JP2017080662A - バイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法 - Google Patents

バイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リグノセルロース系バイオマスと廃プラスチックの混合原料から、溶媒を使用しない簡便な反応手法と適切な反応条件により、高効率且つ低コストで、使用環境で安定な性状を有するバイオタール及びピッチを製造する工程及び該工程で副生した残渣を有効利用する技術の提供。【解決手段】リグノセルロース系バイオマスと、熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックとを、粉砕混合し、均一な混合物を得る前処理工程と、混合物を無溶媒、常圧及び不活性ガス気流中で急速熱分解し、得られた生成物を留出分と残渣に分別し、残渣を回収する工程と、留出分を気液分離によりガス成分を分離し液状物として回収した後、液状物を蒸留して沸点差で水とバイオタールに分離し、バイオタールを回収する工程と、から構成されるバイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法。バイオタールを水及び低沸点化合物を留去して重質化してピッチを回収する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素材料用基本原料としてのバイオタール(バイオマスを主原料とした液化プロセスで得られた液状生成物から水分を除去した成分を「バイオタール」と定義)とバイオピッチ(前記バイオタールを熱処理により重質化し、その過程で生成した水及び低沸点化合物を留去して得られた半固状又は固状の粘弾性を持つ重質成分を「バイオピッチ」と定義)などの製造技術に関するものである。
世界規模の環境とエネルギー技術の進歩につれて、炭素材料の需要が大きく増大することが予想される。一方、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出抑制による化石燃料の使用制限に加えて、在来型天然ガスと非在来型天然ガスの需給の急増に伴って、現代物質文明を支える炭素材料(例えば、カーボンブラック、炭素繊維、C/Cコンポジット、各種カーボン電極等)の基本原料であるコールタールやピッチ(石油ピッチを含む)の需給逼迫の傾向が益々高まっており、それに代わる新規タールとピッチの開発が求められている。
近年、コールタールや石油系重質油など化石資源由来炭素原料の代替品として、バイオマスを液化して得られた液状生成物からピッチや炭素繊維などを製造することが試みられている。例えば、木質系原料又はその糖化プロセスで大量に副生する糖化残渣を種々の方法で分解、液化、分離等を経て液状物にし、この液状物からピッチや炭素繊維を製造する方法が開示されている(特許文献1〜11、非特許文献1〜8など)。
特許文献1では、木質系資源を高圧飽和水蒸気で処理した後、有機溶媒または希アルカリで抽出されうるリグニン、およびアルコールなど有機溶媒にて高温で処理することによって可溶化するリグニンを、水素添加分解し、次いで窒素など不活性ガスの気流下で熱処理した後、熱溶融法により紡糸し、さらに炭素化することによって炭素繊維を製造している。
特許文献2では、木質原料をフェノール類と水との混合物からなる有機溶媒を蒸解液として用いて加熱することにより、パルプと、ヘミセルロースが分解して単糖類として溶解している水層、及びリグニンが溶解している有機層の三成分に分離した後、該有機層を減圧濃縮して得られるリグニンを溶融紡糸してリグニン繊維を製造している。
特許文献3では、木質材料からの脱リグニン処理で溶出したリグニンをフェノール化して得たフェノール化リグニン、または木質材料をフェノール類で蒸解して得たフェノール化リグニンを原料として、非酸化雰囲気下、加熱重質化することで炭素繊維紡糸用リグニンを調製している。
特許文献4では、木質原料を水蒸気又は水蒸気とフェノール化合物の存在下で、温度200〜250℃、圧力20〜40kg/cmで爆砕前処理し、物理的、化学的に溶媒可溶性を高めた上で、この処理物とフェノール化合物とを加熱下に溶解、反応させることで可溶化物を製造している。
特許文献5では、リグノセルロースをポリエチレングリコール、エチレングリコールなどを溶媒とし、濃硫酸を触媒として加溶媒分解を行ない、反応生成物を、ジオキサン溶媒希釈→濾過→濾液中のジオキサンと水分除去→合成反応→水洗(大過剰蒸留水中滴下による水溶性物質の溶解)→濾過→不溶分の回収・乾燥→溶融紡糸などの工程を経て、炭素繊維や活性炭素繊維を製造する方法が開示されている。
特許文献6、非特許文献1及び2では、糖化残渣など固形木質系原料を、フェノール類及び水素供与性溶剤(テトラリンなど)の存在下で加圧加熱することで可溶化処理を行ない、この可溶化処理物から低沸点成分を除去することで木質系ピッチを得、さらに溶融紡糸によって炭素繊維を得ている。ここで、水素供与性溶剤は反応後回収して水素化再生処理をする必要があるが、その回収と水素化再生は非常に手間とコストがかかる。
特許文献7では、糖化残渣など固形木質系原料を、フェノール類及び熱分解重質油の存在下で加圧加熱することで可溶化処理を行ない、この可溶化処理物から低沸点成分を除去することで木質系ピッチを得、さらに溶融紡糸によって炭素繊維を得ている。
また、リグニンのみならずセルロースとヘミセルロースの有効利用の面から、木質系バイオマスをエチレングリコールなどの有機溶媒、又は水と少量のエチレングリコールなど有機溶媒からなる混合溶媒で抽出した後、この抽出処理物を固液分離して、リグニンを含む液体成分とセルロースを含む固体成分とに分離し、液体成分はピッチやその他樹脂原料にし、セルロース成分は糖化原料にする方法(特許文献8、9、非特許文献3〜5)も提案されている。
上述の様々な処理方法は化学反応の基本原理から考察すると、フェノールやエチレングリコールなど極性溶媒を用いた加溶媒分解反応に属し、これに直接水添法、間接水添法(水素供与性溶剤法)、酸又はアルカリ処理法や加水分解法などを組み合わせた方法である。これらの方法は、共通して極性溶媒がバイオマスの有効成分であるリグニンとの良好な相溶性を持っているが、極性溶媒自身の一部が加溶媒分解(液化)反応に消耗されるため、溶媒の完全リサイクルは難しく、たとえ再利用するとしても常に新しい溶媒を補給しなければならず、事実上溶媒の一部は目的製品の原料となる。それに加えて、加溶媒分解法では液化過程で生成した炭素質を主成分とする固形分及び原料由来の灰分(残渣)が液化生成物に残留するため、その分離、精製は非常に面倒である。また、これらの加溶媒分解反応はいずれも高圧を必要とするため、設備面での投資も大きくなる。従って、これらの方法は技術面のみならず、コストの面における大きな課題を抱えている。また、得られた液状生成物(タール)及びピッチの熱安定性が良くないという性能面での課題も高価な水素化処理法の場合を除き解決されていない現状にある。
