JP2017083660A - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 Download PDF

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陽一 廣▲瀬▼
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裕介 植阪
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Abstract

【課題】基板に対する密着性が良好な配向膜を得ることができる液晶配向剤を提供する。
【解決手段】カルボジイミド基及びカルボジイミド基を保護した保護カルボジイミド基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物[A]を液晶配向剤に含有させる。当該液晶配向剤には、さらに、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体[P]を含有させてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子に関する。
近年では、大画面で高精細の液晶テレビが主体となり、またスマートフォンやタブレットPC等といった小型の表示端末の普及が進み、液晶パネルに対する高精細化の要求は更に高まりつつある。こうした背景を基に、液晶パネルの表示品位や信頼性の向上を図るべく種々の液晶配向剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2013/115228号
液晶素子は、その多用途化に伴い、従来よりも過酷な環境下で使用されることが想定される。また、過酷な環境下で液晶素子を使用することによって液晶配向膜が基板から剥がれやすく、液晶配向膜が基板から剥がれた場合に表示品位が低下することが懸念される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板に対する密着性が良好な配向膜を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定の化合物を液晶配向剤中に含ませることにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には以下の手段が提供される。
<1> カルボジイミド基及びカルボジイミド基を保護した保護カルボジイミド基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物[A]を含有する液晶配向剤。
<2> 上記<1>の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<3> 上記<2>に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
化合物[A]を含む液晶配向剤によれば、基板に対する密着性が良好な液晶配向膜を得ることができる。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
<化合物[A]>
化合物[A]は、カルボジイミド基(−N=C=N−)及び保護カルボジイミド基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する。保護カルボジイミド基は、カルボジイミド基が不活性な官能基に変換されており、かつ熱や光等の付与により脱保護してカルボジイミド基を再生する基である。好ましくは、加熱により脱保護を起こす基であり、70℃以上の加熱で脱保護されることがより好ましく、80℃以上の加熱で脱保護されることがさらに好ましく、100℃以上の加熱で脱保護されることが特に好ましい。液晶配向剤の保存安定性の観点から、化合物[A]中のカルボジイミド基は保護されていることが好ましい。
保護カルボジイミド基の具体例としては、例えば下記式(1)で表される基などが挙げられる。下記式(1)中のR及びRとしては、例えば炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
Figure 2017083660
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜10の1価の有機基である。)
化合物[A]の好ましい具体例としては、重合度2〜100の重合体(以下「ポリカルボジイミド[A]」ともいう。)、及び分子量1,000以下の化合物(以下「低分子カルボジイミド[A]」ともいう。)が挙げられる。
ポリカルボジイミド[A]は、カルボジイミド基及び保護カルボジイミド基の少なくとも一方を分子内に有するものであれば特に限定されないが、例えば下記式(a−1)で表される重合体(非ブロックタイプ)、及び下記式(a−1)で表される重合体の少なくとも1個のカルボジイミド基が保護された重合体(ブロックタイプ)等が挙げられる。液晶配向剤の保存安定性及び液晶素子の電圧保持率の観点からすると、ポリカルボジイミド[A]としてはブロックタイプを好ましく使用することができる。
Figure 2017083660
(式(a−1)中、Rは2価の有機基であり、Yは、単結合、又はイソシアネート基と反応し得る官能基とイソシアネート基との反応により形成される結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、Yが単結合の場合にイソシアネート基であり、Yが単結合でない場合に炭素数1〜40の1価の有機基である。rは1〜99の整数である。式中の複数のR、Yは、互いに同じでも異なっていてもよい。)
上記式(a−1)で表される重合体は、例えば、イソシアネート基を2個以上有する化合物を重合することによって得ることができる。
重合に使用するモノマーとしては、特に限定されないが、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ジイソシアネートドデカン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等が挙げられる。重合に際しては、これらのモノマーの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記反応は、好ましくは触媒の存在下、必要に応じて有機溶媒中で行われる。触媒は、有機リン系化合物が好ましく、ホスホレンオキシド類(例えば、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン1−オキシドなど)がより好ましい。使用する有機溶媒としては、例えばケトン類、エステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アセタール類、エーテル類等が挙げられる。このときの反応温度は50〜250℃が好ましく、反応時間は1〜48時間が好ましい。得られる重合体の重合度は、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜30である。こうして、末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミドが得られる。
