JP2017082691A - 車両のエンジン制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パワーONダウン変速の過程で過給作用によりエンジントルクが急増することを抑制する。
【解決手段】推定エンジントルクTEmaxtb が過給作用で上昇し始める切換判定点Pに達したら、その切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb 付近まで過渡要求エンジントルクTEreq が低減され、改めて変速後要求エンジントルクTEaft に向かうように設定し直されるため、過給作用による実エンジントルクTErealの急増が抑制される。また、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度NEbef およびパワーONダウン変速に伴う変速差回転ΔNEをパラメータとして、切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq が±αの範囲で可変設定されるため、その過渡要求エンジントルクTEreq と実エンジントルクTErealとの偏差ΔTEのばらつきが抑制されて、その後のエンジントルク制御が適切に行なわれるようになる。
【選択図】図7
【解決手段】推定エンジントルクTEmaxtb が過給作用で上昇し始める切換判定点Pに達したら、その切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb 付近まで過渡要求エンジントルクTEreq が低減され、改めて変速後要求エンジントルクTEaft に向かうように設定し直されるため、過給作用による実エンジントルクTErealの急増が抑制される。また、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度NEbef およびパワーONダウン変速に伴う変速差回転ΔNEをパラメータとして、切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq が±αの範囲で可変設定されるため、その過渡要求エンジントルクTEreq と実エンジントルクTErealとの偏差ΔTEのばらつきが抑制されて、その後のエンジントルク制御が適切に行なわれるようになる。
【選択図】図7
Description
本発明は、過給機付きのエンジンと自動変速機とを備えた車両に関し、パワーONダウン変速時のエンジントルク制御に関するものである。
過給機付きのエンジンと自動変速機とを備えた車両が知られている。このような車両において、前記自動変速機のパワーONダウン変速時には、変速後要求エンジントルクに基づいて変速過渡時の過渡要求エンジントルクを設定し、その過渡要求エンジントルクを目標値としてエンジントルクを制御するようになっているが、変速過程で過給作用によりエンジントルクが急増し、エンジン回転速度が吹き上がるなどダウン変速品質(性能)が損なわれる可能性がある。これに対し、特許文献1に記載の車両では、過給の作動遅れによる2段加速を防止するために、過給作動タイミングが変速終了タイミングよりも遅れる場合には、その変速終了タイミングを遅らせて過給作動タイミングと略一致させるように変速制御を行なう技術が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、過給作動タイミングが変速終了タイミングよりも遅れる場合には有効であるが、過給作動タイミングが変速終了タイミングよりも早く、変速過程で過給作用によってエンジントルクが急増することまでは防止することができない。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、パワーONダウン変速の過程で過給作用によりエンジントルクが急増することを抑制することにある。
本発明は、過給機付きのエンジンと自動変速機とを備えた車両に関し、前記自動変速機のパワーONダウン変速時に、変速後要求エンジントルクに基づいて変速過渡時の過渡要求エンジントルクを設定し、その過渡要求エンジントルクを目標値としてエンジントルクを制御するエンジン制御装置において、(a) エンジントルクの推定値である推定エンジントルクを算出する推定エンジントルク算出部と、(b) その推定エンジントルクが前記過給機の過給作用で上昇し始める切換判定点に達したら、その切換判定点におけるその推定エンジントルクに基づいて前記過渡要求エンジントルクを低減し、改めて前記変速後要求エンジントルクに向かうようにその過渡要求エンジントルクを設定し直す過渡要求エンジントルク切換部と、を有し、且つ、(c) 