JP2017087734A - 液体吐出装置 - Google Patents

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修司 大▲塚▼
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正 喜友名
利文 淺沼
Toshifumi Asanuma
利文 淺沼
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Abstract

【課題】液体吐出装置において消費電力を抑制しつつサテライトの発生を抑制することを目的とする。【解決手段】アクチュエーター素子に駆動信号を供給することによって液体を吐出させる液体吐出装置は、吐出する液体が極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含むインクであり、アクチュエーター素子に供給される駆動信号の波形には、非矩形形状のパルスが含まれており、非矩形形状のパルスの立ち下がり部分には、リップルが形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出装置および液体の吐出方法に関する。
印刷ヘッドに設けられた複数のノズルから印刷媒体上にインクを吐出するインクジェットプリンターが知られている。このインクジェットプリンターでは、印刷ヘッドの各ノズルに対応して設けられたアクチュエーター素子が駆動回路から供給される駆動信号に従い駆動されることにより、インクがノズルから吐出される。
印刷ヘッドのアクチュエーター素子として、ピエゾ素子のような容量性素子が利用されるため、アクチュエーター素子の駆動には十分な電流の供給が必要となる。そのため、このようなインクジェットプリンターは、駆動信号の電流増幅をおこなうための電流増幅回路を備えている。この電流増幅回路として、増幅素子によって入力信号をそのまま増幅させるAB級増幅回路のようなリニア増幅回路と、パルス幅変調やパルス密度変調を応用し、スイッチング回路で電流増幅をおこなうD級増幅回路のようなノンリニア増幅回路が知られている。一般的に、ノンリニア増幅回路は、リニア増幅回路と比較して消費電力が小さいという利点を有している。
特開2009−123456号公報 特開2009−190287号公報 特開2010−114711号公報
しかし、ノンリニア増幅回路を備えるプリンターについては、なお改善の余地があった。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、アクチュエーター素子に駆動信号を供給することによって液体を吐出させる液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置が吐出する前記液体は、極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含むインクであり、前記アクチュエーター素子に供給される前記駆動信号の波形には、非矩形形状のパルスが含まれており、前記非矩形形状のパルスの立ち下がり部分には、リップルが形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、液体吐出装置が吐出するインクは、粘性を高めるために極性溶媒が0.1重量%以上10重量%以下含まれているため、駆動信号の波形にリップルが含まれていても、一回の吐出動作時に複数のインク滴が吐出したり、吐出後にインク滴が複数に分断することを抑制することができる。これにより、クジェットプリンターの故障の発生や、印刷画像の画質に劣化を抑制することができる。一方、駆動信号の波形にリップルが含まれているため、アクチュエーター素子には微小な加減速が生じることから、吐出動作としてキャビティー容積を縮小させた直後にアクチュエーター素子に作用する慣性を抑制することができる。これにより、吐出動作直後のアクチュエーター素子の行き過ぎ(オーバーシュート)によってインクの吐出量が想定よりも多くなることを抑制することができる。また、吐出動作に微小な揺らぎが含まれていると、プリンターごとのアクチュエーター素子の変形量の微少なばらつきや、キャビティーの容積に微少なばらつきを吸収することができる。すなわち、プリンターの製造誤差による吐出量のばらつきを抑制することができる。
(2)上記形態の液体吐出装置は、電力供給源となる補助電源回路と、前記補助電源回路から供給される電力を用いて、入力された原駆動信号を電流増幅させて前記駆動信号を生成する増幅回路と、を備え、前記増幅回路は、波形にリップルが形成されていない前記原駆動信号を電流増幅させて波形にリップルが形成された駆動信号を生成するように構成されていてもよい。この構成によれば、駆動信号の波形にリップルを形成することができる。
(3)上記形態の液体吐出装置において、前記増幅回路は、前記補助電源回路と前記アクチュエーター素子とにそれぞれ接続された複数の単位増幅回路を含んでおり、前記複数の単位増幅回路は、前記アクチュエーター素子に接続された側の電圧に応じて、前記複数の単位増幅回路のうちのいずれか1つまたは2つの単位増幅回路が、前記補助電源回路を電流の供給源として前記アクチュエーター素子に電流を供給するように構成されていてもよい。
この構成によれば、駆動信号の電流増幅をおこなうときに、アクチュエーター素子側の電圧に応じて、作動する単位増幅回路が切り替わるため、駆動信号の波形にリップルを形成することができる。また、アクチュエーター素子側の電圧に応じて、作動する単位増幅回路が切り替わるため、アクチュエーター素子の充放電時に損失するエネルギーを抑制することができる。これにより、液体吐出装置の消費電力を抑制することができる。
(4)上記形態の液体吐出装置において、前記増幅回路は、D級の増幅回路であってもよい。この構成によれば、液体吐出装置は、ノンリニア増幅回路によって駆動信号の電流増幅をおこなうため、駆動信号の波形にリップルを形成することができる。また、リニアな増幅回路を使用する液体吐出装置に比べて消費電力を抑制することができる。
(5)上記形態の液体吐出装置において、前記インクは、ヘキサンジオールを含んでいてもよい。この構成によれば、液体吐出装置のインクの吐出安定性をより高めることができる。
(6)上記形態の液体吐出装置において、前記インクは、少なくとも、着色剤と、光重合性樹脂と、光重合開始剤と、極性溶媒とを含んでおり、前記光重合性樹脂として、エマルジョン状態のオリゴマー粒子と、該オリゴマー粒子内に存在するモノマーとを含み、前記極性溶媒として、2−ピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンのいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。この構成によれば、液体吐出装置の印字安定性をより高めることができる。
(7)本発明の他の一形態によれば、アクチュエーター素子に駆動信号を供給することによって液体を吐出させる液体の吐出方法が提案される。この液体の吐出方法において吐出される前記液体は、極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含むインクであり、前記アクチュエーター素子に供給される前記駆動信号の波形には、非矩形形状のパルスが含まれており、前記非矩形形状のパルスの立ち下がり部分には、リップルが形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、吐出するインクは、粘性を高めるために極性溶媒が0.1重量%以上10重量%以下含まれているため、駆動信号の波形にリップルが含まれていても、一回の吐出動作時に複数のインク滴が吐出したり、吐出後にインク滴が複数に分断することを抑制することができる。一方、駆動信号の波形にリップルが含まれているため、吐出動作直後のアクチュエーター素子の行き過ぎによる吐出量の増大を抑制することができる。