JP2017078048A - ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料及びヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒアルロン酸の産生亢進に有効かつ新規なヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料及びヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤を提供する。
【解決手段】ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料は、松樹皮抽出物を有効成分とする。この場合、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進が、血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、こととしてもよい。また、前記ヒアルロン酸合成酵素遺伝子が、HAS2である、こととしてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料は、松樹皮抽出物を有効成分とする。この場合、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進が、血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、こととしてもよい。また、前記ヒアルロン酸合成酵素遺伝子が、HAS2である、こととしてもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料及びヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤に関する。
ヒアルロン酸は、コラーゲン及びエラスチンなどと同様に、哺乳動物の結合組織に含まれる成分である。細胞のヒアルロン酸産生量は、種々の成長因子によって増加する。非特許文献1には、成長因子によって線維芽細胞のヒアルロン酸の産生が亢進することが示されている。非特許文献1によれば、成長因子の中でも血小板由来成長因子(Platelet−Derived Growth Factor、以下単に「PDGF」とすることがある)−BBによるヒアルロン酸の産生亢進の力価がFGF2、EGF、TGF−β及びPDGF−AAよりも高い。
PDGF−BBは、チロシンキナーゼ関連型であるPDGF受容体(Platelet−Derived Growth Factor Receptor、以下単に「PDGFR」とすることがある)を介して生理作用を発現させる。PDGF−BBの生理作用として、非特許文献2には、PDGF−BBによるPDGFRの活性化によって、ヒアルロン酸合成酵素をコードする遺伝子の転写が正に制御されることが示されている。
上記知見により、PDGF−BBシグナル経路を活性化させることで、生体内におけるヒアルロン酸の産生を亢進させることができると考えられる。
Paraskevi HELDIN、外2名、「Effect of growth factors on hyaluronan synthesis in cultured human fibroblasts」、Biochemical Journal、1989年、258、919−922
Lingli LI、外4名、「Growth factor regulation of hyaluronan synthesis and degradation in human dermal fibroblasts: importance of hyaluronan for the mitogenic response of PDGF−BB」、Biochemical Journal、2007年、404、327-336
ヒアルロン酸は、皮膚の保水性、潤滑性及び柔軟性の維持に重要である。ヒアルロン酸の産生亢進に有効かつ新規な物質が見出されれば、皮膚の弾力性及び柔軟性を維持又は向上させる、あるいはシワ、たるみなどの老化症状を改善する化粧料、医薬及び食品などに応用することができる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ヒアルロン酸の産生亢進に有効かつ新規なヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料及びヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係るヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料は、
松樹皮抽出物を有効成分とする。
松樹皮抽出物を有効成分とする。
この場合、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進が、
血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、
こととしてもよい。
血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、
こととしてもよい。
また、前記ヒアルロン酸合成酵素遺伝子が、
HAS2である、
こととしてもよい。
HAS2である、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係るヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤は、
松樹皮抽出物を有効成分とする。
松樹皮抽出物を有効成分とする。
この場合、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進が、
血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、
こととしてもよい。
血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、
こととしてもよい。
また、前記ヒアルロン酸合成酵素遺伝子が、
HAS2である、
こととしてもよい。
HAS2である、
こととしてもよい。
