以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、前後上下左右の方向として、図1に示す上下左右方向、図2に示す上下前後方向を基準として説明する。
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、貯蔵室が左右に大きく分割された構造を有するいわゆるサイドバイサイドと呼ばれるタイプのものであり、冷蔵庫本体2、人感センサ3、ドア開放装置47などを含んで構成されている。
冷蔵庫本体2は、断熱箱体10(図2参照)と、観音開き方式の、冷凍室ドア21(扉)、冷蔵室ドア22(扉)および野菜室ドア23(扉)とを備えている。本実施形態では、3枚の断熱ドアを備えている。
冷凍室ドア21は、冷凍室20(図2参照)を開閉する扉であり、左側の上部から下部にかけて配置され、1枚のドアで構成されている。冷蔵室ドア22は、冷蔵室(不図示)を開閉する扉であり、右側上部に配置されている。野菜室ドア23は、野菜室(不図示)を開閉する扉であり、右側下部に配置されている。また、各ドア21〜23は、内部に硬質ウレタンフォームなどの発泡断熱材を充填することによって構成されている。
また、冷凍室ドア21は、上下方向の略中央部にディスペンサ30が設けられ、このディスペンサ30を除く領域のほぼ前面が、強化ガラスで構成されたガラス板(ガラス)21aによって構成されている。冷蔵室ドア22と野菜室ドア23についても、その表面(前面)の全体が強化ガラスで構成されたガラス板(ガラス)22a,23aによって構成されている。このように、冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22および野菜室ドア23の前面をガラス製とすることにより、前面を鋼板によって構成するよりもフラット感を高めることができる。また、冷蔵庫1を大型化した場合でも、正面全体に亘ってフラット感を高めることができ、これによって高級感を演出することができる。
冷蔵庫本体1の天井壁上面の前面すなわち冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22に隣接して扉開放装置47が設けられている。扉開放装置47は、第一の扉21(冷凍室ドア)と第二の扉22(冷蔵室ドア)とにそれぞれ対応した第一の扉開放手段61a(左突出し部材)、第二の扉開放手段61b(右突出し部材)を備え、第一の扉開放手段61a、第二の扉開放手段61bは開扉装置60に収納された状態から第一の扉21(冷凍室ドア)、第二の扉22(冷蔵室ドア)に向けて前方に動作し、第一の扉21、第二の扉22の上端近傍を押して第一の扉2a、第二の扉2bを押し開く。扉開放装置47は公知の方法(特開2014−214893号公報)で構成することができる。
また、冷凍室ドア21の外側21bには、冷水(水)や氷を提供するディスペンサ30が設けられている。このディスペンサ30は、例えば、ブロック状の氷(いわゆるブロックアイス)や細かく破砕された氷(いわゆるクラッシュドアイス)の2種類の氷を提供できるようになっている。このように、冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22および野菜室ドア23のいずれのドアも開けることなくグラスなどの容器に冷水や氷を供給できるようになっている。
ディスペンサ30は、正面視において略四角形状の開口を有し、内側(奥側)に向かって凹状に凹ませて形成された提供空間S(ディスペンサ30が配置される領域、凹み形状となる空間)が形成されている。この提供空間Sの中央奥側の奥面部30aには、平面視矩形状のディスペンサレバー31が設けられている。
ディスペンサレバー31は、その上端に設けられた軸を支点として前後方向に回動可能に支持されている。これにより、手に持った容器をディスペンサレバー31に押し当てることにより、ディスペンサレバー31の手前の天井部に設けられた吐出口33から容器内に氷が提供され、また吐出ノズル34(図3参照)から冷水が提供されるようになっている。なお、冷水は、冷蔵室内に設けられた給水タンクから配管(図示せず)を介して供給されるようになっている。
人感センサ3は、冷蔵庫1の正面視において、冷凍室ドア21のガラス板21a、冷蔵室ドア22のガラス板22a、野菜室ドア23のガラス板23aから外れた位置に設けられている。換言すると、人感センサ3は、前後方向(奥行き方向)において(上下方向、左右方向においても)、ガラス板21a,22a,23aと重ならない位置に設けられている。また、人感センサ3は、ガラス板21a越しではなく、正面方向から人感センサ3を直接見通せるように、冷蔵庫1の正面に設けられている。