また、プリンターの製造誤差による吐出量のばらつきを抑制することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、液体吐出ヘッドを駆動するための駆動回路および駆動方法、液体吐出装置の制御方法、液体を吐出して印刷をおこなう印刷装置および印刷方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態としてのプリンターの概略構成を示すブロック図である。 ドライバーに供給される原駆動信号COMの波形を例示した説明図である。 ドライバーから出力される駆動信号aCOMの波形を例示した説明図である。 本実施形態のプリンターに使用されるインクの成分を例示した説明図であるサンプルS1として示すインクは極性溶媒としての1,2−ヘキサンジオール2−ピロリドントリエチレングリコールモノブチルエーテルプロピレングリコールを含有している。 第1実施形態としてのドライバーの概略構成を例示した説明図である。 出力電圧Voutとコンパレーターおよびレベルシフターの動作との関係を説明するための説明図である。 入力電圧Vinおよび出力電圧Voutと高位側トランジスターおよび低位側トランジスターの作動状態との関係を説明するための説明図である。 ノズルアクチュエーター素子の充放電時におけるドライバー内の電流の流れを説明するための説明図である。 ドライバーから出力される駆動信号aCOMの波形の詳細を説明するための説明図である。 第2実施例としてのドライバーの概略構成を例示した説明図である。 第2実施例のドライバーにおけるトランジスターの作動状態を説明するための説明図である。 第2実施例のドライバーにおけるノズルアクチュエーター素子の充放電時の電流の流れを説明するための説明図である。 第3実施例のドライバーにおけるトランジスターの作動状態との関係を説明するための説明図である。 第4実施例としてのドライバーの概略構成を例示した説明図である。 変形例における原駆動信号COMを例示した説明図である。
A.第1実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としてのプリンター1の概略構成を示すブロック図である。プリンター1は、液体を吐出する液体吐出装置の1種であるインクジェットラインプリンターである。プリンター1は、インクを吐出することによって印刷媒体上にインクドットを形成し、これにより、印刷データに応じた文字、図形、画像等を記録する。プリンター1は、制御ユニット10と、印刷ヘッド20とを備えている。制御ユニット10は、ホストコンピューターから供給された印刷データに基づいて画像の印刷のための演算処理を実行する。印刷ヘッド20は、インク容器から供給された1色または複数色のインクを吐出する複数のノズルを備えている。制御ユニット10と印刷ヘッド20は、フラットケーブル190を介して電気的に接続されている。
制御ユニット10は、メイン制御部120と、IF(InterFace)140と、DAC(Digital to Analog Converter)160と、主電源回路180とを備えている。メイン制御部120は、ホストコンピューターから印刷データを取得すると、所定の処理を実行して、印刷ヘッド20のいずれのノズルからインクを吐出するか、あるいは、どの程度の量のインクを吐出するかを規定するノズル選択データ(駆動信号選択データ)を生成する。メイン制御部120は、印刷データや駆動信号選択データなどに基づいて、IF140やDAC160に対して制御信号を出力する。IF140に供給された制御信号はIF210を介してヘッド制御部220に供給される。DAC160には、制御信号としてデジタルの制御データdCOMが供給される。DAC160は、制御データdCOMをアナログの原駆動信号COMに変換して印刷ヘッド20に出力する。主電源回路180は、制御ユニット10の各部に電源電圧を供給する。また、主電源回路180は、印刷ヘッド20に電源電圧VO、Gを供給する。なお、Gは接地電位であり、ここでは、電圧ゼロの基準としている。電圧VOは、グランドGに対して高位側となっている。
印刷ヘッド20は、ドライバー30と、ノズルアクチュエーター素子40と、補助電源回路50と、IF210と、ヘッド制御部220と、選択部230と、を備えている。ノズルアクチュエーター素子40は、複数のノズルに対応して複数設けられている。ドライバー30は、各ノズルアクチュエーター素子40にそれぞれ対応して複数設けられている。ノズルアクチュエーター素子40は、ノズルからインクを吐出させるための駆動素子であり、圧電素子(ピエゾ素子)などの容量性素子によって構成されている。ノズルアクチュエーター素子40は、印刷ヘッド20が備える複数のノズルにそれぞれ対応して複数設けられ、それぞれ、一端がドライバー30の出力端子に接続され、他端がグランドGに接地されている。ノズルアクチュエーター素子40は、キャビティー(インク室)に設けられ、駆動信号aCOMで駆動されると、キャビティーの容積を変化させることによってインクを吐出させる。
ドライバー30は、DAC160から選択部230を介して取得した原駆動信号COMに従って、ノズルアクチュエーター素子40を駆動させる。具体的には、ドライバー30は、ノンリニア増幅回路を含んで構成され、原駆動信号COMに対してノンリニアな電流増幅をおこなった駆動信号aCOMをノズルアクチュエーター素子40に供給する。ここで「ノンリニアな電流増幅」とは、原駆動信号COMの波形には存在しない微小な揺らぎが駆動信号aCOMに含まれる増幅をいう。ドライバー30は、補助電源回路50から供給される電源電圧を使用して電源増幅をおこなう。ドライバー30の詳細構成については後述する。
選択部230は、複数のドライバー30のそれぞれに対応した複数のアナログスイッチ232を有している。各アナログスイッチ232の一端は、DAC160の出力端子に接続され、他端は、対応するドライバー30の入力端子に接続されている。各アナログスイッチ232は、ヘッド制御部220から出力される制御信号に応じてオン/オフが切り替えられる。すなわち、選択部230は、ヘッド制御部220による制御に従って、DAC160から供給される原駆動信号COMを複数のドライバー30から選択された1つ以上のドライバー30に供給する。ヘッド制御部220は、IF210を介してメイン制御部120から制御信号を取得し、取得した制御信号に従って、選択部230を制御する。
補助電源回路50は、主電源回路180から供給される電源電圧VOをチャージポンプ回路によって昇圧するとともに、昇圧された電圧を分圧する。分圧した電圧としては。昇圧後の電圧VHの1/6倍電圧、2/6倍電圧、3/6倍電圧、4/6倍電圧、5/6倍電圧が生成される。補助電源回路50は、分圧により生成した電圧と、昇圧後電圧VHとを各ドライバー30に供給する。
図2は、ドライバー30に供給される原駆動信号COMの波形を例示した説明図である。原駆動信号COMは、複数の非矩形形状の原駆動パルスPCOM(ここでは、4つの原駆動パルスPCOM1、PCOM2、PCOM3およびPCOM4)が時系列的に連続した波形を有している。4つの原駆動パルスPCOM1〜4のぞれぞれは、ノズルアクチュエーター素子40を駆動するための信号の最小単位となる単位駆動信号であり、4つの原駆動パルスPCOMを含む区間が1つの画素(印刷画素)に対応している。なお、原駆動信号COMは、4つの原駆動パルスPCOM1〜4のうちの1つ以上を含んでいれば、すべての原駆動パルスPCOMを含んでいなくてもよい。なお、本実施形態の原駆動信号COMには、微振動と呼ばれる原駆動パルスPCOM1が含まれている。原駆動パルスPCOM1は、インクを引き込むのみで押し出さない場合、例えば、ノズルの増粘を抑制する場合に用いられる。
図3は、ドライバー30から出力される駆動信号aCOMの波形を例示した説明図である。駆動信号aCOMは、複数の非矩形形状の駆動パルスPaCOM1〜4が時系列的に連続した波形を有しており、各駆動パルスPaCOM1〜4が図3の原駆動パルスPCOM1〜4にそれぞれ対応している。駆動信号aCOMの波形には、この駆動パルスPaCOMによって、複数の立ち上がり部分REと、複数の立ち下がり部分FEとが形成されている。駆動信号aCOMの立ち上がり部分REがノズルアクチュエーター素子40に供給されると、ノズルアクチュエーター素子40は、ノズルのキャビティーの容積を拡大させ、流路からキャビティーにインクを引き込む。駆動信号aCOMの立ち下がり部分FEがノズルアクチュエーター素子40に供給されると、ノズルアクチュエーター素子40はキャビティーの容積を縮小させ、キャビティーからインクを押し出す。
