JP2017086596A - 洗濯機の制御装置及び洗濯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの回転制御に極力影響を与えることなく駆動用電源を昇圧できる洗濯機の制御装置を提供する。【解決手段】実施形態の洗濯機の制御装置によれば、モータを駆動するインバータ回路に供給する駆動用電源を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路による昇圧を制御すると共に、前記インバータ回路を介して前記モータの駆動を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記モータの回転数が指令回転数と一致するように制御されている際に前記昇圧を開始又は終了させ、前記駆動用電源の電圧変化に対応して前記回転数が変化する時間よりも、前記駆動用電源の電圧を目標電圧まで変化させる時間を遅くする。【選択図】図1

Description

本発明は、洗濯機のモータを駆動するインバータ回路に供給される駆動用電源の電圧を制御する装置及び当該装置を備えてなる洗濯機に関する。
従来より、インバータ回路を介して駆動されるモータの回転トルクを向上させるため、インバータ回路に供給される駆動用電源を昇圧させることが行われている。例えば特許文献1では、脱水運転の開始させる前に昇圧をソフトスタートさせて、脱水運転中は一定電圧を維持するように制御している。また、特許文献2では、交流電源とインバータ回路との間に、リアクトルと、直流電源を生成する整流回路と、その整流回路の交流入力端子間を短絡する手段とを接続し、交流電源電圧の半周期内に、交流入力端子間を複数回短絡させてリアクトルに電流を流し、直流電源母線電圧を昇圧制御している。
特開2008−183087号公報 特開2010−273505号公報
しかしながら、特許文献1の制御方式では、昇圧が不要な低回転領域においても昇圧が行われるため、回路損失が増加してリアクタ等の温度が過度に上昇するという問題がある。また、特許文献2の制御方式では、昇圧度合いを大きく設定した際にモータの制御に影響を及ぼして回転数の変動や異音が発生したり、過電圧により回路素子にダメージを与える、と行った問題がある。
そこで、モータの回転制御に極力影響を与えることなく駆動用電源を昇圧できる洗濯機の制御装置及び洗濯機を提供する。
実施形態の洗濯機の制御装置によれば、
モータを駆動するインバータ回路に供給する駆動用電源を昇圧する昇圧回路と、
この昇圧回路による昇圧を制御すると共に、前記インバータ回路を介して前記モータの駆動を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記モータの回転数が指令回転数と一致するように制御されている際に前記昇圧を開始又は終了させ、前記駆動用電源の電圧変化に対応して前記回転数が変化する時間よりも、前記駆動用電源の電圧を目標電圧まで変化させる時間を遅くする。
第1実施形態であり、洗濯乾燥機における各モータの駆動制御系を概略的に示す図 ドラム式洗濯乾燥機の構成を示す縦断側面図 脱水運転の動作を概略的に示すフローチャート 乾燥運転の実行に伴うコンプレッサの運転行程を概略的に示すフローチャート 昇圧制御の開始/終了判定処理を示すフローチャート 力率改善制御の開始/終了判定処理を示すフローチャート 昇圧制御の開始処理を示すフローチャート 2回目以降の短絡動作処理を示すフローチャート 電源電圧・電流波形の一例を示す図 脱水運転の高速回転領域において昇圧を行った場合の波形を示す図 従来技術において脱水運転の高速回転領域において昇圧を行った場合の波形を示す図 第2実施形態であり、昇圧制御の開始/終了判定処理を示すフローチャート 第3実施形態であり、昇圧制御の開始/終了判定処理を示すフローチャート 第4実施形態であり、昇圧制御の開始/終了判定処理を示すフローチャート
