JP2017088491A - 家畜糞堆肥 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】含有窒素量の2倍以上の量で、かつ、含有カリウム量の2倍以上の量のリン酸を含み、フェリハイドライトと家畜糞中の有機物との複合体を含む糞臭のない家畜糞堆肥である。pH8以下で、木材チップを含む水分調整材を含有しない。
【選択図】なし
Description
特許文献1の堆肥製造方法では、鶏糞に木片チップと微生物を混入した60℃以上の混合物を、堆肥舎で6.5日間、その後発酵槽で23.5日間発酵させる。得られた発酵物から、選別機で木片チップを回収した後、鶏糞堆肥を養生施設に送り、切返しをしながら60℃以上で3.8日間発酵させて、鶏糞堆肥が完成する。
このように製造された家畜糞堆肥は、低コストなだけでなく、含有するリン酸の殆どが、植物の根から分泌される有機酸により溶解・吸収される緩効性で、土壌に固定されにくく持続性ある水不溶クエン酸溶性リン酸であって、化成肥料のリン酸と同様以上の高い肥効を示す。
更に、天然資源であるリン鉱石は枯渇の危機に瀕しており、リン鉱石をほぼ全量輸入に依存しているわが国において、リン資源の確保は重要な課題となっている中、化成肥料と同様以上の肥効を示し、リン酸を含有する家畜糞堆肥は、化成肥料の代替品として益々重要度を増している。
更に、長期間の家畜糞堆肥製造中及び耕種側での堆肥使用中において、悪臭による環境悪化の懸念もある。家畜糞処理時の悪臭を抑制するために、脱臭剤を使用する方法もあるが、悪臭を完全に元から取り除く脱臭剤は知られていない。
本発明の他の目的は、堆肥製造中及び完成後において悪臭のない家畜糞処理剤,家畜糞堆肥及びその製造方法を提供することにある。
その結果、家畜糞堆肥製造において、発酵工程を行う必要がなく、製造設備の簡素化及び製造工程の更なる短縮化が可能となる。
更に、本発明の家畜糞処理剤は、家畜糞堆肥製造中も、仕掛品に糞臭が発生せず、近隣住民への悪臭公害対策が不要となり、家畜糞堆肥製造施設の設置場所の自由度が高まる。
また、大規模農業化に伴い増大化した家畜糞を、簡単な設備で素早く処理することが可能である。
このように構成された家畜糞処理剤によれば、糞臭のない家畜糞堆肥を短期間で製造することが可能となる。
このように、添加工程でpH5以上の家畜糞を添加しているため、混合物中の家畜糞処理剤のpHを5以上に保持することが可能となり、家畜糞処理剤中に、フェリハイドライトの原料となるFe(OH)3(水酸化鉄)を存在させることが可能となる。その結果、家畜糞に家畜糞処理剤を添加することによって、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体が形成され、複合体形成時、有機物の芳香環や−SH基等が切断されて、糞臭が除去される。また、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体形成時、Fe(OH)3の鉄が反応して2価になるときに発生するスーパーオキサイドによっても、家畜糞中の臭い物質が酸化分解されて、糞臭が除去される。
更に、家畜糞中の有機物が、フェリハイドライドとの複合体を形成することにより、堆肥中のリン酸等の肥料成分が溶脱し難く、安定した堆肥とすることができる。
このように、家畜糞処理剤をpH5以上に調整しているため、混合物中の家畜糞処理剤のpHを5以上に保持することが可能となり、家畜糞処理剤中に、フェリハイドライトの原料となるFe(OH)3(水酸化鉄)を存在させることが可能となる。その結果、家畜糞に家畜糞処理剤を添加することによって、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体が形成され、複合体形成時、有機物の芳香環や−SH基等が切断されて、糞臭が除去される。また、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体形成時、Fe(OH)3の鉄が反応して2価になるときに発生するスーパーオキサイドによっても、家畜糞中の臭い物質が酸化分解されて、糞臭が除去される。
そして、混合物中の家畜糞処理剤のpHを5以上に保持することが可能となるため、家畜糞処理剤中に、フェリハイドライトの原料となるFe(OH)3(水酸化鉄)を存在させることが可能となる。その結果、家畜糞に家畜糞処理剤を添加することによって、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体が形成され、複合体形成時、有機物の芳香環や−SH基等が切断されて、糞臭が除去される。また、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体形成時、Fe(OH)3の鉄が反応して2価になるときに発生するスーパーオキサイドによっても、家畜糞中の臭い物質が酸化分解されて、糞臭が除去される。
