JP2017083913A - 液浸露光装置の部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレア光が照射された場合でも撥液膜の機能が低下しない部材および液浸露光装置を提供する。【解決手段】液体を介して露光光を基板に照射する液浸露光装置に使用され、表面の少なくとも一部が前記液体に接する光学素子LSを製造する方法を提供する。光学素子LSの表面の少なくとも一部に、遮光性粒子がフッ素樹脂に分散された材料を用いて湿式成膜法により撥液膜28bを室温で形成し、撥液膜28bの前記露光光の透過率を10%以下とする。【選択図】図1

Description

本発明は、撥液膜を形成した、液浸露光装置の部材およびその製造方法に関する。
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置においては、液体を介して基板を露光する液浸露光装置がある(例えば特許文献1、2を参照)。
液浸露光装置では、投影光学系と基板との間の光路空間に、空気よりも屈折率の高い液体(水など)を供給して液浸領域としている。投影光学系からの光は、この液浸領域を通過して前記基板に照射される。
投影光学系の出射面側の光学部材(いわゆる先玉)は前記液体に触れるため、有効領域外に撥液膜が形成されることがある。
国際公開第2005/055296号 特開2007−59522号公報
前記光学系においては、これを構成する光学部材(レンズやプリズム等)の周辺部、縁部等における乱反射や散乱によりフレア光が生じることがある。このフレア光は、前記撥液膜に照射されると、この撥液膜の機能を低下させるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、フレア光が照射された場合でも撥液膜の機能が低下しない液浸露光装置の部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、液体を介して露光光を基板に照射する液浸露光装置であって、光学部材を有する投影光学系と、前記光学部材に液体を供給する液体供給装置と、前記液体を回収する液体回収装置と、を備え、前記光学部材は、前記露光光の光射出面側の光路空間が液浸領域となり、前記光射出面のうち有効領域の外周側の表面の少なくとも一部に、撥液機能膜が形成され、前記投影光学系は、前記光学部材の有効領域外の表面に対して所定間隔の隙間を空けて対向配置される対向部材を有し、前記対向部材には、前記有効領域外の表面に向かって突出した環状凸部が形成され、前記撥液機能膜は、金属膜または金属酸化膜からなり、前記有効領域外の表面に形成された遮光膜と、前記遮光膜の表面に形成されたSiO膜と、前記SiO膜の表面に形成されたシランカップリング層と、前記シランカップリング層の表面に形成された撥液膜とを備え、前記撥液膜は、遮光性粒子がフッ素樹脂に分散された材料からなり、前記撥液膜の厚さが0.1μm以上、2μm以下であり、前記遮光性粒子の平均粒径が1nm以上、100nm以下であり、前記遮光膜の内周縁は、前記撥液膜の内周縁より前記光射出面における内周側に位置する液浸露光装置が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記撥液膜の前記露光光の透過率が10%以下であることを特徴とする第1の態様の液浸露光装置が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記撥液膜の中の遮光性粒子の含有率が0.25質量%以上であることを特徴とする第1または第2の態様の液浸露光装置が提供される。
本発明の第4の態様によれば、前記遮光性粒子は、金属酸化物と金属のうち少なくともいずれか一方からなることを特徴とする第1〜第3の態様のうちいずれか1つに記載の液浸露光装置が提供される。
本発明の第5の態様によれば、前記撥液膜は、金属膜または金属酸化膜からなる遮光膜を介して前記光学部材に形成されていることを特徴とする第1〜第4の態様のうちいずれか1つに記載の液浸露光装置が提供される。
本発明の第6の態様によれば、前記撥液膜の中の遮光性粒子の含有率が1質量%以上であることを特徴とする第3の態様の記載の液浸露光装置が提供される。
本発明によれば、遮光性粒子を含み、かつ厚さが前記範囲にある撥液膜を形成したので、撥液膜の遮光性能を高めることができる。このため、フレア光が照射された場合でも撥液膜の機能を低下させず、耐久性を向上させることができる。
