JP2017082295A - 容器用鋼板の製造方法および容器用鋼板の製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】陰極電解中のフッ素イオン蓄積によるTi付着速度の減少を抑制できる容器用鋼板の製造方法及び容器用鋼板の製造装置の提供。
【解決手段】鋼板の表面の少なくとも一部をNi層、Sn層、Ni−Fe合金層、Fe−Sn−Ni合金層又はFe−Sn合金層から選ばれる少なくとも一層を含むめっき層が覆うめっき鋼板に対して、六フッ化チタン酸及び/又はその塩を含有する処理液中で陰極電解処理を施すことにより、めっき鋼板のめっき層側の表面上に、Tiを含有する皮膜を形成する容器用鋼板の製造方法であり、陰極電解処理の際に、処理液を、Zr、Fe、Ti、Ce、Al、Mn、Ga、Sc及びGeから選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を担持する金属水酸化物担持樹脂に通水接触させ、金属水酸化物担持樹脂の総体積(単位:L)に対する処理液の通水量(単位:L/hr)の比である通水SVが、100hr-1以上である、容器用鋼板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、容器用鋼板の製造方法および容器用鋼板の製造装置に関する。
容器用鋼板としては、従来から「ぶりき」と称される錫めっき鋼板が広く用いられている。このような錫めっき鋼板では、通常、重クロム酸などの6価のクロム化合物を含有する水溶液中に鋼板を浸漬する、または、この溶液中で電解処理を行うなどのクロメート処理によって、錫めっき表面にクロメート皮膜が形成される。
しかしながら、昨今の環境問題を踏まえて、Crの使用を規制する動きが各分野で進行しており、容器用鋼板においてもクロメート処理に替わる処理技術がいくつか提案されている。例えば、特許文献1および2には、Tiを含有する皮膜を鋼板の表面に形成する技術が開示されている。
特開2013−119647号公報 特開2013−127095号公報 特開2006−314957号公報
ところで、Tiを含有する皮膜を形成するために、鋼板に対して、Ti成分として六フッ化チタン酸および/またはその塩を含む処理液中で長時間連続して陰極電解処理を行なうと、皮膜のTi換算の付着量(Ti付着量)が次第に減少する場合がある。この場合、所望するTi質量膜厚を得ることが困難となり、実産業的に適当ではない。
長時間連続して陰極電解処理を行なってもTi付着量が減少しない方法として、例えば、特許文献1には、処理液中に金属Tiを浸漬させる方法が開示され、特許文献2には、陽極として金属Tiを使用する方法が開示されている。
いずれの方法も、金属Tiを用いて、処理液中のTi濃度の低下を防止することを狙いとしているが、実際には、金属Tiの表面には、経時的に、安定な酸化Ti皮膜が形成されるため、十分なTiを供給することができない場合がある。このため、適宜、酸化Ti皮膜を除去する必要があり、生産性を低下させる要因となる。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、長時間連続して陰極電解処理を行なう場合にもTi付着量の減少を抑制できる容器用鋼板の製造方法および容器用鋼板の製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、処理液に特定の処理を施すことで、長時間連続して陰極電解処理を行なう場合にも、Ti付着量の減少を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]鋼板の表面の少なくとも一部をNi層、Sn層、Ni−Fe合金層、Fe−Sn−Ni合金層およびFe−Sn合金層からなる群から選ばれる少なくとも1層を含むめっき層が覆うめっき鋼板に対して、六フッ化チタン酸および/またはその塩を含有する処理液中で陰極電解処理を施すことにより、上記めっき鋼板の上記めっき層側の表面上に、Tiを含有する皮膜を形成する、容器用鋼板の製造方法であって、上記陰極電解処理の際に、上記処理液を、Zr、Fe、Ti、Ce、Al、Mn、Ga、ScおよびGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を担持させた樹脂である金属水酸化物担持樹脂に通水接触させ、上記金属水酸化物担持樹脂の総体積(単位:L)に対する上記処理液の通水量(単位:L/hr)の比(処理液の通水量/金属水酸化物担持樹脂の総体積)である通水SVが、100hr-1以上である、容器用鋼板の製造方法。
[2]上記金属水酸化物担持樹脂における金属水酸化物の担持量が、0.30〜1.50kg/Lである、上記[1]に記載の容器用鋼板の製造方法。
[3]上記通水SVが、2000hr-1以下である、上記[1]または[2]に記載の容器用鋼板の製造方法。
[4]上記金属水酸化物担持樹脂の体積平均粒子径が、10〜3000μmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の容器用鋼板の製造方法。
