JP2017079634A - 生体試料中の目的とする細胞を検出する方法 - Google Patents

生体試料中の目的とする細胞を検出する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】癌の予後及び治療奏功に深く関する血中循環腫瘍細胞(CTC)について、診断時間の短縮と安価に行う、生体試料中の目的とする細胞を検出する方法の提供。
【解決手段】下記の工程(1)〜(3)を含む方法。(1)以下の物質を準備する工程(i)−(iii):(i)鋳型核酸、並びに、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体、(ii)標的細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、トリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体、並びに、(iii)燃料核酸、(2)キャリアー上に捕捉されている細胞を含む溶液に、工程(1)の核酸アプタマー複合体、核酸複合体、及び燃料核酸を加える工程、(3)シグナルを検出する工程
【選択図】なし

Description

本発明は、生体試料中の目的とする細胞を検出する方法、及び当該方法に使用するためのキットに関する。
医療現場でがんの判定に使われる代表的な手法として、腫瘍マーカーを用いた生検が含まれる。しかしながら、腫瘍は単クローン性の細胞の集合体ではなく、異なるプロファイルを持った細胞で構成されているため、細胞を採取する場所の違いで判定に異なる結果が生じるなど、現在その判断指標としての信憲性に懐疑的な意見が出てきている。
進行したがんでは、腫瘍細胞が原発腫瘍細胞組織から剥離し、血液やリンパ液の流れに乗り、体内の別の臓器に移動することでがんの転移が起こっていると考えられている。このように血流に乗って体内を循環している腫瘍細胞は、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)と呼ばれている。近年、単位血液量(体積)あたりのCTCの個数が、がんの予後や治療奏功に深く関与することが明らかとなってきており、腫瘍マーカーに代わるがんの病態診断マーカーとしてCTCが着目されている。血中に存在するCTCの数が、がんの病態に対して高い相関を示すことが確認されており、がんの予後や治療奏功の有用な判断材料として考えられている。しかしながら、1mLの血液中には10億個の血液細胞が存在するのに対し、CTCはわずか数個〜10個程度しか含まれていないため、CTCの検出は極めて困難である。
現在のところ、CTC数のカウントを原理とする予後診断システムとして米国食品医薬品局(FDA)が承認しているのは、米国ベリデックス社のCell Search Systemのみである。多くの固形腫瘍は細胞膜上にEpCAM(上皮細胞接着分子)を高発現していることが知られている(1細胞あたり約40万個以上)。同システムでは、磁性微粒子上に抗EpCAM抗体が修飾されており、これを介してCTCが磁気微粒子上に捕捉される。捕捉されたCTCを抗サイトケラチン抗体ならびにDAPIで染色し、セルカウンターでCTC数をカウントする仕組みとなっている。末梢血7.5mL中の1個のCTCまで再現性よく検出可能であるが、末梢血濃縮に約40分、その後の測定に2−3時間と比較的長い時間を診断に要する、という課題がある。近年は、術後に開腹状態でCTC数をカウントし、病巣摘出の奏功の確認を行いたいとのニーズが医療現場からあがってきている。しかしながら、Cell Search Systemでは診断までに、合計4時間近く要するためこのニーズに応えることができない。診断時間の短縮が喫緊の課題である。また、抗体を使用し、高価なシステムを利用する必要があるため、診断コストが非常に高く、同システムの普及の妨げになっている。Cell Search Systemに変わる新しい診断方法の開発が望まれている。
Cell Search System の磁気微粒子を利用した手法以外にも、CTCを選択的に捕集、捕捉する技術として、CTCと他の末梢血成分の細胞サイズの差(CTC:約30μm、白血球:約8−20μm程度、赤血球:約8μm、厚さ約2μm、血小板:直径約2−4μm)を利用してフィルターで分離捕集する手法、誘電泳動特性の違いを利用し、マイクロ流体デバイスで分離捕集する手法、アビジン修飾プレート(プレートリーダー用)にビオチン修飾核酸アプタマーを固定化したものを用いて捕捉する手法などが提案されている。しかし、検出に関しては、いずれの場合においても、分離捕集したCTCを蛍光ラベル化した抗上皮細胞接着分子抗体(抗EpCAM抗体)や抗サイトケラチン抗体で染色し、これを共焦点レーザー顕微鏡、セルカウンター、フローサイトメーターなどで直接細胞を観察する手段がとられている。よって、原理的に標的とするCTCの個数に応じたシグナル量しか得ることができないため、血液1mL中に10個程度しか存在しないと言われているCTCの検出は非常に困難なものである。また、上記装置や蛍光ラベル化抗体は非常に高価であり、診断コストが高くなる要因となっている。
WO 2014/019025 A1
Analytical Chemistry, 2013,85,p.4141-4149 PLOS ONE, 2013,8,2,e57613 Angew. Chem. Int. Ed. 2014,53,p.13145-13149 International Journal of Nanomedicine, 2014,9,p.1083-1096 Mol.Cells,37,742-746(2014) Cancer Sci., 102, 991-998(2011) Tumor Biol., 27, 289-301(2006) Cancer Res., 70, 9371-9380(2010) Biochem. Biophys. Res. Commun., 453, 681-685(2014) PLOS ONE, 9, e90752(2014) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 8170-8175(2013) Bull. Korean Chem. Soc., 30, 1827-1831(2009) Nucleic. Acid Ther., 21, 173-178(2011) J. Transl. Med., 10, 148-158(2012) J. Cancer Sci. Ther., 4, 214-222(2012) Mol. Ther. Nucleic Acids, 1, e21(2012) Nucleic Acid Ther., 23, 401-407(2013) Cancer Lett., 330, 84-95(2013) Mol. Cell. Proteomics, 2230-2230(2007) Mol. Cancer Ther., 5, 1790-1799(2006) J. Biol. Chem., 276, 16464-16468(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 15416-15421(2003) J. Proteome Res., 7, 2133-2139(2008) Clin. Chem., 53, 1153-1158(2007) Anal. Chem., 80, 721-728(2008) J. Hematol. Oncol., 7, 5 (2014) Leukemia, 23, 235-244(2009) J. Appl. Microbiol., 109, 808-817(2010)
本発明は、生体試料中の目的とする細胞を検出する方法、及び当該方法に使用するためのキットを提供する。
本発明者ら上記問題の解決のために鋭意研究を重ね、細胞を染色して直接観察するのではなく、標的細胞の存在をきっかけとして反応溶液中に発光性分子を増幅させる仕組みを構築することで、極微量の標的細胞を簡便に検出することができると考え、本発明を想到した。限定されるわけではないが、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
生体試料中の目的とする細胞を検出する方法であって、
(1)以下の物質(i)−(iii):
(i)4種類のセグメントが連結した配列(第1a配列、第2a配列、第3a配列、第4a配列)を含む鋳型核酸、並びに、鋳型核酸と二本鎖を形成した、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体、
ここにおいて、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブは、以下の(a)又は(b)の組み合わせ
(a)第1a配列に相補的な第1b配列が発シグナル分子で修飾された、発シグナル分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブの組み合わせ、又は
(b)第1a配列に相補的な第1b配列がシグナル抑制分子で修飾された、シグナル抑制分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブの組み合わせ、
から選択され、
ここにおいて、発シグナル分子とシグナル抑制分子は、鋳型核酸と二本鎖を形成している際はシグナルが抑制されるように近接して存在する、
(ii)目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体、ここにおいて、トリガー核酸は、第3a配列+第4a配列に相補的な第3b配列+第4b配列の塩基配列を含む、並びに、
(iii)第1a配列+第2a配列+第3a配列に相補的な第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸、
を準備する工程;
(2)キャリアー上に捕捉されている細胞を含む溶液に、工程(1)の核酸アプタマー複合体、核酸複合体、及び燃料核酸を加える工程、ここにおいて、核酸アプタマー複合体から放出されたトリガー核酸により、シグナルが増幅される;そして、
(3)シグナルを検出する工程、
含む、前記方法。
[態様2]
発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブが、(a)の組み合わせである、態様1の方法。
[態様3]
第4a配列の長さが第2a配列の長さよりも長い、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
核酸アプタマーが、DNAである、態様1−3のいずれか1項に記載の方法。
[態様5]
目的とする細胞が、腫瘍細胞である、態様1−4のいずれか1項に記載の方法。
[態様6]
目的とする細胞が、血中循環腫瘍細胞である、態様5に記載の方法。
[態様7]