本発明によれば、ヒアルロン酸の産生亢進に有効かつ新規なヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料及びヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤が得られる。
本発明に係る実施の形態について説明する。なお、本発明は下記の実施の形態によって限定されるものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1について詳細に説明する。本実施の形態に係る化粧料は、松樹皮抽出物を有効成分とする。松樹皮抽出物は、マツ目に属する植物の樹皮の抽出物である。松樹皮抽出物としては、任意の松の樹皮から抽出した抽出物を使用してもよい。松としては、例えば、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、及びカナダのケベック地方のアネダなどが挙げられる。好適には、松樹皮抽出物は、フランス海岸松の樹皮抽出物である。フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。フランス海岸松の樹皮抽出物は、プロアントシアニジン、有機酸、カテキン類、及びその他の生理活性成分などを含有する。プロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
実施の形態1について詳細に説明する。本実施の形態に係る化粧料は、松樹皮抽出物を有効成分とする。松樹皮抽出物は、マツ目に属する植物の樹皮の抽出物である。松樹皮抽出物としては、任意の松の樹皮から抽出した抽出物を使用してもよい。松としては、例えば、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、及びカナダのケベック地方のアネダなどが挙げられる。好適には、松樹皮抽出物は、フランス海岸松の樹皮抽出物である。フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。フランス海岸松の樹皮抽出物は、プロアントシアニジン、有機酸、カテキン類、及びその他の生理活性成分などを含有する。プロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
プロアントシアニジンは、フラバン−3−オール及び/又はフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。プロアントシアニジンは、強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果実の皮及び種に主に含まれている。
松樹皮抽出物には、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有される。特に、松樹皮抽出物は、重合度が低い縮重合体を多く含有するプロアントシアニジンを含むものが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。特に、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)のプロアントシアニジンは、体内に吸収されやすい。本明細書では、上記の重合度が2〜4の重合体を、オリゴメリック・プロアントシアニジン(Oligomeric proanthocyanidin、以下単に「OPC」という)という。
上記松樹皮抽出物には、OPCとともにカテキン類が含まれていることが好ましい。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートなどが知られている。上記松樹皮のような原料植物由来の抽出物からは、狭義のカテキンといわれている(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキン又はガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離される。カテキン類には、OPCの存在下で水溶性が増すと同時に、OPCを活性化する性質がある。
松樹皮抽出物の抽出方法は特に限定されない。例えば、加温抽出法及び超臨界流体抽出法などが用いられる。超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、好ましくは、二酸化炭素が用いられる。
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを含む。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤又は吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、超臨界流体抽出では、エントレーナー添加法を用いてもよい。この方法では、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2〜20%(W/V)程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行う。当該方法によって、目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させることができる。
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質あるいは分解する物質にも適用でき、抽出流体が残留しないという利点がある。さらに、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点もある。
また、松樹皮抽出物は、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法及び超臨界二酸化炭素還流法などの方法で抽出されてもよい。
松樹皮抽出物の抽出方法は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることができる。
松樹皮からの抽出では、限外濾過、あるいは吸着性担体(ダイヤイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチンなど)を用いたカラム法又はバッチ法などにより、抽出物を精製することが安全性の面から好ましい。また、必要に応じて、減圧濃縮及び凍結乾燥などの方法により濃縮又は乾燥して、液状、ペースト状、又は粉末としてもよい。