最近、非溶媒消費型の反応方式として、木質原料を水素化重質溶剤で400℃にて3時間処理し、その反応生成物を減圧蒸留してピッチ状瀝青物(BTP)を製造する方法(非特許文献6)が開示されている。この方法では、投入木質原料に対する生成物の収率がBTP42質量%、生成ガス(C〜C、CO、CO)25.8質量%、水とオイルの合計32.2質量%である。BTPは灰分を含み、そのままでは紡糸できないため、THF(テトラヒドロフラン)によって不溶分(9.8質量%)を分離除去したTHF可溶分を炭素繊維の紡糸原料としている。この処理方法は基本的には熱分解と水素化の組み合わせによるものである。反応に用いる水素化重質溶剤は前記特許文献6に示す水素供与性溶剤と同じ類のものであるため、前記同様に反応後回収して水素化再生処理をする必要がある。また、液化過程で生成するTHF不溶分の量も少なくないため、溶解、濾過や蒸留等による分離操作も必要になる。プロセス全体から考慮すると、高反応圧、水素供与性溶剤の水素化再生、生成物及び溶剤(水素供与性溶剤とTHF)の分離・リサイクルなどの工程が複雑になり、コストがかかることが予想される。
上述のように、従来の技術には多くの未解決の課題があり、未だに実用化されたものはない。共通点としては、いずれの方法も溶媒(溶剤)を必要とし、それ故に反応圧力の面や分離・再生・濃度調整などの面で非常に煩雑になり、コスト高に繋がる問題があるので、如何に溶媒を使用しない簡便且つ高収率、低コストの実用化プロセスを開発するかが大きな課題となっている。一方、液状生成物(タール)及びピッチの熱安定性の改善はプロセス全体の技術面における最大の課題となっている。
溶媒を使わないプロセスとしては、以下の二つの方法がある。一つは、急速熱分解法である(非特許文献7)。この方法によれば、木材の急速熱分解による生成物分布は、乾物基準で分解油40〜65質量%、ガス10〜30質量%、チャー10〜20質量%の範囲にあり、得られた一次分解油は水分量と酸素含有量が高いので発熱量は重油の5割以下と低く、また密度、粘度が高く、熱に不安定であることからハンドリング性に難点がある。従って、自動車用石油代替燃料や炭素材料用コールタール代替原料(例えばカーボンブラック用原料油、その他炭素材料用各種ピッチ)にするためには、高圧水素化やゼオライトクラッキングなど化学的、触媒的な処理等による品質改善が必要不可欠であるが、高価な設備に加えて処理工程が煩雑になり、非常にコストがかかることが予想される。
もう一つの方法は、通常の熱分解法で、従来の乾留法(非特許文献8)に代表される回分式方法とロータリーキルンによる連続式方法(特許文献10、11)に分類される。
前者の乾留法によれば、木材を最高温度400℃で乾留した場合の各生成物の収率は、木ガス14〜16%、木酢液35〜45%、木タール8〜12%、木炭32〜38%範囲にある。温度を更に上げると、タール成分の二次分解により、木炭と木ガス生成量が増え、木タール生成量が減る。このような結果から、乾留法は木炭と木酢液の製造法としては有用であるが、バイオタールとしては量的にあまり期待できない。
後者のロータリーキルンによる連続式熱分解法は、特許文献10ではバイオマス(木材、汚泥、家畜糞尿、生ゴミなど)や廃プラスチックなどの様々な有機材料を夫々の定量供給装置を経由してある一定比率で熱分解装置内に連続的に投入できるようにした熱分解装置が開示され、原料供給部酸素濃度計による不活性ガス注入量の制御技術や、生成回収油量、熱分解装置の内部温度、原料定量供給サークルフィダの回転数調整、スクリュー移送構造の撹拌定量流下投入装置などによる各々有機材料の供給比率の制御技術などが含まれている。なお、特許文献11ではバイオマスや有機性の廃棄物(廃プラスチックを含む)を熱分解装置及び油化装置により処理してカーボンブラックを生成する方法が開示されている。しかしながら、このロータリーキルンによる連続式熱分解法ではバイオマスと有機性廃棄物のそれぞれの種類と詳細組成、詳細な熱分解、油化条件やそれによる物質収支、生成油の性状(例えば、液化生成物の相溶性、流動性、熱的安定性など)との関係などについては記載されておらず、生成油の性状面では課題が残っている可能性がある。
特開昭62−110922号公報 特開平01−239114号公報 特開平01−306618号公報 特開平04−126725号公報 特開2013−147768号公報 特開2012−116884号公報 特開2012−255223号公報 特開2013−192519号公報 特開2015−080759号公報 特開2008−142639号公報 特開2007−112879号公報
第6回バイオマス科学会議発表論文集、112−113(2011) 第38回炭素材料学会年会要旨集、114(2011) 第20回日本エネルギー学会大会講演要旨集、170−171(2011) 第7回バイオマス科学会議発表論文集、200−201(2012) 第57回リグニン討論会講演集、(2012) 第23回日本エネルギー学会大会講演要旨集、112−113(2014) ウッドケミカルスの新展開、シーエムシー出版(2007年8月31日)、p34−45 燃料協会誌、第41巻、第425号[1962]、p753
本発明の課題は、リグノセルロース系バイオマスと廃プラスチックの混合原料から、溶媒を使用しない簡便な反応手法と適切な反応条件により、高効率且つ低コストで、目的使用環境において安定な性状を有するバイオタール及びピッチを製造する技術と、その過程で副生した残渣を有効利用する技術を提供することにある。
本発明者らは、バイオマスとしてはリグノセルロース系バイオマスを、廃プラスチックとしては熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックをそれぞれ用い、粉砕、混合し、この混合物を、無溶媒、常圧及び不活性ガス気流の条件下で急速熱分解装置に連続的に投入し熱分解処理をすることで、二次分解(液状生成物が更に分解してガスを生成する反応)を抑制しつつ、液状物の収率を高め、容易に分解生成物を留出分と残渣に分別できること、次いでこの留出分を気液分離によりガス成分を除去し簡単に液状物を回収できることを見出した。
さらに、この液状物を沸点差で水を留去するだけで簡単にバイオタールが得られること、このバイオタールを更に蒸留して軽質成分(バイオオイル)と重質成分(液状物)に分離できること、前記バイオタール又は重質成分(液状物)を更に熱処理により重質化し、その過程で生成した水を含んだ低沸点化合物を留去し重質成分(ピッチ)を回収することにより各成分同士の相溶性がよく、熱的安定性が向上したピッチが得られること、そして前記急速熱分解で得られた残渣を賦活して高比表面積の活性炭が得られることなどを見出して、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の技術的手段から構成される。
