JP2017079192A - 電気化学素子及びそれを備えたカード - Google Patents

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Abstract

【課題】カード等の板部材に内蔵される電気化学素子において、該板部材が曲げ変形を生じた場合に、十分な強度を有する構成を得る。【解決手段】ラミネート形電池(3)は、可撓性を有するカード(1)内に配置される。ラミネート形電池(3)は、正極及び負極を含む電極体と、電極体を覆った状態で外周側が溶着されるシート状のラミネートフィルム外装体と、一端側が電極体に接続され、他端側がラミネートフィルム外装体から外方に延出する正極接続端子(41)及び負極接続端子(42)とを備える。正極接続端子(41)及び負極接続端子(42)の少なくとも一方は、厚み方向に折り曲げられることにより形成された折曲部(41c)を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、電極体をラミネートフィルム外装体で覆った電気化学素子及びそれを備えたカードに関する。
従来より、電極体をラミネートフィルム外装体で覆った電気化学素子が知られている。このような電気化学素子では、一方の端部が電極体に電気的に接続された接続端子の他方の端部が、ラミネートフィルム外装体から外方に突出している。
上述のような電気化学素子は、例えば特許文献1、2に開示されるように、ICカードなどのカードに内蔵される。カードに内蔵された電気化学素子は、接続端子がICモジュール等の電気回路に接続されている。これにより、カード内のICモジュール等の電気回路に対し、電気化学素子から電力を供給することができる。
特開2005−10859号公報 特開2008−123816号公報
ところで、上述のように電気化学素子が内蔵されるカードは、板状であるため、カードの使用形態によっては、カードに厚み方向の弾性変形が生じる場合がある。その場合、カード内に配置された電気化学素子も、カードの弾性変形に応じて該カード内で弾性変形する。
そのため、カードの弾性変形が繰り返し生じた場合には、電気化学素子のラミネートフィルム外装体から外方に突出した接続端子が、カードの弾性変形に応じて繰り返し曲げられて、損傷を受ける可能性がある。
本発明の目的は、カード等の板部材内に配置される電気化学素子において、該板部材が曲げ変形を生じた場合でも、十分な強度を有する構成を得る。
本発明の一実施形態に係る電気化学素子は、可撓性を有する板部材内に配置される電気化学素子である。この電気化学素子は、正極及び負極を含む電極体と、前記電極体を覆った状態で外周側が溶着されるシート状のラミネートフィルム外装体と、一端側が前記電極体に接続され、他端側が前記ラミネートフィルム外装体から外方に延出する正極接続端子及び負極接続端子とを備える。前記正極接続端子及び前記負極接続端子の少なくとも一方は、厚み方向に曲げられた折曲部を有する(第1の構成)。
可撓性を有する板部材内に、上述の構成を有する電気化学素子を配置することにより、前記板部材が曲げられた場合に、該板部材内に配置された電気化学素子の正極接続端子及び負極接続端子のうち折曲部が設けられた端子が損傷を受けるのを防止できる。すなわち、電気化学素子における正極接続端子及び負極接続端子の少なくとも一方に、厚み方向に折り曲げられた折曲部を設けることにより、前記電気化学素子が内部に配置された板部材に曲げ変形が生じた場合に、該曲げ変形による接続端子の変形を前記折曲部によって吸収することができる。
前記第1の構成において、前記折曲部は、前記正極接続端子及び前記負極接続端子の少なくとも一方に複数設けられている(第2の構成)。このように少なくとも一方の接続端子に複数の折曲部を設けることによって、電気化学素子が内部に配置された板部材の曲げ変形に伴う前記接続端子の変形を、より効果的に吸収することができる。
前記第1または第2の構成において、前記折曲部は、前記正極接続端子及び前記負極接続端子の少なくとも一方に、平面視で厚み方向に折り重ねられるように設けられている(第3の構成)。これにより、折曲部によって、電気化学素子が内部に配置された板部材の曲げ変形に伴う接続端子の厚み方向の変形を、効果的に吸収することができる。
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、電気化学素子は、二次電池であり、前記折曲部は、前記正極接続端子に設けられている(第4の構成)。このように電気化学素子が二次電池の場合には、正極接続端子がアルミニウム合金等によって構成されている。前記正極接続端子の材料強度は比較的、低いため、該正極接続端子に繰り返し曲げ変形が生じた場合には、該正極接続端子が損傷を受けやすい。これに対し、上述のように正極接続端子に折曲部を設けることにより、電気化学素子が内部に配置された板部材の曲げ変形に伴う正極接続端子の変形を吸収することができ、該正極接続端子の損傷を防止できる。
