JP2017084655A - シールド装置及びシールド装置の製造方法 - Google Patents

シールド装置及びシールド装置の製造方法 Download PDF

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武史 清水
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正晴 末谷
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智哉 河口
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Abstract

【課題】導電層の剥がれを抑制しつつ、樹脂部品の表面に設けられた導電層と導電部材とを接続することを目的とする。【解決手段】シールド装置20は、樹脂部品(例えば、コネクタハウジング32)と、樹脂部品の表面に固定された導電部材(例えば、筒状編組50)と、導電部材のうち樹脂部品の表面に固定された部分と共に樹脂部品の表面を覆う導電層70とを備える。導電層70は、例えば、メッキ層である。【選択図】図1

Description

この発明は、樹脂部品の表面に形成された導電層と導電部材とを接続する技術に関する。
特許文献1は、コネクタを覆うプロテクタであって、合成樹脂材により形成された樹脂本体部と、樹脂本体部の内面に設けられた導電性皮膜層とを備えるものを開示している。導電性皮膜層は、樹脂メッキ等により形成される。
特開2015−122272号公報
ところで、コネクタから延出する電線が編組等によって覆われている場合がある。この編組を、上記プロテクタを通じて接地する場合には、当該編組とプロテクタの導電性皮膜層とを接続する必要がある。プロテクタの導電性皮膜層と編組とを接続する構成としては、かしめリング等を用いた構成が挙げられる。
しかしながら、かしめリングを用いた構成によると、かしめ時に導電性被膜が剥がれる可能性がある。
そこで、本発明は、導電層の剥がれを抑制しつつ、樹脂部品の表面に設けられた導電層と導電部材とを接続することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係るシールド装置は、樹脂部品と、前記樹脂部品の表面に固定された導電部材と、前記導電部材のうち前記樹脂部品の表面に固定された部分と共に前記樹脂部品の表面を覆う導電層とを備える。
第2の態様は、第1の態様に係るシールド装置であって、前記導電部材は、前記樹脂部品の表面にめり込んだ状態で、前記樹脂部品の表面に固定されているものである。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るシールド装置であって、前記樹脂部品は、端子を保持するコネクタハウジングとされている。
第4の態様は、第3の態様に係るシールド装置であって、前記導電部材は、前記コネクタハウジングから延出する配線部材を覆うものである。
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係るシールド装置であって、前記導電部材は、金属線が編まれたものとされている。
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るシールド装置であって、前記導電層は、メッキ層とされている。
第7の態様に係るシールド装置の製造方法は、(a)樹脂部品の固定対象領域にメッキ前処理を施す工程と、(b)前記樹脂部品の前記固定対象領域に導電部材を固定する工程と、(c)前記導電部材のうち前記樹脂部品の表面に固定された部分と共に前記樹脂部品の表面にメッキ層を形成する工程と、を備える。
第1〜第6の態様によると、導電部材が樹脂部品の表面に固定されている。また、導電部材のうち樹脂部品の表面に固定された部分と共に樹脂部品の表面を覆う導電層によって、導電部材と導電層とが電気的に接続されている。このため、導電層の剥がれを抑制しつつ、樹脂部品の表面に設けられた導電層と導電部材とを接続することができる。
第2の態様によると、導電部材を樹脂部品により確実に固定できる。
第3の態様によると、コネクタハウジングとは別に、シールドケースを設けなくても、コネクタハウジングを導電層によってシールドすることができる。
第4の態様によると、配線部材を覆ってシールドする導電部材を、コネクタハウジングをシールドする導電層に接続する際に、導電層の剥がれを抑制できる。