前記パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度が低い場合は高い場合に比較して、前記過渡要求エンジントルク切換部による切換時の前記過渡要求エンジントルクの低減量が大きくなり、或いは前記パワーONダウン変速に伴うエンジン回転速度の変化量である変速差回転が大きい場合は小さい場合に比較して、前記過渡要求エンジントルク切換部による切換時の前記過渡要求エンジントルクの低減量が大きくなるように、そのパワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度およびそのパワーONダウン変速に伴う変速差回転の少なくとも一方に基づいて、前記過渡要求エンジントルク切換部による切換時の前記過渡要求エンジントルクの低減量が増減補正されることを特徴とする。
このような車両のエンジン制御装置においては、推定エンジントルクが過給機の過給作用で上昇し始める切換判定点に達したら過渡要求エンジントルクが低減され、改めて変速後要求エンジントルクに向かうように設定し直され、その新たな過渡要求エンジントルクを目標値としてエンジントルクが制御されるため、過給作用に拘らずエンジントルクの急増が抑制される。特に、切換判定点における推定エンジントルクに基づいて過渡要求エンジントルクが低減されるため、例えばその推定エンジントルク付近のトルクを切換起点(切換後のエンジントルク制御開始点)における過渡要求エンジントルクにすれば、それ等の偏差に基づくフィードバック補正値が小さくなり、エンジントルクの急増を適切に抑制することができる。
ここで、推定エンジントルクを実エンジントルク(実際のエンジントルク)と完全に一致させることは困難で、一般に実エンジントルクよりも増大側へずれるとともに、時間の経過と共にそのずれ量(乖離量)が拡大する傾向にある。本発明はこのような傾向を有する推定エンジントルクを前提とした技術で、上記切換判定点に達するまでの経過時間が異なると、その切換判定点における推定エンジントルクと実エンジントルクとの乖離量が相違する。このため、切換判定点における推定エンジントルクに基づいて過渡要求エンジントルクの低減量が一律に定められると、切換起点の過渡要求エンジントルクと実エンジントルクとの偏差がばらついて、その後のエンジントルク制御に影響する。
これに対し、本発明では、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度が低い場合は高い場合に比較して、切換時の過渡要求エンジントルクの低減量が大きくなり、或いはパワーONダウン変速に伴う変速差回転が大きい場合は小さい場合に比較して、切換時の過渡要求エンジントルクの低減量が大きくなるように、そのエンジン回転速度および変速差回転の少なくとも一方に基づいて、切換時の過渡要求エンジントルクの低減量が増減補正される。これにより、切換判定点における推定エンジントルクと実エンジントルクとの乖離量の相違に拘らず、切換起点における過渡要求エンジントルクと実エンジントルクとの偏差のばらつきが抑制されて、その後のエンジントルク制御が適切に行なわれるようになる。すなわち、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度が低い場合は高い場合に比較して、過給作用により推定エンジントルクが上昇し始める切換判定点までの時間が長くなり、実エンジントルクとの乖離量が大きくなることから、切換時の過渡要求エンジントルクの低減量を大きくすることにより、切換起点における過渡要求エンジントルクと実エンジントルクとの偏差のばらつきを抑制することができる。また、パワーONダウン変速に伴う変速差回転が大きい場合は小さい場合に比較して、過給作用により推定エンジントルクが上昇し始める切換判定点までの時間が長くなり、実エンジントルクとの乖離量が大きくなることから、切換時の過渡要求エンジントルクの低減量を大きくすることにより、切換起点における過渡要求エンジントルクと実エンジントルクとの偏差のばらつきを抑制することができる。
本発明は、過給作用が得られるまでにタイムラグ(過給応答遅れ)を有する排気タービン駆動式過給機を備えるエンジンに好適に適用される。パワーONダウン変速は、アクセル操作量の増加時など要求駆動力増加時のダウン変速で、変速マップ等に基づく自動変速の場合に好適に適用されるが、運転者の変速操作に従ってダウン変速する場合にも適用できる。自動変速機は、摩擦係合装置の係合、解放によってギヤ段が切り換えられる遊星歯車式や2軸噛合い式等の有段変速機が好適に用いられる。
