JP2017079621A - 油分分離装置及び油分分離方法 - Google Patents

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和宏 伊藤
Kazuhiro Ito
和宏 伊藤
光治 前田
Mitsuharu Maeda
光治 前田
康浩 菓子野
Yasuhiro Kashino
康浩 菓子野
永治 藤田
Eiji Fujita
永治 藤田
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Abstract

【課題】微細藻類の細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊して微細藻類に蓄積された油分を分離することができる上、装置の耐久性を向上させることができる油分分離装置及び油分分離方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一実施形態の油分分離装置は、水蒸気生成手段と蒸気エジェクタ3とを備える。蒸気エジェクタ3は、微細藻類の懸濁液を吸引する第1開口部10、水蒸気が流入する第2開口部11、懸濁液と水蒸気とが混合される内室12、第1開口部10と内室12とを連通する第1流路13、第2開口部11と内室12とを連通する第2流路14、及び内室12に連通して懸濁液と水蒸気との混合物が流出する第3流路15を有し、水蒸気を第2開口部11から内室12へ噴出させることにより内室12に発生する負圧を利用して第1開口部10から懸濁液を吸引し、懸濁液と水蒸気とを混合させて懸濁液中の微細藻類に蓄積された油分を分離する。【選択図】図2

Description

本発明は、微細藻類に蓄積された油分を分離する油分分離装置及び油分分離方法に関するものである。
近年、微細藻類の細胞内に蓄積されたトリグリセリド等の油分を分離してバイオディーゼル燃料を生産する技術について検討されている。バイオディーゼル燃料を生産するバイオファクトリーは、通常数百へクタールもの規模になるため、大量の微細藻類から低コストで連続的に油分を分離する方法が望まれている。微細藻類の中でも珪藻は、世代時間が短く、生息可能範囲が広いため大量培養しやすいといった長所をもつ。
一方、微細藻類から油分を分離するためには、油分が蓄積される細胞質を覆う細胞壁を破壊する必要がある。特に、珪藻は、「シリカ殻」と呼ばれる堅固な細胞壁に覆われているため、このシリカ殻を効率良く破壊して油分を分離する方法が検討されている。
微細藻類の細胞壁を破壊する技術としては、例えば微細藻類を懸濁させた液に超音波を当てて細胞壁を超音波振動で破壊する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平8−275793号公報
ところが、上記特許文献1に記載の細胞壁を超音波振動で破壊する方法では1回の処理に数分程度の時間を要するため、大量の微細藻類を連続処理する場合は処理時間が飛躍的に増大するおそれがある。また、上記方法では超音波を発生させる振動子の動力源が必要となるため、大量に処理する場合は処理に多大なエネルギーが必要となる。更に、上記方法では長時間の超音波照射により装置内において振動が伝わる箇所に応力が集中し、装置が経時劣化するおそれがあるため、装置の耐久性に課題がある。
そこで、本発明においては、微細藻類の細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊して微細藻類に蓄積された油分を分離することができる上、装置の耐久性を向上させることができる油分分離装置及び油分分離方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の油分分離装置は、微細藻類に蓄積された油分を分離する油分分離装置であって、水蒸気を生成する水蒸気生成手段と、蒸気エジェクタとを備え、前記蒸気エジェクタは、前記微細藻類の懸濁液を吸引する第1開口部、前記水蒸気が流入する第2開口部、前記懸濁液と前記水蒸気とが混合される内室、前記第1開口部と前記内室とを連通する第1流路、前記第2開口部と前記内室とを連通する第2流路、及び前記内室に連通して前記懸濁液と前記水蒸気との混合物が流出する第3流路を有し、前記水蒸気を前記第2開口部から前記内室へ噴出させることにより前記内室に発生する負圧を利用して前記第1開口部から前記懸濁液を吸引し、前記懸濁液と前記水蒸気とを混合させて前記懸濁液中の微細藻類に蓄積された油分を分離することを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、水蒸気を噴出させることにより負圧が発生した蒸気エジェクタの内室に微細藻類の懸濁液を供給することで、温度及び圧力の急激な変化、微細藻類と蒸気エジェクタの内壁との衝突、微細藻類同士の衝突等が生じ、これにより微細藻類の細胞壁にクラックを発生させ、細胞壁を破壊することができる。