JP2021012197A - 呼吸器感染症の起因菌を検出する方法 - Google Patents

呼吸器感染症の起因菌を検出する方法 Download PDF

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千春 阿部
伊藤 浩
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Hiroshi Maehana
浩志 前花
松山 健二
Kenji Matsuyama
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Abstract

【課題】検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌から抗原を効率よく抽出し、抽出した抗原を免疫測定により検出するための検査方法(診断方法)を提供することを課題とする。【解決手段】検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌を検出する方法であって、(a)該検体を、イオン性界面活性剤を含むがアルカリを含まない第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、(b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び(c)前記反応液を、前記起因菌の抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程を含む、方法とする。【選択図】図1

Description

本発明は、検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌から抗原を抽出し、免疫測定にて抗原を検出する方法に関する。
呼吸器感染症は様々な原因微生物により引き起こされる疾患であり、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが原因となるウイルス性呼吸器感染症と、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、百日咳菌(Bordetella pertussis)を含むBordetella属菌(Bordetella parapertussis、Bordetella holmesii)などが原因となる細菌性呼吸器感染症に大別される。
近年注目されている細菌性呼吸器感染症として百日咳が挙げられる。百日咳は、遷延性の咳嗽を主症状とし、主に百日咳菌(Bordetella pertussis)により引き起こされる細菌性呼吸器感染症である。乳幼児では咳嗽に加え、発作性の咳込み、吸気性笛声、咳込み後の嘔吐といった典型的な症状を伴うことが多い。一方、青年・成人患者の臨床像は非典型的であり、遷延性の咳嗽のみのことが多い。百日咳菌は、患者の上気道分泌物の飛沫や直接接触により感染し、経気道的に伝播される。その感染力は非常に高いため、学校や職場などでの集団感染が報告されている。ワクチン未接種の乳幼児への感染は、呼吸不全などの重篤化や死亡につながる恐れがある。また百日咳の起因菌としては百日咳菌(Bordetella pertussis)だけではなく、百日咳属菌(Bordetella parapertussis、Bordetella holmesii)も知られており、その症状は、ADP−リボシルトランスフェラーゼ活性を有する百日咳菌特有の外毒素で百日咳菌毒素(pertussis toxin、PT)や細胞壁外膜に存在する内毒素であるリポ多糖(Lipopolysaccharide、LPS)により引き起こされる。
呼吸器感染症の診断のためには、病原体を検出し特定することが、患者への迅速な治療を行うためにも非常に重要である。病原体を検出し、特定する方法としては、(1)患者咽頭拭い液などからの培養・同定検査、(2)患者血清を用いた抗体検査、(3)遺伝子検査、(4)抗原検査などが知られている。これらのうち、培養・同定検査は、呼吸器感染症診断のゴールドスタンダードとして欠かせない検査として位置づけられている。しかし結果が判明するまで数日を要するため、迅速性という点では劣っている。抗体検査は、血清抗体価による診断として利用されているが、基本的に急性期と回復期のペア血清を測定して抗体価の推移をみる必要があり、感染から抗体価の上昇に時間を要するため、感染から判定までに日数を要する。そのため簡便かつ迅速に結果が得られる診断法が望まれている。遺伝子検査は、例えばPolymerase chain reaction(PCR)検査、Loop-Mediated Isothermal Amplication(LAMP)法などが実用化されており、感度や迅速性に優れた検査として評価が高い。しかし一方、検体からの遺伝子の抽出・精製工程を要し、さらに高価な装置が必要なため、限られた施設でしか検査できないなどの課題も残る。
抗原検査は、測定対象とする抗原に特異的に反応する抗体を用いた抗原抗体反応に基づく方法(免疫測定法)がよく知られており、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)、免疫蛍光アッセイ、免疫濁度アッセイ、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫クロマトグラフィーアッセイ、又はフローサイトメトリーアッセイが挙げられる。抗原検査では、測定対象となる抗原に対する抗体の特異性の高さはもちろんであるが、検体中の対象となる病原体から効率よく簡便に抗原を抽出することも重要である。抗原抽出のためには界面活性剤が用いられることがある。
例えば、特許文献1、2は、ウイルスないしC型肝炎ウイルス(HCV)の測定方法において、炭素原子数10個以上のアルキル基と第2、第3もしくは第4級アミンとを有する界面活性剤又は非イオン性界面活性剤、あるいはこの両者の存在下で、ウイルス抗原を、そのプローブとの結合により測定することを特徴とする方法が開示されている。特許文献3は、イオン性界面活性剤を含む、免疫測定に供する検体浮遊液調製用媒体組成物を開示する。
一方、測定対象を細菌とするものとして、特許文献4は、ウシの乳房炎の起因菌の一つであり、乳汁中に存在するブドウ球菌に対して、リゾスタフィン、イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤を含有する溶菌剤を混合して溶菌することを開示する。また特許文献5は、クラミジア生菌体に対して、少なくともpH8を有し、そして少なくとも1mg/mlで存在するカチオン界面活性剤を含む抽出組成物と接触させて、クラミジア主要外層膜タンパク抗原を抽出することを開示する。さらに特許文献6は、検体に含まれる細菌を検出する方法であって、該検体とアルカリ溶液を接触させ、該検体に含まれる細菌の細胞内抗原をアルカリ溶液中に抽出し、検体抽出物を得る抽出工程と、該検体抽出物と中和液を接触させ中和物を得る中和工程と、該中和物を細菌の細胞内抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該細胞内抗原を検出する検出工程と、を含み、該中和液が、該免疫測定法における偽陽性反応の抑制上有効な手段を含む方法を開示する。
特開2001−215228号公報(特許第3623162号) 国際公開WO2000/007023(特許第3514729号) 特開2005−291783公報 国際公開WO2015/093544(特許第6314156号) 特開平2−211893号公報(特許第1988072号) 特開2017−207333号公報
本発明は、検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌から抗原を効率よく抽出するための検体の処理方法、抽出した抗原を免疫測定により検出するための検査方法(診断方法)を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、検体中の呼吸器感染症の起因菌を、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、次いで非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させることにより、検体中の呼吸器感染症の起因菌を簡便・迅速に、かつ高感度に検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を提供する。
[1] 検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌を検出する方法であって、
(a)該検体を、イオン性界面活性剤を含むがアルカリを含まない第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、
(b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び
(c)前記反応液を、前記起因菌の抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程
を含む、方法。
[2]前記起因菌が、ボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)、ボルデテラ・パラパーツシス(Bordetella parapertussis)、ボルデテラ・ホルメシイ(Bordetella holmesii)、及びレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)からなる群から選択されるいずれかである、[1]に記載の方法。
[3]検体に含まれるボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)、ボルデテラ・パラパーツシス(Bordetella parapertussis)、ボルデテラ・ホルメシイ(Bordetella holmesii)、及びレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)からなる群から選択されるいずれかの呼吸器感染症の起因菌を検出する方法であって、
(a)該検体を、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、
(b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び
(c)前記反応液を、前記起因菌の抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程
を含む、方法。
[4]イオン性界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]陽イオン性界面活性剤が、第4級アンモニウム塩である、[4]に記載の方法。
[6]第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から選択されるいずれかである、[5]に記載の方法。
[7]第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から選択されるいずれかである、[5]又は[6]に記載の方法。
[8]第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペートである、[5]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]イオン性界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の方法。
[10]陰イオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又はドデシル硫酸ナトリウムである、[9]に記載の方法。
[11]イオン性界面活性剤が、両性界面活性剤である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の方法。
[12]両性界面活性剤が、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインである、[11]に記載の方法。