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1から図11を参照して説明する。図2は、ドラム式洗濯乾燥機の構成を示す縦断側面図である。外箱1は前板と後板と左側板と右側板と底板と天板を有する中空状をなすものであり、外箱1の前板には貫通孔状の出入口2が形成されている。この外箱1の前板には扉3が装着されている。この扉3は使用者が前方から閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能なもので、扉3の閉鎖状態では出入口2が閉鎖され、扉3の開放状態では出入口2が開放される。外箱1の内部には水受槽4が固定されている。この水受槽4は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、軸心線CLが前から後に向けて下降する傾斜状態に配置されている。この水受槽4は前面が開口するものであり、扉3の閉鎖状態では扉3が水受槽4の前面を気密状態に閉鎖する。
水受槽4の後板には、水受槽4の外部に位置してドラムモータ5が固定されている。このドラムモータ5は速度制御可能なDCブラシレスモータからなり、ドラムモータ5の回転軸6は水受槽4の内部に突出している。この回転軸6は水受槽4の軸心線CLに重ねて配置されたものであり、回転軸6には水受槽4の内部に位置してドラム7が固定されている。このドラム7は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、ドラムモータ5の運転状態で回転軸6と一体的に回転する。このドラム7の前面は水受槽4の前面を介して出入口2に後方から対向しており、ドラム7の内部には扉3の開放状態で前方から出入口2と水受槽4の前面とドラム7の前面を通して洗濯物が出し入れされる。
ドラム7には、複数の貫通孔8が形成されており、ドラム7の内部空間は複数の貫通孔8のそれぞれを通して水受槽4の内部空間に接続されている。このドラム7には複数のバッフル9が固定されている。これら複数のバッフル9のそれぞれはドラム7が回転することに応じて軸心線CLを中心に円周方向へ移動するものであり、ドラム7内の洗濯物は複数のバッフル9のそれぞれに引掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。
外箱1の内部には、給水弁10が固定されている。この給水弁10は入口および出口を有するものであり、給水弁10の入口は水道の蛇口に接続されている。この給水弁10は給水弁モータ11(図2参照)を駆動源とするものであり、給水弁10の出口は給水弁モータ11の回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられる。この給水弁10の出口は、注水ケース12に接続されており、給水弁10の開放状態では水道水が給水弁10を通して注水ケース12内に注入され、給水弁10の閉鎖状態では水道水が注水ケース12内に注入されない。この注水ケース12は外箱1の内部に水受槽4より高所に位置して固定されたものであり、筒状の注水口13を有している。この注水口13は水受槽4の内部に挿入されており、給水弁10から注水ケース12内に注入された水道水は注水口13から水受槽4の内部に注入される。
水受槽4には、最底部に位置して排水管14の上端部が接続されており、排水管14には排水弁15が介在されている。この排水弁15は排水弁モータ16(図2参照)を駆動源とするものであり、排水弁モータ16の回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられる。この排水弁15の閉鎖状態では注水口13から水受槽4内に注入された水道水が水受槽4内に貯留され、排水弁15の開放状態では水受槽4内の水道水が排水管14を通して水受槽4の外部に排出される。
外箱1の底板には、水受槽4の下方に位置してメインダクト17が固定されている。このメインダクト17は前後方向へ指向する筒状をなすものであり、メインダクト17の前端部には前ダクト18の下端部が接続されている。この前ダクト18は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、前ダクト18の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の前端部で接続されている。メインダクト17の後端部にはファンケーシング19が固定されている。このファンケーシング19は貫通孔状の吸気口20および筒状の排気口21を有するものであり、ファンケーシング19の内部空間は吸気口20を介してメインダクト17の内部空間に接続されている。