本発明の第1実施の形態に係る露光装置の要部を示す概略構成図である。 遮光膜および撥液膜の構成例を示す概略構成図である。 本発明の第2実施の形態に係る露光装置を示す概略構成図である。 図3の露光装置の要部を示す概略構成図である。 図3の露光装置の撥液膜を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る露光装置の投影光学系の要部を示す図である。ここに示す露光装置11は、投影光学系PLによって露光光ELを照射し、ウエハW(基板)に回路パターンを転写する装置であって、露光光ELを実質的に短波長化して解像度を向上させると共に焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した、いわゆる液浸露光装置である。
露光装置11は、レンズエレメントLS(光学部材、光学素子)の光射出面側の光路空間15に純水LQを供給する液浸機構(図示略)を備える。光路空間15に純水LQが供給されることにより、液浸領域LTが形成される。
レンズエレメントLSは、中央部分が露光光ELを通過させる露光光通過部(有効領域)LSAと、この露光光通過部LSAの外周側の領域(外周領域)LSBとを有する。レンズエレメントLSは、外周領域LSBが鏡筒13に支持されている。
光学素子の「有効領域(effective area)とは、光学素子にフレア光や迷光等の不要光以外の光が照射または射出されることが予定された領域であり、光学設計時に設定されている領域である。例えば当該光学素子が投影光学系等の結像光学系(an imaging opticalsystem)に組み込まれている場合には、結像光学系の像面上において実用的に収差補正されている領域であるイメージフィールド内の全ての像点から最大開口数の光束を逆光線追跡したときに(=像点から光線追跡(ray tracing)したとき)、その光学素子の光学面に到達する(逆光線追跡された)光束が当該光学面上で占める領域をその光学面の有効領域とする。
レンズエレメントLSの外周領域LSB(レンズエレメントLSの有効領域外の表面)には、遮光膜28aと、この遮光膜28aの表面に形成された撥液膜28bとが形成されている。遮光膜28aと撥液膜28bとは、併せて撥液機能膜28(撥水機能膜)と総称できる。
遮光膜28aは、光学濃度OD(optical density)1以上の金属膜または金属酸化膜であることが好ましい。
金属膜は、具体的には、Ta、Au、Pt、Ag、Ni、Ta、W、Pd、Mo、Ti、SiおよびCrからなる群から選ばれた少なくとも1つにより形成することができる。
すなわち、金属膜は、これらから選ばれた単一の金属から構成されていてもよいし、これらのうち2以上から構成されていてもよい。
金属酸化膜は、具体的には、ZrO、HfO、TiO、Ta、SiOおよびCrからなる群から選ばれた少なくとも1つにより形成することができる。すなわち、金属酸化膜は、これらから選ばれた単一の酸化物から構成されていてもよいし、これらのうち2以上から構成されていてもよい。
遮光膜28aの厚さは、例えば100nm〜300nmとすることができる。
遮光膜28aは、レンズエレメントLS側から露光光ELに起因する光が撥液膜28bに照射されるのを防止し、撥液膜28bを保護することができる。
遮光膜28a表面には、SiO膜を形成すると、撥液膜28bの密着性が高められる。SiO膜は、真空蒸着によって形成してもよいし、湿式法で形成してもよい。
SiO膜表面には、シランカップリング剤(例えば信越シリコーン製KBE903)を塗布すると、撥液膜28bの遮光膜28aに対する接着性を高めることができる。
例えば、図2に示すように、遮光膜28a表面に、SiO膜28cを形成し、その表面にシランカップリング剤からなるシランカップリング層28dを形成し、その表面に撥液膜28bを形成する構成が可能である。
撥液膜28bは、遮光性粒子がフッ素樹脂に分散された材料からなる。
遮光性粒子は、露光光EL等の光を遮る性質を有する粒子であって、撥液膜28bの遮光性を高める作用を有する。遮光性粒子は、光(例えば紫外線)を透過しない材料からなる。
遮光性粒子の材料としては、金属酸化物、金属、金属窒化物からなる群から選ばれた少なくとも1つを挙げることができる。なかでも特に、金属酸化物と金属のうち少なくともいずれか一方が好ましい。
前記遮光性粒子を構成する金属酸化物としては、TiO、Ta、CeO、ZnO、CrO、ZrO、HfOおよびYからなる群から選ばれた少なくとも1つを挙げることができる。すなわち、遮光性粒子は、これらから選ばれた単一の酸化物から構成されていてもよいし、これらのうち2以上から構成されていてもよい。
