JP2017078562A - ガラス物品の製造方法及びガラス加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】好適なガラス加工を実現できるガラス物品の製造方法を提供する。
【解決手段】ステージ11の上方に配置されたマイクロフレームバーナー12のノズル14から下方に発せられる半球状のマイクロフレームMFにて、ステージ11上に載置された板ガラスGを上方から加熱する加熱工程を備える。マイクロフレームMFは半球状の微小火炎であり、その特性として重力の影響(上昇気流の影響)を受けにくいメリットがある。それにより、ノズル14の向きに依らず半球状の火炎形状が保持されるため、マイクロフレームMFがノズル14から下方に向けて形成されても半球状の火炎形状がほぼ変形しない。
【選択図】図1
【解決手段】ステージ11の上方に配置されたマイクロフレームバーナー12のノズル14から下方に発せられる半球状のマイクロフレームMFにて、ステージ11上に載置された板ガラスGを上方から加熱する加熱工程を備える。マイクロフレームMFは半球状の微小火炎であり、その特性として重力の影響(上昇気流の影響)を受けにくいメリットがある。それにより、ノズル14の向きに依らず半球状の火炎形状が保持されるため、マイクロフレームMFがノズル14から下方に向けて形成されても半球状の火炎形状がほぼ変形しない。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラス物品の製造方法及びガラス加工装置に関するものである。
例えば特許文献1には、半球状の微小火炎であるマイクロフレームをノズル(特許文献1中、マイクロバーナ)の先端部に形成する燃焼器が開示されている。この燃焼器では、ノズルから噴出する燃料ガスの噴出速度やノズル内径が所定条件を満たすとき、ノズルの先端部に半球状のマイクロフレームが形成される。
しかしながら、特許文献1ではマイクロフレームバーナーの具体的用途の詳細については開示がなかった。本発明の目的は、上記のマイクロフレームバーナーを活用する具体的方法及び装置を提供することにある。
本発明は、本研究者らによる鋭意研究の結果、上記のマイクロフレームバーナーをガラス加工の際のガラスに対する加熱手段に用いることで、好適なガラス加工を実現できることを見出したことに基づいてなされたものである。
本発明のガラス物品の製造方法は、ガラスが載置される載置部の上方に配置されたマイクロフレームバーナーのノズルから下方に発せられる半球状のマイクロフレームにて、前記載置部上に載置されたガラスを上方から加熱する加熱工程を備える。
この製造方法によれば、マイクロフレームバーナーのノズルから下方に発せられる半球状のマイクロフレームによって、載置部上に載置されたガラスを上方から好適に加熱することが可能となる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記マイクロフレームバーナーは、燃料ガスと空気の混合気体を前記ノズルの先端部から放出し、その放出された混合気体の燃焼によって前記マイクロフレームを形成することが好ましい。
この製造方法によれば、燃料ガスに空気を混合することで、マイクロフレーム形成時の火炎伝播速度を維持しつつも、ノズルから噴射される混合気体の流速を上昇させることができ、その結果、ノズルの先端部とマイクロフレームとの間の距離を長く確保することができる。それにより、マイクロフレームにてノズル自身が加熱されることを抑制することができる。また、燃料ガスに混合する空気の量を変えることによって、ノズルの先端部とマイクロフレームとの間の距離を調整することが可能となる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記混合気体中の前記燃料ガスに対する前記空気の体積の割合を25%以下に設定したことが好ましい。
この製造方法によれば、混合気体において燃料ガスに対する空気の体積の割合を25%以下に設定することで、ノズルの先端部とマイクロフレームとの間の距離を確保しつつも、半球状のマイクロフレームを安定して形成することができる。
この製造方法によれば、混合気体において燃料ガスに対する空気の体積の割合を25%以下に設定することで、ノズルの先端部とマイクロフレームとの間の距離を確保しつつも、半球状のマイクロフレームを安定して形成することができる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記マイクロフレームバーナーの前記ノズルは多数設けられ、該多数のノズルを複数にエリア分けして該エリア毎に加熱条件を異ならせることが好ましい。