ファンケーシング19には、ファンケーシング19の外部に位置してファンモータ22が固定されている。このファンモータ22はファンケーシング19の内部に突出する回転軸23を有するものであり、回転軸23にはファンケーシング19の内部に位置してファン24が固定されている。このファン24は軸方向から空気を吸込んで径方向へ吐出する遠心式のものであり、ファンケーシング19の吸気口20はファン24にファン24の軸方向から対向し、ファンケーシング19の排気口21はファン24にファン24の径方向から対向している。
ファンケーシング19の排気口21には、後ダクト25の下端部が接続されている。この後ダクト25は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、後ダクト25の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の後端部で接続されている。これら後ダクト25とファンケーシング19とメインダクト17と前ダクト18と水受槽4は水受槽4の内部空間を始点および終点のそれぞれとする環状の循環ダクト26を構成するものであり、扉3の閉鎖状態でファンモータ22が運転されている場合にはファン24が一定方向へ回転することに基づいて水受槽4内の空気が前ダクト18内からメインダクト17内を通してファンケーシング19内に吸引され、ファンケーシング19内から後ダクト25内を通して水受槽4内に戻される。
外箱1の内部には、コンプレッサ(圧縮機)27が固定されている。このコンプレッサ27は循環ダクト26の外部に配置されたものであり、冷媒を吐出する吐出口および冷媒を吸込む吸込口を有している。このコンプレッサ27はコンプモータ28(図2参照)を駆動源とするものであり、コンプモータ28は速度制御可能なDCブラシレスモータから構成されている。
メインダクト17の内部には、コンデンサ(凝縮器)29が固定されている。このコンデンサ29は空気を加熱するものであり、蛇行状に曲折する1本の冷媒管30の外周面に板状をなす複数の加熱フィン31のそれぞれを接触状態で固定することから構成されている。このコンデンサ29の冷媒管30はコンプレッサ27の吐出口に接続されており、コンプモータ28の運転状態ではコンプレッサ27の吐出口から吐出された冷媒がコンデンサ29の冷媒管30内に進入する。
図1は、ドラムモータ5,ファンモータ22及びコンプモータ28の駆動制御系を概略的に示すものである。インバータ回路34は、6個のIGBT(スイッチング素子)35a〜35fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT35a〜35fのコレクタ−エミッタ間には、フライホイールダイオード36a〜36fが接続されている。インバータ回路34の各相出力端子は、ドラムモータ5の各相巻線に接続されている。
下アーム側のIGBT35d、35e、35fのエミッタは、シャント抵抗37u、37v、37wを介してグランドに接続されている。また、IGBT35d、35e、35fのエミッタとシャント抵抗37u、37v、37wとの共通接続点は、制御回路(マイクロプロセッサ,マイクロコンピュータ)42Aの入力端子に接続されている。
制御回路42Aの内部では、図示しないが、オペアンプなどを含んで構成されレベルシフト回路により、シャント抵抗37u〜37wの端子電圧を増幅すると共にその増幅信号の出力範囲が正側に収まるように(例えば、0〜+3.3V)バイアスを与える。また制御回路42Aには、インバータ回路34の上下アームが短絡した場合に回路の破壊を防止するために過電流検出を行なう機能がある。
そして、ファンモータ22に対しては、同様に構成されるインバータ回路38及びシャント抵抗39(u,v,w)が配置され、コンプモータ28に対しては、インバータ回路40及びシャント抵抗41(u,v,w)が配置されている。インバータ回路38及び40の制御は、もう1つの制御回路42B(マイクロプロセッサ,マイクロコンピュータ),短絡制御手段)によって行われ、制御回路42A,42Bは、シリアル通信による双方向通信が可能となっている。