[5]上記処理液における上記六フッ化チタン酸および/またはその塩の含有量が、六フッ化チタン酸イオン(TiF6 2-)に換算した量で、0.004〜0.400mol/Lである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の容器用鋼板の製造方法。
[6]上記処理液が、さらに、Ni成分を含有し、上記処理液における上記Ni成分の含有量が、Niイオン(Ni2+)に換算した量で、0.002〜0.040mol/Lである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の容器用鋼板の製造方法。
[7]上記処理液が、さらに、K+、Na+およびNH4 +からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、SO4 2-、NO3 -およびCl-からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンとの組み合わせからなる塩を含有し、上記処理液における上記塩の含有量が、Tiに対するモル比で0.1〜100である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の容器用鋼板の製造方法。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の容器用鋼板の製造方法に用いる容器用鋼板の製造装置であって、上記処理液が収容される電解処理槽と、上記めっき鋼板を、上記電解処理槽の中を通板させるコンダクタロールおよびシンクロールと、上記電解処理槽の中に配置され、上記電解処理槽の中を通板される上記めっき鋼板を陰極として上記陰極電解処理を行なうための陽極と、上記金属水酸化物担持樹脂が充填され、上記電解処理槽に連結されている充填塔と、上記陰極電解処理の際に、上記電解処理槽に収容されている上記処理液を、上記充填塔に通水させ、再び上記電解処理槽に循環させる循環ポンプと、を備える容器用鋼板の製造装置。
本発明によれば、長時間連続して陰極電解処理を行なう場合にもTi付着量の減少を抑制できる容器用鋼板の製造方法および容器用鋼板の製造装置を提供できる。
陰極電解処理装置の一例を示す概略図である。
[本発明の概要]
上述したように、Ti成分として六フッ化チタン酸および/またはその塩を含む処理液中で長時間連続して陰極電解処理を行なうと、得られる皮膜のTi付着量が次第に減少する場合がある。この現象は、以下のように説明することができる。
まず、陰極電解処理によって、鋼板の表面では、水素発生に伴うpH上昇が生じる(下記式(1)参照)。その結果、鋼板と処理液との界面におけるpHが上昇し、処理液中の六フッ化チタン酸イオン(フルオロチタン酸イオン)(TiF6 2-)が、脱F-を行ないながら水酸化チタン(Ti(OH)4)を生じる(下記式(2)参照)。この水酸化チタンが、鋼板の表面に沈殿し、その後の洗浄、乾燥により脱水縮合を経て、Ti含有皮膜へと変化する。
2H2O+2e-→H2+2OH-…(1)
TiF6 2-+4OH-→Ti(OH)4+6F-…(2)
しかし、水酸化チタン生成反応(上記式(2)参照)の際に生じるF-が長時間電解により処理液中に蓄積されると、水酸化チタン生成反応速度が低下する。このため、同じ電解条件で処理した場合、水酸化チタンの生成量が減少し、皮膜のTi付着量が減少する。
したがって、Ti成分(六フッ化チタン酸および/またはその塩)を含む処理液中で長時間連続して陰極電解処理を行なう際、皮膜のTi付着量減少を抑制するためには、処理液中のF-を除去または捕捉する必要がある。
ところで、例えば特許文献3には、所定の金属の水酸化物を樹脂等の担体に担持させた「フッ素吸着剤」が開示されている。
そこで、本発明者らは、上記メカニズムを考慮して、長時間連続運転中の処理液を、Zr、Fe、Ti、Ce、Al、Mn、Ga、ScおよびGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物が担持された樹脂(金属水酸化物担持樹脂)と通水接触させた。これにより、処理液中のF-と金属水酸化物のOH基とを陰イオン交換させ、処理液中のF-を樹脂に吸着させて、処理液中のF-濃度を低減させることを試みた。
しかし、処理液を金属水酸化物担持樹脂に接触させると、処理液中のF-が捕捉される一方で、処理液中のTiF6 2-も捕捉されてしまう場合があった。この場合、皮膜のTi付着量の減少を抑制できない。
上記事情を踏まえて、本発明者らは、さらに検討を進めた。その結果、処理液を金属水酸化物担持樹脂に通水接触させるスピード(より詳細には、後述する「通水SV」)を一定値以上にすることで、処理液中のF-のみ捕捉をさせて、処理液中のTiF6 2-の捕捉を抑制できることを見出した。これは、F-のイオン交換速度がTiF6 2-のイオン交換速度よりも相対的に速いため、通水SVを速めて金属水酸化物担持樹脂との接触時間を短くすることで、まずF-がイオン交換され、その後、TiF6 2-がイオン交換される前に、金属水酸化物担持樹脂を通過するためと考えられる。