この製造方法によれば、マイクロフレームバーナーの多数のノズルを複数にエリア分けして該エリア毎に加熱条件を異ならせるため、ガラスの加工部位に応じて火力調整することができ、その結果、ガラスに対する効率的な加熱が実現できる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記加熱工程により加熱された前記ガラスを屈曲させる曲げ工程を備えることが好ましい。
この製造方法によれば、ガラスの曲げ加工において、ガラスを半球状のマイクロフレームで上方から加熱することで、好適なガラスの曲げ加工を実現することが可能となる。
この製造方法によれば、ガラスの曲げ加工において、ガラスを半球状のマイクロフレームで上方から加熱することで、好適なガラスの曲げ加工を実現することが可能となる。
上記課題を解決するガラス加工装置は、ガラスが載置される載置部と、前記載置部の上方に配置されたマイクロフレームバーナーとを備え、前記マイクロフレームバーナーのノズルから下方に発せられる半球状のマイクロフレームにて前記載置部上の前記ガラスを加熱する。
この構成によれば、マイクロフレームバーナーのノズルから下方に発せられるマイクロフレームにて、載置部上に載置されたガラスが上方から加熱される。マイクロフレームは半球状の微小火炎であり、その特性として重力の影響(上昇気流の影響)を受けにくいメリットがある。それにより、ノズルの向きに依らず半球状の火炎形状が保持されるため、マイクロフレームがノズルから下方に向けて形成されても半球状の火炎形状がほぼ変形しない。このため、ノズルから下方に発せられるマイクロフレームにてガラスを上方から加熱することでガラス全体を加熱可能な構成としながらも、半球状に保持されたマイクロフレームにてノズル自身が加熱されることを抑制することができる。その結果、ノズルの酸化による劣化を抑制できるのは勿論のこと、ノズルの内側に酸化物が付着するノズル詰まりによるバーナーの性能悪化や、ノズルが加熱されることで生じる燃えかすがガラスに付着することによるガラス物品の品質悪化等を抑制することができる。
本発明のガラス物品の製造方法及びガラス加工装置によれば、マイクロフレームバーナーをガラス加工の際のガラスに対する加熱手段に用いることで、好適なガラス加工を実現できる。
以下、ガラス物品の製造方法及びガラス加工装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のガラス加工装置10は、ワークとしての板ガラスGが載置されるステージ11と、ステージ11の上方に配置されたマイクロフレームバーナー12とを備えている。なお、板ガラスGは、ガラス加工装置10によって所望の形状に加工されて例えばスマートフォン等の携帯端末のカバーガラスといった用途に用いられる。
図1に示すように、本実施形態のガラス加工装置10は、ワークとしての板ガラスGが載置されるステージ11と、ステージ11の上方に配置されたマイクロフレームバーナー12とを備えている。なお、板ガラスGは、ガラス加工装置10によって所望の形状に加工されて例えばスマートフォン等の携帯端末のカバーガラスといった用途に用いられる。
マイクロフレームバーナー12は、鉛直下方に延びる多数のノズル14の先端部14a(下端部)にてそれぞれマイクロフレームMF(微小火炎)を形成するものであり、このマイクロフレームMFを形成する技術としては、例えば上記の特許文献1等にも記載されている公知の技術を用いることができる。
具体的には、図1及び図2に示すように、マイクロフレームバーナー12は、直方体状のハウジング13と、ハウジング13の下面側に設けられた多数のノズル14とを備え、各ノズル14の先端部14aにてそれぞれマイクロフレームMF(微小火炎)を形成する装置である。
ハウジング13は、上壁部15a及び側壁部15bを有するハウジング本体15と、ハウジング本体15の下部開口を閉塞してハウジング13の下底壁を構成するカバー部材16とからなる。本実施形態では、平板状をなす上壁部15a及びカバー部材16が鉛直方向に対して垂直をなすように構成されている。