切換時の過渡要求エンジントルクの低減量は、例えば切換起点における過渡要求エンジントルクが切換判定点における推定エンジントルクと略一致するように定められる。言い換えれば、切換判定点における推定エンジントルクが切換起点における過渡要求エンジントルクの基準値とされ、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度や変速差回転に応じて、基準値に対して増減補正する。但し、切換判定点における推定エンジントルクよりも高い値や低い値を、切換起点における過渡要求エンジントルクの基準値とすることも可能である。また、この過渡要求エンジントルクの基準値に対する補正量は、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度および変速差回転の両方をパラメータとするマップや演算式に従って求めることが望ましいが、そのエンジン回転速度および変速差回転の何れか一方だけで補正することもできる。また、吸気温度が高い場合は低い場合に比較して、過給作用によりエンジントルクが上昇し始める切換判定点までの時間が長くなり、実エンジントルクとの乖離量が大きくなることから、過渡要求エンジントルクの低減量を大きくすることが望ましいなど、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度および変速差回転以外の制御要素を用いて、上記基準値を増減補正することも可能である。なお、基準値の増大補正は、切換時の過渡要求エンジントルクの低減量の減少補正を意味し、基準値の減少補正は、切換時の過渡要求エンジントルクの低減量の増大補正を意味する。また、基準値の増減補正すなわち低減量の増減補正は、必ずしも増加および減少の両方を意味するものではなく、増加および減少の何れか一方を行なうだけでも良い。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両10の骨子図で、走行用の駆動力源であるエンジン12と、そのエンジン12にトルクコンバータ14を介して接続された自動変速機16とを直列に備えており、その自動変速機16から出力軸18へ出力された駆動力は、差動歯車装置(終減速機)20から一対の車軸等を経て一対の駆動輪22へ伝達される。エンジン12は、燃料の燃焼で動力を発生する内燃機関で、排気タービン駆動式の過給機24を備えている。自動変速機16は、遊星歯車式等の有段変速機で、複数の油圧式摩擦係合装置(クラッチやブレーキ)の係合、解放の組み合わせにより、変速比が異なる複数のギヤ段が成立させられる。なお、この車両10はFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両であるが、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両や4輪駆動車両などにも適用できるし、走行用の駆動力源としてエンジン12の他に電動モータを備えているハイブリッド型車両にも適用できるなど、種々の態様が可能である。
図1は、本発明が適用された車両10の骨子図で、走行用の駆動力源であるエンジン12と、そのエンジン12にトルクコンバータ14を介して接続された自動変速機16とを直列に備えており、その自動変速機16から出力軸18へ出力された駆動力は、差動歯車装置(終減速機)20から一対の車軸等を経て一対の駆動輪22へ伝達される。エンジン12は、燃料の燃焼で動力を発生する内燃機関で、排気タービン駆動式の過給機24を備えている。自動変速機16は、遊星歯車式等の有段変速機で、複数の油圧式摩擦係合装置(クラッチやブレーキ)の係合、解放の組み合わせにより、変速比が異なる複数のギヤ段が成立させられる。なお、この車両10はFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両であるが、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両や4輪駆動車両などにも適用できるし、走行用の駆動力源としてエンジン12の他に電動モータを備えているハイブリッド型車両にも適用できるなど、種々の態様が可能である。
このような車両10は、エンジン12の出力制御を行なったり自動変速機16の変速制御を行なったりするコントローラとして車両制御用ECU30を備えている。車両制御用ECU30は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどを有する所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うもので、エンジン回転速度NE、車速Vに対応する出力軸18の回転速度(出力回転速度)Nout 、アクセル操作量Acc、スロットル弁開度θth、吸入空気量QA、吸入空気の温度(吸気温度)TAなど、制御に必要な種々の情報が各種のセンサや検出装置などから供給される。