このようにして、処理液中のF-濃度を低減させることで、水酸化チタンの生成量の減少を抑制し、皮膜のTi付着量減少を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
上記メカニズムは推定であり、上記メカニズム以外であっても、本発明の範囲内であるとする。
以下では、まず、本発明の容器用鋼板の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)によって得られる容器用鋼板(以下、便宜的に「本発明の容器用鋼板」ともいう)を説明した後に、本発明の製造方法について詳細に説明する。
[容器用鋼板]
本発明の容器用鋼板は、概略的には、めっき鋼板と、めっき鋼板のめっき層側の表面上に配置された皮膜とを有する。以下、めっき鋼板および皮膜の具体的な態様を詳述する。
〔めっき鋼板〕
めっき鋼板は、鋼板と、鋼板の表面の少なくとも一部を覆うめっき層とを有する。
素材の鋼板としては、一般的な缶用の鋼板を使用できる。めっき層は、連続層であってもよいし、不連続の島状であってもよい。また、めっき層は、鋼板の少なくとも片面に設けられていればよく、両面に設けられていてもよい。めっき層の形成は、含有される金属元素に応じた公知の方法で行える。
以下に、鋼板およびめっき層の好適態様について詳述する。
〈鋼板〉
鋼板の種類は特に限定されない。通常、容器材料として使用される鋼板(例えば、低炭素鋼板、極低炭素鋼板)を用いることができる。この鋼板の製造方法、材質なども特に限定されない。通常の鋼片製造工程から熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の工程を経て製造される。
鋼板は、必要に応じて、その表面にニッケル含有層(Ni含有層)を形成したものを用い、このNi含有層上に後述するSn層を含むめっき層を形成してもよい。Ni含有層を有する鋼板を用いてSnめっきを施すことにより、島状Snを含むめっき層を形成することできる。その結果、溶接性が向上する。
Ni含有層としてはニッケルが含まれていればよい。例えば、Niめっき層(Ni層)、Ni−Fe合金層などが挙げられる。
鋼板にNi含有層を付与する方法は特に限定されない。例えば、公知の電気めっきなどの方法が挙げられる。また、Ni含有層としてNi−Fe合金層を付与する場合、電気めっきなどにより鋼板表面上にNi付与後、焼鈍することにより、鋼中にNiを拡散させ、Ni−Fe合金層を形成できる。
Ni含有層中のNi付着量は特に限定されず、片面当たりの金属Ni換算量として50〜2000mg/m2が好ましい。上記範囲内であれば、コスト面でも有利となる。
なお、Ni付着量は、蛍光X線により表面分析して測定できる。この場合、Ni付着量既知のNi付着サンプルを用いて、Ni付着量に関する検量線をあらかじめ特定しておき、同検量線を用いて相対的にNi付着量を特定する。ただし、後述する皮膜がNiを含む場合は、上記の蛍光X線による表面分析によりNi含有層中のNi付着量のみを測定することは困難である。その場合は、Ni含有層中のNi付着量は、蛍光X線により求めたNi付着量から後述する皮膜中に含まれるNi付着量を差し引いて求めることができる。
〈めっき層〉
めっき鋼板は、鋼板表面の少なくとも一部に、Ni層、Sn層、Ni−Fe合金層、Fe−Sn−Ni合金層およびFe−Sn合金層からなる群から選ばれる少なくとも1層を含むめっき層を有する。このめっき層は鋼板の少なくとも片面に設けられていればよく、両面に設けられていてもよい。また、めっき層は、鋼板表面上の少なくとも一部を覆う層であり、連続層であってもよいし、不連続の島状であってもよい。
めっき層の鋼板片面当たりのSn付着量は、0.1〜15.0g/m2が好ましい。Sn付着量が上記範囲内であれば、容器用鋼板の耐食性がより優れる。0.2〜15.0g/m2がより好ましい。
なお、Sn付着量は、蛍光X線により表面分析して測定できる。蛍光X線の場合、Sn量既知のSn付着量サンプルを用いて、Sn量に関する検量線をあらかじめ特定しておき、同検量線を用いて相対的にSn量を特定する。
めっき層としては、Snをめっきして得られる錫単体のめっき層であるSn層からなるめっき層のほか、Snめっき後通電加熱などによりSnを加熱溶融させて得られる、Sn層の最下層(Sn層/鋼板界面)にFe−Sn合金層が一部形成されためっき層も挙げられる。
また、めっき層としては、Ni含有層を表面に有する鋼板に対してSnめっきを行ない、さらに通電加熱などによりSnを加熱溶融させて得られる、Sn層の最下層(Sn層/鋼板界面)にFe−Sn−Ni合金層、Fe−Sn合金層などが一部形成されためっき層も挙げられる。
なお、本発明においては、上述したNi含有層(Ni層、Ni−Fe合金層)も、めっき鋼板のめっき層に含まれるものとする。
めっき層の製造方法としては、周知の方法(例えば、電気めっき法や溶融したSnに浸漬してめっきする方法)が挙げられる。