また、図3に示すように、ハウジング13は、該ハウジング13の内部空間を上下方向Zに隔てる隔壁部17を備えている。本実施形態では、隔壁部17は、ハウジング本体15の上壁部15a及びカバー部材16と平行な平板状をなしている。このハウジング13の内部空間において、隔壁部17の上側(上壁部15a側)の空間が燃料ガス室18として構成され、隔壁部17の下側(カバー部材16側)の空間が酸化剤ガス室19として構成される。燃料ガス室18は、後述する供給パイプ24a,24b,24cから供給された混合気体Mが一時的に貯留される空間であり、酸化剤ガス室19は、後述する酸化剤ガス供給パイプ25a,25b,25cから供給された酸化剤ガスSが一時的に貯留される空間である。
図2及び図4に示すように、ハウジング13の下面(カバー部材16)から鉛直下方に突出する多数のノズル14は、マイクロフレームバーナー12の前後方向X及び幅方向Yに沿って2次元状(アレイ状)に互いに等間隔に配列されている。
図3に示すように、各ノズル14は、内径及び外径が軸方向に亘って一様をなす円管状をなし、各ノズル14の内径Lは本実施形態では1.5mmに設定されている。なお、各ノズル14の材質としては、耐熱性が高く、熱伝導率の低い材質(例えば、ステンレスや、アルミナ主体のファインセラミックス等)が挙げられる。この各ノズル14は、隔壁部17に複数形成された貫通孔17aにそれぞれ挿通されるとともに、ノズル14の外周面は該貫通孔17aの内周面に密着して固定されており、各ノズル14の基端部は燃料ガス室18内と連通されている。また、各ノズル14は、カバー部材16に複数形成された貫通孔16aにそれぞれ挿通され、各ノズル14の先端部14aがカバー部材16の下面からハウジング外部に突出している。各ノズル14の外周面と各貫通孔16aの内周面との間には間隙が設けられ、この間隙が酸化剤ガス室19内の酸化剤ガスSを放出する放出口20として機能する。
上記のように2次元状に配列された多数のノズル14は、複数にエリア分けされ、該エリア毎に加熱条件を異ならせた使用が可能となっている。詳しくは、図4に示すように、多数のノズル14は、幅方向Yの中央に位置する中央ノズル群21と、該中央ノズル群21の幅方向Yの両側に位置する第1及び第2端部ノズル群22,23とに分けられている。そして、前記燃料ガス室18及び酸化剤ガス室19はそれぞれ、中央ノズル群21、第1端部ノズル群22及び第2端部ノズル群23のそれぞれに対応する3つの空間に区画されている。
そして、燃料ガス室18における区画された3つの空間には、例えば都市ガス等の燃料ガスと空気とを例えばミキサーによって混合した混合気体Mがそれぞれ第1〜第3供給パイプ24a,24b,24c(図2参照)を介して供給される。また同様に、酸化剤ガス室19における区画された3つの空間には、酸化剤ガスSがそれぞれ第1〜第3酸化剤ガス供給パイプ25a,25b,25cを介して供給される。なお、本実施形態では、酸化剤ガス室19に供給する酸化剤ガスSには、液体酸素を気化させて得られる酸素が用いられる。
次に、マイクロフレームバーナー12におけるマイクロフレームMFの形成について説明する。
図3に示すように、第1〜第3供給パイプ24a,24b,24cを介して燃料ガス室18に供給された前記混合気体Mは、供給圧によって基端部から各ノズル14内に流入し、該各ノズル14の先端部14aから放出される。そして、各ノズル14の先端部14aから噴出される混合気体Mに対し、図示しない点火装置にて点火し、それにより、各ノズル14の先端部14a付近に半球状のマイクロフレームMFが形成される。なお、点火装置はライターや、給湯器等で使用されるイグナイタ等が利用可能である。
図3に示すように、第1〜第3供給パイプ24a,24b,24cを介して燃料ガス室18に供給された前記混合気体Mは、供給圧によって基端部から各ノズル14内に流入し、該各ノズル14の先端部14aから放出される。そして、各ノズル14の先端部14aから噴出される混合気体Mに対し、図示しない点火装置にて点火し、それにより、各ノズル14の先端部14a付近に半球状のマイクロフレームMFが形成される。なお、点火装置はライターや、給湯器等で使用されるイグナイタ等が利用可能である。
また、本実施形態では、前記ミキサーに供給する燃料ガス及び空気の供給量がそれぞれ調整可能に構成され、それにより、混合気体M中の燃料ガス及び空気の割合が調整可能となっている。また、各供給パイプ24a,24b,24cには、それぞれのパイプ内における混合気体Mの流量を調整可能な調整弁(図示略)が設けられており、その調整弁を調節することによって、ノズル14の先端部14aにおける混合気体Mの噴出速度U(m/sec)が調整可能となっている。
