JP2017075900A - 高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法 - Google Patents

高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法 Download PDF

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泰和 岡田
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武之 大谷
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尚子 山白
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Abstract

【課題】高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させて高炉水砕スラグの固結を効率よく防止するために、より簡便な操作で短時間に高炉水砕スラグの固結兆候を予測し得る方法を提供することを課題とする。【解決手段】固結防止剤を接触させた高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの、前記固結防止剤の固結防止有効成分の溶出濃度を測定し、その測定結果に基づいて前記高炉水砕スラグの固結兆候を予測することを特徴とする高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法により、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄鋼製造工程において副生する高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、資材として利用される高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させて高炉水砕スラグの固結を防止するにあたり、固結防止剤を接触させた高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの固結防止有効成分濃度から保管時の固結兆候を予測する方法に関する。
鉄鋼製造工程において副生する鉄鋼スラグは、高炉由来の高炉スラグと、転炉および電気炉由来の製鋼スラグに大別される。
高炉スラグは、溶けた銑鉄を製造する高炉で鉄鉱石に含まれる鉄以外の成分と、副原料の石灰石やコークス中の灰分とが共に溶融分離回収されたものであり、その冷却方法により高炉徐冷スラグと高炉水砕スラグに分類される。
高炉水砕スラグは、溶融状態のスラグに加圧水を噴射するなどして急激に冷却処理をすることにより得られるガラス質の粒状スラグであり、一部では粒度調整などの処理を施し、主に土木、建築分野で利用されている。
例えば、高炉水砕スラグは、潜在水硬性を有するために、高炉セメント、ポルトランドセメントの混合材、コンクリート用混和材などとして利用されている。また、高炉水砕スラグは、天然砂より軽量で同等の透水性を有するために、土木工事用材、地盤改良材などとしても利用されている。
しかしながら、一般に高炉水砕スラグは、資材として利用される前に野積み状態で保管されるために、潜在水硬性が発現して岩塊のように固結するので、そのままの状態では資材として利用できなくなる、あるいは利用し難くなるだけでなく、輸送などに障害を生じるという問題があった。
そこで、高炉水砕スラグの保管時や輸送中の固結を防止するために、従来から種々の化合物を有効成分とする固結防止剤やそれらを用いる固結防止方法が提案され、一部は実用化されている。
そのような化合物としては、例えば、糖類、糖アルコール類、オキシカルボン酸類、カルボン酸類、カルボン酸系重合体、リグニンスルホン酸類およびホスホン酸類ならびにそれらの塩などが挙げられる。
しかしながら、上記提案の固結防止剤を高炉水砕スラグに接触させても、所望の保管期間経過前にスラグが固結して廃棄せざるを得ない場合があった。その理由は、高炉水砕スラグの固結は、スラグの種類、スラグ自体の潜在水硬特性や保管条件によって変動するので、スラグの由来(ロット)や野積される環境によっては、同一の固結防止剤を同量スラグに接触させても、その固結の開始時期や進行程度が異なることがあるためである。
そこで、このようなスラグの固結状態の変動に対して、固結防止剤の能力を十分に発揮させるための技術やスラグの固結開始時期や進行程度を評価する技術が提案されている。
例えば、前者としては、高炉水砕スラグを製造後、カルシウム(Ca)の溶出が著しく生じるようになるまでの期間を予め把握し、その期間経過前に高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させる高炉水砕スラグの処理方法がある(特開2004−161580号公報:特許文献1)。
