JP2017088529A - 黄色ブドウ球菌の免疫学的検出 - Google Patents

黄色ブドウ球菌の免疫学的検出 Download PDF

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哲雄 富山
Tetsuo Tomiyama
哲雄 富山
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Abstract

【課題】イムノクロマト法を用いた黄色ブドウ球菌感染の検出に適用可能な特異的抗体及びそれを用いた検出試薬などを提供することを課題とする。【解決手段】黄色ブドウ球菌デオキシリボヌクレアーゼに対するモノクローナル抗体及びそれを用いたイムノクロマトグラフィー試験デバイスが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の免疫学的検出に関する。詳しくは、黄色ブドウ球菌の検出に有用なモノクローナル抗体、それを用いた検出試薬及びその用途(イムノクロマトグラフィー試験デバイス、黄色ブドウ球菌感染検査法)等に関する。
黄色ブドウ球菌は膿痂疹、せつ、癰のような限局性膿瘍の他に、敗血症、髄膜炎、肺炎、食中毒などの重症感染症もおこす。これらの疾患は黄色ブドウ球菌の他に、グラム陰性桿菌をはじめとした多種類の細菌によっても引き起こされる。黄色ブドウ球菌による感染は特に頻度が高く、しかも治療に使用できる抗生物質は黄色ブドウ球菌用の特殊な薬剤であるため、病原菌の特定が急がれる。黄色ブドウ球菌は培養の容易な細菌であるが、検査のための培養には通常1〜3日を要し、迅速に対応することは困難である。通常、培養に先立って直接顕微鏡による検査が行われるが、黄色ブドウ球菌と他の非病原性のブドウ球菌を判別することはできない。これまでにも、様々な黄色ブドウ球菌の検査法が提案されているが(例えば特許文献1、2)、簡便性、迅速性又は感度の点において、臨床現場において実用に耐えるものとは言い難い。
国際公開第2004/048975号パンフレット 特開平06−088824号公報
イムノクロマトグラフィー法(以下、「イムノクロマト法」という)は操作が簡便であり、特別な装置は不要であり、更には短時間(例えば10〜20分)での測定が可能である。言い換えれば、イムノクロマト法による検出は簡便性及び迅速性の点で他の検出法を凌駕する。そこで本発明は、イムノクロマト法を用いた黄色ブドウ球菌感染の検出に適用可能な特異的抗体及びそれを用いた検出試薬などを提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく検討を進める中で本発明者は、黄色ブドウ球菌の指標抗原としてはタイコ酸、プロテインA、コアグラーゼなど多種類存在するが、黄色ブドウ球菌と他菌種のブドウ球菌を判別できる種特異的で、しかも多量に分泌される抗原としてデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)が最も適当であると考え、イムノクロマト法に適用可能なモノクローナル抗体(抗DNase抗体)の取得を目指した。その結果、特異性に極めて優れ、イムノクロマト法による黄色ブドウ球菌の検出を可能にする複数の抗体の取得に成功した。実際、取得に成功した抗体を組み合わせてイムノクロマト法を実施したところ、黄色ブドウ球菌のみ陽性を示した。
以下の発明は上記の成果に基づく。
[1]イムノクロマトグラフィー用である、黄色ブドウ球菌デオキシリボヌクレアーゼに対するモノクローナル抗体。
[2]前記モノクローナル抗体が、(1)受領番号:NITE ABP−02140のハイブリドーマによって産生される抗体、又は(2)受領番号:NITE ABP−02141のハイブリドーマによって産生される抗体である、[1]に記載のモノクローナル抗体。
[3][1]又は[2]に記載のモノクローナル抗体を含む、黄色ブドウ球菌検出試薬。
[4]前記モノクローナル抗体が、着色合成高分子粒子又は金属コロイド粒子で標識されている、[3]に記載の検出試薬。
[5]前記金属コロイド粒子が金コロイド粒子である、[4]に記載の検出試薬。
[6][3]〜[5]のいずれか一項に記載の検出試薬を含む、黄色ブドウ球菌検出キット。
[7]黄色ブドウ球菌デオキシリボヌクレアーゼに対するモノクローナル抗体からなる第1特異的抗体、黄色ブドウ球菌デオキシリボヌクレアーゼに対するモノクローナル抗体からなる第2特異的抗体、及び膜担体を備え、
前記第1特異的抗体が前記膜担体に固定化されて検出部を構成し、
前記第2特異的抗体は標識物質で標識されており、且つ前記検出部から離れた位置に担持されている、イムノクロマトグラフィー試験デバイス。