ポリカルボジイミド[A]は、末端がイソシアネート基のものであってもよいが、重合体末端が末端封止剤で変性された変性ポリカルボジイミドであってもよい。末端封止剤としては、イソシアネート基と反応し得る官能基を有する化合物であれば特に制限されない。末端封止剤の具体例としては、例えば、アルキルアルコール、グリコール類、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル類、アルキルグリシジルエーテル類等の水酸基含有化合物;アルキルチオール、芳香族チオール等のチオール基含有化合物;脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン等のアミノ基含有化合物;飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等のカルボキシル基含有化合物;アルキルイソシアネート、シクロアルキルイソシアネート等のイソシアネート基含有化合物、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。末端封止剤は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
末端封止剤を用いた反応は、末端封止剤の存在下でモノマーを重合する方法や、モノマーを重合した後に該重合により得られたポリカルボジイミドと末端封止剤とを反応させる方法などによって行われる。後者の方法において、反応温度は50〜180℃とすることが好ましい。反応時間は0.5〜24時間とすることが好ましい。
ブロックタイプのポリカルボジイミドを得る場合には、さらに、上記重合により得られたポリカルボジイミドが有するカルボジイミド基を保護するための反応を行う。なお、カルボジイミド基の保護は有機化学の定法に従って行われる。ポリカルボジイミド[A]としては市販品を使用してもよい。市販品の具体例としては、例えばV−03、V−05、V−07、V−09(以上、日清紡ケミカル社製)等が挙げられる。
低分子カルボジイミド[A]は、1個以上のカルボジイミド基を有する分子量1,000以下の化合物(ただし、カルボジイミド基を有する重合体を除く。)であれば特に制限されない。低分子カルボジイミド[A]の分子量は、好ましくは800以下、より好ましくは700以下である。
低分子カルボジイミド[A]は、カルボジイミド基又は保護カルボジイミド基を鎖状構造中に含む化合物であってもよいし、環状構造中に含む化合物(環状化合物)であってもよい。なお、前者の化合物は、鎖状構造のみで構成されている必要はなく、例えばベンゼン環、シクロヘキサン環等の環構造を有していてもよい。
低分子カルボジイミド[A]のうち、カルボジイミド基又は保護カルボジイミド基を鎖状構造中に含む化合物の具体例としては、例えばN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N−エチルカルボジイミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N−エチルカルボジイミド=メチオジド、N−tert−ブチル−N−エチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド メソ−p−トルエンスルホネート、N,N−ジ−tert−ブチルカルボジイミド及びN,N−ジ−p−トリルカルボジイミド、並びにこれらの化合物におけるカルボジイミド基が保護された化合物等が挙げられる。
低分子カルボジイミド[A]が環状化合物である場合の例としては、例えば下記式(a−2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017083660
(式(a−2)中、R〜Rは、それぞれ独立に2価の有機基であり、tは0又は1である。Xは、tが0のときに2価の有機基であり、tが1のときに4価の有機基である。)
式(a−2)において、R〜R、Xの有機基としては、例えば鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基;当該炭化水素基の少なくとも1個のメチレン基を、例えば−O−、−CO−、−COO−等のヘテロ原子含有基で置き換えた基;当該炭化水素基の少なくとも1個の水素原子を、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基等で置換した基などが挙げられる。上記式(a−2)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017083660
(式中、「Me」はメチル基を表す。)
液晶配向剤の調製に際し、化合物[A]は、液晶素子の電気特性の観点から、上記の中でも、ポリカルボジイミド[A]及び環状の低分子カルボジイミド[A]よりなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、ポリカルボジイミド[A]がより好ましい。また、液晶配向剤の保存安定性が高い点で、化合物[A]はカルボジイミド基の保護体であることが好ましい。なお、化合物[A]は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<その他の成分>
本開示の液晶配向剤は、化合物[A]と共に、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体[P]を含むことが好ましい。
[ポリアミック酸]
重合体[P]としてのポリアミック酸は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、上記テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸の合成に使用するジアミン化合物としては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらジアミン化合物の具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
芳香族ジアミンとして、例えばドデカノキシジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、コレスタニルオキシジアミノベンゼン、コレステリルオキシジアミノベンゼン、ジアミノ安息香酸コレスタニル、ジアミノ安息香酸コレステリル、ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、下記式(E−1)
Figure 2017083660
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、*−COO−又は*−OCO−(ただし、「*」はXとの結合手を示す。)であり、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などの側鎖型ジアミン:
p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、2,6−ジアミノピリジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどの非側鎖型ジアミンを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
ポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜24時間が好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。特に好ましい有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えばブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)との混合物を使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50質量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