〔1〕 リグノセルロース系バイオマスと、熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックとを、粉砕、混合し、均一な混合物を得る前処理工程と、前記混合物を、無溶媒、常圧及び不活性ガス気流中で急速熱分解し、得られた生成物を留出分と残渣に分別して、残渣を回収する工程と、前記留出分を気液分離によりガス成分を分離し液状物を回収した後、その液状物を蒸留して沸点差で水とバイオタールに分離して、バイオタールを回収する工程から構成されることを特徴とするバイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法。
〔2〕 前記リグノセルロース系バイオマスと、熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックの質量比が9:1〜5:5以内であることを特徴とする前記〔1〕に記載のバイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法。
〔3〕 前記〔1〕又は〔2〕のバイオタールを回収する工程で得られたバイオタールを更に蒸留して、軽質成分(バイオオイル)と重質成分(液状物)に分離することを特徴とするバイオタールの処理方法。
〔4〕 前記〔1〕又は〔2〕のバイオタールを回収する工程で得られたバイオタール、又は前記〔3〕で得られた重質成分(液状物)を更に熱処理により重質化し、その過程で生成した水及び低沸点化合物を留去して、軟化点40〜280℃の重質成分(ピッチ)を回収することを特徴とするバイオピッチの製造方法。
〔5〕 前記〔1〕又は〔2〕の残渣を回収する工程で得られた残渣を賦活して活性炭に変換することを特徴とする活性炭の製造方法。
本発明によれば、リグノセルロース系バイオマスと熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックを適切な比率で混合し、この混合物を無溶媒、常圧及び不活性ガス気流中で急速熱分解することにより、液状物の収率とその分離精製効率を大きく向上すると共に、コールタールや石油由来重質油に代わりうるバイオタール及び石炭・石油系ピッチに代わりうるバイオピッチを低コストで製造する新規プロセスを提供することができる。
また、急速熱分解で得られた残渣を安価で高比表面積を有する新規機能性活性炭に変換することにより、バイオマスと廃プラスチックを最大限に有効利用でき、二酸化炭素排出抑制に寄与できる。
本発明のバイオマスと廃プラスチックからのバイオタールの製造方法及び残渣の有効利用の一例を示すプロセス略図である。 図1で得られたバイオタールからのバイオピッチ製造方法の一例を示すプロセス略図である。 本発明の急速熱分解実験に用いた急速熱分解装置及び分解生成物(留出分)の気液分離装置(冷却トラップ)の概念図である。 本発明の実施例1(400℃)、実施例2(450℃)、実施例3(500℃)における液状生成物の状態を観察した写真である。 本発明の実施例1(400℃)、実施例2(450℃)、実施例3(500℃)における残渣の粒子形態を観察した写真である。 本発明の実施例4(450℃)における液状生成物から蒸留により得られた水及びバイオオイルの観察写真である。
本発明は、リグノセルロース系バイオマスと、廃プラスチックとの混合原料から、無溶媒、常圧での急速熱分解により簡便に安定な性状を有するバイオタール、ピッチを製造することを特徴とする。
すなわち、本発明は、リグノセルロース系バイオマスと、熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックとを、粉砕、混合し、均一な混合物を得る前処理工程と、前記混合物を、無溶媒、常圧及び不活性ガス気流中で急速熱分解し、得られた生成物を留出分と残渣に分別して、残渣を回収する工程と、前記留出分を気液分離によりガス成分を分離し液状物を回収した後、その液状物を蒸留して沸点差で水とバイオタールに分離して、バイオタールを回収する工程から構成されることを特徴とするバイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法に関わる。
前記前処理工程では、粉砕状況によっては粒度調整を行って原料の粒度を調整してもよい。また、原料を乾燥する作業を入れてもよい。
リグノセルロース系バイオマスと熱可塑性プラスチックの混合は、原料の段階で混合して粉砕してもよいし、粉砕後に混合してもよい。
実施の態様は、リグノセルロース系バイオマスと熱可塑性プラスチックを別個に粉砕して、必要なら粒度調整を行った後で、乾燥して後に混合するのが最も好ましい。特に、原料比率が厳密に要求される場合は、混合は前処理工程の最終段階で行う必要がある。
前記リグノセルロース系バイオマス原料は、セルロース、ヘミセルロースとリグニンを含む固形原料である限り特に限定されず、植物由来の原料であればいずれも使用可能である。大きく分類すると、木質系、草本系、資源植物などがあるが、その資源量及び有効利用の観点から、木質系バイオマスでは、例えば針葉樹と広葉樹とを網羅した間伐材、林地残材、製材残材、建築廃材、剪定枝葉、輸入チップ、パーム残渣(PKS,EFB,OPT等)などが望ましく、草本系バイオマスとしては、例えば稲わら、麦わら、ススキ、葦など、また資源植物としては、例えば砂糖キビ、トウモロコシ、ソルガムなどの副産品(例えばバガス、茎など未利用の部分)などが望ましい。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。
すなわち、前記リグノセルロース系バイオマスは、木質系、草本系、資源植物系のいずれかに由来する原料でも良く、これらの原料の糖化プロセスで得られる糖化残渣でも良い。
廃プラスチックとしては、熱可塑性プラスチック(樹脂を含む)を主成分とするのが好ましく、一部熱硬化性プラスチック(樹脂を含む)を含んでいても良い。代表的な熱可塑性プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドイミド、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。なお、代表的な熱硬化性プラスチックとしては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。また、学術的には、上述の合成樹脂(プラスチック)のみならず、合成樹脂と同じ有機高分子材料に属している合成繊維、合成ゴムもいわゆる「廃プラスチック」を代替でき、本発明の範囲から排除するものではない。