上記松樹皮抽出物は、OPCを10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上の割合で含有する抽出物であることが望ましい。
OPCを20質量%以上含有する松樹皮抽出物を得るためのより具体的な抽出方法としては、例えば、フランス海岸松の樹皮を用いた以下の方法が好ましい。
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mLで洗浄し、洗浄液を得る。この抽出液と洗浄液を合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回行う。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1の量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、撹拌して得られる沈殿物を濾過により回収する。この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して沈殿させる操作を2回繰り返す洗浄工程を行う。この方法により、例えば、OPCを20質量%以上含有する松樹皮抽出物を得ることができる。なお、松樹皮抽出物としては、市販されているものを使用してもよい。
本実施の形態に係る化粧料は、公知の化粧料の方法で製造できる。本実施の形態に係る化粧料における松樹皮抽出物の配合量は、特に限定されないが、0.00001質量%〜20質量%、より好ましくは0.001質量%〜10質量%である。
上記化粧料としては、例えば乳液、クリーム、ローション、エキス、パック、口紅、ファンデーション、リキッドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ボディシャンプー、石けん、浴剤及び毛髪用化粧料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該化粧料には、化粧品に通常使用される基材及び添加剤などが含まれてもよい。さらに、当該化粧料は、機能の増強などを目的として様々な助剤を含んでもよい。
例えば、基剤としては、グリセロール、エタノール、パラベン、及びブチレングリコールなどが挙げられる。添加剤としては、賦形剤(シリコン系ポリマー)、香料、色素、保存剤(パラベンなど)、増粘剤(シリコン系ポリマー、アクリル系ポリマー、カルボキシビニル系ポリマーなど)、キレート剤、甘味料、清涼剤及び防腐防黴剤などが挙げられる。
助剤としては、例えば、油剤(リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、DHA及びEPAなどの不飽和脂肪酸ならびにその誘導体、あるいは亜麻仁油、ヤシ油、ホホバ油、オリーブ油、スクワラン、スクワレン、馬油、コメヌカ油及びヒマシ油などの動植物より抽出された油ならびにその誘導体など)、保湿剤(コラーゲン又はその分解物、カロットエキスなどを含むコラーゲン類似ペプチド、大豆ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類、コンドロイチンなどのアミノ酸、トレハロースなどの糖類、海藻類、アルギン酸、グルコマンナン、ペクチンなどの水溶性食物繊維及びリン脂質など)、界面活性剤(レシチン、脂肪酸エステル及びアミノ酸誘導体など)、紫外線吸収剤(酸化亜鉛及び酸化チタンなど)及び吸収促進剤などが挙げられる。
本実施の形態に係る化粧料は、HAS、特には哺乳動物のHASにおける3種類のアイソフォームをコードする遺伝子(HAS1、HAS2及びHAS3)の内、線維芽細胞で主に発現するHAS2の発現を亢進させる。このため、上記化粧料はHAS2の発現量を増加させることで、生体内におけるヒアルロン酸の産生を亢進させることができる。
また、当該化粧料は、PDGF受容体B遺伝子(PDGFRB)の発現を亢進させる。PDGFRBは、PDGFRのサブタイプの1つであるPDGFR−βをコードする。PDGFRは2量体から形成され、PDGFR−βは、PDGFR−α又はPDGFR−βと2量体を形成する。PDGFR−αとの2量体であるPDGFR−αβ及びPDGFR−βとの2量体であるPDGFR−ββは、いずれもPDGF−BBとの親和性を示す。したがって、上記化粧料はPDGFRBの発現を促進させることで、PDGF−BBによるシグナル経路を活性化させる。この結果、HASの発現が促進され、生体内におけるヒアルロン酸の産生を亢進させることができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る化粧料は、下記実施例にも示すように、ヒアルロン酸の産生亢進に有効である。
(実施の形態2)
実施の形態2について、主に上記実施の形態1と異なる点を主に説明する。本実施の形態に係るHASの発現促進剤は、松樹皮抽出物を有効成分とする。以下では、HASの発現促進剤を、単に「促進剤」として説明する。
実施の形態2について、主に上記実施の形態1と異なる点を主に説明する。本実施の形態に係るHASの発現促進剤は、松樹皮抽出物を有効成分とする。以下では、HASの発現促進剤を、単に「促進剤」として説明する。
促進剤は、既知の方法で製造され、有効成分として0.1質量%〜99質量%、1質量%〜50質量%、好ましくは1質量%〜20質量%の松樹皮抽出物を含む。
当該促進剤は、試薬、医薬部外品及び医薬などとして使用できる。促進剤の投与形態は、経口投与、又は経皮投与などの非経口投与とすることができる。当該促進剤の投与方法は、特に限定されないが、注射、経鼻、経皮、経肺及び経口などである。
本実施の形態に係る促進剤は、投与対象の性別、年齢、体重、症状などによって適宜決定される。当該促進剤の投与量は、典型的には、0.01mg/kg〜1000mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜200mg/kg、より好ましくは0.2mg/kg〜20mg/kgであり、1日に1回、又はそれ以上に分割して投与することができる。当該促進剤を分割して投与する場合、当該促進剤は、好ましくは1日に1〜4回投与される。また、当該促進剤は、毎日、隔日、1週間に1回、隔週、1ヶ月に1回などの様々な投与頻度で投与してもよい。なお、必要に応じて、上記の範囲外の量を用いることもできる。