また、乾燥工程を行うことにより、乾燥した取引し易い形態の堆肥を得ることができる。
このように構成すると、家畜糞堆肥製造方法において、発酵工程を行わないため、家畜糞堆肥の製造にかかる日数を大幅に短縮できる。また、木材チップ等の水分調整材の添加も回収も不要であり、簡易に家畜糞堆肥を製造できる。
このように構成すると、化成肥料以上の肥効を示す家畜糞堆肥の製造が可能となり、高価な化成リン酸肥料の代替品となるため、耕種側の肥料コストを大幅に削減できる。また、枯渇の危機に瀕しているリン鉱石を補うリン資源を提供することができる。
このように構成すると、乾燥装置等大掛かりな製造設備導入が不要で、製造コストや製造方法導入の手間等が省かれ、簡易に家畜糞堆肥を製造できる。また、大掛かりな設備が不要なため、農家の大小を問わず家畜糞堆肥の製造ができる。
このとき、家畜糞堆肥が、pH8以下であると好適である。
このように構成しているので、家畜糞堆肥がアルカリ性のときに生じるみそ臭のない家畜糞堆肥とすることができる。従って、家畜糞処理剤による糞臭の除去のみでなく、本発明の家畜糞堆肥がアルカリ性になったときに生じる独特のみそ臭も抑えることができる。
その結果、家畜糞堆肥製造において、発酵工程を行う必要がなく、製造設備の簡素化及び製造工程の更なる短縮化が可能となる。
更に、本発明の家畜糞処理剤は、家畜糞堆肥製造中も、仕掛品に糞臭が発生せず、近隣住民への悪臭公害対策が不要となり、家畜糞堆肥製造施設の設置場所の自由度が高まる。
また、大規模農業化に伴い増大化した家畜糞を、簡単な設備で素早く処理することが可能である。
本実施形態は、家畜糞処理液と鶏糞を原料として、鉄水和酸化物の一種であるフェリハイドライトと鶏糞中の有機物との複合体からなる鶏糞堆肥を製造する方法である。
本実施形態では、家畜糞として鶏糞を用いるが、そのほか、牛,豚,羊,山羊等を含むあらゆる家畜の糞についても適用可能である。
ここで、フェリハイドライトと鶏糞中の有機物との複合体とは、非晶質フェリハイドライト(以下フェリハイドライトという)と有機物との複合体をいう。
フェリハイドライトは、有機化合物のカルボキシル基やカルボニル基のOH端、O端と配位結合する性質があり凝集体を形成する。比表面積が約200(m2/g)と大きく、有機化合物のOH端、O端との反応に供される場が広いため、触媒能が高く、凝集体を形成する能力が高いことが分かっている。
また、本実施形態の家畜糞処理液及びその希釈液が、特許請求の範囲の家畜糞処理剤に該当する。
本実施形態の家畜糞処理液は、玄武岩、安山岩等の堆積岩土壌に、無機酸を添加して抽出した天然由来のイオン化ミネラル濃縮液を用いる。このイオン化ミネラル濃縮液としては、例えば、株式会社リオン製のクレイエクストラクトを使用することができる。
家畜糞処理液は、玄武岩、安山岩等の堆積岩土壌(粘土)に、濃度10〜20重量%の硫酸水溶液を添加して酸可溶成分を抽出したものである。なお、硫酸の代わりに、硝酸、これらの無機酸を混合したもの、またはその水溶液等を用いてもよいが、濃度10〜20重量%の硫酸水溶液を用いると、家畜糞処理液を効率よく得ることができる。
家畜糞処理液は、鉄を7000〜15000(ppm)程度含み、pHは、0.1〜0.2程度である。
また、家畜糞処理液に含まれる高分子の径は、3〜8(nm)程度である。
これは、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体が形成され、複合体形成時、有機物の芳香環や−SH基等が切断されて、糞臭が除去されると考えられる。
また、家畜糞処理液のpH5以上における主成分Fe(OH)3の鉄が次の化学式(1)により反応して2価になるときに発生するスーパーオキサイドにより、臭い物質を酸化分解すると考えられる。
4Fe(OH)3+8H+→4Fe2++10H2O+O2・・・(化学式1)
式1の反応の酸化還元電位は、EH=―0.183Vであり、メタンガスの発生する電位はEH=―0.253Vであるため、嫌気状態になるのを防ぎ、メタンガス等の発生を抑制する。
本実施形態の家畜糞堆肥の製造方法について、鶏糞を用いて鶏糞堆肥を製造する場合を例として説明する。