インバータ回路34,38,40の入力側には、駆動用電源回路43が接続されている。駆動用電源回路43は、100Vの交流電源に対し、一端側にリアクトル(誘導性リアクタ)44を介して接続され、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路45と、全波整流回路45の出力側に直列接続された2個のコンデンサ46a、46bとを備えている。コンデンサ46a、46bの共通接続点は、全波整流回路45の入力端子の一方に接続されている。駆動用電源回路43は、後述するリアクトル44を用いた昇圧動作を行わない場合には、100Vの交流電源を倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路34等に供給する。駆動用電源回路43は昇圧回路に相当する。
全波整流回路45の入力端子には、同様にダイオードブリッジで構成されるもう1つの全波整流回路47(短絡手段)が並列に接続されており、全波整流回路47の出力端子間には、IGBT48(短絡手段)が接続されている。IGBT48のオンオフ制御は、制御回路42Bが行う。尚、駆動用電源回路43には、全波整流回路47及びIGBT48も含まれている。また、全波整流回路45の入力端子には、AC電圧検出器60が接続されており、AC電圧検出器60の出力端子は、制御回路42A及び42Bの入力端子に接続されている。
インバータ回路34,38の入力端子間には、それぞれ抵抗49a及び49bの直列回路、抵抗50a及び50bの直列回路が接続されており、それぞれの共通接続点は、制御回路42A,42Bの入力端子に接続されている。制御回路42A,42Bは、上記各共通接続点の電圧を参照することで、インバータ回路34,38に入力される駆動電源電圧を検知する。
また、ドラムモータ5に対しては、ロータ位置を検出するため、例えばホールICなどで構成される位置センサ51(u,v,w)が配置されており、位置センサ51が出力するセンサ信号は、制御回路42Aに与えられている。また、交流電源とリアクトル44との間には、例えば電流トランス(CT)などからなる電流センサ52が介挿されており、電流センサ52が出力するセンサ信号は、制御回路42Bに与えられている。
制御回路42A,42Bは、モータ5,22,28の各相巻線に流れる電流を検出し、その電流値に基づいて2次側の回転磁界の位相θ及び回転角速度ωを推定すると共に、三相電流を直交座標変換及びdq(direct-quadrature) 座標変換することで励磁電流成分Id、トルク電流成分Iqを得る。そして、制御回路42A,42Bは外部より指令回転数が与えられると、推定した位相θ及び回転角速度ω並びに電流成分Id、Iqに基づいて電流指令Idref、Iqref生成し、それを電圧指令Vd、Vqに変換すると直交座標変換及び三相座標変換を行なう。最終的には、駆動信号がPWM信号として生成され、インバータ回路34,38,40を介してモータ5,22,28の各相巻線に出力される。これにより、モータ5の回転数が指令回転数に一致するように制御される。
以上の構成において、インバータ回路34,制御回路42A及び42B,駆動用電源回路43は、駆動装置61を構成している。
次に、本実施形態の作用について図3から図11も参照して説明する。図3は、脱水運転の行程を概略的に示すフローチャートである。先ず、ドラム7の回転数を徐々に上昇させるように加速を行い(S1)、回転数が1000rpmに達すると(S2:YES)昇圧制御の許可をセットする(S3)。その後、予め設定された脱水時間が終了すると(S4:YES)昇圧制御の許可をクリアする(S5)。それから、ブレーキを作動させて(S6)ドラム7の回転が停止すると(S7:YES)、脱水運転が終了する。
図4は、乾燥運転の実行に伴うコンプレッサ27の運転行程を概略的に示すフローチャートである。コンプレッサ27,すなわちコンプレッサモータ28を起動すると(S1c)、「力率改善制御許可」をセットする(S2c)。そして、コンプレッサ27の運転を終了すると(S3c;YES)、「力率改善制御許可」をクリアする(S4c)。
図5は、1m秒毎に発生する割り込みに伴い実行される、昇圧制御の開始/終了判定処理を示すフローチャートである。図3に示すステップS3において、昇圧制御の許可がセットされていれば(S11:YES)、現在のステータスが「昇圧制御中」か否かを判断する(S12)。また、昇圧制御の許可がセットされていなければ(S11:NO)、「昇圧制御中」のステータスをクリアして(S16)割り込み処理を終了する。尚、ステップS16では、昇圧制御を実行している状態から同制御の停止に移行した際には、その時点の電圧から6V/秒の傾きで、後述する目標電圧を減算させるように制御する。最終的に、昇圧パルスの発生が無い状態となる。
