JP2017075912A - 検体濃度測定装置およびマイクロ流路チップ - Google Patents
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Abstract
Description
この2波長測光によるビリルビンの定量測定方法について、具体的に説明すると、以下の通りである。
一方、血漿の吸収曲線において、ビリルビンによる吸収がなく、溶血ヘモグロビンによる吸収のみがある波長575nmに着目すると、血漿の吸光度H1 の値は、波長455nmにおける溶血ヘモグロビンの吸光度H2 の値と近似している。
そこで、波長455nmにおける吸光度B1 の値から、波長575nmにおける吸光度H1 の値を減じることにより、ビリルビンの吸光度B2 の値に近似した値が得られ、この値から、ビリルビンの濃度を求めることが可能となる。
このマイクロ流路チップにおける測定部に対して光を照射する光源と、
前記マイクロ流路チップにおける測定部を透過した光を受光する受光部と、
この受光部から送信されたデータに基づいて前記検査対象成分の濃度を演算する演算部と
を備えてなることを特徴とする。
このような検体濃度測定装置においては、前記光源と前記受光部との間の光路上に配置された、透過する光の波長域を455nm近傍の波長域および575nm近傍の波長域に制限する光学フィルタを備えてなることが好ましい。
また、2つの前記光源を有し、
一方の前記光源と前記受光部との間の光路上に配置された、透過する光の波長域を455nm近傍の波長域に制限する第1の光学フィルタと、
他方の前記光源と前記受光部との間の光路上に配置された、透過する光の波長域を575nm近傍の波長域に制限する第2の光学フィルタと
を備えてなることが好ましい。
液状の検体を流通させる第一流路と、この第一流路から分岐して形成された、当該第一流路に連通する第二流路と、この第二流路を流通した検査対象成分が流入される測定部とを内部に有し、
前記第二流路は、前記第一流路を流通する検体から検査対象成分を分離することが可能な幅を有することを特徴とする。
前記第二流路の幅が0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。
また、前記測定部における厚み方向の幅が10μm以上1000μm以下であることが好ましい。
図1は、本発明の検体濃度測定装置の一例における構成を示す説明図である。図2は、図1に示す検体濃度測定装置におけるマイクロ流路チップの構成を示す平面図である。図3は、図2に示すマイクロ流路チップの要部を示す説明図であり、(a)は、第一流路、第二流路および測定部を拡大して示す平面図、(b)は、(a)のA−A断面端面図である。
この検体濃度測定装置は、液状の検体である血液から検査対象成分であるビリルビンを含む血漿を分離してビリルビンの濃度を測定するものである。
第一基板12および第二基板15の各々の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば0.1mm以上5.0mm以下である。
チップ基体11(第一基板12および第二基板15)を構成する材料としては、光源部からの光を透過し得るもの、例えばガラス材料や樹脂材料を用いることができる。
第一流路20における上流側端は、検体導入部21から導入された検体を貯留する検体貯留部22に接続されている。第一流路20の下流側端は、第一排出部23に接続されている。また、第二流路25の各々の下流側端は、検体から分離された特定の成分が流入される測定部26に接続されている。この測定部26には、第三流路27が接続されており、この第三流路27の下流側端は、第二排出部28に接続されている。
第一流路20、第二流路25および測定部26の各々の内壁面には、親水化処理が施されていることが好ましい。具体的には、第一流路20、第二流路25および測定部26の各々の内壁面における水の接触角が90°以下であることが好ましく、より好ましくは50°以下である。
このような第一流路20の幅は、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上300μm以下である。第一流路20の幅が過小である場合には、測定部26に供給することができる特定の成分(例えば血漿)の量が少なくなり、特定の成分を抽出するために相当に長い時間を要する虞がある。一方、第一流路20の幅が過大である場合には、毛細管力が小さくなるために血液が流れるのが遅くなり、測定部26に到達するのに相当に長い時間を要する虞れがある。
また、第一流路20の上流側端から第二流路25との分岐点までの長さは、特に限定されるものではないが、例えば10μm以上100mm以下である。
このような第二流路25の幅は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上1.5μm以下である。第二流路25の幅が過小である場合には、抽出することができる特定の成分の量が少なくなる虞がある。一方、第二流路25の幅が過大である場合には、特定の成分以外の成分(例えば赤血球などの血球成分)が混入する虞れがある。
また、第二流路25の長さは、特に限定されるものではないが、例えば1mm以上10mm以下である。
また、第二流路25の数は、例えば10本以上1000本以下である。
また、測定部26における面方向の幅は、それぞれ0.1μm以上1.0mm以下であることが好ましい。
このような光源30の具体例としては、互いに異なる波長域の光を放射する2種のLED素子、例えばピーク発光波長450nmのLED素子とピーク発光波長570nmのLED素子とにより構成されたものが挙げられる。
受光部40の具体例としては、フォトダイオード、光電子倍増管(フォトマル)等の高感度光検出器、CdSよりなるフォトレジスタなどよりなるものが挙げられる。この例においては、455nm近傍の波長域および575nm近傍の波長域を同時に検出することが可能なフォトダイオードアレイよりなる受光部40が好ましい。