駆動信号aCOMの波形には、複数のリップルPrが形成されている。リップルPrとは、原駆動信号COMの波形には存在せず、駆動信号aCOMの波形に含まれる微小な段状部である。リップルPrは、ノンリニア増幅回路(ここでは、ドライバー30)の特性に起因して生じる。駆動信号aCOMの波形の立ち下がり部分FEにリップルPrが含まれていると、ノズルアクチュエーター素子40によるキャビティー容積の縮小動作(吐出動作)に微小な揺らぎが生じる。そのため、一回の吐出動作において、複数のインク滴が吐出したり、吐出後に複数のインク滴に分断しやすくなる。複数に分断されたインク滴は、重量が軽いためインクミストとなって、プリンター1を構成する様々な機構部に付着しやすく、プリンター1の故障の原因になるおそれがある。また、インク滴が想定された着弾位置に着弾しないことによって印刷画像の画質に劣化が生じるおそれがある。
一方で、駆動信号aCOMの波形にリップルPrが含まれていることによる利点が本願発明者らによって見出された。具体的には、リップルPrによって吐出動作に微小な揺らぎが含まれていると、ノズルアクチュエーター素子40には微小な加減速が生じることから、キャビティー容積を縮小させた直後にノズルアクチュエーター素子40に作用する慣性を抑制することができる。すなわち、リップルPrの無い図2のような駆動信号aCOMがノズルアクチュエーター素子40に供給されると、ノズルアクチュエーター素子40の行き過ぎ(オーバーシュート)によって、インクの吐出量が想定よりも多くなる可能性がある。一方、駆動信号aCOMにリップルPrが含まれていれば、キャビティー容積を縮小させた直後にノズルアクチュエーター素子40に作用する慣性が抑制されるため、オーバーシュートによるインクの吐出量の増大を抑制することができるという利点がある。また、リップルPrによって吐出動作に微小な揺らぎが含まれていると、プリンター1ごとに駆動信号aCOMに対するノズルアクチュエーター素子40の変形量や、キャビティーの容積に微少なばらつきがあっても、これらのばらつきを吸収することができる。すなわち、駆動信号aCOMにリップルPrが含まれていれば、プリンター1の製造誤差による吐出量のばらつきを抑制できるという利点がある。
本願発明者らは、上述したリップルPrによる利点を活用するために駆動信号aCOMの波形にリップルPrを含めつつ、リップルPrによってインク滴が分断するという問題を解決する方法として、インクの粘度を上げることが有効であることを見出した。具体的には、プリンター1に使用するインクは、粘度を上げるために極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含有していることが好ましく、1重量%以上7重量%以下含有していることがより好ましいことが見出された。一般的に、インクの粘度が高いとインク滴に長い尾引が生じ、この尾引がインクの飛翔中に複数のインク滴に分離するため、画質の劣化が生じやすくなる。ここで「尾引」とは、吐出されたインク滴(主滴)の進行方向後方側に形成される糸状のインクの筋である。しかし、本実施形態のドライバー30は、AB級増幅回路のようなリニア増幅ではなく、ノンリニア増幅をおこなうため、駆動信号の波形にリップルが含まれる。そのため、粘度の高くないインクを本実施形態のプリンター1に使用すると、インク滴の分離が発生して画質の低下が生じる。よって、本実施形態のプリンター1では、極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下、好ましくは、1重量%以上7重量%以下含有するインクを用いることで、飛翔中のインク滴の分離の発生を抑制することができる。また、本実施形態のドライバー30のようなノンリニア増幅をおこなう増幅回路を使用することで、プリンターの消費電力を抑制することができる。
なお、インクに含まれる極性溶媒としては、特に限定されないが、1,2−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、モノブチルエーテル、グリセリン、プロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、2H−ピラン、4H−ピラン、ε−カプロラクタム、ジメチルスルホキシド、スルホラン、モルホリン、N−エチルモルホリン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−アクリロイルモルホリン、および、N−ビニル−2−ピロリドンを例示することができる。これらの中でも吐出安定性を向上させるために、1,2−ヘキサンジオールを含有させることが好ましい。
インクの好ましい成分構成の他の一例を示す。インクは、少なくとも、着色剤と、光重合性樹脂と、光重合開始剤と、極性溶媒とを含有することが好ましい。インクに含まれる光重合性樹脂は、エマルジョン状態のオリゴマー粒子と、このオリゴマー粒子内に存在するモノマーとで構成されていることが好ましい。インクに含まれる極性溶媒として、2−ピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンのいずれか1種または2種以上を含んでいることが好ましく、2−ピロリドン、N−アクリロイルモルホリンを含有することがさらに好ましい。このインクによれば、光重合性樹脂が、エマルジョン状態のオリゴマー粒子と、このオリゴマー粒子内に存在するモノマーとで構成されているため、光重合性樹脂がインク中に均一に分散された状態で長時間保存される。また、2−ピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンのいずれか1種または2種以上からなる極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下の割合で含有しているため、印字安定性の向上を図ることができる。また、極性溶媒として2−ピロリドン、N−アクリロイルモルホリンを含有している場合には、光照射後に得られるインク被膜強度を高めることができる。
図4は、本実施形態のプリンター1に使用されるインクの成分を例示した説明図である。サンプルS1として示すインクは、極性溶媒としての1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、トリエチレングリコール、モノブチルエーテル、プロピレングリコールを含有している。サンプルS2、S3として示すインクは、極性溶媒として、サンプルS1に含有されている成分に加えてグリセリンを含有している。サンプルS1〜S3として示すインクは、極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含有している。これらのサンプルS1〜S3をプリンター1に使用すると、インク滴の分離の発生をより抑制することができる。
なお、インクの粘度は、駆動信号aCOMの波形に含まれるリップルPrの大きさに応じて設定することが好ましい。すなわち、リップルPrが大きいほど、一回の吐出動作において吐出されたインク滴が複数に分断しやすいため、インクの粘性をより高めることによってインク滴の分断を抑制することができる。一方、インクの粘性に対してリップルPrが小さい場合には、吐出されたインク滴の尾引によってインク滴が複数に分断しやすくなるため、インクの粘性を低下させることによって、インク滴の分断を抑制することができる。ドライバー30において、駆動信号aCOMの波形に含まれるリップルPrの大きさを調整可能であれば、インクの粘性に合わせてリップルPrの大きさを設定することが好ましい。
以上説明したプリンター1によれば、ドライバー30にノンリニア増幅回路が含まれているため、リニア増幅回路を含んだプリンターよりも消費電力を抑制することができる。一方、プリンター1によれば、インクに極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含有しているため、駆動信号の波形にリップルが含まれていても吐出時におけるインク滴の分離の発生を抑制することができる。また、尾引によるインク滴の分離の発生も抑制することができる。さらに、プリンター1によれば、駆動信号の波形にリップルが含まれているため、吐出動作直後のノズルアクチュエーター素子40の行き過ぎによるインクの吐出量の増大を抑制することができる。また、製造誤差による吐出量のばらつきを抑制することができる。