なお、当該促進剤は、例えば、薬理的に許容される担体と配合された合剤であってもよい。薬理的に許容される担体は、製剤素材として用いられる各種の有機担体物質又は無機担体物質である。薬理的に許容される担体は、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、又は液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤などとして促進剤に配合される。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの添加物を用いることもできる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る促進剤は、ヒアルロン酸の産生亢進に有効である。
なお、上記促進剤は、添加物として、飲食品に配合されてもよい。飲食品は、特に限定されないが、例えば、飲料、菓子、穀類加工品、練り製品、乳製品及び調味料などである。この場合、飲食品に当該促進剤に加えて、その他の栄養成分を配合してもよい。また、上記促進剤は、サプリメントなどとして提供されてもよい。
上記促進剤を、添加物として飲食品に配合する場合には、その添加量は限定しないが、飲食品に対して0.00001〜20重量%添加するのが好ましく、0.0001〜10重量%添加するのがより好ましく、0.001〜5重量%添加するのがさらに好ましい。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(細胞培養)
37℃、5%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、正常ヒト皮膚線維芽細胞増殖用無血清液体培地(FibroLife(商標) Comp kit、以下、単に「培地」とする)においてヒト皮膚線維芽細胞(KF−4109、Fibrocell社製)を培養した。Trypsin−EDTA処理により浮遊させた細胞を、各ウェルを400μLのコラーゲンコート溶液(TMTCC−050、東洋紡社製)でコート後、400μLのリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、PBS)で洗浄することでコラーゲンコートした24ウェルプレートに、2.5×104細胞/ウェルとなるように500μLずつ播種した。当該プレートを37℃、5%CO2インキュベーター内に静置し、細胞を24時間培養した。
37℃、5%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、正常ヒト皮膚線維芽細胞増殖用無血清液体培地(FibroLife(商標) Comp kit、以下、単に「培地」とする)においてヒト皮膚線維芽細胞(KF−4109、Fibrocell社製)を培養した。Trypsin−EDTA処理により浮遊させた細胞を、各ウェルを400μLのコラーゲンコート溶液(TMTCC−050、東洋紡社製)でコート後、400μLのリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、PBS)で洗浄することでコラーゲンコートした24ウェルプレートに、2.5×104細胞/ウェルとなるように500μLずつ播種した。当該プレートを37℃、5%CO2インキュベーター内に静置し、細胞を24時間培養した。
培養後、培地を除去し、1又は5μg/mLの濃度で松樹皮抽出物を含有する培地を各ウェルに500μL添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で細胞を24時間培養した。なお、コントロールには松樹皮抽出物を含まない培地を用いた。
(遺伝子発現量解析)
まず、Rneasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて以下のようにmRNAを抽出した。培養後の上記プレートの各ウェルより培地上清を除去し、各ウェルを500μLのPBSで1回洗浄した。Buffer RLTを各ウェルに350μL添加し、室温で5分間振とうした。各ウェルよりライセート350μLを1.5mLサンプリングチューブに回収した。各サンプリングチューブにRnase−free waterで調整した70%エタノールを350μL添加し、すぐにピペッティングにより混和した。各チューブの溶液全量をRNeasy スピンカラムに添加し、2mL コレクションチューブにセットした。
まず、Rneasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて以下のようにmRNAを抽出した。培養後の上記プレートの各ウェルより培地上清を除去し、各ウェルを500μLのPBSで1回洗浄した。Buffer RLTを各ウェルに350μL添加し、室温で5分間振とうした。各ウェルよりライセート350μLを1.5mLサンプリングチューブに回収した。各サンプリングチューブにRnase−free waterで調整した70%エタノールを350μL添加し、すぐにピペッティングにより混和した。各チューブの溶液全量をRNeasy スピンカラムに添加し、2mL コレクションチューブにセットした。
上記スピンカラムを遠心(13,000rpm、室温、15秒)し、通過画分を捨てた。続いて、各スピンカラムに700μLのBuffer RW1を添加し、遠心(13,000rpm、室温、15秒)し、通過画分を捨てた。続いて、各スピンカラムに500μLのBuffer RPEを添加し、遠心(13,000rpm、室温、15秒)し、通過画分を捨てた。さらに、各スピンカラムに500μLのBuffer RPEを添加し、遠心(13,000rpm、室温、2分)し、通過画分を捨てた。
続いて、遠心(13,000rpm、室温、1分)後、1.5mL コレクションチューブにスピンカラムをセットした。各スピンカラムにあらかじめ60℃に温めたRNase free waterを50μL添加した。遠心(13,000rpm、室温、1分)し、各スピンカラムに、60℃に温めたRNase free waterを50μL再度添加した。遠心(13,000rpm、室温、1分)し、約100μLの通過画分をトータルRNAサンプルとした。
(cDNAの合成)