この例においては、演算部によって、受光部40から送信された、光の強度に係るデータに基づいて、ビリルビンの濃度が演算される。具体的に説明すると、受光部40から送信されたデータのうち、波長455nmの光の強度に係るデータに基づいて波長455nmにおける吸光度A455 が算出されると共に、波長575nmの光の強度データに基づいて波長575nmにおける吸光度A575 が算出される。ここで、吸光度A455 は、波長455nmにおけるビリルビンの吸光度および溶血ヘモグロビンの吸光度の和とみなすことができる。一方、A575 は、波長575nmにおける溶血ヘモグロビンの吸光度とみなすことができる。そして、波長575nmにおける溶血ヘモグロビンの吸光度は、波長455nmにおける溶血ヘモグロビンの吸光度に近似した値であることから、吸光度A455 から吸光度A575 を減じた値(A455 −A575 )を、波長455nmにおけるビリルビンの吸光度とみなすことができる。そして、吸光度と濃度とが比例関係にあること(ランベルト−ベールの法則)を利用して、予め取得した検量線とA455 −A575 の値とから、ビリルビンの濃度が算出される。
図4に示す検査対象測定装置においては、第1の光源32および第2の光源33が設けられている。具体的に説明すると、第1の光源32は、マイクロ流路チップ10における測定部26に対向するよう配置され、第2の光源33は、第1の光源32からの光の光路に対して垂直な方向に向いた状態で配置されている。第1の光源32および第2の光源33は、に電気を供給する電源31に電気的に接続されている。
第1の光源32からの光の光路と第2の光源33からの光の光路との交点位置には、第1の光源32からの光を透過すると共に第2の光源33からの光を反射するダイクロイックミラー34が、第1の光源32からの光の光路および第2の光源33からの光の光路の各々に対して45°に傾斜した状態で配置されている。
また、第1の光学フィルタ36としては、透過する光の波長域を455nm近傍の波長域に制限するバンドパスフィルタが用いられている。一方、第2の光学フィルタ37としては、透過する光の波長域を575nm近傍の波長域に制限するバンドパスフィルタが用いられている。第1の光学フィルタ36を透過する455nm近傍の波長域および第2の光学フィルタ37を575nm近傍の波長域のバンド幅は、それぞれ半値幅で10nm以上15nm以下である。
以上において、マイクロ流路チップ10の測定部26に対して、第1の光源32から光を照射する動作および第2の光源33から光を照射する動作は、同時に行われてもよいが、いずれか一方の動作が行われた後、他方の動作が行われてもよい。
図2に示す構成に従って、下記の仕様のマイクロ流路チップを作製した。
チップ基体は、材質がポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂で、第一基板の厚みが1.0mm、第二基板の厚みが1.0mmである。第一流路は、長さが100mm、厚み方向の幅が100μm、面方向の幅が300μmである。第二流路は、長さが1.0mm、厚み方向の幅が2μm、面方向の幅が50μmであり、第二流路用溝の数は10本である。測定部は、厚み方向の幅が100μm、面方向の幅がそれぞれ1000μm×1000μmである。また、第一流路の上流側端から、当該第一流路の最も上流側において分岐した第二流路との分岐点までの長さは、50mmである。
そして、マイクロ流路チップに、ヒトの血液5μLを導入し、5分間放置した。その後、光源を点灯させることにより、マイクロ流路チップの測定部に光を照射し、測定部を透過した光を受光部によって検出することにより、制御機構の演算部においてビリルビンの濃度を求めた。
ヒトの血液を導入したマイクロ流路チップの代わりに、遠心分離によってヒトの血液から抽出した血漿が充填された容器を用いたこと以外は、実施例1において同様にしてビリルビンの濃度を求めた。
11 チップ基体
12 第一基板
13a 第一流路用溝
13b 測定部用凹所
15 第二基板
16 第二流路用溝
20 第一流路
21 検体導入部
22 検体貯留部
23 第一排出部
25 第二流路
26 測定部
27 第三流路
28 第二排出部
30 光源
31 電源
32 第1の光源
33 第2の光源
34 ダイクロイックミラー
35 光学フィルタ
36 第1の光学フィルタ
37 第2の光学フィルタ
38,39 レンズ
40 受光部
41 レンズ
50 制御機構
Claims (7)
- 液状の検体から検査対象成分を分離して流通させる流路、および当該流路を流通した検査対象成分が流入する測定部を有するマイクロ流路チップと、
このマイクロ流路チップにおける測定部に対して光を照射する光源と、
前記マイクロ流路チップにおける測定部を透過した光を受光する受光部と、
この受光部から送信されたデータに基づいて前記検査対象成分の濃度を演算する演算部と
を備えてなることを特徴とする検体濃度測定装置。 - 前記検体が血液であり、前記検査対象成分が前記血液から分離された血漿に含まれるビリルビンであることを特徴とする請求項1に記載の検体濃度測定装置。
- 前記光源と前記受光部との間の光路上に配置された、透過する光の波長域を455nm近傍の波長域および575nm近傍の波長域に制限する光学フィルタを備えてなることを特徴とする請求項2に記載の検体濃度測定装置。
- 2つの前記光源を有し、
一方の前記光源と前記受光部との間の光路上に配置された、透過する光の波長域を455nm近傍の波長域に制限する第1の光学フィルタと、
他方の前記光源と前記受光部との間の光路上に配置された、透過する光の波長域を575nm近傍の波長域に制限する第2の光学フィルタと
を備えてなることを特徴とする請求項2に記載の検体濃度測定装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の検体濃度測定装置に用いられるマイクロ流路チップであって、
液状の検体を流通させる第一流路と、この第一流路から分岐して形成された、当該第一流路に連通する第二流路と、この第二流路を流通した検査対象成分が流入される測定部とを内部に有し、
前記第二流路は、前記第一流路を流通する検体から検査対象成分を分離することが可能な幅を有することを特徴とするマイクロ流路チップ。 - 前記第一流路の幅が10μm以上1000μm以下であり、
前記第二流路の幅が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記測定部における厚み方向の幅が10μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のマイクロ流路チップ。
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