前記第1から第4の構成のうちいずれか一つの構成において、前記正極接続端子及び前記負極接続端子のうち、前記折曲部が設けられた接続端子は、樹脂部材によって覆われている(第5の構成)。
これにより、折曲部が設けられた接続端子が、板部材の曲げ変形によって損傷を受けるのをより確実に防止できる。特に、前記接続端子の一部のみが樹脂部材によって覆われている場合、該接続端子に曲げ変形が生じると、樹脂部材によって覆われた部分と覆われていない部分との境界部分が破損しやすいが、上述のように前記接続端子を樹脂部材によって覆うことにより、このような破損を生じにくくすることができる。
本発明の一実施形態に係るカードは、第1から第5の構成のいずれか一つの電気化学素子を内部に有する(第6の構成)。このようなカードにおいて曲げ変形が生じた場合、該カード内の電気化学素子も前記曲げ変形に応じて変形を生じる。このとき、折曲部が設けられた接続端子では、前記曲げ変形に伴う変形を前記折曲部で吸収することができるため、前記曲げ変形によって損傷を受けるのを防止できる。
前記第6の構成において、カードは、平面視で一方向の長さ寸法が他方向の長さ寸法よりも長い。前記電気化学素子は、前記正極接続端子及び前記負極接続端子のうち前記折曲部が設けられた接続端子が前記一方向に延びるように配置されている(第7の構成)。
このような構成を有するカードでは、一方向の中央部分が凸になるような曲げ変形を生じやすい。このようなカード内に、折曲部が設けられた接続端子が前記一方向に延びるように配置された電気化学素子は、カードの上述のような曲げ変形に対し、前記接続端子の変形が前記折曲部で吸収される。したがって、上述の構成を有するカードにおいて、該カードの曲げ変形による電気化学素子の接続端子の破損を防止できる。
前記第7の構成において、前記電気化学素子は、前記折曲部が前記一方向の中央部分に位置付けられるように配置されている(第8の構成)。このように、カードにおいて、最も変形量が大きい前記一方向の中央部分に折曲部が位置付けられるように、電気化学素子を配置することにより、カードの曲げ変形に伴う電気化学素子の接続端子の変形を折曲部によって吸収することができる。したがって、カードの曲げ変形によって電気化学素子の接続端子が損傷を受けるのをより確実に防止できる。
本発明の一実施形態に係る電気化学素子によれば、正極接続端子及び負極接続端子の少なくとも一方に、折曲部が設けられている。これにより、電気化学素子を板状部材の内部に配置した状態で、該板部材に曲げ変形が生じた場合、折曲部が設けられた接続端子では、該折曲部によって変形が吸収される。よって、板部材の曲げ変形によって、電気化学素子の前記接続端子が損傷を受けるのを防止できる。したがって、カード等の板部材内に配置される電気化学素子において、該板部材が曲げ変形を生じた場合でも、十分な強度を有する構成が得られる。
図1は、実施形態1に係るカードの概略構成を示す平面図である。 図2は、ラミネート形電池の概略構成を示す斜視図である。 図3は、図2におけるIII−III線断面図である。 図4は、正極側接続端子を拡大して示す部分拡大断面図である。 図5は、カードを長手方向に曲げた状態を模式的に示す図である。 図6は、正極側接続端子に折曲部を設けた場合の正極側接続端子の長さと、折曲部を設けていない場合の正極側接続端子の長さとの関係を示す図である。 図7は、実施形態2に係るラミネート形電池の概略構成を示す図2相当図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
<実施形態1>
(カード)
図1は、本発明の一実施形態であるカード1の概略構成を示す平面図である。このカード1は、例えばICカードなどのように、内部に電気回路2を有するカードである。カード1は、例えば樹脂材料によって構成されたカード基材1aを有し、該カード基材1a内に、電気回路2と、該電気回路2に対して電力を供給するラミネート形電池3(電気化学素子)とが配置されている。
カード1は、一方向(図1における左右方向)の長さが、他方向(図1における上下方向)の長さよりも大きい長方形状に形成されている。図1に示す例では、電気回路2及びラミネート形電池3は、カード1内に、前記一方向である長手方向に並んで配置されている。
電気回路2とラミネート形電池3とは、電気的に接続されている。具体的には、ラミネート形電池3の正極接続端子41及び負極接続端子42が、電気回路2に対して電気的に接続されている。後述するように、正極接続端子41及び負極接続端子42は、ラミネート形電池3の一側から外方に向かって延びている。