なお、本実施形態のディスペンサ30では、冷水と氷を提供できる場合を例に挙げて説明したが、冷水のみ提供するもの、氷のみを提供するものであってもよい。また、氷の種類についても、2種類に限定されるものではなく、ブロックアイスのみ(またはクラッシュドアイスのみ)など1種類の氷のみを提供できるものであってもよい。
図2は、図1のA−A線で切断したときの断面図である。なお、図2では、冷蔵庫1の内部を簡略化して図示している。図2に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、内部に硬質ウレタンフォームなどの発泡断熱材を充填することで構成され、庫外と庫内とを隔てている。また、断熱箱体10は、発泡断熱材の他に複数の真空断熱材を実装している。
また、冷蔵庫1は、冷気ダクト41、圧縮機42、冷却器43、除霜ヒータ44、庫内ファン45、制御装置46などを備えている。冷蔵庫1では、圧縮機42や冷却器43などを組み合わせて冷凍サイクルが構成されている。冷気ダクト41内には、庫内ファン45が設けられており、冷却器43において熱交換によって生成された冷気が、冷凍室20などの各貯蔵室へ送られ、庫内が冷却される。
冷凍室ドア21には、庫外側にディスペンサ30が設けられ、庫内側に氷供給装置50が設けられている。氷供給装置50は、公知の方法(特開2013−32909号公報)によって構成することができる。
冷凍室ドア21には、ディスペンサ30を操作するためのタッチスイッチ70が設けられている。このタッチスイッチ70は、「冷水」、「ブロックアイス」、「クラッシュドアイス」といった提供物に対応したタッチ式のボタンを備え、扉開放装置を動作させるタッチ式のボタンが備えられている。これにより、冷凍室ドア21に開扉用の樹脂製ハンドル(把持部)を設けないようにすることで、ガラス面積を増やすことができ、フラットな面をさらに拡大することができる。
図3は、人感センサを示す分解斜視図である。図3に示すように、人感センサ3は、例えば赤外線反射型のものであり、センサ本体61とセンサカバー62とで構成されている。なお、人感センサ3としては、赤外線反射型に限定されるものではなく、焦電センサを用いるものであってもよい。また、センサカバー62は、特定の波長の赤外線を透過可能な樹脂材料(例えば、アクリル板、ポリカーボネート板)で構成されている。
センサ本体61は、赤外線を照射する発光部61aと、反射した赤外線を受光する受光部61bと、制御装置46と接続されるコネクタ部61cと、を有している。また、図示していないが、センサ本体61内には、センサ基板が設けられている。発光部61aと受光部61bは、前方に向けて互いに左右方向に離間して配置されている。コネクタ部61cは、発光部61aと受光部61bの上面から上方に突出している。
センサカバー62は、上面が解放した四角箱形状を呈する収容部62aと、収容部62aをディスペンサ30に取り付けるための係止爪62b,62b,62c,62cと、を有している。また、収容部62a内には、センサ本体61を位置決めするための位置決め板62d,62eが一体に形成されている。また、収容部62aの前板62fの板厚寸法T1は、他の板(側板62g、62gおよび背板62h)の板厚寸法T2よりも、薄く形成され、赤外線を透過させ易くしている。なお、図示省略しているが、収容部62aには、センサ本体61を係止して固定するための固定部(例えば、係止爪)が形成されている。このように、センサカバー62の下面や側面には、該センサカバー62を貫通する孔が形成されていないので、ディスペンサ30の操作時に飛び跳ねた冷水がセンサカバー62内に浸入するのを防止できる。
図4は、人感センサを示す配置図である。図4は、ディスペンサ30および人感センサ3を下方から見上げた状態を示している。図4に示すように、人感センサ3は、冷凍室ドア21のディスペンサ30が配置される領域(提供空間S)に設けられている。提供空間Sは、左右両端部から中央に向けて奥行き寸法が深くなるように湾曲して形成された奥面部30aと、天井側に配置される天井面部30b(天面)と、底側に配置される底面部(載置面)30c(図6参照)と、で構成されている。
また、人感センサ3は、ディスペンサ30の冷水や氷の排出部(吐出口33)に対して右側(冷蔵庫本体2の中央側)に配置されている。このように、ディスペンサ30が冷蔵庫1の左右方向(幅方向)の中央部に近い側に配置されるので、人が冷蔵庫1の正面に対して右寄り、左寄りに位置したとしても安定して検知することができる。
また、人感センサ3は、冷凍室ドア21のガラス板21aの表面よりも奥側(後方)に位置している。これにより、人が冷蔵庫1の正面に立ったときに、人感センサ3を視認し難くできるとともに、天井面部30bによって赤外線の照射光が上方に拡散するのを抑制することができる。
