JP2017078004A - 圧電組成物及び圧電素子 - Google Patents

圧電組成物及び圧電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】
高いd33およびTを備える環境配慮型の圧電組成物および圧電素子を提供することを目的とする。
【解決手段】
化学式(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO](1)
0.90≦x≦0.96
0.01≦y≦0.20
0.90≦a≦1.10
0.90≦b≦1.10
0.90≦c≦1.10
x+y=1
で表されることを特徴とする圧電組成物及び圧電素子とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッド、圧電アクチュエータ及び薄膜センサ等の分野において広く利用される圧電組成物、および圧電素子に関する。
圧電組成物を利用した圧電素子は、外部から電圧が印加されることにより歪みが発生する効果と、外部から応力を受けることにより表面に電荷が発生する効果を有し、各種分野で幅広く利用されている。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛などの鉛系圧電組成物を利用した圧電素子は、印加電圧に比例した歪みを発生し、その変位量は1×10−10m/Vのオーダと小さく、かつ応答性にも優れるため、例えば、光学系の微調整など高精度な位置調整に利用されている。
圧電組成物は加えられた応力、あるいは、この応力による変形量に比例した大きさの電荷が発生することから、微少な力や変形量を読み取るためのセンサとしても利用されている。更に、圧電組成物は優れた電界応答性を有することから、交流電界を印加することで、圧電組成物自身あるいは圧電組成物と接合関係にある弾性体を励振して共振させることも可能であり、圧電トランス、超音波モータなどにも利用されている。
一般的に圧電組成物は、強誘電体組成物を分極処理したものである。分極処理とは、自発分極の方向がランダムである焼結後の強誘電体組成物に直流電界を印加し、強誘電体の分域の方向を一定の方向に揃え、強誘電体組成物に極性を付与する操作である。特にペロブスカイト型構造においては、自発分極が三次元的に配向しやすいため、実用化されているほとんどの圧電組成物はペロブスカイト型構造を有している。
ペロブスカイト型構造とは、結晶構造の一種であり、一般にはABOの組成式で表される。具体的には、イオン半径の大きなアルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオンはAサイト、イオン半径の小さな遷移金属イオンなどはBサイトに配置され、頂点共有したBO酸素八面体の三次元ネットワークの空隙にAサイトイオンが充填された構造である。
現在、実用化されている大半のペロブスカイト型構造を有する圧電組成物は、ジルコン酸鉛(PbZrO:PZ)とチタン酸鉛(PbTiO:PT)からなる鉛系圧電組成物であり、様々な副成分あるいは添加物を加えることによって、多種多様なニーズに応えるものが幅広く開発されている。例えば、機械的品質係数(Q)が小さい代わりに圧電定数(d33)が大きく、直流的な使い方で大きな変位量が求められる位置調整用のアクチュエータなどに用いられるものから、d33が小さい代わりにQが大きく、超音波モータなどの超音波発生素子のような交流的な使い方に向いているものまで、様々なものがある。
また、PZT系以外にも圧電組成物として実用化されているものはあるが、それもマグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O)などの鉛系ペロブスカイト組成を主成分とする固溶体がほとんどである。
ところが、これらの鉛系圧電組成物は、融点の低い酸化鉛が60〜70質量%程度含まれており、焼成時に酸化鉛(PbO)が揮発しやすい。そのため、環境への配慮から、使用される酸化鉛を低減することが望まれる。また、今後、圧電組成物及び圧電単結晶の応用分野が広がることにより、鉛系圧電組成物の使用量増大が見込まれ、酸性雨と鉛の化学反応によって生じる硫酸鉛が土壌へ溶出してしまうことにより、従来の生態系を脅かすことが懸念される。そのため、圧電組成物の無鉛化が極めて重要な課題となっている。
鉛を全く含有しない圧電組成物としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO:BT)あるいはビスマス層状強誘電体などが知られている。しかし、BTは圧電特性が消失するキュリー温度(T)が120℃と低く、はんだによる接合または車載用などの高温での用途を考えると実用性に欠ける。また、ビスマス層状強誘電体は通常400℃以上のTを有しており熱的安定性に優れているが、圧電特性の異方性が大きいため、通常のセラミックプロセスでは鉛系圧電組成物に匹敵するような高いd33を得ることが困難である。ビスマス層状強誘電体において高いd33を得ようとする場合、ホットプレス法もしくはホットフォージング法などによって焼成中に自発分極を配向させる必要があり、生産性の点で問題が生じる。
一方、最近では、高いTを有しかつ得られるd33が良好であると期待される新たな圧電組成物として、チタン酸ナトリウムビスマス(Bi0.5Na0.5TiO:BNT)系の圧電組成物が挙げられている。例えば、特許文献1には、BNTにBTとチタン酸カルシウム(CaTiO:CT)が添加された圧電組成物が開示されている。