本プロセスではこれらの単一成分のみならず、これらの混合物、各種誘導体、複合体を含めて、いわゆる「廃プラスチック」の原料とすることができる。選定の基準としては目的とするタール、ピッチ及び炭素材料の物性、加工性等を考慮して決めることができる。
廃プラスチック原料の成分として熱硬化性プラスチックの割合が高過ぎると、熱分解後の液状生成物中に架橋しやすい官能基の相対濃度が増えるため、保管又は使用中の熱的要因により、タール、ピッチ製品の架橋反応が起こりやすくなり、熱安定性が低下する。これに対して、熱可塑性プラスチックの分解生成物はその構造的な特徴から架橋反応を起こしにくく、リグニンを主成分とするバイオマス由来液化生成物との物理的、化学的な安定な結合により、タール、ピッチ製品に対して可塑性を与えつつ、熱的にも安定化させることができる。熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックの配合比は、反応に投入する廃プラスチックの総量に対して、好ましくは前者が70質量%以上、後者が30質量%以下であり、さらに好ましくは前者が80質量%以上、後者が20質量%以下である。
また、熱可塑性プラスチックの中で、炭化水素系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)と非炭化水素系ポリマー(つまり、ヘテロ原子を含むポリマー、例えば、エステル構造、エーテル構造、アミド構造、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などを有するポリマー)の相対質量比は、好ましくは3:7〜7:3であり、さらに好ましくは4:6〜6:4である。ここで、炭化水素系ポリマーの投入は、タール、ピッチ製品の平均的な酸素含量を低く抑えると共に、炭化水素系ポリマー分解生成物がリグニン分解生成物中に介在することにより、物理的にタール、ピッチを安定化させる役割を果たす。また、非炭化水素系ポリマー(特に含酸素、窒素ポリマー)の投入は、含酸素官能基を多く有するリグニン分解生成物との相溶性、分散性を高めつつ、タール、ピッチ製品の化学的、熱的な安定性を保つ役割を果たす。
プラスチックはいろいろな分野で様々な用途に応じて大量に使用されている。例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)は弱電機器の部品やキャビネット、ハウジング類、自動車内外装部品、家電製品、玩具雑貨、ポリ塩化ビニルの補強材などとして広く使われており、PETはボトルや家電部品などで大量に使われている。又ポリスチレンは各種共重合熱可塑性樹脂以外に断熱材、包装や流通分野の緩衝剤などとしても幅広く使われており、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルは我々の日常生活の中で各種容器、自動車・家電部品、各種シート、パイプなどとして大量に使われている。これらの原料は廃プラスチックの分別・回収ルートから入手することができる。
ここで、バイオマス単独の場合と、バイオマスに廃プラスチックを混合した場合との違いについて比較説明する。
(1)高分子の基本構造:前者のリグニン分解生成物は多数の熱に不安定な含酸素官能基の影響を受け、再加熱すると再び架橋して巨大な三次元構造を形成するため、各種成形加工に必要な熱可塑性と安定性が大きく低下する。これに対して後者の場合、バイオマスと廃プラスチックを混合して急速熱分解すると、それぞれの基本構造単位に近い低分子、例えば「リグニン低分子」、「PET低分子」、「ABS低分子」が反応系の外へ留出し、冷却により捕集される。それを再び適当な温度まで加熱(熱処理)すると、例えば、「−リグニン低分子−PET低分子−」、「−リグニン低分子−ABS低分子−」、「−ABS低分子−リグニン低分子−PET低分子−」のような基本構造を有する共重合体を形成することができ、リグニンの架橋密度を減らし、その結果、タールやピッチの熱安定性を高めることができる。
(2)酸素含有量:前者のリグノセルロース系バイオマスは酸素含量が40〜45質量%と非常に高い。これに対して後者の場合、バイオマスに廃プラスチックを混合すると、原料のみならず液化生成物の酸素含量を減らすことができ、その結果、タールやピッチの貯蔵安定性並びに熱安定性を高めることができる。
(3)熱溶融性と可塑性:前者のリグノセルロース系バイオマス由来リグニンは本来一定の可塑性を有しているが、200℃近辺に加熱すると、たちまちに硬化して熱溶融性と可塑性を失う。これに対して後者の場合、熱可塑性プラスチック由来成分との混合により、処理物特にピッチの熱溶融性と可塑性が改善できる。
また、廃プラスチック単独の場合と、バイオマスに廃プラスチックを混合した場合との違いについて、以下に比較説明する。
廃プラスチック粉末のみを原料投入器(例えば、スクリュー移送方式)を介して連続的に急速熱分解反応器に投入する場合、原料投入器先端が反応器内部からの伝熱や摩擦熱などにより、粘性が生じ、容易に大きな半融半固の粘状物が形成されるため、このような状態で反応部位に投入されると、試料への伝熱が微粉末の場合に比べ著しく遅くなり、所定反応温度になる時間が長くなるので、急速熱分解ではなく事実上通常の熱分解になってしまう。その結果、(1)試料の反応器内滞留時間が長くなり、炭素化とガス化両極端反応が促進され、目的の液状生成物の収率が低減する。(2)巨大化された塊状粘性物質の溶融、分解と共に、脱水素環化重合による粘度上昇、粘性物発泡による体積膨張、多孔質炭化物の形成や反応器の閉塞等により正常な運転ができなくなる。
これに対して、廃プラスチック粉砕物にバイオマス粉末を混合すると、(1)上述のような半融半固の粘状物の形成を抑制しつつ、微粉末状態での原料投入、秒単位の急速加熱並びに急速熱分解が可能になる。(2)熱媒体となっていた不活性ガスと共に分解ガスが速やかに反応系外に運ばれ、さらに気液分離することによって、高収率且つ簡便に液化生成物を回収できる。(3)反応器内残渣はさらさらした状態で容易に取り出すことができるので、連続法にも向いている。
要するに、バイオマスと廃プラスチックを混合して急速熱分解する方法がバイオマス単独又は廃プラスチック単独の場合に比べて、技術面、性能面で優れている。
リグノセルロース系バイオマスと、熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックの好ましい配合比(質量比)は、例えば、9:1〜5:5以内であり、より好ましくは、8:2〜5:5以内であり、さらに好ましくは、7:3〜5:5以内である。
以下、図示例を参照しつつ、本発明をより詳細に説明する。