核酸アプタマーが、細胞接着分子に対する核酸アプタマーである、態様5又は6に記載の方法。
[態様8]
核酸アプタマーが、配列番号1からなる、又は、を含む、態様1−7のいずれか1項に記載の方法。
[態様9]
目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー又は抗体によって、目的とする細胞がキャリアーに捕捉されている、態様1−8のいずれか1項に記載の方法。
[態様10]
キャリアーが、
(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー又は抗体と、
を備えている、態様9に記載の方法。
[態様11]
自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、アプタマー又は抗体と結合している、態様10に記載の方法。
[態様12]
担持層は、金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む、態様10又は11に記載の方法。
[態様13]
生体試料由来の目的とする細胞を、キャリアーに捕捉する工程をさらに含む、態様1−12に記載の方法。
[態様14]
生体試料が、体液又は細胞単離液から選択される、態様1−13に記載の方法。
[態様15]
生体試料が、血液である、態様1−14に記載の方法。
[態様16]
態様1−15に記載の生体試料中の目的とする細胞を検出するための方法に用いるキットであって、
以下の物質(i)−(iii):
(i)4種類のセグメントが連結した配列(第1a配列、第2a配列、第3a配列、第4a配列)を含む鋳型核酸、並びに、鋳型核酸と二本鎖を形成した、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体、
ここにおいて、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブは、以下の(a)又は(b)の組み合わせ
(a)第1a配列に相補的な第1b配列が発シグナル分子で修飾された、発シグナル分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブの組み合わせ、又は
(b)第1a配列に相補的な第1b配列がシグナル抑制分子で修飾された、シグナル抑制分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブの組み合わせ、
から選択され、
ここにおいて、発シグナル分子とシグナル抑制分子は、鋳型核酸と二本鎖を形成している際はシグナルが抑制されるように近接して存在する、
(ii)目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体、ここにおいて、トリガー核酸は、第3a配列+第4a配列に相補的な第3b配列+第4b配列の塩基配列を含む、並びに、
(iii)第1a配列+第2a配列+第3a配列に相補的な第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸
を含むキット。
図1は、本発明の一態様を示すスキームである。CTCに応答したトリガー核酸の放出(A)、と放出されたトリガー核酸に伴う核酸サーキットの回転とシグナル増幅(B)を示す。 図2は、核酸アプタマー修飾金基板の調製法のスキームを示す。 図3は、実施例2において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞、正常細胞及び比較例の蛍光観察写真である。 図4は、OligoAnalyzerによるEpCAMアプタマーの予測される二次元構造を示した図である。 図5は、自己組織化単分子膜上に核酸アプタマーが修飾されたキャリアーの製造方法のスキームを示す。 図6は、担持層の上に核酸アプタマーが直接結合しているキャリアーの製造方法のスキームを示す。 図7は、実施例3において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。 図8は、実施例4において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。 図9は、実施例5において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。 図10は、実施例6において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。
I.生体試料中の目的とする細胞を検出する方法
本発明は、生体試料中の目的とする細胞を検出する方法に関する。本発明の方法は、
(1)以下の物質(i)−(iii):
(i)4種類のセグメントが連結した配列(第1a配列、第2a配列、第3a配列、第4a配列)を含む鋳型核酸、並びに、鋳型核酸と二本鎖を形成した、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体、
ここにおいて、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブは、以下の(a)又は(b)の組み合わせ
(a)第1a配列に相補的な第1b配列が発シグナル分子で修飾された、発シグナル分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブの組み合わせ、又は
(b)第1a配列に相補的な第1b配列がシグナル抑制分子で修飾された、シグナル抑制分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブの組み合わせ、
から選択され、
ここにおいて、発シグナル分子とシグナル抑制分子は、鋳型核酸と二本鎖を形成している際はシグナルが抑制されるように近接して存在する、
(ii)目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体、ここにおいて、トリガー核酸は、第3a配列+第4a配列に相補的な第3b配列+第4b配列の塩基配列を含む、並びに、
(iii)第1a配列+第2a配列+第3a配列に相補的な第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸、
を準備する工程;
(2)キャリアー上に捕捉されている細胞を含む溶液に、工程(1)の核酸アプタマー複合体、核酸複合体、及び燃料核酸を加える工程、ここにおいて、核酸アプタマー複合体から放出されたトリガー核酸により、シグナルが増幅される;そして、
(3)シグナルを検出する工程、
を含む。
1.本発明のメカニズム
本発明の方法は、(A)生体試料中の目的とする細胞(標的細胞)に特異的な核酸アプタマーが標的細胞に応答し、トリガー核酸が放出され、そして、(B)放出されたトリガー核酸をきっかけとして核酸サーキットの回転によりシグナル増幅が生じる、ことを特徴とする。本発明のメカニズムの説明のために、本発明の一態様のスキームを図1に示す。
(A)標的細胞に応答したトリガー核酸の放出:あらかじめ、標的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー(例えば、CTCに対するEpCAM特異的アプタマー)とサーキットを回転させるきっかけとなるトリガー核酸とを二本鎖形成させておく(目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体)。標的細胞と核酸アプタマーとの相互作用によってはじめて、両者がより安定な複合体を形成し、トリガー核酸が放出される仕組みとする。
(B)放出されたトリガー核酸をきっかけとした核酸サーキットの回転によるシグナル増幅:発シグナル分子と、そのシグナル抑制分子を修飾した2種のDNAプローブを作製する。あらかじめ、互いの修飾部位が近接するような状態でそれらの相補鎖と二本鎖を形成させておく。標的細胞に応答して放出されたトリガー核酸は、その複合体中のtoehold部位をきっかけとし、鎖交換反応を引き起こす。結果、シグナル抑制分子修飾プローブ(もしくは発シグナル分子修飾プローブ)が二本鎖複合体から放出され、両者の近接が解消されることにより、発シグナル分子からのシグナルが回復する。ここに燃料となる核酸を加えておくと、再びtoehold部位をきっかけとした鎖交換反応が起こり、発シグナル分子修飾プローブ(もしくはシグナル抑制分子修飾プローブ)のみならずトリガー核酸も再度溶液中放出され、トリガー核酸が再利用可能となる。核酸アプタマー複合体ならびに燃料核酸を過剰に入れておけば、わずかなトリガー核酸(すなわち、わずかな標的細胞)から強いシグナル応答を得ることができる。一連の反応は等温下で起こる。
本発明は、(1)以下の物質(i)−(iii)を準備する工程を含む。
(i)4種類のセグメントが連結した配列(第1a配列、第2a配列、第3a配列、第4a配列)を含む鋳型核酸、並びに、鋳型核酸と二本鎖を形成した、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体。
発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブは、以下の(a)又は(b)の組み合わせから選択される。
(a)第1a配列に相補的な第1b配列が発シグナル分子で修飾された、発シグナル分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブの組み合わせ、
又は
(b)第1a配列に相補的な第1b配列がシグナル抑制分子で修飾された、シグナル抑制分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブの組み合わせ。
(a)の場合は第1b配列が発シグナル分子で修飾され、(b)の場合は逆に第1b配列がシグナル抑制分子で修飾されている。ここにおいて、発シグナル分子とシグナル抑制分子は、鋳型核酸と二本鎖を形成している際はシグナルが抑制されるように近接して存在する、
(ii)目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体。
キャリアー上に捕捉されている細胞を含む溶液に、工程(1)の核酸アプタマー複合体、核酸複合体、及び燃料核酸を加える。トリガー核酸および生体試料中の目的とする細胞の細胞表面物質との結合時における核酸アプタマーの構造は排他的な関係にあり、後者の方が前者よりも安定な構造を形成する。そのため、核酸アプタマー複合体中の核酸アプタマーが生体試料中の目的とする細胞の細胞表面物質に結合すると、核酸アプタマーと細胞表面物質との複合体が形成され、トリガー核酸は核酸アプタマー複合体から放出される。