ステップS12において、現在のステータスが「昇圧制御中」でなければ(NO)、その時点の交流電源電流が、予め設定した昇圧制御を開始するための値(昇圧開始値,制御パラメータ)以上か否かを判断する(S13)。昇圧開始値は、例えば消費電力が550Wの場合に6A程度とする。ここで昇圧開始値以上であれば(YES)、「昇圧制御中」のステータスをセットして(S14)割り込み処理を終了し、昇圧開始値未満であれば(NO)そのまま割り込み処理を終了する。また、ステップS14では、目標電圧を例えば295Vに設定する。更に、昇圧制御の非実行状態から同制御の実行中に移行した際には、その時点の電圧から6V/秒の傾きで、前記目標電圧まで昇圧を行うように制御する。
また、ステップS12において、現在のステータスが「昇圧制御中」であれば(YES)、その時点の交流電源電流が、予め設定した昇圧制御を停止するための値(昇圧停止値)以下か否かを判断する(S15)。昇圧停止値以下であれば(YES)ステップS16に移行し、昇圧停止値を超えていれば(NO)割り込み処理を終了する。尚、ステップS14,S16における6V/秒の傾きは、回転数制御の周期や、ベクトル制御のループ中に含まれているPI制御等の制御ゲインの設定等を考慮して適宜決定する。
図6は、同じく1m秒毎に発生する割り込みに伴い実行される、力率改善制御の開始/終了判定処理を示すフローチャートである。図4に示すステップS2cにおいて、力率改善制御の許可がセットされていれば(S11p:YES)、現在のステータスが「力率改善制御中」か否かを判断する(S12p)。また、力率改善制御の許可がセットされていなければ(S11p:NO)、「力率改善制御中」のステータスをクリアして(S16p)割り込み処理を終了する。
ステップS12pにおいて、現在のステータスが「力率改善制御中」でなければ(NO)、その時点の交流電源電流が、予め設定した力率改善制御を開始するための値である力率改善開始値以上か否かを判断する(S13p)。力率改善開始値は、例えばAC電流値6.4Aとする。ここで力率改善開始値以上であれば(YES)、「力率改善制御中」のステータスをセットして(S14p)割り込み処理を終了し、力率改善開始値未満であれば(NO)そのまま割り込み処理を終了する。
また、ステップS12pにおいて、現在のステータスが「力率改善制御中」であれば(YES)、その時点の交流電源電流が、予め設定した力率改善制御を停止するための値である力率改善停止値以下か否かを判断する(S15p)。力率改善停止値は、例えばAC電流値4.0Aとする。力率改善停止値以下であれば(YES)ステップS16pに移行し、力率改善停止値を超えていれば(NO)割り込み処理を終了する。
図7は、同様に1m秒毎に発生する割り込みに伴い実行される、昇圧制御の開始処理を示すフローチャートである。現在のステータスが「昇圧制御中」であれば(S21:YES)、その時点の交流電源電流値と、電源周波数50Hz又は60Hzの何れかに応じて設定されるゼロクロス点からの遅延時間(例えば1.5m秒〜2m秒)で、最初に行う短絡動作(IGBT48のオン)の時間(パルス幅,例えば0.6m秒)で短絡パルスが出力されるようにセットする(S22)。一方、現在のステータスが「昇圧制御中」でなければ(S21:NO)、短絡パルスの出力をクリア,つまり短絡動作を行うことなく(S23)割り込み処理を終了する。
図8は、交流電源の半周期毎に実行される、2回目以降の短絡動作処理を示すフローチャートである。現在、短絡パルスを出力中(初回の短絡パルスを出力した直後)であれば(S31:YES)、ドラム7の回転数(制御パラメータ)が1600rpm以上であるか否かを判断する(S32)。回転数が1600rpmに達していなければ(NO)、短絡パルスの出力数を1個,つまり初回の短絡パルスのみの出力として(S35)割り込み処理を終了する。