[13]非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群から選択されるいずれかである、[1]から[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]非イオン性界面活性剤が、そのHLBが10.0〜18.5である非イオン性界面活性剤である、[1]から[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]非イオン性界面活性剤が、そのHLBが12.5〜16.7である非イオン性界面活性剤である、[1]から[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16]非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec−C11−15)エーテル、p−第三級−オクチルフェノキシポリエチルアルコール、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、及びポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウラートからなる群から選択されるいずれかである、[1]から[15]のいずれか一項に記載の方法。
[17]非イオン性界面活性剤が、ポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウラートである、[1]から[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18]下記のいずれかを満たす、[1]から[17]のいずれか一項に記載の方法。
・第一の試薬中におけるイオン性界面活性剤の濃度が、0.01〜0.1(w/v)%である
・前記反応液中におけるイオン性界面活性剤の濃度が、0.0067〜0.067(w/v)%である
[19]下記のいずれかを満たす、[1]から[19]のいずれか一項に記載の方法。
・第二の試薬中における非イオン性界面活性剤の濃度が、0.5〜3(w/v)%である
・前記反応液中における非イオン性界面活性剤の濃度が、0.167〜1(w/v)%である
[20]前記第二の試薬を浸漬させた試料添加用部材または滴下ノズルに備わっているフィルター中に、前記中間組成物を透過させることにより、前記中間組成物と第二の試薬を接触させる、[1]から[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]前記抗原が、リボソームタンパク質L7/L12である、[1]から[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22]前記起因菌がBordetella属菌であって、前記抗原が、リボソームタンパク質L7/L12、リポ多糖、及び百日咳菌毒素からなる群から選択されるいずれかである、[1]から[20]のいずれか一項に記載の方法。
[23]前記起因菌が、Bordetella pertussisである、[22]に記載の方法。
[24]前記免疫測定が、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)、免疫蛍光アッセイ、免疫濁度アッセイ、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫クロマトグラフィーアッセイ、又はフローサイトメトリーアッセイである、[1]から[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]前記免疫測定が、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)である、[1]から[24]のいずれか一項に記載の方法。
[26]前記免疫測定法が、免疫クロマトグラフィーアッセイである、[1]から[24]のいずれか一項に記載の方法。
[27]前記検体が、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液、又は喀痰である、[1]から[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28]ヒトの呼吸器感染症の診断又は診断の補助のための、[1]から[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29]以下を含む、[1]から[28]のいずれか一項に記載の方法を実施するための、キット。
・イオン性界面活性剤を含む、第一の試薬
・非イオン性界面活性剤を含む、第二の試薬
本発明によれば、検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌から抗原を抽出し、迅速・簡便・高感度に免疫測定にて抗原を検出する方法を提供できる。
Ribosomal Protein L7/L12の検出(処理B) Ribosomal Protein L7/L12の検出(処理C、及び処理D) リポ多糖(LPS)の検出(処理B) リポ多糖(LPS)の検出(処理C、及び処理D) 百日咳菌毒素(PT)の検出(処理B) 百日咳菌毒素(PT)の検出(処理C、及び処理D) 百日咳菌毒素(PT)の検出(処理B) 百日咳菌毒素(PT)の検出(処理C、及び処理D) 免疫クロマトグラフィー装置の一例を示す断面模式図である。1は基材、2は標識抗体含浸部材、3はクロマト展開用膜担体、4は吸収用部材、5は試料添加用部材、6は細菌の細胞内抗原に対する抗体が固定された判定部、又は捕捉部位を示す。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌を検出する方法であって、(a)該検体をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ中間組成物を得る工程、(b)前記中間組成物を非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び(c)前記反応液を、呼吸器感染症の起因菌の抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程を含む検出方法を提供する。
(1)抗原の抽出:工程(a)および(b)
〔検出対象菌〕
本発明は、呼吸器感染症の起因菌を検出するために用いられる。呼吸器感染症はウイルスが原因であるウイルス性呼吸器感染症と、細菌が原因である細菌性呼吸器感染症に大別されるが、本発明における呼吸器感染症とは細菌性呼吸器感染症を意味する。細菌性呼吸器感染症の起因菌には、例えば肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、百日咳菌(Bordetella pertussis)を含むBordetella属菌(Bordetella parapertussis、Bordetella holmesii)が含まれる。
細菌はグラム染色によって紫色に染まるグラム陽性菌と、紫色に染まらず赤く見えるグラム陰性菌に大別される。細菌性呼吸器感染症の起因菌である肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)や肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)はグラム陽性菌であるが一般的には相対的にそれほど危険ではない。これは人体がペプチドグリカンを持たず、従ってグラム陽性菌のペプチドグリカン層にダメージを与える酵素を作る能力を持っているからである。また、グラム陽性菌はペニシリンなどのβ-ラクタム系抗生物質に対する感受性が高いことが多い。ただし肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)は細胞壁を有しない。一方肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)や百日咳菌(Bordetella pertussis)を含むBordetella属菌(Bordetella parapertussis、Bordetella holmesii)はグラム陰性菌である。グラム陰性菌はその外膜が莢膜や粘液層で覆われた構造となっているものが多く、例外はあるものの、一般的な傾向としては相対的に病原性が高い。このような構造は細菌細胞の抗原を隠しカモフラージュするように働く。人間の免疫系は異物を抗原により認識するため、抗原が隠されると、侵入してきたものを人体が探知するのが難しくなる。莢膜の存在はしばしば病原菌の毒性を高める。さらに、グラム陰性菌は外膜にリポ多糖類である内毒素を持っているが、これが炎症を悪化させ、ひどい場合には敗血症性ショックを引き起こすこともある。
本発明は、検出対象菌が、グラム陽性菌である場合も、グラム陰性菌である場合にも、好適に用いることができる。
本発明を好ましく適用できる検出対象菌は、Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、Bordetella holmesii、Legionella pneumophilaであり、より好ましくは、Bordetella pertussisである。
〔抗原〕
本発明では、検出対象菌に由来する抗原を検出する。抗原は、検出対象菌に由来する様々なもの、例えば、リボソームタンパク質L7/L12に代表されるような細胞内物質、検出対象菌が産生する物質(例えば、毒素)、検出対象菌の外膜を構成する成分(例えば、リポ多糖(Lipopolysaccharide、LPS))でありうる。抗原は、検出のための抗体が得られやすいことから、タンパク質性のもの(例えば、リボソームタンパク質L7/L12、百日咳菌毒素(pertussis toxin、PT))であることが好ましい。また、起因菌を特定するとの観点からは、種あるいは属に特異的なものであることがより好ましい。ここで、「種あるいは属に特異的」とは、検出対象菌が保有している抗原が、該細菌が属する属以外の、他の属に属する細菌、又は該細菌が属する属の、上記特定の種以外の種の細菌が保有する抗原とは異なる固有のアミノ酸配列等の構造部分を持つことを意味する。種あるいは属に特異的な抗原の例は、リボソームタンパク質L7/L12である。
なお、検出とは、検出対象菌又はそれに由来する抗原の存在の有無、又はその量を分析することをいう。したがって、検出の結果、検出対象菌又は抗原が検出されなかった場合も、検出された場合と同様、本発明の方法の実施に該当する。
〔検体〕
本発明における検体とは、ヒトの生体の任意の場所から採取することができ、百日咳菌を含む可能性があるものであればよい。好ましくは鼻、鼻腔、鼻咽腔、咽頭などの上気道より採取することが可能な鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液、喀痰などに加え、血液や尿などが含まれる。より好ましくは鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液、又は喀痰であり、特に好ましい例は鼻腔ぬぐい液である。
〔第一の試薬、第二の試薬〕
抗原の抽出は、2段階で行う。すなわち、(a)綿棒などにて採取された検体をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、中間生成物を得、次いで(b)非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得たのち、呼吸器感染症の起因菌の抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する。
〔界面活性剤〕
本発明の工程(a)で用いる第一の試薬は、イオン性界面活性剤を含有する。
界面活性剤とは、界面に作用して性質を変化させる物質のことをいい、構造としては分子中に親水性を示す親水基と親油性を示す疎水基を持つ。電離してイオンとなる界面活性剤をイオン性界面活性剤といい、イオンにならない界面活性剤を非イオン性界面活性剤という。イオン性界面活性剤はさらに、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤に分類される。