トリガー核酸は、核酸複合体を構成する鋳型核酸中の第3a配列+第4a配列に相補的な第3b配列+第4b配列の塩基配列を含む。核酸アプタマー複合体から放出されたトリガー核酸は、鋳型核酸の第3a配列+第4a配列に相補的な位置に結合し、その結果、第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブ((a)の場合)(図1)、あるいは、第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブ((b)の場合)が、核酸複合体から脱離する。即ち、トリガー核酸の鋳型核酸への結合により脱離する修飾核酸プローブは、シグナル抑制分子修飾核酸プローブ((a)の場合)、あるいは、発シグナル分子修飾核酸プローブ((b)の場合)のいずれでもよい。シグナル抑制分子と発シグナル分子との距離が離れることにより、発シグナル分子を含む発シグナル分子修飾核酸プローブが発光する。
(iii)第1a配列+第2a配列+第3a配列に相補的な第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸。
燃料核酸を加えることにより、鋳型核酸に結合していた発シグナル分子修飾核酸プローブ((a)の場合)(図1)、又は、シグナル抑制分子修飾核酸プローブ((b)の場合)、並びに、トリガー核酸が放出される。放出されたトリガー核酸はサーキットの次回以降のサイクルに再利用可能である。
本発明は、キャリアー上に捕捉されている細胞を含む溶液に、工程(1)の(i)核酸アプタマー複合体、(ii)核酸複合体、及び(iii)燃料核酸を加えて、核酸サーキットを行うことを特徴とする。本発明の方法はエントロピー駆動型の核酸の鎖交換反応を利用しているため、全て自発的に反応が進行する。即ち、(i)−(iii)の物質を混ぜておくだけで、等温でシグナルが増幅する。
本発明の一態様として、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブが、(a)の組み合わせである態様を含む。
本発明において、第3b配列+第4b配列の塩基配列を含むトリガー核酸の鋳型核酸への結合の方が、第2b配列+第3b配列の塩基配列を含むシグナル抑制分子修飾核酸プローブ((a)の場合)又は発シグナル分子修飾核酸プローブ((b)の場合)の鋳型核酸への結合よりも安定していることが望ましい。限定されるわけではないが、第4a配列の長さが第2a配列の長さよりも長い、態様が好ましい。長さの観点とは別に、塩基配列の選択によって、例えば、G/C塩基対の組み合わせを多く含むことによって、トリガー核酸の鋳型核酸への結合の方を安定化させることも可能である。
本発明において、第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸と鋳型核酸との結合が、第1b配列を含む発シグナル分子修飾核酸プローブ((a)の場合)、若しくは、シグナル抑制分子修飾核酸プローブ((b)の場合)と鋳型核酸との結合、並びに、第3b配列+第4b配列の塩基配列を含むトリガー核酸と鋳型核酸との結合よりも安定していることが望ましい。限定されるわけではないが、好ましくは、第1a配列+第2a配列+第3a配列の長さの方が、第3a配列+第4a配列の長さの方が長い。長さの観点とは別に、塩基配列の選択によって、例えば、G/C塩基対の組み合わせを多く含むことによって、燃料核酸の鋳型核酸への結合の方を安定化させることも可能である。
2.定義
本明細書において、「鋳型核酸」、「核酸プローブ」、「核酸複合体」、「核酸アプタマー」、「トリガー核酸」、「核酸アプタマー複合体」、「燃料核酸」等における「核酸」の種類は特に限定されず、DNA、RNA、あるいはDNA−RNA複合体のいずれであってもよい。好ましくはDNAである。
「発シグナル分子」は、肉眼又は分光分析装置等で検出可能な発光シグナルを発する分子、もしくは、シクロデキストリンに包摂可能であり、電気化学的シグナルを発する分子、もしくは、シクロデキストリンに包摂可能であり、電気化学発光可能な分子であれば、任意の分子を利用可能である。限定されるわけではないが、例えば、発光性分子として5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、5−カルボキシテトラメチルローダミン(5−TAMRA)、6−カルボキシテトラメチルローダミン(6−TAMRA)、5−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1−スルホン酸(DANSYL)、5−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン(5−HEX)、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン(6−HEX)、5−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン(5−TET)、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン(6−TET)、5−カルボキシ−X−ローダミン(5−ROX)、及び6−カルボキシ−X−ローダミン(6−ROX)、インドカルボシアニン(Cy3)、インドカルボシアニン(Cy3.5)、インドカルボシアニン(Cy5)、インドカルボシアニン(Cy5.5)、4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(BODIPY)からなるグループから選択される、任意の公知の蛍光色素を利用可能である。また、限定されるわけではないが、例えば、電気化学的シグナルを発する分子として、フェロセン、メチレンブルー、ドーノマイシンなどからなるグループから選択される、任意の公知の電気化学的活性分子を利用可能である。また、限定されるわけではないが、例えば、電気化学発光分子として、ルテニウムトリスフェナントロリン錯体などからなるグループから選択される、任意の公知の電気化学発光性分子を利用可能である。
「シグナル抑制分子」としては、発シグナル分子の近傍に存在することによって、発シグナル分子からのシグナルを抑制することが可能な任意の分子を利用可能である。例えば消光性分子として、4−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、N−メチル−N−[4−[2−メトキシ−5−メチル−4−(2−ニトロ−4−メチルフェニルアゾ)フェニルアゾ]フェニル]−4−アミノ酪酸(BHQ1)、N−メチル−N−[4−[2,5−ジメトキシ−4−(4−ニトロフェニルアゾ)フェニルアゾ]フェニル]−4−アミノ酪酸(BHQ2)、4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)アニリン(Eclipse quencher)及びBHQ3からなるグループから選択される、任意の公知の消光色素を利用可能である。これらの消光色素の存在により、蛍光色素の蛍光放出が消光色素へのエネルギー移動により抑制され、蛍光色素の蛍光が検出できなくなる。具体的には、DABCYLは、 FAM、TET、JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン)、HEX、Cy3(Amersham Biosciences社)、TAMRA、Cy3.5(Amersham Biosciences社)、ROX、Texas Redなどの蛍光色素の蛍光放出を消光し;BHQ1は、FAM、Oregon Green 514(Molecular Probes社)、TET、Bodipy R6G−X(Molecular Probes社)、JOE、HEX、Cy3、Rhodamine Red−X(Molecular Probes社、TAMRAなどの蛍光色素の蛍光放出を消光し;そして、BHQ2、BHQ3及びEclipse quencherは、HEX、Cy3、Rhodamine Red−X、TAMRA、Cy3.5、ROX、Texas Red−X、Bodipy TR−X(Molecular Probes社)、LightCycler 640(Roche社)、Boidipy 630/650−X(Molecular Probes社)、Cy5(Amersham Biosciences社)などの蛍光色素の蛍光放出を消光する。また、電気化学及び電気化学発光シグナルの抑制分子としてシクロデキストリン類からなるグループから選択される、包摂化合物を利用可能である。
「生体試料」の目的とする細胞を含む可能性のある試料であれば、種類は特に限定されない。例えば、生体試料は、体液又は細胞単離液から選択されうる。「体液」とは、一般に、血液(血液全体又は血漿)、リンパ液、組織液(組織間液、細胞間液、間質液)、体腔液(関節液、脳脊髄液、漿膜腔液、眼房水等)等を意味する。さらに、消化液(唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液等)、汗、涙等も含まれる。好ましくは、血液(血液全体又は血漿)である。「細胞単離液」とは、生体組織を公知の方法で単離・分散し、液体状にしたものを意味する。組織の種類は特に限定されず、胃、腸、皮膚、肺、乳房、前立腺、精巣、卵巣、子宮、骨髄等、任意の生体組織を適宜対象として使用しうる。細胞の単離・分散のための試薬は、例えば、トリプシン、パパイン、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、又は、これらの混合物、などの酵素を含む試薬を、生体組織、細胞の種類に応じて適宜使用しうる。例えば、トリプシン、コラゲナーゼ等の複数の酵素をセットとして含むCell Isolation Optimizing System(フナコシ株式会社製)などが含まれる。
試料は、非限定的に、例えばヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット等の哺乳動物に由来する。
「目的とする細胞」の種類も特に限定されず、腫瘍細胞、その他の一般的な培養細胞、分化多能性細胞などを含み得る。本発明の方法は、シグナルを増幅して目的とする細胞を検出する。よって、生体試料中に低濃度、例えば、生体試料1mL中にわずか数個〜10個程度しか存在しないような細胞であっても、検出することが可能である。「目的とする細胞」は、好ましくは、腫瘍細胞である。腫瘍の種類は特に限定されず、脳悪性腫瘍、胃癌、肺癌、乳癌、咽頭癌、食道癌、大腸癌、肝癌、子宮癌、精巣癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、基底細胞癌、悪性リンパ腫、白血病、神経膠腫等を含む。腫瘍細胞は、原発性腫瘍細胞、転移性腫瘍細胞、血中循環腫瘍細胞等を含む。好ましくは、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)である。