まず、家畜糞処理液を、水で10倍〜3000倍に希釈し、pH5以上、好ましくはpH5〜6の希釈液を得る。このとき、同じ倍率で希釈しても、希釈に用いる水の種類によって得られる希釈液のpHが変化するが、本実施形態では、純水を用いる。
次いで、採卵鶏の鶏糞を準備する。採卵鶏の鶏糞としては、pH5以上のものを用いる。なお、鶏の腸内pHを下げるよう腸内pH調整を行わなければ、採卵鶏の鶏糞のpHは通常6前後であり、そのまま用いることができる。鶏糞のpHが5未満の場合、pH5以上に調整する。
混合物をシート上に薄く広げ、5〜14日間天日干しにより、水分が10〜25%程度になるよう乾燥する乾燥工程を行い、乾燥混合物を得る。ここで、天日干しの日数を5日以上としたのは、5日未満であると、家畜糞特有の臭気が完全に除去されないためである。また、14日間以下としたのは、14日間天日干しすれば家畜糞特有の臭気が略完全に除去されるためである。また、14日より長い日数天日干しをすると、鶏糞の処理効率が低下し、処理待ちの鶏糞を保管する施設を大型化する必要が生じるためである。
なお、本実施形態では、天日干しにより乾燥工程を行うが、コンベア式乾燥機,ドラム式乾燥機等の乾燥機で乾燥してもよい。
乾燥混合物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成する。
上記家畜糞堆肥の製造方法により製造された鶏糞堆肥は、緑色から黒色の粉末からなり、粉末状の家畜糞堆肥製品の形態においても、粉末に水を加えたペースト状の形態においても、従来の家畜糞堆肥特有の悪臭がない。
また、鶏糞堆肥は、pH8以下であるとよい。pH8より高くなると、独特のみそ臭が生じる場合があるが、pH8以下になると、このみそ臭が和らげられるか、なくなるためである。
なお、鶏糞堆肥は、鶏に与えた飼料,水や、鶏の生育した環境などにより、組成や性質が変化するため、鶏糞堆肥のpHが同じであっても、みそ臭が生じる場合も生じない場合もあり、みそ臭の発生頻度が異なる。鶏糞堆肥がpH6以下となると、どのような条件でも、ほぼ完全にみそ臭の発生が防止される。
(実施例1)
家畜糞処理液を水で10倍希釈した希釈液0.5Lを、採卵鶏の鶏糞2kgに散布して、5分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物2.5kgを得た。混合物をシート上に薄く広げ、7日間天日干しをして、0.35kgの乾燥混合物を得た。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
家畜糞処理液を水で100倍希釈した希釈液0.5Lを、採卵鶏の鶏糞2kgに散布して、5分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物2.5kgを得た。混合物をシート上に薄く広げ、7日間天日干しをして、0.28kgの乾燥混合物を得た。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
家畜糞処理液を水で1000倍希釈した希釈液0.3Lを、採卵鶏の鶏糞1kgに散布して、5分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物1.3kgを得た。混合物をシート上に薄く広げ、7日間天日干しをして、0.14kgの乾燥混合物を得た。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
家畜糞処理液を水で500倍希釈した希釈液0.5Lを、採卵鶏の鶏糞2kgに散布して、5分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物2.5kgを得た。混合物をシート上に薄く広げ、11日間天日干しをして、0.45kgの乾燥混合物を得た。このうち0.215kgの乾燥混合物を廃棄して0.235kgの乾燥混合物をサンプルとした。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
家畜糞処理液を水で1000倍希釈した希釈液0.5Lを、採卵鶏の鶏糞2kgに散布して、5分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物2.5kgを得た。混合物をシート上に薄く広げ、11日間天日干しをして、0.469kgの乾燥混合物を得た。このうち0.134kgの乾燥混合物を廃棄して0.335kgの乾燥混合物をサンプルとした。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