なお、人感センサ3による赤外線の照射範囲は、ほぼ正面のみに設定されるとともに、所定の距離(例えば、1メートル)までを検知範囲としている。よって、冷蔵庫1の正面から所定の距離だけ離れて通り過ぎた場合などは検知されないようになっている。
図5は、タッチスイッチを示す分解斜視図である。図5に示すように、タッチスイッチ70は、静電容量式のものであり、フィルム部材71、配線基板72、シェード部材73、レンズ部材74、フレーム75を積層することで構成されている。
フィルム部材71は、「冷水」、「ブロックアイス」、「クラッシュドアイス」に対応するアイコン(印字部)71a,71b,71cや扉開放装置用のアイコン(印字部)71dなどが印字されるとともに、透明電極が形成されている。配線基板72は、アイコン71a〜71dを発光させる発光素子などが実装されている。シェード部材73は、アイコン71a〜71d以外の領域を遮光する遮光シートで構成されている。レンズ部材74は、発光素子の光を拡散させるシート状のもので構成されている。フレーム75は、合成樹脂製のもので構成され、フィルム部材71との間で、配線基板72、シェード部材73およびレンズ部材74を保持するようになっている。
図6は、タッチスイッチを冷凍室ドアに組込む前の斜視図である。図6に示すように、タッチスイッチ70は、冷凍室ドア21の内側(右側)の側面に設けられた挿入穴21cから挿入され、冷凍室ドア21のガラス板21aの背面(裏側)に配置される。そして、キャップ部材21dによって挿入穴21cが塞がれる。
ところで、人感センサ3では奥行き寸法が長くなるため(図3参照)、タッチスイッチ70と人感センサ3とを一体に構成して冷凍室ドア21に組み込もうとすると、かつ、人感センサ3がガラス越しにならないようにしようとすると、人感センサ3がタッチスイッチ70から大きく飛び出す形状となるため、タッチスイッチ70(フィルム部材71(電極))がガラス面(ガラス板21a)から離れ、タッチスイッチ70の検出感度が大きく損なわれることになる。そこで、本実施形態では、タッチスイッチ70と、人感センサ3とを別体で構成することで、タッチスイッチ70(フィルム部材71)をガラス板21a(ガラスの裏面)に密着させることができるので、タッチスイッチ70の検出感度が損なわれるのを防止できる。
なお、図示していないが、冷蔵室ドア22についても、タッチスイッチで構成されたドア開放用の操作部が設けられ、冷蔵室ドア22の表面全体のフラット化が図られている。
図7は、ディスペンサに人感センサを取り付けた状態を示す拡大縦断面図である。図7に示すように、冷凍室ドア21内のディスペンサ30(提供空間S)の上方には、タッチスイッチ70を収容するタッチスイッチ収容部21eが隣接して設けられている。タッチスイッチ収容部21eの底板21fには、センサカバー62の係止爪62bが挿入される係止孔21gが形成されている。
また、タッチスイッチ収容部21eの後方の天井面部30bには、凹み形状となる凹み部21hが形成されている。この凹み部21hには、センサカバー62の係止爪62cが係止される係止孔21iが形成されている。
人感センサ3は、ディスペンサ30の天井面部30bに取り付けられたときに、センサカバー62の凹面と、凹み部21hの凹面が対向するように配置される。また、センサ本体61のコネクタ部61cは、凹み部21h内に挿入されるようにして配置される。すなわち、人感センサ3の位置を後方にずらして、人感センサ3(センサ本体61)の一部を天井面部30bよりも上側に配置できるので、天井面部30bから下方への出っ張りを抑えることができる。これにより、ディスペンサ30の操作時に、容器(グラス)などが人感センサ3(センサカバー62)に接触するのを抑制することができる。
また、人感センサ3は、コネクタ部61cから配線63を介してタッチスイッチ70と接続されている。そして、タッチスイッチ70は、制御装置46(図2参照)と接続される。このように、人感センサ3は、タッチスイッチ70の配線基板72(図6参照)を介して制御装置46と接続されるようになっている。
図8は、冷蔵庫を示すブロック図である。図8に示すように、制御装置46は、断熱箱体10(図2参照)の天板の上面に設置され、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、インタフェース回路などを備え、メモリ(ROM)に記憶された制御プログラムにしたがって冷凍サイクルおよび送風系の制御を実行する。