図1は、本発明のプロセスの一例を示す概略図である。本図示例のプロセスは、大きく区分すると、「原料前処理工程」、「急速熱分解工程」、「バイオタール回収工程」、「残渣有効利用工程」から構成されている。また、図2は、図1のバイオタール回収工程で得られたバイオタールからの「バイオピッチ調製工程」の一例を示す概略図である。これらの5つの工程の詳細は、以下の通りである。
(1)原料前処理工程
本プロセスに供給するバイオマス原料としては、前記木質系、草本系、資源植物からの糖化プロセス(例えば従来の製糖プロセス、又は最近のバイオエタノールプロセス等)で大量に副生する糖化残渣も含まれている。糖化残渣の場合は、バイオマスの糖化の前処理過程で細かく粉砕され、糖化反応を経てさらに細かくなるので、粉砕する必要がない。また、糖化過程でセルロースやヘミセルロース分は糖に変換されており、リグニン成分の割合が大幅に増え、リグニンリッチになるので、糖化残渣を原料にすれば、本発明で求めるバイオタール、ピッチの有効成分(芳香族骨格から形成された炭素前駆体)の割合が増加することにより、目的とするバイオタール、バイオピッチの収率の向上並びにコスト低下に繋がるので、極めて好適である。
本プロセスに供給するバイオマス原料としては粉砕品の形態が望ましい。粉砕手段は特に限定されず、カッターミル、振動ミル、ハンマーミルなど慣用の粗粉砕機械を用いて行なうことができる。粉砕処理物はできれば篩を通して好ましい粒度以下にしたほうがよい。好ましい粒度は、例えば、4mmの篩下であり、より好ましくは3mmの篩下、更に好ましくは2mmの篩下である。つまり、通常のオガクズのサイズで十分で、粒度の下限値は特に設けなくてもよい。
バイオマス原料はあらかじめ水分を除去したほうが望ましい。乾燥法は特に限定しないが、省エネなどの面から考えると、例えば、自然乾燥、プロセス廃熱(例えば、オフガス燃焼による廃熱)による乾燥などが望ましい。なお、糖化残渣の場合は、前記乾燥に先立って、遠心分離或いは圧搾濾過等による糖化残渣中の水分分離を行なってもよい。好ましい水分含量は、例えば15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
廃プラスチックを本プロセスの原料とする場合は、破砕又は凍結粉砕によって細かくしたり、熱可塑性を利用してペレットにしたりして適度の粒度の原料にすることができる。好ましい粒度は、例えば、4mmの篩下であり、より好ましくは3mmの篩下、更に好ましくは2mmの篩下である。なお、粒度の下限値は特に設けなくてもよい。
バイオマス原料と廃プラスチック原料は、目的製品の性能要求に応じて、適当な種類のものを適当な比率で混合すればよい。また、混合は粉砕又はペレット段階からでも良く、それぞれ粉砕、分級、乾燥後でもよい。
前記混合原料は予め又は投入時に不活性ガスで置換処理することが望ましい。空気中の酸素が大量に混入すると、酸化により製品の品質に悪影響をもたらす恐れがある。不活性ガスとしては、窒素が最も安価で好適である。
(2)急速熱分解工程
前記工程で前処理された原料は、急速熱分解工程で熱分解される。急速熱分解は、一例として、図3に示すような急速熱分解装置(概念図)によって行われる。この急速熱分解装置は図示の通り、窒素ガス(熱媒体)供給ライン、加熱炉、底部フィルター付き反応管、原料供給チューブ、留出分出口などから構成される。混合原料は、反応管内筒上部の原料供給チューブの窒素置換ゾーン、定量供給部を経由して、反応管内筒底部からの上昇熱気流によって予備加熱された状態で予め所定温度に制御された反応管内筒底部のフィルター上に落とされ、反応管の通常加熱(伝熱加熱、輻射加熱、対流加熱等)に加えて、反応管内筒と外筒の間で所定温度まで予備加熱された熱媒体(窒素)による伝熱の組み合わせにより速やかに分解温度に達する。原料はフィルター上で秒単位の速度で分解され、分解ガス(CO、CO、H、C〜C炭化水素類等ガス成分及び液化生成物)が窒素ガス気流に乗せられ反応管上段側面出口を経由して速やかに系外に留出され、次の工程の冷却トラップに運ばれる(詳細は、後述の「(3)バイオタール回収工程」参照)。
一方、分解によりフィルター上に堆積された残渣は反応器の有効反応容積を超えないように設けられた残渣取り出し機構により、不活性ガス(窒素)雰囲気下反応系外に取り出され、冷却後残渣有効利用工程に運ばれる(詳細は、後述の「(5)残渣有効利用工程」参照)。
本発明における「急速熱分解」とは、主にリグノセルロース系バイオマス中の三次元構造(高分子量のセルロース、ヘミセルロース、リグニン成分の物理的、化学的な絡み合い)及び廃プラスチックの高分子構造を熱エネルギーにより秒単位の速度で切断し、低分子化、液状化にする反応である。ここでいう「急速熱分解」反応は、上記低分子化による液化という意味もあると同時に、液化生成物中の各種含酸素官能基などの分解反応、例えば脱炭酸反応や脱水反応などの意味も含まれている。
リグノセルロース系バイオマスの液化は、通常セルロースの分解温度(約270℃)以上の300℃近くから可能であるが、この300℃前後の低温域ではリグニンの分解速度が遅く、多数のリグニン分子が構造単位まで分解できず、比較的に高分子量の状態にある。この状態の液化生成物(タール)を濃縮、ピッチ化(通常200〜300℃で処理)すると、リグニン分子同士が再結合又は架橋して三次元網目構造を形成することにより、熱可塑性を喪失し、容易に不溶不融の状態になる。これに対して、本発明ではリグノセルロース系バイオマスと熱可塑性プラスチックの混合物を原料とするため、巨大なリグニン分子を構造単位レベルまで低分子化した上で、さらに低分子化された廃プラスチックの分子(例えばモノマー)と共重合することにより、「−低分子化されたリグニン−低分子化された廃プラスチック−」の基本構造単位を持つ直鎖状等の新規高分子を形成することができ、リグニン特有の三次元架橋構造の再形成を抑制しつつ、良好な可塑性を創出することが可能となる。そのための液化反応の温度は350℃以上が望ましい。
これに対して、温度が高すぎると、過分解に伴う液化生成物の二次分解並びに脱水素・環化・重縮合反応までも急激に進行し、炭素化とガス化の両極端の反応が促進され、液化反応が阻害される。その結果、反応のコントロールが難しく、液状生成物中にコーク前駆体となるプレアスファルテン(重質油化学ではベンゼン不溶−ピリジン可溶分を指すが、高温で容易にTHFに不溶のコークになる)の生成量が急増する恐れがある。従って、バイオマス原料の急速熱分解は窒素流量を大きくする(又は線速度を速くする)ことにより、さらに反応温度を高くし、反応時間を短くすることも可能であるが、液化反応を優先的に考慮した場合、望ましい反応温度は600℃以下である。
以上の理由から、急速熱分解反応の好ましい温度範囲は、例えば、350〜600℃であり、より好ましくは400〜550℃、更に好ましくは400〜500℃である。