特開2004−18321号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている圧電組成物は鉛系圧電組成物に比べ、その圧電特性および温度特性は優れているとは言えず、更なるd33およびTの向上が求められている。
そこで本発明は、このような従来の実状に鑑みて提案されたものであり、高いd33およびTを備える環境配慮型の圧電組成物および圧電素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために、高いd33およびTを備える環境配慮型の圧電組成物を見出した。
本発明は、化学式(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO](1)
0.90≦x≦0.96
0.01≦y≦0.20
0.90≦a≦1.10
0.90≦b≦1.10
0.90≦c≦1.10
x+y=1
で表されることを特徴とする。
上記組成範囲により、高いd33とTを備えた環境配慮型の圧電組成物を得ることができる。
また、上記圧電組成物を用いた圧電素子、例えば、インクジェットヘッド、圧電アクチュエータ及び薄膜センサなどにおいても、アクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。さらに、高いTを持つため、実用温度領域の広い圧電素子を提供することができる。
本発明によれば、高いd33とTを備えた環境配慮型の圧電組成物及び圧電素子を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一構成例を表す斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表す断面図である。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bに、それぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。電極2、3として例えば、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)などが挙げられる。
図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。内部電極12として例えば、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)などが挙げられる。圧電層11の一層当たりの厚さは例えば1μm〜100μm程度が好ましく、圧電層11の積層数は目的とする変位量に応じて決定される。
化学式(1)(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO]からわかるように、本実施形態にかかる圧電組成物は、BNT、チタン酸バリウム(BaTiO:BT)及びアルミン酸ビスマス(BiAlO:BAO)から構成されている。
上記三成分の内、BNTが主成分であることにより、比較的高いTを有する。
上記三成分の内、BNTとBTの二元系において、d33の最大値が0.94BNT−0.06BTで確認された。これは、菱面体晶系構造を有するBNTと正方晶系構造を有するBTが結晶相境界(Morphotropic Phase Boundary:MPB)を形成することによる。
しかし、BTはTが約120℃と低い為に、Tが約330℃であるBNTに固溶させるとTが低下する。
一方、上記三成分の内、BAOはBTと同じく正方晶系構造を有しながら、Tは520℃と高い。
すなわち、上記項に記載の三成分系において、BNTとBTにおけるMPBの形成により高いd33を得ることができ、かつ高いTを有するBAOによって、Tを高く保つことができる。したがって、上記組成範囲とすることにより、高いd33及びTを備える圧電組成物を得ることができる。
また、本実施形態にかかるBNTとBT及びBAOの三成分を主成分とする圧電組成物の組成範囲が、化学式(1)(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO]において、x、y及びaの範囲が、それぞれ0.90≦x≦0.96、0.01≦y≦0.20、0.90≦a≦1.10、0.90≦b≦1.10、0.90≦c≦1.10である場合、高いd33を備えたまま、より高いTを得ることができる。
上記組成範囲において、0.90≦x≦0.96であるが、xが0.90未満の場合、Tの低いBTの含有量が多くなりTが低下する。また、MPB組成から離れることでd33も低下する。xが0.96を超える場合、MPB組成から離れる為にd33が低下する。一方、yの範囲は0.01≦y≦0.20であるが、yが0.01未満の場合はTが低下し、yが0.20を超える場合はMPB組成から離れる為にd33が低下する。
上述した領域に加え、本実施形態にかかるBNTとBTとBAOの三成分を主成分とする圧電組成物の組成が化学式(1)(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO]のx、yの範囲がそれぞれ、0.95≦x≦0.96、0.01≦y≦0.10である場合、より高いTおよびd33を得ることができ、より好ましい。