また、制御装置46は、人感センサ3、ディスペンサ30、タッチスイッチ70、ドアセンサ76、温度センサおよびタイマ80と電気的に接続されている。制御装置46には、人感センサ3によって人が検知されたときの検知信号、ディスペンサ30が操作されたことを示す操作信号、タッチスイッチ70が操作されたことを示す操作信号、ドアセンサ76によって冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22、野菜室ドア23のいずれかが開扉(解放)されたことを示すドア開信号、温度センサによって冷凍室、冷蔵室、野菜室の温度状況を示す温度信号、タイマ80によって計時された時間(経過時間)が、それぞれ送られる。なお、タイマ80は、後記する人感センサの故障判定、第1省エネモードおよび第2省エネモードに移行するために必要な時間を計時するためのものである。
また、制御装置46は、圧縮機42、除霜ヒータ44、庫内ファン45、扉開放装置などと電気的に接続されている。また、制御装置46は、圧縮機42のモータの回転速度、除霜ヒータ44の出力、庫内ファン45のモータの回転速度、また扉開放装置の開放動作をそれぞれ制御する。圧縮機42の回転速度を下げること、除霜ヒータ44の出力を下げること、庫内ファン45の回転速度を下げることによって、冷蔵庫1の消費電力を下げることができ、省エネ運転(省電力運転)が実行される。
なお、図8に示すブロック図は、一例であって、制御装置46には、その他各種のセンサ、その他各種のタッチスイッチ、その他各種のヒータが接続されている。なお、その他各種のセンサとは、例えば、冷蔵室センサ、冷凍室センサ、野菜室センサ、製氷機センサ、冷却器センサである。その他各種のスイッチとは、例えば、急速冷凍、庫内温度レベル、チャイルドロックを設定するスイッチである。また、その他各種のヒータとは、例えば、冷凍室20と冷蔵室との間、冷凍室20と野菜室との間における結露を防止する結露防止用ヒータ、ディスペンサ30において給水するための給水管凍結防止用ヒータ、氷供給装置50に搭載されているモータの凍結用ヒータである。
図9は、本実施形態の冷蔵庫における人感センサの検知結果を用いて扉開放装置の動作決定を行うフローチャートである。
図9に示すように、ステップS10において制御装置46は、人感センサ3が故障中かどうかを判定する。人感センサ3が故障中の場合(S10,Yes)、人感センサ3の検知結果は使用できないため、人感センサ3の情報は使用せずステップS12へ進む。(人感センサ3の故障判定方法は後述に示す)これにより、人感センサ3が故障した場合は、人感センサの検知結果は使用いない。よって、人感センサが常に人を検知する故障であった場合に、ノイズによりタッチスイッチ71dがタッチされたと誤検知し、ドア開放装置47が動作するのを防ぐ。人感センサ3が故障していない場合(S10、Yes)、ステップS11に進む。
ステップS11において、人感センサ3が人を検知していないか、つまり冷蔵庫1の正面に人がいるか否かを判定する。正面に人と検知した場合(S11、Yes)、ステップS12に進む。人の検知がない場合(S11、No)、タッチスイッチ71dの判定を行わずに終了させる。これにより、正面に人がいない場合はタッチスイッチ71dの誤検知を無視することが可能になる。
ステップS12において、扉開放用タッチスイッチ71dにタッチが行われたか否かを判定する。
扉開放用タッチスイッチ71dにタッチが行われた場合(S12、Yes)、使用者が冷蔵庫1の正面に立ちタッチを行っているため、ステップS13に進み、扉開放動作を行う。タッチが行われなかった場合(S12、No)終了する。このようにノイズにより扉開放用タッチスイッチ71dにタッチが行われたと判定された場合でも、人感センサ3で使用者が冷蔵庫1の正面にいないため、誤検出と判定することにより、誰もいない状態で扉開放装置が動作することを防ぐことができる。
図10に人感センサ3の故障判定のフローチャートを示す。人感センサ3の故障状態は2つが考えられる。「常に人がいる」と検出する、もしくは「常に人をいない」と検出する。「常に人がいない」という故障をしてしまった場合、長期間人感センサの前に人が来なかった場合と区別がつかないため、「常に人がいる」と検出する故障を検出する。
ステップS20において、人感センサ3で人を検知しているかを判定する。検知していない場合(S20,No)、故障の判定は行わず、ステップS20に戻り再度人感センサ3で人の検知を判定する。検知している場合(S20、Yes)、ステップS21へ進みタイマ80をリセットする。
ステップS22において、人感センサ3の検知が有るか否かの判定を行い、人感センサ3の検知有りの場合(S22、Yes)がステップS23に進む。人感センサ3で人を検知しなかった場合(S22、No)、ステップS20に戻る。ステップS23にてタイマ80が故障確定時間を経過しているか否かを判定する。タイマ80が故障確定時間経過していない場合(S23、No)、再度ステップS22に戻る。これにより、人感センサが人を検知している状態が故障確定時間継続しているか否かを監視することができる。つまり、故障確定時間経過前に人感センサの検知がなくなった場合、ステップ20に戻ることで再度故障確定時間のリセットを図ることができる。タイマ80が故障確定時間経過した場合(S23、Yes)、ステップS24に進み故障確定となる。