一方、第1〜第3酸化剤ガス供給パイプ25a,25b,25cを介して酸化剤ガス室19に供給された酸化剤ガスSは、供給圧によって前記各放出口20から下方に噴射される。これにより、各ノズル14の先端部14aに形成されたマイクロフレームMFの周囲を取り囲むようにして酸化剤ガスSが強制的に供給される。これにより、マイクロフレームMFの形成時に酸素不足になることが防止される。このため、各ノズル14同士の間隔を密にしても、酸素を十分に供給できるので、隣り合うマイクロフレームMF同士が合体することなくノズル14毎に個別にマイクロフレームMFを形成できる。つまり、各ノズル14で形成されるマイクロフレームMFの形状を維持しつつも、各ノズル14を密に配置して発熱密度を向上させることができる。なお、各酸化剤ガス供給パイプ25a,25b,25cには、それぞれのパイプ内における酸化剤ガスSの流量を調整可能な調整弁(図示略)が設けられている。
ここで、各ノズル14の先端部14aで形成されるマイクロフレームMFについて詳述する。
マイクロフレームMFは、輝炎(蝋燭の炎など、燃料が分解してできた細かい炭素粒(すす)が光っている炎)を含まない半球状の微小火炎(数mm程度の火炎)である。ブンゼンバーナー等の一般的なバーナーにて形成される通常の火炎(層流火炎)では、向きによって重力の影響(上昇気流の影響)を受けて鉛直上方に流れるように変形するが、マイクロフレームMFでは重力の影響による変形が生じにくい。つまり、本実施形態のようにノズル14の先端部14aが鉛直下方を向いている構成においても、マイクロフレームMFの半球状の火炎形状が保持されるようになっている。
マイクロフレームMFは、輝炎(蝋燭の炎など、燃料が分解してできた細かい炭素粒(すす)が光っている炎)を含まない半球状の微小火炎(数mm程度の火炎)である。ブンゼンバーナー等の一般的なバーナーにて形成される通常の火炎(層流火炎)では、向きによって重力の影響(上昇気流の影響)を受けて鉛直上方に流れるように変形するが、マイクロフレームMFでは重力の影響による変形が生じにくい。つまり、本実施形態のようにノズル14の先端部14aが鉛直下方を向いている構成においても、マイクロフレームMFの半球状の火炎形状が保持されるようになっている。
そして、本実施形態では、上記のようなマイクロフレームMFを形成できるマイクロフレームバーナー12について、以下の関係式(1)及び(2)を満たすものとする。
無次元数であるフルード数をFr、レイノルズ数をRe、混合気体Mの噴出速度をU(m/sec)、ノズル14の内径をL(m)、重力加速度をg(m/sec2)、動粘性係数ν(m2/sec)とした場合に、
・Fr=U(Lg)−1/2>1…(1)
・Re=ULν−1<100…(2)
上記のように、本実施形態のマイクロフレームバーナー12では、各ノズル14の先端部14aにてマイクロフレームMFが形成され、その2次元状に並ぶマイクロフレームMFによって所謂マイクロフレームアレイが形成される。
無次元数であるフルード数をFr、レイノルズ数をRe、混合気体Mの噴出速度をU(m/sec)、ノズル14の内径をL(m)、重力加速度をg(m/sec2)、動粘性係数ν(m2/sec)とした場合に、
・Fr=U(Lg)−1/2>1…(1)
・Re=ULν−1<100…(2)
上記のように、本実施形態のマイクロフレームバーナー12では、各ノズル14の先端部14aにてマイクロフレームMFが形成され、その2次元状に並ぶマイクロフレームMFによって所謂マイクロフレームアレイが形成される。
また、本実施形態では、燃焼ガスに空気を混合した混合気体Mをノズル14内に供給し、ノズル14の先端部14aから噴出する混合気体Mの燃焼によってマイクロフレームMFを形成している。このように、燃料ガスに空気を混合することで、マイクロフレームMFにおける火炎伝播速度を維持しつつも混合気体Mの流速を上昇させることができ、その結果、ノズル14の先端部14aとマイクロフレームMFとの間の距離を長く確保することができる。
ここで、図3では、混合気体Mではなく都市ガス等の燃料ガスのみを第1〜第3供給パイプ24a,24b,24cを介して各ノズル14内に供給する場合に形成されるマイクロフレームMFを「MF1」の符号を付して2点鎖線で示し、標準状態における混合気体M中の燃料ガスに対する空気の体積の割合を25%とした場合に形成されるマイクロフレームMFを「MF2」の符号を付して実線で示している。なお、マイクロフレームMF1を形成する場合と、マイクロフレームMF2を形成する場合の双方において、放出口20から噴射する酸化剤ガスSの流量は等しい条件としている。