[8]前記第1特異的抗体が、受領番号:NITE ABP−02141のハイブリドーマによって産生される抗体であり、
前記第2特異的抗体が、受領番号:NITE ABP−02140のハイブリドーマによって産生される抗体である、
[7]に記載の試験デバイス。
[9]前記標識物質が着色合成高分子粒子又は金属コロイド粒子である、[7]又は[8]に記載の試験デバイス。
[10]前記金属コロイド粒子が金コロイド粒子である、[9]に記載の試験デバイス。
[11][7]〜[10]のいずれか一項に記載のイムノクロマトグラフィー試験デバイスを用いた黄色ブドウ球菌感染検査法。
[12][1]又は[2]に記載のモノクローナル抗体を金属コロイド粒子で標識した標識化抗体。
[13]前記金属コロイド粒子が金コロイド粒子である、[12]に記載の標識化抗体。
[14]受領番号がNITE ABP−02140又はNITE ABP−02141のハイブリドーマ。
テストストリップの構成の一例。
後述の実施例に示すように、黄色ブドウ球菌のDNaseを抗原とした免疫学的手法によって、イムノクロマト法による黄色ブドウ球菌の検出に有用な2種類のモノクローナル抗体が得られた。言い換えれば、イムノクロマト法に適用可能な抗DNaseモノクローナル抗体の取得に成功した。この成果は、抗DNaseモノクローナル抗体がイムノクロマト法による黄色ブドウ球菌の検出に有用であることを示すものでもある。本発明の第1の局面は当該成果ないし知見に基づくものであり、イムノクロマト法に用いられることを特徴とする、黄色ブドウ球菌のDNaseに対するモノクローナル抗体を提供する。特に好ましいモノクローナル抗体は、後述の実施例に示した二つのモノクローナル抗体(識別のために、DN1及びDN13のクローン番号が付与された)である。これらの抗体を産生するハイブリドーマクローンは、下記の通り、所定の寄託機関に寄託されている。
<ハイブリドーマクローンDN1>
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818) 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室
寄託日(受領日):2015年10月21日
受領番号:NITE ABP−02140
<ハイブリドーマクローンDN13>
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818) 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室
寄託日(受領日):2015年10月21日
受領番号:NITE ABP−02141
本発明のモノクローナル抗体(抗DNase抗体)は、本明細書の情報を参考にすれば、常法に従って作製したハイブリドーマから得ることができる。例えば、必要に応じて適切なアジュバントと混合したDNaseで適切な哺乳動物(例えばマウス、ラットなど)を免疫する。そして、当該動物の脾臓細胞、Bリンパ球などの抗体産生細胞を、適切な動物(例えばマウス、ラットなど)由来の骨髄腫細胞と融合させることにより、ハイブリドーマを得ることができる。細胞融合は、例えば適切な培地中で抗体産生細胞と骨髄腫細胞とをポリエチレングリコールなどの存在下で融合させるポリエチレングリコール(PEG)法などにより行うことができる。細胞融合後、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含む培地)などの選択培地でハイブリドーマを選別し、DNaseを認識する抗体を産生するハイブリドーマの能力について、常法(例えば、EIA法)に従ってスクリーニングを行う。次いで、所望の抗体を産生するハイブリドーマを常法(例えば限界希釈法)に従ってクローニングし、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
本発明のモノクローナル抗体は、必要に応じて標識化される。標識化は常法で行えばよい。標識化に利用する標識物質としては不溶性粒状物質が望ましい。不溶性粒状物質としては、ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体などの合成高分子を色素分子で標識して得られる着色合成高分子粒子、金属コロイド粒子(金、銀、銅、鉄、白金、パラジウム、これらの混合物(例えば、金と白金の混合物、金と銀の混合物、パラジウムと白金の混合物)のコロイド粒子)、赤血球などが挙げられる。変化を目視で簡便かつ迅速に観察できる粒子が好ましく、着色合成高分子粒子又は金属コロイド粒子を採用するとよい。粒子の粒径は、例えば15〜100nm、好ましくは30〜80nmである。金属コロイド粒子は市販品を用いても良いし、常法により調製しても良い。金属コロイド粒子の中でも、利用し易い等の理由から、金コロイド粒子が好ましい。
