JP2017073510A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率を向上できる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】半導体発光素子100は、第1主面60aと、第1主面とは反対側の第2主面60bとを有する下地層60を具備し、下地層60は、第2主面60bにテクスチャ61を有し、テクスチャ61は、凹状網目61aと、凹状網目61aにより互いに離間される隆起部61bとを含み、下地層60において、隆起部61bに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位は、凹状網目61aに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位よりも多い。
【選択図】図1

Description

本発明は、テクスチャを有する半導体発光素子に関する。
環境エネルギ問題を背景に、LED(Light Emitting Diode)が注目を集めている。LEDの発光効率を示す外部量子効率EQEを決定する要因としては、電子注入効率EIE、内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEが挙げられる。特に、内部量子効率IQEと光取り出し効率LEEとは、LED基板の表面にテクスチャを設けることで改善できるという報告が多数ある。既にLED基板としてPSS(Patterned Sapphire Substrate)が一般流通しており、広く使用されている。PSSは、材質が単結晶サファイアであり、主面にマイクロメートルオーダの複数の凸部より構成されるテクスチャが、フォトリソグラフィ法により形成された基板である。このPSS基板を使用することで、特に光取り出し効率LEEが改善すると報告されている(特許文献1参照)。また、PSSの凸部の間隔をナノメートルオーダとした例として、特許文献2が挙げられる。特許文献1や特許文献2にみられるように、LEDの発光効率を改善する検討は、世界的に執り行われている。
特開2012−160502号公報 国際公開第2014/058069号パンフレット
LEDの発光効率をより改善させるための技術トレンドは、2つある。1つは、PSSにおいて凸部の径を限りなく大きくすることである。2つは、PSSの凸部の間隔をナノメートルオーダとしたナノPSSである。この技術トレンドはいずれも、内部量子効率IQEと光取り出し効率LEEの更なる改善を指向したものである。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記技術観点により内部量子効率IQEと光取り出し効率LEEとを改善したとしても、良好な発光特性を示すLEDが得られないことがある。この1つの原因として、半導体の内部の残留圧縮応力が原因と推定される。即ち、半導体に対する残留圧縮応力を改善する必要がある。これにより、LEDの発光効率は更に改善され、更には、高電流密度状態においても優れた発光特性を示すと考えられた。
本発明は、かかる点を鑑みてなされたものであり、半導体に対する残留圧縮応力を軽減できる半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明の半導体発光素子は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する下地層を具備し、前記下地層は、前記第2主面にテクスチャを有し、前記テクスチャは、凹状網目と、前記凹状網目により互いに離間される隆起部とを含み、前記下地層において、前記隆起部に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位は、前記凹状網目に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位よりも多いことを特徴とする。
この構成により、隆起部に繋がる転位のうちで第1主面に到達する転位を、凹状網目に繋がる転位のうちで第1主面に到達する転位よりも多くすることで、半導体発光素子に対する残留圧縮応力を軽減できる。
本発明の半導体発光素子においては、前記下地層は窒化物半導体を含み、前記下地層の前記第1主面側に設けられた窒化物半導体を含む第2導電型の第2半導体層と、前記第2半導体層の前記下地層とは反対側に設けられた窒化物半導体を含む発光層と、前記発光層の前記第2半導体層とは反対側に設けられた窒化物半導体を含み前記第2導電型とは異なる第1導電型の第1半導体層と、を備えることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記下地層において、前記隆起部に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位は、前記凹状網目に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位に対して2倍以上であることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記凹状網目の底部線幅は50nm以上900nm以下であることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記隆起部のアスペクト比は、0.3以上5以下であり、且つ、前記隆起部の間隔は、100nm以上1800nm以下であることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記隆起部は、六方格子又は四方格子の格子点位置に設けられ、且つ、前記六方格子又は前記四方格子の格子間距離は、0%以上25%以下の範囲で変動することが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記隆起部は、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を不規則に省いた前記格子点位置に設けられることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記隆起部は、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を規則的に省いた前記格子点位置に設けられることが好ましい。
本発明によれば、半導体発光素子に対する残留圧縮応力を軽減できる。
本実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る凹状網目及び隆起部を説明するための模式図である。 本実施の形態に係る下地層における転位を説明するための図である。 本実施の形態に係る転位数の平均値を説明するための図である。 本実施の形態に係る凹状網目の底部線幅を説明するための模式図である。 本実施の形態に係る凹状網目の分岐を示す模式図である。 本実施の形態に係る凹状網目及び隆起部を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る凹状網目及び隆起部を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る隆起部が格子配列されている場合における格子点を不規則に間引いた状態を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部が格子配列されている場合における格子点を不規則に間引いた状態を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される格子点の、規則的な間引き方を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される格子点の、規則的な間引き方を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される格子点の、規則的な間引き方を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される格子点の、規則的な間引き方を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される格子点の、規則的な間引き方を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される格子点の、規則的な間引き方を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される規則的に間引かれた格子点を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される規則的に間引かれた格子点を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される規則的に間引かれた格子点を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される規則的に間引かれた格子点を示す模式図である。 本実施の形態に係る隆起部の配置される規則的に間引かれた格子点を示す模式図である。