[ポリアミック酸エステル]
重合体[P]としてのポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物とを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物とを反応させる方法、などによって得ることができる。ここで、エステル化剤としては、例えばメタノール、エタノール、桂皮酸構造を有する水酸基含有化合物等が挙げられる。上記[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、上記で例示したテトラカルボン酸二無水物をアルコール類などで開環することにより得ることができる。上記[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。
液晶配向剤に含有させるポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。なお、ポリアミック酸エステルを溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
[ポリイミド]
重合体[P]としてのポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。反応に使用するポリイミドは、そのイミド化率が20〜99%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
以上のようにして得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドは、これを濃度10質量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドの溶液粘度(mPa・s)は、これら重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性及び安定性を確保することができる。
[ポリオルガノシロキサン]
重合体[P]としてのポリオルガノシロキサンは、例えば加水分解性のシラン化合物を加水分解・縮合することにより得ることができる。合成に使用するシラン化合物としては、例えばテトラアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などを挙げることができる。加水分解性シラン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、「(メタ)アクリロキシ」は、「アクリロキシ」及び「メタクリロキシ」を含む意味である。
上記の加水分解・縮合反応は、上記の如きシラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で反応させることにより行う。反応に際し、水の使用割合は、シラン化合物(合計量)1モルに対して、好ましくは1〜30モルである。使用する触媒としては、例えば酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを挙げることができる。触媒の使用量は、触媒の種類、温度などの反応条件などにより異なるが、例えばシラン化合物の合計量に対して0.01〜3倍モルである。使用する有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコールなどが挙げられ、これらのうち、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒の使用割合は、反応に使用するシラン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは10〜10,000質量部である。加水分解・縮合反応は、例えば油浴などにより加熱して(例えば130℃以下の加熱で)実施することが好ましい。反応終了後において、反応液から分取した有機溶媒層の溶媒を除去することによりポリオルガノシロキサンが得られる。なお、ポリオルガノシロキサンの合成方法は上記の方法に限らず、例えば加水分解性シラン化合物をシュウ酸及びアルコールの存在下で反応させる方法などにより行ってもよい。
重合体[P]としてのポリオルガノシロキサンを、配向性基(例えば炭素数4以上のアルキル基、複数個の環が直接又は連結基を介して連結してなる基、ステロイド構造を有する基など)を側鎖に有するポリオルガノシロキサン(以下、「配向性基含有ポリシロキサン」ともいう。)としてもよい。配向性基含有ポリシロキサンを合成する方法は特に限定されないが、例えば(1)エポキシ基含有シラン化合物を含むシラン化合物を重合してエポキシ基を側鎖に有するポリオルガノシロキサンを得て、次いで、得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンと、配向性基を有するカルボン酸とを反応させる方法、(2)液晶配向性基を有する加水分解性のシラン化合物をモノマーに含む重合によって配向性基含有ポリシロキサンを得る方法、などが挙げられる。
ポリオルガノシロキサンにつき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、100〜50,000の範囲にあることが好ましく、200〜10,000の範囲にあることがより好ましい。
重合体[P]の含有割合は、液晶配向剤中の固形成分(溶媒以外の成分)の合計質量100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは50〜99.9質量部、さらに好ましくは60〜99質量部である。
液晶配向剤中における化合物[A]の含有割合は、基板に対する膜の密着性の改善効果を十分に得つつ、液晶配向剤の保存安定性及び液晶素子の電気特性を良好に維持させるようにする観点から、重合体[P]の合計100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましい。より好ましくは0.5〜80質量部であり、さらに好ましくは1〜70質量部である。特に好ましい範囲は、化合物[A]の種類に応じて異なる。具体的には、ポリカルボジイミド[A]を使用する場合には、重合体[P]の合計100質量部に対して1〜50質量部とすることが好ましく、5〜30質量部とすることが特に好ましい。低分子カルボジイミド[A]を使用する場合には、重合体[P]の合計100質量部に対して1〜20質量部とすることが好ましく、1〜15質量部とすることが特に好ましい。
なお、その他の成分としては、上記のほか、ポリカルボジイミド[A]及び重合体[P]以外のその他の重合体(例えば、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなど)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤などが挙げられる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
<溶剤>
本開示の液晶配向剤は、化合物[A]及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10質量%の範囲である。すなわち、液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
<液晶素子>