以上のように調整した実施例1〜5の家畜糞堆肥の臭気について試験した結果を表2に示す。
家畜糞処理液を水で10倍希釈した希釈液1Lを、採卵鶏の鶏糞10kgに散布して、水分60%とし、10分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物を得た。混合物をシート上に薄く広げ、7日間天日干しをして、乾燥混合物を得た。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
得られた家畜糞堆肥は、pH5.54で、無臭であった。
家畜糞処理液を水で10倍希釈した希釈液1Lを、pH6.33の採卵鶏の鶏糞10kgに散布して、水分60%とし、10分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物を得た。混合物をシート上に薄く広げ、7日間天日干しをして、乾燥混合物を得た。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
得られた家畜糞堆肥は、pH5.17で、無臭であった。
家畜糞処理液を水で10倍希釈した希釈液1Lを、採卵鶏の鶏糞10kgに散布して、水分60%とし、10分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物を得た。混合物をシート上に薄く広げ、7日間天日干しをして、乾燥混合物を得た。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
得られた家畜糞堆肥は、pH7.56で、若干のみそ臭があったが、肥料臭気としては、合格品として許容される程度であった。
家畜糞処理液を水で5倍希釈した希釈液1Lを、対比例1で用いたものと同じ採卵鶏の鶏糞10kgに散布して、水分60%とし、10分間撹拌混合した後、数分間放置して、鶏糞と処理液の混合物を得た。混合物をシート上に薄く広げ、7日間天日干しをして、乾燥混合物を得た。次いで、混合乾燥物を粉砕して粉砕物を得て、家畜糞堆肥を完成した。
得られた家畜糞堆肥は、pH8.03で、若干のみそ臭があったが、肥料臭気としては、合格品として許容される程度であった。
実施例6〜9で製造した鶏糞堆肥について、pHと臭気との関連を検討した。
実施例8,9より、家畜糞処理液で処理した鶏糞堆肥は、pH7.56,pH8.03で若干のみそ臭があったが、許容できる程度のわずかなみそ臭であった。従って、pH8以下程度で、アルカリ性の家畜糞堆肥特有のみそ臭がなくなることが分かった。
また実施例6,7より、家畜糞処理液で処理した鶏糞堆肥は、pH5.54,pH5.17で、全くの無臭になっていた。
実施例6〜9では、家畜糞処理液により、中性又は酸性の鶏糞堆肥となっており、アルカリ特有の悪臭がしないことが確認された。臭気の確認をしたところ、アンモニアの発生も抑えられており、真の発酵食品と同程度の系に入っているものと思われた。
本発明の他の目的は、堆肥製造中及び完成後において悪臭のない家畜糞堆肥を提供することにある。
このように、フェリハイドライトと家畜糞中の有機物との複合体を含むため、家畜糞中の有機物がアルミニウム、マグネシウム等の他の元素と複合体を形成してしまうことを防止できる。家畜糞中の有機物との複合体を、生体や生態系に悪影響を及ぼす可能性が極めて小さい鉄を含むものとすることが可能となるのである。さらに、フェリハイドライトを含む複合体は、反応が起こる表面積が大きく、またpH変化によって起こる変異荷電特性に起因する物理化学反応力が大きい。
また、フェリハイドライトは、酸素吸着による酸化防止効果、肉類の鮮度保持効果、嫌気性菌の繁殖抑制による抗菌・制菌効果等を有することが知られており、本実施形態によりできた家畜糞中の有機物とフェリハイドライトとの複合体は、これらの効果をも奏する。
更に、家畜糞中の有機物が、フェリハイドライドとの複合体を形成することにより、堆肥中のリン酸等の肥料成分が溶脱し難く、安定した堆肥とすることができる。
このとき、pH8以下で、木材チップを含む水分調整材を含有しないと好適である。
このように構成しているので、家畜糞堆肥がアルカリ性のときに生じるみそ臭のない家畜糞堆肥とすることができる。従って、家畜糞処理剤による糞臭の除去のみでなく、本発明の家畜糞堆肥がアルカリ性になったときに生じる独特のみそ臭も抑えることができる。
また、フェリハイドライトは、酸素吸着による酸化防止効果、肉類の鮮度保持効果、嫌気性菌の繁殖抑制による抗菌・制菌効果等を有することが知られており、本実施形態によりできた家畜糞中の有機物とフェリハイドライトとの複合体は、これらの効果をも奏する。