金属コロイド粒子の場合を例として標識化の方法を説明すると、金属コロイド粒子溶液(通常、540nmにおける吸光度が約2.0)1Lに対して、通常、0.1〜100mg、好ましくは0.5〜20mgの抗DNase抗体を添加し、冷蔵または室温で5分〜24時間撹拌する。次いで、ウシ血清アルブミン(BSA)(通常、0.01〜10g、好ましくは0.1〜2g)などでブロッキングし、遠心分離後の沈殿として、金属コロイド粒子で標識された抗DNase抗体を得ることができる。緩衝液としては、免疫学的試験に通常使用される緩衝液、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液などを用いることができる。緩衝液のpHは通常4.5〜9.5、好ましくは5.5〜8.5の範囲である。
本発明のモノクローナル抗体は黄色ブドウ球菌検出試薬の有効成分として有用である。換言すれば、本発明のモノクローナル抗体を用いて黄色ブドウ球菌検出試薬を構成できる。本発明のモノクローナル抗体を有効成分とした黄色ブドウ球菌検出試薬(本発明の試薬)はイムノクロマト法に利用できる点において特徴的である。
本発明の試薬は、イムノクロマト法を利用した簡便、迅速且つ高感度の黄色ブドウ球菌感染の検出を可能とする。本発明の試薬を検出キットの要素として用いることもできる。即ち、本願は、本発明の試薬を主要構成要素として含む検出キットも提供する。検出法を実施する際に使用するその他の試薬(展開用溶媒、緩衝液など)及び/又は装置ないし器具(容器、反応装置など)をキットに含めてもよい。また、抗原(DNase又はその一部)をキットに含めてもよい。尚、通常、本発明のキットには取り扱い説明書が添付される。
本発明のモノクローナル抗体(抗DNase抗体)を用い、黄色ブドウ球菌感染検出用の試験器具(イムノクロマトグラフィー試験デバイス)を構築することができる。即ち、本発明は、特定の抗DNase抗体を用いた、イムノクロマトグラフィー試験デバイスも提供する。本発明の試験デバイスは、抗DNase抗体である第1特異的抗体、及び同様に抗DNase抗体である第2特異的抗体、及び膜担体を備える。好ましくは、第1特異的抗体としてはクローンDN13を用いる。一方、第2特異的抗体としてはクローンDN1を用いる。当該組合せによれば、極めて高い特異性で黄色ブドウ球菌を検出可能になる。
第1特異的抗体は膜担体に固定化されて検出部を構成する。一方、第2特異的抗体は標識物質で標識されており、検出部から離れた位置に担持されている。
本明細書において、「固定」とは、抗体が移動しないように膜等の担体に配置されることを意味する。「担持」とは、担体の中又は表面を移動可能に配置されることを意味する。以下、図1(具体例であるテストストリップ)を参照しながら、試験デバイスの構成を説明する。第1特異的抗体は捕捉抗体であり、担体に固定されて検出部を構成する。「検出部」とは、抗原抗体反応によって形成される、検体中の抗原と第2特異的抗体の複合体を捕捉し、抗原の存在を検出する部位をいう。
担体には、静電作用や疎水相互作用等の物理的作用によりタンパク質を結合でき、且つ検体中の成分、抗原−第2特異的抗体複合体などを展開できる材質のものが用いられる。膜担体の材質としてニトロセルロース、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、セルロースアセテートを挙げることができる。好ましくは、担体は膜状(膜担体)である。検出部に加え、検体が適切に展開されたか否かを確認するための対照部を担体が備えることが好ましい。対照部には、第2特異的抗体に結合可能な物質が固定されている。好ましくは、検出部と対照部は、担体上に、展開方向を横断する方向で線状に設置され得る(それぞれ「テストライン」および「コントロールライン」とも称される)。担体上の検出部及び対照部の位置関係は限定されないが、通常は、検出部よりも下流側に対照部が形成される。
捕捉抗体、及び第2特異的抗体に結合可能な物質の固定方法は、担体の種類に応じて、常法に従って行うことができる。例えば、適切に希釈した抗体溶液を、市販の抗体塗布機を用いて塗布し、乾燥することで固定することができる。検出部に固定される捕捉抗体の量は、好ましくは0.05〜10μgであり、より好ましくは0.1〜3μgである。
