以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る裏面照射型の撮像素子100の断面図である。撮像素子100は、入射光に対応した画素信号を出力する撮像チップ113と、画素信号を処理する信号処理チップ111と、画素信号を記憶するメモリチップ112とを備える。これら撮像チップ113、信号処理チップ111およびメモリチップ112は積層されており、Cu等の導電性を有するバンプ109により互いに電気的に接続される。
なお、図示するように、入射光は主に白抜き矢印で示すZ軸プラス方向へ向かって入射する。本実施形態においては、撮像チップ113において、入射光が入射する側の面を裏面と称する。また、座標軸に示すように、Z軸に直交する紙面左方向をX軸プラス方向、Z軸およびX軸に直交する紙面手前方向をY軸プラス方向とする。以降のいくつかの図においては、図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
撮像チップ113の一例は、裏面照射型のMOSイメージセンサである。PD層106は、配線層108の裏面側に配されている。PD層106は、二次元的に配され、入射光に応じた電荷を蓄積する複数のPD(フォトダイオード)104、および、PD104に対応して設けられたトランジスタ105を有する。
PD層106における入射光の入射側にはパッシベーション膜103を介してカラーフィルタ102が設けられる。カラーフィルタ102は、互いに異なる波長領域を透過する複数の種類を有しており、PD104のそれぞれに対応して特定の配列を有している。カラーフィルタ102の配列については後述する。カラーフィルタ102、PD104およびトランジスタ105の組が一つの画素を形成する。
カラーフィルタ102における入射光の入射側には、それぞれの画素に対応して、マイクロレンズ101が設けられる。マイクロレンズ101は、対応するPD104へ向けて入射光を集光する。
配線層108は、PD層106からの画素信号を信号処理チップ111に伝送する配線107を有する。配線107は多層であってもよく、また、受動素子および能動素子が設けられてもよい。
配線層108の表面には複数のバンプ109が配される。当該複数のバンプ109が信号処理チップ111の対向する面に設けられた複数のバンプ109と位置合わせされて、撮像チップ113と信号処理チップ111とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
同様に、信号処理チップ111およびメモリチップ112の互いに対向する面には、複数のバンプ109が配される。これらのバンプ109が互いに位置合わせされて、信号処理チップ111とメモリチップ112とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
なお、バンプ109間の接合には、固相拡散によるCuバンプ接合に限らず、はんだ溶融によるマイクロバンプ結合を採用しても良い。また、バンプ109は、例えば後述する一つの単位ブロックに対して一つ程度設ければ良い。したがって、バンプ109の大きさは、PD104のピッチよりも大きくても良い。また、画素が配列された撮像領域以外の周辺領域において、撮像領域に対応するバンプ109よりも大きなバンプを併せて設けても良い。
信号処理チップ111は、表裏面にそれぞれ設けられた回路を互いに接続するTSV(シリコン貫通電極)110を有する。TSV110は、周辺領域に設けられることが好ましい。また、TSV110は、撮像チップ113の周辺領域、メモリチップ112にも設けられて良い。
図2は、撮像チップ113の画素配列と単位ブロック131を説明する図である。特に、撮像チップ113を裏面側から観察した様子を示す。撮像領域には2000万個以上もの画素がマトリックス状に配列されている。当該撮像領域が複数の単位ブロック131に分割されている。
図2の例においては、隣接する4画素×4画素の16画素が一つの単位ブロック131を形成する。図の格子線は、隣接する画素がグループ化されて単位ブロック131を形成する概念を示す。単位ブロック131を形成する画素の数はこれに限られず1000個程度、例えば32画素×64画素でもよいし、それ以上でもそれ以下でもよい。当該単位ブロック131が二次元的に配されて上記撮像領域が形成されている。