例えば、フェノールスルフォン酸Snめっき浴、メタンスルフォン酸Snめっき浴、またはハロゲン系Snめっき浴を用い、片面あたりの付着量が所定量となるように鋼板表面にSnを電気めっきする。その後、Snの融点(231.9℃)以上の温度で加熱溶融処理を行なって、Sn単体のめっき層(Sn層)の最下層(Sn層/鋼板界面)を合金化しFe−Sn合金層を形成しためっき層を製造できる。加熱溶融処理を省略した場合、Sn単体のめっき層(Sn層)を製造できる。
また、鋼板がその表面上にNi含有層を有する場合、Ni含有層上にSnめっき後、加熱溶融処理を行なうと、Sn単体のめっき層(Sn層)の最下層(Sn層/鋼板界面)が合金化しFe−Sn−Ni合金層、Fe−Sn合金層などが形成される。
〔皮膜〕
次に、上述しためっき鋼板のめっき層側の表面上に配置される皮膜について説明する。皮膜は、概略的には、Ti(チタニウム元素)を含有する皮膜であり、後述する処理液を用いて形成される。
〈Ti〉
皮膜は、めっき鋼板の片面あたりのTi換算の付着量(以下、「Ti付着量」ともいう)が、2.5〜30.0mg/m2であることが好ましく、5.0〜30.0mg/m2がより好ましく、7.0〜30.0mg/m2がさらに好ましい。
〈Ni〉
皮膜はさらにNi(ニッケル元素)を含有していてもよい。この場合、皮膜は、めっき鋼板の片面あたりのNi換算の付着量(以下、「Ni付着量」ともいう)が、0.1〜20.0mg/m2であることが好ましく、0.1〜15.0mg/m2がより好ましく、0.1〜10.0mg/m2がさらに好ましい。
皮膜中のTi、Ni等は、それぞれ、各種のチタン化合物、ニッケル化合物として含まれ、これら化合物の種類や態様は特に限定されない。
Ti付着量およびNi付着量は、蛍光X線による表面分析により測定する。
なお、蛍光X線分析は、例えば、下記条件により実施される。
・装置:リガク社製蛍光X線分析装置System3270
・測定径:30mm
・測定雰囲気:真空
・スペクトル:Ti−Kα、Ni−Kα
・スリット:COARSE
・分光結晶:TAP
上記条件により測定した皮膜の蛍光X線分析のTi−Kα、Ni−Kαのピークカウント数を用いる。付着量既知の標準サンプルを用いて、Ti付着量およびNi付着量に関する検量線をあらかじめ特定しておき、同検量線を用いて相対的にTi付着量およびNi付着量を求める。
ただし、めっき層がNiを含む場合は、上記の蛍光X線による表面分析により皮膜中に含まれるNi付着量のみを測定することは困難である。
その場合は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)または透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)による断面観察とグロー放電発光分析とを併用することで、皮膜中に含まれるNi付着量とめっき層中に含まれるNi量とを区別できる。
具体的には、皮膜およびめっき層の断面を収束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工により露出させ、SEMまたはTEMによる断面観察から皮膜の厚さを算出する。次いで、グロー放電発光分析によるスパッタリング深さとスパッタリング時間との関係を求める。その後、皮膜の厚さに相当するスパッタリング時間までのグロー放電発光分析のNi元素による発光カウント積算値を求める。このNi元素による発光カウント積算値から、あらかじめ求めておいた検量線を用いて、Ni付着量を求めることができる。
ここで、検量線は以下の方法で作成する。
まず、Niを含まないめっき層上にNiを含む皮膜を有する、Ni付着量の異なる複数のサンプルについてグロー放電発光分析し、Ni元素による発光カウントが検出されなくなるスパッタリング時間までのカウント積算値を求める。次いでこれらのサンプルのNi付着量を蛍光X線による表面分析により求める。このようにして、グロー放電発光分析によるNiカウント積算値とNi付着量との検量線を作成する。
[容器用鋼板の製造方法]
次に、本発明の容器用鋼板の製造方法(本発明の製造方法)について説明する。
本発明の製造方法は、後述する皮膜形成工程を少なくとも備える方法である。
〔皮膜形成工程〕
皮膜形成工程は、めっき鋼板を後述する処理液(以下、便宜的に「本発明の処理液」ともいう)中に浸漬させて、めっき鋼板に対して、本発明の処理液中で陰極電解処理を施すことにより、めっき鋼板のめっき層側の表面上に、上述した皮膜を形成する工程である。
以下に、使用される本発明の処理液および陰極電解処理の条件などについて詳述する。
〈処理液〉
本発明の処理液は、上述した皮膜にTi(チタニウム元素)を供給するためのTi成分(Ti化合物)を含有する。
このTi成分は、チタンフッ化水素酸(H2TiF6)および/またはその塩を含む。チタンフッ化水素酸の塩としては、例えば、六フッ化チタン酸カリウム(K2TiF6)、六フッ化チタン酸ナトリウム(Na2TiF6)、六フッ化チタン酸アンモニウム((NH42TiF6)等が挙げられる。