第5の態様によると、導電部材は、金属線が編まれたものであるため、導電部材を樹脂部品の表面に広げた状態で、導電層を、樹脂部品の表面のうち編まれた金属線の隙間に露出する部分及び編まれた金属線の表面に形成することで、導電部材をより確実に樹脂部品に固定することができ、かつ、導電部材と導電層とをより確実に電気的に接続することができる。
第7の態様によると、樹脂部品の固定対象領域にメッキ前処理を施しているため、導電部材のうち樹脂部品の表面に固定された部分と共に樹脂部品の表面に良好にメッキ層を形成することができる。
実施形態に係る配線モジュールを示す概略側面図である。 図1におけるコルゲートチューブ部分を縦断面で表した説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングの編組装着部の外表面との接続部分を示す部分断面図である。 同上の接続部分を外周側から見た説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 筒状編組の一端部とコネクタハウジングとの接続工程を示す説明図である。 変形例に係る配線モジュールを示す概略側面図である。 他の変形例に係る配線モジュールを示す概略側面図である。
<全体構成について>
以下、実施形態に係るシールド装置について説明する。図1はシールド装置20を含む配線モジュール10を示す概略側面図であり、図2は図1におけるコルゲートチューブ90部分を縦断面で表した説明図である。
配線モジュール10は、コネクタ30と、電線40と、筒状編組50と、筒部材60とを備える。上記コネクタ30の外周面には、導電層70が形成されており、筒部材60の外周面にも導電層80が形成されている。導電層70によって、コネクタ30内の端子34と当該端子34と電線40との接続部部分が覆われ、筒状編組50によって電線40のうちコネクタ30に近い部分が覆われ、導電層80によって電線40のうちコネクタ30から離れた部分が覆われる。また、本コネクタ30が接続先となる機器に接続された状態で、当該機器の金属筐体に電気的に接続される。これにより、端子34、電線40を含む配線経路が導電層70、80及び筒状編組50によって覆われると共に、当該導電層70、80及び筒状編組50が金属筐体等に接地され、前記配線経路が電磁的にシールドされる。本実施形態においては、シールド装置20は、コネクタ30のコネクタハウジング32、この外表面に形成された導電層70、筒状編組50、筒部材60及び筒部材60の外表面に形成された導電層80を含む。なお、コネクタハウジング32及び導電層70と、筒部材60及び導電層80との両方を含むことは必須ではない。
上記配線モジュール10は、車両に搭載された各種電気機器を電気的に接続する配線として用いられ、特に、バッテリ、インバータ、モータ等の電気機器を接続し、高圧電流が流れる配線として用いられるのに適する。
コネクタ30は、コネクタハウジング32と、端子34とを備える。
コネクタハウジング32は、絶縁性樹脂等によって形成された樹脂部品の一例である。ここでは、コネクタハウジング32は、直方体状のハウジング本体部32aと、当該ハウジング本体部32aの後方に延出する編組装着部32bとを備える。編組装着部32bは、ハウジング本体部32aよりも小さい直方体状に形成されている。
端子34は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の板材をプレス加工等することによって形成されている。端子34の一端部には、電線接続部35が形成され、端子34の他端部には相手側接続部36が形成されている。電線接続部35には、電線40の端部の露出芯線部42が接続される。露出芯線部42と電線接続部35とは、超音波溶接、抵抗溶接、半田付等によって接続されていてもよいし、電線接続部35が露出芯線部42に対してかしめ接続されていてもよい。相手側接続部36は、本配線モジュール10の接続先となる機器側の相手側端子等が接続される部分である。相手側接続部36は、ネジ孔が形成された板状に形成され、相手側端子に対してネジ止によって接続される構成であってもよいし、ピン状若しくはタブ状等のオス端子形状、又は、筒状のメス端子形状に形成され、相手側端子に対して嵌合接続される構成であってもよい。