上記車両制御用ECU30は、機能的にエンジン制御部32および有段変速制御部34を備えている。エンジン制御部32および有段変速制御部34を、別々のECUを用いて構成することも可能である。有段変速制御部34は、例えば車速Vとアクセル操作量Acc等の出力要求量とをパラメータとして予め定められた変速マップに従って変速判断を行い、必要に応じて自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換えるとともに、シフトレバー等による運転者の変速指示に従って自動変速機16のギヤ段を切り換えるマニュアル変速を行なう。変速マップは、例えばアクセル操作量Acc等の要求駆動力が大きくなる程変速比が大きいローギヤ段側へダウン変速するように定められている。この自動変速機16の変速制御は、油圧制御回路50を介して行なわれる。油圧制御回路50は、電磁式の油圧制御弁や油路切換弁等を備えており、自動変速機16の油圧式摩擦係合装置を係合解放制御することにより所定のギヤ段を成立させる。
エンジン制御部32はエンジン制御装置に相当し、基本的にはアクセル操作量Accおよび車速V等に基づいてエンジン12の出力制御を行なう。このエンジン12の出力制御は、例えば電子スロットル弁の開閉制御や燃料噴射装置による燃料噴射量の制御、点火時期制御などを行なうエンジン出力制御装置52を介して行なわれる。エンジン制御部32はまた、アクセル操作量Accの増大に伴って自動変速機16がダウン変速されるパワーONダウン変速時のエンジン制御に関して、変速後要求エンジントルク算出部36、過渡要求エンジントルク設定部38、エンジントルク制御部40、過渡要求エンジントルク切換部42、および推定エンジントルク算出部44を機能的に備えている。変速後要求エンジントルク算出部36は、例えばアクセル操作量Accおよび車速Vに基づいて予め定められたマップなどから、パワーONダウン変速後の車両の要求駆動トルクを求め、ダウン変速後の自動変速機16の変速比などから逆算して変速後要求エンジントルクTEaft を算出する。
過渡要求エンジントルク設定部38は、例えば自動変速機16の変速の進行に合わせて前記変速後要求エンジンTEaft に到達するように、その変速後要求エンジントルクTEaft に達するまでの過渡目標値である過渡要求エンジントルクTEreq を、予め定められた変化パターンに従って補間処理などを行なって設定する。変化パターンは、例えば自動変速機16の変速の種類や車速V等の変速時の運転状態などから求まる目標変速時間、制御サイクルタイム等に応じて適宜定められる。図2の実線は、このようにして設定された過渡要求エンジントルクTEreq の一例である。
エンジントルク制御部40は、過渡要求エンジントルクTEreq を目標値として実際のエンジントルク(実エンジントルク)TErealが変化するように、例えばフィードフォワード制御およびフィードバック制御を併用してエンジントルクを制御する。実エンジントルクTErealをリアルタイムで検出することは難しいため、推定エンジントルク算出部44で算出される推定エンジントルクTEmaxtb を用いてフィードバック補正が行なわれる。この推定エンジントルクTEmaxtb は、例えば過給逆エアモデル先読み等に基づいて求められる100m秒先の出し得る最大トルク等が用いられる。図2の破線は、推定エンジントルクTEmaxtb の一例である。なお、一点鎖線は実エンジントルクTErealの一例で、推定エンジントルクTEmaxtb は実エンジントルクTErealよりも増大側へずれるとともに、時間の経過と共にそのずれ量(乖離量)が増大する傾向を有する。
ここで、図2から明らかなようにエンジントルク(推定エンジントルクTEmaxtb や実エンジントルクTEreal)は、初期領域R1ではエンジントルク制御の開始に伴うNA(自然吸気)の増加により過渡要求エンジントルクTEreq に追従して立ち上がるものの、中間領域R2では、排気タービン駆動式過給機24による過給作用の応答遅れによりなだらかに増加する。そして、排気タービン駆動式過給機24による過給作用が得られる過給領域R3になると、その過給作用によりエンジントルク(推定エンジントルクTEmaxtb や実エンジントルクTEreal)が急激に増大し、エンジン回転速度NEが吹き上がったり、自動変速機16の摩擦係合装置の急係合でショックが発生したりするなど、パワーONダウン変速の変速品質が損なわれる可能性がある。