本発明の処理液におけるチタンフッ化水素酸および/またはその塩の含有量は、六フッ化チタン酸イオン(TiF6 2-)に換算した量で、0.004〜0.400mol/Lが好ましく、0.020〜0.200mol/Lがより好ましい。
なお、長時間連続して陰極電解処理を行なうことにより、上記含有量が減少した場合には、適宜、チタンフッ化水素酸および/またはその塩を添加してもよい。
また、本発明の処理液は、上述した皮膜にNi(ニッケル元素)を供給するためのNi成分(Ni化合物)を含有できる。
このNi成分としては、特に限定されないが、硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル(NiCl2)、塩化ニッケル六水和物などが挙げられる。
本発明の処理液におけるNi成分の含有量は、特に限定されないが、Niイオン(Ni2+)に換算した量で、0.002〜0.040mol/Lが好ましく、0.004〜0.020mol/Lがより好ましい。
さらに、本発明の処理液は、K+、Na+およびNH4 +からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、SO4 2-、NO3 -およびCl-からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンとの組み合わせからなる塩(伝導助剤)を含有してもよい。
本発明の処理液における上記塩(伝導助剤)の含有量は、例えば、Tiに対するモル比で0.1〜100である。
本発明の処理液が上記塩を含有することで、処理液の液抵抗を低下させることができ、例えば、比較的高い電流密度で皮膜を形成することができる。
本発明の処理液の溶媒としては、通常水が使用されるが、有機溶媒を併用してもよい。
本発明の処理液のpHは、特に限定されないが、pH2.0〜5.0が好ましい。この範囲内であれば、処理時間を短くでき、かつ、処理液の安定性に優れる。pHの調整には公知の酸成分(例えば、リン酸、硫酸)またはアルカリ成分(例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア水)を使用できる。
本発明の処理液には、必要に応じて、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチレングリコールなどの界面活性剤が含まれていてもよい。また、付着挙動の経時的な安定性の観点から、本発明の処理液には、ピロリン酸塩などの縮合リン酸塩が含まれていてもよい。
本発明の処理液の液温は、20〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。
〈陰極電解処理〉
陰極電解処理を施す際の電解電流密度(電流密度)は、20.0〜100.0A/dm2が好ましく、25.0〜100.0A/dm2がより好ましく、30.0〜100.0A/dm2がさらに好ましい。電流密度が上記範囲内であれば、形成される皮膜中のTiおよびNiが適量となって、かつ、鋼板界面のOH-イオン濃度を増加させ、TiF6 2-イオンの加水分解反応を促進し、その後の脱水縮合による皮膜の架橋を効率良く進行させ、皮膜が高分子量化し、各種性能が優れる。
陰極電解処理の通電時間は、上記と同様の理由から、0.01〜5秒が好ましく、0.03〜2秒がより好ましい。
陰極電解処理の際の電気量密度(単位:C/dm2)は、電流密度と通電時間との積であり、適宜設定される。
なお、長時間連続して陰極電解処理する場合において、その処理時間(連続電解処理時間)は、例えば、2〜24時間である。
〈陰極電解処理装置〉
上述した陰極電解処理は、例えば、図1に示す陰極電解処理装置を用いて行なわれる。
図1は、陰極電解処理装置の一例を示す概略図である。なお、図1に示す陰極電解処理装置は、本発明の容器用鋼板の製造装置の好適態様である。
図1に示す陰極電解処理装置は、電解処理槽1を有する。電解処理槽1には、本発明の処理液が収容されている。電解処理槽1の外部に配置された一対のコンダクタロール2と、電解処理槽1の内部に配置されたシンクロール3とによって、コイル状のめっき鋼板20は、電解処理槽1の中を通板される。電解処理槽1の中を通板されるめっき鋼板20を挟む位置には、電解処理用の陽極4が配置されている。
また、電解処理槽1は、循環ポンプ6を介して、本発明の処理液が収容された循環タンク5と連結されている。さらに、この循環タンク5は、循環ポンプ8を介して充填塔7と連結されている。この充填塔7には、後述する金属水酸化物担持樹脂が充填されている。なお、充填塔7は、循環ポンプ8を介して電解処理槽1に連結していてもよい。
このような構成において、電解処理槽1の中に導かれためっき鋼板20を陰極とし、陽極4との間で陰極電解処理を行なうことで、めっき鋼板20の表面上に皮膜を形成させる。そして、このような陰極電解処理を行なう際に、電解処理槽1の処理液を、循環ポンプ6によって循環タンク5に輸送し、次いで、循環タンク5から循環ポンプ8を介して充填塔7に通水する。こうして、電解処理槽1の処理液は、充填塔7に充填された金属水酸化物担持樹脂に通水接触される。その後、充填塔7に通水された処理液は、同様にして、循環タンク5を経由して、電解処理槽1に循環される。