なお、CrO(酸化クロム)におけるxはOの組成比を表し、「0<x」を満たす(例えば0.1≦x≦3)。毒性の観点からクロムの価数は六価以外が好適である。
遮光性粒子を構成する金属としては、Ta、Au、Pt、Ag、Ni、Ta、W、Pd、Mo、Ti、Si、Cr、Gaおよびこれらの複合材料(例えば合金)からなる群から選ばれた少なくとも1つを挙げることができる。すなわち、前記遮光性粒子は、これらから選ばれた単一の金属から構成されていてもよいし、これらのうち2以上の複合材料(例えば合金)から構成されていてもよい。金属は、常温で固体であっても液体であってもよい。
なお、遮光性粒子は、一部が金属酸化物で構成され、他部が金属で構成されていてもよい。
前記遮光性粒子を構成する材料はこれに限らず、光(特に紫外線)を遮光し、フッ素樹脂に分散でき、水に不溶である材料であれば使用できる。
遮光性粒子の平均粒径は1nm以上、100nm以下である。遮光性粒子の平均粒径は10nm以上、100nm以下(さらに好ましくは30nm以上、80nm以下)が好適である。
前記遮光性粒子の粒径は、小さ過ぎれば遮光性能が低くなるおそれがある。
また、撥液膜28bは薄いため、前記遮光性粒子の粒径が大き過ぎれば、膜の均一性に影響が及び、撥液膜28bの特性(遮光特性、撥液特性、耐久性など)に偏りが生じるおそれがある。
これに対し、本実施の形態では、平均粒径が前記範囲にあるため、均一かつ十分な遮光特性および撥液特性が得られる。
前記遮光性粒子は、粒径が1nm以上、100nm以下のものが95質量%以上あることが好ましい。
なお、遮光性粒子の平均粒径は、動的光散乱法による粒度分布計を用いて測定することができる。
平均粒径としては、例えば50%累積粒子径(質量基準または体積基準)、最頻粒子径などを採用してもよい。また、球形でない粒子については、最長径と最短径の平均をその粒子の粒径とすることができる。
遮光性粒子の撥液膜28b中の含有率は、撥液膜28bの露光光の透過率を考慮して定めることができる。前記遮光性粒子の含有率は、例えば、撥液膜28bの露光光の透過率が10%以下となるように設定することができる。
具体的には、遮光性粒子の撥液膜28b中の含有率は、0.25質量%以上とすることが好ましい。遮光性粒子の含有率をこの範囲とすることによって、撥液膜28bの光透過率を十分に低くする(例えば10%以下とする)ことができる。
遮光性粒子の撥液膜28b中の含有率は、1質量%以上とすることがさらに好ましい。
遮光性粒子の含有率をこの範囲とすることによって、光透過方向の遮光性粒子の重なり合いが多い場合でも、撥液膜28bの光透過率を十分に低くする(例えば10%以下とする)ことができる。
遮光性粒子の含有率は、10質量%以下が好ましい。遮光性粒子の含有率を10質量%以下とすることによって、撥液性への影響を抑えることができる。このため、撥液性と遮光性とを兼ね備える撥液膜28bが得られる。
撥液膜28bの光透過率は遮光性粒子の分散性に影響されるため、遮光性粒子の含有率は、遮光性粒子の分散性に応じて調整することが好ましい。
撥液膜28bの厚さは、0.1μm以上、2μm以下(好ましくは0.5μm以上、1.5μm以下)である。
撥液膜28bの厚さは、薄すぎれば撥液機能が低下する。一方、厚過ぎれば、応力発生により光学素子の光学特性に影響が出る可能性がある。以下、このことについて詳しく説明する。
一般に、膜応力σは次の式で表される。
σ=Eε/(1−ν)(σ:応力 E:ヤング率 ε:ひずみ ν:ポアソン比 )
膜の全応力Sは S=σ×d(S:全応力 d:膜厚)より求められるため、全応力は膜厚に比例する。
撥液膜28bは、厚さが前記範囲にあり、非常に薄いことから、膜の全応力が小さい。
このため、光学素子(レンズエレメントLS)の光学特性への悪影響が生じない。
また、フッ素樹脂膜は、通常、溶媒(例えばハイドロフルオロエーテル(HFE))を含む原料樹脂を塗布して形成される。膜を厚く形成する場合には溶媒が揮散しにくくなることから、溶媒を揮散させるための加熱が必要となる。
これに対し、撥液膜28bの厚さは前記範囲にあるため、成膜の際に、加熱しなくても容易に溶媒が揮散し、十分な強度をもつ撥液膜28bが得られる。このため、加熱により膜内の応力が大きくなることはなく、光学素子(レンズエレメントLS)の光学特性を良好にできる。
撥液膜28bに用いられるベース樹脂としてのフッ素樹脂としては、ポリ四フッ化エチレン、ペルフルオロ(4−ビニルオキシ−1−ブテン)、ペルフルオロアルコキシエチレン、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールからなる群から選ばれた少なくとも1つを挙げることができる。