これに対し、本実施例では過渡要求エンジントルク切換部42により、推定エンジントルクTEmaxtb が過給機24の過給作用で上昇し始める切換判定点Pに達したら、図2に矢印Aで示すように過渡要求エンジントルクTEreq を低減する切換制御を行なう。切換判定点Pは、例えば推定エンジントルクTEmaxtb の変化勾配が予め定められた判定値以上になった点である。過渡要求エンジントルクTEreq の低減量は、例えば図2における III部分を拡大して示した図3から明らかなように、その切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb と一致するように定められ、その切換判定点Pを切換後のエンジントルク制御の起点(切換起点)として、そこから改めて前記変速後要求エンジントルクTEaft に向かうように直線補間等により過渡要求エンジントルクTEreq が設定し直される。これにより、図3に示すように、切換後の新たな過渡要求エンジントルクTEreq と略一致するように、実エンジントルクTErealが滑らかに上昇させられ、過給作用による急増が抑制される。
その場合に、切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb すなわち切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq と、実エンジントルクTErealとの間には偏差(乖離量)ΔTEがあり、その偏差ΔTEに応じて、実エンジントルクTErealが滑らかに上昇して過渡要求エンジントルクTEreq に近づくようにエンジントルク制御が行なわれる。したがって、偏差ΔTEが、例えば変速の種類毎に略一定であれば、図3に示すように実エンジントルクTErealが滑らかに上昇させられるが、推定エンジントルクTEmaxtb と実エンジントルクTErealとの乖離量は時間の経過と共に増大し、切換判定点Pに達するまでの経過時間が異なると、その乖離量すなわち上記偏差ΔTEが変化する。例えば、パワーONダウン変速の出力時(変速前)におけるエンジン回転速度NEbef が低い場合は、高い場合に比較して過給作用が得られるようになるまでの応答性が悪くて切換判定点Pに達するまでの経過時間が長くなり、その切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb と実エンジントルクTErealとの乖離量すなわち上記偏差ΔTEが大きくなる。また、パワーONダウン変速に伴うエンジン回転速度NEの変化量である変速差回転(変速前後のエンジン回転速度NEの差)ΔNEが大きい場合は、小さい場合に比較して過給作用が得られるようになるまでの応答性が悪くて切換判定点Pに達するまでの経過時間が長くなり、その切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb と実エンジントルクTErealとの乖離量すなわち上記偏差ΔTEが大きくなる。そして、偏差ΔTEが大きくなると、図4に示すように実エンジントルクTErealが急増し、過給作用による急増を抑制する効果が適切に得られない。逆に偏差ΔTEが小さいと、図5に示すように実エンジントルクTErealがアンダーシュートし、運転者に違和感を生じさせたり自動変速機16の変速の進行が遅れたりする可能性がある。
このため、本実施例では、前記過渡要求エンジントルク切換部42が図6のフローチャートに従って信号処理を行なうことにより、切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq が可変設定されるようになっている。すなわち、ステップS1でパワーONダウン変速の出力決定か否かを判断し、前記有段変速制御部34においてパワーONダウン変速の出力が決定した場合には、ステップS2を実行する。パワーONダウン変速は、例えば何れか1つの摩擦係合装置を解放するとともに他の一つの摩擦係合装置を係合させるクラッチツークラッチ変速によって実行される。ステップS2では、過給過渡時の将来トルク制御を実施するか否か、すなわち過給機24の過給作用によって実エンジントルクTErealが急激に増大することを防止するために過渡要求エンジントルクTEreq を低減して実エンジントルクTErealに近づける前記切換制御を実施するか否かを判断する。具体的には、推定エンジントルクTEmaxtb の変化勾配が予め定められた判定値以上になる前記切換判定点Pに達したか否かを判断し、切換判定点Pに達した場合にはステップS3を実行する。