「アプタマー」(Aptamer)とは、特定の分子と特異的に結合する分子やペプチドである。通常ランダム配列の巨大ライブラリ中から選び出してくるが、自然界にも存在しておりリボスイッチとして知られている。基礎から薬剤探索などの応用まで幅広く研究されている。リボザイムと複合体化したアプタマーも存在しており、ターゲット分子存在下で自己切断するものが知られている。大きく分けると核酸(DNA・RNA)アプタマー、ペプチドアプタマーの2種に分類される。
「核酸アプタマー」は進化工学的に得られており、その手法はインビトロ選択法、もしくはSELEX法として知られている。有機小分子や蛋白質、核酸、細胞、組織、微生物といった様々な標的と特異的に結合するものが存在する。核酸アプタマーは抗体に代わる分子認識が可能な生体物質として、生物工学的応用、薬剤への応用が検討されている。核酸アプタマーは核酸自動合成装置で化学的に、しかも短時間で合成可能であり、免疫原性もほとんどないか全くない点が抗体にはない利点である。核酸アプタマーとしてRNAとDNAの間に本質的な違いは存在しないが、DNAの方が化学的に安定である。DNA及びRNAアプタマーの両者とも、様々な分子に対して高い親和性と特異性を示す。
核酸アプタマーは化学合成が可能であるため、コストを大幅に下げることができる。また、核酸を用いることでDNA折り紙やナノワイヤー等のように”静的な構造”のみならず、DNAウォーカーや、リボスイッチ、アプタザイムのような”動的な構造”を自在にプログラミングすることが可能となる(ダイナミックプログラミング)。本発明では、シグナルを増幅するステップでこのプログラムを利用する。まず、目的とする細胞上に発現している細胞表面物質をアプタマーが認識し、一本鎖DNAを放出するところが、プログラムの開始点となっている。また、この放出された一本鎖がトリガーとなり、シグナル増幅のサーキットが実行されるようプログラムされている。
当業者は、目的とする細胞の種類に応じて細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマーを適宜選択しうる。核酸アプタマーは、非限定的に、細胞接着分子などの膜タンパク質に対する核酸アプタマーである。
例えば、標的細胞が血中循環腫瘍細胞(CTC)の場合、CTCの細胞表面物質である、上皮細胞接着分子(EpCAM:Epithelial Cell Adhesion Molecule)に対する核酸アプタマーを利用可能である。例えば、Analytical Chemistry, 2013,85,p.4141−4149を参照されたい。当該文献には、SYL1、SYL2、SYL3,SYL4及びSYL3Cの5種類の核酸アプタマーが記載されている。その中でも、SYL3の部分配列であるSYL3Cの配列が、EpCAMに対する特異性が高く望ましい。
SYL3C:
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’ (配列番号1)
CTCの検出には、その他にも以下のような配列が利用可能である。(以下、塩基配列の記載において、特に明記しない限り5’から3’の向きに記載する。)
EpCAMアプタマー(EP166):AACAGAGGGACAAACGGGGGAAGATTTGACGTCGACGACA(配列番号7)(Mol.Cells,37,742-746(2014))
EpCAMアプタマー(EpDT3):GCGACUGGUUACCCGGUCG(配列番号8)(Cancer Sci., 102, 991-998(2011))
MUC1アプタマー(MUC1 S1.3):GCAGTTGATCCTTTGGATACCCTGG(配列番号9)(Tumor Biol., 27, 289-301(2006))
EGFRアプタマー:GGCGCUCCGACCUUAGUCUCUGUGCCGCUAUAAUGCACGGAUUUAAUCGCCGUAGAAAAGCAUGUCAAAGCCGGAACCGUGUAGCACAGCAGAGAAUUAAAUGCCCGCCAUGACCAG(配列番号10)(Cancer Res., 70, 9371-9380(2010))
EGFRアプタマー(TuTu22):TACCAGTGCGATGCTCAGTGCCGTTTCTTCTCTTTCGCTTTTTTTGCTTTTGAGCATGCTGACGCATTCGGTTGAC(配列番号11)(Biochem. Biophys. Res. Commun., 453, 681-685(2014))
EGFRvIIIアプタマー(U2):ATCCAGAGTGACGCAGCATTTTGACGCTTTATCCTTTTCTTATGGCGGGATAGTTTCGTGGACACGGTGGCTTAGT-3’(配列番号12)(PLOS ONE, 9, e90752(2014))
HER2アプタマー(2−2):GCACGGTGTGGGG(配列番号13)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 8170-8175(2013))
HER2アプタマー(S6):TGGATGGGGAGATCCGTTGAGTAAGCGGGCGTGTCTCTCTGCCGCCTTGCTATGGGG(配列番号14)(Bull. Korean Chem. Soc., 30, 1827-1831(2009))
HER2アプタマー(Mini):AGCCGCGAGGGGAGGGAUAGGGUAGGGCGCGGCU(配列番号15)(Nucleic. Acid Ther., 21, 173-178(2011))
HER2アプタマー(HSB5):AACCGCCCAAATCCCTAAGAGTCTGCACTTGTCATTTTGTATATGTATTTGGTTTTTGGCTCTCACAGACACACTACACACGCACA(配列番号16)(J. Transl. Med., 10, 148-158(2012))
ABCG2アプタマー(ABCG2/A12):ACGCTCGGATGCCACTACAGGCCCACCCTCATGGACGTGCTGGTGAC(配列番号17)(J. Cancer Sci. Ther., 4, 214-222(2012))
CD71アプタマー(c2.min):GGGGGAUCAAUCCAAGGGACCCGGAAACGCUCCCUUACACCCC(配列番号18)(Mol. Ther. Nucleic Acids, 1, e21(2012))
CD44アプタマー(Apt1):GGGAUGGAUCCAAGCUUACUGGCAUCUGGAUUUGCGCGUGCCAGAAUAAAGAGUAUAACGUGUGAAUGGGAAGCUUCGAUAGGAAUUCGG(配列番号19)(Nucleic Acid Ther., 23, 401-407(2013))
CD133アプタマー(CD133−A15):CCCUCCUACAUAGGG(配列番号20)(Cancer Lett., 330, 84-95(2013))
免疫グロブリンμ重鎖アプタマー(TD05):ACCGGGAGGATAGTTCGGTGGCTGTTCAGGGTCTCCTCCCGGTG(配列番号21)(Mol. Cell. Proteomics, 2230-2230(2007))
ヌクレオリンアプタマー(AS1411):GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(配列番号22)(Mol. Cancer Ther., 5, 1790-1799(2006))
ピグペンアプタマー(III.1):ATACCAGCTTATTCAATTAGGCGGTGCATTGTGGTGGTAGTATACATGAGGTTTGGTTGAGACTAGTCGCAAGATATAGATAGTAAGTGCAATCT(配列番号23)(J. Biol. Chem., 276, 16464-16468(2001))
テナシンCアプタマー(GBI−10)GGCTGTTGTGAGCCTCCTCCCAGAGGGAAGACTTTAGGTTCGGTTCACGTCCCGCTTATTCTTACTCCC(配列番号24)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 15416-15421(2003))
PTK7アプタマー(sgc8):ATCTAACTGCTGCGCCGCCGGGAAAATACTGTACGGTTAGA(配列番号25)(J. Proteome Res., 7, 2133-2139(2008))
Toledo細胞アプタマー(Sgd5):ATACCAGCTTATTCAATTATCGTGGGTCACAGCAGCGGTTGTGAGGAAGAAAGGCGGATAACAGATAATAAGATAGTAAGTGCAATCT(配列番号26)(Clin. Chem., 53, 1153-1158(2007))
MEAR細胞アプタマー(TLS11a):ACAGCATCCCCATGTGAACAATCGCATTGTGATTGTTACGGTTTCCGCCTCATGGACGTGCTG(配列番号27)(Anal. Chem., 80, 721-728(2008))
CTC以外の腫瘍細胞、例えば、急性骨髄性白血病等の検出には、例えば以下に記載の核酸アプタマーを利用可能である。
Siglec−5アプタマー(K19):AAGGGGTTGGGTGGGTTTATACAAATTAATTAATATTGTATGGTATATTT(配列番号28)(J. Hematol. Oncol., 7, 5 (2014))
HL60細胞アプタマー(KH1C12):ATCCAGAGTGACGCAGCATGCCCTAGTTACTACTACTCTTTTTAGCAAACGCCCTCGCTTTGGACACGGTGGCTTAGT(配列番号29)(Leukemia, 23, 235-244(2009))
腫瘍細胞以外の標的細胞、例えば、バクテリア等の検出には、例えば以下に記載の核酸アプタマーを利用可能である。
In1Aアプタマー(A8):ATCCATGGGGCGGAGATGAGGGGGAGGAGGGCGGGTACCCGGTTGAT(配列番号30)(J. Appl. Microbiol., 109, 808-817(2010))
3.キャリアー
本発明の方法において、溶液中の目的とする細胞はキャリアーに捕捉されている。
細胞のキャリアーへ捕捉するための態様は特に限定されない。細胞に特異的な核酸アプタマー、抗体等を利用可能である。好ましくは、目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー又は抗体によって、キャリアーに捕捉されている。
本発明の方法は、生体試料由来の目的とする細胞を、キャリアーに捕捉する工程をさらに含んでもよい。
細胞を捕捉するためのキャリアーの態様は特に限定されない。本発明の方法において、例えば、
(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー又は抗体と、
を備えている、キャリアーを利用可能である。
本発明の一態様において、自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、アプタマー又は抗体と結合している。