フッ素樹脂として好適な市販品としては、旭硝子株式会社(英語表記 ASAHI GLASS CO., LTD.)製 サイトップ(英語表記CYTOP)、住友3M製のEGC、デュポン製のTeflonAF、菱江化学製のマーベルコート等がある。
撥液膜28bは、露光光の透過率が10%以下であることが好ましい。
前記光透過率が高すぎると、フレア光が照射された場合に撥液膜28bの耐久性が低下しやすくなるが、光透過率を前記範囲とすることによって、撥液膜28bの劣化を防ぎ、耐久性を高めることができる。
撥液膜28bは、波長193nmの光を90%以上遮ることができる特性を有することが好ましい。これによって、撥液膜28bの耐久性を高めることができる。
なお、撥液膜28bは、外周領域LSBの少なくとも一部に形成されていればよく、外周領域LSBの全域に形成されていてもよいし、外周領域LSBの一部領域に形成されていてもよい。
以下、遮光性粒子分散フッ素樹脂の好適な具体例を挙げる。
(1)酸化チタンナノ粒子分散フッ素樹脂
酸化チタンナノ粒子/エタノールスラリーをフッ素系溶媒に加え十分に攪拌した後に、加熱してエタノール分を揮発させることにより、酸化チタンナノ粒子/フッ素溶媒スラリーを得ることができる。その後フッ素系コーティング材(フッ素樹脂)に加え、自転公転ミキサーにより十分に攪拌することにより、酸化チタンナノ粒子分散フッ素樹脂を得ることができる。
SEM観察およびTGによる熱分析により、酸化チタン粒子がフッ素樹脂中に均一に分散されていることを確認することができる。
酸化チタンナノ粒子として好ましい市販品としては、CIKナノテック製ナノテック(平均粒径36nm)、安達新産業株式会社製の酸化チタンナノ粒子(平均粒径30nm)、多木化学製タイノック、堺化学工業製の酸化チタンナノ粒子等がある。
(2)酸化亜鉛ナノ粒子分散フッ素樹脂
酸化亜鉛ナノ粒子/エタノールスラリーを使用し、前記(1)と同様の方法で酸化亜鉛ナノ粒子分散フッ素樹脂を得ることができる。
(3)酸化セリウムナノ粒子分散フッ素樹脂
酸化セリウムナノ粒子/トルエンスラリーを使用し、前記(1)と同様の方法で酸化セリウムナノ粒子分散フッ素樹脂を得ることができる。
(4)金属フィラー分散フッ素樹脂
ガリウムおよびガリウム合金(低温で液体)とそれらの酸化物からなる粒子をフッ素系コーティング材に加え、自転公転ミキサーにより十分に攪拌することにより、金属フィラー分散フッ素樹脂を得ることができる。
次に、レンズエレメントLSに遮光膜28aと撥液膜28bとを形成する方法について説明する。
遮光膜28aは、真空蒸着法(vacuum vapor deposition method)、イオンビームアシスト蒸着法(ion beam assisted vapor deposition method)、ガスクラスターイオンビームアシスト蒸着法(gas cluster ion beam assisted vapor deposition method)、イオンプレーティング法(ion plating method)、イオンビームスパッタリング法(ion beam sputtering method)、マグネトロンスパッタリング法(magnetron sputtering method)、バイアススパッタリング法(bias sputtering method)、RFスパッタリング法(radio frequency sputtering method)などの乾式の成膜方法を用い得る。
成膜レート等の成膜条件と成膜時間により膜厚を調整し、それにより得られる膜の反射、吸収から光学濃度(optical density)OD1以上とすることが好ましい。
遮光膜28aおよび撥液膜28bを、レンズエレメントLSの外周領域LSBに形成するには、露光光通過部LSAをマスクなどで覆う方法や、蒸着装置等の成膜装置内に遮蔽部材を設けて露光光通過部LSAへの成膜を防止する方法などを採用できる。
次に、撥液膜28aを形成する方法について説明する。
湿式成膜法としては、スピンコート法、ディップコート法などがある。
成膜の際には、原料樹脂溶液の濃度やコートする際の回転数や引き上げ速度などを調整して適切な撥液機能を有する膜を形成することができる。
撥液膜28bは、液浸露光で使用される液体(例えば純水)に対して接触角が90度以上であれば十分な撥液機能を有するといえる。
本実施形態によれば、遮光性粒子を含み、かつ厚さが前記範囲にある撥液膜28bを光学素子(レンズエレメントLS)に形成したので、撥液膜28bの遮光性能を高めることができる。このため、フレア光が照射された場合でも撥液膜の機能を低下させず、耐久性を向上させることができる。