また、蒸気エジェクタの内室において微細藻類と水蒸気とを接触させることにより水熱反応が生じるため、微細藻類の細胞質を形成する蛋白質の凝固・変性を促進させることができる。その結果、細胞壁及び細胞質の双方が破壊されるため、細胞壁の内側の細胞質に蓄積されていた油分を分離することができる。なお、細胞壁が破壊されなかった微細藻類であっても細胞壁の内側の細胞質が破壊されるため、この細胞質に蓄積されていた油分を細胞壁の微細孔等を通じて外部へ流出させることができる。上述の処理は、微細藻類の懸濁液が蒸気エジェクタ内を通過する極めて短い時間に行われ、かつ水蒸気生成手段以外の動力源が不要なため、微細藻類の細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊して微細藻類に蓄積された油分を分離することができる。また、蒸気エジェクタは、処理中において可動させる部分がないため、装置の経時劣化を低減させることができる。これにより、装置の耐久性を向上させることができる。
(2)上記(1)の油分分離装置において、前記第3流路には前記内室側から下流側に向かうにつれて縮径する縮径部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、縮径部において水蒸気が圧縮されることにより水蒸気の凝縮が促進されるため、この凝縮により生じた水が微細藻類の細胞壁に衝突し(以下、この現象を「凝縮衝突」ともいう。)、細胞壁をより容易に破壊することができる。
(3)上記(1)の油分分離装置において、前記蒸気エジェクタは、前記第1流路の前記内室側の一部が前記第2流路の内側に配設されていることが好ましい。この構成によれば、微細藻類の懸濁液と水蒸気とが混合される内室において、微細藻類の懸濁液を包み込むように水蒸気が流入するため、蒸気エジェクタ内において微細藻類に起因する閉塞を抑制できる。これにより、油分の分離処理を安定して行うことができる。
(4)上記(1)の油分分離装置において処理する微細藻類としては、珪藻が好ましい。珪藻は、世代時間が短く、生息可能範囲が広いため大量培養しやすいといった長所をもつことから、バイオディーゼル燃料を大量生産するバイオファクトリーに好適である。また、上記(1)の油分分離装置によれば、上述の通り細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊できるため、従来の油分分離装置では破壊が困難であった珪藻の堅固な細胞壁(シリカ殻)であっても効率良く破壊し、シリカ殻の内側に蓄積された油分を分離することができる。
(5)本発明の油分分離方法は、微細藻類に蓄積された油分を分離する油分分離方法であって、蒸気エジェクタ内で前記微細藻類の懸濁液と水蒸気とを混合させて前記懸濁液中の微細藻類に蓄積された油分を分離する工程を備え、前記蒸気エジェクタは、前記微細藻類の懸濁液を吸引する第1開口部、前記水蒸気が流入する第2開口部、前記懸濁液と前記水蒸気とが混合される内室、前記第1開口部と前記内室とを連通する第1流路、前記第2開口部と前記内室とを連通する第2流路、及び前記内室に連通して前記懸濁液と前記水蒸気との混合物が流出する第3流路を有し、前記水蒸気を前記第2開口部から前記内室へ噴出させることにより前記内室に発生する負圧を利用して前記第1開口部から前記懸濁液を吸引し、前記懸濁液と前記水蒸気とを混合させて前記懸濁液中の微細藻類に蓄積された油分を分離することを特徴とする。