更に、家畜糞中の有機物が、フェリハイドライドとの複合体を形成することにより、堆肥中のリン酸等の肥料成分が溶脱し難く、安定した堆肥とすることができる。
本実施形態は、家畜糞処理液と鶏糞を原料として製造される、鉄水和酸化物の一種であるフェリハイドライトと鶏糞中の有機物との複合体からなる鶏糞堆肥である。
本実施形態では、家畜糞として鶏糞を用いるが、そのほか、牛,豚,羊,山羊等を含むあらゆる家畜の糞についても適用可能である。
ここで、フェリハイドライトと鶏糞中の有機物との複合体とは、非晶質フェリハイドライト(以下フェリハイドライトという)と有機物との複合体をいう。
フェリハイドライトは、有機化合物のカルボキシル基やカルボニル基のOH端、O端と配位結合する性質があり凝集体を形成する。比表面積が約200(m2/g)と大きく、有機化合物のOH端、O端との反応に供される場が広いため、触媒能が高く、凝集体を形成する能力が高いことが分かっている。
家畜糞処理液は、玄武岩、安山岩等の堆積岩土壌に、無機酸を添加して抽出した天然由来のイオン化ミネラル濃縮液を用いる。このイオン化ミネラル濃縮液としては、例えば、株式会社リオン製のクレイエクストラクトを使用することができる。
家畜糞処理液は、玄武岩、安山岩等の堆積岩土壌(粘土)に、濃度10〜20重量%の硫酸水溶液を添加して酸可溶成分を抽出したものである。なお、硫酸の代わりに、硝酸、これらの無機酸を混合したもの、またはその水溶液等を用いてもよいが、濃度10〜20重量%の硫酸水溶液を用いると、家畜糞処理液を効率よく得ることができる。
家畜糞処理液は、鉄を7000〜15000(ppm)程度含み、pHは、0.1〜0.2程度である。
また、家畜糞処理液に含まれる高分子の径は、3〜8(nm)程度である。
これは、Fe(OH)3からフェリハイドライトの複合体が形成され、複合体形成時、有機物の芳香環や−SH基等が切断されて、糞臭が除去されると考えられる。
また、家畜糞処理液のpH5以上における主成分Fe(OH)3の鉄が次の化学式(1)により反応して2価になるときに発生するスーパーオキサイドにより、臭い物質を酸化分解すると考えられる。
4Fe(OH)3+8H+→4Fe2++10H2O+O2・・・(化学式1)
Claims (9)
- 玄武岩および安山岩を含む群からなる少なくとも一の堆積岩土壌を無機酸で抽出した抽出液又は該抽出液の水溶液であって、
該抽出液又は該抽出液の水溶液に含まれる金属中で鉄を最も多く含み、該鉄が液中で、pH5より高いpHで、Fe(OH)3として存在し、
pH5以上の家畜糞に添加されて、糞臭のない家畜糞堆肥を製造するための家畜糞処理剤。 - 前記鉄が、前記抽出液又は該抽出液の水溶液中で、略pH3以下では、Fe3+として、略pH3〜略pH4では、Fe3+とFe(OH)2 +として、略pH4〜略pH5では、Fe3+とFe(OH)2+とFe(OH)2 +として、略pH5より高いpHでは、Fe(OH)2+とFe(OH)2 +とFe(OH)3として存在することを特徴とする請求項1記載の家畜糞処理剤。
- pH5以上の家畜糞に、請求項1又は2記載の家畜糞処理剤を添加する添加工程を行うことにより、糞臭のない家畜糞堆肥を製造することを特徴とする家畜糞堆肥製造方法。
- 前記添加工程では、前記家畜糞処理剤をpH5以上に調整してから該家畜糞処理剤を前記家畜糞に添加して、該家畜糞と前記家畜糞処理剤の混合物を作製し、
前記添加工程の後で、前記均一混合物を乾燥させる乾燥工程を行うことを特徴とする請求項3記載の家畜糞堆肥製造方法。 - 前記添加工程の後、前記乾燥工程前に、前記混合物を撹拌する撹拌工程を行い、
前記乾燥工程では、前記均一混合物を15日間未満の日数乾燥させることを特徴とする請求項3又は4記載の家畜糞堆肥製造方法。 - 含有窒素量及び含有カリウム量の2倍以上の量のリン酸を含み、フェリハイドライトと前記家畜糞中の有機物との複合体を含む家畜糞堆肥を製造することを特徴とする請求項3乃至5いずれか記載の家畜糞堆肥製造方法。
- 前記添加工程では、前記家畜糞処理剤を前記家畜糞に散布し、
前記乾燥工程は、天日干しにより行うことを特徴とする請求項3乃至6いずれか記載の家畜糞堆肥製造方法。 - 請求項3乃至7いずれか記載の家畜糞堆肥製造方法により製造される家畜糞堆肥。
- pH8以下であることを特徴とする請求項8記載の家畜糞堆肥。
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