同図に示すように、マイクロフレームMF2は、マイクロフレームMF1よりも下方に位置している。つまり、ノズル14の先端部14a(下端部)からの距離が、マイクロフレームMF1よりもマイクロフレームMF2で長くなっている。これは、燃料ガスに空気を混合することで、ノズル14の先端部14aから噴出する混合気体Mの流速が上昇するためである。
また、マイクロフレームMFは、混合気体M中における燃料ガスに対する空気の量(体積)を増加させるほど、ノズル14の先端部14aからの距離が離れるが、空気の量が多すぎると半球状の火炎を維持しにくくなる。上記のように、混合気体M中の燃料ガスに対する空気の体積の割合を25%とした場合は、半球状のマイクロフレームMF2が形成される。つまり、半球状のマイクロフレームMFを安定して形成するためには、混合気体M中の燃料ガスに対する空気の体積の割合を25%以下の範囲に設定することが好ましい。
次に、上記のガラス加工装置10を用いたガラス物品の製造方法(加工方法)について、その作用とともに説明する。
図1に示すように、ステージ11上に板ガラスGを載置し、マイクロフレームバーナー12の底面側において上記の態様で形成される各マイクロフレームMFによって板ガラスGを上方から加熱する(加熱工程)。
図1に示すように、ステージ11上に板ガラスGを載置し、マイクロフレームバーナー12の底面側において上記の態様で形成される各マイクロフレームMFによって板ガラスGを上方から加熱する(加熱工程)。
ここで、本実施形態とは異なり、板ガラスGを下側から支持部にて支持した状態で板ガラスGを下側から加熱した場合を考えると、板ガラスGにおいて支持部に支持される部分(被支持部)が加熱不足となるおそれがある。すると、板ガラスGの被支持部とマイクロフレームバーナー12にて加熱される部分との温度差が顕著となって、板ガラスGが割れてしまうおそれがある。その点、本実施形態では、板ガラスGをマイクロフレームバーナー12にて上方から加熱するように構成することで、被支持部が加熱不足となることなく板ガラスG全体を加熱できるため、加熱時の板ガラスGの破損を抑制できる。
上記加熱工程での板ガラスGの加熱中、若しくは加熱後において、幅方向Yにおける板ガラスGの両端部Gaを屈曲させる曲げ工程を行う。なお、板ガラスGの両端部Gaを屈曲させる方法としては、図示しない治具を用いて屈曲させる方法や、自重によって屈曲させる方法等が挙げられる。
ここで、本実施形態のマイクロフレームバーナー12では、板ガラスGにおける加工対象部位である両端部Gaを非加工対象部位である中央部Gbよりも高温に加熱すべく、第1及び第2端部ノズル群22,23と中央ノズル群21とで加熱条件を異ならせている。
例えば、中央ノズル群21よりも第1及び第2端部ノズル群22,23において混合気体M中の燃料ガスと空気及び酸化剤ガスSの流量を多く設定することで、第1及び第2端部ノズル群22,23で形成されるマイクロフレームMFの火力が中央ノズル群21で形成されるマイクロフレームMFの火力よりも大きくなる。これにより、第1及び第2端部ノズル群22,23の下方に位置する板ガラスGの両端部Gaを、中央ノズル群21の下方に位置する中央部Gbよりも高温に加熱することができる。その結果、板ガラスGにおける加工対象部位(両端部Ga)のみを加工に必要な温度まで加熱することができ、効率的な加熱が実現できる。
なお、このとき、板ガラスGにおける加工対象部位である両端部Gaのみを加熱する(例えば中央ノズル群21ではマイクロフレームMFを形成しないようにする)と、板ガラスGの両端部Gaと中央部Gbとで温度差が顕著となって破損するおそれがある。このため、板ガラスG全体に対する加熱、つまり、中央ノズル群21のマイクロフレームMFによる板ガラスGの中央部Gbに対する加熱も必要となる。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)ステージ11の上方に配置されたマイクロフレームバーナー12のノズル14から下方に発せられる半球状のマイクロフレームMFにて、ステージ11上に載置された板ガラスGを上方から加熱する加熱工程を備える。マイクロフレームMFは半球状の微小火炎であり、その特性として重力の影響(上昇気流の影響)を受けにくいメリットがある。