B.ドライバー30の第1実施例:
図5は、第1実施例としてのドライバーの概略構成を例示した説明図である。ドライバー30は、入力される原駆動信号COMの電圧(入力電圧)Vinに応じて、ノズルアクチュエーター素子40に出力する駆動信号aCOMの電圧(出力電圧)Voutが変化するように構成されている。出力電圧Voutは、ノズルアクチュエーター素子40に保持(蓄積)された電荷量に比例する。よって、ドライバー30は、入力電圧Vinに応じてノズルアクチュエーター素子40の変位量を変化させる。ドライバー30は、オペアンプ32と、複数の単位増幅回路34と、複数のコンパレーター38と、を備えている。本実施形態のドライバー30は、6つの単位増幅回路34(第1の単位増幅回路34a、第2の単位増幅回路34b、第3の単位増幅回路34c、第4の単位増幅回路34d、第5の単位増幅回路34e、第6の単位増幅回路34f)と、5つのコンパレーター38(第1のコンパレーター38a、第2のコンパレーター38b、第3のコンパレーター38c、第4のコンパレーター38d、第5のコンパレーター38e)を備えている。
ドライバー30には、電源配線511a〜511gを介して、電圧ゼロを含む7種類の電圧(グランドG、VH/6、2VH/6、3VH/6、4VH/6、5VH/6、VH)が供給されている。このうち、電圧ゼロと電圧VHとを除く5種類の電圧は、それぞれ電源配線511b〜511fを介して補助電源回路50から供給される。以下の説明では、6つの単位増幅回路34a〜34fは、この7種類の電圧の隣接する2つの電圧の間の区間(6区間)とそれぞれ1対1で対応するものとして説明する。具体的には、以下のように対応する。
第1の単位増幅回路34a:ゼロ〜VH/6
第2の単位増幅回路34b:VH/6〜2VH/6
第3の単位増幅回路34c:2VH/6〜3VH/6
第4の単位増幅回路34d:3VH/6〜4VH/6
第5の単位増幅回路34e:4VH/6〜5VH/6
第6の単位増幅回路34f:5VH/6〜VH
ドライバー30は、6つの単位増幅回路34a〜34fのうち、出力電圧Voutが上記区間内に含まれる単位増幅回路34のみ機能するように構成されている。各単位増幅回路34a〜34fにおいて、対応する電圧の区間を「対応区間」と呼び、対応区間の下限値を「低位側電圧」と呼び、対応区間の上限値を「高位側電圧」と呼ぶ。
オペアンプ32は、入力端子が選択部230に接続され、出力端子が入力配線521を介して各単位増幅回路34a〜34fに接続されている。オペアンプ32は、予め設定された電圧増幅率に応じて入力端子から供給される入力電圧Vinを増幅させて各単位増幅回路34a〜34fに供給する。ここでは、オペアンプ32の電圧増幅率を「1」とし、入力電圧Vinがそのまま各単位増幅回路34a〜34fに供給されるものとして説明する。単位増幅回路34は、補助電源回路50を電流の供給源としてノズルアクチュエーター素子40に電流を供給する電流増幅回路であり、レベルシフター36と、2つのトランジスター(高位側トランジスター341、低位側トランジスター342)と、2つのダイオード351、352とを含んで構成されている。
高位側トランジスター341は、Pチャンネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、低位側トランジスター342は、Nチャンネル型のMOSFETである。2つのトランジスター341、342の各ドレイン端子は、出力配線522を介してノズルアクチュエーター素子40に接続されている。2つのトランジスター341、342の各ゲート端子は、レベルシフター36の出力端子に接続されている。高位側トランジスター341のソース端子は、電源配線511a〜511eのうち、自身が含まれる単位増幅回路34の高位側電圧が供給される電源配線511に接続されている。低位側トランジスター342のソース端子は、電源配線511a〜511eのうち、自身が含まれる単位増幅回路34の低位側電圧が供給される電源配線511に接続されている。例えば、第4の単位増幅回路34d(低位側電圧:3VH/6、高位側電圧:4VH/6)の高位側トランジスター341のソース端子は、4VH/6が供給される電源配線511eに接続されている。また、第4の単位増幅回路34dの低位側トランジスター342のソース端子は、3VH/6が供給される電源配線511dに接続されている。以下の説明では、第Nの単位増幅回路34Mに含まれる高位側トランジスターを「第Nの高位側トランジスター341M」とも呼び、第Nの単位増幅回路34Mに含まれる低位側トランジスター342を「第Nの低位側トランジスター342M」をとも呼ぶ(N=1〜6、M=a〜f)。
レベルシフター36は、イネーブル(enable)状態とディスエーブル(disable)状態とのいずれかの状態をとり、イネーブル(enable)状態のときに、入力された入力電圧Vinをシフトさせた電圧を2つのトランジスター341、342に供給する。レベルシフター36は、図5において丸印が付された負の制御端に供給される信号がLレベルであって、かつ、正の制御端に供給される信号がHレベルである時に、イネーブル状態となり、それ以外ときは、ディスエーブル状態となる。イネーブル状態のレベルシフター36は、入力された入力電圧Vinをプラス方向に所定値αだけシフト(Vin+α)させて高位側トランジスター341のゲート端子に供給し、入力電圧Vinをマイナス方向に所定値αだけシフト(Vin−α)させて低位側トランジスター342のゲート端子に供給する。一方、ディスエーブル状態のレベルシフター36は、入力された入力電圧Vinに関わらず、電圧VHを高位側トランジスター341のゲート端子に供給し、ゼロ電圧を低位側トランジスター342のゲート端子に供給する。なお、所定値αは、ドレイン端子に電流が流れ始めるソースゲート間の電圧(例えば、0.6V)を採用することができる。以下の説明では、第Nの単位増幅回路34Mに含まれるレベルシフターを「第Nのレベルシフター36M」とも呼ぶ(N=1〜6、M=a〜f)。
ダイオード351は、アノードが高位側トランジスター341のドレイン端子に接続され、カソードがノズルアクチュエーター素子40に接続されており、電流がノズルアクチュエーター素子40から高位側トランジスター341のドレイン端子に流れることを防止する。ダイオード352は、アノードがノズルアクチュエーター素子40に接続され、カソードが低位側トランジスター342のドレイン端子に接続されており、電流が低位側トランジスター342のドレイン端子からノズルアクチュエーター素子40に流れることを防止する。
コンパレーター38a〜38eは、2つの入力端子と1つの出力端子とを備えており、入力端子の一方は、出力配線522に接続され、入力端子の他方は、補助電源回路50から延びる電源配線511b〜511fのいずれかに接続されている。コンパレーター38a〜38eの入力端子の他方が接続される電源配線と、電源配線から供給される電圧は以下のようになる。
第1のコンパレーター38a:電源配線511b:VH/6
第2のコンパレーター38b:電源配線511c:2VH/6
第3のコンパレーター38c:電源配線511d:3VH/6
第4のコンパレーター38d:電源配線511e:4VH/6
第5のコンパレーター38e:電源配線511f:5VH/6
各コンパレーター38a〜38eにおいて、補助電源回路50から電源配線511を介して供給される電圧を「対応電源電圧」とも呼ぶ。コンパレーター38は、出力配線522の電圧(出力電圧Vout)と、補助電源回路50から供給される電圧(対応電源電圧)とを比較し、出力電圧Voutが対応電源電圧以上であればHレベルを出力し、出力電圧Voutが対応電源電圧未満であればLレベルを出力する。各コンパレーター38a〜38eの出力端子は、自身の対応電源電圧を低位側電圧とする単位増幅回路34のレベルシフター36の正の制御端と、自身の対応電源電圧を高位側電圧とする単位増幅回路34のレベルシフター36の負の制御端にそれぞれ接続されている。例えば、第4のコンパレーター38d(対応電源電圧:4VH/6)の出力端子は、第5の単位増幅回路34e(低位側電圧:4VH/6)の第5のレベルシフター36eの正の制御端と、第4の単位増幅回路34d(高位側電圧:4VH/6)の第4のレベルシフター36dの負の制御端にそれぞれ接続されている。