画素領域の部分拡大図に示すように、単位ブロック131は、緑色画素Gb、Gr、青色画素Bおよび赤色画素Rの4画素から成るいわゆるベイヤー配列を、上下左右に4つ内包する。緑色画素は、カラーフィルタ102として緑色フィルタを有する画素であり、入射光のうち緑色波長帯の光を受光する。同様に、青色画素は、カラーフィルタ102として青色フィルタを有する画素であって青色波長帯の光を受光し、赤色画素は、カラーフィルタ102として赤色フィルタを有する画素であって赤色波長帯の光を受光する。
本実施形態において、複数の単位ブロック131のそれぞれについて評価値が算出され、当該評価値が予め定められた判定条件を満たすか否かが判定される。判定条件を満たした単位ブロック131の蓄積、読出し等は終了し、判定条件を満たさない単位ブロック131に対しては撮像条件を変更して蓄積、読出し、評価値の判定等が繰り返される。評価値の例は単位ブロック131内のコントラストであり、判定条件の例は極大値となったか否かである。この場合に変更する撮像条件の例は、合焦位置である。評価値の他の例は、単位ブロック131内の輝度であり、判定条件の例は極大値となったか否かである。この場合に変更する撮像条件の例は、絞り、シャッタ速度、ISO感度等である。
図3は、撮像チップ113の単位ブロック131に対応する回路図である。図において、代表的に点線で囲む矩形が、1画素に対応する回路を表す。なお、以下に説明する各トランジスタの少なくとも一部は、図1のトランジスタ105に対応する。
上述のように、単位ブロック131は、16画素から形成される。それぞれの画素に対応する16個のPD104は、それぞれ転送トランジスタ302に接続され、各転送トランジスタ302の各ゲートには、転送パルスが供給されるTX配線307に接続される。本実施形態において、TX配線307は、16個の転送トランジスタ302に対して共通接続される。
各転送トランジスタ302のドレインは、対応する各リセットトランジスタ303のソースに接続されると共に、転送トランジスタ302のドレインとリセットトランジスタ303のソース間のいわゆるフローティングディフュージョンFDが増幅トランジスタ304のゲートに接続される。リセットトランジスタ303のドレインは電源電圧が供給されるVdd配線310に接続され、そのゲートはリセットパルスが供給されるリセット配線306に接続される。本実施形態において、リセット配線306は、16個のリセットトランジスタ303に対して共通接続される。
各々の増幅トランジスタ304のドレインは電源電圧が供給されるVdd配線310に接続される。また、各々の増幅トランジスタ304のソースは、対応する各々の選択トランジスタ305のドレインに接続される。選択トランジスタの各ゲートには、選択パルスが供給されるデコーダ配線308に接続される。本実施形態において、デコーダ配線308は、16個の選択トランジスタ305に対してそれぞれ独立に設けられる。そして、各々の選択トランジスタ305のソースは、共通の出力配線309に接続される。負荷電流源311は、出力配線309に電流を供給する。すなわち、選択トランジスタ305に対する出力配線309は、ソースフォロアにより形成される。なお、負荷電流源311は、撮像チップ113側に設けても良いし、信号処理チップ111側に設けても良い。また、画素個数分のデコーダ配線308を設けることに代えて、行列選択線およびれに対応したトランジスタを設けて、個々の画素を選択してもよい。
ここで、電荷の蓄積開始から蓄積終了後の画素信号の出力までの流れを説明する。リセット配線306を通じてリセットパルスがリセットトランジスタ303に印加され、同時にTX配線307を通じて転送パルスが転送トランジスタ302に印加されると、PD104およびフローティングディフュージョンFDの電位はリセットされる。
PD104は、転送パルスの印加が解除されると、受光する入射光を電荷に変換して蓄積する。その後、リセットパルスが印加されていない状態で再び転送パルスが印加されると、蓄積された電荷はフローティングディフュージョンFDへ転送され、フローティングディフュージョンFDの電位は、リセット電位から電荷蓄積後の信号電位になる。そして、デコーダ配線308を通じて選択パルスが選択トランジスタ305に印加されると、フローティングディフュージョンFDの信号電位の変動が、増幅トランジスタ304および選択トランジスタ305を介して出力配線309に伝わる。これにより、リセット電位と信号電位とに対応する画素信号は、単位画素から出力配線309に出力される。