また、撥液膜28bは厚さが前記範囲にあり、非常に薄いことから、膜内の応力が小さい。このため、光学素子の光学特性への悪影響は生じない。
また、撥液膜28bは薄いため、成膜の際に、加熱しなくても容易に溶媒が揮散する。
このため、加熱により膜内の応力が大きくなることはなく、光学素子(レンズエレメントLS)の光学特性を良好にできる。
また、撥液膜28bは遮光膜28a上にあるため、遮光膜28aの構成材料が溶出するのを防ぐことができる。
なお、露光装置11では、光学素子としてレンズを例示したが、光学素子はレンズに限らず、プリズム、その他の光学部材であってもよい。
図3および図4は、本発明の第2実施形態に係る露光装置である。以下の説明において、図1に示す第1実施形態の露光装置11との共通点については説明を省略する。
この露光装置11は、投影光学系PLによって露光光ELを照射し、ウエハW(基板)に回路パターンを転写する液浸露光装置である。
露光装置11は、マスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハWとを一次元方向(図3における左右方向)に同期移動させつつ、レチクルRに形成された回路パターンを、投影光学系PLを介してウエハW上の各ショット領域に転写する。
露光装置11は、露光光源(図示略)、照明光学系12、レチクルステージRST、投影光学系PL、およびウエハステージWSTなどを備えている。そして、レチクルステージRSTはレチクルRを保持すると共に、ウエハステージWSTはウエハWを保持する。
露光光源には、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を露光光ELとして発光する光源が用いられている。
照明光学系12は、図示しないフライアイレンズやロッドレンズなどのオプティカルインテグレータ、リレーレンズ、およびコンデンサレンズなどの各種レンズ系および開口絞りなどを含んで構成されている。
レチクルステージRSTは、照明光学系12と投影光学系PLとの間に、レチクルRの載置面が光路と略直交するように配置されている。すなわち、レチクルステージRSTは、投影光学系PLの物体面側(露光光ELの入射側であって、図3では上側)に配置されている。
投影光学系PLは、複数のレンズエレメントLS1,LS2,LS3,LS4,LS5,LS6,LS7(光学部材、光学素子)を備えている。これら各レンズエレメントLS1〜LS7のうち最もウエハW側のレンズエレメント(以下、第1特定レンズエレメントという。)LS7以外のレンズエレメントLS1〜LS6は、鏡筒13内に保持されている。そして、鏡筒13内における各レンズエレメントLS1〜LS6間は、パージガス(例えば窒素)が充填されている。また、鏡筒13の下端部には、第1特定レンズエレメント(第1特定光学素子)LS7を保持するためのレンズホルダ14が配設されている。なお、各レンズエレメントLS1〜LS7は、露光光ELが入射する光入射面と、入射した露光光ELが射出する光射出面とを有している。そして、各レンズエレメントLS1〜LS7は、光軸(O)が略一致すると共に、それぞれの光入射面側および光射出面側に光路空間が形成されるように配置されている。
ウエハステージWSTは、投影光学系PLの像面側において、ウエハWの載置面が露光光ELの光路と略直交するように配置されている。そして、露光光ELにて照明されたレチクルR上のパターンの像が、投影光学系PLを通して所定の縮小倍率に縮小された状態で、ウエハステージWST上のウエハWに投影転写される。
露光装置11は、液浸機構を備える。液浸機構には、液体供給系として、第1特定レンズエレメントLS7の光射出面側の光路空間15および光入射面側の光路空間16に純水LQを個別に供給するための第1液体供給装置17および第2液体供給装置18が設けられている。また、液浸機構には、光路空間15および光路空間16に供給された純水LQを個別に回収するための第1液体回収装置19および第2液体回収装置20が設けられている。
図4に示すように、第1特定レンズエレメントLS7とウエハWとの間の光路空間15には、第1液体供給装置17から純水LQが供給されることにより、液浸領域LT1が形成される。そして、液浸領域LT1を形成する純水LQは、第1液体回収装置19の駆動に基づき光路空間15から回収される。