また、後者としては、(1)鉄鋼スラグ成形体の試料の2点間における弾性波の伝播時間を継続して測定し、その伝播時間の経時変化から鉄鋼スラグの固化特性を評価する方法、(2)固結防止剤が添加された鉄鋼スラグ成形体における固化特性の評価結果から固結防止剤の固結防止性能を評価する方法、および(3)それらの評価結果から得られる鉄鋼スラグの固化特性を表すパラメータ、固結防止性能を表すパラメータを用いて任意の条件における固化特性や固結防止剤の効果を推定する方法がある(特開2009−168802号公報:特許文献2)。
特開2004−161580号公報 特開2009−168802号公報
しかしながら、固結防止剤の能力を十分に発揮させるために、より簡便な操作で短時間に高炉水砕スラグの固結兆候を予測する技術が求められている。
そこで、本発明は、高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させて高炉水砕スラグの固結を効率よく防止するために、より簡便な操作で短時間に高炉水砕スラグの固結兆候を予測し得る方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、固結防止剤が散布された高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの、溶出水に含まれる固結防止有効成分の溶出濃度から、例えば1カ月後の高炉水砕スラグの固結兆候を予測し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
また、本発明の発明者らは、固結防止有効成分の溶出濃度(量)と高炉水砕スラグの固結兆候が、スラグの種類に関係なく相関する傾向にあることも見出している。
かくして、本発明によれば、固結防止剤を接触させた高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの、前記固結防止剤の固結防止有効成分の溶出濃度を測定し、その測定結果に基づいて前記高炉水砕スラグの固結兆候を予測することを特徴とする高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法が提供される。
本発明によれば、高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させて高炉水砕スラグの固結を効率よく防止するために、より簡便な操作で短時間に高炉水砕スラグの固結兆候を予測し得る方法を提供することができる。
したがって、本発明によれば、資材として利用する前の野積み状態の高炉水砕スラグの固結を所望の期間にわたり効率的に防止することができる。そのため、野積み状態の高炉水砕スラグを余計な粉砕などの処理を施すことなしに、そのまま高炉セメント、ポルトランドセメントの混合材、コンクリート用混和材や土木工事用材、地盤改良材などの資材として有効に利用することができる。
また、本発明の高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法は、固結防止剤の固結防止有効成分が、ホスホン酸類、オキシカルボン酸類およびカルボン酸系重合体から選択される化合物である場合に、さらに好ましくは、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)、グルコン酸およびポリアクリル酸ならびにそれらの塩から選択される化合物である場合に、上記の効果をさらに発揮する。
本発明の高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法は、固結防止剤を接触させた高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの、前記固結防止剤の固結防止有効成分の溶出濃度(量)を測定し、その測定結果に基づいて前記高炉水砕スラグの固結兆候を予測することを特徴とする。
本明細書においては、本発明に係る「高炉水砕スラグ」を単に「スラグ」ともいう。
スラグの固結は、スラグに固溶されている酸化カルシウム(CaO)などがスラグ周辺の水、つまり野積み状態のスラグでは雨水などに溶出してpHが上昇し、スラグ中の酸化ケイ素(SiO2)などの鎖状結合が切断され、カルシウムシリケート水和物(C−S−Hゲル)などが生成されて硬化することにより生じる。
そこで、従来から、スラグの固結を抑制・防止するために、ホスホン酸やグルコン酸、糖アルコールなどを有効成分とする固結防止剤のスラグへの添加が実施されてきた。その効果は、固結防止剤の有効成分が有するキレート効果などによってスラグのpH上昇が抑制され、上記のような水和物の生成が抑制されることにより発現するものと考えられる。
本発明によれば、固結防止剤を接触させた高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの、固結防止剤の固結防止有効成分の溶出濃度(量)を測定し、その測定結果に基づいて高炉水砕スラグの固結兆候を予測することができる。