故障確定時間はたとえば1時間とした場合、使用者が1時間継続して、冷蔵庫1の正面に立っているということはありえないため、人感センサが故障したと判定することができる。また、冷蔵庫1の正面に物を置いた場合でも、人感センサ3が常に人がいると検知するため1時間継続して検知有りとなり、故障と判定されることになる。しかしながら、人感センサ3が人の有無を検知できておらず、検知結果を使用できないという点で同じのため問題ない。
ステップS25において、人感センサ3で人の検知が有るか否かを判断する。人の検知が有った場合(S25,Yes)、再度ステップS25に戻る。人感センサ3で人の検知がなかった場合(S25、No)、ステップS26に進み故障の解除を行ったのちにステップS20に戻る。これにより少なくとも人感センサ3が人を検知し続けている間は故障が確定し続けることができる。これにより、長時間人感センサの前に物が置かれ、長時間人感センサ3が検知有りとなり、故障が確定してしまった場合でも、物が移動されて人感センサ3で人の検知なしとなれば、故障が解除されて再度人感センサの検出結果をしようすることを可能にする。
また、人感センサ3を利用し、省エネモードを動作させることが可能である。人感センサ3を用いることで人の活動状態を検知することができるため、段階的に省エネモードに移る。図12は本実施形態の冷蔵庫における通常運転から第1省エネモード成立までの動作を示すフローチャートである。なお、図12に示すフローに入る前において、冷蔵庫1は、通常モード(定格出力)で運転している。
図11に示すように、ステップS30において、制御装置46は、人感センサ3の検出有りか否か、つまり冷蔵庫1の正面に人の存在を検知したか否かを判定する。制御装置46は、人感センサ3の検出有りの場合には(S30、Yes)、ステップS35に進み、タイマ80をリセットした後にステップS30に戻る。また、制御装置46は、人感センサ3の検出が無い場合には(S30、No)、ステップS31に進む。例えば、人感センサ3の検出有りの場合には(S30、Yes)、タッチスイッチ70において設定されているアイコンが点灯する。
ステップS31において、制御装置46は、ドアセンサ76によってドア開操作有りか否か、つまり、冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22、野菜室ドア23のいずれかのドアが解放されたか否かを判定する。制御装置46は、ドア開操作有りと判定した場合には(S31、Yes)、ステップS35に進んでタイマ80をリセットし、ドア開操作無しと判定した場合には(S31、No)、ステップS32に進む。
ステップS32において、制御装置46は、タッチスイッチ70を含む各種のスイッチ(SW)操作有りか否かを判定する。制御装置46は、SW操作有りと判定した場合には(S32、Yes)、ステップS35に進んでタイマ80をリセットし、SW操作無しと判定した場合には(S32、No)、ステップS33に進む。
ステップS33において、制御装置46は、ディスペンサ30の使用有りか否か、つまりディスペンサレバー31が操作されて、「冷水」、「ブロックアイス」、「クラッシュドアイス」のいずれかが提供されたか否かを判定する。制御装置46は、ディスペンサ30の使用有りと判定した場合には(S33、Yes)、ステップS35に進んでタイマ80をリセットし、ディスペンサ30の使用無しと判定した場合には(S33、No)、ステップS34に進む。
ステップ34において、制御装置46は、タイマ80によってカウントされた時間が第1所定時間を経過しているか否かを判定する。なお、第1所定時間は、例えば、1時間に設定される。制御装置46は、第1所定時間が経過していると判定した場合には(S34、Yes)、つまり人感センサ3の検出、ドア開操作、SW操作、ディスペンサ30の使用のいずれも第1所定時間が経過するまで継続して無かった場合には、通常モードを第1省エネモード(第1省電力モード)に移行する。また、制御装置46は、第1所定時間が経過していないと判定した場合には(S34、No)、ステップS30に戻る。
このように、人感センサ3の検出、ドア開操作、SW操作およびディスペンサ30の操作のいずれもが第1所定時間継続して行われなかった場合には、第1省エネモードに移行することで、冷蔵庫1の省エネ化を図ることができる。また、人感センサ3の不具合、ドアセンサ76の不具合、SWの不具合、ディスペンサ30の不具合の他、何らかの理由により検出できなかったときでも、第1省エネモードに移行することができ、冷蔵庫1の省エネ化を図ることができる。