上記端子34は、少なくとも電線接続部35をコネクタハウジング32内に収容した状態で、コネクタハウジング32に保持されている。必要とされる配線本数に応じて、1つ又は複数の端子34がコネクタハウジング32に保持される。ここでは、電線接続部35がコネクタハウジング32内に収容され、相手側接続部36がコネクタハウジング32の前側(図1及び図2の左側)に突出した状態で、端子34がコネクタハウジング32に保持されている。端子34は、コネクタハウジング32に形成されたキャビティに挿入されて当該コネクタハウジング32に保持される構成であってもよいし、端子34の一部がコネクタハウジング32内に埋設されるように、インサート成型された構成であってもよい。
電線40は、配線部材の一例であり、ここでは、芯線の周囲に絶縁被覆が形成された構成とされている。芯線は、線状の導電部材であればよく、単芯線、撚り合わせ線、筒状編組等であってもよい。絶縁被覆は、芯線を周囲から絶縁できればよく、芯線に対して押出被覆されたもの、芯線を覆う熱収縮チューブ、ラミネートフィルム等であってもよい。
電線40の端部の露出芯線部42は、コネクタハウジング32内で端子34の電線接続部35に接続されている。電線40は、コネクタハウジング32の後部の編組装着部32bから延出している。通常、電線40は、コネクタハウジング32に保持される端子34の数に応じた数、コネクタハウジング32から延出する。
筒状編組50は、導電部材の一例である。筒状編組50としては、金属線が編まれたもの、例えば、金属線が筒形状をなすように編まれた構成、或は、金属線が縦横に交差するように織られた網目構造を有する金属布又は金属網が筒形状をなすように丸められた構成のもの、等が用いられる。金属線としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金製等の各種金属線を用いることができる。金属線の表面には、ニッケルメッキ、錫メッキ等が形成されていてもよい。この筒状編組50は、コネクタ30と筒部材60との間で電線40の周囲全体を覆うように配設される。かかる筒状編組50は、比較的容易に曲ることができ、かつ、コネクタハウジング32の表面に沿って配設可能な程度の柔軟性を有する。
上記筒状編組50の一端部は、コネクタハウジング32の表面の導電層70に電気的に接続された状態で、コネクタハウジング32に固定され、筒状編組50の他端部は、筒部材60の表面の導電層80に電気的に接続された状態で、筒部材60に固定される。これらの構成については後で説明する。
筒状編組50の外周は、コルゲートチューブ90によって覆われている。コルゲートチューブ90は、小径環状部と当該小径環状部よりも外径が大きい大径環状部とが交互に連続するように形成された樹脂部品である。このコルゲートチューブ90は、電線40及び筒状編組50を収容した状態で、比較的容易に曲ることができる性質を有する。このため、本配線モジュール10のうち筒状編組50及びコルゲートチューブ90が設けられた部分は、比較的柔軟に曲ることができる。
なお、金属線によって編まれた導電部材は、電線40の周囲全体を覆っている必要は無い。シート状の金属布又は金属網が、電線40の周囲の一方側からのみ覆っていてもよい。
また、導電部材が、金属線を編んだものである必要は無い。導電部材は、金属箔等であってもよい。この場合の変形例については後述する。
このコルゲートチューブ90は、コネクタ30と筒部材60との間で電線40及び筒状編組50を覆ってそれらを保護する役割を果す。なお、説明の便宜上、図1及び図2では、コルゲートチューブ90の各端部は、コネクタ30の手前及び筒部材60の手前に位置しているが、コルゲートチューブ90の各端部は、コネクタ30の後端部或は筒部材60の端部を覆うことが好ましい。
筒部材60は、内部に電線40を配設可能な筒状に形成された部材である。筒部材60は、絶縁性樹脂によって形成された樹脂部品の一例である。この筒部材60は、コネクタ30に対して間隔をあけた位置で、電線40を覆っている。筒部材60を、コネクタ30に対して間隔をあけた位置に設けているのは、筒部材60とコネクタ30との間で、電線40を曲げ可能にするためである。つまり、筒部材60は比較的硬い部材であるため、電線40を所定経路形状に維持する役割をも果す。しかしながら、電線40の全体が曲げられない形態であると配線モジュール10を車両に組付けることが困難となる。そこで、筒部材60を車両に固定すると共に、コネクタ30を車両の電気部品に接続した状態で、それらの間を曲げ容易にすることで、それらの組込作業性を良好にすることができる。このため、筒部材60とコネクタ30との間には、それらの間で電線40を曲げ容易にする程度の間隔が設けられている。この間隔は、例えば、5cm〜30cm程度である。
<筒状編組とコネクタ等との接続構成について>