ステップS3では、図7に示すように切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb を基準値TEreqsとして、±αの範囲内で予め定められた増減補正値を加減算することにより、過渡要求エンジントルクTEreq を可変設定する。この可変設定は、例えば図8に示すように、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度NEbef 、およびパワーONダウン変速時の変速差回転ΔNEをパラメータとして予め定められたマップから±αの範囲内で増減補正値を算出し、基準値TEreqsに対してこの増減補正値を加減算することによって行なわれる。具体的には、エンジン回転速度NEbef が低い場合は−αの範囲内で基準値TEreqsよりも低くなるように減少補正し、高い場合は+αの範囲内で基準値TEreqsよりも高くなるように増大補正する。また、変速差回転ΔNEが大きい場合は−αの範囲内で基準値TEreqsよりも低くなるように減少補正し、小さい場合は+αの範囲内で基準値TEreqsよりも高くなるように増大補正する。このように切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq が、エンジン回転速度NEbef および変速差回転ΔNEをパラメータとして可変設定されることにより、切換判定点Pに達するまでの経過時間のばらつき、すなわち過給作用が得られるようになるまでの応答遅れのばらつきに拘らず、切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq と実エンジントルクTErealとの偏差ΔTEが略一定に維持されるようになり、常に図3に示すようにその後の実エンジントルクTErealが過渡要求エンジントルクTEreq に従って滑らかに上昇させられるようになる。なお、基準値TEreqsの増大補正は、切換時の過渡要求エンジントルクTEreq の低減量の減少補正を意味し、基準値TEreqsの減少補正は、切換時の過渡要求エンジントルクTEreq の低減量の増大補正を意味する。また、図7は、推定エンジントルクTEmaxtb を基準にして図示したもので、実際には、エンジン回転速度NEbef や変速差回転ΔNE等により、切換判定点P付近の推定エンジントルクTEmaxtb が上下にばらつくため、切換起点における実際の過渡要求エンジントルクTEreq は、必ずしも図のように±αの範囲で上下に変化するわけではない。
一方、上記エンジン回転速度NEbef および変速差回転ΔNE以外に、吸気温度TAも過給作用の応答遅れに影響する。すなわち、吸気温度TAが高い場合は低い場合に比較して切換判定点Pに到達するまでの時間が長くなることから、本実施例では更に、吸気温度TAが高い場合は低い場合に比較して、切換時の過渡要求エンジントルクTEreq の低減量が大きくなるように、吸気温度TAが高い場合は切換起点の過渡要求エンジントルクTEreq を減少補正し、吸気温度TAが低い場合は切換起点の過渡要求エンジントルクTEreq を増大補正する。過給作用の応答遅れに影響する更に別の制御要素を用いて過渡要求エンジントルクTEreq を増減補正することも可能である。
このように、本実施例の車両10のエンジン制御装置においては、推定エンジントルクTEmaxtb が過給機24の過給作用で上昇し始める切換判定点Pに達したら過渡要求エンジントルクTEreq が低減され、改めて変速後要求エンジントルクTEaft に向かうように設定し直され、その新たな過渡要求エンジントルクTEreq を目標値として実エンジントルクTErealが制御されるため、過給作用による実エンジントルクTErealの急増が抑制される。特に、切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb 付近まで過渡要求エンジントルクTEreq が低減されるため、それらの偏差に基づくフィードバック補正値が小さくなり、実エンジントルクTErealの急増を適切に抑制することができる。
また、過給作用の応答遅れのばらつきで切換判定点Pに達するまでの経過時間が異なると、その切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb と実エンジントルクTErealとの乖離量が相違し、推定エンジントルクTEmaxtb に基づいて設定される切換起点の過渡要求エンジントルクTEreq と実エンジントルクTErealとの偏差ΔTEがばらついて、その後のエンジントルク制御に影響する。これに対し、本実施例では、パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度NEbef が低い場合は高い場合に比較して、切換時の過渡要求エンジントルクTEreq の低減量が大きくなり、パワーONダウン変速に伴う変速差回転ΔNEが大きい場合は小さい場合に比較して、切換時の過渡要求エンジントルクTEreq の低減量が大きくなるように、基準値TEreqsに対して±αの範囲で過渡要求エンジントルクTEreq が増減補正されるため、切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb と実エンジントルクTErealとの乖離量の相違に拘らず、切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq と実エンジントルクTErealとの偏差ΔTEのばらつきが抑制されて、その後のエンジントルク制御が適切に行なわれるようになる。