第1省エネモードとは、通常モードよりも消費電力を低下させた運転であり、例えば、冷蔵庫1の庫内温度を、通常モード時の庫内温度よりも高い温度に設定する。例えば、冷凍室20の庫内温度を通常モード時の庫内温度よりもプラス0.9℃とし、冷蔵室の庫内温度を通常モード時の庫内温度よりもプラス1.2℃とする。庫内温度を上昇させるには、例えば、圧縮機42の回転速度を低下させたり、圧縮機のON/OFFを切り替え、冷蔵庫内温度を上げたり、庫内ファン45の回転速度を低下させることによって行われる。
図12は、本実施形態の冷蔵庫における第1省エネモード中の動作を示すフローチャートである。図12に示すように、ステップS40において、制御装置46は、人感センサ3の検出有りか否かを判定し、人感センサ3の検出有りと判定した場合には(S40、Yes)、ステップS21に進んでタイマ80をリセットし、人感センサ3の検出無しと判定した場合には(S40、No)、ステップS42に進む。
ステップS42において、制御装置46は、ドア開操作有りか否かを判定し、ドア開操作有りと判定した場合には(S42、Yes)、ステップS46に進み、ドア開操作無しと判定した場合には(S42、No)、ステップS23に進む。
ステップS43において、制御装置46は、SW操作有りか否かを判定し、SW操作有りと判定した場合には(S43、Yes)、ステップS26に進み、SW操作無しと判定した場合には(No)、ステップS44に進む。
ステップS44において、制御装置46は、ディスペンサ30の使用有りか否かを判定し、ディスペンサ30の使用有りと判定した場合には(Yes)、ステップS46に進み、ディスペンサ30の使用無しと判定した場合には(No)、ステップS45に進む。
ステップS45において、制御装置46は、タイマ80によってカウントされた時間が第2所定時間を経過したか否かを判定する。なお、第2所定時間は、第1所定時間よりも長く設定され、例えば、1日(24時間)に設定される。制御装置46は、第2所定時間が経過したと判定した場合には(S45、Yes)、つまり、人感センサ3の検出、ドア開操作、SW操作、ディスペンサ30の使用のいずれも第2所定時間が経過するまで継続して無かった場合には、第1省エネモードを第2省エネモード(第2省電力モード)に移行する。また、制御装置46は、第2所定時間が経過していないと判定した場合には(S45、No)、ステップS40に戻る。
第2省エネモードとは、第1省エネモードよりも消費電力をさらに低下させた運転であり、例えば、冷蔵庫1の庫内温度を、第1省エネモード時の庫内温度よりも高い温度に設定する。例えば、冷凍室20の庫内温度を通常モード時の庫内温度よりもプラス1.8℃とし、冷蔵室の庫内温度を通常モード時の庫内温度よりもプラス2.4℃とする。庫内温度を高くするには、第1省エネモードと同様に、例えば、圧縮機42の回転速度を低下させたり、圧縮機のON/OFFを切り替える冷蔵庫内温度を上げたり、庫内ファン45の回転速度を低下させることによって行われる。
また、圧縮機42については、該圧縮機42の回転速度に上限値を設定することによって行われる。これは、扉を開放しないことにより、庫内温度も上昇しなくなるので、圧縮機42の回転速度を高く上げる必要もなくなるからである。また、除霜ヒータ44については、出力を低下させることによって行われる。これは、庫内を過度に冷やさなくてもよくなるからである。熱交換器(冷却器43)の霜取りについては、霜取り間隔を長くしたり、霜取り時間を短くすることによって行われる。これは、扉を解放しなくなるので、新しい空気が庫内に入らなくなるので、霜も付着し難くなるからである。
ドア開操作有りの場合(S42、Yes)、SW操作有りの場合(S43、Yes)、ディスペンサ30の使用有りの場合(S44、Yes)、制御装置46は、ステップS46においてタイマ80をリセットした後、ステップS47に進む。
ステップS47において、制御装置46は、第1省エネモードを解除し、ステップS48に進み、図11のフローに戻る。すなわち、庫内温度の設定を、通常モード時の庫内温度の設定に戻す。
図13は、本実施形態の冷蔵庫における第2省エネモード中の動作を示すフローチャートである。図13に示すように、ステップS50において、制御装置46は、人感センサ3の検出有りか否かを判定し、人感センサ3の検出有りと判定した場合には(S50、Yes)、ステップS51に進み、人感センサ3の検出無しと判定した場合には(S50,No)、ステップS54に進む。