したがって、予め固結防止剤の固結防止有効成分の高炉水砕スラグに対する濃度(例えば、mg/kg)と、固結防止有効成分の溶出濃度(例えば、mg/L)と、スラグの固結状態との関係から、所定の保管期間にスラグが固結しない固結防止有効成分の溶出濃度(量)、すなわち閾値を把握しておき、これに基づいて固結防止有効成分の溶出濃度が少なくとも上記の閾値になるまたは超えるように、固結防止剤をスラグに接触させることで、所定の保管期間のスラグの固結を継続的に防止することができる。
上記の閾値は、予め複数のスラグサンプルにそれぞれ添加濃度の異なる固結防止剤を接触させ、所定の期間保管し、それらの固結状態を把握することにより求めることができる。
また、本発明では、固結防止有効成分の溶出濃度(量)と高炉水砕スラグの固結兆候とが、スラグの種類に関係なく相関する傾向にあることを見出しており、種類の異なるスラグであってもそのスラグごとに閾値を求める必要はない。
所定期間の保管には、実際野積みされている現場で保管してもよく、実施例に記載のように、一定温度で加熱した状態で保管する加速養生試験を実施してもよい。
なお、一定期間ごと(例えば、1年に1回)に当該閾値を再確認したり、野積み環境の変化ごと(例えば、夏期と冬季、雨季と乾季)に閾値を補正することが、所定の保管期間のスラグの固結を継続的に防止することができる点で好ましい。
(1)高炉水砕スラグ
本発明において固結防止対象とする高炉水砕スラグは、溶けた銑鉄を製造する鉄鋼製造工程の高炉において溶融分離回収されたスラグを急激に冷却処理して得られたガラス質の粒状スラグであれば特に限定されない。また、スラグは粒度調整などの処理が施されていてもよい。
(2)固結防止有効成分
本発明に適用される固結防止有効成分は、高炉水砕スラグに対して固結防止効果を有しかつ水に可溶なものであれば特に限定されない。
このような固結防止有効成分としては、例えば、糖類、糖アルコール類、オキシカルボン酸類、カルボン酸類、カルボン酸系重合体、リグニンスルホン酸類およびホスホン酸類ならびにそれらの塩などが挙げられる。
より具体的には、固結防止有効成分としては、例えば、
グルコース、マンノースおよびガラクトースなどの糖類;
エリトリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールおよびズルシトール(ガラクチトール)などの糖アルコール類;
グルコン酸、グルコヘプトン酸、クエン酸、酒石酸およびリンゴ酸などのオキシカルボン酸ならびにそれらの塩などのオキシカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸およびフタル酸などのカルボン酸ならびにそれらの塩などのカルボン酸類;
ポリマレイン酸、マレイン酸を含む共重合体、ポリアクリル酸およびアクリル酸を含む共重合体ならびにそれらの塩などのカルボン酸系重合体;
リグニンスルホン酸およびその塩などのリグニンスルホン酸類;
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)ならびにそれらの塩などのホスホン酸類
などが挙げられる。
上記の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩が挙げられ、中でもナトリウム塩やカリウム塩のようなアルカリ金属塩が好ましい。
本発明においては、上記の固結防止有効成分の1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの固結防止有効成分の中でも、ホスホン酸類、オキシカルボン酸類およびカルボン酸系重合体から選択される化合物は、長期間にわたり安定した固結防止効果が得られる点で好ましく、HEDP、PBTC、グルコン酸およびポリアクリル酸ならびにアクリル酸を含む共重合体ならびにそれらの塩から選択される化合物がさらに好ましい。
(3)固結防止剤の調製
本発明で使用する高炉水砕スラグの固結防止剤は、上記の固結防止有効成分を、上水(水道水)、工業用水、イオン交換水などの水に溶解させることにより調製することができる。
また、使用する水のpHは5.0〜9.0であるのが好ましい。
固結防止剤中の固結防止有効成分の濃度は、使用する固結防止有効成分の種類やスラグの状態、保管条件などにより適宜選択すればよいが、経済的な点より通常5〜50重量%程度である。
固結防止剤を高炉水砕スラグに散布する場合などは使用時に水に希釈して用いるが、その希釈倍率は、通常5〜500倍程度である。
本発明で使用する固結防止剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて、他の有効成分を含んでいてもよい。