図示するように、本実施形態においては、単位ブロック131を形成する16画素に対して、リセット配線306とTX配線307が共通である。すなわち、リセットパルスと転送パルスはそれぞれ、16画素全てに対して同時に印加される。したがって、単位ブロック131を形成する全ての画素は、同一のタイミングで電荷蓄積を開始し、同一のタイミングで電荷蓄積を終了する。ただし、蓄積された電荷に対応する画素信号は、それぞれの選択トランジスタ305が選択パルスによって順次印加されて、選択的に出力配線309に出力される。また、リセット配線306、TX配線307、出力配線309は、単位ブロック131毎に別個に設けられる。
このように単位ブロック131を基準として回路を構成することにより、単位ブロック131ごとに電荷蓄積時間を制御することができる。換言すると、隣接する単位ブロック131同士で、異なった電荷蓄積時間による画素信号をそれぞれ出力させることができる。更に言えば、一方の単位ブロック131に1回の電荷蓄積を行わせている間に、他方の単位ブロック131に何回もの電荷蓄積を繰り返させてその都度画素信号を出力させることにより、これらの単位ブロック131同士で異なるフレームレートで動画用の各フレームを出力することもできる。また、単位ブロック131ごとに画素信号の読出しの有無を制御することができる。
図4は、本実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。撮像装置500は、撮影光学系としての撮影レンズ520を備え、撮影レンズ520は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像素子100へ導く。撮影レンズ520は、撮像装置500に対して着脱できる交換式レンズであっても構わない。撮像装置500は、撮像素子100、システム制御部501、駆動部502、測光部503、ワークメモリ504、記録部505、表示部506および駆動部514を主に備える。
撮影レンズ520は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。なお、図4では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで当該撮影レンズ520を代表して表している。
駆動部514は撮影レンズ520を駆動する。より具体的には駆動部514は撮影レンズ520の光学レンズ群を移動させて合焦位置を変更し、また、撮影レンズ520内の虹彩絞りを駆動して撮像素子100へ入射する被写体光束の光量を制御する。
駆動部502は、システム制御部501からの指示に従って撮像素子100のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する制御回路である。また、操作部508はレリーズボタン等により撮像者からの指示を受け付ける。
撮像素子100は、画素信号をシステム制御部501の画像処理部511へ引き渡す。画像処理部511は、ワークメモリ504をワークスペースとして種々の画像処理を施し、画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ベイヤー配列で得られた信号からカラー映像信号を生成した後に圧縮処理を実行する。生成された画像データは、記録部505に記録されるとともに、表示信号に変換されて予め設定された時間の間、表示部506に表示される。
測光部503は、画像データを生成する一連の撮影シーケンスに先立ち、シーンの輝度分布を検出する。測光部503は、例えば100万画素程度のAEセンサを含む。システム制御部501の演算部512は、測光部503の出力を受けてシーンの領域ごとの輝度を算出する。演算部512は、算出した輝度分布に従ってシャッタ速度、絞り値、ISO感度を決定する。測光部503は撮像素子100で兼用してもよい。なお、演算部512は、撮像装置500を動作させるための各種演算も実行する。