また、熱媒体として用いる不活性ガス(窒素)の反応管内熱分解ゾーンにおける好ましい線速度は、例えば、急速熱分解温度450℃では1〜5.5cm/秒の範囲内であり、より好ましくは1.5〜5cm/秒、更に好ましくは2〜4.5cm/秒である。
もし急速熱分解温度を上げて処理量を増やす場合には、分解速度が速くなるため、それに応じて線速度を更に上げることにより、分解生成物の反応管内滞留時間を短くし、液化生成物の二次分解を抑制しつつ、速やかに系外へ取り出すことが可能である。
なお、図3に示す急速熱分解装置は飽く迄も急速熱分解の基本原理を説明するための概念図の一例に過ぎず、本発明の装置方式を制限するものではない。従って、急速熱分解装置としては、流動床反応器(砂を流動熱媒体とするバブリング流動床)、循環流動床反応器(チャ―[残渣]燃焼器を付設した二塔床式)、噴流床など公知の処理方式の中から選定してもよい。
(3)バイオタール回収工程
バイオタール回収工程は実用的な面から、基本的には、(A)留出分からのガス成分(反応の熱媒体として用いた窒素ガス及び分解ガス、例えばCO、CO、H,C〜C炭化水素類など)と液状生成物の分離、(B)液状生成物からの水とバイオタールの分離から構成される。
前記(A)による分離は、図3に示すような冷却トラップを用いて、ガス成分(オフガスと窒素)と液状成分に簡単に分離することができる。冷却温度は限定しないが、例えば氷水温度程度が望ましい。温度が低すぎると、分解生成物中の水分などの凝集・凍結・堆積などにより配管等が閉塞される恐れがあり、温度が高いと有効液状成分も留出されるので、液状生成物の収率が低くなる。従って、冷却トラップは急速熱分解装置出口のガス温度、ガス流量、熱交換面積などを考慮して設ける必要がある。ここで、気液分離により排気されるオフガスは、燃焼によりエネルギーを回収し、前処理工程の原料乾燥や急速熱分解工程の補助加熱(例えば熱媒体として供給する窒素の予備加熱等)の熱源にすることができる。
前記(B)による分離は、沸点差による蒸留で水及び水と共沸できるギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシプロピオン酸、アルコール類などを含むいわゆる木酢液を分離し、簡単にバイオタールを得ることができる。
上記のように得られたバイオタールはそのまま又は適宜加工、配合してカーボンブラックの原料にすることができる。また、重質化処理してバイオピッチに調製することができる(詳細は、後述「バイオピッチ調製工程」参照)。
(4)バイオピッチ調製工程
前記バイオタール回収工程で得られたバイオタールは、そのままの状態でバイオピッチ原料にすることができる他に、バイオタールを更に蒸留して、沸点差で軽質成分(バイオオイル)を分離した後の重質成分(液状物)をバイオピッチ原料にすることもできる。
前記バイオタール、又はそれを蒸留して得られた重質成分(液状物)を、更に熱処理すると、バイオマスとプラスチック由来液化生成物同士が縮合や共重合反応により高分子化、つまり重質化される。このような反応過程では水及び低沸点化合物(軽質成分)も同伴して生成するが、蒸留によりこれらの水と低沸点化合物(軽質成分)を留去すれば、種々の軟化点を有するピッチを調製することができる。通常、同じバイオタールをピッチ原料とした場合、ピッチ収率が高ければ高いほど(つまり、残留軽質成分の相対含量が高ければ高いほど、言い換えれば平均分子量が低ければ低いほど)ピッチの軟化点が低くなり、ピッチ収率が低ければ低いほど(つまり、残留軽質成分の相対含量が低ければ低いほど、言い換えれば平均分子量が高ければ高いほど)ピッチの軟化点が高くなる。
一方、前記ピッチ化過程で留去して得られた低沸点化合物は、バイオオイルとして回収しても良く、前記バイオタールと混合して使用しても良い。
なお、プラスチックの種類、バイオマスとの配合比、急速熱分解によるバイオタールの調製条件、ピッチ化条件などを変えることにより、様々な新機能を有する炭素材料を設計、製造することも勿論可能である。特に、熱可塑性プラスチック(又は樹脂)との最適な組み合わせにより、従来のリグニン系ピッチの最大の欠点である熱安定性の大幅な改善が可能になり、コールタール系ピッチや石油系ピッチに代わる新規ピッチとして、その用途拡大が見込まれている。
(バイオタールとバイオピッチの定義)
本発明におけるバイオタールとは、バイオマスを主原料とした液化プロセスで得られた液状生成物から水分を除去した成分を「バイオタール」と定義する。なお、習慣上、このバイオタールから前記バイオオイルを留去して得られた重質成分(液状物)もバイオタールと呼ぶ場合がある。また、バイオピッチとは、前記バイオタールを熱処理により重質化し、その過程で生成した水及び低沸点化合物を留去して得られた半固状又は固状の粘弾性を持つ重質成分を「バイオピッチ」と定義する。
ここで、前記バイオタールを単純に蒸留することによっても勿論重質成分であるピッチを得ることが可能であるが、ピッチ収率を高める目的からは前者の熱処理(すなわち脱水縮合等を主反応とする高分子化反応)のほうがより望ましく、より熱安定性に優れたピッチを得ることができる。好ましい熱処理温度は、例えば、150〜300℃であり、より好ましくは180℃〜250℃程度である。なお、蒸留は常圧、減圧蒸留のどちらも良いが、効率の面からは減圧蒸留のほうが望ましい。また、熱処理と蒸留は別々に行なっても良く、両者を同時に行なってもよい。
なお、前記バイオピッチは用途に応じて軟化点の異なる各種ピッチに調製することができる。軟化点の調整は、蒸留条件を変えることで可能で、蒸留温度と圧力を制御することにより、例えば、含浸ピッチの場合は軟化点40〜90℃のものに、バインダーピッチの場合は軟化点80〜120℃のものに、炭素繊維用ピッチの場合は軟化点180〜280℃のものに調製することができる。その他、特殊な用途に応じて、軟化点を任意に調整することができる。
(5)残渣有効利用工程
図1に示すように、急速熱分解工程で取り出された残渣は、三つの選択肢で有効利用できる。
選択肢1は、賦活により活性炭を製造することである。リグノセルロース系バイオマスと廃プラスチックとの混合熱分解過程で、前者の分解残渣の表面が後者の分解生成物との作用(吸着又は反応)により化学的、物理的に修飾され、表面の化学的、物理的な構造を適宜変化させることが可能である。例えば表面に窒素官能基を導入すれば、表面の反応活性を向上させることができ、通常の賦活処理によっても高比表面積の活性炭を製造できる。賦活処理法としては、例えば、水蒸気賦活法や薬品賦活法を用いることができる。賦活処理して得られた活性炭は、更に高性能活性炭の要求に応じて、酸処理などによる脱灰処理を行なってもよい。