例えば、本発明で使用する固結防止剤は、そのpHを調整するためにpH調整剤が配合されていてもよい。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属塩;アンモニアなどが挙げられる。
(4)固結防止方法
固結防止剤を用いて高炉水砕スラグを処理する方法、すなわち固結防止剤を高炉水砕スラグに接触させる方法は、特に限定されず、高炉水砕スラグを取り扱うプラントの形態により適宜選択すればよい。
例えば、固結防止剤を水で希釈して高炉水砕スラグにスプレー(散布または噴霧)する方法、固結防止剤を水で希釈して高炉水砕スラグと共に練り混ぜる(混練する)方法、固結防止剤を添加した水槽に高炉水砕スラグを浸漬する方法などが挙げられる。
また、溶融状態のスラグから高炉水砕スラグを製造する際に用いる加圧水に固結防止剤を添加する方法などが挙げられる。すなわち、高炉水砕スラグは、溶融状態のスラグを加圧水で一次破砕して撹拌槽またはピットの水槽中に投入し、二次破砕と冷却凝固を行わせて水砕化することにより製造されているが、通常循環使用されている加圧水に固結防止剤を添加することにより、同時に固結防止の処理をすることができる。
さらに、高炉水砕スラグを粉砕して粒度調整する工程において、高炉水砕スラグに固結防止剤の水希釈液をスプレーする方法などが挙げられる。
上記の処理方法の中でも、工業的には通常、固結防止剤の水希釈液を高炉水砕スラグにスプレー(散布または噴霧)する方法が好ましい。
本発明で使用する固結防止剤は、使用する固結防止有効成分の種類やスラグの状態、保管条件などにより異なるが、通常、高炉水砕スラグの1kg当り、固結防止有効成分として、10〜1000mg程度になるように用いられる。
固結防止有効成分の濃度は、溶出濃度の閾値により決定すればよく、低過ぎる場合には、固結防止効果が十分に得られないことがある。一方、固結防止有効成分の濃度が高過ぎる場合には、薬剤使用量の増加によりコスト高になるので好ましくない。
固結防止有効成分の濃度は、対象となる高炉水砕スラグの性状や状態により適宜設定すればよく、2種以上の固着防止成分を併用する場合には、その合計量が上記の濃度の範囲になるように調整すればよい。
(5)予測方法
まず、固結防止剤を接触させた高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの、前記固結防止剤の固結防止有効成分の溶出濃度(量)を測定する。この固結防止有効成分の溶出濃度(量)を測定する時期は、固結防止剤を高炉水砕スラグに接触させた後速やかに行うことが、高炉水砕スラグの固結兆候を早期に予測できる点で好ましい。
高炉水砕スラグを水に浸漬させての固結防止有効成分の溶出は、例えば、実施例に記載されているように、環境庁告示46号の測定方法に準拠して実施すればよい。
具体的には、高炉水砕スラグをその10倍量(重量)水と共に常温(約20℃)、常圧(1気圧)の条件下で、振とう回数200回/分、振とう幅4〜5cmに調整した振とう機で6時間振とうして水に固結防止有効成分を溶出させる。
次いで、固結防止有効成分の溶出濃度を測定するが、その測定(分析)方法は、測定対象の固結防止有効成分の種類や共存する化合物を考慮して、公知の方法から適宜選択すればよい。
また、測定方法は、固結防止有効成分を直接定量する方法であっても、換算可能な固結防止有効成分の一部の元素や置換基を定量する方法であってもよい。
固結防止有効成分がオキシカルボン酸類である場合には、例えば、クロマトグラフ法、生物化学的酸素要求量(BOD)測定法、化学的酸素要求量(COD)測定法、有機体炭素(TOC)法、酵素法などが挙げられる。
固結防止有効成分がホスホン酸誘導体(HEDPやPBTC)である場合には、例えば、全リン濃度測定法、TOC法などが挙げられる。
固結防止有効成分がポリマー系化合物(一般に分散剤として用いられるポリアクリル酸ナトリウムなど)である場合には、例えば、クロマトグラフ法、BOD測定法、COD測定法、TOC法などが挙げられる。
また、固結防止剤が無機化合物である場合には、例えば、クロマトグラフ法、ICP分析、原子吸光分析などが挙げられる。
例えば、実施例に記載のように、固結防止有効成分がホスホン酸である場合にはJIS
K0102に準拠した全リン濃度測定法により得られた全リン濃度からホスホン酸濃度を換算する方法、固結防止有効成分がグルコン酸である場合には燃焼酸化方式または湿式酸化方式による有機体炭素(TOC)法により得られたTOCからグルコン酸濃度を換算する方法、イオンクロマトグラフ法によるグルコン酸濃度の直接測定などが挙げられる。
また、固結防止剤を2種以上併用する場合には、主となる有効成分の濃度を測定すればよい。
次いで、得られた測定結果である固結防止有効成分の溶出濃度から、高炉水砕スラグの固結兆候を予測する。
予測には、予め複数のスラグサンプルにそれぞれ添加量の異なる固結防止剤を接触させ、そのスラグを水に浸漬させたときの固結防止有効成分の溶出濃度と所定期間保管した後のスラグの固結状態から求めた、スラグが保管時に固結しない場合の溶出濃度の閾値と、実際の溶出濃度の測定値を対比して判断すればよい。すなわち、測定値が閾値を超えていれば、所定の期間、スラグが固結しないと判断すればよい。