上記(5)の構成によれば、水蒸気を噴出させることにより負圧が発生した蒸気エジェクタの内室に微細藻類の懸濁液を供給することで、温度及び圧力の急激な変化、微細藻類と蒸気エジェクタの内壁との衝突、微細藻類同士の衝突等が生じ、これにより微細藻類の細胞壁にクラックを発生させ、細胞壁を破壊することができる。また、蒸気エジェクタの内室において微細藻類と水蒸気とを接触させることにより水熱反応が生じるため、微細藻類の細胞質を形成する蛋白質の凝固・変性を促進させることができる。その結果、細胞壁及び細胞質の双方が破壊されるため、細胞壁の内側の細胞質に蓄積されていた油分を分離することができる。なお、細胞壁が破壊されなかった微細藻類であっても細胞壁の内側の細胞質が破壊されるため、この細胞質に蓄積されていた油分を細胞壁の微細孔等を通じて外部へ流出させることができる。上述の処理は、微細藻類の懸濁液が蒸気エジェクタ内を通過する極めて短い時間に行われ、かつ水蒸気生成手段以外の動力源が不要なため、微細藻類の細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊して微細藻類に蓄積された油分を分離することができる。また、蒸気エジェクタは、処理中において可動させる部分がないため、装置の経時劣化を低減させることができる。これにより、装置の耐久性を向上させることができる。
本発明の油分分離装置及び油分分離方法によれば、微細藻類の細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊して微細藻類に蓄積された油分を分離することができる上、装置の耐久性を向上させることができる。これにより、例えば大量の微細藻類から連続的に油分を分離するバイオファクトリーに適用した場合、低コスト化が容易となる。
本発明の一実施形態の油分分離装置を説明するための概略構成図である。 図1の油分分離装置に使用される蒸気エジェクタの概略断面図である。 本発明の別の実施形態の油分分離装置に使用される蒸気エジェクタの概略断面図である。 実施例で使用された油分分離装置を説明するための概略構成図である。 実施例の油分分離装置で処理する前の珪藻の光学顕微鏡写真である。 実施例の油分分離装置で処理する前の珪藻についてナイルレッドにより油分を染色した光学顕微鏡写真である。 実施例の油分分離装置で処理した後の珪藻の光学顕微鏡写真である。 実施例の油分分離装置で処理した後の珪藻についてナイルレッドにより油分を染色した光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の油分分離装置1を説明するための概略構成図である。油分分離装置1は、水蒸気を生成する水蒸気生成手段であるボイラ2、微細藻類に蓄積された油分を分離する蒸気エジェクタ3等を主に備える。ボイラ2と蒸気エジェクタ3とは水蒸気供給管4を介して接続されており、水蒸気供給管4に設けられた水蒸気弁5を開放することによりボイラ2から蒸気エジェクタ3内へ水蒸気を供給することができる。
また、蒸気エジェクタ3には懸濁液槽6に貯留された微細藻類の懸濁液7を供給するための懸濁液供給管8が接続されており、懸濁液供給管8に設けられた懸濁液弁9を開放することにより懸濁液槽6から蒸気エジェクタ3内へ懸濁液7を供給することができる。
微細藻類の懸濁液7としては、例えば微細藻類の培養液等が使用できる。
懸濁液7中に含まれる微細藻類としては、油分を蓄積するものであれば特に限定されないが、例えば珪藻、車軸藻、褐藻、緑藻、黄緑藻、真正眼点藻、ハプト藻、紅藻、藍藻等が挙げられる。中でも珪藻は、世代時間が短く、生息可能範囲が広いため大量培養しやすいといった長所をもつことから、バイオディーゼル燃料を大量生産するバイオファクトリーに好適である。また、油分分離装置1によれば、後述するように細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊できるため、従来の油分分離装置では破壊が困難であった珪藻の堅固な細胞壁(シリカ殻)であっても効率良く破壊し、シリカ殻の内側に蓄積された油分を分離することができる。
次に、蒸気エジェクタ3について図2を参照しながら説明する。図2は、蒸気エジェクタ3の概略断面図である。蒸気エジェクタ3は、懸濁液7を吸引する第1開口部10、水蒸気が流入する第2開口部11、懸濁液7と水蒸気とが混合される内室12、第1開口部10と内室12とを連通する第1流路13、第2開口部11と内室12とを連通する第2流路14、内室12に連通して懸濁液7と水蒸気との混合物が流出する第3流路15等を有する。
第1流路13の内室12側には、下流側に向かうにつれて縮径する第1縮径部13aが設けられている。この第1縮径部13aは、第2流路14の内側に配設されている。