電源配線511b〜511gには、それぞれ、互いに異なるコンデンサーC(コンデンサーC1〜C6)の一方の端部が接続されている。電源配線511b〜511gは、コンデンサーC1〜C6を介してグランドGに接続されている。
図6は、出力電圧Voutとコンパレーターおよびレベルシフターの動作との関係を説明するための説明図である。図6には、出力電圧Voutの範囲、各コンパレーター38a〜38eの出力信号のレベル(H:Hレベル、L:Lレベル)、および、各レベルシフター36a〜36fの状態(E:イネーブル状態、D:ディスエーブル状態)が示されている。図6からわかるように、ドライバー30は、出力電圧Voutに応じて、6つのレベルシフター36a〜36fのうちのいずれか1つのレベルシフター36のみがイネーブル状態となるように構成されている。
図7は、入力電圧Vinおよび出力電圧Voutと高位側トランジスターおよび低位側トランジスターの作動状態との関係を説明するための説明図である。図7の横軸は入力電圧Vinを示し、縦軸は出力電圧Voutを示している。図7(a)および図7(b)に示す複数のハッチは、各トランジスター(高位側トランジスター341a〜fおよび低位側トランジスター342a〜f)の作動する領域(作動領域)を示している。図7中の「HTrN(N=1〜6)」は、第Nの高位側トランジスター341を示し、「LTrN(N=1〜6)」は、第Nの低位側トランジスター342を示している。図7(a)からわかるように、ドライバー30は、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高い状態のときに高位側トランジスター341a〜fが作動し、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも低いときに低位側トランジスター342a〜fが作動する。
図7(b)は、図7(a)の破線丸印で示した部分の周辺を拡大した図である。図7(b)に示すように、高位側トランジスター341の作動領域と低位側トランジスター342の作動領域との間には、電圧ギャップGPが設定されている。電圧ギャップGPとは、同一の出力電圧Vout下における高位側トランジスター341の作動領域と低位側トランジスター342の作業領域との入力電圧Vinの差である。電圧ギャップGPは、レベルシフター36のシフト量に比例し、GP=2αとなる。この電圧ギャップGPによって、1つの単位増幅回路34内において、高位側トランジスター341から低位側トランジスター342に貫通電流が流れることを防止することができる。
図8は、ノズルアクチュエーター素子の充放電時におけるドライバー内の電流の流れを説明するための説明図である。図8(a)は、充電時における電流の流れを説明するための説明図である。ここでは、一例として、出力電圧Voutが2VH/6〜3VH/6の範囲であり、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも大きいときの電流の流れを説明する。出力電圧Voutが2VH/6〜3VH/6の範囲であるため、ドライバー30の6つのレベルシフター36a〜36fのうち、第3のレベルシフター36cのみがイネーブル状態となる。そのため、6つの単位増幅回路34a〜34fのうちの第3の単位増幅回路34cのみが機能する。また、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも大きいため、第3の単位増幅回路34cに含まれる2つのトランジスター341c、342cのうちの第3の高位側トランジスター341cのみが機能し、ソースゲート間の電圧に応じた電流を流す。これにより、補助電源回路50やコンデンサーC3から供給される電流は、図8(a)の矢印で示すように、電源配線511d、第3の高位側トランジスター341c、出力配線522を経由して、ノズルアクチュエーター素子40に充電される。
図8(b)は、放電時における電流の流れを説明するための説明図である。ここでは、出力電圧Voutが2VH/6〜3VH/6の範囲であり、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも小さいときの電流の流れを説明する。このとき、第3の単位増幅回路34cに含まれる2つのトランジスター341c、342cのうちの第3の低位側トランジスター342cのみが機能し、ソースゲート間の電圧に応じた電流を流す。これにより、ノズルアクチュエーター素子40から放電された電流は、図8(b)の矢印で示すように、出力配線522、第3の低位側トランジスター342c、電源配線511cを経由して、コンデンサーC2に充電される。コンデンサーC2に充電されたエネルギーは、第2の単位増幅回路34bを経由してノズルアクチュエーター素子40に充電をおこなうときに利用される。そのため、ノズルアクチュエーター素子40の充放電時に生じるエネルギーのロスの低減を図ることができる。
図9は、ドライバーから出力される駆動信号aCOMの波形の詳細を説明するための説明図である。図9では、駆動信号aCOMの波形を実線で示し、原駆動信号COMの波形を破線で示している。本実施形態のドライバー30から出力される駆動信号aCOMの波形には、複数のリップルPrが形成されている。このリップルPrの少なくとも一部は、出力電圧Voutが、VH/6、2VH/6、3VH/6、4VH/6、および、5VH/6付近のときに形成される。すなわち、出力電圧Voutの上昇や下降によって、作動する単位増幅回路34が他の単位増幅回路34に切り替わるときにリップルPrが形成される。例えば、図9では、出力電圧Voutの上昇によって3VH/6に達すると、作動する単位増幅回路34が第3の単位増幅回路34cから第4の単位増幅回路34dに切り替わる。第3の単位増幅回路34cは、出力電圧Voutが3VH/6に近づくと出力電圧Voutの上昇速度が低下する。これにより、駆動信号aCOMの波形の立ち上がり部分REの勾配が3VH/6付近で低下する。その後、第4の単位増幅回路34dに切り替わり、出力電圧Voutの上昇速度が回復して立ち上がり部分REの勾配も回復するため、3VH/6付近において波形に微小な段差部、すなわちリップルPrが形成される。駆動信号aCOMの波形の立ち下がり部分FEについても同様の理由により3VH/6付近においてリップルPrが形成される。なお、駆動信号aCOMの波形には、立ち上がり部分REと平坦部との境界付近や、平坦部と立ち下がり部分FEとの境界付近において、原駆動信号COMよりも波形が湾曲して湾曲部Pcが形成されている。この湾曲部Pcは、入力電圧Vinと出力電圧Voutが、高位側トランジスター341の作動領域と低位側トランジスター342の作動領域との間の電圧ギャップGP(図7)付近に位置していることに起因する。この湾曲部Pcにおいても波形に微小な揺らぎが生じているため、湾曲部PcもリップルPrの一態様とみなすことができる。
以上説明した、第1実施例のドライバー30によれば、駆動信号aCOMの生成時に、出力電圧Voutに応じて作動する単位増幅回路34が切り替わるため、駆動信号aCOMの波形にリップルPrを形成することができる。また、ドライバー30によれば、出力電圧Voutに応じて作動する単位増幅回路34が切り替わるため、ノズルアクチュエーター素子40の充電時および放電時に生じるエネルギーの損失を低減させることができる。この理由を以下で説明する。
ノズルアクチュエーター素子40の充電時および放電時に損失するエネルギーPは下記の式(1)で表される。
P=(C・E2)/2 ・・・(1)