化学式(1)(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO]のa、b及びcは、圧電組成物全体におけるペロブスカイト構造化合物のAサイトとBサイト原子の構成比であるA/B比を表す。a、b及びcが1.10を超える場合は、高い焼結性が得難く好ましくない。一方、a、b及びcが1.10以下であれば焼結性を高めることができ好ましく、a、b及びcが1.00以下であればより高い圧電特性を得ることができ、より好ましい。しかしながら、a、b及びcが0.90未満であると非ペロブスカイト型構造の二次相の発生により抵抗率が下がり、圧電特性を得ることができない。以上から、a、b及びcの範囲は0.90≦a≦1.10、0.90≦b≦1.10、0.90≦c≦1.10であればよいが、好ましくは、a、b及びcは同じ方が良い。
本実施形態にかかる圧電組成物は、化学式(1)(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO]に当てはまるものであれば各成分の混合形態は限定されない。すなわち、第一の化合物であるBNT、第二の化合物であるBT及び第三の化合物であるBAOの三成分を主成分として含有し、それらは固溶しているが、完全に固溶していなくてもよい。
また、本発明の圧電組成物は、BNTとBT及びBAOを主成分とし、副成分として、遷移金属元素(長周期型周期表における3族〜11族の元素)、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、長周期型周期表における12族元素及び長周期型周期表における13族の金属元素のうちの少なくとも1種以上を含有していてもよい。ここでの主成分とは、材料組成物を構成する成分の全体のモル比に対して99%以上のことを示す。
具体的には、遷移金属元素(希土類元素を除く)であれば、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タングステン(W)あるいはモリブデン(Mo)などが挙げられる。希土類元素であれば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)あるいはイッテルビウム(Yb)などが挙げられる。
アルカリ金属元素であれば、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)あるいはセシウム(Cs)などが挙げられる。アルカリ土類金属元素であれば、マグネシウム(Mg)あるいはストロンチウム(Sr)などが挙げられる。12族元素であれば、亜鉛(Zn)などが挙げられる。13族の金属元素であれば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)あるいはインジウム(In)などが挙げられる。
なお、本実施形態にかかる圧電組成物は、不純物として鉛を含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、鉛を全く含まないことがより好ましい。焼成時における鉛の揮発、及び圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性及び生態学的見地から好ましいためである。
また、この圧電組成物の結晶粒径は、圧電特性の発揮や機械的強度の観点から例えば0.5μm〜20μmであることが好ましい。
このような構成を有する圧電組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず出発原料として、酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(Na2CO)、酸化チタン(TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、酸化アルミニウム(Al)などの粉末を必要に応じて用意し、目的とする組成に応じて秤量する。
なお、出発原料には、酸化物に代えて、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。
次いで、秤量した出発原料を、例えばボールミルなどで、有機溶媒中または水中で5時間〜20時間程度充分に混合したのち、充分に乾燥する。乾燥温度は、例えば90℃程度である。ただし上述した出発原料を乾式混合で行う場合は、この乾燥工程を省略してもよい。
これら乾燥させた出発原料を粉末のまま、もしくはプレス成型を行った後、750℃〜950℃で1時間〜20時間程度仮焼成する。仮焼成の際の昇温及び降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。本実施形態における仮焼成雰囲気は大気焼成としたが、酸素分圧の高低には限定されない。
上述した工程により、一般式ABOで示されるペロブスカイト型構造を有する組成物の仮焼成物を得る。ペロブスカイト構造を有することは後述の実施例ではXRDにて確認し、上記組成範囲内であることは誘導結合プラズマ発光分光および、蛍光X線分析で確認した。また後述の実施例ではペロブスカイト構造を有さない二次相の有無はXRDにて確認した。本実施形態において、ペロブスカイト構造を有することと、上記組成範囲であることを確認する方法は上記の方法に限定されない。一般式ABOにおけるAはBi、Na及びBaを含み、BはTi及びAlである。
上記仮焼成物を、例えばボールミルなどで、有機溶媒中または水中で5時間〜20時間程度十分に粉砕したのち、十分乾燥する。乾燥温度は、例えば90℃程度である。
これら乾燥させた仮焼成物に有機バインダー溶液(Polyvinyl Alcohol:PVA)を加えて混合し造粒する。造粒したのち、この造粒粉を一軸プレス成形して成形体を得る。成形体の形状は限定されないが、例えば円柱、角柱、円板もしくは角板などとする。