駆動部502は、一部または全部が撮像チップ113に搭載されてもよいし、一部または全部が信号処理チップ111に搭載されてもよい。システム制御部501の一部が撮像チップ113または信号処理チップ111に搭載されてもよい。
図5は、信号処理チップ111の一例としての具体的構成を示すブロック図である。信号処理チップ111は、駆動部502の機能を担う。
信号処理チップ111は、分担化された制御機能としてのセンサ制御部441、ブロック制御部442、同期制御部443、信号制御部444、個別回路部450A等と、これらの各制御部を統括制御する駆動制御部420とを含む。信号処理チップ111は、さらに、駆動制御部420と撮像装置500本体のシステム制御部501と間のI/F回路418を含む。これらセンサ制御部441、ブロック制御部442、同期制御部443、信号制御部444および駆動制御部420は、信号処理チップ111に対して一つずつ設けられる。
一方、個別回路部450A、450B、450C、450D、450Eは、単位ブロック131A、131B、131C、131D、131Eごとに設けられる。個別回路部450A、450B、450C、450D、450Eは、同一の構成を有するので、以下、個別回路部450Aについて説明する。個別回路部450Aは、CDS回路410、マルチプレクサ411、A/D変換回路412、デマルチプレクサ413、画素メモリ414および演算回路415を含む。演算回路415は、I/F回路418を介してシステム制御部501との間で信号を送受信する。
個別回路部450Aは対応する単位ブロック131Aの画素が配された領域に重畳した領域に配されていることが好ましい。これにより、各チップを面方向に大きくすることなく、複数の単位ブロック131Aのそれぞれに個別回路部450Aを設けることができる。
駆動制御部420は、タイミングメモリ430を参照して、システム制御部501からの指示を、各制御部が実行可能な制御信号に変換してそれぞれに引き渡す。特に、駆動制御部420は、タイミングメモリ430において蓄積および読み出しをすべきとされている単位ブロック131A等を特定し、当該単位ブロック131A等を特定する情報ともに各制御部に制御パラメータを引き渡す。制御パラメータの例は、フレームレート、間引き率、画素信号を加算する加算行数または加算列数、電荷の蓄積時間または蓄積回数、デジタル化のビット数等である。
センサ制御部441は、撮像チップ113へ送出する、各画素の電荷蓄積、電荷読み出しに関わる制御パルスの送出制御を担う。具体的には、センサ制御部441は、対象画素に対してリセットパルスと転送パルスを送出することにより、電荷蓄積の開始と終了を制御し、読み出し画素に対して選択パルスを送出することにより、画素信号を出力配線309へ出力させる。
ブロック制御部442は、撮像チップ113へ送出する、制御対象となる単位ブロック131を特定する特定パルスの送出を実行する。各画素がTX配線307およびリセット配線306を介して受ける転送パルスおよびリセットパルスは、センサ制御部441が送出する各パルスとブロック制御部442が送出する特定パルスの論理積となる。このように、各領域を互いに独立したブロックとして制御することができる。
同期制御部443は、同期信号を撮像チップ113へ送出する。各パルスは、同期信号に同期して撮像チップ113においてアクティブとなる。例えば、同期信号を調整することにより、同一の単位ブロック131A等に属する画素の特定画素のみを制御対象とするランダム制御、間引き制御等を実現する。
信号制御部444は、主にA/D変換回路412に対するタイミング制御を担う。出力配線309を介して出力された画素信号は、CDS回路410およびマルチプレクサ411を経てA/D変換回路412に入力される。CDS回路410は画素信号からノイズを取り除く。
A/D変換回路412は、信号制御部444によって制御されて、入力された画素信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された画素信号は、デマルチプレクサ413に引き渡され、そしてそれぞれの画素に対応する画素メモリ414にデジタルデータの画素値として格納される。