第2特異的抗体は、標識物質で標識された抗体、即ち「標識抗体」であり、検出部とは離れた位置において膜などの担体に担持されている。典型的には、標識抗体を担持する担体は、捕捉抗体を固定化する担体とは別の部材である。第2特異的抗体(標識抗体)を担持している標識抗体担持部材は、検出部よりも上流側に配置される。標識抗体担持部材は、乾燥状態で標識抗体を担持し、液体で浸潤すると標識抗体を放出する。標識抗体担持部材の材質としては、グラスファイバー、セルロースファイバー、プラスチックファイバーなどが挙げられる。標識抗体を含む適切な緩衝液に標識抗体担持部材を含浸させるか、または標識抗体を含む適切な緩衝液を標識抗体担持部材に添加して乾燥することにより、標識抗体担持部材に標識抗体を担持させることができる。標識抗体担持部材に担持させる標識抗体の量は好ましくは0.01〜1μgであり、より好ましくは0.03〜0.3μgである。
検体添加部材は、標識抗体担持部材の上流側に配置され、好ましくは、検体添加部材中の少なくとも下流側領域の下面が、標識抗体担持部材中の上流側の領域の上面と接触している。標識抗体担持部材の一部が、検体添加部材の下面と担体の上流側の領域の上面との間に挟み込まれていることが好ましい。好ましくは、担体の下流に配置される吸収部材が備えられる。吸収部材は、その上流側領域の下面が、担体の検出部よりも下流側に存在する領域の上面と接触するよう配置される。
本発明の試験デバイスでは、必要に応じて前処理した液体状の検体を検体添加部材に滴下すると、標識抗体担持部材に浸潤し、検体と標識抗体との混合物が担体(典型的には膜担体)に移動し、担体中にて検出部に向けて展開する。検体に黄色ブドウ球菌のDNase(抗原)が含まれる場合(即ち、黄色ブドウ球菌感染症例の場合)、当該抗原と標識抗体とが免疫複合体を形成する。そして、検出部において抗原抗体反応によって、当該複合体が捕捉抗体に捕捉され、集積して発色する。従って、検出部における呈色の度合いを目視で観察し、検体中の抗原の有無を判定することが可能となる。担体が対照部を備える場合には、検体中の抗原と複合体を形成せずに残留する標識抗体が検出部を素通りし、下流の対照部に固定された、標識抗体に結合可能な物質に捕捉され、集積して発色することになる。
本発明の試験デバイスに供する検体は、黄色ブドウ球菌を含む可能性のある検体である。検体として用いることが可能な生体由来材料としては、膿汁、化膿部位の組織、喀痰、咽頭拭い液、鼻咽頭液、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液、気管支吸引液が挙げられるが、これに限定はされない。
検体の前処理として、黄色ブドウ球菌感染が疑われる被検体から採取された生体由来材料を前処理試薬に溶解し、試験デバイスに滴下するための液体を調製することが挙げられる。このような前処理は、検体を展開可能にするため、或いは検体の良好な展開を可能にするために行われる。前処理試薬には各種緩衝液を用いることができる。緩衝液としては、免疫学的試験に通常使用される緩衝液、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グッド緩衝液などを用いることができる。非特異的結合反応を低下させる目的で前処理試薬に界面活性剤を含有させても良い。界面活性剤としてはTriton X-100(商品名、ポリエチレングリコールモノ-p-イソオクチルフェニルエーテル)、Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、CHAPS(3-[(3- コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルフォン酸)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)などを用いることができる。2種類以上の界面活性剤を併用してもよい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
1.黄色ブドウ球菌のDNaseに特異的なモノクローナル抗体の作製(免疫及び抗体の精製)
以下の方法で、抗原タンパク質に対する特異的モノクローナル抗体の取得を試みた。
<材料>
(1)抗原
黄色ブドウ球菌のDNase
(2)免疫動物
BALB/cAマウス 6週齢メス(日本クレア株式会社) 3匹
(3)アジュバント
TiterMaxGold(G-3 フナコシ)
(4)マウスミエローマ細胞
P3U1
(5)培地・器材・試薬
RPMI-1640培地(11875-119 GIBCO)
ピルビン酸ナトリウム溶液(11360-070 GIBCO)
ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン溶液(10378-016 GIBCO)
HATサプリメント(21060-017 GIBCO)
HTサプリメント(11067-030 GIBCO)
FBS (S1560 BWT社)
PEG1500(783641 ロッシュ)
DMS0 (D2650 SIGMA)
96ウェル培養プレート(92696 TPP)
24ウェル培養プレート(92424 TPP)
滅菌シャーレ(34153 ニプロ)
凍結用チューブ(MS-4503 住友ベークライト)
(6)抗体スクリーニング器材・試薬
ELISAマイクロプレート(442404 nunc)
抗マウスIgG標識抗体(1030-04 コスモバイオ)
モノクローナル抗体アイソタイピングキット(1493027 ロッシュ)
(7)マウス腹水化・抗体精製
BALB/cAマウス リタイヤメス(日本クレア株式会社)
プリスタン(42-002 コスモバイオ)
HiTrapProtein G(17-0404-03 GEヘルスケア)
<方法>
(1)マウスへの免疫感作
1.6mg/mlに調整したDNaseとTiterMaxGoldを等量混合し、ガラスシリンジを用いエマルジョンを調製した。BALB/cAマウスの皮下へ100μg相当の抗原を2週間を空けて2回に分けて投与し、その1〜2週間後に抗原溶液のみを40μg皮下投与し、その3日後に麻酔下で全採血を行い、脾臓及び各種リンパ節を採取した。
(2)ミエローマ細胞の培養
RPMI1640培地にピルビン酸とグルタミン酸、ペニシリン−ストレプトマイシンを添加した培地(RPMI培地)にFBSを10%となるように加えたものを使用してマウスミエローマ細胞(P3U1)を継代培養した。細胞融合には対数増殖期の形態のしっかりしたものを用いた。
(3)細胞融合
感作されたマウスから採取した各リンパ組織を♯200メッシュの上で細切りし、シリコン栓を装着したガラス棒で軽く押さえ、培地を加えながらリンパ球を濾過、採取した。1200rpm 10分の遠心処理で細胞を洗浄し、細胞数をカウントした。ミエローマ細胞は50mlコニカルチューブへ移し、細胞数をカウントし、1000rpm 5分の遠心処理により洗浄した。その後、リンパ球とミエローマ細胞の比率を5:1〜10:1の範囲になるように細胞数を調整し混合、遠心(1200rpm 10分)することで細胞ペレットを得た。
細胞融合は、細胞ペレット1mlのPEG液を1分かけてゆっくりかき混ぜながら加え、その後2分間攪拌しながら反応させた。その後、RPMI1640液1mlを1分かけて加え、同様の操作を3回行い、更に3分かけて12mlのRPMI1640液を添加した。37℃のインキュベータにて10分間静置した後に1000rpm 5分の遠心により細胞を集め、HATサプリメントを添加した15%FBSを含むRPMI培地に浮遊させ、96ウェル培養プレート10枚へ播いた。その際、フィーダー細胞としてマウス胸腺細胞を使用した。
COインキュベータにて1週間培養し、ハイブリドーマを選択増殖させた。
(4)抗体スクリーニング
ELISA用96ウェルマイクロプレートへ、PBSにて1μ/mlに希釈したDNase 50μlを入れ、室温で2時間又は冷蔵で一晩反応させ、その後、0.5%のスキムミルク100μlを加え、ブロッキングを行い、抗原結合プレートとした。
細胞融合から1週間目に、それぞれの培養プレートから無菌的に培養上清およそ50μlを採取し、抗原結合プレートへ入れ、室温で1時間反応させた。その後に生理食塩水にて3回のプレート洗浄を行い、続いて0.5%スキムミルクにて2500倍に希釈した酵素標識抗マウスIgG抗体を室温で1時間反応させた。同様に洗浄を行った後に酵素基質液にて発色させ、抗原と結合するモノクローナル抗体陽性ウェルを選択した。
(5)クローニング
ELISAにて選択されたハイブリドーマに対して限界希釈法によるクローニングを行った。すなわち、前もってフィーダー細胞を播いた96ウェル培養プレートへハイブリドーマ細胞が1ウェルあたり1個になるように細胞浮遊液を調製し播いた。1週間後に増殖したコロニーを確認し、同様の抗体スクリーニングを行った。クローニングは2回行い完全に単一な細胞であることを確認した。尚、培地には15%FBSとHTサプリメントを加えたRPMI培地を用いた。
(6)クローン樹立、細胞凍結
単一の細胞となったハイブリドーマは、24ウェル培養プレートからシャーレでの拡大培養を行い、2〜5×108個/チューブにて凍結保存を行った。凍結培地には15%FBSとHTサプリメントを含むRPMI培地に10%になるようにDMSOを加えた培地を用い、ペーパータオルに包んで−85℃の超低温フリーザーに保管した。