筒状編組50の一端部は、樹脂部品であるコネクタハウジング32に固定された状態で、当該コネクタハウジング32の表面に形成された導電層70と電気的に接続されている。この構成について説明する。
図3は筒状編組50の一端部とコネクタハウジング32の編組装着部32bの外表面との接続部分を示す部分断面図であり、図4は同接続部分を外周側から見た説明図である。
まず、上記筒状編組50の一端部は、コネクタハウジング32の編組装着部32bの外周表面に固定されている。ここでは、筒状編組50の一端部が編組装着部32bの周囲四方の外表面を覆った状態で当該外表面に固定されている。なお、導電部材として電線40の周囲の一方のみを覆う金属網又は金属布を用いた場合、当該導電部材は、編組装着部32bの外周の一部のみを覆っていてもよい。より具体的には、筒状編組50の各金属線52が編組装着部32bの表面にめり込んだ状態で、当該表面に固定されている。編組装着部32bに対する金属線52のめり込みは、後述するように、筒状編組50の一端部及び編組装着部32bを加熱した状態で、金属線52を編組装着部32bの表面に押し当てて、編組装着部32bのうち金属線52が当接した部分を軟化させて、金属線52を編組装着部32bの表面内にめり込ませることによりなされる。つまり、編組装着部32bの表面が加熱により軟化した状態で、当該表面に金属線52が押し当てられると、編組装着部32bの表面が金属線52によって部分的に押退けられ、線状の凹みが形成され、当該線状の凹みに金属線52がめり込んだ状態となる。編組装着部32bの線状の凹みの表面は、加熱によって金属線52の表面と融着した状態となる。これにより、筒状編組50の一端部が編組装着部32bの表面に固定された状態となる。なお、筒状編組50の固定をより確実にするため、金属線52の半分以上、好ましくは、半分を超えて、編組装着部32bにめり込んでいることが好ましい。特に、金属線52が半分を越えて編組装着部32bにめり込んでいると、編組装着部32bに形成された凹みの開口部の幅が金属線52の直径よりも小さくなり、金属線52の抜けをより確実に抑制できる。
また、導電層70が、筒状編組50のうち編組装着部32bに固定された一端部と編組装着部32bの表面を覆うように形成されている。導電層70は、導電部材によって形成された層であり、ニッケル、錫、銅等の金属メッキ等により形成される。導電層70は、その他、蒸着、導電塗料の塗布等によって形成されていてもよい。導電層70は、編組装着部32bの外表面のうち筒状編組50の金属線52がめり込んでいる部分では、当該金属線52の外側露出部分を覆うように形成され、編組装着部32bの外表面のうち筒状編組50の金属線52間の隙間が形成されている部分では、編組装着部32bの外表面を覆うように形成される。このため、導電層70は、編組装着部32bの外周全体を覆いつつ金属線52に電気的に接続される。
導電層70は、樹脂部品であるコネクタハウジング32の編組装着部32bの外表面だけではなく、ハウジング本体部32aの外表面にも形成されている。このため、コネクタハウジング32を電磁的にシールドすることができる。
なお、上述したのと同様構成によって、筒状編組50の他端部が、樹脂部品である筒部材60に固定された状態で、当該筒部材60の表面に形成された導電層80と電気的に接続されている。
<シールド装置20の製造方法について>
上記筒状編組50の一端部とコネクタ30等との接続方法を含むシールド装置20の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、樹脂によって形成されたコネクタハウジング32を準備する。コネクタハウジング32に端子34がインサートされている場合、当該コネクタハウジング32には既に端子34が保持され、また、コネクタハウジング32から電線40が延出している。また、コネクタハウジング32に端子34が挿入保持される場合、端子34の挿入作業は、後の工程の適宜段階にてなされる。また、筒状編組50内に電線40を通す工程も、当該コネクタハウジング32に対する端子34の保持状態に応じて、適宜段階でなされる。
そして、図6に示すように、コネクタハウジング32のハウジング本体部32a及び編組装着部32bの外表面を粗すエッチング処理を行う。これにより、コネクタハウジング32のハウジング本体部32a及び編組装着部32bの外表面に微細な孔38aが形成される。
続いて、図7に示すように、コネクタハウジング32のハウジング本体部32a及び編組装着部32bの表面に触媒38b(例えば、パラジウム触媒等)を付着させる。