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る半導体発光素子について説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面模式図である。
本実施の形態に係る半導体発光素子100は、第1主面60aと、第1主面60aとは反対側の第2主面60bとを有する下地層60を具備する。下地層60は、第2主面60bにテクスチャ61を有す。テクスチャ61は、凹状網目61aと、凹状網目61aにより互いに離間される隆起部61bとを含む。下地層60において、隆起部61に繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位は、凹状網目61aに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位よりも多いことを特徴とする。
隆起部61bに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位を、凹状網目61aに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位よりも多くすることで、半導体発光素子100に対する残留圧縮応力を軽減できる。これにより、半導体発光素子100の発光特性が改善する。
下地層60は、窒化物半導体を含むと好ましい。窒化物半導体層を含むことで、LEDとしての発光特性を向上することができる。また、下地層60は、ノンドープの層或いは、第1半導体層10の不純物濃度よりも低い層であることが好ましい。
下地層60には、上面に第1主面60aが設けられ、第1主面60aとは反対側に第2主面60bが設けられる。第2主面60b上に、後述のテクスチャが設けられる。
第2半導体層20は、下地層60の第1主面60a側に設けられる。第2半導体層20は、第2導電型であり、窒化物半導体を含んでいることが好ましい。第2半導体層20の下地層60とは反対側に、発光層30が設けられる。発光層30は窒化物半導体を含んでいることが好ましい。発光層30の第2半導体層20とは反対側に、第1半導体層10が設けられる。第1半導体層10は、第1導電型であり、窒化物半導体を含んでいることが好ましい。第1導電型と第2導電型とは異なる。
一例として、第1導電型をp型とし、第2導電型はn型とすることができる。第1導電型がn型であり、第2導電型がp型であっても良い。以下の説明では、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である場合について、説明する。
また、以下の説明では、下地層60の第1主面60aから第2主面60bに向かう方向をZ軸方向とする。そして、Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸とし、Z軸及びX軸に対して垂直な方向をY軸とする。言い換えると、Z軸は、下地層60、第2半導体層20、発光層30及び第1半導体層10の積層方向に対して平行である。ここで本明細書において「積層」とは、互いに接して重ねられた状態のみならず、他の層が間に挿入され重ねられた状態も含む。
<テクスチャ>
下地層60の第2主面60bに、テクスチャ61が設けられる。図2は、本実施の形態に係る凹状網目及び隆起部を説明するための模式図である。図2Aは、下地層の第2主面側からテクチャを見た図である。図2Bは、凹状網目及び隆起部の定義を説明するための図である。図2Aに示すように、テクスチャ61は、凹状網目61aと、凹状網目61aにより互いに離間される隆起部61bとを有している。図2Bに示すように、凹状網目61aは、下地層60の第2主面60bから、−Z軸方向(第1主面60a側)に陥没しており、且つ、2次元的なネットワークを形成している部位である。一方で隆起部61bは、凹状網目61aにより互いに離間するように配置されており、下地層60の第2主面60bから、Z軸方向に突出している。下地層60において、本実施の形態に係るテクスチャ61を配置すると共に、転位の状態を所定状態に制御することで、半導体層に対する残留圧縮応力が改善する。
なお、凹状網目61aの底部を起点として考えると、隆起部61bはZ軸方向に突出しており、隆起部61bの頂点を基準として考えると、凹状網目61aは−Z軸方向に陥没していると言える。凹状網目61a及び隆起部61bに関し、底部や底面を定義する方向は−Z軸方向であり、凸部や頂点(頂面)を定義する方向はZ軸方向である。
本実施の形態に係る半導体発光素子100においては、上記の通りテクスチャ61は、凹状網目61aと隆起部61bとを含む。そして、下地層60において、隆起部61bに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位は、凹状網目61aに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位よりも多いことが好ましい。以下の説明では、隆起部61bに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位のことを、単に隆起部61bの転位と称す。また、凹状網目61aに繋がる転位のうちで第1主面60aに到達する転位のことを、単に凹状網目61aの転位と称す。
<転位>
以下、図3を参照して、本実施の形態に係る転位について説明する。図3は、本実施の形態に係る下地層における転位を説明するための図である。図3においては、凹状網目61aに繋がる転位81は2本として描かれ、そのうち第1主面60aに到達する、凹状網目61aの転位81aは1本である。一方で、隆起部61bに繋がる転位82は7本として描かれ、第1主面60aに到達する隆起部61bの転位82aは2本である。よって、隆起部61bの転位82aが、凹状網目61aの転位81aよりも、多いと言える。
なお、本明細書において転位の比較においては、10個の凹状網目61a及び10個の隆起部61bに対してカウントした転位数の平均値を使用して比較する。即ち、凹状網目61aの転位81aを、10個の凹状網目61aに対してカウントした平均化した値を使用する。同様に、隆起部61bの転位82aを、10個の隆起部61bに対してカウントした平均化した値を使用する。
図4は、本実施の形態に係る転位数の平均値を説明するための図である。例えば、図4においては、10個の隆起部61bを観察したときに、隆起部61bの転位82aは、合計で12個である。10個の凹状網目61aを観察したときに、凹状網目61aの転位81aは合計で3本である。よって、これらの平均値を使用するので、隆起部61bの転位82aは1.2個、凹状網目61aの転位81aは0.3個と言える。即ち、隆起部61bの転位82aは、凹状網目61aの転位81aの4倍あると言える。なお、転位のカウントは、半導体発光素子100の断面に対する透過型電子顕微鏡観察により実行する。
<半導体層の残留圧縮応力の低減>
凹状網目61aは2次元的な広がりを有する。一方で隆起部61bは互いに離間し孤立している。また半導体発光素子100においては、転位は0ではない。例えば、窒化ガリウム単結晶を基板に使用し、窒化ガリウムを成膜したとしても、転位は存在する。よって、存在する転位を受け入れて、利用することが重要である。