第3流路15には、内室12側から流路中央まで下流側に向かうにつれて縮径する第2縮径部15aと、流路中央から出口15cまで下流側に向かうにつれて拡径する拡径部15bとが設けられている。
次に、油分分離装置1を用いて微細藻類に蓄積された油分を分離する油分分離方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。
まず、ボイラ2により水蒸気を生成させ、水蒸気供給管4を介して第2開口部11から矢印a方向に水蒸気を流入させる。第2開口部11から流入した水蒸気は、第2流路14の内壁と第1縮径部13aとの間隙に到達すると、圧力が上昇するため、第2流路14から内室12に向かって噴出する。この際、上記間隙の断面積(水蒸気の流動方向に垂直となる断面の面積)よりも内室12の断面積が大きいため、水蒸気が内室12に噴出した際に水蒸気の圧力が減少する。これにより、内室12に負圧が発生する。この負圧の吸引力により、微細藻類の懸濁液7を第1開口部10から矢印b方向に吸引し、内室12において懸濁液7と水蒸気とを混合させる。
上記混合により、温度及び圧力の急激な変化、微細藻類と内室12の内壁及び第3流路15の内壁との衝突、微細藻類同士の衝突等が生じ、これにより微細藻類の細胞壁にクラックを発生させ、細胞壁を破壊することができる。また、内室12において微細藻類と水蒸気とを接触させることにより水熱反応が生じるため、微細藻類の細胞質を形成する蛋白質の凝固・変性を促進させることができる。その結果、細胞壁及び細胞質の双方が破壊されるため、細胞壁の内側の細胞質に蓄積されていた油分を分離することができる。なお、細胞壁が破壊されなかった微細藻類であっても細胞壁の内側の細胞質が破壊されるため、この細胞質に蓄積されていた油分を細胞壁の微細孔等を通じて外部へ流出させることができる。上述の処理は、微細藻類の懸濁液7が蒸気エジェクタ3内を通過する極めて短い時間に行われ、かつボイラ2以外の動力源が不要なため、微細藻類の細胞壁を短時間かつ低エネルギーで破壊して微細藻類に蓄積された油分を分離することができる。また、蒸気エジェクタ3は、処理中において可動させる部分がないため、装置の経時劣化を低減させることができる。これにより、油分分離装置1の耐久性を向上させることができる。
なお、上記負圧の調整は、例えば第2流路14の内壁と第1縮径部13aとの間隙の大きさS1を変更することにより行うことができる。間隙の大きさS1は、例えば第1流路13を図示しない調整手段により図2中の左右方向にスライドさせることにより変更できる。
また、内室12で混合させた懸濁液7及び水蒸気の混合物は、第3流路15の第2縮径部15a及び拡径部15bを経て出口15cから矢印c方向に流出する。この際、水蒸気が有する熱量が懸濁液7に移動すると共に、第2縮径部15aにおいて水蒸気が圧縮されることにより水蒸気の凝縮が促進される。その結果、凝縮により生じた水が微細藻類の細胞壁に凝縮衝突するため、細胞壁をより容易に破壊することができる。また、上記混合物は、拡径部15bを通過することにより、その圧力及び流速が低下し、出口15cから流出する。
また、第1流路13において内室12側の第1縮径部13aが第2流路14の内側に配設されているため、懸濁液7と水蒸気とが混合される内室12において、懸濁液7を包み込むように水蒸気が流入する。これにより、蒸気エジェクタ3内において微細藻類に起因する閉塞を抑制できるため、油分の分離処理を安定して行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る油分分離装置について説明する。なお、以下において、上述した第1実施形態の油分分離装置1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態に係る油分分離装置は、上述した油分分離装置1とは蒸気エジェクタのみが異なる。図3は、第2実施形態に係る油分分離装置に使用される蒸気エジェクタの概略断面図である。図3に示す蒸気エジェクタ30は、油分分離装置1の蒸気エジェクタ3とは異なり、第1流路13の一部が第2流路14の内側に配設されておらず、図3中において上下方向に沿って設けられた第1流路13と、図3中において左右方向に沿って設けられた第2流路14とが、内室12において合流している。蒸気エジェクタ30のその他の主な構成については、蒸気エジェクタ3と同様である。よって、蒸気エジェクタ30によっても、上述した蒸気エジェクタ3と同様に内室12に発生させた負圧の吸引力により、微細藻類の懸濁液7を第1開口部10から吸引し、内室12において懸濁液7と水蒸気とを混合させることができる。従って、第2実施形態に係る油分分離装置によっても、第1流路13の一部が第2流路14の内側に配設されていることにより奏される効果以外については、上述した第1実施形態の油分分離装置1と同様の効果が奏される。