また、測定値が閾値未満の場合、状況によっては再度、高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させる処理を実施してもよい。
(6)管理方法
したがって、本発明によれば、本発明の高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法により、予め固結防止有効成分の溶出濃度と保管時のスラグの固結状態との関係から求めた、スラグが保管時に固結しない固結防止有効成分の溶出濃度の閾値を少なくとも超えるように、高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させて高炉水砕スラグの固結を防止する、高炉水砕スラグの固結防止の管理方法が提供される。
具体的な管理方法としては、固結防止対象となる高炉水砕スラグについて、本発明の高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法により予め求めた、その固結防止剤の閾値を超えるような固結防止剤のそのスラグに対する接触量を求めておき、その接触量になるように固結防止剤を用いて高炉水砕スラグを処理すればよい。そして、固結防止剤を用いて処理した高炉水砕スラグを水に浸漬させ、固結防止剤の固結防止有効成分の溶出濃度がその閾値を超えていることをさらに確認してもよい。
この管理方法によれば、資材として利用する前の野積み状態の高炉水砕スラグの固結を所望の期間にわたり効率的に防止することができるという効果が得られる。そのため、野積み状態の高炉水砕スラグを余計な粉砕などの処理を施すことなしに、そのまま高炉セメント、ポルトランドセメントの混合材、コンクリート用混和材や土木工事用材、地盤改良材などの資材として有効に利用することができる。
本発明を以下の製剤例ならびに試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本明細書では特に断りのない限り、固形分濃度などの単位「%」は「重量%」を意味する。
固結防止剤の調製には、イオン交換水を用いた。
(製剤1)
固結防止有効成分としての1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP、東京化成工業株式会社製、60%水溶液)を、pH調整剤としての水酸化カリウム(和光純薬工業株式会社製、顆粒状)の48%水溶液を用いてpH7.0に調整して、下記の固形分濃度(%)の製剤1(100g)を得た。
HEDP 34.40%
水酸化カリウム 20.50%
水 45.10%
(製剤2)
固結防止有効成分としての2−ホスホノブタン1,2,4−トリカルボン酸(PBTC、東京化成工業株式会社製、50%水溶液)を、pH調整剤としての水酸化カリウム(和光純薬工業株式会社製、顆粒状)の48%水溶液を用いてpH7.0に調整して、下記の固形分濃度(%)の製剤2(100g)を得た。
PBTC 28.25%
水酸化カリウム 20.88%
水 50.87%
(製剤3)
固結防止有効成分としてのグルコン酸ナトリウム(グルコン酸Na、和光純薬工業株式会社製、粉末)をイオン交換水で溶解してpH7.3の下記の固形分濃度(%)の製剤3(100g)を得た。
グルコン酸ナトリウム 20.00%
水 80.00%
[試験例1]固結防止効果確認試験
某製鉄所において採取した2種の高炉水砕スラグ(スラグAおよびスラグB)1000gに、それぞれ上記のようにして得られた製剤1〜3の希釈液15g(内、固結防止有効成分量が0.03〜0.4g)を加え、モルタルミキサー(容量5L、株式会社丸東製作所製、型式:CB−34)に入れて、5分間混錬した。
なお、固結防止有効成分の無添加品(ブランク)については、同量(15g)のイオン交換水を用いてスラグを混錬した。
次いで、混錬試料100gを円筒形の蓋付きポリ容器(内径50mm×内高70mm)に充填し、円形棒(直径20mm、重量500g)を用いて、棒の自重で試料表面を30回押し均して、試料を締め固めた。
次いで、ポリ容器の蓋を閉め、設定温度70℃の恒温槽にポリ容器を静置して、試料を養生させた。なお、上記の同一条件の試料をそれぞれ8検体準備した。
なお、本発明の発明者らは、温度70℃での1週間の養生は、加速養生試験であり、常温(20℃)での1〜3ヶ月の養生に相当することを経験的に確認している。
(溶出試験)
残りの混練試料について、環境庁告示46号法に準拠した溶出試験により、混錬試料の10倍量(重量)の水に固結防止有効成分を溶出させ、得られた溶出液中の特定成分量(溶出量:mg/L)を測定し、測定値から換算した固結防止有効成分量(mg/L)を求めた。