演算回路415は、対応する単位ブロック131Aについて、画素メモリ414に格納された画素値に基づく評価値を演算し、当該評価値が予め定められた判定条件を満たすか否かを判定する。演算回路415は、この判定の結果を、単位ブロック131Aを特定する情報に対応付けて駆動制御部420に出力する。
画素メモリ414は、単位ブロック131Aに含まれる画素数の2倍以上の画素数分の画素値を格納できるメモリ空間を有し、撮影条件を変えて蓄積および読み出しされたそれぞれの画素値を格納する。画素メモリ414には、引渡要求に従って画素信号を伝送するデータ転送インタフェースが設けられている。データ転送インタフェースは、画像処理部511と繋がるデータ転送ラインと接続されている。データ転送ラインは例えばバスラインのうちのデータバスによって構成される。この場合、システム制御部501から駆動制御部420への引渡要求は、アドレスバスを利用したアドレス指定によって実行される。
データ転送インタフェースによる画素信号の伝送は、アドレス指定方式に限らず、さまざまな方式を採用しうる。例えば、データ転送を行うときに、各回路の同期に用いられるクロック信号の立ち上がり・立ち下がりの両方を利用して処理を行うダブルデータレート方式を採用し得る。また、アドレス指定などの手順を一部省略することによってデータを一気に転送し、高速化を図るバースト転送方式を採用し得る。また、制御部、メモリ部、入出力部を並列に接続している回線を用いたバス方式、直列にデータを1ビットずつ転送するシリアル方式などを組み合わせて採用することもできる。
このように構成することにより、画像処理部511は、必要な画素値に限って受け取ることができるので、特に低解像度の画像を形成する場合などにおいて、高速に画像処理を完了させることができる。
信号処理チップ111は、フラッシュRAM等により形成されるタイミングメモリ430を有する。タイミングメモリ430は、いずれの単位ブロック131A等に対して何回の電荷蓄積を繰り返すかについての蓄積回数情報等の制御パラメータを、単位ブロック131A等を特定する情報に対応づけて格納する。タイミングメモリ430にはさらに、個別回路部450A等の演算回路415から出力された、「評価値が判定条件を満たすか否か」を示す情報、例えばフラグ等が、単位ブロック131A等を特定する情報に対応付けて格納される。
図6は、演算回路415の機能ブロックを示す。演算回路415は、高域成分算出部460と、コントラスト算出部462と、極大検出部464とを有する。高域成分算出部460は、画素メモリ414に格納された単位ブロック131Aの各画素のG画素信号を読み出し、その2次元配列に基づいたハイパスフィルタ処理をすることにより空間的な高周波成分Ghを抽出する。同様に、高域成分算出部460は、R画素の高周波成分RhおよびB画素の高周波成分Bhを算出する。
コントラスト算出部462は、単位ブロック131Aに含まれる複数の画素について上記高周波成分Gh、Rh、Bhの絶対値の総和を算出する。当該コントラスト値は評価値の一例である。なお、コントラスト値の算出方法はこれに限られない。
極大検出部464は、当該単位ブロック131Aの当該コントラスト値が極大であるか否かを検出する。この場合に、極大検出部464は、上記コントラスト値の履歴を格納しておき、新たに算出されたコントラスト値を過去に算出されたコントラスト値と比較することにより、極大となったか否かを検出する。極大となったか否かは、単位ブロック131Aの評価値が判定条件を満たしたか否かを判定する判定条件の一例である。
極大検出部464は、コントラスト値が極大となったか否かを示す情報を駆動制御部420に出力する。これに代えてまたはこれに加えて、極大検出部464は、当該情報をタイミングメモリ430に直接書き込んでもよい。
図7は、撮像装置500の動作を説明するために用いられる、被写体170の一例を示す。図8は、被写体170に含まれる個々の被写体の位置関係を示す。
図7および図8に示す例において、被写体170は、被写体A、B、C、D、Eを含む。図8に示すように、撮像装置500に対して近い順に、被写体A、B、C、D、Eが配されている。
図7における細線は、被写体170を撮像素子100の撮像領域全体で撮像した場合における、単位ブロック131の境界を示している。また太線は、被写体A等のそれぞれを含んでいる複数の又は単数の単位ブロック131からなる単位ブロック群132A等の境界を示している。