また、本実施例では、上記エンジン回転速度NEbef および変速差回転ΔNEの他に、吸気温度TAが高い場合は低い場合に比較して、切換時の過渡要求エンジントルクTEreq の低減量が大きくなるように、切換起点における過渡要求エンジントルクTEreq が吸気温度TAに基づいて更に増減補正されるため、その切換起点の過渡要求エンジントルクTEreq と実エンジントルクTErealとの偏差ΔTEのばらつきが一層適切に抑制されて、その後のエンジントルク制御が一層適切に行なわれるようになる。
なお、上記実施例では、図7に示されるように切換判定点Pにおける推定エンジントルクTEmaxtb を基準値TEreqsとして±αの範囲内で過渡要求エンジントルクTEreq が増減補正されるが、増大側の補正量+αおよび減少側の補正量−αが異なる値であっても良い。また、基準値TEreqsの定め方によっては、増大側へ補正するだけでも良いし、減少側へ補正するだけでも良い。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両 12:エンジン 16:自動変速機 24:過給機 30:車両制御用ECU 32:エンジン制御部 36:変速後要求エンジントルク算出部 38:過渡要求エンジントルク設定部 40:エンジントルク制御部 42:過渡要求エンジントルク切換部 44:推定エンジントルク算出部 TEaft :変速後要求エンジントルク TEreq :過渡要求エンジントルク TEmaxtb :推定エンジントルク NEbef :変速出力時のエンジン回転速度 ΔNE:変速差回転 P:切換判定点
Claims (1)
- 過給機付きのエンジンと自動変速機とを備えた車両に関し、
前記自動変速機のパワーONダウン変速時に、変速後要求エンジントルクに基づいて変速過渡時の過渡要求エンジントルクを設定し、該過渡要求エンジントルクを目標値としてエンジントルクを制御するエンジン制御装置において、
エンジントルクの推定値である推定エンジントルクを算出する推定エンジントルク算出部と、
該推定エンジントルクが前記過給機の過給作用で上昇し始める切換判定点に達したら、該切換判定点における該推定エンジントルクに基づいて前記過渡要求エンジントルクを低減し、改めて前記変速後要求エンジントルクに向かうように該過渡要求エンジントルクを設定し直す過渡要求エンジントルク切換部と、
を有し、且つ、前記パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度が低い場合は高い場合に比較して、前記過渡要求エンジントルク切換部による切換時の前記過渡要求エンジントルクの低減量が大きくなり、或いは前記パワーONダウン変速に伴うエンジン回転速度の変化量である変速差回転が大きい場合は小さい場合に比較して、前記過渡要求エンジントルク切換部による切換時の前記過渡要求エンジントルクの低減量が大きくなるように、該パワーONダウン変速の出力時におけるエンジン回転速度および該パワーONダウン変速に伴う変速差回転の少なくとも一方に基づいて、前記過渡要求エンジントルク切換部による切換時の前記過渡要求エンジントルクの低減量が増減補正される
ことを特徴とする車両のエンジン制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015212362A JP2017082691A (ja) | 2015-10-28 | 2015-10-28 | 車両のエンジン制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015212362A JP2017082691A (ja) | 2015-10-28 | 2015-10-28 | 車両のエンジン制御装置 |
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2015
- 2015-10-28 JP JP2015212362A patent/JP2017082691A/ja active Pending
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