気泳動法、CBB染色法)
・被験物質:コントロール;無添加
サンプル;ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質
2.実験方法
血清入り培地7〜8mLを入れたシャーレに細胞を播種し、コンフルエントになるまで、37℃、5%CO2条件下で培養した。細胞がコンフルエントになったところで培養液を捨て、無血清培地で一度細胞の洗浄を行った後、無血清培地を7〜8mLを加えてヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質を0.25mg/mLとなるように添加し、37℃、5%CO2条件下で培養を続けた。添加開始から7日後に培養上清を回収し、新しい無血清培地及びヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質を0.25mg/mLとなるように添加し、37℃、5%CO2条件下で培養を続けた。更に7日後(ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から14日後)に培養上清を回収した。
ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から7日後及び14日後に回収した培養上清に、それぞれ硫酸アンモニウムを添加し(終濃度75重量%)、4℃で48時間静置した。その後、遠心分離(13000rpm、30min)を行い、沈殿を回収した。次いで、ウェスタンブロット法により、沈殿に含まれるコラーゲンの量を調べた。
3.実験結果
得られた結果を図1に示す。図1中、サンプルの添加開始から7日後に回収した培養上清をday0−7、サンプルの添加開始から14日後に回収した培養上清をday7−14とした。なお、図1において、150kDa付近に認められるバンドがコラーゲンに該当している。
未熟瘢痕の形成と成熟化の過程において、コラーゲンが過剰形成されると患部の盛り上がりが引き起こされ、逆に過剰分解されると創傷の治癒が進まなくなるため、コラーゲンの合成と分解の適正なバランスは未熟瘢痕の形成と成熟化において重要である。
図1に示されるように、ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質を添加した条件では、細胞のコラーゲン分泌が促進された。特に、ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から7日後までに、コラーゲン分泌は著しく増加し、ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から7〜14日後でのコラーゲン分泌の増加は僅かであった。以上の結果から、ヘパラン硫酸及びヘパリン類似物質は、創傷治癒過程の修復時期(未熟瘢痕の形成時期)にはコラーゲン合成を著しく促進し、未熟瘢痕の成熟化の時期には過剰に作られたコラーゲンの分解を促進する効果、即ちコラーゲンの合成と分解を調節する効果を有する可能性が考えられた。そこで、このことを検証するために、以下の試験例2において、硫酸化グルコサミノグリカンがコラーゲン分解に及ぼす影響を検証した。
試験例2:硫酸化グルコサミノグリカンによる皮膚コラーゲン分解への影響
硫酸化グルコサミノグリカンが線維芽細胞のコラーゲン分解能に与える影響を評価するために以下の実験を行った。
1.実験材料
・細胞:HDF105;ヒト肥厚性瘢痕由来の線維芽細胞(Cell Research Corp, Singapore)
・培地:血清入り;D-MEM/Ham's F-12(和光純薬工業株式会社)/10%FCS添加
無血清;D-MEM/Ham's F-12(和光純薬工業株式会社)
・マトリックスメタロプロテアーゼの測定方法:ゼラチンザイモグラフィー法
・被験物質:コントロール;無添加
サンプル;ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質
2.実験方法
血清入り培地7〜8mLを入れたシャーレに細胞を播種し、コンフルエントになるまで、37℃、5%CO2条件下で培養した。細胞がコンフルエントになったところで培養液を捨て、無血清培地で一度細胞の洗浄を行った後、無血清培地を7〜8mLを加えてヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質を0.25mg/mLとなるように添加し、37℃、5%CO2条件下で培養を続けた。添加開始から7日後に新しい無血清培地に培地を交換し、更にヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質を0.25mg/mLとなるように添加し、37℃、5%CO2条件下で培養を続けた。更に7日後(ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から14日後)に培養上清を回収した。
ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から14日後に回収した培養上清に、それぞれ硫酸アンモニウムを添加し(終濃度75%飽和)、4℃で48時間静置した。その後、遠心分離(13000rpm、30min)を行い、沈殿を回収した。ゼラチンザイモグラフィー法により、沈殿のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)活性を調べた。
3.実験結果
得られた結果を図2に示す。サンプルの添加開始から14日後に回収した培養上清をday7−14とした。なお、図2において、矢印を付しているバンドがマトリックスメタロプロテアーゼに該当している。
図2から明らかなように、ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質を添加した条件では、ヘパラン硫酸又はヘパリン類似物質の添加開始から7〜14日後に、コラーゲン分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼの発現量が増大していた。この結果は、ヘパラン硫酸及びヘパリン類似物質には、未熟瘢痕の成熟化の時期には過剰に作られたコラーゲンの分解を促進する効果があることを支持する内容である。
即ち、試験例1及び2の結果から、硫酸化グルコサミノグリカンは、創傷治癒過程の修復時期(未熟瘢痕の形成時期)及び未熟瘢痕の成熟化の時期において、コラーゲンの合成と分解を調節する作用を有することが確認された。
試験例3:肥厚性瘢痕形成の抑制効果の評価
皮膚の未熟瘢痕(創傷後半年以内の瘢痕)に、盛り上がり又は/及びつっぱりがあり、かつ赤み又は/及びくすみが認められ、肥厚性瘢痕発症予備軍である被験者6名によって、表1に示すクリーム剤の肥厚性瘢痕形成抑制効果を評価した。具体的な試験方法及び試験結果は、以下の通りである。
1.試験方法
被験者(肥厚性瘢痕発症予備軍)6名に対し、表1に示す実施例1のクリーム剤を患部に塗布した。なお、クリーム剤の塗布は、患部に対して200mgを1日1回の頻度で1カ月間行った。
表中、各成分の配合量の単位は「重量%」である。
クリーム剤の塗布1ヶ月後に、患部の盛り上がり・つっぱり、及び赤み・くすみについて目視にて観察し、下記判定基準に従って評価した。
<判定基準>
評点
5:クリーム剤の塗布前に比べて、著しく改善した
4:クリーム剤の塗布前に比べて、改善した。
3:クリーム剤の塗布前に比べて、僅かに改善した。
2:クリーム剤の塗布前に比べて、殆ど改善が認められなかった。
1:クリーム剤の塗布前に比べて、改善が認められなかった。
2.試験結果
得られた結果を表2に示す。表2から明らかなように、全被験者において、盛り上がり・つっぱり、赤み・くすみの症状に対して改善が認められた。このことは、ヘパリン類似物質を含むクリーム剤(実施例1)によって、未熟瘢痕が正常な成熟化過程をたどり、肥厚性瘢痕になるのを抑制できたことを示している。
処方例
表3〜4に示す組成のクリーム剤(処方例1〜8)、表5に示すローション剤(処方例9〜14)、表6に示すジェル剤(処方例15〜19)、及び表7〜8に示す乳液剤(処方例20〜29)を調製した。これらの製剤は、いずれも、前記試験例3の場合と同様に、ヘパリン類似物質を含有しない製剤に比べて、患部の盛り上がりやつっぱり、赤みの残った肥厚性瘢痕等の異常瘢痕の形成を抑制する効果が期待できる。
表中、各成分の配合量の単位は「重量%」である。
表中、各成分の配合量の単位は「重量%」である。
表中、各成分の配合量の単位は「重量%」である。
表中、各成分の配合量の単位は「重量%」である。
表中、各成分の配合量の単位は「重量%」である。
表中、各成分の配合量の単位は「重量%」である。

Claims (5)

  1. 硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする、異常瘢痕形成抑制剤。
  2. 前記硫酸化グルコサミノグリカンが、ヘパリン類似物質及び/又はヘパラン硫酸である、請求項1に記載の異常瘢痕形成抑制剤。
  3. 肥厚性瘢痕の予防剤である、請求項1又は2に記載の異常瘢痕形成抑制剤。
  4. 未熟瘢痕が形成された皮膚に適用される、請求項1〜3のいずれかに記載の異常瘢痕形成抑制剤。
  5. 皮膚外用剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の異常瘢痕形成抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019151286A1 (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 マルホ株式会社 皮膚外用組成物

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WO2019151286A1 (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 マルホ株式会社 皮膚外用組成物

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