凹状網目61aは2次元的に広がっているため、凹状網目61aを起点とした下地層60に対する残留圧縮応力は、2次元的な広がりにより分散し、軽減すると考えることができる。一方で、隆起部61bの場合、隆起部61bは互いに孤立しているため、残留圧縮応力を分散化できない。しかしながら、本実施の形態においては、隆起部61bに下地層60の第1主面60aにまで到達する転位82aを多く配置している。転位は、結晶に関して言えば欠陥に相当するが、エネルギ的には、不安定化したエネルギを安定化する作用がある。よって、転位により下地層内部の残留圧縮応力を軽減できると言える。以上から、凹状網目61a及び隆起部61bを含んで構成されるテクスチャ61を下地層60の第2主面60bに設け、同時に、第1主面60aにまで到達する転位81a、82aに着目して本実施の形態に係る半導体発光素子100に至った。本実施の形態に係る半導体発光素子100においては、半導体層の内部分極が緩和し、発光特性が改善する。特に、高い電流密度における発光強度が向上すると考えられる。
上述のように、隆起部61bの転位82aは、凹状網目61aの転位81aよりも多く配置される。凹状網目61aについては、その2次元的な広がりから半導体層の残留圧縮応力を緩和し、低減する作用があると推定される。即ち、転位による残留圧縮応力緩和の作用が特に必要なのは、隆起部61bである。この観点から、隆起部61bの転位82aは、凹状網目61aの転位81aの2倍以上であることが好ましい。なお、5倍以上であれば、隆起部61bの周辺に対する残留圧縮応力緩和効果が強く作用すると推定されるため、より好ましい。一方で、上限値は、隆起部61bの転位82aは、凹状網目61aの転位81aの100倍以下であることが好ましい。これは、転位が多く集まりすぎた場合、電子をトラップする引力が特に大きくなり、再結合効率が低下すると推察される為である。この観点から、50倍以下がより好ましく、25倍以下が最も好ましい。
また、隆起部61bに繋がる転位のうちで発光層30に到達する転位は、凹状網目61aに繋がる転位のうちで発光層30に到達する転位よりも多いと好ましい。発光層30に転位が到達する場合、発光層30におけるフォトンの生成効率が、転位による電子トラップの影響で低下する。上述したように、転位は0ではない。この観点から、発光層30に到達する転位も所定数存在する。発光層30に到達する転位という事実を受け止めれば、隆起部61bに繋がる転位のうちで発光層30に到達する転位が、凹状網目61aに繋がる転位のうちで発光層30に到達する転位よりも多くなるように配置することで、半導体層に対する残留圧縮応力低減の効果を新たに享受できるため、好ましい。残留圧縮応力の低減の効果については、既に説明した通りであり、隆起部61bに繋がる転位のうちで発光層30に到達する転位は、凹状網目61aに繋がる転位のうちで発光層30に到達する転位の2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。
<下地層>
下地層60としては、例えば、シリコンやゲルマニウム等の元素半導体、或いは、III−V族やII−VI族やVI−VI族等の化合物半導体を適用できる。特に、アンドープ窒化物層であることが好ましい。アンドープ窒化物層としては、例えば、900℃以上1500℃以下の成長温度で、NHとTMGaを供給することで成膜できる。膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましく、下地層60に対する残留応力の観点から、1.5μm以上8μm以下がより好ましい。
<基板>
半導体発光素子100は、下地層60の第2主面60b側に基板を有してもよい。例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイア、スピネル(MgAl)に代表される絶縁性基板、炭化珪素(6H、4H、3C)、シリコン(Si)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム砒素(GaAs)、ダイヤモンド、窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウムに代表される酸化物基板、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミ(AlN)等が挙げられる。
<バッファ層>
下地層60の第2主面60b側にバッファ層を有してよい。基板と同時に配置する場合は、下地層60からZ軸方向に、バッファ層が設けられ、続いて基板が配置される。バッファ層は配置されても、されなくてもよい。また、均等に配置されても、部分的に配置されてもよい。
バッファ層の厚さは、5nm以上100nm以下が好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。これにより、半導体に対する残留圧縮応力を低減できる。なお、半導体とは、後述する積層構造体10s全て、或いは積層構造体10sを構成する層のいずれかをいうものとする。バッファ層は、例えば、GaN構造、AlGaN構造、AlN構造、AlInN構造、InGaN/GaN超格子構造、InGaN/GaN積層構造、或いはAlInGaN/InGaN/GaN積層構造等を採用することができる。また、バッファ層の成膜については、成膜温度を350℃以上600℃以下の範囲にできる。また、バッファ層は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、或いはスパッタリング法により成膜されることが好ましい。
<電極(第1電極、第2電極)>
半導体発光素子100は、第1電極70と、第2電極80とを更に備えることができる。第1半導体層10の表面に第1電極70を、第2半導体層20の表面の一部に第2電極80を設けることができる。第1電極70は、第1半導体層10と電気的に接続される。第2電極80は、第2半導体層20と電気的に接続される。例えば、第2半導体層20の一部と第1半導体層10との間に発光層30を設けることができる。第2半導体層20の表面の一部であって第1半導体層10側に、第2電極80を設けることもできる。第1電極70及び第2電極80の配置は、半導体発光素子100により適宜、最適化できる。
第1電極70と第2電極80との間に電圧を印加すると、第1半導体層10と第2半導体層20とを介し、発光層30に電流が流れる。そして、発光層30からフォトンが放出される。半導体発光素子100としては、例えばLEDが挙げられる。
<第2半導体層>
第2半導体層20は、例えば、n側コンタクト層の機能を有していてもよい。第2半導体層20には、n型GaN層を適用できる。第2半導体層20としては、例えば、シリコンやゲルマニウム等の元素半導体、或いは、III−V族やII−VI族やVI−VI族等の化合物半導体に、種々の元素をドープしたものを適用できる。特に、n型GaN層であることが望ましい。n型GaN層としては、例えば、NHを3×10−2〜4.2×10−2mol/min、トリメチルガリウム(TMGa)0.8×10−4〜1.8×10−4mol/min及びSiに代表されるn型ドーパントを含むシランガスを5.8×10−9〜6.9×10−9mol/min供給し、形成することができる。膜厚は、活性層への電子注入性の観点から、800nm以上であると好ましく、1500nm以上であることがより好ましい。
<第1半導体層>
第1半導体層10は、積層構造を採ることができる。「積層」の定義については後述する。例えば、3層であって、P1層11、P2層12、及びP3層13で構成することができる。P3層13が下地層60側に配置され、P1層11が下地層60から最も遠くに配置される。P2層12は、P1層11とP3層13との間に配置される。P1層11は、p側コンタクト層として機能できる。P1層11として、p型GaN層を適用できる。P2層12としては、p型GaN層を適用できる。P3層13には、p型AlGaN層を適用できる。
第1半導体層10としては、例えば、シリコンやゲルマニウム等の元素半導体、及び、III−V族やII−VI族やVI−VI族等の化合物半導体に、種々の元素をドープしたものを適用できる。例えば、p型GaN層の場合、成長温度を900℃以上に上昇させ、TMGa及びCPMgを供給し、数百〜数千Åの厚さに成膜することができる。
<発光層>
単一量子井戸構造(SQW)、或いは多重量子井戸構造(MQW)とすることが好ましい。SQWの場合、発光層30は、2つの障壁層と、その障壁層の間に設けられた井戸層とを含む。MQWの場合、3つ以上の障壁層と、障壁層同士の間に設けられた井戸層とを含む。