また、第1特定レンズエレメントLS7と、第1特定レンズエレメントLS7に対して投影光学系PLの物体面側に配置されたレンズエレメント(第2特定光学素子)LS6との間の光路空間16には、第2液体供給装置18から純水LQが供給されることにより、液浸領域LT2が形成される。すなわち、レンズエレメントLS6は、第1特定レンズエレメントLS7に次いで投影光学系PLの像面に近い第2特定レンズエレメントとして構成されている。そして、この液浸領域LT2を形成する純水LQは、第2液体回収装置20の駆動に基づき光路空間16から回収される。
第2特定レンズエレメントLS6は、屈折力(レンズ作用)を有する光学素子であって、その下面LS6cは平面状であり、その上面LS6bは投影光学系PLの物体面側に向かって凸状に形成され、正の屈折力を有している。また、第2特定レンズエレメントLS6は、上面視略円形状をなしており、その上面LS6bの外径は下面LS6cの外径よりも大きく形成されている。すなわち、第2特定レンズエレメントLS6は、その中央部分が露光光ELを通過させる露光光通過部(有効領域)LS6Aであると共に、その露光光通過部LS6Aの外周側にフランジ部LS6Bが形成されている。そして、フランジ部LS6Bを介して第2特定レンズエレメントLS6は鏡筒13に支持されている。
また、第1特定レンズエレメントLS7は、露光光ELを透過可能な無屈折力の平行平板であって、その下面LS7cと上面LS7bとは平行である。また、第1特定レンズエレメントLS7は、上面視略円形状をなしており、その上面LS7bの外径は下面LS7cの外径よりも大きく形成されている。すなわち、第1特定レンズエレメントLS7は、その中央部分が露光光ELを通過させる露光光通過部(有効領域)LS7Aであると共に、その露光光通過部LS7Aの外周側にフランジ部LS7Bが形成されている。そして、フランジ部LS7Bを介して第1特定レンズエレメントLS7はレンズホルダ14に支持されている。
投影光学系PLにおいて、鏡筒13とレンズホルダ14との間には、環状をなすノズル部材(以下、ウエハW側から2つ目の光路空間16に純水(pure water)LQを供給するものであるから「第2ノズル部材」という。)21が露光光ELの光路を囲むように配設されている。この第2ノズル部材21は、鏡筒13の下端部にねじ(図示略)によって固定されている。そして、第2ノズル部材21の下面側にレンズホルダ14が複数本(図4では2本のみ図示)のねじSCによって固定されている。
また、第2ノズル部材21は、図4に示すように、その内側面21bが第2特定レンズエレメントLS6の下面LS6cと下面LS6dとの間の側面LS6aと対向すると共に、その上面21cが第2特定レンズエレメントLS6の下面LS6dと対向するように配置されている。ここで、第2ノズル部材21の上面21cには、環状をなす凸部21dが形成されており、この凸部21dにより、凸部21dの上面と第2特定レンズエレメントLS6の下面LS6dとの間には、極めて狭い隙間が形成されている。即ち、第2ノズル部材21は、その内側面21bと第2特定レンズエレメントLS6の側面LS6aとの間、および第2ノズル部材21の凸部21dの上面と第2特定レンズエレメントLS6の下面LS6dとの間に隙間を形成することにより、第2特定レンズエレメントLS6と接触しないように配置される。
また、第2特定レンズエレメントLS6の側面LS6aおよびフランジ部LS6Bの下面LS6d、即ち、第2特定レンズエレメントLS6の有効領域外の表面、すなわち、第2特定レンズエレメントLS6の光軸(O)とは交わらない領域には、撥液機能膜28が形成されている。
図5に示すように、撥液機能膜28は、第2特定レンズエレメントLS6の側面LS6aおよび下面LS6dの表面に形成された遮光膜28aと、この遮光膜28aの表面に形成された撥液膜28b(撥水膜)とにより構成されている。
第2ノズル部材21は、液体供給管22を介して第2液体供給装置18に連結されている。第2ノズル部材21内には液体供給管22と連通する液体供給通路23が形成されており、液体供給管22および液体供給通路23を流動した純水LQは、第2ノズル部材21の内側面21b側に形成された供給用開口部24を介して光路空間16内に流入する。
また、第2ノズル部材21は、液体回収管25を介して第2液体回収装置20に連結されている。第2ノズル部材21内には、液体回収管25と連通する液体回収通路26が形成されている。そして、光路空間16内で液浸領域LT2を形成する純水LQは、第2ノズル部材21の内側面21b側において供給用開口部24と対向する側に形成された回収用開口部27を介して第2液体回収装置20に回収される。なお、回収用開口部27は、液浸領域LT2よりも物体面側(図4では上方)に形成されている。