〈金属水酸化物担持樹脂〉
図1に基づいて説明したように、本発明の処理液は、陰極電解処理の際に、金属水酸化物担持樹脂に通水接触される。
金属水酸化物担持樹脂は、Zr、Fe、Ti、Ce、Al、Mn、Ga、ScおよびGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を担持させた樹脂である。
上述したように、処理液中のF-と金属水酸化物のOH基とが陰イオン交換し、F-を樹脂に吸着させて、処理液中のF-濃度が低減される。
金属水酸化物担持樹脂の体積平均粒子径は、10〜3000μmが好ましく、100〜2000μmがより好ましい。
金属水酸化物担持樹脂において、金属水酸化物の担持量(金属水酸化物が2種以上の場合は、その合計量)は、0.30〜1.50kg/Lが好ましく、0.50〜1.20kg/Lがより好ましい。
なお、この担持量は、金属水酸化物が担持される前の樹脂の体積(単位:L)に対する金属水酸化物の質量(単位:kg)の割合(単位:kg/L)である。
金属水酸化物が担持される担体である樹脂は、特に限定されず、従来担体として使用される樹脂を適宜使用できるが、親水性樹脂が好ましく、ビニルアルコール系樹脂がより好ましく、耐薬品安定性に優れるという理由から、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂がさらに好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量および数平均分子量は特に限定されず、適宜設定される。
〈通水SV〉
本発明においては、上述したように、本発明の処理液を金属水酸化物担持樹脂に通水接触させるスピードを一定値以上にする。
具体的には、金属水酸化物担持樹脂の総体積(単位:L)に対する本発明の処理液の通水量(単位:L/hr)の比(処理液の通水量/金属水酸化物担持樹脂の総体積)である通水SV(Space Velocity)を、100hr-1以上とする。通水SVが100hr-1未満であると、処理液中のF-だけでなく、TiF6 2-までもが捕捉されてしまい、Ti付着量の減少を抑制する効果が劣る。
一方、通水SVの上限は特に限定されないが、速すぎると処理液中のF-が捕捉されにくくなる場合があることから、例えば、2500hr-1以下であり、2000hr-1以下が好ましい。
なお、金属水酸化物担持樹脂の総体積、本発明の処理液の通水量、および、充填塔の形状などは特に限定されず、上記通水SVの範囲内で任意に設定できる。
金属水酸化物担持樹脂によるF-の捕捉は、例えば、陰極電解処理の開始と共に行ない、処理開始前の処理液中のF-濃度が維持できる通水SVで、処理液の一部を充填塔に通水させればよい。
-の捕捉に使用し、捕捉能の低下した金属水酸化物担持樹脂は、再生して使用することが可能である。金属水酸化物担持樹脂の再生方法としては、公知の技術を使用でき、例えば、充填塔内をアルカリ性にし、捕捉されていたF-を脱離させて回収した後、使用する環境に合わせたpHに調整する方法が挙げられる。
なお、金属水酸化物担持樹脂は、使用(上記再生後の使用も含む)されるに当たっては、充填塔内に水と共に充填されて、pHが調整される。しかし、このpHが高すぎる場合、充填塔内にOH-が過剰に存在し、処理液が充填塔内に通水された途端に、水酸化チタンが生成して沈殿するおそれがある。このため、充填塔内のpHは、5未満が好ましく、4以下がより好ましい。
〈水洗および乾燥〉
皮膜中に含まれるFを低減させる観点から、陰極電解処理の後に、水洗処理を行なうことが好ましい。水洗処理の方法は特に限定されない。例えば、連続ラインで製造を行なう場合、処理液タンクの後に水洗タンクを設け、陰極電解処理後に連続して水に浸漬する方法などが挙げられる。水洗処理に用いる水の温度(水温)は、40〜90℃が好ましい。
このとき、水洗時間は、水洗処理による効果がより優れるという理由から、0.5秒超が好ましく、1.0〜5.0秒がより好ましい。
さらに、水洗処理に代えて、または、水洗処理の後に、乾燥を行なってもよい。乾燥の際の温度および方式は特に限定されない。例えば、通常のドライヤーや電気炉を適用できる。乾燥処理の際の温度としては、100℃以下が好ましい。
〔前処理工程〕
本発明の製造方法は、上述した皮膜形成工程の前に、以下に説明する前処理工程を備えていてもよい。
前処理工程は、アルカリ性水溶液(特に、炭酸ナトリウム水溶液)中で、めっき鋼板に陰極電解処理を施す工程である。
通常、めっき層の形成時にその表面は酸化されて、錫酸化物が形成される。このめっき鋼板に対して、陰極電解処理を施すことにより、不要な錫酸化物を除去して、錫酸化物量を調整できる。