発光層30は、(n+1)個の障壁層と、n個の井戸層とを含むことができる。nは、1以上の整数である。第(i+1)番目の障壁層(i+1)は、第i番目の障壁層iと第1半導体層10との間に配置される。iは、1以上(n−1)以下の整数である。第(i+1)番目の井戸層(i+1)は、第i番目の井戸層iと第1半導体層10との間に配置される。第1番目の障壁層1は、第2半導体層20(後述する、多層構造体40)と第1番目の井戸層1との間に設けられる。第n番目の井戸層nは、第n番目の障壁層nと第(n+1)番目の障壁層(n+1)との間に設けられる。第(n+1)番目の障壁層(n+1)は、第n番目の井戸層nと第1半導体層10との間に設けられる。
井戸層は、III族元素とV族元素とを含む窒化物半導体を含むことが好ましい。井戸層は、インジウム(In)とガリウム(Ga)とを含む窒化物半導体を含むことがより好ましく、InxGa1−xN(0.05≦x≦0.5)を含むことがさらに好ましい。発光層30から放出される光のピーク波長は、例えば400nm以上650nm以下であることが好ましい。
障壁層は、III族元素とV族元素とを含む窒化物半導体を含むことが好ましい。障壁層のバンドギャップエネルギは、井戸層のバンドギャップエネルギよりも大きい。障壁層がInを含む場合、障壁層のIII族元素中におけるInの組成比は、井戸層のIII族元素中におけるInの組成比よりも低いことが好ましい。これにより、井戸層におけるバンドギャップエネルギは、障壁層におけるバンドギャップエネルギよりも小さくなる。
発光層30としては、LEDとして発光特性を有するものが望ましい。例えば、AsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、ZnSe、AlHaInP、ZnO等の半導体層を適用できる。また、特性に応じて種々の元素をドープしてもよい。例えば、600℃以上850℃以下の成長温度で、窒素をキャリアガスとして使い、NH、TMGa、及びトリメチルインジウム(TMIn)を供給し、INGaN/GaNからなる活性層を、100Å以上1250Å以下の厚さに成長させることができる。また、多重量子井戸構造の場合、1つの層を構成するInGaNに関し、In元素濃度を変化させることもできる。また、発光層30と第1半導体層10との間に電子ブロック層を設けることができる。電子ブロック層は、例えば、p−AlGaNにて構成することができる。
<積層構造体>
積層構造体10sは、下地層60、第2半導体層20、発光層30、及び第1半導体層10を含んでいる。積層構造体10sの積層方向は、Z軸に対して平行である。積層構造体10sは、例えば、CVDにより成膜され得られ、CVDとしては、有機金属気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)等が挙げられる。
更に、積層構造体10sは多層構造体40を含んでいてもよい。多層構造体40は、第2半導体層20と発光層30との間に設けられており、第2半導体層20に含まれるものと見なすこともできる。多層構造体40は、例えば、超格子層であり、n型であってもよい。多層構造体40は適宜配置することができ、配置されなくてもよい。多層構造体40は、Z軸方向に交互に積層された複数の第1構造膜と複数の第2構造膜とを含んでいてもよい。第1構造膜は、GaNを含むことができる。第2構造膜は、InGaNを含むことができる。第1構造膜20aを下地層60側に配置しても、第2構造膜20bを下地層60側に配置してもよい。
<窒化物半導体>
本明細書において窒化物半導体とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)の化学式として示される組成の半導体を含むものと定義する。なお、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素も更に含んだものも窒化物半導体として扱うことができる。更には、導電型に代表される物性を制御するために添加される各種元素を更に含むものも、窒化物半導体として扱うことができる。また、意図せずに含まれる各種の元素を更に含むものも窒化物半導体として扱うことができる。
<テクスチャの製造方法>
転位を、隆起部61bに優先的に篩い分ける方法は、下地層60の成膜時に実施できる。まず、下地層60を成膜するための基板を準備する。基板の種類については既に説明した。次に、基板を微細加工する。ここではサファイア基板を代表して説明する。C面のサファイア基板を、例えば硫酸と過酸化水素水の混合液(SPM液)にて洗浄し、クリーニングする。
一方で、凹状網目と凹所網目により区切られる隆起部と、を有するテクスチャシートを準備する。例えば、ガラスのマザーロールに対して熱リソグラフィ法を適用してテクスチャを形成し、当該マザーロールから光ナノインプリント法におり、テクスチャシートを製造できる。テクスチャシートに対して、無機或いは有機無機の第1レジストを充填する。例えば、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、チタニア、ジルコニア、アルミナ等をレジストに含有できる。また、充填とは、テクスチャシートのテクスチャが平坦化される前の状態であり、第1レジストを塗布した後であっても、テクスチャの一部が露出している状態である。
次に、第1レジスト充填テクスチャシートに対して、有機レジストである第2レジストを塗布する。ここでは、平坦化するように成膜する。有機レジストは、ネガ型でもポジ型でもよく、少なくも紫外線にて硬化作用が発現するラジカル重合システム或いは化学増幅システムを含むと好ましい。レジストに、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、アクリル変性エポキシノボラック、メタクリル変性エポキシノボラック、アダマンタン、フルオレン、カルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリ−p−ヒドロキシスチレン等を含むと、加工性が向上するため好ましい。特に、オリゴマー或いはポリマー、モノマー、及び重合開始剤を含む混合物とすると、塗布したレジストの薄膜状態を維持する機能が向上するため望ましい。
第1レジスト層と第2レジスト層が充填されたテクスチャシートを、サファイア基板に貼り合わせる。貼り合わせた後に、光や熱によりレジストを安定化させ、その後、テクスチャシートを取り除く。或いは、テクスチャシートを取り除いた後に、光や熱によりレジストを安定化させる。以上の操作により、サファイア基板の主面上に第2レジスト層と第1レジスト層を転写付与できる。レジストの表面にはテクスチャシートの反転構造が転写されている。
続いて、サファイア基板をドライエッチングにより、加工する。例えば、酸素ガスを利用して第2レジスト層を加工し、続いて、塩素系ガス(Cl、BCl等)を利用して、サファイア基板を加工できる。最後に、SPM液により加工されたサファイア基板をクリーニングする。
凸状網目と網目により互いに離間される陥没部とを有するサファイア基板(以下、テクスチャ基板)に対して下地層60を成膜する。成膜は、例えば、CVD成膜である。CVD成膜としては、有機金属気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)等が挙げられる。ここで、テクスチャ基板の凸状網目の頂面を、下地層60の主成長点として成膜する。これにより、テクスチャ基板の陥没部における下地層60の成長速度は低下する。よって、凸状網目の頂面上においては、下地層60は成長すると共に、陥没部を埋めるように、横方向の成長が実現できる。これにより、テクスチャ基板の陥没部に転位を集めることができる。
ここで、下地層60に視点を移すと、テクスチャ基板の凸状網目が下地層60の凹状網目61aに相当し、テクスチャ基板の陥没部が下地層60の隆起部61bに相当する。即ち、下地層60の隆起部61bに転位を集める、換言すれば、隆起部61bの転位を凹状網目61aの転位よりも多くすることができる。転位の多さの制御については、CVD成膜に使用する原料ガスの流量比と成膜温度が支配因子である。特に、成膜温度の調整により、調整可能である。