以上の構成により、ラミネート形電池3は、正極接続端子41及び負極接続端子42が、カード1の長手方向に延びるように、該カード1内に配置されている。
(ラミネート形電池)
次に、ラミネート形電池3の構成について説明する。図2に、ラミネート形電池3の概略構成を示す。図3は、ラミネート形電池3の概略構成を示す断面図である。図4は、正極接続端子41を拡大して示す拡大断面図である。このラミネート形電池3は、発電体として機能する電極体10がラミネートフィルム外装体20によって覆われた平面視で長方形状の二次電池である。
図2及び図3に示すように、ラミネート形電池3は、電極体10と、該電極体10を覆うラミネートフィルム外装体20とを備える。また、ラミネート形電池3は、電極体10の正極11及び負極12にそれぞれ接続される正極接続端子41及び負極接続端子42(接続端子)を備える。なお、ラミネート形電池3の内部には、非水電解液も封入されている。
ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウム製の金属箔の一面側がナイロンで覆われ、且つ、他面側がポリプロピレンで覆われた材料からなる。すなわち、ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウムをナイロン及びポリプロピレンでラミネートした材料からなる。これにより、ラミネートフィルム外装体20は、ラミネートフィルム外装体20同士を重ね合わせた状態で加熱しながら圧力を加えることによって、溶着される。なお、金属箔は、アルミニウムに限らず、ステンレス等の他の金属材料によって形成されていてもよい。
また、ラミネートフィルム外装体20は、略長方形状に形成されている。一対のラミネートフィルム外装体20によって電極体10を挟んだ状態で、該ラミネートフィルム外装体20の外周側同士を溶着することにより、図2及び図3に示すような膨出部3a及びシール部3bが形成される。すなわち、ラミネートフィルム外装体20が電極体10を覆うことにより膨出部3aが形成され、該膨出部3aの周囲でラミネートフィルム外装体20同士を接着することにより該膨出部3aを囲むようにシール部3bが形成される。
本実施形態では、電極体10は、直方体状に形成されている。そのため、図1に示すように、膨出部3aは、ラミネートフィルム外装体20の平面視(以下、単に平面視ともいう)で、長方形状に形成される。シール部3bは、平面視で、ラミネート形電池1が長方形状になるように、膨出部3aの周りに形成されている。
また、一対のラミネートフィルム外装体20は、図3に示すように、ラミネート形電池3が、電極体10の厚み方向の一方側に平面部3cを有するとともに、電極体10の厚み方向の他方側に上述の膨出部3aを有するように、電極体10を挟んだ状態でラミネートフィルム外装体20の外周側同士が溶着されている。すなわち、一対のラミネートフィルム外装体20のうち、一方のラミネートフィルム外装体20が電極体10の外形に沿うように配置される。
シール部3bのうち、ラミネート形電池1の長手方向の端部側に位置する部分では、正極接続端子41及び負極接続端子42は、一対のラミネートフィルム外装体20に挟み込まれた状態で、ラミネートフィルム外装体20同士が溶着されることにより固定されている。
なお、本実施形態では、一対のラミネートフィルム外装体20の外周側同士を溶着しているが、この限りではなく、1枚のラミネートフィルム外装体を、電極体10を挟み込むように折り返して溶着してもよい。ラミネートフィルム外装体を折り返す方向については、電極体10に対する正極接続端子41及び負極接続端子42の延伸方向であってもよいし、幅方向であってもよい。
電極体10は、図3に示すように、それぞれシート状に形成された正極11及び負極12を、両者の間にシート状のセパレータ13が位置するように重ね合わせることにより形成された積層体である。なお、本実施形態では、電極体10は、シート状の正極11、負極12及びセパレータ13が積層された積層体であるが、この限りではなく、正極11、負極12及びセパレータ13を重ね合わせた状態で巻回した後、押しつぶすことにより扁平状に形成された巻回体であってもよい。
なお、図3には、電極体10の一例として、正極11及び負極12が合わせて5層積層された積層体が図示されているが、この限りではなく、電極体10は4層以下の積層体であってもよいし、6層以上の積層体であってもよい。