ステップS51において、制御装置46は、タイマ80をリセットし、ステップS52に進み、第2省エネモードを解除し、ステップS53で図12のフローに戻る。すなわち、庫内温度の設定を、第1省エネモード時の庫内温度の設定に戻し、圧縮機42の回転速度の上限値の設定を解除し、除霜ヒータ44の出力低下を解除し、霜取りの間隔、霜取り時間を通常モード時の設定に戻す。
ステップS54において、制御装置46は、ドア開操作有りか否かを判定し、ドア開操作有りと判定した場合には(S54、Yes)、ステップS57に進み、ドア開操作無しと判定した場合には(S54、No)、ステップS55に進む。
ステップS55において、制御装置46は、SW操作有りか否かを判定し、SW操作有りと判定した場合には(S55、Yes)、ステップS57に進み、SW操作無しと判定した場合には(S55、No)、ステップS56に進む。
ステップS56において、制御装置46は、ディスペンサ30の使用有りか否かを判定し、ディスペンサ30の使用有りと判定した場合には(S56、Yes)、ステップS57に進み、ディスペンサ30の使用無しと判定した場合には(S56,No)、ステップS50に戻る。
ドア開操作有りの場合(S54、Yes)、SW操作有りの場合(S55、Yes)、ディスペンサ30の使用有りの場合(S56、Yes)、制御装置46は、ステップS57において、タイマ80をリセットした後、ステップS58に進む。
ステップS58において、制御装置46は、第1省エネモードと第2省エネモードを解除し、ステップS59に進み、図11のフローに戻る。すなわち、庫内温度の設定を、庫内温度の設定に戻し、圧縮機42の回転速度の上限値の設定を解除し、除霜ヒータ44の出力低下を解除し、霜取りの間隔、霜取り時間を通常モード時の設定に戻す。
以上説明したように、本実施形態に係る冷蔵庫1では、冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22および野菜室ドア23の各表面がガラス板21a,22a,23aによって構成され、人感センサ3が正面視においてガラス板21aから外れた位置に設けられている(図1参照)。これによれば、冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22および野菜室ドア23の表面をそれぞれガラスで構成したとしても、人感センサ3によって人の有無を、検出感度を損なうことなく確実に検知することが可能になる。
また、本実施形態では、冷凍室ドア21の外側に設けられたディスペンサ30の提供空間S内に人感センサ3を配置している(図1、図4参照)これによれば、人感センサ3を確実に配置することができ、ディスペンサ30を除く冷凍室ドア21の前面のほぼ全体をガラス板21aで構成でき、また冷蔵室ドア22および野菜室ドア23の前面の全体をガラス板22a,23aで構成することができる。つまり、冷蔵庫1の正面において、ディスペンサ30を除く部分を、ほぼフラットにすることが可能になる。
また、本実施形態では、扉開放装置47の動作を制御する制御装置46を備え、タッチスイッチ71dからの入力だけでなく人感センサ3からの入力に基づいて制御する(図9参照)。これによれば、人感センサ3を用いて冷蔵庫1の正面の人(ユーザ)の有無を判定できるので、タッチスイッチ71dの検出結果が誤検知か否かを判定することが可能になる。
また、本実施形態では、人感センサ3の検知時間に基づいて人感センサ3の故障状態を検知する(図10参照)。これによれば、人感センサ3が人を検知している時間が故障確定時間より長い場合に人感センサ3の故障と判定することが可能になる。つまり、人感センサが故障してしまった場合に誤った人感センサの判定をタッチスイッチの誤検知判定に用いることを防ぐことが可能になる。
また、本実施形態では、冷蔵庫本体の運転モード(通常モード、第1省エネモード、第2省エネモード)を制御する制御装置46を備え、制御装置46が人感センサ3の検出値に基づいて運転モードを制御する(図11、図12参照)。これによれば、人感センサ3を用いて人(ユーザ)の有無、つまり冷蔵庫1が使用される状態であるか否かを判定できるので、省エネルギを考慮したモード(省電力モード)に移行することが可能になる。
また、本実施形態では、冷蔵庫本体2を通常モードよりも消費電力を低下させた状態で運転する第1省エネモードと、第1省エネモードよりもさらに消費電力を低下させた状態で運転する第2省エネモードと、を有する運転モードを備えている(図11、図12参照)。これによれば、第1省エネモードよりも省電力の第2省エネモードを備えることで、さらなる省エネルギ化を図ることができる。