ステップS32において、回転数が1600rpm以上であれば(YES)、その時点の直流電源電圧が目標電圧以上か否かを判断する(S33)。直流電源電圧が目標電圧以上であれば(YES)、限度を「6」として短絡パルス数を1つ増加させる(S34)。尚、複数の短絡パルスを出力する際に、パルスの出力間隔は例えば0.2m秒とする。また、2回目及び3回目に出力するパルスの幅は例えば0.15m秒,4回目〜6回目に出力するパルスの幅は例えば0.075m秒,といったようにパルス幅を段階的に短縮する。また、ステップS33において、直流電源電圧が目標電圧未満であれば(NO)、短絡パルス数を、現在の交流半周期において出力しているパルス数より1つ減少させる(S36)。
図9は、実際の電源電圧・電流波形の一例を示す。商用交流電源は定格50Hz/100Vであり、直流電源電圧は304V,短絡パルス数が「4」の場合である。この場合、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少値及び交流半周期内の電流ピーク値に対する減少量,並びに前記短絡動作に伴う電流の増加値及び同増加量は、以下のようになっている。
短絡回数 減少値(減少量) 増加値(増加量)
第2回 1.6A(10%) 3.4A(21%)
第3回 1.2A(7%) 3.0A(19%)
第4回 1.2A(7%) 2.2A(14%)
これらの昇圧制御条件は、交流電源の半周期内に短絡を複数回行う際に、その半周期内における電流ピーク値に至るまで、2回目以降の短絡動作を開始する時点の電流の減少量が半周期内における電流ピーク値の30%未満となるように、且つ前記短絡動作に伴う電流の増加量が前記電流ピーク値の40%未満となるように制御したものとなっている。
図11は、従来技術において脱水運転の高速回転領域において昇圧を行った場合の波形を示している。昇圧開始から0.05秒間で約100V昇圧しているため、回転数が目標値に対してオーバー気味となり、位相角が急上昇した後に大きく低下している。図11に示す回転数の変化は判り難いが、位相角が低下しているのは指令回転数に対して実回転数が大きくなっていることを示している。その後、位相角は再度上昇に転じ、所定の進み角に安定するまで1.3秒の調整時間を要しており所謂ハンチングが発生している。また、電力がインバータ電源側に回生されて430V程度の過電圧が発生しており、モータ電流の増加,減少及び昇圧の開始,停止を繰り返している。
図10は、本実施形態における図11相当図であり、16秒に亘り昇圧を行い目標電圧に到達させている。これによって、位相が急激に変化することなくハンチングが抑制され、モータ電流は緩やかに概ね単調増加するようになり、昇圧の開始,停止の繰り返しも発生しない。
以上のように本実施形態によれば、ドラム式洗濯乾燥機に、モータ5を駆動するインバータ回路34に供給する駆動用電源を昇圧する駆動用電源回路43と、駆動用電源回路43による昇圧を制御すると共に、インバータ回路34を介してモータ5の駆動を制御する制御回路42Aとを備える。そして、制御回路42Aは、モータ5の回転数が指令回転数と一致するように制御されている際に駆動用電源回路43による昇圧を開始又は終了させ、駆動用電源の電圧変化に対応してモータ5の回転数が変化する時間よりも、駆動用電源の電圧を目標電圧まで変化させる時間を遅くする。
これにより、モータ5の電圧,電流間の位相を急激に変化させることなく、駆動用電源回路43が昇圧の開始,停止を繰り返すこともないので、モータ5の駆動制御を安定して行うことができる。そして、インバータ回路34を構成するIGBT35や駆動用電源回路43を構成するIGBT48等の回路素子が、過電圧の印加によって故障することを防止できる。また、制御回路42Aは、昇圧を開始及び終了させるか否かの判断を、駆動用電源の交流電流に基づいて行うようにしたので、上記判断を適切に行うことができる。
(第2〜第4実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第2〜第4実施形態は、図5に示すように、ステップS14,S16において「昇圧制御中セット」,「昇圧制御中クリア」を実行するための判断を行うためのパラメータのバリエーションを示すものである。
図12に示す第2実施形態の場合、ドラムモータ5の高速回転領域において弱め界磁制御を行うことが前提であり、その際の進み角が例えば20度以上になると(S13a;YES)ステップS14を実行し、進み角が20度未満になると(S15a;YES)ステップS16を実行する。