正極11は、正極活物質を含有する正極活物質層を、アルミニウム等の金属箔製の正極集電体の両面または片面に設けたものである。詳しくは、正極11は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有酸化物である正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む正極合剤を、アルミニウム箔などからなる正極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。正極活物質であるリチウム含有酸化物としては、例えば、LiCoOなどのリチウムコバルト酸化物やLiMnなどのリチウムマンガン酸化物、LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物等のリチウム複合酸化物を用いるのが好ましい。なお、正極活物質として、1種類の物質のみを用いてもよいし、2種類以上の物質を用いてもよい。また、正極活物質は、上述の物質に限られない。
負極12は、負極活物質を含有する負極活物質層を、銅等の金属箔製の負極集電体の両面にそれぞれ設けたものである。詳しくは、負極12は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む負極合剤を、銅箔などからなる負極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料(黒鉛類、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類など)を用いるのが好ましい。負極活物質は、上述の物質に限られない。
また、電極体10の正極11には、正極活物質層が形成されておらず正極集電体が露出した集電体露出領域(図示省略)に正極接続端子41が接続されている。一方、負極12には、負極活物質層が形成されておらず負極集電体が露出した集電体露出領域(図示省略)に負極接続端子42が接続されている。正極接続端子41及び負極接続端子42は、それぞれ一部がラミネートフィルム外装体20の外側に位置している。これにより、他の接続部品を介して外部に接続端子を引き出す構成に比べて、インピーダンスを小さくすることができる。
正極接続端子41は、平面視で長方形状に形成されたアルミニウムの金属箔によって構成されている。アルミニウムの金属箔は、比較的強度が低いため、曲げ変形を繰り返した場合に損傷を受けやすい。
そのため、本実施形態では、図2及び図4に示すように、正極接続端子41のうち、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出した部分が、平面視で厚み方向に重なるように折り曲げられている。すなわち、正極接続端子41は、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出した部分に、平面視で、ラミネートフィルム外装体20に向かって正極接続端子41が折り曲げられることにより形成された第1折曲部41aと、正極接続端子41の先端側がラミネートフィルム外装体20の外方に向かって延びるように折り返されることにより形成された第2折曲部41bとを有する。
このように、正極接続端子41が第1折曲部41a及び第2折曲部41bを有することにより、正極接続端子41は、その長手方向の断面で見て、Z字状に形成されている。なお、第1折曲部41a及び第2折曲部41bが、それぞれ、本発明の折曲部に対応するが、以下では、説明の簡略化のために、第1折曲部41a及び第2折曲部41bを合わせて折曲部41cと呼ぶ。
以上のように、正極接続端子41において、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出する部分の一部に、平面視で、厚み方向に折り重ねられるように折曲部41cを設けることにより、正極接続端子41に厚み方向に曲げ変形が生じた場合には、該曲げ変形を折曲部41cによって吸収することができる。
図5に示すように、ラミネート形電池3は、カード1内に、正極接続端子41がカード1の長手方向に延びるように配置されている。ラミネート形電池3は、正極接続端子41が、カード1の長手方向の中央部分に位置するように配置される。具体的には、ラミネート形電池3は、正極接続端子41の折曲部41cが、前記中央部分に位置するように配置される。なお、図5において、電気回路2の図示は省略する。
このように、正極接続端子41の折曲部41cを、カード1の長手方向の中央部分に位置付けることにより、カード1に曲げ変形が生じた場合に、最も曲げ応力が大きい前記中央部分において、正極接続端子41に生じる厚み方向の曲げ変形を折曲部41cによって吸収することができる。
よって、上述の構成により、ラミネート形電池3が内部に配置されたカード1に厚み方向の弾性変形を生じさせた場合に、その弾性変形に伴って正極接続端子41に生じる厚み方向の変形を折曲部41cによって吸収することができる。したがって、正極接続端子41が損傷を受けるのを防止できる。