製剤1のHEDPおよび製剤2のPBTCについては、JIS K0102:2013の項目「46.りん化合物及び全りん」に記載の方法に準拠して、特定成分量として全リン濃度(溶出量:mg/L)を測定し、それぞれの測定値から固結防止有効成分量としてHEDP量およびPBTC量の換算量(mg/L)を求めた。
製剤3のグルコン酸Naについては、イオンクロマトグラフにより固結防止有効成分量としてグルコン酸濃度(溶出量:mg/L)を測定し、その測定値から固結防止有効成分量としてグルコン酸Na量の換算量(mg/L)を求めた。
また、製剤3のグルコン酸Naについては、JIS K0102:2013の項目「22.有機体炭素(TOC)」に記載の方法に準拠して、特定成分量としてTOC濃度(溶出量:mg/L)を測定し、その測定値から固結防止有効成分量としてグルコン酸Na量の換算量(mg/L)を求めた。
(固結試験)
養生開始から4週間経過後に、各ポリ容器から試料を取り出し、固結して塊状になった部分の重量WS(g)を測定した。
測定値と試験に使用した試料の全重量W0(g)とから次式により固結率(重量%)を求めた。
固結率(重量%)=(WS/W0)×100
4週目の固結結果として、4週目の固結率が1%未満のものを評価「○」、1%以上のものを評価「×」とした。
得られた結果を、固結防止剤とその固結防止有効成分、固結防止有効成分換算量(固結防止有効成分量:mg/L)と共に表1〜4に示す。
表1にはスラグAおよび製剤1または製剤2を使用しかつ溶出試験で全リン濃度を測定し、固結防止有効成分量としてそれぞれHEDPおよびPBTCに換算した試験結果を、表2にはスラグAおよび製剤3を使用しかつ溶出試験でグルコン酸濃度を測定し、固結防止有効成分量としてグルコン酸Naに換算した試験結果を、表3にはスラグAおよび製剤3を使用しかつ溶出試験でTOC濃度を測定し、固結防止有効成分量としてグルコン酸Naに換算した試験結果を、表4にはスラグBおよび製剤1または製剤2を使用しかつ溶出試験で全リン濃度を測定し、固結防止有効成分量としてそれぞれHEDPおよびPBTCに換算した試験結果を示す。
Figure 2017075900
Figure 2017075900
Figure 2017075900
Figure 2017075900
表1〜4の結果から、固結防止剤に接触させ高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの固結防止有効成分の溶出濃度とスラグの固結とには相関関係があり、溶出濃度に基づいてスラグの固結兆候を予測できることがわかる。具体的には、溶出濃度が特定の濃度(閾値)以上である場合には、加速養生試験において4週間、スラグが固結しないことがわかる。
表1〜4の結果から、固結防止効果が期待できる固結防止有効成分量(換算量)、すなわち固結防止有効成分の溶出濃度の閾値を算出し表5に示す。
Figure 2017075900
表5の結果から、スラグが固結しない固結防止有効成分の溶出濃度(閾値)がスラグの種類に関係なく、ほぼ一定になる傾向があることがわかる。すなわち、製剤1および2をスラグAおよびBのいずれに使用した場合であっても、所定期間にスラグが固結しないそれらの固結防止有効成分の溶出濃度(閾値)は一致している。
したがって、予めスラグが固結しない特定の溶出濃度(閾値)を求めておくことにより、スラグを保管する環境の急激な変動などがない限り、少なくとも閾値またはその閾値を超える量の固結防止剤でスラグ処理を実施することにより、継続的にスラグの固結防止を管理できることがわかる。

Claims (3)

  1. 固結防止剤を接触させた高炉水砕スラグを水に浸漬させたときの、前記固結防止剤の固結防止有効成分の溶出濃度を測定し、その測定結果に基づいて前記高炉水砕スラグの固結兆候を予測することを特徴とする高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法。
  2. 前記固結防止剤の固結防止有効成分が、ホスホン酸類、オキシカルボン酸類およびカルボン酸系重合体から選択される化合物である請求項1に記載の高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法。
  3. 前記固結防止剤の固結防止有効成分が、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、グルコン酸およびポリアクリル酸ならびにそれらの塩から選択される化合物である請求項1または2に記載の高炉水砕スラグの固結兆候の予測方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019007202A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 Jfeミネラル株式会社 路盤材及びその施工方法

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