本実施形態では、上記エッチング処理を行う工程及び触媒を付着させる工程が、樹脂部品であるコネクタハウジング32の固定対象領域にメッキ前処理を施す工程である。メッキ前処理としては、エッチング処理を行う工程のみが実施されてもよい。
この後、樹脂部品であるコネクタハウジング32の編組装着部32bの外周表面(固定対象領域)に筒状編組50を固定する。
ここでは、まず、図8に示すように、加熱装置100によって編組装着部32bの外表面を加熱する。加熱装置としては、ハロゲンヒータ、温風発生装置等を用いることができる。そして、編組装着部32bの表面がある程度加熱された後、図9に示すように、筒状編組50の一端部を編組装着部32bの周囲に被せる。そして、図10に示すように、加熱加圧部材102によって、筒状編組50の外側から筒状編組50の一端部を編組装着部32bの外表面に向けて押付ける。加熱加圧部材102としては、ヒーターを組込んだ金属ブロック等を用いることができる。加熱加圧部材102は、板状に形成され、筒状編組50の周囲を順次押圧できる構成であってもよいし、編組装着部32bの外表面に応じた凹形状部分を有し、編組装着部32bの周囲4方で一括して筒状編組50を押圧できる構成であってもよい。すると、図11に示すように、金属線52が編組装着部32bの外表面に押付けられ、編組装着部32bの外表面のうち金属線52が押付けられた部分が軟化して金属線52によって押退けられ、これにより生じた凹部分に金属線52がめり込む。これにより、筒状編組50の一端部が編組装着部32bに固定される。
そして、図12に示すように、編組装着部32bの外表面のうち金属線52が配設された部分を除く部分に導電性を付与するための下導電層70aを形成する。この際、編組装着部32bの外表面のうち金属線52の間の部分では、上記触媒38bを核として容易にニッケル金属を析出等させて、下導電層70a(ニッケル層等)を形成することができる。そして、金属線52及び下導電層70aを導電体として、これらの表面に金属メッキ(銅メッキ、ニッケルメッキ、錫メッキ等)を電気メッキすることができる。これにより、導電層70が形成される。
これにより、シールド装置20が製造される。
なお、上記樹脂部分である編組装着部32bに金属メッキを施す技術自体は、樹脂メッキ技術として周知の技術を適用することができる。
<効果等>
以上のように構成されたシールド装置20及びシールド装置20の製造方法によると、筒状編組50がコネクタハウジング32の編組装着部32bの表面に固定された部分と共にコネクタハウジング32の表面を覆う導電層70によって、筒状編組50と導電層70とが電気的に接続されている。このため、従来のように、導電層70の剥がれを抑制しつつ、コネクタハウジング32の表面に設けられた導電層70と筒状編組50とを接続することができる。
また、車両に搭載された状態において、高温雰囲気、冷熱サイクルの影響による導電層70と筒状編組50との接触抵抗の増加も抑制できる。
また、かしめバンド、かしめリング等がなくても、導電層70と筒状編組50とを接続できるため、軽量化が可能となる。
また、導電層70の金属線52が編組装着部32bの表面にめり込んで当該編組装着部32bに固定されているため、筒状編組50を編組装着部32bにより確実に固定できる。
また、樹脂部品がコネクタハウジング32であり、その外表面に導電層70を形成しているため、コネクタハウジング32とは別にシールドケースを設けなくても、コネクタハウジング32を導電層70によって電磁的にシールドすることができる。
もっとも、樹脂部品がコネクタハウジング32であることは必須ではない。上記実施形態では、筒部材60も樹脂部品の一種である。樹脂部品がシールドケースである場合の変形例については後で説明する。
また、配線部材である電線40を覆って電磁的にシールドする筒状編組50を、コネクタハウジング32を電磁的にシールドする導電層70と電気的に接続しているため、それらを接続する際に、導電層70の剥がれを抑制できる。
また、導電部材である筒状編組50は、金属線52が編まれたものであるため、当該筒状編組50を編組装着部32bの表面に広げた状態で、導電層70を、編組装着部32bの表面のうち金属線52の隙間に露出する部分及び編まれた金属線52の表面に形成することができる。この導電層70によっても、筒状編組50を編組装着部32bにより確実に固定することができ、かつ、筒状編組50と導電層70とをより確実に電気的に接続することができる。