なお、本実施形態では、正極接続端子41の折曲部41cがカード1の長手方向の中央部分に位置するように、ラミネート形電池3がカード1内に配置されているが、この限りではなく、正極接続端子41が前記長手方向に延びるように配置されていれば、ラミネート形電池3はカード1内にどのように配置されていてもよい。
しかも、正極接続端子41に上述のような折曲部41cを設けることにより、ラミネート形電池3が内部に配置されたカード1に振動が加わった場合でも、折曲部41cによって振動を吸収することができる。したがって、ラミネート形電池3及びカード1に加わる振動によって、正極接続端子41が損傷を受けるのを防止できる。
負極接続端子42は、一方向に延びる銅やニッケル等の金属箔によって構成されている。図2に示すように、負極接続端子42は一方の端部が負極12に接続されていて(図示省略)、他方の端部がラミネートフィルム外装体20の外方に延出している。すなわち、負極接続端子42も、正極接続端子41と同様、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれている。
なお、図2から図4に示すように、正極接続端子41及び負極接続端子42の表面上には、それぞれ、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれる部分に、正極側樹脂部45(樹脂部材)及び負極側樹脂部46が形成されている。すなわち、ラミネートフィルム外装体20と正極接続端子41との間に正極側樹脂部45が位置するとともに、ラミネートフィルム外装体20と負極接続端子42との間に負極側樹脂部46が位置する。
これにより、ラミネートフィルム外装体20と、該ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれた正極接続端子41及び負極接続端子42とのそれぞれの接着強度を向上することができるとともに、正極接続端子41及び負極接続端子42とラミネートフィルム外装体20とをより確実に電気的に絶縁することができる。
正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46は、それぞれ、例えばポリプロピレン(PP)などの樹脂材料からなる平面視で長方形状のシートによって構成されている。このシートを、正極接続端子41及び負極接続端子42に対してそれぞれ直交する方向に延び且つ正極接続端子41及び負極接続端子42をそれぞれ挟み込むように配置した状態で、正極接続端子41及び負極接続端子42の各表面上に被着させることにより、正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46がそれぞれ形成される。
(折曲部の効果)
次に、上述のように正極接続端子41に折曲部41cを設けた場合の効果について説明する。
折曲部41cの効果を確認するために、識別カードの試験方法(ISO/IEC 13073−1、JIS X 6305−1)に基づいて、カード1の動的曲げ試験及び動的ねじり試験を行った。
動的曲げ試験に用いた試験装置は、固定部に対して、可動部が往復でスライド移動可能な構成を有し、前記固定部と前記可動部との間にカード1を配置することにより、該カード1に繰り返し曲げ変形を生じさせる。なお、動的曲げ試験に用いた試験装置は、規格(ISO/IEC 13073−1、JIS X 6305−1)に記載されている装置と同様の構成を有するため、詳しい説明を省略する。
動的曲げ試験は、以下の手順により行った。動的曲げ試験の方法は、規格(ISO/IEC 13073−1、JIS X 6305−1)に記載されている方法と同様である。
カード1を一方の面が上側になるように試験装置に取り付けて、該カード1を長手方向に曲げた状態で最大たわみhが20.0mm+0mm/−1mmになるように、カード1を長手方向に250回、曲げた。その後、カード1を裏返して前記試験装置に取り付けて、同様に最大たわみhが20.0+0mm/−1mmになるように、カード1を長手方向に250回、曲げた。
次に、カード1を前記一方の面が上側になるように試験装置に取り付けて、該カード1を短辺側に曲げた状態で最大たわみhwが10.0mm+0mm/−1mmになるように、カード1を短手方向に250回、曲げた。その後、カード1を裏返して前記試験装置に取り付けて、同様に最大たわみhwが10.0mm+0mm/−1mmになるように、カード1を短手方向に250回、曲げた。
動的ねじり試験に用いた試験装置は、カード1の長手方向の両端部を固定した状態で、該カード1の長手方向にねじり変形を生じさせるように前記両端部のうち少なくとも一方をカード1の厚み方向に回転可能な構成を有する。なお、動的ねじり試験に用いた試験装置は、規格(ISO/IEC 13073−1、JIS X 6305−1)に記載されている装置と同様の構成を有するため、詳しい説明を省略する。