また、本実施形態では、制御装置46が、通常モード動作中において、人感センサ3の検出、冷凍室ドア21、冷蔵室ドア22を開く操作(以下、ドア開操作と略記する)、ディスペンサ30の操作、冷蔵庫本体2のタッチスイッチ70を含むスイッチ操作のいずれも検出されない状態が第1所定時間継続した場合には、通常モードから第1省エネモードに移行する(図11参照)。これによれば、人感センサ3の検出のみではなく、ドア開操作、ディスペンサ30の操作、冷蔵庫本体2のタッチスイッチ70を含むスイッチ操作の少なくともひとつの操作を検出して第1省エネモードに移行するか否かを判定することで、冷蔵庫1を使用していないことを確実に判定することができる。つまり、人が冷蔵庫1の前を通り過ぎただけで冷蔵庫1を使用しない場合も想定されるので、人感センサ3とは別のセンサで検知することで、冷蔵庫1が操作されたか否かを確実に判定できる。また、人感センサ3で検知されずに冷蔵庫1が操作される場合も想定されるので、そのような場合にも、人感センサ3以外のもので検知することで、冷蔵庫1が操作されたことを確実に判定できる。
また、本実施形態では、制御装置46が、第1省エネモードの動作中において、ドア開操作、ディスペンサ30の操作、冷蔵庫本体2のタッチスイッチ70を含むスイッチ操作の少なくともひとつの操作が行われたことを検知した場合、第1省エネモードを解除する(図12参照)。これによれば、人感センサ3の検出のみでは、冷蔵庫1が確実に操作されたと判定できず、また人感センサ3で検出されずに冷蔵庫1が操作される場合もあるので、そのような場合にも確実に検知でき、第1省エネモードを適切に解除することができる。
また、本実施形態では、制御装置46が、第1省エネモードの動作中において、人感センサ3の検出、ドア開操作、ディスペンサ30の操作、冷蔵庫本体2のタッチスイッチ70を含むスイッチ操作のいずれも検出されない状態が第1所定時間よりも長い第2所定時間継続した場合、第1省エネモードから第2省エネモードに移行する(図12参照)。これによれば、第1省エネモードよりも消費電力を抑えた第2省エネモードを設定することで、さらなる省エネを図ることが可能になる。また、第1所定時間よりも長い第2所定時間が経過したときに第2省エネモードに設定すること、つまり利用者の外出時や就寝時など冷蔵庫1が長い時間使用されない状態であると判定できるので、さらに消費電力を抑えた運転を行うことができる。
また、本実施形態では、制御装置46が、第2省エネモードの動作中において、人感センサ3の検出があった場合、第2省エネモードを解除し、第1省エネモードに移る(図13参照)。これによれば、人感センサ3の検出により人が冷蔵庫周辺で活動しており、冷蔵庫が使用されることが予想できるため、実際に人が冷蔵庫を使用する前に予め第2省エネモードを解除することができる。これにより人が冷蔵庫を使用した際に冷蔵庫の冷えが悪いと感じることを防ぐことができる。また、ドア開操作、ディスペンサ30の操作、冷蔵庫本体2のタッチスイッチ70を含むスイッチ操作の少なくともひとつの操作が行われたことを検知した場合、第1省エネモードと第2省エネモードを解除する(図13参照)。これによれば、人感センサ3で検出されずに冷蔵庫1が操作される場合があるので、そのような場合にも確実に検知でき、第1省エネモードと第2省エネモードを適切に解除することができる。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。例えば、本実施形態では、人感センサ3をディスペンサ30付きの冷蔵庫1に適用した場合を例に挙げて説明したが、人感センサ3をディスペンサ30付きでない冷蔵庫に適用してもよい。その場合には、人感センサ3を冷蔵庫本体2の上部に設けてもよく、またドア(扉)とドア(扉)の間のヒンジ部分に設けてもよく、またドアの周囲の樹脂製フレームに設けてもよい。また、本実施形態では、人感センサ3の発光部61aと受光部61b(図3参照)が横並びで配置される場合(図3参照)を例に挙げて説明したが、ディスペンサ30を備えておらず、横幅を確保することが困難である場合には、発光部61aと受光部61bを縦並びで配置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、第2省エネモードにおいて、除霜ヒータ44の出力を低下させる場合を例に挙げて説明したが、冷凍室20と冷蔵室との仕切り、冷凍室20と野菜室との仕切りにおける結露を防止する結露防止用ヒータ、ディスペンサ30において給水経路の結露や凍結を防止するための結露凍結防止用ヒータ、氷供給装置50に搭載されているモータの凍結用ヒータなどの出力を低下させて、省エネ化(省電力化)を図るようにしてもよい。これらのヒータの出力を低下させることができるのは、冷凍室20や冷蔵室の庫内温度を高めたことによる。
また、本実施形態では、第1省エネモードと第2省エネモードとを備えた場合を例に挙げて説明したが、3つ以上の省エネモードに切り替えるようにしてもよい。