担持層は、元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む金属基板、あるいは金属、ガラス、プラスチック又は紙などの支持基板の少なくとも一面に上記元素をメッキ、蒸着、スパッタリングなどの公知の方法を用いて成膜したものでよい。また、ニッケル系合金(たとえばニッケル−コバルト、ニッケル−リンなど)、クロム系合金、スズ系合金などで支持基板をメッキした後に、元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を電鋳により成膜して、担持層を形成してもよい。いずれの成膜方法でも、支持基板は特に限定されず、担持層の少なくとも表面に、元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を有していればよく、特に金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含むことが好ましい。
細胞をキャリアーに捕捉するための核酸アプタマーは、特に限定されず、核酸アプタマー複合体を構成する核酸アプタマーと同一であっても異なっていてもよい。
細胞をキャリアーに捕捉するための抗体も、特に限定されるわけではない。標的細胞がCTCである場合には、上皮細胞接着分子(EpCAM:Epithelial Cell Adhesion Molecule)に対する抗体を好適に挙げることができる。たとえば、abcam製カタログNo.ab32392で入手可能なウサギ抗ヒトEpCAMモノクローナルIgG抗体などを挙げることができる。また、標的細胞がCTCでない場合も、標的細胞表層に発現しているタンパク質を介して、特異的に捕捉することができる。たとえば急性骨髄性白血病を発症している白血球を捕捉する場合、abcam製カタログNo.ab97426を用いればよい。
本発明の方法に使用可能なキャリアーの例を図5及び図6に示す。
図6はアプタマー又は抗体33が担持層31に直接、化学的に結合している態様である。図5はアプタマー又は抗体33が自己組織化単分子膜32に化学的に結合した状態で担持層31に設けられている態様である。図示した態様において、アプタマー又は抗体33、及び/又は、自己組織化単分子膜32は、チオール結合により担持層31を構成する元素と結合している。
自己組織化単分子膜32は、一方の末端にチオール基を含み、他方の末端にカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、又はN−ヒドロキシスクシンイミド基を含む。これらの官能基で末端が修飾されているポリエチレングリコール膜又はヒドロキシアルカンチオール膜から形成することができる。ヒドロキシアルカンチオールとしては、例えば、ヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオール、ヒドロキシ−EG3−ウンデカンチオール、6−メルカプト−1−ヘキサノール等を好適に挙げることができるが、これらに限定されない。
自己組織化単分子膜32にアプタマー又は抗体33が結合している態様では、自己組織化単分子膜32の末端のカルボキシル基又はヒドロキシル基を活性化するために官能基で修飾した後に、当該官能基をアプタマー又は抗体33で置換してもよい。非限定的に、自己組織化単分子膜32の末端基を修飾する官能基は、N−ヒドロキシスクシンイミド基、又はマレイミド基であることが好ましい。
自己組織化単分子膜32の末端がN−ヒドロキシスクシンイミド基の場合、アミノ化アプタマー又は抗体33のアミノ基と反応させて、これらを自己組織化単分子膜32に結合させることができる。自己組織化単分子膜32の末端がアミノ基の場合、例えば化学合成したN−ヒドロキシスクシンイミド化アプタマー、又は、カルボキシル末端をN−ヒドロキシスクシンイミド化した抗体を、自己組織化単分子膜32に結合させることができる。
自己組織化単分子膜32の末端がアミノ基の場合、これをさらにマレイミド化して、自己組織化単分子膜32の末端を修飾する官能基をマレイミド基としてもよい。具体的には、非限定的に、片方の端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を有し、もう一方の端にマレイミド基を有する二価性試薬、例えば、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)(例えば、株式会社 同仁化学研究所より入手可能)を、末端にアミノ基を有する自己組織化単分子膜と反応させると、自己組織化単分子膜32の末端を修飾する官能基がマレイミド基となる。この場合、化学合成したチオール化アプタマー、又は、チオール基を有する抗体(システイン残基を有する抗体)を、自己組織化単分子膜32に結合させることができる。
アプタマー又は抗体33で置換されなかった官能基が残存することもある。核酸アプタマーが結合しなかった官能基、たとえばN−ヒドロキシスクシンイミド基は水中で分解し、自己組織化単分子膜32の末端としてはヒドロキシル基又はカルボキシル基が残る。自己組織化単分子膜32の末端基がマレイミド基で修飾されている場合には、核酸アプタマーが結合しなかったマレイミド基は自己組織化単分子膜32の末端基として残る。残ったマレイミド基は、一方の末端にSH基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)及びヒドロキシル基(−OH)を有するキャッピング剤でキャッピングすることが必要となる。
自己組織化単分子膜32の末端基のうちアプタマー又は抗体33が結合していない末端基がN−ヒドロキシスクシンイミド基である場合、その全部又は一部は、一方の末端にNH基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)及びヒドロキシル基(−OH)から選択される基を有するキャッピング剤でキャップされていることがより好ましい。
自己組織化単分子膜32の末端基のうちアプタマー又は抗体33が結合していない末端基がアミノ基である場合、その全部又は一部は、一方の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)及びヒドロキシル基(−OH)から選択される基を有するキャッピング剤でキャップされていることがより好ましい。
上記のように、アプタマー又は抗体33が結合していない末端基をキャップすることで、標的細胞以外の細胞との非特異的結合を抑制することができ、より確実に標的細胞のみを捕捉することができる。
II.キット
本発明は、本発明の生体試料中の目的とする細胞を検出するための方法に用いるキットに関する。本発明のキットは、以下の物質(i)−(iii):
(i)4種類のセグメントが連結した配列(第1a配列、第2a配列、第3a配列、第4a配列)を含む鋳型核酸、並びに、鋳型核酸と二本鎖を形成した、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体、
ここにおいて、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブは、以下の(a)又は(b)の組み合わせ
(a)第1a配列に相補的な第1b配列が発シグナル分子で修飾された、発シグナル分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブの組み合わせ、又は
(b)第1a配列に相補的な第1b配列がシグナル抑制分子で修飾された、シグナル抑制分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブの組み合わせ、
から選択され、
ここにおいて、発シグナル分子とシグナル抑制分子は、鋳型核酸と二本鎖を形成している際はシグナルが抑制されるように近接して存在する、
(ii)目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体、ここにおいて、トリガー核酸は、第3a配列+第4a配列に相補的な第3b配列+第4b配列の塩基配列を含む、並びに、
(iii)第1a配列+第2a配列+第3a配列に相補的な第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸
を含む。
(i)核酸アプタマー複合体、(ii)核酸複合体、及び(iii)燃料核酸の各構成要素については、上述した通りである。
本発明のキットはさらに、目的とする細胞を捕捉するためのキャリアーを含んでもよい。キャリアーについては、「I.生体試料中の目的とする細胞を検出する方法:3.キャリアー」の項目において上述した通りである。
III.本発明の一態様
以下、非限定的に、本発明の一態様について説明する。
細胞の非特異的な吸着を抑制するためにまず、基板上にポリエチレングリコール誘導体SAM膜を形成させた後、その上にEpCAMアプタマーを修飾する。(ii)腫瘍細胞を含むサンプル溶液を修飾基板上に滴下し、標的とする腫瘍細胞を選択的に捕捉する。(iii)洗浄後、EpCAMアプタマーとトリガー核酸が部分的に二本鎖を形成した複合体をPBS中で調製し、これを基板に滴下する。基板上に捕捉された細胞上のEeCAMとアプタマーとの結合に伴い、トリガーが放出される。(トリガーがアプタマーと形成する複合体と標的がアプタマーと形成する複合体は互いに排他的な構造となっている。)(iv)放出されたトリガーがきっかけとなり、シグナル増幅反応が進行する。蛍光や電気化学的ラベル化のみならず、反射光(SPR)、重量(QCM)などの分析手法が利用できるため、リアルタイムなモニタリングによって速度論的な解析を行うことも可能となる。
各ステップにおける詳細な検討内容は以下のとおりである。
(i)基板上へのアプタマー修飾したキャリアーの製造
非限定的例として、担持層として銅基板上に金メッキを施し、自己組織化単分子膜としてヒドロキシアルカンチオール膜を成膜し、核酸アプタマーとして末端アミノ化アプタマーを結合させた、アプタマー修飾されたキャリアーを利用可能である。
自己組織化単分子膜の末端に官能基を導入した後、必要に応じ、末端アミノ化アプタマーとキャッピング剤(メトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)基、又はヒドロキシル基(−OH)などを含む)を添加することによって、官能基のキャッピングを行ってもよい。
(ii)腫瘍細胞の基板への捕捉効率の評価
腫瘍細胞を含むサンプル溶液を修飾基板(キャリアー)上に滴下し、標的とする腫瘍細胞を選択的に捕捉する。血清培地中の腫瘍細胞を用いて、細胞捕捉効率(捕捉数)や細胞選択性の確認を行う。また、基板洗浄法も最適化する。得られた結果を基板調製法の検討(アプタマー固定化密度、リンカー長、SAM膜の末端ヒドロキシル基のキャッピングなどの最適化)にフィードバックする。図3に示すように、血清培地中における腫瘍細胞検出を試みた結果、選択的に腫瘍細胞を捕捉することに成功している。インキュベーション時間は、例えば30分程度でよいが、反射光(SPR)、重量(QCM)などの分析手法を用い、基板に対する細胞の結合の速度論的な解析を行って、捕捉のためのインキュベーション時間を最適化することが可能である。