それにより、ノズル14の向きに依らず半球状の火炎形状が保持されるため、マイクロフレームMFがノズル14から下方に向けて形成されても半球状の火炎形状がほぼ変形しない。このため、ノズル14から下方に発せられるマイクロフレームMFにて板ガラスGを上方から加熱することで板ガラスGの面全体を加熱可能な構成としながらも、半球状に保持されたマイクロフレームMFにてノズル14自身が加熱されることを抑制することができる。その結果、ノズル14の酸化による劣化を抑制できるのは勿論のこと、ノズル14の内側に酸化物が付着するノズル14詰まりによるバーナーの性能悪化や、ノズル14が加熱されることで生じる燃えかすが板ガラスGに付着することによるガラス物品の品質悪化等を抑制することができる。
(1)ステージ11の上方に配置されたマイクロフレームバーナー12のノズル14から下方に発せられる半球状のマイクロフレームMFにて、ステージ11上に載置された板ガラスGを上方から加熱する加熱工程を備える。マイクロフレームMFは半球状の微小火炎であり、その特性として重力の影響(上昇気流の影響)を受けにくいメリットがある。それにより、ノズル14の向きに依らず半球状の火炎形状が保持されるため、マイクロフレームMFがノズル14から下方に向けて形成されても半球状の火炎形状がほぼ変形しない。このため、ノズル14から下方に発せられるマイクロフレームMFにて板ガラスGを上方から加熱することで板ガラスGの面全体を加熱可能な構成としながらも、半球状に保持されたマイクロフレームMFにてノズル14自身が加熱されることを抑制することができる。その結果、ノズル14の酸化による劣化を抑制できるのは勿論のこと、ノズル14の内側に酸化物が付着するノズル14詰まりによるバーナーの性能悪化や、ノズル14が加熱されることで生じる燃えかすが板ガラスGに付着することによるガラス物品の品質悪化等を抑制することができる。
(2)マイクロフレームバーナー12は、燃料ガスと空気の混合気体Mをノズル14の先端部14aから放出し、その放出された混合気体Mの燃焼によってマイクロフレームMFを形成する。ノズル14から噴射する燃料ガスに空気を混合することで、マイクロフレームMFの形成時の火炎伝播速度を維持しつつも、混合気体Mの流速を上昇させることができ、その結果、ノズル14の先端部14aとマイクロフレームMFとの間の距離を長く確保することができる。それにより、マイクロフレームMFにてノズル14自身が加熱されることをより一層抑制することができる。また、燃料ガスに混合する空気の量を変えることによって、ノズル14の先端部14aとマイクロフレームMFとの間の距離を調整することが可能となる。
(3)混合気体M中の燃料ガスに対する空気の体積の割合を25%以下に設定することで、ノズル14の先端部14aとマイクロフレームMFとの間の距離を確保しつつも、半球状のマイクロフレームMFを安定して形成することができる。
(4)マイクロフレームバーナー12の多数のノズル14を複数にエリア分けして該エリア毎に加熱条件を異ならせるため、板ガラスGの加工部位に応じて火力調整することができ、その結果、板ガラスGに対する効率的な加熱が実現できる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・図5に示すように、ノズル14の外周を包囲するように酸化剤ガス室19とハウジング外部とを連通する外周側ノズル31を設け、酸化剤ガス室19中の酸化剤ガスSをノズル14の外周面と外周側ノズル31の内周面との間を通じて外周側ノズル31の先端部から噴射可能に構成してもよい。このような構成であっても、ノズル14の先端部14aに形成されたマイクロフレームMFの周囲を取り囲むようにして酸化剤ガスSを強制的に供給することができ、マイクロフレームMFの形成時に酸素不足になることが防止される。なお、同例では、ノズル14及び外周側ノズル31におけるカバー部材16から下方への突出長さは互いに等しく構成されている。
・図5に示すように、ノズル14の外周を包囲するように酸化剤ガス室19とハウジング外部とを連通する外周側ノズル31を設け、酸化剤ガス室19中の酸化剤ガスSをノズル14の外周面と外周側ノズル31の内周面との間を通じて外周側ノズル31の先端部から噴射可能に構成してもよい。このような構成であっても、ノズル14の先端部14aに形成されたマイクロフレームMFの周囲を取り囲むようにして酸化剤ガスSを強制的に供給することができ、マイクロフレームMFの形成時に酸素不足になることが防止される。なお、同例では、ノズル14及び外周側ノズル31におけるカバー部材16から下方への突出長さは互いに等しく構成されている。