動的ねじり試験は、カード1のねじり角度が15度±1度で、試験周波数が0.5Hzの条件で、カード1を1000サイクルねじることにより行った。動的ねじり試験の方法も、規格(ISO/IEC 13073−1、JIS X 6305−1)に記載されている方法と同様である。
折曲部41cの効果を確認するために、上述の動的曲げ試験及び動的ねじり試験を1セットとして、3セット行った。各セットの試験を行った後、正極接続端子41の破損の有無を目視によって確認した。
なお、試験に用いたラミネート形電池3は、正極接続端子41に折曲部41cを設けた場合の該正極接続端子41の長さをa、及び、正極接続端子41に折曲部41cを設けない場合の該正極接続端子41の長さをbとした場合(図6参照)に、b=2.5aとなるように、正極接続端子41に折曲部41cを設けた(実施例)。一方、比較例として、正極接続端子41に折曲部41cを設けなかった場合(a=b)のラミネート形電池も作製した。
作製したラミネート形電池3を、所定サイズのカードの一面に両面テープによって固定し、該カードを用いて、動的曲げ試験及び動的ねじり試験を行った。
試験結果を表1に示す。表1は、正極接続端子41の損傷の有無を、該正極接続端子41が破断したかどうかによって判定した結果を示す。なお、b=2.5aの実施例を2個、作製して、それぞれを実施例1及び実施例2として評価した。
Figure 2017079192
表1に示すように、本実施形態の構成を有する実施例1及び実施例2では、動的曲げ試験及び動的ねじり試験を3セット、行った場合でも、正極接続端子41の破断は生じなかった。一方、折曲部41cが形成されていない比較例の場合には、動的曲げ試験及び動的ねじり試験を1セット、行うことにより、正極接続端子41の破断が生じた。
このような結果から、正極接続端子41に折曲部41cを設けることにより、カード1の曲げ変形に伴う正極接続端子41の曲げ変形を折曲部41cで吸収することができ、該正極接続端子41の損傷を防止できることが分かる。
(実施形態の効果)
本実施形態では、ラミネート形電池3の正極接続端子41に、該正極接続端子41を平面視で厚み方向に重なるように折り曲げられることによって形成される折曲部41cを設ける。これにより、ラミネート形電池3をカード1内に配置した状態で、該カード1に曲げ変形が生じた場合に、正極接続端子41に生じる曲げ変形を折曲部41cによって吸収することができる。よって、カード1内に配置されたラミネート形電池3の正極接続端子41が、カード1の曲げ変形によって損傷を受けるのを防止できる。
また、ラミネート形電池3は、カード1内に、正極接続端子41が該カード1の長手方向に延びるように配置されている。これにより、カード1を長手方向に曲げた場合、正極接続端子41の曲げ変形を折曲部41cによって効果的に吸収することができる。
さらに、ラミネート形電池3は、カード1内に、折曲部41cが該カード1の長手方向中央部に位置するように配置されている。これにより、カード1の曲げ変形による曲げ応力が最大である前記中央部において、正極接続端子41に生じる曲げ変形を折曲部41cによって吸収することができる。
<実施形態2>
図7に、実施形態2に係るラミネート形電池103の概略構成を示す。この実施形態2の構成は、ラミネート形電池103の正極接続端子41が正極側樹脂部145によって覆われている点で、実施形態1の構成とは異なる。以下では、実施形態1の構成と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1の構成と異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、正極接続端子41は、先端側を除いて正極側樹脂部145によって覆われている。よって、正極接続端子41及び正極側樹脂部145を厚み方向に重なるように折り曲げることによって、折曲部141cが形成される。
上述のように、正極接続端子41を正極側樹脂部145によって覆うことにより、該正極接続端子41の損傷をより確実に防止できる。すなわち、実施形態1のように、正極側樹脂部45が正極接続端子41のラミネートフィルム外装体20側のみに設けられている場合には、正極接続端子41に曲げ変形が生じると、該正極接続端子41と正極側樹脂部45との境目で該正極接続端子41が損傷を受けやすい。これに対し、正極接続端子41をその先端側を除いて正極側樹脂部145によって覆うことにより、正極接続端子41が損傷を受けにくくすることができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