(7)マウス腹水化、抗体精製
1週間以上前にプリスタン0.5mlを腹腔内投与したBALB/cAリタイヤマウスの腹腔へ0.5〜1×107個のハイブリドーマ細胞を接種し、およそ7〜10日後に貯留した腹水を得た。腹水は十分に凝固させ3000rpm 15分の遠心処理により固形物を沈殿させ、上清を分離した。上清には防腐剤として0.1%にアジ化ナトリウムを添加し精製まで冷蔵で保存した。
腹水からの抗体精製には、HiTrapProteinGカラムを用い、プロテインGカラムへの抗体結合と洗浄にはPBSを、洗浄後の抗体溶出には0.1Mグリシン塩酸Buffer pH2.8を用い、溶出したIgGの中和には1M Trisを用いた。溶出された抗体は50%飽和硫安にて濃縮を行い十分にPBSに透析し0.05%アジ化ナトリウムを加え冷蔵保存した。
精製抗体の純度検定にはセルロースアセテート膜電気泳動を行い、ν領域に単一なバンドとして確認した。
<結果>
マウス3匹を用いて細胞融合実験を行った。その結果、No.1マウスからは10クローン、No.2マウスからは13クローン、No.3マウスからは10クローンが1次スクリーニングで選択された。これらのクローンが産生する抗体を精製し、その性能をイムノクロマト法で評価した。その結果、DN13(捕捉抗体)とDN1(標識抗体)の組合せで極めて良好な結果が得られた。これらの抗体を産生するハイブリドーマクローンは、以下の通り寄託した。
<ハイブリドーマクローンDN1>
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818) 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室
寄託日(受領日):2015年10月21日
受領番号:NITE ABP−02140
<ハイブリドーマクローンDN13>
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818) 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室
寄託日(受領日):2015年10月21日
受領番号:NITE ABP−02141
2.イムノクロマト試験デバイス
2−1.標識抗体担持部材の調製
以上の結果を踏まえ、ハイブリドーマクローンDN1が産生する抗DNase抗体を標識抗体に用いることにした。抗DNase抗体を5mMリン酸緩衝液(pH7.4)で0.05mg/mlの濃度になるように希釈した。金コロイド懸濁液(BBI:平均粒子60nm)0.5mlに0.1mlの50mMリン酸緩衝液(pH7.4)を加えて混合した後、上記希釈したモノクローナル抗体溶液0.1mlをさらに加えて、室温にて10分間放置した。静置後の溶液に、10 mMリン酸緩衝液で希釈した10質量%のウシ血清アルブミン(BSA)溶液0.1 mlを加えて、十分撹拌した後、8,000xgにて15分間遠心分離した。再度、上清を除去し、残渣にpH7.4の10 mMリン酸緩衝液を加えて超音波破砕機にてよく分散させ、標識抗体溶液とした。この標識抗体溶液を幅16mm×長さ100mmのグラスファイバー製パッド(ミリポア社製:GFPC203000)に均一に添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識抗体担持部材を得た。
2−2.検出部及び対照部を備えたニトロセルロース膜担体の調製
上記2−1の標識抗体とは異なる抗体(ハイブリドーマクローンDN13が産生する抗体)を5質量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.4)で1.3mg/mlの濃度になるように希釈し、検出部固定用抗体(捕捉抗体)溶液として調製した。この検出部固定用抗体溶液を長さ25cm×幅2.5cmのニトロセルロース膜(ミリポア社製:HF120)の長軸側の一端(この端を展開方向の上流側端、反対側を下流側端とする)から1cm離れた位置に、抗体塗布機(BioDot社製)を用いて1μl/cmの塗布量で線状に塗布した。さらに、ニトロセルロース膜の上流側端から1.5cm離れた位置に、抗マウスIgG抗体を1mg/mlの塗布量で線状に塗布した。塗布後、42℃にて60分間乾燥させ、検出部及び対照部を備えたニトロセルロース膜担体を得た。
2−3.イムノクロマト試験デバイスの作製