本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
[工程1:塗膜の形成]
先ず基板上に液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmである。基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、液晶配向膜、又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。
[工程2:配向処理]
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることによって塗膜に液晶配向能を付与するラビング処理、基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理などが挙げられる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
[工程3:液晶セルの構築]
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。具体的には、(1)それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化する方法(ODF方式)、などが挙げられる。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが挙げられる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより液晶素子が得られる。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。
本開示の液晶素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光フィルム等に用いることができる。また、本開示の液晶配向剤を用いて形成された液晶素子は位相差フィルムに適用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例において、重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)]:所定の溶媒を用い、重合体濃度10質量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
以下では、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と略すことがある。
[合成例1]
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物100モル部、並びに、ジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸70モル部、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル20モル部、及び下記式(E−1−1)で表される化合物10モル部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20質量%含有する溶液を得た。ここで得られたポリアミック酸を重合体(PA−1)とした。
Figure 2017083660
[合成例2,3]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を下記表1のとおり変更した以外は合成例1と同様にしてポリアミック酸(重合体(PA−2)、重合体(PA−3))をそれぞれ合成した。
Figure 2017083660
表1中、酸二無水物及びジアミンの括弧内の数値は、重合体の合成に使用したテトラカルボン酸二無水物の合計100モル部に対する各化合物の使用割合(モル部)を表す。表1中の化合物の略称はそれぞれ以下の意味である。
<酸二無水物>
T−1:ピロメリット酸二無水物
T−2:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
T−3:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
<ジアミン>
D−1:3,5−ジアミノ安息香酸
D−2:3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
D−3:上記式(E−1−1)で表される化合物
D−4:p−フェニレンジアミン
D−5:4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート
[合成例4]
ジ−tert−ブチルジカーボネート4.38gとN,N−ジメチルアミノピリジン1.25gを加え、ジクロロメタン100mLに溶解させた。次いで、ビアリールイミノホスホラン(下記式(3)で表される化合物)7.46gを溶解させたジクロロメタン200mLを徐々に滴下し、6時間反応させることで、下記式(Add−3)で表される化合物を1.78g得た。
Figure 2017083660
[合成例5]
ヘキサメチレンジイソシアネート2.62g、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1.69g、及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン1−オキシド0.09gを180℃で21時間反応させ、カルボジイミド基含有共重合体(重合度=4)を得た。得られた共重合体を塩化メチレン50mLに溶解させ、次いでジイソプロピルアミンを0.61g加え、室温で10時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、N−メチル−2−ピロリドン15gを加えることで、ブロックカルボジイミド基含有共重合体(以下、「共重合体(Add−4)」とする。)が溶解された重合体濃度20質量%の重合体溶液を得た。
Figure 2017083660
[実施例1]
(1)液晶配向剤の調製
重合体[P]として上記実施例2−1で得た重合体(PA−1)を含有する溶液に、NMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、さらに化合物[A]として1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を、重合体(PA−1)100質量部に対して10質量部加えて十分に撹拌し、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度3.5質量%の溶液とした。この溶液を孔径0.20μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤(S−1)を調製した。
(2)膜の密着性評価
上記(1)で調製した液晶配向剤(S−1)を、ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間加熱(ポストベーク)することにより、平均膜厚0.08μmの塗膜を形成した。これと同様の操作を繰り返すことにより、塗膜が形成されたガラス基板を2枚作製した。塗膜を形成した1枚のガラス基板の塗膜上に、ODFシール剤(積水化学製S−WB42)を直径が5mmになるように塗布し、もう一枚のガラス基板の塗膜とODFシール剤が接触するように貼り合わせた。その後、メタルハライドランプを用いて30,000J/m(365nm換算)の光を照射した後、120℃のオーブンで1時間加熱した。その後、今田製作所の引張圧縮試験機(型番:SDWS−0201−100SL)を用いて密着力を測定することにより、膜の密着性を評価した。評価は、密着力が300gf/mm以上であった場合を「良好A(◎)」、200gf/mm以上300gf/mm未満であった場合を「良好B(○)」、100gf/mm以上200gf/mm未満であった場合を「可(△)」、100gf/mm未満であった場合を「不良(×)」とした。その結果、この実施例では密着力200gf/mmであり、密着性「良好B」の評価であった。