下地層60を第2主面60b側から観察したときに、凹状網目61aと隆起部61bから構成されるテクスチャ61が観察される。凹状網目61aは、テクスチャ基板が残っている場合は、主に当該基板により満たされる。一方で、テクスチャ基板を除去している場合は、空気や封止材などで満たされる。隆起部61bは、下地層60のテクスチャ基板が残っている場合は、下地層60のみ、或いは下地層60と空気により満たされる。基板が除去される場合は、下地層60のみで構成される。
<底部線幅>
凹状網目61aの底部線幅とは、網目を構成する線の、底部の線幅として定義する。なお、網目には交点が存在するため、線幅は交点以外の部分にて定義される。
図5は、本実施の形態に係る凹状網目の底部線幅を説明するための模式図である。図5Aは、凹状網目を平面視した場合を示す。図5Bは、凹状網目を断面視した場合を示す。凹状網目61aを平面視でみると、図5A及び5Bに示すように、凹状網目61aの底部110における線幅が、底部線幅W1である。一方凹状網目61aの開口部111における線幅が、開口部線幅W2である。
凹状網目61aの底部線幅は50nm以上900nm以下であることが好ましい。この範囲により、隆起部61bの転位82aを凹状網目61aの転位81aに対して効果的に多くできる。特に、80nm以上500nm以下であることで、凹状網目61aの転位81aを低減し、相対的に隆起部61bの転位82aを多くできるため好ましい。この観点から100nm以上300nm以下がより好ましい。
凹状網目61aを断面視した際の凹部の形状は特に限定されないが、正方形、長方形、或いは台形であると好ましい。なお、台形においては、その側面が曲面であるとよい。このような形状により、凹所網目61aに対し転位を集める効果が控除し、相対的に隆起部61bの転位が凹所網目61aの転位よりも大きくなる。
<凹状網目の分岐数>
凹状網目61aの分岐数は、複数種存在できる。本実施の形態において、凹状網目61aの分岐数は、3、4、6及び8からなる群から選択される1以上の分岐数により構成されることが好ましい。分岐数とは、凹状網目61aにおいて、網目を構成する凹部の底部110の一つの交点で交わる底部の本数nである。図6は、本実施の形態に係る凹状網目の分岐を示す模式図である。図6Aは分岐数が3の場合、図6Bは分岐数が4の場合、図6Cは分岐数が6の場合、図6Dは分岐数が8の場合、をそれぞれ示している。これにより、網目の幾何学的な対称性が向上する傾向にあり、凹状網目61aにおける残留圧縮応力の分散による低減効果が向上するため好ましい。
特に、単一の分岐数のみにより構成されるか、又は、分岐数が3と4、3と6、4と6、或いは3と4と6により構成されると、上記した凹状網目61aにおける残留圧縮応力の低減効果が増すと共に、隆起部61bに対し転位を寄せ集める効果が増すため好ましい。この観点から、上記例示した中で、2以上の分岐数の組み合わせによるものが、最も好ましい。
<隆起部>
隆起部61bの形状は特に限定されないが、円錐状、砲弾状、ドーム状、コーン状、レンズ状などが挙げられる。なお、これらの形状は、底面の真円度が0.5以上1以下を含む。
<隆起部の間隔>
隆起部61bの間隔は、凹状網目61aにより区切られ互いに隣接する隆起部61bの、隣接距離である。隣接距離は、隆起部61bの底部輪郭に対して外接円を設定し、その中心同士の距離として定義する。
図7は、本実施の形態に係る凹状網目及び隆起部を示す平面模式図である。図8は、本実施の形態に係る凹状網目及び隆起部を示す断面模式図である。
隆起部61bの間隔Dは、凹状網目61aにより区切られ互いに最隣接する隆起部61bの、隣接距離である。まず、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、下地層60の第2主面60a側からテクチャ61を観察する。次に、図7に示すように、任意に最隣接する2つの隆起部61b−1、61b−2を選択する。そして、隆起部61b−1、62b−2に対して外接円131−1、131−2を設定し、その中心O、O同士の距離を、隆起部61bの間隔Dとして定義する。隆起部の間隔Dは、任意に10点の隆起部の間隔を測定し、それらを相加平均して与えられる。
間隔Dは、100nm以上1800nm以下であることが好ましい。100nm以上であることで、隆起部61bに寄せ集めた転位が、隆起部61bを超えて凹状網目61aにも発生し、凹状網目61aの転位が増加することを抑制できる。よって、隆起部61bの転位82aを凹状網目61aの転位81aに対して効果的に多くすることができる。この観点から、250nm以上がより好ましく、450nm以上が最も好ましい。また、1800nm以下であることで、凹状網目61aの中央付近から隆起部61bへと転位を追いやるときに、凹状網目61aの途中にて転位が生成してしまうことを抑制できる。よって、隆起部61bの転位82aを凹状網目61aの転位81aに対して効果的に多くすることができる。この観点から、1500nm以下がより好ましく、1200nm以下が最も好ましい。
<隆起部のアスペクト比>
隆起部61bのアスペクト比は、隆起部61bの高さを、隆起部61bの底部径にて除した値である。図8に示すように、隆起部61bの高さは、凹状網目61aの底面を基準面とした隆起部61bの頂点までの、Z軸方向の距離bである。隆起部61bの底部径は、凹状網目61aの底部110を基準面としたときに、当該基準面内における隆起部61bの径である。なお、隆起部61bの径は真円度が、0.5以上1以下が好ましい。即ち、径の外形が歪んでいることがある。この観点から、隆起部61bの径は、隆起部61bを隆起部61bの頂点側から−Z軸方向に観察した際の外形に対する外接円の径として定義でき、外接円の径は、上記間隔Dの定義にて説明した、隆起部61bに対する外接円(図7中、131−1、131−2)の直径aである。アスペクト比(b/a)は、任意に10点のアスペクト比を測定し、それらを相加平均化した値である。
隆起部61bのアスペクト比(b/a)は0.3以上5以下であることが好ましい。0.3以上であることにより、隆起部61bへと寄せ集まる転位が、隆起部61bを通過して隣接する凹状網目61aに生成することを抑制できる。即ち、隆起部61bの転位を、凹状網目61aの転位に対して相対的に多くなるように制御できる。この観点から、0.5以上がより好ましい。一方で5以下であることで、隆起部61bの内部にて転位が消失して下地層60の第1主面60aに到達すべき転位が減少することを抑制できる。即ち、隆起部61bの転位82aを、凹状網目61aの転位81aに対して相対的に多くなるように制御できる。この観点から、1.5以下がより好ましく、1.2以下が最も好ましい。
<隆起部の配列>
隆起部61bを、下地層60の第2主面60b側より観察した際の配列(以下、単に隆起部61bの配列という)は特に限定されるものではないが、所定の規則性を有すると、隆起部61bに転位を集中させる効果が向上するため、半導体への残留圧縮応力低減効果が増すと考えられる。以下、隆起部61bの好ましい配列に関し、3つ説明する。
下地層60を第2主面60bからSEMを使用し観察したときに、上述した隆起部61bは所定の規則性を有すると好ましい。これにより、凹状網目61aの幾何学的な対称性が向上する。一方で、下地層60の成長は、幾何学的に対象な成長が安定である。これにより、隆起部61bに転位を集中させる効果が向上するため、半導体への残留圧縮応力低減効果が増すと考えられる。なお、基板を下地層60に使用している場合は、基板を溶解除去、或いはレーザ除去した後に観察する。
隆起部61bの位置は、隆起部61bの中心位置により定義される。中心位置は、上記Dの定義にて記載した、隆起部61bを第2主面60b側から観察したときの、隆起部61bの外形に対する外接円(図7中、131−1、131−2)の中心(図7中、O、O)である。
隆起部61bは、規則的に配列するとよい。これにより、凹状網目61aの線幅を、上述した範囲に制御しやすい。よって、隆起部61bに転位を、効果的に寄せ集めることが可能となり、半導体への残留圧縮応力低減効果が増すと考えられる。
本実施の形態における規則的は、完全規則性から±10%の変動を許容する。即ち、隆起部61bが単一間隔Dにて規則的に配置された場合、全ての間隔Dが一定値である完全規則性から、平均値±10%のばらつきを有する准規則性までを含むものとする。間隔Dは、隆起部61bを定義した仮想円の中心間の距離である。准規則性と完全規則性のいずれを採用すべきかは、用途により異なるので限定されない。しかしながら、半導体層の成長と凹状網目61aのフィッティング性の向上という観点から、隆起部61bの配列は、完全規則性に近い程好ましく、完全規則性であることが最も好ましい。これにより、隆起部61bに転位を集中配置できる。よって、相対的に隆起部61bの転位82aが、凹状網目61aの転位81aよりも多くなり、半導体への残留圧縮応力が低減すると考えられる。