第一の試薬に用いることができる陽イオン性界面活性剤は、水に溶けたとき、疎水基のついている部分がプラス(正)イオンに電離する界面活性剤であればよく、構造的には第4級アンモニウム塩型(塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、よう化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、臭化ジアルキルジメチルアンモニウム、よう化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウムなど)とアルキルアミン塩型(モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩など)に分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、第4級アンモニウム塩型では、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、又は塩化ベンザルコニウムであり、好ましくはジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、又は塩化ベンザルコニウムであり、より好ましくはジデシルジメチルアンモニウムアジペートである。
第一の試薬には、陽イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。本発明者らの検討によると、陽イオン性界面活性剤は、本発明の検出対象菌から抗原を効率的に抽出するのに適している。
第一の試薬に、陽イオン性界面活性剤を用いる場合、その第一の試薬中の濃度は、検出のために有効な抽出率が確保される限り特に限定されない。例えば、下限としては、0.001(w/v)%以上とすることができ、0.0025(w/v)%以上が好ましく、0.01(w/v)%以上がより好ましい。また、上限としては、0.5(w/v)%以下とすることができ、0.25(w/v)%以下が好ましく、0.1(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.001〜0.5(w/v)%とすることができ、0.0025〜0.25(w/v)%が好ましく、0.01〜0.1(w/v)%がより好ましい。
第一の試薬に用いることのできる陰イオン性界面活性剤は、水に溶けたときに、疎水基のついている部分がマイナス(負)イオンに電離する界面活性剤であればよく、構造的にはカルボン酸型(脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩など)、スルホン酸型(ジアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩など)、硫酸エステル型(アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩など)、リン酸エステル型(アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩など)に分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又はドデシル硫酸ナトリウムである。
第一の試薬には、陰イオン性界面活性剤を用いることが好ましいこともある。本発明者らの検討によると、陰イオン性界面活性剤は、本発明の検出対象菌から抗原を効率的に抽出するのに適している。
第一の試薬に陰イオン性界面活性剤を用いる場合、その第一の試薬中の濃度は、検出のために有効な溶菌率が確保される限り特に限定はされないが、例えば、0.01〜0.1(w/v)%である。
第一の試薬に用いることのできる両性界面活性剤は、水に溶けたとき、アルカリ性領域では陰性界面活性剤の性質を、酸性領域では陽性界面活性剤の性質を示す界面活性剤であればよく、構造的にはカルボキシベタイン型(アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、2-アルキルイミダゾリンの誘導型(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど)、グリシン型(アルキルジエチレントリアミン酢酸、ジアルキルジエチレントリアミン酢酸など)、アミンオキシド型(アルキルアミンオキシドなど)とに分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインである。
第一の試薬に両性界面活性剤を用いる場合、その第一の試薬中の濃度は、検出のために有効な溶菌率が確保される限り特に限定はされないが、例えば0.01〜0.1(w/v)%である。
本発明の工程(b)で用いる第二の試薬は、非イオン性界面活性剤を含有する。
第二の試薬に用いることのできる非イオン性界面活性剤は、水に溶けたとき、イオン化しない親水基をもっている界面活性剤であればよく、構造的にはエステル型(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステルなど)、エーテル型(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなど)、エステルエーテル型(脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンなど)、アルカノールアミド型(脂肪酸アルカノールアミドなど)に分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。より特定すると、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec−C11−15)エーテル、p−第三級−オクチルフェノキシポリエチルアルコール、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、又はポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウラートである。好ましくは、ポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウラートである。
また第二の試薬に用いる非イオン性界面活性剤の選択に際しては、親水基と疎水基のバランスを表すhydrophile−lipophile balance(HLB)値を指標とすることができる。HLB値の算出方法としてはグリフィン法、アトラス法、デイビス法、及び川上法などが知られている。本発明の第二の試薬に用いる非イオン性界面活性剤としては、グリフィン法に基づくHLB値が、水中油型(oil in water O/W)エマルジョンの調製に適しているとされる8.0〜18.5までのものを用いることができ、10.0〜18.5のものが好ましく、12.5〜16.7のものがより好ましい。グリフィン法に基づくHLB値は、20×親水基の式量の総和/分子量で求めることができる。
非イオン性界面活性剤の第二の試薬中の濃度は、下限として例えば免疫クロマトグラフィーアッセイを用いる場合は展開液の流れが確保される限り特に限定はされない。例えば、下限としては、0.1(w/v)%以上とすることができ、0.25(w/v)%以上が好ましく、0.5(w/v)%以上がより好ましい。また濃度の上限は、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬による可溶化や、免疫反応における抗原抗体反応を著しく阻害しない程度であればよい。例えば、上限としては、10(w/v)%以下とすることができ、5(w/v)%以下が好ましく、3(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.1〜10(w/v)%とすることができ、0.25〜5(w/v)%が好ましく、0.5〜3(w/v)%、あるいは0.25〜1.5(w/v)%がより好ましい。
〔アルカリについて〕
本発明の第一の試薬は、アルカリを含まないように構成することができる。本発明に関し、アルカリを含まないとは、液性がアルカリ性(pHが11を超えること)とはならないようにすることを指す。アルカリを含まない第一の試薬の液性は、弱アルカリ性(pHが8.0を超えて11.0以下であること)、又は中性(pHが、6.0〜8.0であること)である場合がある。第一の試薬がアルカリを含まないことにより、作業がより安全となる、中和の手間が不要である、第一の試薬のための容器の材質が限定されない(耐アルカリ性であることを要さない。)、第一の試薬中で抽出される抗原の安定性を気にしなくてよい(変性などの問題を避けられる。)等のメリットがある。
第一の試薬、第二の試薬とも、目的の作用を発揮する限り、界面活性剤以外の他の物質を含んでいてもよい。
〔2段階操作〕
2段階操作は、第一の試薬と第二の試薬を、この順に、別々に(混合してではなく)用いる。
本発明の2段階の操作は、具体的には次のように実施することができる。検体が鼻腔ぬぐい液の場合は、検体の付着した綿棒をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬の入ったチューブに浸し、次いで非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加することができる。また、第二の試薬は、免疫クロマトグラフィー装置を用いる場合は、予め滴下ノズルに備わっているフィルターや、装置の試料添加用部材(図9の例では5)や標識抗体含浸部材(図9の例では2)に浸漬したものを調製しておき、検体の付着した綿棒を浸した第一の試薬を、直接試料添加用部材に滴下してもよい。第二の試薬を滴下ノズルに備わっているフィルターや試料添加用部材に予め浸漬したものを用いることにより、操作性の向上(第二の試薬を滴下する手間が省略でき、操作ミスが低減される)や抗原量の濃縮(反応液量を減らすことが可能となる)等のメリットがある。
必要に応じ第一の試薬と検体との接触は、環境温度において行うことができ、必要に応じ、タンパク質などの成分の劣化がより生じにくい冷却条件下で行ってもよい。接触は、細胞内抗原が十分抽出できる時間、例えば数秒〜数時間行うことができ、接触の際には必要に応じ、撹拌、振とうを行ってもよい。
また本発明者らの検討に拠ると、第一の試薬と第二の試薬は順に用いればよく、間隔は特に限定されない。第一の試薬添加から第二の試薬添加の間の時間は、短くてよい。すなわち、迅速に検査できることも、本発明の方法のメリットである。
2段階操作により、高効率の溶菌と正確な免疫測定を両立できる。イオン性界面活性剤は電荷を帯びているため、同じく電荷を帯びているタンパク質との結合性が高いといえる。したがって、溶菌の観点からはイオン性界面活性剤を選択することは理にかなっているが、免疫測定の場合、イオン性界面活性剤は測定に用いる抗体とも結合性が高く、結果として抗原抗体反応を阻害する可能性が高くなる。本発明者らは、この問題に対して、特定の非イオン性界面活性剤を一定比率で加えることにより、イオン性界面活性剤による免疫反応阻害を抑制できることを見出した。その一方で、非イオン性界面活性剤の一定比率での添加操作は、原理的にイオン性界面活性剤の溶菌作用も低減させうるため、予め2種類の界面活性剤を混合すると溶菌が不十分となりうる。したがって溶菌時はイオン性界面活性剤単独で作用させることが重要である。
(2)抽出した抗原の免疫測定:工程(c)
〔測定法の種類〕
本発明における抽出した抗原の測定方法としては特に限定されないが、抗原と抗体との分子間の結合反応を利用した抗原抗体反応を用いた免疫測定が望ましい。免疫測定方法としては、抗原抗体反応を酵素を利用して定量的に追跡し、抗原あるいは抗体を測定する酵素免疫定量法(enzyme immunoassay、EIA)や、抗原抗体反応を放射線同位体の助けで定量的に追跡し抗原あるいは抗体を測定する放射線免疫検定法(radioimmunoassay、RIA)がある。抗原と抗体の結合反応は一般的に特異性が高く、低濃度でも比較的容易に結合し、いったん結合すると比較的解離しにくい。このため何らかの方法で抗原抗体反応を定量化すると微量の抗原あるいは抗体を測定することができる。
本発明における免疫測定とは、各種の免疫学的測定方法のことであり、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)、免疫蛍光アッセイ、免疫濁度アッセイ、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫クロマトグラフィーアッセイ又はフローサイトメトリーアッセイなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。免疫学的測定方法の実施に際し、非特異的な吸着を防ぐためのブロッキングのための物質や、対象菌種以外の菌との交差反応を防ぐための物質を用いてもよい。
〔ELISA法〕
本発明における酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)とは抗原抗体反応を利用したタンパク質などの物質測定法であり、固相に予め結合させておいた一次抗体に、抗原を含む試料を反応させた後、さらに酵素で標識した二次抗体を反応させて、結合しているかどうかを酵素活性を利用して測定する方法である。本方法は検出感度が高く、測定目的に合わせた数種類の方法があり、生化学・生物学的検査に幅広く用いられている。