図9は、撮像装置500の動作を示すフローチャートの一例である。図10から図14は、当該動作により撮像される画像の一例を示す。なお、図10から図14は説明のために画像と称しているが、撮像装置500において表示できる形式としてこれらの画像が生成されなくてよい。
図9のフローチャートは、例えば撮像装置500のレリーズボタンが半押しされた場合に開始する。システム制御部501は、絞り値、シャッタ速度等の撮像条件を設定する(S100)。これらの撮像条件は、撮影者からの入力を優先してもよいし、システム制御部501の側があらかじめ設定したものであってもよい。システム制御部501の側が設定する場合にあっては、特に、絞り値については開放側、シャッタ速度については早い側に設定されることが好ましい。
システム制御部501は、駆動部514により撮影レンズ520を駆動して、合焦位置を設定する(S102)。この場合にシステム制御部501は、撮像装置500の位置から無限遠までを複数の領域に分けて、当該複数の領域内にそれぞれ合焦点位置が来るように撮影レンズ520を駆動する。図8に示すように撮影レンズ520から離れるほど長くなるように領域が設定されてもよい。システム制御部501は上記領域に基づく撮影レンズ520の駆動量を予めテーブル形式等で格納している。なお図9の例においては、撮像装置500に近い側から遠い側へ順次、合焦位置を設定する。
駆動制御部420は、システム制御部501からの指示に基づき、蓄積および読み出しをする単位ブロック131を選択する(S103)。この場合に、駆動制御部420はタイミングメモリ430を参照して、蓄積等をする単位ブロック131を特定する。なお、初回はすべての単位ブロック131が選択されるように初期設定されることが好ましい。
駆動制御部420は、センサ制御部441等に指示をして、上記ステップS103で選択された単位ブロック131に対して、蓄積および読み出しを行う(S104)。読み出された画素信号に基づいて、単位ブロック131の各々において演算回路415がコントラスト値を算出し、当該コントラスト値を判定する(S106)。
演算回路415は、コントラスト値が極大値であると判定した場合に(S107:Yes)、当該単位ブロック131の画素値を画像処理部511に出力する(S108)。併せて、演算回路415は、コントラスト値が判定条件を満たした旨を当該単位ブロック131を特定する情報とともに、駆動制御部420を介してタイミングメモリ430に書き込む。
一方、 演算回路415は、コントラスト値が極大値でないと判定した場合に(S107:No)、当該単位ブロック131の画素値を画素メモリ414に書き込み、ステップS110に進む。よって、当該単位ブロック131については、コントラスト値が判定条件を満たした旨はタイミングメモリ430には書き込まれない。
システム制御部501は、現在の合焦位置が無限大を含む領域となるまで、上記ステップS102からS110を繰り返す(S110:No)。システム制御部501は、現在の合焦位置が無限大を含む領域となった場合に(S110:Yes)、タイミングメモリ430を参照して、その時点で判定条件を満たしていない単位ブロック131を特定し、当該単位ブロックについてそれぞれの画素メモリ414に格納されている画素値を画像処理部511に出力する(S112)。
画像処理部511は、ステップS108およびS112で出力された画素値により、撮像領域の全体に対応する画像を生成する(S114)。以上により、図9のフローチャートが終了する。
例えば、初回の撮像においてステップS102において図8の左側の領域内に合焦位置が設定され、ステップS104で図10に示す画像172が得られる。初回の撮像なので、ステップS103において撮像領域内のすべての単位ブロック131が選択されている。図8の左側の領域内には被写体Aがあるので、画像172において被写体Aはピントが合っており、単位ブロック群132Aにおいて高いコントラスト値を有する。これに対し、他の被写体B等は領域外にあるので他の単位ブロック群132B等について低いコントラスト値を有する。
初回の撮像においては比較すべき前回のコントラスト値が存在しないので、ステップS107において、極大検出部464はいずれの単位ブロック131についても、極大値になったと判定しない。よって、ステップS109で、演算回路415は単位ブロック131の画素値を画素メモリ414に書き込む。