上記2−2のニトロセルロース膜担体の抗体塗布面(この面を上面とする)の反対側(この面を下面とする)に、プラスチック製バッキングシートを接着した。次いで、上記2−1の標識抗体担持部材をニトロセルロース膜担体の上面に、ニトロセルロース膜の上流側端が2mm重なるように配置して貼り付け、さらに幅5mm×長さ23mmのグラスファイバー製サンプルパッド(ポール社製:8000006801)を、標識抗体担持部材の上面に2mm重なるように配置して貼り付けた。一方、幅5mm×長さ25mmの吸収パッド(ポール社製)を、ニトロセルロース膜担体の上面に、ニトロセルロース膜担体の下流側端が15mm重なるように張り付けた。最後に、長軸方向に沿って5mmずつ切断し、イムノクロマト試験デバイスを得た。
3.黄色ブドウ球菌イムノクロマトグラフィー
金コロイド粒子(田中貴金属、60m、Lot A703)1mlに抗DNaseモノクローナル抗体(ハイブリドーマクローンDN1が産生する抗体)1ml(40μg/ml)を混合し、室温で10分間感作した後、1mlのPBSに懸濁して感作金コロイドとした。
一方、ニトロセルロース膜(ミリポア社製)に抗DNaseモノクローナル抗体(ハイブリドーマクローンDN13が産生する抗体)をコートした。この膜上に感作金コロイドと黄色ブドウ球菌の混合物、又は感作金コロイドと表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)の混合物を約2cm離して滴下し、15分間静置した後、判定した。その結果、次の如く、黄色ブドウ球菌にのみ陽性を示した。
黄色ブドウ球菌: +++
表皮ブドウ球菌: −
本発明はイムノクロマト法に適用可能な、黄色ブドウ球菌のDNaseに対するモノクローナル抗体を提供する。当該モノクローナル抗体を用いたイムノクロマト法によれば、黄色ブドウ球菌感染の簡便、迅速且つ高感度の検出が可能となる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (14)

  1. イムノクロマトグラフィー用である、黄色ブドウ球菌デオキシリボヌクレアーゼに対するモノクローナル抗体。
  2. 前記モノクローナル抗体が、(1)受領番号:NITE ABP−02140のハイブリドーマによって産生される抗体、又は(2)受領番号:NITE ABP−02141のハイブリドーマによって産生される抗体である、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  3. 請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体を含む、黄色ブドウ球菌検出試薬。
  4. 前記モノクローナル抗体が、着色合成高分子粒子又は金属コロイド粒子で標識されている、請求項3に記載の検出試薬。
  5. 前記金属コロイド粒子が金コロイド粒子である、請求項4に記載の検出試薬。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の検出試薬を含む、黄色ブドウ球菌検出キット。
  7. 黄色ブドウ球菌デオキシリボヌクレアーゼに対するモノクローナル抗体からなる第1特異的抗体、黄色ブドウ球菌デオキシリボヌクレアーゼに対するモノクローナル抗体からなる第2特異的抗体、及び膜担体を備え、
    前記第1特異的抗体が前記膜担体に固定化されて検出部を構成し、
    前記第2特異的抗体は標識物質で標識されており、且つ前記検出部から離れた位置に担持されている、イムノクロマトグラフィー試験デバイス。
  8. 前記第1特異的抗体が、受領番号:NITE ABP−02141のハイブリドーマによって産生される抗体であり、
    前記第2特異的抗体が、受領番号:NITE ABP−02140のハイブリドーマによって産生される抗体である、
    請求項7に記載の試験デバイス。
  9. 前記標識物質が着色合成高分子粒子又は金属コロイド粒子である、請求項7又は8に記載の試験デバイス。
  10. 前記金属コロイド粒子が金コロイド粒子である、請求項9に記載の試験デバイス。
  11. 請求項7〜10のいずれか一項に記載のイムノクロマトグラフィー試験デバイスを用いた黄色ブドウ球菌感染検査法。
  12. 請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体を金属コロイド粒子で標識した標識化抗体。
  13. 前記金属コロイド粒子が金コロイド粒子である、請求項12に記載の標識化抗体。
  14. 受領番号がNITE ABP−02140又はNITE ABP−02141のハイブリドーマ。
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