以下にELISAによる抗原の検出方法の一例を示す。
(1)一次抗体の生理食塩水溶液を96穴プラスチックプレートのウェルに加えて静置しウェルの表面に一次抗体を吸着させる、(2)過剰の遊離一次抗体を洗い流し、さらにプラスチック表面を無関係の過剰量のタンパク質など(BSAやカゼイン)で処理し、以降の各種タンパク質の非特異的結合を防ぐためにブロッキングする、(3)測定したい抗原を含む被験体を加え一次抗体と反応させ、抗原抗体複合体を形成させる、(4)夾雑物を洗浄にて除去した後、ペルオキシダーゼ(HRP)で標識された二次抗体を添加し反応させる、(5)過剰のHRP標識二次抗体を洗浄にて除去し、(6)発色性の酵素基質であるTMBを添加し、(7)抗体に結合したHRPと反応させ有色の最終産物を形成し、(8)最終産物の特異的な吸収波長である450nmの吸光度を測定し、(8)予め検量物質の吸光度より作成している検量線より、目的とする抗原の濃度を算出する。
〔免疫クロマトグラフィー〕
本発明は、好ましい態様の一つにおいて、免疫クロマトグラフィー法(「免疫クロマト法」ということもある。)を利用した装置又はキットを用いる。キットは、免疫クロマトグラフィー装置を含み、それ以外に、上述の第一の試薬及び/又は第二の試薬を含んでいてもよい。キットはさらに、検体を採取するための用具、例えば綿棒、及び/又は吸引カテーテルを含んでいてもよい。
免疫クロマトグラフィー装置は、細菌の有無を判定するための判定部を有し、判定部上には抗原、例えばリボソームタンパク質L7/L12に対する抗体が固定される。キット又は免疫クロマトグラフィー装置は、固定化された抗体とは異なる部位と結合する抗体を用いるサンドイッチアッセイ(「サンドイッチ免疫アッセイ」ということもある。)を利用したものでもよい。
図9に、免疫クロマトグラフィー装置の断面模式図を示した。1は基材、2は標識抗体含浸部材、3はクロマト展開用膜担体、4は吸収用部材、5は試料添加用部材を示す。6は細菌に含まれる抗原と反応する抗体が固定された判定部、又は捕捉部位である。
標識抗体含浸部材には、好ましくは、検出対象となる抗原に対する抗体であって固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体、又は抗原が保持されている。ここに、固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体が保持されている場合には、サンドイッチアッセイ法により抗原を検出することができる。また、ここに標識された抗原が保持されている場合には、競合法により特定物質を検出することができる。本発明においては、検出感度が高く、陽性で抗体検出ラインが出現するサンドイッチアッセイ法の方が好ましいことから、ここには、固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体が保持されていることが好ましい。
固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体を保持させる場合には、それぞれの抗原に対し、判定部に固定化される抗体と、固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体の、2種類の抗体を用いる。サンドイッチアッセイ法により抗原を検出することができるように、2種類の抗体は、一つの抗原に同時に結合できることができる抗体であり、一方の抗体のエピトープは、他方の抗体が認識する抗原のエピトープとは異なることが好ましい。
標識としては、着色粒子、酵素、ラジオアイソトープなどが挙げられるが、特殊な設備不要で目視によって検出可能な着色粒子を使用することが好ましい。着色粒子としては、金や白金などの金属微粒子(金コロイド粒子、白金コロイド粒子ということもある。)、非金属粒子、ラテックス粒子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。着色粒子は、試験片の空隙内を通って下流に輸送されることができるサイズであればいかなるサイズでもよいが、直径が1nmから10μmが好ましい。より好ましくは、5nmから1μmであり、さらに好ましくは10nmから100nmである。
免疫クロマト装置は、公知の方法にて市販の材料を用いて作製することができる。装置の基材(図9の例では1)としては、入手のしやすさや安定性、安全性、成形性、及び滅菌性に優れるという点でポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタンなどの合成高分子、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩などの天然高分子自体ならびにそれを架橋した構造体や改質した構造体、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニアなどの無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウムなどの金属を用いることができる。中でも合成高分子や天然高分子誘導体が好ましい。また基材の形状としては平板、メッシュ、織布、不織布、スポンジ状構造体、3次元成型体(ブロック状)などで用いることができる。
標識抗体含浸部材(図9の例では2)に使用する材料は、免疫クロマトグラフィーを行えるものであれば特に限定されないが、好ましくは、セルロース誘導体などの繊維マトリックス、濾紙、ガラス繊維、布、綿などである。
判定部(図9の例では6)を含むクロマト展開用膜担体(図9の例では3)に使用する材料は、免疫クロマトグラフィーを行えるものであれば特に限定されないが、好ましくは、ニトロセルロース、混合ニトロセルロースエステル、ポリビニリデンフロライド、ナイロンなどである。
本発明において、クロマト展開用膜担体の判定部への抗体の固定化においては、膜担体表面に抗体分子が直接結合していてもよいし、又は活性基を介して結合していてもよい。膜担体から抗体分子又は活性基が膜担体表面に固定化された状態であれば、いずれの結合状態であってもよい。結合状態としては、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、水素結合、又は疎水結合の単独、又はこれら複数の合力があげられる。特に抗体溶液と膜担体表面との単純な接触による物理的な吸着法は、簡便で本発明に特に好適に用いられる。また抗体の吸着後に膜担体表面を洗浄や乾燥させること、あるいは膜担体表面に抗体溶液を塗布後に水分を蒸発せしめて膜担体表面に抗体を固定化する方法も、本発明に極めて好適に使用することができる。
〔抗体の作製方法〕
本発明で用いる抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれでもよいが好ましくはモノクローナル抗体である。
リボソームタンパク質L7/L12に対する抗体は、国際公開第00/06603号公報に記載の方法で作製することができる。抗体は、リボソームタンパク質L7/L12の全長タンパク質あるいはその部分ペプチドを抗原として用いて作製することができるが、全長タンパク質を抗原として作製することが好ましい。この部分ペプチドあるいは全長タンパク質をそのまま、又はキャリアタンパク質と架橋した後必要に応じてアジュバントとともに動物へ接種せしめ、その血清を回収することでリボソームタンパク質L7/L12を認識する抗体(ポリクローナル抗体)を含む抗血清を得ることができる。また抗血清より抗体を精製して使用することもできる。接種する動物としてはヒツジ、ウマ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラットなどであり、特にポリクローナル抗体作製にはヒツジ、ウサギなどが好ましい。また、抗体としてはハイブリドーマ細胞を作製する公知の方法により取得したモノクローナル抗体を適用することがより好ましいが、この場合はマウスが好ましい。当該モノクローナル抗体として、特定の細菌のリボソームタンパク質L7/L12と反応し、特定の細菌とは異なる種に属する細菌、又は異なる属に属する細菌のリボソームタンパク質L7/L12とは反応しないモノクローナル抗体をスクリーニングすることにより、当該細菌による感染症にかかっているかどうかの診断に役立てることが可能となる。リボソームタンパク質L7/L12抗原以外の細胞内抗原を抗原として用いる場合も、同様に抗体を作成することができる。なお以下では、本発明を、リボソームタンパク質L7/L12抗原を検出する態様を例に説明することがあるが、その説明は、当業者であれば、リボソームタンパク質L7/L12以外の細胞内抗原を抗原として用いる場合にも適宜あてはめて理解することができる。
(3)本発明の利点
本発明を用いることにより、被験者より一度の検体採取で複数の呼吸器感染症の起因菌を同定することができる。具体的には呼吸器感染症状を呈する患者から鼻腔ぬぐい液を綿棒にて1回採取し、検体の付着した綿棒をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬の入ったチューブに浸し、次いで非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加して検査用のサンプルとし、例えば肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、百日咳菌(Bordetella pertussis)の免疫検出試薬にて複数種類の呼吸器感染症の起因菌の有無を一度に調べることができる。また例えば百日咳が疑われる場合には、同様に調整した検査用のサンプルを、百日咳菌(Bordetella pertussis)、Bordetella属菌(Bordetella parapertussis、Bordetella holmesii)、百日咳菌毒素(pertussis toxin、PT)や百日咳菌特有の内毒素であるリポ多糖(Lipopolysaccharide、LPS)の免疫検出試薬にて測定すれば百日咳感染の有無をより詳細に調べることが可能となる。
本発明の実施例を以下に詳細に述べるが、本発明は何らこれにより限定されるものではない。
〔実施例1:菌体の調製〕
[Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、及びBordetella holmesii菌液調製方法]
Bordetella pertussis (ATCC No. BAA-589)、Bordetella parapertussis (ATCC No. BAA-587)、及びBordetella holmesii (ATCC No. 700053)は、以下に示す方法で試験菌液を調製した。ボルデテラCFDN寒天培地(日研生物医学研究所社製)に接種し、37℃、3日間好気条件下で培養し、培地上のコロニーを生理食塩水(日本薬局方生理食塩液)に懸濁したものを試験菌液として用いた。
[Legionella pneumophila菌液調製方法]
Legionella pneumophila(ATCC No.33152)をBCYE寒天培地で37℃、4日間培養した後、単一コロニーを3mlのBYE培地に添加し、攪拌しながら37℃で一晩培養した菌を、再び新しいBYE培地3mlに添加し、攪拌しながら37℃で培養したものを試験菌液として用いた。
〔実施例2:Bordetella pertussis Ribosomal Protein L7/L12に対するモノクローナル抗体の作製〕
(1)Bordetella pertussisからのRibosomal ProteinL7/L12遺伝子のクローニング
精製されたBordetella pertussisゲノムDNA50ngを用いてPCR(polymerase chain reaction)を行った。PCRはTaqポリメラーゼ(宝酒造社製、コードR001A)を用いた。酵素に添付のバッファーを5μL、添付のdNTP mixture 5μLと合成オリゴヌクレオチドA(catggatccatggcacttagcaaagctgaa 配列番号:1)、及び配列オリゴヌクレオチドB(gtagaattcttattacttgacttcgaccttgg 配列番号:2)をそれぞれ260pmol加え、最終容量50μLとした。