式(1)において、Cはノズルアクチュエーター素子40の容量であり、Eはノズルアクチュエーター素子40に供給される電圧の電圧振幅である。例えば、ドライバー30のように複数の単位増幅回路を用いず、単一の増幅回路のみによって出力電圧Voutを0からVHにする場合、損失するエネルギーPは、P=(C・VH 2)/2となる(E=VH−0)。一方、ドライバー30では、出力電圧Voutを0からVHにする場合、6つの単位増幅回路34が順次機能する。そのため、各単位増幅回路34において損失するエネルギーPiは、Pi=(C・(VH/6)2)/2となる(E=1/6VH−0)。よって、損失するエネルギーの合計Pは、P=6(C・(VH/6)2)/2=(C・VH 2)/12となる。このことから、ドライバー30は、単一の増幅回路と比較すると、損失するエネルギーPを1/6に抑制できることがわかる。
C.ドライバー30の第2実施例:
図10は、第2実施例としてのドライバー30Aの概略構成を例示した説明図である。第2実施形態のドライバー30Aは、第1実施例のドライバー30と比較して、コンパレーター38の構成が異なる。第2実施例のドライバー30Aは、10個のコンパレーター38(第1の高位側コンパレーター38ah、第1の低位側コンパレーター38al、第2の高位側コンパレーター38bh、第2の低位側コンパレーター38bl、第3の高位側コンパレーター38ch、第3の低位側コンパレーター38cl、第4の高位側コンパレーター38dh、第4の低位側コンパレーター38dl、第5の高位側コンパレーター38eh、第5の低位側コンパレーター38el)を備えている。第2実施例の一対の第Nのコンパレーター38Mh、38Ml(第Nの高位側コンパレーター38Mhと第Nの低位側コンパレーター38Ml)は、第1実施例の第Nのコンパレーター38Mと対応している(N=1〜5、M=a〜e)。
各コンパレーター38ah〜38eh、38al〜38elの入力端子の一方は、出力配線522に接続され、入力端子の他方は、以下の電源配線に接続されている。
一対の第1のコンパレーター38ah、38al:電源配線511b
一対の第2のコンパレーター38bh、38bl:電源配線511c
一対の第3のコンパレーター38ch、38cl:電源配線511d
一対の第4のコンパレーター38dh、38dl:電源配線511e
一対の第5のコンパレーター38eh、38el:電源配線511f
高位側コンパレーター38ah〜38ehの出力端子は、自身の対応電源電圧を低位側電圧とする単位増幅回路34のレベルシフター36の正の制御端に接続されている。例えば、第4の高位側コンパレーター38dh(対応電源電圧:4VH/6)の出力端子は、第5の単位増幅回路34e(低位側電圧:4VH/6)の第5のレベルシフター36eの正の制御端に接続されている。一方、低位側コンパレーター38al〜38elの出力端子は、自身の対応電源電圧を高位側電圧とする単位増幅回路34のレベルシフター36の負の制御端に接続されている。例えば、第4の低位側コンパレーター38dl(対応電源電圧:4VH/6)の出力端子は、第4の単位増幅回路34d(高位側電圧:4VH/6)の第4のレベルシフター36dの負の制御端に接続されている。
高位側コンパレーター38ah〜38ehは、出力配線522の電圧(出力電圧Vout)と、補助電源回路50から供給される電圧Vc(対応電源電圧Vc)をマイナス方向に所定値βだけシフトさせた電圧Vcm(修正電圧Vcm(Vcm=Vc−β))と、を比較し、出力電圧Voutが修正電圧Vcm以上であればHレベルを出力し、出力電圧Voutが修正電圧Vcm未満であればLレベルを出力する。所定値βは、0<β<VH/6の範囲において任意に設定することができる。例えば、第4の高位側コンパレーター38dhは、出力電圧Voutが修正電圧Vcm(Vcm=4VH/6−β)以上であればHレベルを出力し、出力電圧Voutが修正電圧Vcm未満であればLレベルを出力する。一方、低位側コンパレーター38al〜38elは、出力電圧Voutと、対応電源電圧Vcをプラス方向に所定値βだけシフトさせた修正電圧Vcm(Vcm=Vc+β)とを比較し、出力電圧Voutが修正電圧以上であればHレベルを出力し、出力電圧Voutが修正電圧未満であればLレベルを出力する。
上記構成により、6つのレベルシフター36a〜36fは、出力電圧VoutがVH/6±β、2VH/6±β、3VH/6±β、4VH/6±β、5VH/6±β、のときに、互いに隣接する2つのレベルシフターが同時にイネーブル状態になる。そのため、6つの単位増幅回路34a〜34fは、互いに隣接する2つの単位増幅回路の電圧の対応区間が一部重複するように構成される。具体的には、各単位増幅回路34a〜34fの電圧の対応区間は以下のようになる。
第1の単位増幅回路34a:ゼロ〜VH/6+β
第2の単位増幅回路34b:VH/6−β〜2VH/6+β
第3の単位増幅回路34c:2VH/6−β〜3VH/6+β
第4の単位増幅回路34d:3VH/6−β〜4VH/6+β
第5の単位増幅回路34e:4VH/6−β〜5VH/6+β
第6の単位増幅回路34f:5VH/6−β〜VH
例えば、出力電圧Voutが3VH/6のとき、第3の単位増幅回路34cと第4の単位増幅回路34dの2つが同時に機能する。
図11は、第2実施例のドライバーにおけるトランジスターの作動状態を説明するための説明図である。図11は、第1実施例の図7に対応している。図11(a)および図11(b)に示す複数のハッチは、各トランジスター341a〜f、342a〜fの作動領域を示している。第2実施例のドライバー30Aは、互いに隣接する2つの単位増幅回路34に含まれる高位側トランジスター341同士、および、低位側トランジスター342同士の作動領域が一部重複する。図11において、作動領域が重複する部分は、ハッチが重なってクロスハッチで表されている。
図11(b)は、図11(a)の破線丸印で示した部分の周辺を拡大した図である。図11(b)に示すように、ドライバー30は、例えば、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高く、また、3VH/6±βの範囲となるときには、第3の高位側トランジスター341cと第4の高位側トランジスター341dとが同時に作動する。また、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高く、また、3VH/6±βの範囲となるときには、第3の低位側トランジスター342cと第4の低位側トランジスター342dとが同時に作動する。
図12は、第2実施例のドライバーにおけるノズルアクチュエーター素子の充放電時の電流の流れを説明するための説明図である。図12(a)は、充電時における電流の流れを説明するための説明図である。ここでは、一例として、出力電圧Voutが3VH/6であり、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも大きいときの電流の流れを説明する。ドライバー30は、6つのレベルシフター36a〜36fのうち、第3のレベルシフター36cと第4のレベルシフター36dがイネーブル状態となる。よって、6つの単位増幅回路34a〜34fのうちの第3の単位増幅回路34cと第4の単位増幅回路34dが機能する。また、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも大きいため、第3の単位増幅回路34cと第4の単位増幅回路34dのそれぞれの高位側トランジスター(第3の高位側トランジスター341cと第4の高位側トランジスター341d)が機能して、それぞれがソースゲート間の電圧に応じた電流を流す。よって、図12(a)の矢印で示すように、ノズルアクチュエーター素子40には、補助電源回路50およびコンデンサーC4から、電源配線511eと第4の高位側トランジスター341dを経由して電流が供給されるとともに、補助電源回路50およびコンデンサーC3から、電源配線511dと第3の高位側トランジスター341cを経由して電流が供給される。