前処理工程の陰極電解処理の際に使用される溶液としては、アルカリ性水溶液(例えば、炭酸ナトリウム水溶液)が挙げられる。アルカリ性水溶液中のアルカリ成分(例えば、炭酸ナトリウム)の濃度は特に限定されないが、錫酸化物の除去がより効率的に進行する点から、5〜15g/Lが好ましく、8〜12g/Lがより好ましい。
陰極電解処理の際のアルカリ性水溶液の液温は特に限定されないが、40〜60℃が好ましい。陰極電解処理の電解条件(電流密度、電解時間)は、適宜調整される。なお、陰極電解処理の後に、必要に応じて、水洗処理を施してもよい。
本発明の製造方法によって得られる本発明の容器用鋼板は、例えば、食缶、飲料缶などの2ピース缶胴および3ピース缶胴ならびに蓋などの製造に使用される。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈めっき鋼板の製造〉
以下の方法によって、めっき鋼板を製造した。
まず、板厚0.22mmの鋼板(T4原板)を電解脱脂し、ワット浴を用いて第1表に示す片面当たりのNi付着量でニッケルめっき層を両面に形成後、10vol.%H2+90vol.%N2雰囲気中にて700℃で焼鈍してニッケルめっきを拡散浸透させることによりNi−Fe合金層(Ni含有層)を両面に形成した。次いで、Snめっき浴を用い、第1表中に示す片面当たりのSn付着量でSn層を両面に形成した。その後、Snの融点以上で加熱溶融処理を施し、めっき層をT4原板の両面に形成した。このようにして、下層側から順に、Ni−Fe合金層/Fe−Sn−Ni合金層/Sn層からなるめっき層を形成した。
〈容器用鋼板の作製〉
以下に示す前処理工程および皮膜形成工程を経て、容器用鋼板を作製した。
《前処理工程》
まず、浴温50℃、10g/Lの炭酸ナトリウム水溶液中に、上記めっき鋼板を浸漬し、電気量密度が15C/dm2となる条件にて、陰極電解処理を施した。
《皮膜形成工程》
次いで、前処理工程を経ためっき鋼板に対して、水洗後、pHを4.0に調整した第1表に示す組成の処理液(溶媒:水)を用いて、第1表に示す条件にて、陰極電解処理を行なった。
なお、皮膜は、鋼板が、処理液中に配置された陽極と正対している間のみ形成され、その時間(=通電時間)は陽極電極長と通板速度によって決まる。本実施例では通板速度を調整することにより通電時間を0.5秒とした。
陰極電解処理後、水洗処理を施して、80℃の温風乾燥を行ない、皮膜を両面に形成した。このようにして、容器用鋼板を作製した。
上記皮膜形成工程における陰極電解処理には、図1に基づいて説明した陰極電解処理装置を用いた。このとき、充填塔7には、陰極電解処理を開始するに当たって、下記第1表に示す金属水酸化物担持樹脂を水と共に充填した。このとき、充填塔7内のpHは、当初5.0であったが、これを、水酸化カリウムを用いて3.0に調整した。
そして、陰極電解処理の開始に併せて、循環ポンプ6および循環ポンプ8を動作させて、電解処理槽1の中の処理液を、充填塔7に送り込み、下記第1表に示す通水SVで、金属水酸化物担持樹脂に通水接触させ、その後、再び電解処理槽1に循環させた。電解処理槽1には、Fイオンメーターを用いて処理液中のF-濃度をモニターした。陰極電解処理の初期段階および最終段階におけるF-濃度を、下記第1表に示す。
なお、「初期段階」とは、皮膜形成工程の陰極電解処理を開始してから1分後を意味し、「最終段階」とは、皮膜形成工程の陰極電解処理の終了時点を意味する(以下、同様)。
一部の例(No.16)では、循環ポンプ6および循環ポンプ8を動作させず、充填塔7への通水を行なわなかった。この場合、下記第1表の「金属水酸化物担持樹脂」の欄には、「−」を記載した。
また、いずれの例においても、処理液のTi濃度(六フッ化チタン酸イオン(TiF6 2-)濃度)、ならびに、皮膜のTi付着量およびNi付着量を求めた。Ti濃度は、原子吸光光度法を用いて測定した。Ti付着量およびNi付着量は、上述した方法により測定ないし計算した。
皮膜のNi付着量は、いずれの例も、「初期段階」および「最終段階」において、0.1〜2.0mg/m2の範囲内であった。
処理液のTi濃度および皮膜のTi付着量は、下記第1表に示す。
〈その他の付記事項〉
下記第1表中の「処理液組成」に関して、六フッ化チタン酸カリウム(分子量:240.08)の含有量「10g/L」は、六フッ化チタン酸イオン(TiF6 2-)に換算した量で、「0.042mol/L」である。
同様に、硫酸ニッケル・六水和物(分子量:262.85)の含有量「2g/L」は、Niイオン(Ni2+)に換算した量で、「0.0076mol/L」である。
同様に、硫酸カリウム(分子量:174.26)の含有量「50g/L」は、0.29mol/Lである。このため、Tiに対するモル比では「6.9」である。
なお、各例において、陰極電解処理を行なっている間、Ti濃度が「初期段階」の値よりも減少したタイミングで、六フッ化チタン酸カリウムを添加し、Ti濃度が「初期段階」の値になるように調整した。
ただし、No.14の例については、No.1と同様のタイミングおよび添加量で、六フッ化チタン酸カリウムの添加を行なった。