図13に示す第3実施形態の場合、第2実施形態と同様に弱め界磁制御を行うことが前提であり、その際のd軸電流が例えば−2A未満になると(S13b;YES)ステップS14を実行し、−2A以上になると(S15b;YES)ステップS16を実行する。
図14に示す第4実施形態の場合、ドラムモータ5の回転数が例えば1200rpm以上になると(S13c;YES)ステップS14を実行し、1200rpm未満になると(S15c;YES)ステップS16を実行する。
以上のように第2〜第4実施形態によれば、制御回路42Aは、昇圧を開始及び終了させるか否かの判断を、モータが弱め界磁制御されている際の電流若しくは進み角,又はモータ5の回転数に関する情報に基づいて行うようにしたので、第1実施形態と同様に上記判断を適切に行うことができる。
(その他の実施形態)
制御回路42A,42Bを統合して、1つの制御回路としても良い。
IGBT48により短絡を行う場合のパルス幅や、ゼロクロス点からの遅延時間についても、適宜変更して良い。
半導体スイッチング素子は、IGBTに限ることなく、バイポーラトランジスタやMOSFETを用いても良い。
回転数や電圧,電流,電力に関する閾値の設定,昇降圧制御の傾きの設定は一例であり、個別の設計に応じて適宜変更すれば良い。
初回短絡パルスの遅延時間や、各パルスの出力間隔,パルス幅等の具体数値も一例であり、個別の設計に応じて適宜変更して実施すれば良い。
力率改善処理については、必要に応じて行えば良い。
乾燥機能を持たない洗濯機に適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、5はドラムモータ、7はドラム、22はファンモータ、27はコンプレッサ、28はコンプモータ、34,38,40はインバータ回路、42Bは制御回路、43は駆動用電源回路、61は駆動装置を示す。

Claims (9)

  1. モータを駆動するインバータ回路に供給する駆動用電源を昇圧する昇圧回路と、
    この昇圧回路による昇圧を制御すると共に、前記インバータ回路を介して前記モータの駆動を制御する制御回路とを備え、
    前記制御回路は、前記モータの回転数が指令回転数と一致するように制御されている際に前記昇圧を開始させ、前記駆動用電源の電圧変化に対応して前記回転数が変化する時間よりも、前記駆動用電源の電圧を目標電圧まで変化させる時間を遅くする洗濯機の制御装置。
  2. モータを駆動するインバータ回路に供給する駆動用電源を昇圧する昇圧回路と、
    この昇圧回路による昇圧を制御すると共に、前記インバータ回路を介して前記モータの駆動を制御する制御回路とを備え、
    前記制御回路は、前記モータの回転数が指令回転数と一致するように制御されている際に前記昇圧を終了させ、前記駆動用電源の電圧変化に対応して前記回転数が変化する時間よりも、前記駆動用電源の電圧を目標電圧まで変化させる時間を遅くする洗濯機の制御装置。
  3. 前記制御回路は、前記昇圧を開始させるか否かの判断を、少なくとも前記駆動用電源の電流に基づいて行う請求項1記載の洗濯機の制御装置。
  4. 前記制御回路は、前記昇圧を開始させるか否かの判断を、少なくとも前記モータが弱め界磁制御されている際の電流又は進み角に基づいて行う請求項1記載の洗濯機の制御装置。
  5. 前記制御回路は、前記昇圧を開始させるか否かの判断を、少なくとも前記モータの回転数に関する情報に基づいて行う請求項1記載の洗濯機の制御装置。
  6. 前記制御回路は、前記昇圧を終了させるか否かの判断を、少なくとも前記駆動用電源の電流に基づいて行う請求項2記載の洗濯機の制御装置。
  7. 前記制御回路は、前記昇圧を終了させるか否かの判断を、少なくとも前記モータが弱め界磁制御されている際の電流又は進み角に基づいて行う請求項2記載の洗濯機の制御装置。
  8. 前記制御回路は、前記昇圧を終了させるか否かの判断を、少なくとも前記モータの回転数に関する情報に基づいて行う請求項2記載の洗濯機の制御装置。
  9. 洗濯運転を行うための回転駆動力を発生させるモータと、
    このモータを駆動する駆動回路と、
    この駆動回路を介して前記モータの駆動を制御する請求項1から8の何れか一項に記載の制御装置とを備えてなる洗濯機。
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