前記各実施形態では、正極接続端子41に第1折曲部41a及び第2折曲部41bが設けられている。しかしながら、正極接続端子41に折曲部を1つ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。なお、正極接続端子41に折曲部を複数設けることにより、カード1の曲げ変形に伴う正極接続端子41の変形を、より効果的に吸収することができる。
前記各実施形態では、正極接続端子41に折曲部41cを設けているが、この限りではなく、負極接続端子42に折曲部を設けてもよいし、正極接続端子41及び負極接続端子42の両方に折曲部を設けてもよい。なお、正極接続端子41及び負極接続端子42のうち、少なくとも材料の強度が低い方に折曲部を設けるのが好ましい。
前記各実施形態では、平面視で正極接続端子41が厚み方向に折り重ねられるように折曲部41cが形成される。しかしながら、折曲部41cは、正極接続端子41を曲げた際に形成される折り目によって構成されていてもよい。すなわち、折曲部41cは、曲げられていない平板状の正極接続端子41に対し、全長が短くなるように曲げられた部分によって構成されていればよい。
前記各実施形態では、カード1内にラミネート形電池3が配置されている。しかしながら、可撓性を有する板状の部材(板部材)であれば、どのような部材内にラミネート形電池3を配置してもよい。
前記各実施形態では、ラミネート形電池3は、平面視で矩形状に形成されている。しかしながら、ラミネート形電池は、多角形状など、他の形状であってもよい。
前記各実施形態では、ラミネート形電池3はリチウムイオン電池である。しかしながら、ラミネート形電池3はリチウムイオン電池以外の電池であってもよい。また、ラミネート形電池3だけではなく、キャパシタなども含む電気化学素子に前記各実施形態の構成を適用してもよい。すなわち、蓄電または発電可能であり、且つ、平板状の接続端子が外部に突出した構成を有し、板部材内に配置される薄型のデバイスに、前記各実施形態の構成を適用することができる。
本発明は、電極体がラミネートフィルム外装体によって覆われた電気化学素子に利用可能である。
1 カード
2 電気回路
3、103 ラミネート形電池(電気化学素子)
3a 膨出部
3b シール部
3c 平面部
10 電極体
11 正極
12 負極
20 ラミネートフィルム外装体
41 正極接続端子
41a 第1折曲部
41b 第2折曲部
41c、141c 折曲部
42 負極接続端子
45、145 正極側樹脂部(樹脂部材)
46 負極側樹脂部

Claims (8)

  1. 可撓性を有する板部材内に配置される電気化学素子であって、
    正極及び負極を含む電極体と、
    前記電極体を覆った状態で外周側が溶着されるシート状のラミネートフィルム外装体と、
    一端側が前記電極体に接続され、他端側が前記ラミネートフィルム外装体から外方に延出する正極接続端子及び負極接続端子とを備え、
    前記正極接続端子及び前記負極接続端子の少なくとも一方は、厚み方向に曲げられた折曲部を有する、電気化学素子。
  2. 請求項1に記載の電気化学素子において、
    前記折曲部は、前記正極接続端子及び前記負極接続端子の少なくとも一方に複数設けられている、電気化学素子。
  3. 請求項1または2に記載の電気化学素子において、
    前記折曲部は、前記正極接続端子及び前記負極接続端子の少なくとも一方に、平面視で厚み方向に折り重ねられるように設けられている、電気化学素子。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の電気化学素子において、
    二次電池であり、
    前記折曲部は、前記正極接続端子に設けられている、電気化学素子。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載の電気化学素子において、
    前記正極接続端子及び前記負極接続端子のうち、前記折曲部が設けられた接続端子は、樹脂部材によって覆われている、電気化学素子。
  6. 請求項1から5のいずれか一つに記載の電気化学素子を内部に有する、カード。
  7. 請求項6に記載のカードにおいて、
    平面視で一方向の長さ寸法が他方向の長さ寸法よりも長く、
    前記電気化学素子は、前記正極接続端子及び前記負極接続端子のうち前記折曲部が設けられた接続端子が前記一方向に延びるように配置されている、カード。
  8. 請求項6または7に記載のカードにおいて、
    前記電気化学素子は、前記折曲部が前記一方向の中央部分に位置付けられるように配置されている、カード。
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