・上記実施形態では、ノズル14の先端部14aに形成されるマイクロフレームMFに対して酸化剤ガスSを供給しているが、マイクロフレームMFに対する酸化剤ガスSの供給は必須ではなく、酸化剤ガスSを供給しない場合であっても、ノズル14の周囲の空気中の酸素を取り込んでマイクロフレームMFを形成することが可能である。
・上下方向Zにおけるノズル14の先端部14aの位置を異ならせることで、板ガラスGを局所的に高温に加熱可能な構成としてもよい。例えば、図6に示す例では、第1及び第2端部ノズル群22,23における各ノズル14の先端部14aの位置を、中央ノズル群21における各ノズル14の先端部14aの位置よりも下方に設定している。これにより、第1及び第2端部ノズル群22,23で形成されるマイクロフレームMFが板ガラスGに対してより近づくため、板ガラスGの両端部Gaを中央部Gbよりも高温に加熱することができる。
・上記実施形態では、1つのマイクロフレームバーナー12(ハウジング13)が備える多数のノズル14を3つのノズル群21,22,23に分けて、そのノズル群21,22,23毎のマイクロフレームMFの火力調整を可能としているが、これに特に限定されるものではない。例えば、ハウジング13と各ノズル14とを備えるユニットを複数設け、その複数のユニット毎のマイクロフレームMFの火力調整を可能に構成してもよい。
・上記実施形態では、板ガラスGの両端部Gaを屈曲加工する場合について説明したが、これに限らず、板ガラスGの両端部Ga以外の部位を加工する場合に適用してもよい。この場合、板ガラスGにおける加工対象部位に応じて各ノズル14のエリア分けすることが好ましい。また、板ガラスGに対する加工は、屈曲加工以外の加工であってもよい。
・上記実施形態では、平板状の板ガラスGを加工するためのガラス加工装置10に適用したが、これに限定されるものではなく、平板状以外の形状をなす例えば管ガラスを加工するガラス加工装置に適用してもよい。
・上記実施形態では、各ノズル14が鉛直下方を向くように構成したが、これに限らず、例えばワーク形状に応じて各ノズル14の向きを異ならせてもよい。
10…ガラス加工装置、11…ステージ(載置部)、12…マイクロフレームバーナー、13…ハウジング、14…ノズル、G…板ガラス、M…混合気体、MF…マイクロフレーム。
Claims (6)
- ガラスが載置される載置部の上方に配置されたマイクロフレームバーナーのノズルから下方に発せられる半球状のマイクロフレームにて、前記載置部上に載置されたガラスを上方から加熱する加熱工程を備えることを特徴とするガラス物品の製造方法。
- 前記マイクロフレームバーナーは、燃料ガスと空気の混合気体を前記ノズルの先端部から放出し、その放出された混合気体の燃焼によって前記マイクロフレームを形成することを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
- 前記混合気体中の前記燃料ガスに対する前記空気の体積の割合を25%以下に設定したことを特徴とする請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
- 前記マイクロフレームバーナーの前記ノズルは多数設けられ、該多数のノズルを複数にエリア分けして該エリア毎に加熱条件を異ならせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
- 前記加熱工程により加熱された前記ガラスを屈曲させる曲げ工程を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
- ガラスが載置される載置部と、前記載置部の上方に配置されたマイクロフレームバーナーとを備え、
前記マイクロフレームバーナーのノズルから下方に発せられる半球状のマイクロフレームにて前記載置部上の前記ガラスを加熱することを特徴とするガラス加工装置。
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JP2015208010A JP2017078562A (ja) | 2015-10-22 | 2015-10-22 | ガラス物品の製造方法及びガラス加工装置 |
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