この混合物を、TaKaRa PCR Thermal Cycler 480を用いて、94℃ 2分を1サイクル行った後、98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 1分を30サイクル行った。このPCR産物の一部を1.5%アガロースゲル中で電気泳動を行い、エチジウムブロマイド(日本ジーン社製)にて染色後、紫外線下で観察し、約400bpのcDNAが増幅されていることを確認した。得られたPCR productをZero blunt(登録商標)TOPO(登録商標)PCR Cloning Kit(invitrogen)の手順に従ってプラスミドpCR−BluntII−TOPOにインサートした。さらに制限酵素BamHI、及びEcoRIで切断処理後、1.5%アガロースゲル中で電気泳動を行いエチジウムブロマイド染色後約370bpのバンドをゲルから切り出してSuprec01(宝酒造社製)で精製後、市販のベクターであるpGEX−6P−1(Pharmacia社製)に組み込んだ。同ベクターは目的の遺伝子断片を適当な制限酵素サイトに組み込むことによりGST蛋白質とのフュージョン蛋白質を発現しうる目的分子の発現ベクターとして機能することができる。
具体的には、ベクターpGEX−6P−1と先のDNAとをそのモル比が1:3となるように混ぜ合わせて、T4 DNAリガーゼ(lnvitrogen社製)にてベクターにDNAを組み込んだ。DNAが組み込まれたベクターpGEX−6P−1を大腸菌One Shot Competent Cells(Invitrogen社製)に遺伝子導入し、アンピシリン(Sigma社製)を50μg/mL含むLLB−Broth(宝酒造社製)半固型培地のプレートに蒔き、12時間程度37℃に放置し、現れてきたコロニーを無作為選択し、同濃度のアンピシリンを含むLLB−Broth液体培地2mLに植え付け、8時間程度37℃で振盪培養し、菌体を回収し、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)を用いて添付の説明書に従ってプラスミドを分離し、このプラスミドを制限酵素BamHI/EcoRIにて消化して、約370bpのDNAが切り出されてくることで該PCR産物が組み込まれていることを確認し、確認されたクローンについて、組み込まれているDNAの塩基配列決定を行った。
得られたクローンはPCRに用いたプローブと配列の相同性があり、Ribosomal Protein L7/L12遺伝子配列と一致したDNA配列が明白であった。その構造遺伝子部分の全塩基配列、及び対応するアミノ酸配列は下記の配列であった。この遺伝子断片は、明らかにBordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12の遺伝子をコードするものである。
atggcacttagcaaagctgaaatccttgacgccatcgctggcatgtccgtgctcgagctgtccgagctgatcaaggaaatggaagaaaagtttggcgtgtcggctgctgccgccgccgtggccgtggccgccccggccgctggtggcgctggcgccgctgctgctgaagagcagaccgagttcaccgttgtgctgctggaagccggcgcgaacaaggtcagcgtcatcaaggccgtgcgcgagctgaccggtctgggtctgaaggaagccaaggacctggttgacggcgctccgaagcccgtcaaggaagcgctgcccaaggctgacgccgaagccgccaagaagaagctggaagaagctggcgccaaggtcgaagtcaagtaa(配列番号:3)
MALSKAEILDAIAGMSVLELSELIKEMEEKFGVSAAAAAVAVAAPAAGGAGAAAAEEQTEFTVVLLEAGANKVSVIKAVRELTGLGLKEAKDLVDGAPKPVKEALPKADAEAAKKKLEEAGAKVEVK(配列番号:4)
(2)Bordetella pertussisからのRibosomal Protein L7/L12遺伝子の大腸菌での大量発現と精製
発現ベクターを組み込んだ大腸菌をLB培地中で50mL 37℃1晩培養した。1晩培養した大腸菌液50mLを500mLのTB培地に入れた。1時間後、100mMイソプロピルβ−D(−)−チオガラクトピラノシド(IPTG)を550μL入れ4時間培養後回収し、1/100量のBugBuster(Merck社製)を加えて室温で20分間振とう後、10,000rpm、30分間遠心分離し、上澄みを回収した。
次に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でコンディショニングしたグルタチオンアガロースカラムに前記の上澄み液を吸着させた。次に、20mM TrisバッファーpH7.4、4.2mM MgCl2、1mMジチオスレイトール(DTT)を含む洗浄液でカラムを2ベッドボリューム分洗浄した。その後5mMのグルタチオンを含む50mM TrisバッファーpH9.6で溶出し、分画したフラクション中の蛋白質含有量を色素結合法(ブラッドフォード法;Biorad社)で検出し、メインフラクションを取得した。得られた精製GSTフュージョンRibosomal Protein L7/L12の純度は電気泳動法により確認したところ約75%であり免疫原として充分な純度を確保できた。
(3)Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12に対するモノクローナル抗体の作製
まずマウスの免疫についてはBordetella pertussisのGSTフュージョンRibosomal Protein L7/L12抗原100μgを200μLのPBSに溶解後フロイントのコンプリートアジュバントを200μL加え混合、エマルジョン化した後200μLを腹腔内に注射した。
さらに、2週間後、4週間後、6週間後に同様のエマルジョン抗原を腹腔内に注射し、さらに10週間後、14週間後に2倍濃度の抗原エマルジョン液を腹腔内注射し最終免疫から3日後に脾臓を取り出し、細胞融合に供した。
無菌的に取り出したマウスの脾細胞108個に対し骨髄腫細胞2×107個をガラスチューブに取り良く混合した後1,500rpmで5分間遠心し上澄みを棄て、その後細胞をよく混合した。
細胞融合に使用した骨髄腫細胞は、NS−1系の細胞株を用い10%ウシ胎児血清(FCS)を含むRPMI1640培地で培養し、細胞融合の2週間前から0.13mMのアザグアニン、0.5μg/mLのMC−210、10%FCSを含むRPMI1640培地で1週間培養後、さらに10%FCSを含むRPMI1640培地で1週間培養したものを用いた。混合した細胞サンプルに37℃に保温した50mLのRPMI1640培地を30mL加え1,500rpmで遠心、上澄み除去後37℃に保温した50%ポリエチレングリコールを1mL加え激しく攪拌しながら2分間処理後、37℃に保温した10mLのRPMI1640培地を加え液を滅菌ピペットで吸引、排出しながら約5分間激しく攪拌混合した。
1,000rpmで5分間遠心、上澄み除去後さらに30mLのHAT培地を加え細胞濃度が5×106個/mLになるように調整し攪拌均一化後、96穴プレート型培養プレートに0.1mLずつ分注し7%CO2条件下、37℃で培養し、1日目、1週間日、2週間目にHAT培地を0.1mLずつ加えた。
次に目的の抗体を生産している細胞をスクリーニングするためにELISA法による評価を実施した。0.05%のアジ化ナトリウム含むPBS中に溶解したBordetella pertussisのGSTフュージョンRibosomal Protein L7/L12及びGST蛋白質をそれぞれ10μg/mL濃度で希釈した液を100μLずつ96穴プレートの別々に分注し4℃で1晩吸着させた。上澄み除去後、1%牛血清アルブミン(BSA)溶液(PBS中)200μL添加し室温で1時間反応してブロッキングした。上澄み除去後洗浄液(Tween20 0.02%,PBS)で洗浄し、その上に融合細胞の培養液100μLを加え室温で2時間反応後上澄みを除去しさらに洗浄液で洗浄した。これに、500ng/mLのペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体液を100μL加え室温、1時間反応を実施し、上澄みを除去しさらに洗浄液で洗浄した後TMB溶液(KPL社製)を100μLずつ加え室温で20分反応、発色後1Nの硫酸を100μL添加して反応を停止し、450nmの吸光を測定した。
この結果、GSTフュージョンRibosomal Protein L7/L12にのみ反応しGST蛋白質には反応しない陽性ウェルが見いだされRibosomal Protein L7/L12に対する抗体が含まれていることが判明した。
そこで陽性ウェル中の細胞をそれぞれ回収し24穴プラスチックプレート中、HAT培地で培養した。培養した融合培地を細胞数が約20個/mLになるようにHT培地で希釈し50μLを、HT培地に懸濁した6週齢のマウス胸腺細胞106個と96穴培養プレート中で混合後、7%CO2条件下、37℃で2週間培養した。培養上澄み中の抗体活性を前述のELISA法にて同様に検定し、Ribosomal Protein L7/L12との反応陽性の細胞を回収した。
さらに、同様の希釈検定、クローニング操作を繰り返し、ハイブリドーマBPRB−5、−7、−10、−11、−12、−13、−14の計7株を取得した。
(4)Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12と反応するモノクローナル抗体の選択
前述のようにして取得した陽性ハイブリドーマ細胞を用いて定法に従ってモノクローナル抗体を生産回収した。
具体的にはRPMI1640培地(10%FCS入り)を用いて継代培養した細胞をあらかじめ2週間前に0.5mLのプリスタンを腹腔内に注射したBalb/Cマウスの腹腔内に5×106個(PBS中)注射し、3週間後腹水を回収し、その遠心上澄みを取得した。
取得した抗体含有液をProtein Aカラム(5mLベッド,Pharmacia社)に吸着させ、PBSで3ベッドボリューム洗浄し、pH3のクエン酸バッファーで溶出し、抗体フラクションを回収して各ハイブリドーマの生産するモノクローナル抗体を取得した。
この7株のハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体を1次あるいは2次抗体として用いて42組の組み合わせのBordetella pertussisの検出性能をELISA法により評価した。抗体の評価にはサンドイッチアッセイ法を用い、ELISA法の2次抗体としては作製したモノクローナル抗体をペルオキシダーゼと化学的に結合させることにより酵素標識抗体として使用した。すなわち酵素標識は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(SigmaグレードVI)を用い結合には試薬S−アセチルチオ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドを使用しAnalytical Bio−chemistry 132(1983),68−73に述べられている方法に従って行った。ELISA反応においては0.05%のアジ化ナトリウムを含むPBS中に溶解したモノクローナル抗体を1次抗体とし10μg/mL濃度で希釈した液を100μLずつ96穴プレートへ別々に分注し4℃で1晩吸着させた。
上澄み除去後、1%BSA溶液(PBS中)200μLを添加し室温で1時間反応しブロッキングする。上澄み除去後洗浄液(Tween20 0.02%、PBS)で洗浄し、その上にBordetella pertussisの培養液に0.3%濃度のTriton X−100により室温で5分間抽出操作をほどこした抗原液(6×105個/mL)100μLを加え室温で2時間反応後上澄みを除去し、さらに洗浄液で洗浄後、5μg/mLのペルオキシダーゼ標識抗Ribosomal Protein L7/L12抗体液を100μL加え室温、1時間反応を実施し、上澄みを除去しさらに洗浄液で洗浄した後TMB溶液(KPL社製)を100μLずつ加え室温で20分反応、発色後1Nの硫酸を100μL添加して反応を停止し、450nmの吸光を測定し、陰性コントロールシグナルとの差によりBordetella pertussisを検出可能なBordetella pertussis Ribosomal Protein L7/L12抗体の組み合わせを評価した。また併せてそれぞれの抗体の組み合わせについてBordetella pertussis以外の主要な細菌31菌種との反応性を評価した。ELISA法の条件は前述の方法と同一の方法に従い、抗原のみBordetella pertussisの代わりにそのほかの主要な細菌はそれぞれ1×108個/mL、0.5%TritonX−100、PBS中に調整したサンプルを供して試験を実施した。