図12(b)は、放電時における電流の流れを説明するための説明図である。ここでは、出力電圧Voutが3VH/6であり、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも小さいときの電流の流れを説明する。ドライバー30は、第3の単位増幅回路34cと第4の単位増幅回路34dのそれぞれの低位側トランジスター(第3の低位側トランジスター342cと第4の低位側トランジスター342d)が機能して、それぞれがソースゲート間の電圧に応じた電流を流す。よって、図12(b)に示すように、ノズルアクチュエーター素子40から放電された電流の一部は、出力配線522、第3の低位側トランジスター342c、電源配線511cを経由して、コンデンサーC2に充電され、また一部は、出力配線522、第3の低位側トランジスター342c、電源配線511cを経由して、コンデンサーC2に充電される。コンデンサーC2に充電されたエネルギーは、第2の単位増幅回路34bを経由してノズルアクチュエーター素子40に充電をおこなうときに利用される。そのため、ノズルアクチュエーター素子40の充放電時に生じるエネルギーのロスの低減を図ることができる。
以上説明した、第2実施例のドライバー30Aによれば、作動する単位増幅回路34が一方の単位増幅回路34から隣接する他方の単位増幅回路34に切り替わる出力電圧Vout付近において、一方の単位増幅回路34が作動を停止させる前に他方の単位増幅回路34が作動を開始するため、第1実施例のドライバー30と比べて、駆動信号aCOMの波形に含まれるリップルPrの大きさを抑制することができる。例えば、出力電圧Voutが上昇して3VH/6−βに達すると、第3の単位増幅回路34cが作動したまま第4の単位増幅回路34dが作動を開始する。第3の単位増幅回路34cは、出力電圧Voutが3VH/6に近づくと出力電圧Voutの上昇速度が低下するが、第4の単位増幅回路34dが作動しているため、立ち上がり部分REの勾配の低下の発生が抑制される。すなわち、3VH/6付近におけるリップルPrの大きさが抑制される。駆動信号aCOMの波形の立ち下がり部分FEについても同様の理由により3VH/6付近において発生するリップルPrの大きさが抑制される。
C.ドライバー30の第3実施例:
第3実施例のドライバー30Bは、第2実施例のドライバー30Aと比較して、レベルシフター36がトランジスター341、342に出力する電圧のシフト量が異なる。第3実施例のドライバー30Bの回路構成は、第2実施例のドライバー30A(図10)の回路構成と同様である。第3実施例のレベルシフター36は、イネーブル状態のとき、入力された入力電圧Vinをマイナス方向に所定値αだけシフト(Vin−α)させて高位側トランジスター341のゲート端子に供給し、入力電圧Vinをプラス方向に所定値αだけシフト(Vin+α)させて低位側トランジスター342のゲート端子に供給する。すなわち、第3実施例のドライバー30Bでは、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差が±α以内(|Vin−Vout|≦α)のときには、高位側トランジスター341と低位側トランジスター342の両方に同時に電流が流れる。すなわち、高位側トランジスター341のドレインからダイオード351、出力配線522、ダイオード352を通って低位側トランジスター342のソースに貫通電流が流れる。
図13は、第3実施例のドライバーにおけるトランジスターの作動状態との関係を説明するための説明図である。図13は、第2実施例の図11に対応している。図13(a)および図13(b)に示す複数のハッチは、各トランジスター341a〜f、342a〜fの作動領域を示している。第3実施例のドライバー30Bは、第2実施例のドライバー30Bと同様に、互いに隣接する2つの単位増幅回路34に含まれる高位側トランジスター341同士、および、低位側トランジスター342同士の作動領域が一部重複する。第3実施例のドライバー30Bは、さらに、同じ単位増幅回路34に含まれる高位側トランジスター341の作動領域と低位側トランジスター342の作動領域とが一部重複する。図13において、作動領域が重複する部分は、ハッチが重なってクロスハッチで表されている。
図13(b)は、図13(a)の破線丸印で示した部分の周辺を拡大した図である。図13(b)に示すように、高位側トランジスター341の作動領域と低位側トランジスター342の作動領域との重複幅Aは、レベルシフター36のシフト量に比例しA=2αとなる。高位側トランジスター341の作動領域と低位側トランジスター342の作動領域とを重複させることによって、入力電圧Vinと出力電圧Voutとがほぼ等しいときに高位側トランジスター341と低位側トランジスター342の両方が停止する状態をなくすことができる。そのため、駆動信号aCOMに含まれる湾曲部Pcの大きさを抑制することができる。湾曲部PcはリップルPrの一態様とみなすことができるため、ドライバー30Bによれば、リップルPrの大きさを更に抑制することができる。なお、本実施例のドライバー30Bでは、隣接する2つの単位増幅回路34に含まれる4つのトランジスター(2つの高位側トランジスター341と2つの低位側トランジスター342)の作動領域が一部重複するように構成されている。
以上説明した、第3実施例のドライバー30Bによれば、高位側トランジスター341の作動領域と低位側トランジスター342の作動領域との間に電圧ギャップGP(図7)が存在しないため、入力電圧Vinと出力電圧Voutが電圧ギャップGP付近に位置することによって駆動信号aCOMの波形に湾曲部Pcが形成されることを抑制することができる。
D.ドライバー30の第4実施例:
図14は、第4実施例としてのドライバーを含むプリンターの概略構成を例示した説明図である。第4実施例のドライバー30Cは、D級の電流増幅回路である。第4実施例の制御ユニット10は、駆動波形信号発生回路81と、変調回路82と、ドライバー30Cと、平滑フィルター87とを有している。駆動波形信号発生回路81は、駆動信号aCOMの基準となる駆動波形信号WCOMを生成する。変調回路82は、駆動波形信号発生回路81で生成された駆動波形信号WCOMをパルス変調して、変調信号MSを出力する。
ドライバー30Cは、変調回路82から出力された変調信号MSを電流増幅して、電流増幅変調信号を出力する。ドライバー30Cは、電流を増幅するための2つのスイッチング素子(ハイサイド側スイッチング素子Q1およびローサイド側スイッチング素子Q2)からなるハーフブリッジ出力段85と、変調回路82からの変調信号MSに基づいて、スイッチング素子Q1およびQ2のゲート−ソース間信号GHおよびGLを調整するゲート駆動回路84とを備えている。ドライバー30Cでは、変調信号MSがハイレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1はゲート−ソース間信号GHがハイレベルとなってオン状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はゲート−ソース間信号GLがローレベルとなってオフ状態となる。その結果、ハーフブリッジ出力段85の出力は、電圧VHとなる。一方、変調信号MSがローレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1はゲート−ソース間信号GHがローレベルとなってオフ状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はゲート−ソース間信号GLがハイレベルとなってオン状態となる。その結果、ハーフブリッジ出力段85の出力はゼロとなる。このように、ドライバー30Cでは、変調信号MSに基づくハイサイド側スイッチング素子Q1およびローサイド側スイッチング素子Q2のスイッチング動作により、電流増幅が行われる。平滑フィルター87は、ドライバー30Cから出力された電流増幅変調信号を平滑化して、駆動信号aCOMを生成し、印刷ヘッド20の選択スイッチ66を介してノズルアクチュエーター素子40に供給する。
以上説明した、第4実施例のドライバー30Cによれば、ノンリニア増幅回路であるD級増幅回路を用いて駆動信号の電流増幅をおこなうため、駆動信号aCOMの波形にリップルPrを形成することができる。また、ドライバー30Cは、ノンリニア増幅回路であるため、ドライバー30Cを備えるプリンターは、リニアな増幅回路を備えるプリンターよりも消費電力の抑制を図ることができる。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