上記第1表に示す結果から明らかなように、処理液を100hr-1以上の通水SVで金属水酸化物担持樹脂に通水接触させた発明例(No.1〜13,15,17〜19)では、処理液におけるF-濃度の増加が抑制され、皮膜のTi付着量の減少を抑制することができた。
なお、通水SVを2100hr-1にした発明例(No.15)よりも、通水SVを2000hr-1以下にした発明例(No.1〜13,17〜19)の方が、皮膜のTi付着量の減少をより抑制できた。これは、No.15では、通水SVが速すぎてF-が捕捉されにくくなり、処理液のF-濃度がやや増加したためと考えられる。
これに対して、通水SVを100hr-1未満にした比較例(No.14)では、皮膜のTi付着量の減少が見られた。No.14では、通水SVが100hr-1未満であることで、処理液中のF-だけでなく、TiF6 2-までもが捕捉されてしまい(Ti濃度の減少)、皮膜のTi付着量が減少したと考えられる。
また、金属水酸化物担持樹脂への通水接触を行なわなかった比較例(No.16)では、処理液のF-濃度が増加し、皮膜のTi付着量が減少した。
1:電解処理槽
2:コンダクタロール
3:シンクロール
4:陽極
5:循環タンク
6:循環ポンプ
7:充填塔
8:循環ポンプ
20:めっき鋼板

Claims (8)

  1. 鋼板の表面の少なくとも一部をNi層、Sn層、Ni−Fe合金層、Fe−Sn−Ni合金層およびFe−Sn合金層からなる群から選ばれる少なくとも1層を含むめっき層が覆うめっき鋼板に対して、六フッ化チタン酸および/またはその塩を含有する処理液中で陰極電解処理を施すことにより、前記めっき鋼板の前記めっき層側の表面上に、Tiを含有する皮膜を形成する、容器用鋼板の製造方法であって、
    前記陰極電解処理の際に、前記処理液を、Zr、Fe、Ti、Ce、Al、Mn、Ga、ScおよびGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を担持させた樹脂である金属水酸化物担持樹脂に通水接触させ、
    前記金属水酸化物担持樹脂の総体積(単位:L)に対する前記処理液の通水量(単位:L/hr)の比(処理液の通水量/金属水酸化物担持樹脂の総体積)である通水SVが、100hr-1以上である、容器用鋼板の製造方法。
  2. 前記金属水酸化物担持樹脂における金属水酸化物の担持量が、0.30〜1.50kg/Lである、請求項1に記載の容器用鋼板の製造方法。
  3. 前記通水SVが、2000hr-1以下である、請求項1または2に記載の容器用鋼板の製造方法。
  4. 前記金属水酸化物担持樹脂の体積平均粒子径が、10〜3000μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器用鋼板の製造方法。
  5. 前記処理液における前記六フッ化チタン酸および/またはその塩の含有量が、六フッ化チタン酸イオン(TiF6 2-)に換算した量で、0.004〜0.400mol/Lである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器用鋼板の製造方法。
  6. 前記処理液が、さらに、Ni成分を含有し、
    前記処理液における前記Ni成分の含有量が、Niイオン(Ni2+)に換算した量で、0.002〜0.040mol/Lである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器用鋼板の製造方法。
  7. 前記処理液が、さらに、K+、Na+およびNH4 +からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、SO4 2-、NO3 -およびCl-からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンとの組み合わせからなる塩を含有し、
    前記処理液における前記塩の含有量が、Tiに対するモル比で0.1〜100である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器用鋼板の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の容器用鋼板の製造方法に用いる容器用鋼板の製造装置であって、
    前記処理液が収容される電解処理槽と、
    前記めっき鋼板を、前記電解処理槽の中を通板させるコンダクタロールおよびシンクロールと、
    前記電解処理槽の中に配置され、前記電解処理槽の中を通板される前記めっき鋼板を陰極として前記陰極電解処理を行なうための陽極と、
    前記金属水酸化物担持樹脂が充填され、前記電解処理槽に連結されている充填塔と、
    前記陰極電解処理の際に、前記電解処理槽に収容されている前記処理液を、前記充填塔に通水させ、再び前記電解処理槽に循環させる循環ポンプと、
    を備える容器用鋼板の製造装置。
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