その結果、上記のBordetella pertussisを検出可能でかつ他の主要な細菌とは反応しない抗体の組み合わせ10組が得られた。
これら10組のBordetella pertussisを検出可能でかつBordetella pertussis以外の細菌31種と反応しないハイブリドーマBPRB−5、−7、−10、−11、−12、−13、−14由来の10組のモノクローナル抗体組合せについてBordetella pertussisとの反応を確認したELISA吸光度データを表1に示す。またELISA法で交差反応をしないことを確認した他の細菌の一覧を表2に示す。表1における数値はそれぞれの抗体の組み合わせで陽性サンプルの測定値から陰性コントロールの測定値を差し引いた値を示した。
Figure 2021012197
Figure 2021012197
〔実施例3:Legionella pneumophila Ribosomal Protein L7/L12に対するモノクローナル抗体の作製〕
特開2004-201605に示す方法と同様に、Legionella pneumophila Ribosomal Protein L7/L12との反応陽性を示すハイブリドーマLEG-1細胞とハイブリドーマLEG-2細胞の2クローンを取得し、定法に従ってモノクローナル抗体LEG-1とLEG-2を生産回収した。LEG-1抗体とLEG-2抗体は、Legionella pneumophila Ribosomal Protein L7/L12中の抗体認識部位が異なる独立した抗体であり、Legionella pneumophila Ribosomal Protein L7/L12を抗原としたサンドイッチELISA法にて該抗原が存在した場合に検出することができる組合せの抗体群である。
〔実施例4:免疫クロマトグラフィー装置の作製〕
例としてBordetella pertussis用免疫クロマトグラフィー装置の作製手順を下記に述べる。なお他の細菌についても同様の手順で免疫クロマトグラフィー装置を作製することが可能である。
(1)標識抗体含浸部材
金コロイド溶液(粒径60nm、田中貴金属社製)0.9mLに0.05M TAPS 緩衝液 pH8.0を混合し、金コロイド標識するモノクローナル抗体BPRB−7を100μg/mL加え室温で10分間静置し、この抗体を金コロイド粒子表面に結合させた後、金コロイド溶液における最終濃度が1%となるように10%ウシ血清アルブミン(BSA)(メルク社製)水溶液を加え、この金コロイド粒子の残余の表面をBSAでブロッキングして、金コロイド標識したモノクローナル抗体BPRB−7(以下、「金コロイド標識抗体」と記す)溶液を調製した。この溶液を遠心分離(15,000g、10分間)して金コロイド標識抗体を沈殿せしめ、上清液を除いて金コロイド標識抗体を得た。この金コロイド標識抗体を0.25%BSA、2.5%スクロース、35mM NaClを含有する20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.2)に懸濁して金コロイド標識抗体溶液を得た。17mm×300mmの帯状のグラスファイバーパットに、金コロイド標識抗体溶液2mLを含浸せしめ、これを室温で乾燥させて標識抗体含浸部材とした。
(2)クロマト展開用膜担体
25mm×300mmのニトロセルロース膜(Sartorius社、商品名:UniSart CN140)をクロマトグラフ媒体のクロマト展開用膜担体として用意した。金コロイド標識抗体と抗原の複合体を捕捉するためのモノクローナル抗体BPRB−5を、3%トレハロース(富士フイルム和光純薬社製)、0.01M TAPS 緩衝液 (pH 9.0)にて希釈し2.0 mg/mLに調製した。調製した抗体溶液を、このクロマト展開用膜担体におけるクロマト展開開始点側の末端から10mmの位置に1μL/cmでライン状に塗布して、これを55℃で一晩乾燥させた。
(3)免疫クロマトグラフィー装置の作製
接着層を持つバッキングシート(Adhesives Research Inc.製)からなる基材に上記作製した標識抗体含浸部材、上記クロマト展開用膜担体の他に、試料を添加する部分に用いる試料添加用部材(旭化成社製、商品名:NE107)、展開した試料や余剰金コロイド標識抗体を吸収するための吸収用部材(日本製紙クレシア株式会社、商品名:CRクッション)を貼り合わせた。そして、裁断機を用いて5mmの幅になるように裁断し、免疫クロマトグラフィー装置を作製した。
〔実施例5:免疫クロマトグラフィー法による百日咳菌の検出におけるイオン性界面活性剤の効果〕
Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における最適な界面活性剤を探索するために、イオン性界面活性剤の性能を比較した。また、対照として第一の試薬に非イオン性界面活性剤を使用した場合の効果も比較した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表3に示す各イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(富士フイルム和光純薬社製)
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したBordetella pertussis試験菌液5μLを、最終的な容量が1mLになるようにPBS(富士フイルム和光純薬社製)で希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液を、下記の工程1から4のいずれかの工程で処理し、測定試料を調製した。
≪工程1:検体を第一の試薬で処理した後に第二の試薬を添加する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し、混合後第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを工程1の測定試料とした。
≪工程2:検体を第一の試薬と第二の試薬の混合溶液で処理する工程≫
第一の試薬300μLと第二の試薬150μLを混合し混合溶液を調製し、混合溶液に対して陽性検体液20μLを添加して混合したものを工程2の測定試料とした。
≪工程3:検体を第一の試薬のみで処理する工程≫
第一の試薬450μLに対して陽性検体液20μLを添加して混合したものを工程3の測定試料とした。
≪工程4:検体を第二の試薬のみで処理する工程≫
第二の試薬450μLに対して陽性検体液20μLを添加して混合したものを工程4の測定試料とした。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表3に結果を記載した。判定部上にシグナルが確認できなかったものを−とし、弱いシグナルを確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+、よりシグナルが強いものに関しては++とした。
工程1で処理した測定試料は高いシグナル強度を示したのに対し、工程2および工程4で処理した測定試料ではシグナルが観測されなかったことから、検体とイオン性界面活性剤を含む第一の試薬が接触した後に、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加することが重要であることが推測された。また、工程3で処理した測定試料では免疫クロマトグラフィー装置上を液が展開せず測定不能であったことから、免疫クロマトグラフィー装置上を展開し、抗原抗体反応を進行させるためには、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加することが重要であると推測された。
また、工程1で処理した測定試料については、表3に示す全てのイオン性界面活性剤で判定部上にシグナルを確認することができた。特にジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、及び塩化ベンザルコニウムを使用した検体処理方法において高いシグナル強度を示すことが判明した。表3に示す通り、第一の試薬に非イオン性界面活性剤を使用した場合判定部上にシグナルを確認することができなかったことから、第一の試薬にイオン性界面活性剤を用いることが重要であると推測された。
Figure 2021012197
〔実施例6:イオン性界面活性剤の使用濃度について〕
Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における、イオン性界面活性剤の濃度の影響を検討した。第一の試薬中のイオン性界面活性剤の濃度を表4に示す濃度に変更した以外は、実施例5と同様の方法で測定を行った。
[結果]
表4に結果を示す。判定部上にシグナルが確認できなかったものを−とし、弱いシグナルを確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+、よりシグナルが強いものに関しては++とした。表4に示す全てのイオン性界面活性剤について、0.01〜0.1(w/v)%の濃度範囲において、判定部上にシグナルを確認することができた。
Figure 2021012197
〔実施例7:イオン性界面活性剤による抽出時間に関する検討〕
イオン性界面活性剤を添加後、Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12を抽出するために必要な抽出時間に関して検討した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表5に示す各イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(富士フイルム和光純薬社製)
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したBordetella pertussis試験菌液5μLを、最終的な容量が1mLになるようにPBSで希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、直ちに第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものと、1分間、2分間、5分間、15分間静置したのち、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものをそれぞれ測定試料とした。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表5に結果を記載した。表5に示す通り、本発明の方法は抽出時間を必要とせず、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬を添加後、ただちに抽出が可能であることが判明した。
Figure 2021012197
〔実施例8:免疫クロマトグラフィー法による百日咳菌の検出における非イオン性界面活性剤の効果〕
Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における最適な界面活性剤を探索するために、非イオン性界面活性剤の性能を比較した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表6に示す各イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% 表6に示す各非イオン性界面活性剤
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したBordetella pertussis試験菌液20μLを、最終的な容量が1mLになるようにPBSで希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを測定試料とした。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表6に結果を記載した。判定部上に弱いシグナルが確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+とし、シグナルが強くなるに従い++、+++とした。表6には非イオン性界面活性剤のHLB値も併せて示す。
表6に示すように、HLB値10〜18.5の非イオン性界面活性剤のいずれかを第二の試薬として用いることで、判定部上にシグナルを確認することができた。
Figure 2021012197