また、上記シールド装置20の製造方法においては、樹脂部品であるコネクタハウジング32の固定対象領域にメッキ前処理を施しているため、筒状編組50のうちコネクタハウジング32の表面に固定された部分と共にコネクタハウジング32の表面に良好にメッキ層である導電層70を形成することができる。
{変形例}
上記実施形態では、樹脂部品がコネクタハウジング32又は筒部材60である例で説明したが、樹脂部品はその他の部品であってもよい。
例えば、図13に示す例では、コネクタハウジング32には導電層70は形成されず、その周囲を覆う樹脂製のシールド用ハウジング200が形成されている。このシールド用ハウジング200のうち編組装着部32bの外周を覆う部分の外表面に対して、上記実施形態で説明したのと同様に、筒状編組50の一端部が固定されると共に、シールド用ハウジング200の外表面及び筒状編組50の一端部を覆うように導電層270が形成されている。本例においては、シールド用ハウジング200自体も導電性樹脂によって形成されていてもよい。
樹脂部品は、その他、筒状編組50を接地用の筐体に接続するための樹脂製ブラケット等であってもよい。
また、上記実施形態では、導電部材が金属線を編んで形成されたものである例で説明したが、導電部材は金属箔等によって形成されていてもよい。図14に示す例では、筒状編組50に代えて、筒状金属箔350が用いられている。筒状金属箔350の一端部は、編組装着部32bに対応する金属箔装着部332bに被せられている。また、筒状金属箔350の一端部には孔350hが形成されている。そして、コネクタハウジング32の外表面及び筒状金属箔350の外表面に、上記実施形態で説明したのと同様に、導電層370が形成されている。この導電層370は、筒状金属箔350のうち孔350hが形成された部分では、金属箔装着部332bの表面に形成されている。
また、筒状編組50が、樹脂部品であるコネクタハウジング32の表面にめり込んで固定されていることは必須ではない。例えば、筒状編組の金属線が接着剤等でコネクタハウジングの表面に固定されていてもよい。この場合でも、金属線の間の隙間で接着剤が存在しない領域を設け、コネクタハウジング32の表面の少なくとも一部を当該領域で筒状編組50から外部に露出させるようにすれば、導電層をコネクタハウジングの表面と金属線とを覆うように形成することができる。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 配線モジュール
20 シールド装置
32 コネクタハウジング
32a ハウジング本体部
32b 編組装着部
34 端子
40 電線
50 筒状編組
52 金属線
60 筒部材
70、80、270、370 導電層
200 シールド用ハウジング
332b 金属箔装着部
350 筒状金属箔

Claims (7)

  1. 樹脂部品と、
    前記樹脂部品の表面に固定された導電部材と、
    前記導電部材のうち前記樹脂部品の表面に固定された部分と共に前記樹脂部品の表面を覆う導電層と、
    を備えるシールド装置。
  2. 請求項1記載のシールド装置であって、
    前記導電部材は、前記樹脂部品の表面にめり込んだ状態で、前記樹脂部品の表面に固定されている、シールド装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシールド装置であって、
    前記樹脂部品は、端子を保持するコネクタハウジングである、シールド装置。
  4. 請求項3に記載のシールド装置であって、
    前記導電部材は、前記コネクタハウジングから延出する配線部材を覆う、シールド装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のシールド装置であって、
    前記導電部材は、金属線が編まれたものである、シールド装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のシールド装置であって、
    前記導電層は、メッキ層である、シールド装置。
  7. (a)樹脂部品の固定対象領域にメッキ前処理を施す工程と、
    (b)前記樹脂部品の前記固定対象領域に導電部材を固定する工程と、
    (c)前記導電部材のうち前記樹脂部品の表面に固定された部分と共に前記樹脂部品の表面にメッキ層を形成する工程と、
    を備えるシールド装置の製造方法。
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