また、レンズホルダ14とウエハWとの間には、環状をなすノズル部材(以下、ウエハW側から1つ目の光路空間15に純水LQを供給するものであるから「第1ノズル部材」という。)30が露光光ELの光路を囲むように配設されている。そして、第1ノズル部材30は、図示しない支持部材によって第1特定レンズエレメントLS7およびレンズホルダ14に当接しないように支持されている。
また、第1ノズル部材30は、その内側面30bが第1特定レンズエレメントLS7における下面LS7cと下面LS7dとの間の側面LS7aと対向すると共に、その上面30cが第1特定レンズエレメントLS7におけるフランジ部LS7Bの下面LS7dと対向するように配置されている。そして、第1ノズル部材30は、その内側面30bと第1特定レンズエレメントLS7の側面LS7aとの間に隙間を形成することにより、第1特定レンズエレメントLS7と接触しないように配置される。
ここで第1特定レンズエレメントLS7の上面の周縁部LS7e、即ち、第1特定レンズエレメントLS7の光入射面側の有効領域外に第1特定レンズエレメントLS7の縁部に沿って設けられた円周状の境界形状である段差形状50と、円周状の段差形状50の外側の第1特定レンズエレメントLS7の表面に設けられた低温で成膜可能なフッ素樹脂により構成される撥液膜51とを備えている。
撥液膜51には、上述の撥液膜28bと同様の構成を採用できる。
なお、第1特定レンズエレメントLS7の有効領域外(例えば側面LS7a)に、撥液膜(あるいは遮光膜と撥液膜)を設けてもよい。この撥液膜には、上述の撥液膜28bと同様の構成を採用できる。
第1ノズル部材30は、液体供給管31を介して第1液体供給装置17に連結されている。第1ノズル部材30内には液体供給管31と連通する液体供給通路32が形成されると共に、第1ノズル部材30の下面側には液体供給通路32と連通する供給用開口部33が環状をなすように形成されている。また、第1ノズル部材30は、液体回収管34を介して第1液体回収装置19に連結されている。第1ノズル部材30内には液体回収管34と連通する液体回収通路35が形成されると共に、第1ノズル部材30の下面側には液体回収通路35に連通する回収用開口部36が環状をなすように形成されている。この回収用開口部36は、供給用開口部33の外側に供給用開口部33を包囲するように形成されている。なお、回収用開口部36には、多数の孔が形成されてなる多孔部材37が設けられている。
次に、本実施の形態の露光装置11の各光路空間15,16に純水LQを供給した際の作用について説明する。ウエハステージWSTに載置されたウエハWが露光光ELの光路上に配置されると、第1液体供給装置17および第2液体供給装置18が駆動を開始する。すると、第1液体供給装置17から純水LQが供給され、この純水LQは、液体供給管31および液体供給通路32内を流動して、供給用開口部33を介して光路空間15内に供給される。同時に、第2液体供給装置18から純水LQが供給され、この純水LQは、液体供給管22および液体供給通路23内を流動して、供給用開口部24を介して光路空間16内に供給される。
そして、第1液体供給装置17は、所定容量の純水LQを光路空間15内に供給すると、その駆動を停止する。その結果、光路空間15内には、純水LQからなる液浸領域LT1が形成される。また、第2液体供給装置18は、所定容量の純水LQを光路空間16内に供給すると、その駆動を停止する。その結果、光路空間16内には、純水LQからなる液浸領域LT2が形成される。
この際に、光路空間16内における純水LQの一部が、第2特定レンズエレメントLS6と第2ノズル部材21との間の隙間に浸入するが、第2特定レンズエレメントLS6の表面には、撥液機能膜28が形成されているため、撥液機能膜28の撥液効果により、純水LQが上方の光路空間に浸入することが防止される。撥液機能膜28が第2特定レンズエレメントLS6の表面に形成されていないことで純水LQが上方の光路空間に侵入した場合は、第2特定レンズエレメントLS6の物体面側に向かって凸状に形成された上面LS6bに成膜された光学薄膜に純水LQが浸透して、光学薄膜の光学特性が悪化することが懸念される。また、純水LQによって光学薄膜が溶解し、所望の性能が維持出来なくなる。そこで、純水LQが第2特定レンズエレメントLS6の上方の光路空間に侵入することを防ぐため、撥液機能膜28が必要となる。
本実施形態では、撥液膜を光学素子(レンズエレメント等)に形成することを例示したが、露光装置における撥液膜の形成箇所はこれに限らず、液浸用の液体に触れる他の部品に使用することもできる。