〔実施例9:非イオン性界面活性剤の使用濃度について〕
Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における、非イオン性界面活性剤の濃度の影響について調査した。第二の試薬中に含まれる非イオン性界面活性剤の濃度を表7に示すとおりに変更した以外は、実施例8と同様にして測定を行った。
[結果]
表7に結果を示す。判定部上に弱いシグナルが確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+とし、シグナルが強くなるに従い++、+++とした。
表7から明らかな通り、HLB値が10〜18.5の範囲にある非イオン性界面活性剤について、0.5〜3(w/v)%の濃度範囲において、判定部上にシグナルを確認することができた。また、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートについては、確認したいずれの濃度においても判定部上にシグナルを確認することができたが、特に0.5〜10(w/v)%の範囲において強いシグナルを確認できた。
Figure 2021012197
〔実施例10:免疫クロマトグラフィー法による呼吸器感染症起因菌の検出〕
呼吸器感染症の起因菌となるBordetella pertussis、Bordetella parapertussis、Bordetella holmesii 、又はLegionella pneumophilaについて、それぞれのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置を用いて、最適なイオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の組み合わせにてそれぞれの抗原が検出可能であるか否かを検証した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表8に示す各イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(富士フイルム和光純薬社製)
[陽性検体液の調製]
(Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、及びBordetella holmesii の陽性検体液の調製)
実施例1にて作成したBordetella pertussis、Bordetella parapertussis、又はBordetella holmesii の試験菌液5μLを最終的な容量が1mLになるようにPBS(富士フイルム和光純薬社製)で希釈し、各菌について陽性検体液を調製した。
(Legionella pneumophilaの陽性検体液の調製)
実施例1にて作成したLegionella pneumophilaの試験菌液10μLを最終的な容量が1mLになるように生理食塩水(日本薬局方生理食塩液)で希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
(Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、及びBordetella holmesii の測定試料の調製)
陽性検体液を、下記の工程1又は2のいずれかの工程で処理し、測定試料を調製した。
≪工程1:検体を第一の試薬で処理した後に第二の試薬を添加する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し、混合後第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを工程1の測定試料とした。
≪工程2:検体を第一の試薬と第二の試薬の混合溶液で処理する工程≫
第一の試薬300μLと第二の試薬150μLを混合し混合溶液を調製し、混合溶液に対して陽性検体液20μLを添加して混合したものを工程2の測定試料とした。
(Legionella pneumophilaの測定試料の調製)
使用する陽性検体液の量を3μL、第一の試薬を100μL、第二の試薬を50μLとした以外は、上述のBordetella pertussis、Bordetella parapertussis、及びBordetella holmesii の測定試料の調製と同様の方法で、工程1又は2のいずれかの工程で処理し、測定試料を調製した。
[測定]
各測定試料120μLを各菌用の免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。判定部上にシグナルを確認できなかったものを―、シグナルを確認できたものを+とし、よりシグナルが強いものに関しては++とした。
[結果]
表8に結果を記載した。表8から明らかなように、本発明の方法によって、全ての呼吸器感染症起因菌を検出することができた。またBordetella pertussis に関しては、実施例1のBordetella pertussis (ATCC No. BAA-589)と同様に試験菌液を調製したATCC No. 8467、 9797、及び 9340株についても同様に検出できた。
Figure 2021012197
〔実施例11:呼吸器感染症状を呈する患者から採取した検体を用いた免疫クロマトグラフィー法による百日咳感染症の診断〕
[検体の採取]
呼吸器感染症状を呈する患者から検体を採取した。鼻腔ぬぐい液は滅菌綿棒を患者の鼻腔から挿入し、鼻腔の奥に到達したところで綿棒を回転させて採取した。
[測定試料の調製]
ポリエチレン製のチューブの中に0.03(w/v)% オスモリンDA−50(三洋化成工業社製)を含む第一の試薬300μLを入れ、この中に検体を採取した綿棒を差し込んで、チューブの外側から5〜20回よく揉んだ後、綿棒を取り出した。ここに0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)、2(w/v)%BSA(メルク社製)、0.05(w/v)%アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)、3(w/v)% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(富士フイルム和光純薬社製)を含む第二の試薬150μLを添加した。得られた溶液を測定試料とした。
[免疫クロマトグラフィー装置での測定]
測定試料が入ったポリエチレン製チューブに、PVAフィルターを備えた滴下ノズルを装着して、免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材に測定試料4滴(容量としておおよそ120μL)を滴下した。15分後に目視で判定を行った。
[測定試料の残液を用いたPCR]
測定試料からDNAを抽出し、Bordetella pertussisのIS481を標的としたプライマーを用いたPCRを行い、IS481のコピー数を定量化した。手順を下記に示す。
DNAの抽出にはQIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社)を用いた。抽出・精製の手順はキット付属のプロトコールに従って行った。得られたDNA抽出液をテンプレートとしてPCRを行った。PCRの条件は、国立感染症研究所. 病原体検査マニュアル 百日咳. 2011年10月.を参考にした。
[結果]
免疫クロマトグラフィー装置での目視判定の結果と、PCRの結果を表9、表10に示す。表9に示すとおり、測定試料を用いたPCR法を標準とした場合、免疫クロマトグラフィー装置での目視判定の結果は、感度85.7%(12/14)、特異度92.8%(141/152)であった。呼吸器感染症状を呈する患者から採取した鼻腔ぬぐい液を用いた場合でも本処理方法を用いることで、百日咳菌感染症患者を検出することができた。表10にPCR法で陽性となった測定試料に含まれるIS481のコピー数と目視判定の結果を示す。表10から明らかなとおり、IS481のコピー数が8.9×105(copies/swab)以上で含まれる測定試料について、目視判定において、すべて陽性と判定することができた。
Figure 2021012197
Figure 2021012197
〔実施例12:酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によるBordetella pertussis菌の各種抗原の検出〕
本検体処理方法を用いてBordetella pertussisに含まれるRibosomal Protein L7/L12、リポ多糖(LPS)、及び百日咳菌毒素(PT)を検出可能か否かを調べた。
[検出用抗体のペルオキシダーゼ標識工程]
以下記載の検出に用いるペルオキシダーゼ標識抗体は、Peroxidase Labeling Kit-NH2 (同仁化学社製)を用いて作製した。ペルオキシダーゼ標識を行う抗体としては、BPRB−7抗体、又はモノクローナル抗体(Bordetella pertussis LOS-A Monoclonal Antibody(D26E)、Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)を使用し、標識の手順はキット付属のプロトコールに従って行った。
[検出工程]
(1)Ribosomal Protein L7/L12の検出
実施例2で作製した2.5μg/mLのBPRB−5抗体とPBS溶液50μLを96穴ELISAプレート(Nunc社MaxiSorp ELISAプレート)に分注し4℃で一晩吸着させた。上澄み除去後、1%BSA溶液(PBS中)200μLを添加し、室温で2時間反応させてブロッキングした。上澄み除去後、洗浄液(0.05%Tween20、PBS)で数回洗浄した。PBS(コントロール用)又は実施例1にて作成したBordetella pertussisの試験菌液(本試験用)を表11に記載の溶液で処理したものを50μL添加し、室温にて1時間反応させた。さらに上澄み除去後、ペルオキシダーゼ標識したBPRB−7抗体を0.05% Tween20、PBSにて最終濃度2μg/mLになるように希釈してそれぞれ50μL添加し、室温にて1時間反応させた。上澄み除去後さらに洗浄液で数回洗浄したのち、TMB溶液(KPL社製)を100μLずつ加え室温で10分間反応させた後1Nの 塩酸を100μL添加して反応を停止したのち450nmの吸光度を測定した。処理なし、処理Aと比較した処理Bの結果を図1に、処理なし、処理Aと比較した処理C、及び処理Dの結果を図2に示す。
(2)リポ多糖(LPS)の検出
抗体を30μg/mLのモノクローナル抗体(Bordetella pertussis LOS-A Monoclonal Antibody(D26E)、Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)、最終濃度5μg/mLのペルオキシダーゼ標識したモノクローナル抗体(Bordetella pertussis LOS-A Monoclonal Antibody(D26E)、Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)を使用し、ブロッキングを5%スキムミルク溶液(PBS中)で実施したこと以外は、上記(1)と同様の手順で測定を行った。処理なし、処理Aと比較した処理Bの結果を図3に、処理なし、処理Aと比較した処理C、及び処理Dの結果を図4に示す。
(3)百日咳菌毒素(PT)の検出
2500倍希釈したポリクローナル抗体(Bordetella pertussis Toxin antibody、GeneTex社製)とPBS溶液50μLを96穴ELISAプレート(Nunc社MaxiSorp ELISAプレート)に分注し4℃で一晩吸着させた。上澄み除去後、1%BSA溶液(PBS中)200μLを添加し、室温で2時間反応させてブロッキングした。上澄み除去後、洗浄液(0.05%Tween20、PBS)で数回洗浄した。PBS(コントロール用)又は実施例1にて作成したBordetella pertussisの試験菌液(本試験用)を表11に記載の溶液で処理したものを50μL添加し、室温にて1時間反応させた。上澄み除去後、モノクローナル抗体(Bordetella Pertussis Toxin antibody [1280/204]、GeneTex社製)を0.05% Tween20、PBSにて最終濃度2μg/mLになるように希釈してそれぞれ50μL添加し、室温にて1時間反応させた。さらに上澄み除去後、ペルオキシダーゼ標識したモノクローナル抗体(Anti mouse IgG (Fc specific) Peroxidase, antibody (goat)、SIGMA-ALDRICH製)を0.05% Tween20、PBSにて4000倍希釈したものをそれぞれ50μL添加し、室温にて1時間反応させた。上澄み除去後さらに洗浄液で数回洗浄したのち、TMB溶液(KPL社製)を100μLずつ加え室温10分間反応させた後1Nの塩酸を100μL添加して反応を停止したのち450nmの吸光度を測定した。処理なし、処理Aと比較した処理Bの結果を図5に、処理なし、処理Aと比較した処理C、及び処理Dの結果を図6に示す。