規則性としては、例えば、隆起部61bが格子配列されている場合が挙げられる。格子配列とは、例えば、六方格子又は四方格子のような格子構造の格子の位置(以下、格子点位置と呼ぶ)に隆起部61bの位置が配置されていることを言う。
格子配列のうち、隆起部61bの間隔Dが一定の場合を正格子配列と呼ぶ。例えば、六方格子又は四方格子の格子点位置に隆起部61bが配置されている場合であって間隔Dが一定の場合、正方六方配列又は正四方配列と呼ぶ。
1つめの配列としては、隆起部61bが、六方格子又は四方格子の格子点位置に設けられ、且つ、六方格子又は四方格子の格子間距離は、0%以上25%以下の範囲で変動することが好ましい。
例えば、四方格子があって、その格子間距離がPだとする。Pが一定値であれば正四方格子である。この場合、隆起部61bは正四方配列し、隆起部61bの間隔DはPと一致する。
格子間距離Pがサイン波やコサイン波に相乗して増減を繰り返す場合、(Pの最大値−Pの最小値)/(Pの平均値)は0%以上25%以下であることが好ましい。0%の場合は、増減がないと言えるので、正四方配列である。例えば、Pの最大値が550nm、Pの最小値が450nm、そしてPの平均値が500nmであれば、20%の変動と言える。
隆起部61bは、このような増減を繰り返す間隔にて配置することができる。また、例えば、格子間距離Pの変動はステップ状であってもよい。即ち、X個の格子の間隔がPxで続くY個の格子の間隔がPyであってもよい。Xが2でYが1であれば、(Px、Px、Py)を1周期とした繰り返しが設けられることを意味する。
同様に、六方格子があって、その格子間距離がPだとする。Pが一定値であれば正六方格子である。この場合、隆起部61bは正六方配列し、隆起部61bの間隔DはPとなる。
格子間距離Pがサイン波やコサイン波に相乗して増減を繰り返す場合、(Pの最大値−Pの最小値)/(Pの平均値)は0%以上25%以下である。この増減は、格子方向のみに設けられても、格子に垂直な方向に設けられてもよい。0%の場合は、増減がないと言えるので、正六方配列である。例えば、Pの最大値が560nm、Pの最小値が440nm、そしてPの平均値が500nmであれば、24%の変動と言える。
隆起部61bは、このような増減を繰り返す間隔にて配置することができる。また、例えば、格子間距離の変動はステップ状であってもよい。即ち、X個の格子の間隔がPxで続くY個の格子の間隔がPyであってもよい。Xが5でYが2であれば、(Px、Px、Px、Px、Px、Py、Py)を1周期とした繰り返しが設けられることを意味する。
格子間距離Pが0%以上25%以下の範囲で変動する、六方格子又は四方格子の格子点位置に隆起部61bが設けられることで、網目の幾何学的な対称性が向上し、幾何学的に対象な成長が安定である半導体層の成長とマッチングし、隆起部61bに転位を集中配置できる。これにより、相対的に隆起部61bの転位82aが、凹状網目61aの転位81aよりも多くなり、半導体への残留圧縮応力が低減すると考えられる。この観点から、隆起部61bの変動は5%以上25%以下がより好ましく、10%以上25%以下が最も好ましい。
2つめの配列としては、隆起部61bが、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を不規則に省いた格子点位置に設けられることが好ましい。
この配列の場合、上述の1つめの配列に比べ、部分的に、凹状網目61aの大きな交点を配置できる。この大きな交点は、下地層60の成長速度をより加速させ、横方向(XY方向)の下地層60の成長を加速する。よって、隆起部61bに対し転位が集まる効果が増し、半導体層への残留圧縮応力がより低減する。
例えば、四方格子を想定し、四方格子の格子点を任意に1%以上25%以下の割合で不規則に間引くことができる。この任意に間引かれた四方格子の、残存した格子点位置に隆起部61bが設けられる。図9は、本実施の形態に係る隆起部が格子配列されている場合における格子点を不規則に間引いた状態を示す模式図である。図9中の黒点が格子点であって、隆起部61bの配置される点を示している。なお、図9中、凹状網目61aや隆起部61bの大きさ、形状は反映させていない。
例えば、四方格子のある1軸上に着目したときに、(隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、…)と、隆起部61bが四方格子の格子点位置に全て設けられるのではなく、(隆起部61b、隆起部61b、凹状網目61a、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、凹状網目61a、…)といったように、四方格子の配列からみれば本来隆起部61bが設けられる箇所に、凹状網目61aを配置できる。この割合が1%以上25%以下である。
同様に、六方格子を想定し、六方格子の格子点を任意に1%以上25%以下の割合で不規則に間引くことができる。この任意に間引かれた六方格子の、残存した格子点位置に隆起部61bが設けられる。図10は、本実施の形態に係る隆起部が格子配列されている場合における格子点を不規則に間引いた状態を示す模式図である。図10中の黒点が格子点であって、隆起部61bの配置される点を示している。なお、図10中、凹状網目61aや隆起部61bの大きさ、形状は反映させていない。
例えば、六方格子のある1軸上に着目したときに、(隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、…)と、隆起部61bが六方格子の格子点位置に全て設けられるのではなく、(凹状網目61a、隆起部61b、凹状網目61a、隆起部61b、隆起部61b、隆起部61b、凹状網目61a、…)といったように、六方格子の配列からみれば本来隆起部61bが設けられる箇所に、凹状網目61aを配置できる。この割合が1%以上25%以下である。
隆起部61bが、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を不規則に省いた格子点位置に設けられることで、凹状網目61bの幾何学的な対称性を維持したまま、凹状網目61aの存在割合を向上させることができる。増加した大きな凹状網目61aの交点における下地層60の成長速度は速い。即ち、幾何学的に対象な成長が安定である下地層60の成長に関し、横方向への成長が加速され、隆起部61bに転位を集中させる効果が増すといえる。この観点から、間引く割合は5%以上25%以下がより好ましく、10%以上25%以下が最も好ましい。
3つめの配列は、隆起部61aが、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を規則的に省いた前記格子点位置に設けられることが好ましい。
規則的な格子点の省き方は、省く点の規則性として、例えば、正三角格子の格子点位置、正四方格子の格子点位置、正六方格子の格子点位置、斜方格子(菱形格子)の格子点位置、矩形格子の格子点位置、歪斜格子の格子点位置、正六角形の単位格子が互いに辺としてのみ重なり最密充填した格子の格子点位置、及び、互いに平行なライン状の配列が挙げられる。特に、正三角格子の格子点位置、正六方格子の格子点位置、正六角形の単位格子が互いに辺としてのみ重なり最密充填した格子の格子点位置、及び、ライン状配列がより好ましい。これらの場合、幾何学的に対称な成長が安定である半導体層の成長に対し、凹状網目61aのフィッティング性をより向上させることができる。よって、隆起部61bに転位を集中配置できる。結果的に、相対的に隆起部61bの転位82aが、凹状網目61aの転位81aよりも多くなり、半導体への残留圧縮応力が低減すると考えられる。
図11〜図16は、本実施の形態に係る隆起部の配置される格子点の、規則的な間引き方を示す模式図である。即ち、図11〜図16は、間引く点の規則性を示している。図11〜図16に示される格子点の規則性に則って、六方格子又は四方格子の格子点位置から格子点を省き、残った格子点位置に隆起部61bを配置する。即ち、図11〜図16には、隆起部61b及び凹状網目61aは図示されていない。図11には、正三角格子の格子点及び正六角格子の格子点位置を、図12には、正四方格子の格子点位置を、図13には、菱形格子の格子点位置を、図14には、歪斜格子の格子点位置を、図15には、矩形格子の格子点位置を、図16には、正六角形の単位格子が互いに辺としてのみ重なり最密充填した格子の格子点位置を、それぞれ示している。