選択肢2は、ガス化して合成ガスやメタンなどC1化学の基本原料を製造することである。石炭のガス化と同様に、バイオマスやプラスチックを直接ガス化するより、急速熱分解によりタール分を分離した残渣からガス化すると、生成ガス中に混入するタール濃度が著しく減少するため、生成ガスの品質のみならず、プロセス全体の効率アップとコスト低減を可能にすることができる。また、上記ガス化は残渣そのものを単独で使用しても良く、既存の石炭ガス化の原料と混合して使用してもよい。
選択肢3は、固形燃料にすることである。固形燃料としては、例えば、前記オフガスの場合と同様に、燃焼によりエネルギーを回収し、前処理工程の原料乾燥や急速熱分解工程の補助加熱(例えば熱媒体として供給する窒素の予備加熱等)の熱源にすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、下記実施例において、実験に用いたバイオマス原料とABS原料の前処理、急速熱分解処理、及び急速熱分解における液状物、残渣、ガスのそれぞれの収率、活性炭の収率、細孔構造などの測定は、次の実験方法に従って行なった。
(1)バイオマス原料
木粉(国産杉のオガクズ)を2mm篩下に分級し、120℃で24時間乾燥したものを各実施例における「木粉試料」とした。
(2)ABS原料
自動車、電気、事務機器、家電、日用雑貨製品などで大量に使用されているABSを主成分とする廃プラスチック資源の有効利用を視野に、これらの廃プラスチックの代わりに市販のABS樹脂(スタイラックABS191[汎用]、旭化成ケミカル(株)社製)を使用し、80℃で24時間乾燥したものを、各実施例における「ABS試料」とした。
(3)液状物収率の測定
急速熱分解の留出分からガス成分を除去して得られた液状生成物(液状物)の収率は、次式を用いて算出した。なお、液状物の質量は、回収前後のトラップ及び配管の質量差から求めた。
液状物収率(質量%)=液状物質量/(木粉試料質量+ABS試料質量)×100 (式1)
(4)残渣収率の測定
急速熱分解で得られた残渣の収率は、次式を用いて算出した。なお、残渣質量は、反応前後の反応管の質量差から求めた。
残渣収率(質量%)=残渣質量/(木粉試料質量+ABS試料質量)×100 (式2)
(5)ガス収率の測定
急速熱分解の留出分から液状物を分離して得られるガス成分には反応媒体として大量に使用した不活性ガス(窒素)も含まれているので、直接定量することは実験上困難であるため、前記の測定結果をもとに、次式を用いて間接的に収率を求めた。
ガス収率(質量%)=〔(木粉試料質量+ABS試料質量)−(液状物質量+残渣質量)〕/(木粉試料質量+ABS試料質量)×100 (式3)
(6)活性炭収率の測定
活性炭(AC)収率は、賦活前後の試料の質量(但し、薬品賦活後の場合は水洗、乾燥後の質量)変化をもとに、次式を用いて求めた。
AC収率(質量%)=賦活後のAC質量/賦活前の残渣質量×100 (式4)
(7)活性炭の細孔構造の測定
活性炭の細孔構造の測定はASAP2010(島津製作所製)を用いた。試料の前処理は、50℃での減圧脱水後、200℃×2時間の減圧(5μmHg以下)とした。
全比表面積(S):
窒素吸着等温線のデータをもとに、BET法を用いて全比表面積(S)を算出した。
全細孔容積(V):
前記同様に、BET法を用い、窒素吸着等温線データから全細孔容積(V)を求めた。なお、細孔容積は径が80nm未満の細孔容積にと定義し、算出したものである。
平均細孔直径(D):
上記で求めた全細孔容積(V)と全比表面積(S)に基づき、細孔構造が円筒型であると仮定したときの関係式(D=4000V/S)から平均細孔直径(D)を算出した。
〔実施例1〕
急速熱分解実験は、図3の原理で製作したステンレス製急速熱分解装置(底部フィルター面及び反応管断面積:15.2cm、均熱帯反応管容積:160cc)を用いて行なった。反応に先立って、反応管に毎分1NLの窒素ガスを流通させながら、反応管内温が400℃に達するまで昇温した。この温度での温調が安定状態になってから、前記(1)により調製した木粉試料15gと前記(2)により処理したABS試料14.7gを均一に混合し、窒素置換後、毎分0.2gの供給速度で反応管内に投入しながら急速熱分解を行なった。上記試料を全量投入後、同温度で更に30分間保持し、急冷した。急速熱分解で生成した留出分は反応器後部の冷却トラップ(氷水冷却)を用いて気液分離を行ない、室温に戻して液状物(液状生成物)を定量、回収した。また、反応管内の残渣は、反応器を室温まで冷却後定量、回収した。急速熱分解で得られた液状物、残渣及びガス成分の定量と収率の計算は、前記(3)〜(5)の方法と計算式(式1〜3)によって行なった。
〔実施例2〕
急速熱分解温度を450℃に変更した以外は、前記実施例1と同様である。
〔実施例3〕
急速熱分解温度を500℃に変更した以外は、前記実施例1と同様である。
〔実施例4〕
木粉試料とABS試料の量をそれぞれ30gと29.4gに変更した以外は、前記実施例1と同様である。
上記実施例1〜4の主な処理条件及び生成物の収率を纏めた結果を、表1に示す。また、実施例1〜3で回収したそれぞれの液状物及び残渣について観察した写真を図4と5に、実施例4における液状生成物から蒸留により得られた水及びバイオオイルの観察写真を図6に示す。
表1の結果から、以下のようなことが確認された。
分解温度とガス収率:分解温度を上げると、ガス生成量が増える。400℃と450℃では大差がないが、500℃付近から増加の傾向が見られ、さらに温度を上げると著しく増加することが思料される。
分解温度と残渣収率:残渣収率は450℃と500℃では殆ど変わらないが、400℃では若干高い。この結果から、温度が低すぎると原料の分解が不完全になること、400℃〜450℃で一次熱分解がほぼ完了することがわかる。
分解温度と液化収率:液化物収率は400℃と450℃ではいずれも約65質量%とほぼ同程度に高いが、500℃付近から次第に減少の傾向が見られる。
上述の結果を総合的に評価すると、ここに示す実施例の流量(毎分1NL)条件下では、過分解(液化物の二次分解)抑制による液化効率向上のための最適分解温度は400〜450℃付近にあることが確認された。従って、もし流量を下げる場合の最適分解温度はこの温度より低い温度域にシフトされ、もし流量を上げる場合の最適分解温度はこの温度より高い温度域にシフトされることが推定される。
処理量と収率バランス:原料の総処理量29.7g(実施例2)と59.4g(実施例4)の場合を比較すると、同じ分解温度、同じ窒素流量でも処理量が多いと液化収率が高くガス生成量が低くなることから、急速熱分解部の反応性そのものよりもむしろ冷却トラップの表面吸着性の差異に起因するものと考えられ、冷却トラップの吸着表面の改善によっても液化生成物の回収率の向上が可能であることがわかった。
液状物(液化生成物)の性状:400℃、450℃、500℃のいずれの温度における液化物も色、流動性、並びに約2か月の静置状態等の観察から、液化生成物成分同士の相溶性は良好で、分層、沈殿現象は見られなかった(図4)。