次の撮像においてステップS102において図8の左から2番目の領域内に合焦位置が設定され、ステップS104で図11に示す画像174が得られる。駆動制御部420はタイミングメモリ430を参照して、いずれの単位ブロック131に対しても判定条件を満たした旨が記憶されていないので、いずれの単位ブロック131に対しても電荷の蓄積および画素信号の読み出しを実行する。
図10でコントラスト値が高かった単位ブロック群132Aは、図11ではコントラスト値が下がっている。よって、極大検出部464は、ステップS107において、単位ブロック群132Aに含まれる単位ブロック131に対して、前回の撮像で極大値をとっていたと判断する。そこでステップS108において、演算回路415は、コントラスト値が極大であったときの単位ブロック群132Aの画素値、すなわち初回の撮像の画素値を画素メモリ414から読み出して、画像処理部511に出力する。併せて、演算回路415は、コントラスト値が判定条件を満たした旨を当該単位ブロック131を特定する情報とともに、駆動制御部420を介してタイミングメモリ430に書き込む。
なお、図11の画像174において被写体B、Cはピントが合っており、単位ブロック群132Aにおいて高いコントラスト値を有するが、まだ極大値になったとは判断されない。また、被写体D、Eは領域外にあるので他の単位ブロック群132B等について低いコントラスト値を有する。よって、これらの被写体B、C、D、Eに対応する単位ブロック群132B、132C、132D、132Eについては、タイミングメモリ430に判定条件を満たした旨は書き込まれない。また、単位ブロック群132B、132C、132D、132Eについては、前回の撮像の画素値が保持されたまま、今回の撮像における画素値が、画素メモリ414に書き込まれる。
さらに次の撮像において図8の左から3番目の領域内に合焦位置が設定され、図12に示す画像176が得られる。この場合に、駆動制御部420はタイミングメモリ430を参照して、単位ブロック群132Aの電荷の蓄積および画素信号の読み出しを行わず、単位ブロック群132A以外の単位ブロック131の電荷の蓄積および画素信号の読み出しを行う。
さらに、単位ブロック群132B、132Cについて、前回よりもコントラスト値が下がったので、極大検出部464は、前回の撮像において極大値をとっていたと判断する。そこで演算回路415は、コントラスト値が極大であったときの単位ブロック群132B、132Cの画素値、すなわち前回の撮像の画素値を画素メモリ414から読み出して、画像処理部511に出力する。併せて、演算回路415は、コントラスト値が判定条件を満たした旨を当該単位ブロック131B、132Cを特定する情報とともに、駆動制御部420を介してタイミングメモリ430に書き込む。
さらに次の撮像において図8の左から4番目の領域内に合焦位置が設定され、図13に示す画像178が得られる。この場合に、駆動制御部420はタイミングメモリ430を参照して、単位ブロック群132A、132B、132Cの電荷の蓄積および画素信号の読み出しを行わず、単位ブロック群132A、132B、132C以外の単位ブロック131の電荷の蓄積および画素信号の読み出しを行う。
さらに、単位ブロック群132Dについて、前回よりもコントラスト値が下がったので、極大検出部464は、前回の撮像において極大値をとっていたと判断する。さらに、演算回路415は、コントラスト値が極大であったときの単位ブロック群132Dの画素値を画素メモリ414から読み出して、画像処理部511に出力する。併せて、演算回路415は、コントラスト値が判定条件を満たした旨を当該単位ブロック131Dを特定する情報とともに、駆動制御部420を介してタイミングメモリ430に書き込む。
さらに最後の撮像において図8の無限遠を含む領域内に合焦位置が設定され、図14に示す画像180が得られる。この場合に、駆動制御部420はタイミングメモリ430を参照して、すでに判定条件を満たした旨が書き込まれている単位ブロック群132A等の電荷の蓄積および画素信号の読み出しを行わず、他の単位ブロックの電荷の蓄積および画素信号の読み出しを行う。なお説明の都合上、図13で単位ブロック群132D以外にもいくつかの単位ブロックについても極大値をとったと判断されて、蓄積、読み出しおよび判定が行われない単位ブロックが図14において斜線で示されている。