cDNAの合成には、Reverse Transcription Kit(QIAGEN社製)を用いた。ゲノムDNAを除去するため、300ngのトータルRNAサンプルと2μLのgDNA Wipeout Bufferと、RNase−free waterとを氷上で混合し、全量を14μLのサンプルとした。サンプルを42℃で2分間インキュベートした。新しい1.5mLのサンプルチューブで1μLのQuantiscript Reverse Transcriptase、4μLのQuantiscript RT Buffer及び1μLのRT Primer Mixを混合し、混合液を調製した。上記サンプルに混合液を添加し、42℃で15分間インキュベートした。続いて、95℃で3分間インキュベートし、−80℃で保存した。
cDNAの合成には、Reverse Transcription Kit(QIAGEN社製)を用いた。ゲノムDNAを除去するため、300ngのトータルRNAサンプルと2μLのgDNA Wipeout Bufferと、RNase−free waterとを氷上で混合し、全量を14μLのサンプルとした。サンプルを42℃で2分間インキュベートした。新しい1.5mLのサンプルチューブで1μLのQuantiscript Reverse Transcriptase、4μLのQuantiscript RT Buffer及び1μLのRT Primer Mixを混合し、混合液を調製した。上記サンプルに混合液を添加し、42℃で15分間インキュベートした。続いて、95℃で3分間インキュベートし、−80℃で保存した。
(Polymerase Chain Reaction(PCR)の実施)
上記で調製したcDNAサンプルを鋳型としたPCRを、QuantiNova SYBR Green PCR Kit(QIAGEN社製)を用いて行った。RT−PCR Cocktailは、5μLのMix、1μLのcDNAサンプル、1μLのプライマー、3μLの蒸留水を混合することで調製した。増幅対象の遺伝子及び使用したプライマー(QuantiTect Primer Assay、QIAGEN社製)を表1に示す。
上記で調製したcDNAサンプルを鋳型としたPCRを、QuantiNova SYBR Green PCR Kit(QIAGEN社製)を用いて行った。RT−PCR Cocktailは、5μLのMix、1μLのcDNAサンプル、1μLのプライマー、3μLの蒸留水を混合することで調製した。増幅対象の遺伝子及び使用したプライマー(QuantiTect Primer Assay、QIAGEN社製)を表1に示す。
PCRの条件は、95℃で2分間維持した後、95℃で5秒及び60℃で10秒を1サイクルとして、40サイクルとした。1倍、3倍、9倍希釈したサンプルから作成した検量線を用いて、各サンプルにおける遺伝子発現量を算出した。GAPDH(ハウスキーピング遺伝子)を内部標準としてmRNA量を補正し、相対的な発現量を得た。
(結果)
HAS2の結果を図1に示す。HAS2に関して、5μg/mLの松樹皮抽出物の添加によって発現増加が認められた。
HAS2の結果を図1に示す。HAS2に関して、5μg/mLの松樹皮抽出物の添加によって発現増加が認められた。
PDGFRBの結果を図2に示す。5μg/mLの松樹皮抽出物を添加することで、PDGFRBにおいて発現増加が認められた。
松樹皮抽出物の添加により、HAS2の有意な発現亢進が認められため、松樹皮抽出物にヒアルロン酸産生の力価があることが示唆された。松樹皮抽出物がPDGF−BBの受容体であるPDGFRBの発現を亢進したため、松樹皮抽出物によってPDGF−BBシグナルが活性化し、HAS2の発現が亢進したと考えられる。
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、化粧料、医薬及び食品に好適である。
Claims (6)
- 松樹皮抽出物を有効成分とする、
ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料。 - ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進が、
血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、
請求項1に記載のヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料。 - 前記ヒアルロン酸合成酵素遺伝子が、
HAS2である、
請求項1又は2に記載のヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料。 - 松樹皮抽出物を有効成分とする、
ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤。 - ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進が、
血小板由来成長因子受容体B遺伝子の発現促進による、
請求項4に記載のヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤。 - 前記ヒアルロン酸合成酵素遺伝子が、
HAS2である、
請求項4又は5に記載のヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤。
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JP2015207887A JP2017078048A (ja) | 2015-10-22 | 2015-10-22 | ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進化粧料及びヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤 |
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WO2020262609A1 (ja) * | 2019-06-27 | 2020-12-30 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 細胞足場材、細胞培養支持体、及び細胞の培養方法 |
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