なお、第2実施形態に係る油分分離装置において上記負圧の調整は、例えば第2流路14と第3流路15との間隙の大きさS2を変更することにより行うことができる。間隙の大きさS2は、例えば第2流路14を図示しない調整手段により図3中の左右方向にスライドさせることにより変更できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成等は適宜設計変更可能である。
例えば、上記実施形態では、微細藻類の懸濁液が貯留された懸濁液槽から蒸気エジェクタに懸濁液を供給する構成としたが、微細藻類が生息している池の水等を直接蒸気エジェクタに供給する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、蒸気エジェクタを1つだけ使用した構成としたが、複数の蒸気エジェクタを並列に連結させてスケールアップを図ることもできる。
また、蒸気エジェクタへの懸濁液の供給管に、懸濁液中に混入した砂や砂利等の固形物を除去するためのストレーナを設けてもよい。
また、後述する実施例で示すように、蒸気エジェクタを安定して起動させるために、ポンプを用いて蒸気エジェクタに水を循環させながら供給できる装置を付加してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(油分分離装置の構成)
図4に、実施例で使用された油分分離装置を説明するための概略構成図を示す。なお、以下において、上述した第1実施形態の油分分離装置1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図4に示すように、実施例で使用された油分分離装置は、上述した油分分離装置1の蒸気エジェクタ3を備えている。この油分分離装置は、図示しない水蒸気生成手段から蒸気エジェクタ3へ矢印d方向に水蒸気が供給されるように構成されている。また、蒸気エジェクタ3には三方弁40が接続されている。この三方弁40は、懸濁液槽6に貯留された珪藻の懸濁液7の供給を阻止しつつ水槽50に貯留された水60を蒸気エジェクタ3に供給することができる。また、三方弁40は、懸濁液槽6に貯留された珪藻の懸濁液7を蒸気エジェクタ3に供給しつつ水槽50に貯留された水60の供給を阻止することもできる。
蒸気エジェクタ3内の流路等の寸法については、第1流路13の第1縮径部13a以外の個所の内径Dを5mm、第3流路15の最小内径を4mm、第2流路14の内壁と第1縮径部13aとの間隙の大きさS1を0.25mmとした(図2参照)。
(実験手順)
次に、実験手順について説明する。まず、三方弁40において、懸濁液槽6に貯留された珪藻の懸濁液7の供給を阻止しつつ水槽50に貯留された水60を蒸気エジェクタ3に供給できる位置に操作した。次いで、蒸気エジェクタ3を安定して起動させるために、ポンプPを用いて蒸気エジェクタ3に水60を循環させながら供給すると共に、水蒸気生成手段から蒸気エジェクタ3に水蒸気を供給した。蒸気エジェクタ3が起動した後、三方弁40において、懸濁液槽6に貯留された珪藻の懸濁液7を蒸気エジェクタ3に供給しつつ水槽50に貯留された水60の供給を阻止できる位置に操作し、懸濁液7中の珪藻の処理を開始した。なお、蒸気エジェクタ3に供給する前の懸濁液7の温度に対して蒸気エジェクタ3から流出した懸濁液7及び水の混合物の温度は、35.6℃高くなった。
(処理前後の珪藻の顕微鏡観察)
図5〜図8に上記処理前後の珪藻の光学顕微鏡写真を示す。図5は蒸気エジェクタ3で処理する前の珪藻単体の画像であり、図6は同じく蒸気エジェクタ3で処理する前の珪藻単体についてナイルレッドにより油分を染色した画像である。また、図7は蒸気エジェクタ3で処理した後の珪藻単体の画像であり、図8は同じく蒸気エジェクタ3で処理した後の珪藻単体についてナイルレッドにより油分を染色した画像である。