この配列により、上述の2つめの配列よりも更に、隆起部61bの転位を増加させ、残留圧縮応力を低減できると考えられる。これは、増加する凹状網目61aの大きな交点が、幾何学的に配置することから、下地層60の横方向の成長をより一層加速できると推察されるためである。
例えば、四方格子を想定し、四方格子の格子点を1%以上25%以下の割合で間引くことができる。この間引き方は、間引いた格子点位置のみを抽出したときに、その配列が上述した配列(図11〜図16)になるようにする。間引かれた四方格子の、残存した格子点位置に隆起部61bが設けられる。例えば、格子間距離が500nmの四方格子から、間隔を3000nmとして四方配列状に又は六方配列状に格子点を間引くことができる。換言すれば、間隔が3000nmの四方配列又は六方配列状に間引かれた格子点位置には、凹状網目61aが設けられる。
同様に、六方格子を想定し、六方格子の格子点を1%以上25%以下の割合で間引くことができる。この間引き方は、間引いた格子点位置のみを抽出したときに、その配列が上述した配列(図11〜図16)になるようにする。間引かれた六方格子の、残存した格子点位置に隆起部61bが設けられる。例えば、格子間距離が500nmの六方格子から、間隔を2000nmとして四方配列状又六方配列状に格子点を間引くことができる。換言すれば、間隔が2000nmの四方配列又は六方配列状に間引かれた格子点位置には、凹状網目61aが設けられる
図17〜図21は、本実施の形態に係る隆起部の配置される規則的に間引かれた格子点を示す模式図である。なお、図17〜図21は、配置する場所(配列)を示すものであり、隆起部61b及び凹状網目61aの大きさは反映させていない。図17〜図21において、白丸が隆起部61bの配置される位置を示す。黒丸の位置は、隆起部61bが間引かれた部分であり、凹状網目61aが配置される。
図17A〜図17Dは、六方格子の格子点位置から、正六角形の単位格子が互いに辺としてのみ重なり最密充填した格子の格子点位置を間引いた状態で、且つ、元の格子の六角形の方向と、間引かれる格子の六角形の方向が同じ場合を示す。図17A〜図17Dは、間引く点の密度が異なる。間引く密度の高い順番に、図17D、図17A、図17B、図17Cである。
図18は、六方格子の格子点位置から、正六角形の単位格子が互いに辺としてのみ重なり最密充填した格子の格子点位置を間引いた状態で、且つ、元の格子の六角形の方向と、間引かれる格子の六角形の方向が異なる場合を示す。
図19は、六方格子の格子点位置から、正三角格子の格子点位置を間引いた状態で、且つ、元の格子の六角形の方向と、6つの正三角形の集合により作られる正六角形の方向が異なる場合を示す。
図20A及び図20Bは、六方格子の格子点位置から、正六角形の単位格子が互いに辺としてのみ重なり最密充填した格子の格子点位置を間引いた場合を示す。図20A及び図20Bは、間引く点の密度が異なる。図20Bの方が、高い密度で格子点を間引いている。
図21A及び図21Bは、六方格子の格子点位置から、ラインアンドスペース格子の格子点位置を間引いた場合を示す。図21Aと図21Bと、では間引く格子点の密度が異なる。図21Bの方が、高い密度で間引いている。図21Bは、間引かれる格子点近傍における六方格子の格子間距離の変化が大きい。より具体的には、間引かれる格子点近傍では、格子間距離が狭くなっている。
隆起部61bが、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を規則的に省いた格子点位置に設けられることで、凹状網目61aの大きな交点の幾何学的な対称性が向上し、幾何学的に対象な成長が安定である半導体層の成長を加速する。そして、隆起部61bに対する転位の集まりを促進でき、半導体層への残留圧縮応力が低減すると考えられる。この観点から、間引く割合は5%以上25%以下がより好ましく、10%以上25%以下が最も好ましい。
以下、本発明について、実施例に基づき更に詳述するが、これらは説明のために記述されるものであって、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
テクスチャ基板を作製し、テクスチャ基板にCVD成膜を行い、下地層を形成した。その後、積層構造体を製膜し、電極を形成し、LEDとした。
<テクスチャ基板の作製>
まず、テクスチャ基板を作製した。テクスチャ基板のテクスチャは、2層レジストテクスチャシートを使用して作製した。2層レジストテクスチャシートについては後述する。4インチの片面鏡面のc面サファイアを準備し、洗浄した。続いて、サファイア基板を120℃のヒートテーブル上に配置した。次に、2層レジストテクスチャシートを、120℃に加温したラミネートロールを使用して、サファイア基板に貼り合わせた。貼り合わせは、0.5MPaの圧力で、線速50mm/秒にて行った。2層レジストテクスチャシートの貼り合わせられたサファイア基板に対して、サファイア基板越しに紫外線を照射した。紫外線は、波長365nmのUV−LED光源より照射されたもので、積算光量が1500mJ/cmになるように設定した。次に、120℃に加熱した2枚の並行平板で、2層レジストテクスチャシートとサファイア基板を挟み込んだ。挟み込みの圧力は0.3MPaとし、時間は10秒とした。続いて、空冷にて室温まで冷却し、2層レジストテクスチャシートをサファイア基板より、50mm/秒の速度で剥離した。以上の操作により、サファイア基板の主面上に、2層レジスト層を転写付与した。レジスト層の表面にはテクスチャが設けられている。このテクスチャの形状及び配列、2層レジストの層構成、そして以下に記載のドライエッチング条件によりテクスチャを制御した。
<2層レジストテクスチャシート>
2層レジストテクスチャシートは、貼合操作及び剥離操作で、ウェハ上に加工マスクを転写付与できる成形体である。構成としては、テクスチャシート、第1レジスト、及び第2レジストである。テクスチャシートは、表面にテクスチャを有し、テクスチャの凹部の内部に、第1レジストが充填される。そして、テクスチャシートのテクスチャと第1レジストと、を平坦化するように第2レジストが配置される。
まず、テクスチャシートを、ロール・ツー・ロールの光ナノインプリント法を適用して、製造した。幅は500mm、長さは180mである。層構成としては、厚み50μmのPETフィルムの易接着面上に厚み1.1μmの転写層があり、転写層の表面に光ナノインプリント法にて転写されたテクスチャがある。また、テクスチャシートのテクスチャ面に対する水滴の接触角は140°〜153°の間であった。
次に、テクスチャシートのテクスチャに対して、第1レジストを、ダイコート法にて成膜した。第1レジストは、アクリロイル基を有する修飾材にて修飾されたジルコニウム粒子と光重合開始剤である。第1レジストを、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、ハイドロフルオロエーテル(COCH)、アニソール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルから成る混合溶剤にとかし、塗布液とした。ダイコート法にて塗布する際に、ダイリップの上流側を減圧した。塗布の速度は5m/分とし、吐出量を制御することで、第1レジストの充填量を制御した。塗布後、120℃のエアを吹き付け乾燥させ、その後、巻き取り回収した。
次に、第1レジストの充填されたテクスチャシートに対して、第2レジストを成膜した。成膜方法は、第1レジストの場合と同様に行った。第2レジストは、アクリロイル基を側鎖に具備するノボラック樹脂であり、表面張力が25.0mN/m以下の溶剤にて希釈し、塗液とした。乾燥は、105℃にて行った。乾燥後、ヘーズ(濁度)が10%以下のPE/EVA保護フィルムを貼り合わせ、巻き取り、回収した。第2レジストが、テクスチャシートのテクスチャ及び第1レジストを平坦化するように成膜できていることを、SEMを利用し確認した。