(iii)腫瘍細胞に応答したトリガー核酸の放出効率の評価
使用するEpCAMアプタマーの詳細な結合構造について、図4に示すようにOlgoAnalyzerによって、アプタマー自体の構造予測を行ってみると3つのへアピンループ構造を有していることがわかった。そのヘアピンループいずれかを除去すると、著しくEpCAMに対する結合親和性が低下することから、これらのヘアピンループが協同的にEpCAMを認識していることが予想される。このヘアピンループ構造のいずれかlつとトリガーを二本鎖形成させておいても、あらかじめ、熱力学的にEpCAMとアプタマーの結合の方が安定となるように設計しておけば、アプタマーがEpCAMを認識して結合した際に、トリガーが放出されると予想される。最も効率的にトリガーを放出可能な部位を特定するために、異なる色素でラベル化したアプタマーとトリガーを用い、EpCAMと作用させた後、ゲル電気泳動にて、トリガーの放出効率を評価する。最も良い候補を選別した後、アプタマーとトリガーが形成する二本鎖長を微調整し、トリガー放出効率を最適化する。EpCAMを用いて最適化した条件を参考にしながら、腫瘍細胞を用いて同様な評価を行う。
(iv)トリガーによるシグナル増幅効率の評価
放出された一本鎖をトリガーとして核酸サーキットを用いてシグナルを増幅させる。条件検討の段階では、実際に腫瘍細胞によって放出されたトリガーではなく、細胞数個〜数十個から放出されると想定される量(amol〜fmol(fM〜nM)オーダー)のトリガーを用いて実験を行う(体積は100μL程度とする)。
蛍光色素と、消光色素を修飾した2種のDNAプローブを作製する。あらかじめ、互いの修飾部位が近接するような状態でそれらの相補鎖とタンデム二本鎖複合体を形成させておく(蛍光オフ)。腫瘍細胞に応答して放出されたトリガーは、その複合体末端のtoehold部位をきっかけとし、鎖交換反応を引き起こす。結果、消光色素修飾プローブが二本鎖複合体から放出され、蛍光プローブが発光する。ここにサーキットを回転させるための燃料となるDNAを加えておくと、再びtoehold部位をきっかけとしたエントロピー駆動型の鎖交換反応が起こり、蛍光プローブのみならずトリガー核酸も再度溶液中に放出され、トリガーが再利用可能となる。プローブ複合体ならびに燃料DNAを過剰に加えておけば、わずかなトリガー核酸(すなわち、わずかなEpCAM、わずかなCTC)から強いシグナル応答を得ることができる。
(v)血液マトリックス中での腫瘍細胞捕捉実験とその検出実験
血清培地中での実験で得られた最適条件を元に、血液(全血)マトリックス中で腫瘍細胞捕捉実験を行う。実際の患者の血液を想定し、これと同等な腫瘍細胞濃度(10mL中に数個の腫瘍細胞)となるように、血液に対して腫瘍細胞を混合し、これを捕捉実験に用いる。必要があれば、遠心分離により、血球成分と血漿成分とを別け、血球成分を用いる。最適化された条件により実際に腫瘍細胞を捕捉する。洗浄後、100μL程度のPBS中にトリガーとアプタマーの二本鎖複合体を加え、一定時間のインキュベーション後、シグナル増幅を実行するためのプローブ二本鎖複合体や燃料核酸を最小体積で加え、トリガー放出、ならびにシグナル増幅を行う。得られた結果を、各ステップの分子設計にフィードバックする。
本発明は、一態様として、腫瘍細胞に応答しシグナルを増幅する核酸サーキットを回転させる手法を含む。以下に、一態様としてキャリアー上に捕捉された腫瘍細胞の検出シグナルを増幅する方法の概要を記載する。
核酸アプタマーと核酸サーキットを開始するトリガー核酸からなる二本鎖複合体をPBS中で調製し、これをキャリアーと接触させる。
核酸アプタマーの配列は、以下の通りである。
SYL3C:
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’ (配列番号1)
トリガー核酸の配列は、以下の通りである。
5’−ACAGACGCAACCTCTGT−3’ (配列番号2)
キャリアー上に捕捉された腫瘍細胞膜上の特定タンパク質と複合体中の核酸アプタマーとの結合に伴い、二本鎖複合体が解離し、トリガーが放出される。核酸アプタマーはトリガーより標的細胞に対してより安定に結合する。放出されたトリガーがきっかけとなり、核酸サーキットが進行し、シグナルが増幅される。
以下に、具体的に説明する。細胞懸濁液をアプタマー修飾キャリアーと接触させ、細胞を捕捉した後、PBSで洗浄する。続いて、核酸アプタマーと核酸サーキットを開始するトリガー核酸からなる二本鎖複合体をPBS中で別途調製し、これをキャリアーと一定時間接触させた後、この溶液を回収する。ここで、キャリアー上に捕捉された標的細胞膜上の特定タンパク質と、核酸アプタマーとの結合に伴い、二本鎖複合体は解離し、トリガーはこの回収溶液中に一本鎖として遊離している。続いて、蛍光色素(FAM)と、消光色素(BHQ1)を修飾した2種のDNAプローブを、互いの修飾部位が近接するように(蛍光オフ)、それらの相補鎖とタンデム二本鎖複合体を形成させておく(PBS中で調製)。このプローブ溶液を上記回収した溶液と混合する。
鋳型DNA配列:
5’−ACAGAGGTTGCGTCTGTAGGGCCGTAAGTTAGTTGGAGACG−3’ (配列番号3)
蛍光色素DNAプローブの配列:
5’−CGTCTCCAACTAACTTACGG−3’ (配列番号4)
消光色素DNAプローブの配列:
5’−CCCTACAGACGCAAC−3’ (配列番号5)
燃料DNA配列:
5’−CGTCTCCAACTAACTTACGGCCCTACAGACGCAAC−3’ (配列番号6)
遊離したトリガーが、その複合体末端のtoehold部位をきっかけとし、鎖交換反応を引き起こす。結果、消光色素修飾プローブが二本鎖複合体から遊離し、蛍光プローブが発光する。さらに、サーキットを回転させるための燃料核酸溶液(PBS中にて調製)をこれに加えることで、燃料核酸がエントロピー駆動型の鎖交換反応を起こし、蛍光プローブのみならずトリガー核酸も遊離する(トリガーの再生)。すなわち、トリガーは、次のサーキットを開始することが可能な状態になる。よって、プローブ複合体ならびに燃料核酸を過剰に加えておけば、このサイクルは何度も繰り返されるため、わずかなトリガー核酸(すなわち、わずかな標的細胞)から強いシグナル応答を得ることができる。同反応を用いれば、PCRのようにサーマルサイクルを必要とせず、等温条件下、酵素フリーでシグナルを増幅させることが可能である。
キャリアーとして、赤血球(約7μm)や白血球(約15μm)などの正常細胞の寸法よりも大きな直径(20μm程度)の穴のあいたフィルター状の構造物、平面上に複数の微小なピラーを有する構造物、渦巻状の立体構造物などを用いることで、血液(全血)マトリックス中から標的癌細胞の捕捉を行うことが可能となる。必要があれば、遠心分離により、血球成分と血漿成分とを別け、血球成分を用いる。捕捉後、PBSでキャリアーを洗浄し、トリガーとインターフェースの二本鎖複合体と一定時間接触させた後、その溶液を回収し、プローブ複合体溶液ならびに燃料核酸溶液と混合し、一定時間インキュベーションする。この混合溶液の発光をみることで簡易に血中の微量な癌細胞を検出することが可能となる。
本発明の方法により、微量なCTCから多くのシグナルを得ることが可能となる。また、発シグナル反応ならびにシグナル増幅反応は、細胞上ではなく、細胞を含む溶液中で起こるため、従来技術のように細胞一つ一つを直接観察する必要がない。例えば、蛍光色素とその消光色素を修飾した2種のDNAプローブを用いた場合では、CTCを含む溶液がCTCに応答して発光する仕組みとなっており、目視または汎用の分光器で簡便に検出できることが予想される。なお、一連の反応はCTCに応答して、等温下、自発的に進行するため、実験者は細胞に対してこれらの試薬を混ぜるだけでよい。その他にも、電気化学的活性な分子とそのサイレンサーの組み合わせを用いれば、電気化学的な検出も可能である。また、コロイド粒子、ナノ粒子等を修飾したプローブ二本鎖複合体をセンサーチップ上に化学修飾し、トリガーに応答して脱離させる仕組みとすれば、SPRやQCMなどの様々な分析法にも応用が可能であり、汎用性の高い手法である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
[実施例1]
本実施例は、標的細胞を特異的に捕捉可能なキャリアーの作製方法に関する。元素周期表第10族元素、第11族元素又はこれらの組み合わせを含む担持層に対して、標的細胞の表層に発現するタンパク質に特異的に結合する核酸アプタマーで修飾することで、標的細胞の捕捉用キャリアーとして用いることが可能となる。核酸アプタマーを介しない非特異的な細胞の吸着を抑制するため、(1−1)担持層上に自己組織化単分子膜を作製後、その上にアプタマーを修飾する、もしくは(1−2)アプタマーを担持層上に直接修飾後、残りの残余面に自己組織化単分子膜を作製する。以下に、代表例として担持層として金を用いる際のキャリアー製造方法の詳細を述べる。
担持層としては、パターニング工程を施していない(パターンの無い)平面の金基板を用いた。金基板は、金属板または通電性のあるSi基板の一面に、Niメッキ後、金メッキを施ししたものを用いた。
(1−1) 自己組織化単分子膜上に核酸アプタマーが修飾されたキャリアーの製造(図5)
(a) 自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基のキャリアーの製造方法
金メッキを施した基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、この基板を1mMヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、12時間室温で反応させて自己組織化単分子膜を形成させた。次いで、この基板をエタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、10mM N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を滴下し、飽和蒸気圧下で5時間静置し、自己組織化単分子膜の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した。次いで、乾燥アセトニトリルで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、PBS(リン酸緩衝食塩水)中にて調製した10μM末端アミノ化アプタマー溶液(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)を滴下して、飽和蒸気圧下で3時間静置し、自己組織化単分子膜の末端のN−ヒドロキシスクシンイミド基とアプタマーのアミノ基を反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させた。最後にPBSで洗浄後、窒素を吹きかけて乾燥させた。