Figure 2021012197
[結果]
イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を用いた本検体処理方法(処理B、C、D)を用いることで、Bordetella pertussis由来のいずれの抗原も検出することができた。特に、Ribosomal Protein L7/L12や百日咳菌毒素(PT)など細菌の内部に含まれる抗原を検出する系においては、本処理方法は対照処理方法(処理A)、及び処理なしと比較して高い処理効果を示した。
〔実施例13:酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によるBordetella pertussis菌百日咳菌毒素(PT)の検出〕
本検体処理方法を用いてBordetella pertussisの菌体内部に含まれる百日咳菌毒素(PT)を検出可能か否かを調べた。使用するBordetella pertussisの試験菌液(本試験用)を実施例1にて作成したBordetella pertussis試験菌液500μLを10℃、10,000rpmで10分間遠心し、上清を全て取り除き、500μLのPBS(富士フイルム和光純薬社製)で沈殿物を懸濁し調製したこと以外は、実施例12に記載と同様の方法で実施した。処理なし、処理Aと比較した処理Bの結果を図7に、処理なし、処理Aと比較した処理C、及び処理Dの結果を図8に示す。
[結果]
イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を用いた本検体処理方法(処理B、C、D)を用いることで、Bordetella pertussis菌体内部に含まれている百日咳菌毒素(PT)を検出することができた。本処理方法は対照処理方法(処理A)、及び処理なしと比較して高い処理効果を示した。
〔実施例14:第一の試薬と第二の試薬の混合方法について〕
Bordetella pertussisのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における、第一の試薬と第二の試薬の混合方法を検討した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表12に示す各イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(富士フイルム和光純薬社製)
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したBordetella pertussis試験菌液5μLを、最終的な容量が1mLになるようにPBS(富士フイルム和光純薬社製)で希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液を、下記の工程1から3のいずれかの工程で処理し、測定試料を調製した。
≪工程1:第二の試薬を溶液として混合する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを工程1の測定試料とした。
測定に使用する免疫クロマトグラフィー装置は、実施例4と同様の方法で作製したものを使用した。
≪工程2:第二の試薬を免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材に浸漬する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、精製水を150μLさらに添加して混合したものを工程2の測定試料とした。
第二の試薬を含む試料添加用部材は、17mm×150mmの帯状のグラスファイバーパットに第二の試薬1.5mLを浸漬せしめ、これを室温で真空乾燥させることにより作製した。工程2においては、この第二の試薬を含む試料添加用部材を使用するほかは実施例4と同様の方法で免疫クロマトグラフィー装置を作製した。
≪工程3:第二の試薬を免疫クロマトグラフィー装置の検体濾過部に浸漬する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、精製水を150μLさらに添加して混合し、第二の試薬を含む滴下ノズルを透過させたものを工程3の測定試料とした。
第二の試薬を含む滴下ノズルは、滴下ノズルに装着している直径7mmのPVAスポンジフィルターに第二の試薬0.15mLを含浸せしめ、作製した。
測定に使用する免疫クロマトグラフィー装置は、実施例4と同様の方法で作製したものを使用した。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表12に結果を記載した。判定部上に弱いシグナルが確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+とし、より強いシグナルが確認できたものを++とした。
表12に示すように、工程1、工程2、工程3のいずれの場合においても、判定部上にシグナルを確認することができた。
Figure 2021012197
本発明は、百日咳菌などによる呼吸器感染症の診断において利用することができる。
1 基材
2 標識抗体含浸部材
3 クロマト展開用膜担体
4 吸収用部材
5 試料添加用部材
6 判定部、又は捕捉部位

Claims (21)

  1. 検体に含まれる呼吸器感染症の起因菌を検出する方法であって、
    (a)該検体を、イオン性界面活性剤を含むがアルカリを含まない第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、
    (b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び
    (c)前記反応液を、前記起因菌の抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程
    を含む、方法。
  2. 前記起因菌が、ボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)、ボルデテラ・パラパーツシス(Bordetella parapertussis)、ボルデテラ・ホルメシイ(Bordetella holmesii)、及びレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)からなる群から選択されるいずれかである、請求項1に記載の方法。
  3. 検体に含まれるボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)、ボルデテラ・パラパーツシス(Bordetella parapertussis)、ボルデテラ・ホルメシイ(Bordetella holmesii)、及びレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)からなる群から選択されるいずれかの呼吸器感染症の起因菌を検出する方法であって、
    (a)該検体を、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、
    (b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び
    (c)前記反応液を、前記起因菌の抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程
    を含む、方法。
  4. イオン性界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 陽イオン性界面活性剤が、第4級アンモニウム塩である、請求項4に記載の方法。
  6. 第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から選択されるいずれかである、請求項5に記載の方法。
  7. 第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペートである、請求項5又は6に記載の方法。
  8. イオン性界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  9. 陰イオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又はドデシル硫酸ナトリウムである、請求項8に記載の方法。
  10. 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群から選択されるいずれかである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 非イオン性界面活性剤が、そのHLBが10.0〜18.5である非イオン性界面活性剤である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 非イオン性界面活性剤が、そのHLBが12.5〜16.7である非イオン性界面活性剤である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec−C11−15)エーテル、p−第三級−オクチルフェノキシポリエチルアルコール、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、及びポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウラートからなる群から選択されるいずれかである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 非イオン性界面活性剤が、ポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウラートである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記第二の試薬を浸漬させた試料添加用部材または滴下ノズルに備わっているフィルター中に、前記中間組成物を透過させることにより、前記中間組成物と第二の試薬を接触させる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記抗原が、リボソームタンパク質L7/L12である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記起因菌がBordetella属菌であって、前記抗原が、リボソームタンパク質L7/L12、リポ多糖、及び百日咳菌毒素からなる群から選択されるいずれかである、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記免疫測定法が、免疫クロマトグラフィーアッセイである、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記検体が、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液、又は喀痰である、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. ヒトの呼吸器感染症の診断又は診断の補助のための、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 以下を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法を実施するための、キット。
    ・イオン性界面活性剤を含む、第一の試薬
    ・非イオン性界面活性剤を含む、第二の試薬
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022211084A1 (ja) * 2021-04-01 2022-10-06 富士レビオ株式会社 生物学的サンプルの処理方法

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