残渣の性状:400℃、450℃、500℃の液化過程で得られた残渣はいずれもさらさらとした状態で、塊状化現象は見られなかった(図5)。この結果から、急速熱分解処理における留出分(液状物とガス)と残渣の分離並びに回収作業は非常に簡単に行えることが確認された。
液状生成物からの水の分離効果:実施例4における液状生成物を減圧蒸留して得られた水及びバイオオイルは、速やかに図6のように水層(下部)とオイル層(上部)の二層に分かれている。このことから、液状生成物中の水分は、沸点差を利用して軽質分を蒸留後、水層とオイル層の二層に完全に分離する性質を利用して簡単に分離できることが確認された。GC−MS分析によれは、水層成分には、酢酸が最も多く、その他ヒドロキシプロピオン酸、ギ酸、プロピオン酸、エタノール、ブタノールなどが含まれており、97質量%以上が水であることが確認された。このような組成は木材乾留時に得られる木酢液とほぼ同様であった。一方、オイル層成分には、スチレン、メチルスチレン、エチルベンゼン、トルエン、メチルエチルベンゼンなどが主成分として確認された。これらのバイオオイルは更に各種化学品や溶剤などとして分離しても良く、前記バイオタール又はその重質成分(バイオタールから軽質のバイオオイルを留去して得られた液状物)と混合してカーボンブラックなどの原料としてもよい。
〔実施例5〜7〕
前記実施例4で得られた残渣(110℃‐16時間乾燥品)0.4gをアルミナボートに入れて横型管状炉内にセットし、窒素気流(流量300Nml/分)中で室温から800℃まで20℃/分の昇温速度で加熱した。800℃に到達した時点で雰囲気ガスを窒素から水蒸気(水蒸気45モル%、窒素55モル%、全ガス流量300Nml/分)に切り替え、表2に示すそれぞれの賦活条件に従って所定時間賦活処理を行なった。その後、再び窒素に切り替え、室温まで冷却して活性炭を得た。賦活処理で得られた活性炭の収率は前記(6)の式4により求め、全比表面積、全細孔容積、平均細孔直径は前記(7)によって求めた。
〔実施例8〜10〕
前記実施例4で得られた残渣(110℃‐16時間乾燥品)0.4gに、メラミン(0.4g)と炭酸カリウム(0.8g)の水溶液を加えて、撹拌しながら減圧‐大気開放を繰り返すことにより脱気処理した上で、エバポレーターにて水分を蒸発させ、さらに110℃で2時間乾燥させた。得られた含浸処理試料を定量後、アルミナボートに入れて横型管状炉内にセットし、窒素気流(流量300Nml/分)中で室温から800℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した。800℃に到達後その温度を維持しながら表2に示すそれぞれの賦活条件に従って所定時間賦活処理し、室温まで冷却した。この賦活処理試料全量を熱水でpHが7になるまで洗淨し、110℃で乾燥して活性炭を得た。賦活処理で得られた活性炭の収率は前記(6)の式4により求め、全比表面積、全細孔容積、平均細孔直径は前記(7)によって求めた。
上記実施例5〜7の水蒸気賦活法及び実施例8〜10の薬品賦活法による主な賦活条件、活性炭収率及び細孔構造特性値を纏めた結果を、表2に示す。
表2の結果から、以下のようなことが確認された。
水蒸気賦活活性炭:水蒸気賦活法により試作した活性炭は、収率54〜26質量%の範囲内で比表面積900〜1300m/gと標準市販活性炭レベルに達した。この水蒸気賦活活性炭は主にメソポア領域に細孔を保有しており、平均細孔径が2〜3nmで、4nm付近における細孔容積が賦活時間とともに増加する傾向があることが細孔分布曲線から確認された。従って、賦活条件の制御により、高比表面積且つ制御されたメソポアを有する活性炭を作ることができ、細孔構造制御の最適化による利用展開が期待される。
薬品賦活法活性炭:薬品賦活法(薬品法)により、収率60〜50質量%、比表面積約2300m/gと高い収率と比表面積を有する活性炭が得られた。この薬品賦活法による活性炭は平均細孔径が1.7〜1.8nm範囲にあり、また細孔分布曲線から主にミクロポア領域に細孔を保有していることが確認された。賦活金属種の選択や賦活条件の最適化などにより、高性能活性炭などへの展開も期待される。
本発明により、リグノセルロース系バイオマスと廃プラスチックからタイヤ用ゴムやインク、トナー用などのカーボンブラックの原料となり得るバイオタールや、その他コールタールピッチの代替品(含浸ピッチ、バインダーピッチ、特殊ピッチなど)となり得るバイオピッチを、高収率で、且つ低コストで製造できる新規プロセスを提供することが可能である。この新規プロセスの提供により、既存のカーボンブラックの産業や、コールタール、コールタールピッチの産業分野における既存原料の代替利用又は複合利用が可能である。また、バイオタール製造過程で得られた残渣からの高比表面積活性炭の製造技術は、環境浄化、触媒、燃料電池、リチウムイオン電池、キャパシタ用炭素材料やその他新規機能性炭素材料として広範な利用展開が可能である。


Claims (5)

  1. リグノセルロース系バイオマスと、熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックとを、粉砕、混合し、均一な混合物を得る前処理工程と、前記混合物を、無溶媒、常圧及び不活性ガス気流中で急速熱分解し、得られた生成物を留出分と残渣に分別して、残渣を回収する工程と、前記留出分を気液分離によりガス成分を分離し液状物を回収した後、その液状物を蒸留して沸点差で水とバイオタールに分離して、バイオタールを回収する工程から構成されることを特徴とするバイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法。
  2. 前記リグノセルロース系バイオマスと、熱可塑性プラスチックを主成分とする廃プラスチックの質量比が9:1〜5:5以内であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスと廃プラスチック混合物の処理方法。
  3. 請求項1又は請求項2のバイオタールを回収する工程で得られたバイオタールを更に蒸留して、軽質成分(バイオオイル)と重質成分(液状物)に分離することを特徴とするバイオタールの処理方法。
  4. 請求項1又は請求項2のバイオタールを回収する工程で得られたバイオタール、又は請求項3で得られた重質成分(液状物)を更に熱処理により重質化し、その過程で生成した水及び低沸点化合物を留去して、軟化点40〜280℃の重質成分(ピッチ)を回収することを特徴とするバイオピッチの製造方法。
  5. 前記請求項1又は請求項2の残渣を回収する工程で得られた残渣を賦活して活性炭に変換することを特徴とする活性炭の製造方法。
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