核酸アプタマーの配列は、以下の通りである。
SYL3C:
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’
(配列番号1)
(b) 自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基以外のキャリアーの製造方法
自己組織化単分子膜末端のヒドロキシル基を別の官能基(−OCH、−CONHCH、−CONHなど)に変えることも可能である。導入したい官能基と共に、脂肪族アミンを有する化合物であれば、これを用いて自己組織化単分子膜末端を修飾可能である。本実施例(実施例1−1(b))では、その一例としてメトキシエチルアミンを使用した例を説明する。
自己組織化単分子膜を形成させ、N−ヒドロキシスクシンイミド基を導入して末端ヒドロキシル基を活性化させるまでの操作は上記(a)と同様な操作を行った。上記(a)で製造したヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールの自己組織単分子膜の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した後、10μM末端アミノ化アプタマー(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)と0.1μMメトキシエチルアミンの混合溶液(PBS中にて調製)を添加し、37℃で3時間静置した。PBSで洗浄後、窒素を吹きかけて乾燥させ、次に2mg/mLメトキシエチルアミン溶液(PBS中にて調製)を基板上に添加し、37℃で3時間静置した。最後にPBSで洗浄後、窒素を吹きかけて乾燥させた。
(1−2) 核酸アプタマーが直接修飾されたキャリアーの製造方法(図6)
金メッキを施した基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、PBS溶液中にて調製した10μM末端チオール化アプタマー溶液(3’末端側にヘキサエチレングリコールスペーサーを介し、トリメチレンチオールを導入した構造のアプタマー)を基板表面に添加し、飽和蒸気圧下で24時間反応させて、担持層に核酸アプタマーを直接、チオール結合させた。次いで、核酸アプタマーが結合している担持層を1mMヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、2時間室温で反応させて自己組織化単分子膜を形成させた。次いで、エタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた。
[実施例2]
本実施例では、多くの固形癌種の細胞膜上に高発現しているEpCAMに対するアプタマーを用い、癌細胞の特異的な捕捉を試みた。
核酸アプタマーの配列は、以下の通りである。
SYL3C:
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’ (配列番号1)
4]
MDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)及びKATOIII(ヒト胃癌由来細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を標的細胞として、細胞膜をDiO(緑色標識染色体)で染色し、HEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を対照となる正常細胞として、細胞膜をDiD(赤色標識染色体)で染色し、細胞の核をDAPI(4’、6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、青色標識染色体)で染色した後、それぞれの懸濁液(2×10細胞/mL)中に、細胞膜上の疎水性が高い部位への非特異的な吸着を抑えるため、マスキング剤としてtRNA(1mg/mL)を加え、撹拌後、37℃で30分インキュベートし、3種類のサンプル生体試料を調製した。
次いで、実施例1(1−1)(b)で製造したキャリアーに3種類の生体試料を滴下し、PBSで洗浄した後、蛍光を観察した。結果を図3に示す。比較例として、標的細胞捕捉フィルターの代わりに、アプタマーを修飾していない金メッキ銅基板からなるフィルターを用いた以外は同様に行った。
図3左側からMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)及びKATOIII(ヒト胃癌由来細胞)の赤色の蛍光は観察されたが、正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)の赤色の蛍光は観察されなかったことから、本発明の標的細胞捕捉装置を用いることで、標的細胞のみを特異的に捕捉できたことが確認できた。また、比較例(図3右側)では、赤色の蛍光が観察できず、標的細胞を捕捉できなかったことが確認できた。
[実施例3]
実施例1(1−1)(a)で製造したキャリアーを用いた以外は実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図7に示す。
図7(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図7(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり、図7(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図7(a)〜(c)より、正常細胞はほとんど捕捉されていないことが確認できる。図7(d)は捕捉されたMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiOの蛍光で観察した画像であり、図7(e)は捕捉されたMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図7(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図7(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の蛍光が確認できた。図7(c)と(f)を対比することによって標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
[実施例4]
実施例(1−2)で製造したキャリアーを用いた以外は実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図8に示す。
図8(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図8(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり、図8(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図8(a)〜(c)より、赤色の蛍光は非常に少なく、正常細胞はあまり捕捉されていないことが確認できる。図8(d)はMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiO蛍光で観察した画像であり、図8(e)はMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図8(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図8(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の蛍光が多数確認できた。図8(c)と(f)を対比することによって標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
[実施例5]
担持層31として、銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施した基板を準備した。この基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、この基板を1mM6−メルカプト−1−ヘキサノールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、12時間室温で反応させて自己組織化単分子膜32を形成させた。次いで、この基板をエタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、10mM N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を滴下し、飽和蒸気圧下で5時間静置し、自己組織化単分子膜32の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した。次いで、乾燥アセトニトリルで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、PBS(リン酸緩衝食塩水)中にて調製した10μM末端アミノ化アプタマー溶液(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)を滴下して、飽和蒸気圧下で3時間静置し、自己組織化単分子膜32の末端のN−ヒドロキシスクシンイミド基とアプタマーのアミノ基を反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させた。最後にPBSで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させ、標的細胞捕捉キャリアーを製造した。
上記製造されたキャリアーを用いた以外は、実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図9に示す。
図9(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図9(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり,図9(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図9(a)〜(c)より、正常細胞はあまり捕捉されていないことが確認できる。図9(d)はMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiO蛍光で観察した画像であり、図9(e)はMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図9(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図9(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の多数の蛍光が明瞭に確認できた。図9(c)と(f)を対比することによって標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