(3)液晶セルの製造
ITO膜からなる透明電極を片面に有する一対のガラス基板を用い、この一対のガラス基板のそれぞれの電極面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(S−1)をスピンナーにより塗布した。次いで、80℃のホットプレート上で1分間のプレベークを行った後、230℃のホットプレート上で10分間ポストベークして、膜厚約0.08μmの塗膜を形成した。続いて、どちらか一方の基板の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、間隙を介して2枚の基板を対向配置し、外縁部同士を当接して圧着して接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、液晶セルを作製した。
(4)電圧保持率の測定
上記(3)で製造した液晶セルに、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。電圧保持率が95%以上を「良好(◎)」、80%よりも大きく95%未満を「可A(○)」、75%以上80%以下を「可B(△)」、75%未満を「不良(×)」としたところ、この実施例の電圧保持率は80%であり、「可B」と判定された。なお、電圧保持率の測定装置としては(株)東陽テクニカ社製の型式名「VHR−1」を使用した。
(5)保存安定性の評価
上記で調製した液晶配向剤(S−1)を20℃で7日間静置し、ゲル化の状況を観察することにより保存安定性を評価した。評価は、7日間経過しても液晶配向剤がゲル化しなかった場合を「良好(○)」、24時間を超えて168時間以内にゲル化した場合を「可(△)」、24時間以内にゲル化した場合を「不良(×)」とした。この実施例では、保存安定性は「不良」の評価であった。
[実施例2〜6及び比較例1]
使用する化合物[A]の種類及び量を下記表2に示す通り変更した以外は、上記実施例1と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。その結果を下記表2に示した。なお、表2中、化合物[A]の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体[P]の100質量部に対する各化合物の使用割合(質量部)を示す。「−」は、対応する化合物を使用しなかったことを示す。
Figure 2017083660
表2中の化合物[A]の略称はそれぞれ以下の意味である。
Add−1:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
Add−2:ポリカルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製、品名「V−05」)
Add−3:上記式(Add−3)で表される化合物
Add−4:共重合体(Add−4)
[実施例7]
(1)液晶配向剤の調製
使用する重合体[P]及び化合物[A]の種類及び量を上記表2に示す通り変更した以外は、上記実施例1と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤(S−7)を調製した。
(2)膜の密着性評価
液晶配向剤(S−7)を用いて、上記実施例1と同様にして膜の密着性を評価したところ、この実施例では「良好B」の評価であった。
(3)光配向法による液晶セルの製造
ITO膜からなる透明電極を片面に有する一対のガラス基板を用い、この一対のガラス基板のそれぞれの電極面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(S−7)をスピンナーにより塗布した。次いで、80℃のホットプレート上で1分間のプレベークを行った後、230℃のホットプレート上で10分間ポストベークして、膜厚約0.08μmの塗膜を形成した。続いて、それぞれの塗膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線10,000J/mを基板法線方向から照射し、液晶配向膜を形成した。続いて、どちらか一方の基板の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷し、液晶セルを作製した。
(4)電圧保持率の測定
上記(3)で製造した液晶セルを用いて、上記実施例1(3)と同様にして電圧保持率を測定したところ、この実施例では92%であり、「可A」と判定された。
(5)保存安定性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤(S−7)を用いて、上記実施例1(5)と同様にして保存安定性を評価したところ、この実施例では「良好」と判定された。
[実施例8]
使用する重合体[P]及び化合物[A]の種類及び量を上記表2に示す通り変更した以外は、上記実施例1と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤(S−8)を調製した。また、液晶配向剤(S−8)を用いて、実施例7と同様にして光配向法により液晶セルを製造するとともに、各種評価を行った。その結果を上記表2に示した。
表2から明らかなように、化合物[A]を含む液晶配向剤を用いた実施例1〜8の塗膜は、化合物[A]を含まない液晶配向剤を用いた比較例1との対比で、基板に対する密着性に優れていた。また、実施例2〜5,7,8では、液晶素子の電圧保持率も高く、また液晶配向剤の保存安定性も良好又は可の評価であった。

Claims (8)

  1. カルボジイミド基及びカルボジイミド基を保護した保護カルボジイミド基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物[A]を含有する液晶配向剤。
  2. さらに、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体[P]を含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 前記化合物[A]の含有割合が、前記重合体[P]の合計100質量部に対して0.1〜100質量部である、請求項2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記化合物[A]は、重合度2〜100の重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  5. 前記化合物[A]は、分子量1,000以下の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  6. 前記化合物[A]は、カルボジイミド基を保護した保護カルボジイミド基を有し、かつ70℃以上の加熱で脱保護されてカルボジイミド基を再生する化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  8. 請求項7に記載の液晶配向膜を備える液晶素子。
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