図14の画像176においても、単位ブロック群132Eについて、極大検出部464が極大値を判定できなかったとする。この場合にステップS112において演算回路415は、単位ブロック群132Eにおける今回の撮像の画素値を画素メモリ414から読み出して、画像処理部511に出力する。
これにより、撮像領域のいずれの単位ブロック131A等からも画素値が出力される。画像処理部511は、当該画素値により、被写体170に対応した画像を生成する。
以上、上記実施形態によれば、一度のレリーズボタンの押下で、撮像領域のそれぞれでピントが合った画像を生成することができる。この場合に、絞り値を大きくしてパンフォーカスするのに比べて、露光量を低減することなく、画像を生成することができる。また、撮像するに従って蓄積、読み出し、判定をする単位ブロック131の数が減っていくので、処理速度を早くすることができ、また、消費電力を小さくすることができる。
なお、撮像装置500から無限遠までの領域の数は、予め設定されていてもよいし、撮像者により設定されていてもよい。当該領域は互いに均等に分けられてもよいし、これらに代えて、システム制御部501は撮影レンズ520の焦点距離と絞り値とから被写界深度を計算し、撮像装置500の位置からいずれの距離もいずれかの合焦位置からの被写界深度内に含まれるように、合焦位置が設定されてもよい。また、図9のステップS102において、撮像装置500に近い側から遠い側へ合焦位置が設定されていくが、無限遠側から撮像装置500へ向かって、順次、合焦位置が設定されてもよい。
ステップS114で画像を生成する場合に、異なる撮像で画素値が出力された単位ブロックの境界において、少なくとも数画素分は互いの輝度値の平均をとる等して、輝度を合わせることが好ましい。当該境界にあえてボケ、ノイズ等を入れて、境界を目立たなくすることが好ましい。
なお、顔検出等により予め被写体A等に対応する単位ブロック群132A等を選択しておき、当該単位ブロック群132A等の全体に対してコントラスト値の極大を評価してもよい。この場合に、いずれの撮像においても極大値とならなかった単位ブロック131については、選択された単位ブロック群132等Aのコントラスト値が極大となったときの撮像における、当該極大値とならなかった単位ブロック131の画素値を画像処理部511に出力してもよい。
さらに他の例として、顔検出等により予め被写体A等に対応する単位ブロック群132A等を選択しておき、当該単位ブロック群132A等に含まれる個々の単位ブロック131ごとにコントラスト値の極大を評価してもよい。この場合に、単位ブロック群132A等以外の単位ブロック131に対しては、例えば無限遠を含む合焦位置の初回の撮影で画素値を画像処理部511に出力し、ステップS102からS110の繰り返しをしないことにしてもよい。
上記ステップS110の判断に代えて、またはこれに加えて、システム制御部501は、判定条件を満たすと判定された単位ブロック131の個数が予め定められた数を超えた場合に、以降の繰り返しを停止してもよい。
また、単位ブロック群132Aに含まれる複数の単位ブロック131のうちいくつかの単位ブロック131を間引いて評価値を算出してもよい。さらに、上記いずれの形態においても、個々の単位ブロック131内で画素を間引いて評価値を算出してもよい。
また、撮像素子100に位相差画素が含まれている場合には、当該位相差画素で合焦したか否かを判定してもよい。この場合には位相差画素の出力が評価値であり、合焦したか否か判定条件である。
また、単位ブロック131毎に個別回路部450A等を設けることに代えて、いくつかの単位ブロック131毎に個別回路部450A等を設けて、対応する複数の単位ブロック131に対してそれぞれの評価値を算出及び判定してもよい。さらにそれに代えて、撮像領域に含まれる複数の単位ブロック131に対し一つの個別回路部450Aが設けられ、撮像領域に含まれる複数の単位ブロック131のそれぞれの評価値を算出及び判定してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。