好ましくは、上記工程後に追加で冷間等方圧プレス(Cold Isostatic Pressing:CIP)を実施するとより好ましい。その際、最大負荷圧は1.0MPa〜3.5MPaで1分間〜3分間程度、等方圧プレスを実施するとより好ましい。
上述した工程により得られた成形体を、400℃〜800℃で2時間〜4時間程度熱処理してバインダーを揮発させ、950℃〜1300℃で2時間〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温及び降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。本実施形態における本焼成雰囲気は大気焼成としたが、酸素分圧の高低には限定されない。
上述した工程により得られた焼結体の結晶平均粒径は、0.5μm〜20μm程度である。
本焼成ののち、得られた焼結体の表面を必要に応じて研磨し、電極を設ける。電極形成は電極ペーストを塗布して焼き付けることの他に、蒸着やスパッタ成膜等で電極膜を形成してもよい。上述した工程により、電極付き焼結体を得る。
電極付き焼結体を25℃〜200℃のシリコンオイル中で5kV/mm〜10kV/mmの電界を5分間〜1時間程度印加して分極処理を行う。上記工程により、圧電組成物が得られる。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bにそれぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。圧電基板1は、例えば、厚さ方向、すなわち電極2、3の対向方向に分極されており電極2、3を介して電圧が印加されることにより、厚み方向に縦振動するようになっている。電極2、3は、例えば、金(Au)などの金属によりそれぞれ構成されており、圧電基板1の対向面1a、1bの全面それぞれに設けられている。これら電極2、3には、例えば図示しないワイヤなどを介して図示しない外部電源が電気的に接続される。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述したように圧電組成物を作製したのち、必要に応じて所定の大きさに加工し、圧電基板1を形成する。次に、この圧電基板1に電極2、3を例えば蒸着することにより、図1に示した圧電素子が得られる。
また、図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。圧電層11の一層当たりの厚さは例えば1μm〜100μm程度が好ましく、圧電層11の積層数は目的とする変位量に応じて決定される。
内部電極12は、導電材料を含有している。導電材料は特に限定されないが、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)及びパラジウム(Pd)からなる群の内の少なくとも1種、あるいはその合金が好ましい。なお、内部電極12は、これらの他にリン(P)などの各種微量成分を0.1質量%程度以下含有していてもよい。内部電極12の厚さは例えば0.5μm〜3μm程度であることが好ましい。
この内部電極12は例えば交互に逆方向に延長されており、その延長方向には内部電極12と電気的に接続された一対の端子電極21、22がそれぞれ設けられている。端子電極21、22は、例えば、端子電極用ペーストを焼き付けることにより形成される。この端子電極用ペーストは、例えば、導電材料と、ガラスフリットと、ビヒクルとを含有している。導電材料は、例えば、Ag、Au、Cu、Ni、Pd及びPtからなる群のうちの少なくとも一種を含んでいる。ビヒクルには、有機ビヒクルあるいは水系ビヒクルなどがあり、有機ビヒクルはバインダーを有機溶媒に溶解させたもの、水系ビヒクルは水に水溶性バインダー及び分散剤などを溶解させたものである。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述した圧電組成物の製造方法と同様にして仮焼成粉を形成したのち、ビヒクルを加えて混合し圧電層用ペーストを作製する。次に、内部電極12を形成するために上述した導電材料、または焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物などをビヒクルと混合し、内部電極用ペーストを作製する。尚、内部電極用ペーストには、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料などの添加物を添加してもよい。
上記工程により得られた圧電層用ペーストを、例えばPETフィルム上に塗布し、圧電層用グリーンシートを得る。この上に内部電極用ペーストを印刷し、所定の大きさに切断、交互積層することで、積層体10の前駆体であるグリーンチップを作製する。上記工程により得られたグリーンチップに脱バインダー処理を施し、焼成して積層体10を形成する。
上述した工程により得られた積層体10に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、内部電極用ペーストと同様にして作製した端子電極用ペーストを印刷または転写して焼き付け、端子電極21、22を形成する。これにより、図2に示した圧電素子が得られる。
本実施形態にかかる圧電組成物は、例えば圧電発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータ、圧電トランス、薄膜センサ、薄膜アクチュエータまたは圧電超音波モータ等に使用できるが、圧電組成物を使用できる圧電素子であればこれら以外のものに適用してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜17及び比較例1〜16)
酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化チタン(TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、酸化アルミニウム(Al)粉末を表1記載の配合比となるように秤量した。このときa、b及びcは同じ値にした。そして、秤量した出発原料をボールミルにより水中で16時間湿式混合したのち、120℃で乾燥して混合粉を得た。これをプレス成型して、大気中において800℃で2時間仮焼し仮焼成体を得た。そして、この仮焼成体をボールミルにより水中で16時間粉砕したのち、120℃で乾燥して粉砕粉を得た。
上記工程により得られた粉砕粉に、例えばPVA水溶液などのバインダーを加えて造粒した。そして得られた造粒粉をプレス成型機により3.2MPaの荷重を加えてプレス成型し、平板状成型体を得た。得られた平板状成型体に700℃で熱処理を施し、さらに1180℃にて本焼成し、焼結体を得た。そして、得られた焼結体の表面を研磨して、厚さ0.6mm程度の平行平板状とし、その平行平板状焼結体の両面に蒸着によって、対向銀電極を設けた。さらに、50℃のシリコンオイル中で5kV/mmの電界を15分間印加し分極処理を行った。上記工程により、表1に示す実施例1〜17及び比較例1〜16の圧電特性評価用の試験片を得た。
上記工程により得られた実施例1〜17及び比較例1〜16の圧電特性評価用の試験片(圧電素子)圧電組成物について、d33及びTを測定した。その際、d33の測定は室温にてPIEZO d33 METER MODEL ZJ−4B(INSTITUTE OF ACOUSTIC SACADEMIASINICA製)により行った。Tの測定は、ゴールドファーネス炉(石川産業製)中に上記試験片を入れ、昇温しながら各温度でPRECISION LCR METER(HEWLETT PACKARD製)により静電容量を測定し、そのピーク温度から決定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2017078004
圧電組成物の圧電特性評価結果を、○×として表1に示す。この評価では、実用上の圧電特性を保証するため、d33は120pC/N以上、Tは250℃以上を良好と判断した。これらを共に満足している場合を好適として○、どちらかまたは両方を満足していない場合を不適として×とした。
表1からわかるように、本実施形態にかかるBNTとBTとBAOの三成分を主成分とする圧電組成物の組成が化学式(1)のx、y、a、b及びcの範囲がそれぞれ、0.90≦x≦0.96、0.01≦y≦0.20、0.90≦a≦1.10、0.90≦b≦1.10、0.90≦c≦1.10である場合、d33及びTの両方が良好であった。
(実施例18〜19、及び比較例17〜18)
化学式(1)のx、yを、x=0.94、y=0.10とし、a、b及びcを同じ値とし、表1に示した組成になるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。また、実施例18〜19、及び比較例17〜18についても同様に、d33及びTを測定した。また得られた圧電組成物の二次相の有無をXRD(SmartLab :Rigaku製)にて確認した。その結果も表2に示す。
Figure 2017078004
表2からわかるように、a、b及びcが0.90より小さい比較例17においては、非ペロブスカイト構造の二次相の顕著な出現により、抵抗率が著しく低下した。そのため分極処理中に絶縁破壊が生じ、d33測定に至らなかった。また、a、b及びcが1.10より大きい比較例18では、高い焼結性が得られず、低結晶性から起因する、d33の低下がみられた。以上から、a、b及びcは0.90≦a≦1.10、0.90≦b≦1.10、0.90≦c≦1.10の範囲が好ましい。
以上、実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態及び実施例に限定されるものではない。上述した実施形態及び実施例では、BNT、BT及びBAOを含む場合についてのみ説明したが、BNT、BT及びBAOで表される三成分に加えて、他の化合物を含んでいる圧電組成物または圧電素子についても容易に想起しうるため、本発明の範囲とする。
本発明の圧電組成物は、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどにおいてもアクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。さらに、高いTを持つため、実用温度領域の広い圧電素子を提供することができる。
1 圧電基板
2、3 電極
1a、1b 対向面
10 積層体
11 圧電層
12 内部電極
21、22 端子電極

Claims (2)

  1. 化学式(1−y)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+(1−y)(1−x)[BaTiO]+y[BiAlO](1)
    0.90≦x≦0.96
    0.01≦y≦0.20
    0.90≦a≦1.10
    0.90≦b≦1.10
    0.90≦c≦1.10
    x+y=1
    で表されることを特徴とする圧電組成物。
  2. 請求項1に記載の圧電組成物を備える圧電素子。
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