図5に示すように、処理前においては細胞質70の周りにシリカ殻80が存在することが分かる。また、図6に示すように、処理前においては細胞質70が染色されているため細胞質70に油分が蓄積されていることが分かる。一方、図7に示すように、処理後においてはシリカ殻80の形状が崩れていることが分かる。また、図8に示すように、処理後においては細胞質70に蓄積された油分が拡散していることが分かる。
(細胞数の測定)
蒸気エジェクタ3で処理した後の処理液に含まれる珪藻の細胞数は、血球計算盤を使って顕微鏡により測定した。この際、一定の形状を保っている細胞を「生きている細胞」とし、その個数についても測定した。比較のため、処理前の懸濁液7についても同様に測定した。結果を下記表1に示す。
(トリグリセリドの濃度の測定)
蒸気エジェクタ3で処理した後の処理液中に分離した油分(トリグリセリド)の濃度は、処理液(1.2mL)を遠心分離し、上清部分(1.0mL)中のトリグリセリドの量を和光純薬工業社の測定キット「トリグリセライドEテストワコー」を用いて測定し、処理液1L中の濃度に換算した。比較のため、処理前の懸濁液7についても同様に測定した。結果を下記表1に示す。
(考察)
表1に示すように、蒸気エジェクタ3で処理することにより、処理後の生きている細胞数が0となった。これは、蒸気エジェクタ3内で珪藻と水蒸気とを接触させることにより水熱反応が生じるため、珪藻の細胞質を形成する蛋白質の凝固・変性が促進したことによるものと考えられる。また、トリグリセリド濃度については、処理前に対して処理後は2倍以上増加した。これは、蒸気エジェクタ3で珪藻を処理することにより、珪藻の細胞壁(シリカ殻)を破壊して蓄積されたトリグリセリドを分離できたことによるものと考えられる。
1 油分分離装置
2 ボイラ(水蒸気生成手段)
3,30 蒸気エジェクタ
4 水蒸気供給管
5 水蒸気弁
6 懸濁液槽
7 懸濁液
8 懸濁液供給管
9 懸濁液弁
10 第1開口部
11 第2開口部
12 内室
13 第1流路
13a 第1縮径部
14 第2流路
15 第3流路
15a 第2縮径部
15b 拡径部
15c 出口
40 三方弁
50 水槽
60 水
70 細胞質
80 シリカ殻(細胞壁)
P ポンプ

Claims (5)

  1. 微細藻類に蓄積された油分を分離する油分分離装置であって、
    水蒸気を生成する水蒸気生成手段と、蒸気エジェクタとを備え、
    前記蒸気エジェクタは、前記微細藻類の懸濁液を吸引する第1開口部、前記水蒸気が流入する第2開口部、前記懸濁液と前記水蒸気とが混合される内室、前記第1開口部と前記内室とを連通する第1流路、前記第2開口部と前記内室とを連通する第2流路、及び前記内室に連通して前記懸濁液と前記水蒸気との混合物が流出する第3流路を有し、前記水蒸気を前記第2開口部から前記内室へ噴出させることにより前記内室に発生する負圧を利用して前記第1開口部から前記懸濁液を吸引し、前記懸濁液と前記水蒸気とを混合させて前記懸濁液中の微細藻類に蓄積された油分を分離することを特徴とする油分分離装置。
  2. 前記第3流路には、前記内室側から下流側に向かうにつれて縮径する縮径部が設けられている請求項1に記載の油分分離装置。
  3. 前記蒸気エジェクタは、前記第1流路の前記内室側の一部が前記第2流路の内側に配設されている請求項1又は請求項2に記載の油分分離装置。
  4. 前記微細藻類は珪藻である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の油分分離装置。
  5. 微細藻類に蓄積された油分を分離する油分分離方法であって、
    蒸気エジェクタ内で前記微細藻類の懸濁液と水蒸気とを混合させて前記懸濁液中の微細藻類に蓄積された油分を分離する工程を備え、
    前記蒸気エジェクタは、前記微細藻類の懸濁液を吸引する第1開口部、前記水蒸気が流入する第2開口部、前記懸濁液と前記水蒸気とが混合される内室、前記第1開口部と前記内室とを連通する第1流路、前記第2開口部と前記内室とを連通する第2流路、及び前記内室に連通して前記懸濁液と前記水蒸気との混合物が流出する第3流路を有し、前記水蒸気を前記第2開口部から前記内室へ噴出させることにより前記内室に発生する負圧を利用して前記第1開口部から前記懸濁液を吸引し、前記懸濁液と前記水蒸気とを混合させて前記懸濁液中の微細藻類に蓄積された油分を分離することを特徴とする油分分離方法。

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