例えば、基板ステージ上で基板を囲む環状部材の表面に形成すれば、環状部材の撥液性を高めることができるため、投影光学系の像面側に液浸領域を良好に保持する、液浸露光中における基板外側への液体の流出を防止する、などの効果が得られる。
また、液体供給装置および液体回収装置等において、液体の流通を調整するために、所定箇所に液体が流れにくくするために撥液膜を形成してもよい。
11…露光装置、15…光路空間、28a…遮光膜、28b、51…撥液膜、EL…露光光、LS、LS1〜LS7…レンズエレメント(光学部材、光学素子)、LT1、LT2…液浸領域、LQ…純水(液体)、PL…投影光学系、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(基板)。

Claims (13)

  1. 液体を介して露光光を基板に照射する液浸露光装置に使用され、表面の少なくとも一部が前記液体に接する部材を製造する方法であって、
    前記部材の表面の少なくとも一部に、遮光性粒子がフッ素樹脂に分散された材料を用いて湿式成膜法により撥液膜を室温で形成し、前記撥液膜の前記露光光の透過率を10%以下とすることを特徴とする液浸露光装置の部材の製造方法。
  2. 前記撥液膜の厚さが0.1μm以上、2μm以下であり、
    前記遮光性粒子の平均粒径が1nm以上、100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液浸露光装置の部材の製造方法。
  3. 前記遮光性粒子をフッ素系溶媒に加えたスラリーを前記フッ素樹脂に加えることによって、前記材料を得ることを特徴とする、請求項1または2に記載の液浸露光装置の部材の製造方法。
  4. 前記撥液膜は、金属膜または金属酸化膜により構成された遮光膜を介して前記部材に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の液浸露光装置の部材の製造方法。
  5. 液体を介して露光光を基板に照射する液浸露光装置に使用され、表面の少なくとも一部が前記液体に接する部材であって、
    前記部材の表面の少なくとも一部に、撥液膜が形成され、
    前記撥液膜は、遮光性粒子がフッ素樹脂に分散された材料からなり、
    前記撥液膜の厚さが0.1μm以上、2μm以下であり、
    前記遮光性粒子の平均粒径が1nm以上、100nm以下であり、
    前記撥液膜の前記露光光の透過率が10%以下であることを特徴とする液浸露光装置の部材。
  6. 前記撥液膜の中の遮光性粒子の含有率が0.25質量%以上であることを特徴とする請求項5に記載の液浸露光装置の部材。
  7. 前記フッ素樹脂は、ペルフルオロ(4−ビニルオキシ−1−ブテン)、ペルフルオロアルコキシエチレン、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールからなる群から選ばれた少なくとも1つである、請求項5または6に記載の液浸露光装置の部材。
  8. 前記遮光性粒子は、金属酸化物と金属のうち少なくともいずれか一方からなることを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか1項に記載の液浸露光装置の部材。
  9. 前記撥液膜は、金属膜または金属酸化膜からなる遮光膜を介して前記部材に形成されていることを特徴とする請求項5〜8のうちいずれか1項に記載の液浸露光装置の部材。
  10. 前記部材は、前記露光光の出射面側の光路空間が液浸領域となる光学素子であり、
    前記撥液膜は、有効領域外の表面の少なくとも一部に形成されることを特徴とする請求項5〜9のうちいずれか1項に記載の液浸露光装置の部材。
  11. 前記遮光膜の表面に形成されたSiO膜と、
    前記SiO膜の表面に形成されたシランカップリング層と、をさらに備え、
    前記撥液膜は、前記シランカップリング層の表面に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の液浸露光装置の部材。
  12. 液体を介して露光光を基板に照射する液浸露光装置であって、
    請求項5〜11のうちいずれか1項に記載の部材を備えていることを特徴とする液浸露光装置。
  13. 前記部材は、前記露光光の出射面側の光路空間が液浸領域となる光学素子であり、
    前記撥液膜は、有効領域外の表面の少なくとも一部に形成されることを特徴とする請求項12に記載の液浸露光装置。
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