[実施例6]
担持層31として、銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施した基板を準備した。この基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、PBS溶液中にて調製した10μM末端チオール化アプタマー溶液(3’末端側にヘキサエチレングリコールスペーサーを介し、トリメチレンチオールを導入した構造のアプタマー)を基板表面に添加し、飽和蒸気圧下で24時間反応させて、担持層31にアプタマー33を直接、チオール結合させた。次いで、アプタマー33が結合している担持層31を1mM6−メルカプト−1−ヘキサノールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、2時間室温で反応させて自己組織化単分子膜32を形成させた。次いで、エタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させ、標的細胞捕捉キャリアーを製造した。
上記製造されたキャリアーを用いた以外は、実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図10に示す。
図10(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図10(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり、図10(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図10(a)〜(c)より、正常細胞はあまり捕捉されていないことが確認できる。図10(d)はMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiO蛍光で観察した画像であり、図10(e)はMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図10(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図10(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の多数の蛍光が明瞭に確認できた。図10(c)と(f)を対比することによって、標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
本発明を、標的細胞に応答し、発シグナル分子を増幅する核酸サーキットを回転させる技術に関する。本発明の方法は、低コストかつ簡便な操作で迅速でCTC等の標的細胞の検出が行える仕組みとなっている。よって、病院などで行われる患者への予後診断のみならず、職場や学校で行われる定期健診のような場で患者を発見するための診断にも貢献できることが想定される。また、標的細胞の捕捉と検出を既存のシステムよりも迅速に行えるため、がん患者への外科手術中に病巣摘出の奏功を判断するための検査にも利用することが可能である。超高齢社会の進展による医療費の高騰という課題に対してもがんの早期発見による利点は大きく、同総合システムは、社会のニーズに対して時適を得ており、将来性も高い。
31:担持層
32:自己組織化単分子膜
33:アプタマー又は抗体

Claims (16)

  1. 生体試料中の目的とする細胞を検出する方法であって、
    (1)以下の物質(i)−(iii):
    (i)4種類のセグメントが連結した配列(第1a配列、第2a配列、第3a配列、第4a配列)を含む鋳型核酸、並びに、鋳型核酸と二本鎖を形成した、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体、
    ここにおいて、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブは、以下の(a)又は(b)の組み合わせ
    (a)第1a配列に相補的な第1b配列が発シグナル分子で修飾された、発シグナル分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブの組み合わせ、又は
    (b)第1a配列に相補的な第1b配列がシグナル抑制分子で修飾された、シグナル抑制分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブの組み合わせ、
    から選択され、
    ここにおいて、発シグナル分子とシグナル抑制分子は、鋳型核酸と二本鎖を形成している際はシグナルが抑制されるように近接して存在する、
    (ii)目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体、ここにおいて、トリガー核酸は、第3a配列+第4a配列に相補的な第3b配列+第4b配列の塩基配列を含む、並びに、
    (iii)第1a配列+第2a配列+第3a配列に相補的な第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸、
    を準備する工程;
    (2)キャリアー上に捕捉されている細胞を含む溶液に、工程(1)の核酸アプタマー複合体、核酸複合体、及び燃料核酸を加える工程、ここにおいて、核酸アプタマー複合体から放出されたトリガー核酸により、シグナルが増幅される;そして、
    (3)シグナルを検出する工程、
    含む、前記方法。
  2. 発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブが、(a)の組み合わせである、請求項1の方法。
  3. 第4a配列の長さが第2a配列の長さよりも長い、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 核酸アプタマーが、DNAである、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 目的とする細胞が、腫瘍細胞である、請求項1−4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 目的とする細胞が、血中循環腫瘍細胞である、請求項5に記載の方法。
  7. 核酸アプタマーが、細胞接着分子に対する核酸アプタマーである、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 核酸アプタマーが、配列番号1からなる、又は、を含む、請求項1−7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー又は抗体によって、目的とする細胞がキャリアーに捕捉されている、請求項1−8のいずれか1項に記載の方法。
  10. キャリアーが、
    (i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
    (ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
    (iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー又は抗体と、
    を備えている、請求項9に記載の方法。
  11. 自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、アプタマー又は抗体と結合している、請求項10に記載の方法。
  12. 担持層は、金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 生体試料由来の目的とする細胞を、キャリアーに捕捉する工程をさらに含む、請求項1−12に記載の方法。
  14. 生体試料が、体液又は細胞単離液から選択される、請求項1−13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 生体試料が、血液である、請求項1−14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 請求項1−15に記載の生体試料中の目的とする細胞を検出するための方法に用いるキットであって、
    以下の物質(i)−(iii):
    (i)4種類のセグメントが連結した配列(第1a配列、第2a配列、第3a配列、第4a配列)を含む鋳型核酸、並びに、鋳型核酸と二本鎖を形成した、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブ、を含む核酸複合体、
    ここにおいて、発シグナル分子修飾核酸プローブ及びシグナル抑制分子修飾核酸プローブは、以下の(a)又は(b)の組み合わせ
    (a)第1a配列に相補的な第1b配列が発シグナル分子で修飾された、発シグナル分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列がシグナル抑制分子で修飾されたシグナル抑制分子修飾核酸プローブの組み合わせ、又は
    (b)第1a配列に相補的な第1b配列がシグナル抑制分子で修飾された、シグナル抑制分子修飾核酸プローブと、第2a配列+第3a配列に相補的な第2b配列+第3b配列が発シグナル分子で修飾された発シグナル分子修飾核酸プローブの組み合わせ、
    から選択され、
    ここにおいて、発シグナル分子とシグナル抑制分子は、鋳型核酸と二本鎖を形成している際はシグナルが抑制されるように近接して存在する、
    (ii)目的とする細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマー、及び、当該核酸アプタマーの一部分に相補的な塩基配列を有し、アプタマーの一部分に塩基対結合して二本鎖を形成しているトリガー核酸、を含む核酸アプタマー複合体、ここにおいて、トリガー核酸は、第3a配列+第4a配列に相補的な第3b配列+第4b配列の塩基配列を含む、並びに、
    (iii)第1a配列+第2a配列+第3a配列に相補的な第1b配列+第2b配列+第3b配列の塩基配列を含む、燃料核酸
    を含むキット。
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