E−1.変形例1:
第1〜4実施例として示したドライバー30は、駆動信号aCOMの波形にリップルPrが含まれる増幅回路の一例であり、プリンター1が備えるドライバーは、上記実施例で示した回路構成に限定されない。すなわち、プリンター1は、駆動信号aCOMの波形にリップルPrが含まれる任意のドライバーを採用することができる。例えば、ドライバー30として、特願2012−10660や特願2012−10662に開示されている増幅回路を使用してもよい。なお、駆動信号aCOMの波形に含まれるリップルPrは、増幅回路の特性によって生じたリップル以外のリップルが含まれていてもよい。例えば、駆動信号aCOMの波形に含まれるリップルPrには、プリンター1に供給される電力の電圧値のゆらぎや、プリンター1の周辺の磁力等の影響によって形成されるリップルが含まれていてもよい。
E−2.変形例2:
第1〜3実施例で示したドライバー30の回路構成は適宜変更することができる。例えば、トランジスター341、342は、MOSFETの代わりにバイポーラトランジスターが使用されてもよい。また、ドライバー30が備える単位増幅回路34の数は、6つに限定されず、任意の数とすることができる。
E−3.変形例3:
図15は、変形例における原駆動信号COMの波形を説明するための説明図である。図15は、本変形例の原駆動信号COMの波形を一点鎖線で示し、参考として、第1実施形態の原駆動信号COMの波形を破線で示し、第1実施形態の駆動信号aCOMの波形を実線で示している。変形例に係る原駆動信号COMは、第1実施形態の原駆動信号COMに対して波形の補正(プレエンファシス)がおこなわれている。具体的には、変形例に係る原駆動信号COMは、駆動信号aCOMの波形でリップルPrや湾曲部Pcが生じる部分と対応する部分に、予め、リップルPrや湾曲部Pcを打ち消すように強調部Mpが形成されている。強調部Mpが形成された原駆動信号COMをドライバー30によって電流増幅させると、リップルPrや湾曲部Pcと強調部Mpとが打ち消しあうため、生成される駆動信号aCOMの波形の外形上において、リップルPrや湾曲部Pcの大きさを抑制することができる。このような方法によっても、駆動信号aCOMの波形に形成されるリップルPrや湾曲部Pcの大きさを調整することができる。
E−4.変形例4:
第1実施形態で示したインクの成分は、プリンター1に適用可能なインクが含有する成分の一例であり、プリンター1が適用可能なインクが含有する成分は、第1実施形態で示した成分に限定されない。すなわち、プリンター1は、極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含有する任意のインクを使用することができる。なお、インクが含有する極性溶媒の具体的な成分や、極性溶媒以外の成分についても第1実施形態に限定されない。
E−5.変形例5:
本発明は、液体(機能材料の粒子が分散された液状体やジェルなどの流状体を含む)を吐出する装置であれば、インクジェットプリンター以外の装置にも適用可能である。このような液体吐出装置としては、例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、液晶ディスプレイやEL(エレクトロルミネッサンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターなどの製造に用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解の形態で含む液状態を吐出する装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられて試料となる液体を吐出する装置、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に吐出する装置、基板などをエッチングするために酸またはアルカリなどのエッチング液を吐出する装置等が挙げられる。
また、第1実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよいし、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
1…プリンター 10…制御ユニット 20…印刷ヘッド 30…ドライバー 32…オペアンプ 34…単位増幅回路 36…レベルシフター 38…コンパレーター 40…ノズルアクチュエーター素子 50…補助電源回路 66…選択スイッチ 81…駆動波形信号発生回路 82…変調回路 84…ゲート駆動回路 85…ハーフブリッジ出力段 87…平滑フィルター 120…メイン制御部 124…RAM 126…ROM 140、210…IF 160…DAC 180…主電源回路 190…フラットケーブル 220…ヘッド制御部 230…選択部 232…スイッチ 341…高位側トランジスター 342…低位側トランジスター 351、352…ダイオード 511…電源配線 521…入力配線 522…出力配線 C…コンデンサー Q1…ハイサイド側スイッチング素子 Q2…ローサイド側スイッチング素子
本発明は、液体吐出装置に関する。

Claims (7)

  1. アクチュエーター素子に駆動信号を供給することによって液体を吐出させる液体吐出装置であって、
    前記液体は、極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含むインクであり、
    前記アクチュエーター素子に供給される前記駆動信号の波形には、非矩形形状のパルスが含まれており、前記非矩形形状のパルスの立ち下がり部分には、リップルが形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置は、
    電力供給源となる補助電源回路と、
    前記補助電源回路から供給される電力を用いて、入力された原駆動信号を電流増幅させて前記駆動信号を生成する増幅回路と、を備え、
    前記増幅回路は、波形にリップルが形成されていない前記原駆動信号を電流増幅させて波形にリップルが形成された駆動信号を生成する、液体吐出装置。
  3. 請求項2に記載の液体吐出装置において、
    前記増幅回路は、前記補助電源回路と前記アクチュエーター素子とにそれぞれ接続された複数の単位増幅回路を含んでおり、
    前記複数の単位増幅回路は、前記アクチュエーター素子に接続された側の電圧に応じて、前記複数の単位増幅回路のうちのいずれか1つまたは2つの単位増幅回路が、前記補助電源回路を電流の供給源として前記アクチュエーター素子に電流を供給する、液体吐出装置。
  4. 請求項2に記載の液体吐出装置において、
    前記増幅回路は、D級の増幅回路である、液体吐出装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記インクは、ヘキサンジオールを含んでいる、液体吐出装置。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記インクは、少なくとも、着色剤と、光重合性樹脂と、光重合開始剤と、極性溶媒とを含んでおり、
    前記光重合性樹脂として、エマルジョン状態のオリゴマー粒子と、該オリゴマー粒子内に存在するモノマーとを含み、
    前記極性溶媒として、2−ピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンのいずれか1種または2種以上を含んでいる、液体吐出装置。
  7. アクチュエーター素子に駆動信号を供給することによって液体を吐出させる液体の吐出方法であって、
    前記液体は、極性溶媒を0.1重量%以上10重量%以下含むインクであり、
    前記アクチュエーター素子に供給される前記駆動信号の波形には、非矩形形状のパルスが含まれており、前記非矩形形状のパルスの立ち下がり部分には、リップルが形成されていることを特徴とする液体の吐出方法。
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