製造した2層レジストテクスチャシートを使用して、既に説明したように、サファイアの主面上に、第1レジスト及び第2レジストからなる2層レジスト層を転写付与した。次に、レジスト層を加工するエッチングと、サファイア基板を加工するエッチングを同一チャンバー内で連続して行った。レジスト層のエッチングには、酸素ガスを使用した。ここでは、第1レジストが第2レジストのエッチングマスクとして機能し、第2レジストをサファイア基板の主面が部分的に露出するまでエッチングする。エッチング条件は、処理ガス圧1Pa、処理電力300Wの条件とした。続いて、BClガスとClガスと、の混合ガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、サファイア基板をエッチングした。ここでは、第2レジストをエッチングマスクとして、サファイア基板をエッチングした。処理条件としては、ICP:150W、BIAS:50W、圧力0.2Paとした。
エッチング加工したサファイア基板(以下、テクスチャ基板)を取り出し、硫酸及び過酸化水素水を2:1の重量比にて混合したSPM溶液にて洗浄した。処理液の温度は、100℃以上に制御した。以上操作を経て、テクスチャ基板を製造した。
製造したテクスチャ基板の種類は、実施例用に5つ、比較例用に3つである。実施例用に準備したテクスチャ基板のテクスチャの概要は以下の通りであり、SEM用い確認した。まず、テクスチャは凸状の網目と、当該網目により離間される陥没部と、から構成される。凸状の網目の頂面は、加工前のサファイアの主面である。即ち、凸状の網目の頂面を基準として、陥没部は、基板の厚み方向に凹んでいる。凸状の網目は、頂部よりも底部の方が、線幅が広い。
以上操作を経て、テクスチャ基板を製造した。なお、テクスチャは、2層レジストテクスチャシートのテクスチャ、第1レジストの充填量、第2レジストの膜厚により適宜調整した。
製造したテクスチャ基板に対して、CVD工程を適用し、LEDを製造した。まず、AlGa1−xN(0≦x≦1)の低温成長バッファ層を、200Å成膜した。次に、アンドープのGaNを、1100〜1200℃の温度で、V/III比を240〜280の間で、そして、アンモニア流量を190〜220の間で成膜した。また、成膜圧力を400〜600Torrから150〜250Torrへと、成膜途中で切り替え、下地層の平坦性を向上させた。総転位数を調整すると共に、隆起部の転位と凹状網目の転位の割振を実施した。この低温成長バッファ層とアンドープのGaNが、下地層に相当する。続いて、n型GaN層として、SiドープのGaNを成膜した。続いて、歪吸収層を設けた。その後、発光層として、多重量子井戸の活性層を成膜した。発光層は、井戸層とアンドープのInGaN及びSiドープのGaNより構成される障壁層と、から構成した。また、それぞれの膜厚を25Å及び130Åとし、井戸層が6層、障壁層が7層となるように交互に積層した。発光層の上に、エレクトロブロッキング層を含むようにMgドープのAlGaN、アンドープのGaN、MgドープのGaNを積層した。続いて、ITOを成膜し、エッチング加工した後に電極パッドを取り付けた。
転位は、透過型電子顕微鏡を使用し断面観察を実施し、測定した。なお、透過型電子顕微鏡の観察倍率は、下地層の隆起部が、観察像内に10個観察される倍率とした。データとしては、n=10で測定し、平均化した。また、隆起部の転位と凹状網目の転位はそれぞれ、転位密度に換算した。
半導体層への圧縮応力はマイクロラマン測定(micro−Raman measurement)により、測定した。室温下におけるマイクロラマン測定を実施し、ラマンシフト値とGaN E2(high)に対する半値幅を記録した。E2(high)位置におけるフォノンの周波数に対するは、理想的なGaNにおいて567.6cm−1とした。また、E2(high)modeのラマンシフト値から、残留圧縮応力を計算した。ここで、残留圧縮応力値は、マイクロラマン測定結果からの出力までにとどめた。これは、GaNに対する弾性率やポアソン比を適用し実数に換算したとしても、マイクロラマン測定結果から得られる出力内での相対関係と、変わらないためである。
表1に、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3を示した。
Figure 2017073510
表1には、下地層の具備するテクスチャの種類、転位の状態、そして評価結果としての残留圧縮応力に係る情報を記載した。
実施例1〜実施例5では、下地層のテクスチャは、凹状の網目であり、網目により互いに離間するように隆起部が配置されている。そして、隆起部の転位は、凹状網目の転位に比べ多くなるように成膜されている。比較例1では、実施例に比べて転位の情報が主に異なり、隆起部の転位が、凹状網目の転位に比べ少なくなるように成膜されている。比較例2及び比較例3では、実施例に比べ、テクスチャの構造が主に異なり、凸状の網目と、凸状の網目により互いに離間されるように配置された陥没部を有する。
実施例1で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凹状網目が形成され、凹状網目により隆起部が互いに離間されるように配置されている。凹状網目の底部線幅は、80nmであった。隆起部は、正六方格子の格子点位置に配置されており、その間隔は500nmである。また、隆起部のアスペクトは0.6である。下地層に関し、隆起部の転位は1.51×10/cmであり、凹状網目の転位は6.88×10/cmであり、隆起部の転位は凹状網目の転位に比べ2.2倍の配置されている。
実施例2で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凹状網目が形成され、凹状網目により隆起部が互いに離間されるように配置されている。凹状網目の底部線幅は、120nmであった。隆起部は、正六方格子の格子点位置に配置されており、その間隔は700nmである。また、隆起部のアスペクトは0.7である。下地層に関し、隆起部の転位は1.43×10/cmであり、凹状網目の転位は5.71×10/cmであり、隆起部の転位は凹状網目の転位に比べ2.5倍の配置されている。
実施例3で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凹状網目が形成され、凹状網目により隆起部が互いに離間されるように配置されている。凹状網目の底部線幅は、150nmであった。隆起部は、正六方格子の格子点位置に配置されており、その間隔は900nmである。また、隆起部のアスペクトは0.6である。下地層に関し、隆起部の転位は7.56×10/cmであり、凹状網目の転位は2.44×10/cmであり、隆起部の転位は凹状網目の転位に比べ3.1倍の配置されている。
実施例4で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凹状網目が形成され、凹状網目により隆起部が互いに離間されるように配置されている。凹状網目の底部線幅は、120nmであった。隆起部は、格子点間距離が周期的に変化する六方格子の格子点位置に配置されている。格子点間距離は、六方格子の最短格子点間距離の方向である3軸に対して、いずれも周期6000nmで変調している。変調は、最大間隔が550nm、最小間隔が450nm、平均間隔が500nmであり、周期6000nmを一単位とした変調である。即ち、平均格子間距離が500nmの六方格子が、6000nmの大きな周期にて六方配列状に変調されている。また、隆起部のアスペクトは0.7である。下地層に関し、隆起部の転位は1.12×10/cmであり、凹状網目の転位は3.85×10/cmであり、隆起部の転位は凹状網目の転位に比べ2.9の配置されている。
実施例5で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凹状網目が形成され、凹状網目により隆起部が互いに離間されるように配置されている。凹状網目の底部線幅は、120nmであった。隆起部は、部分的に間引かれた正六方格子の格子点位置に配置されている。間引かれた点は、正三角形格子の格子点位置に相当する。即ち、六方格子の格子点位置から、正三角格子の格子点位置を間引き、残った格子点に隆起部が配置されている。元の格子の六角形の方向と、6つの正三角形の集合により作られる正六角形の方向は異なっていた。隆起部の間隔Dは、500nmであった。また、間引いた点の間隔は、1732nmであった。即ち、間隔が1732nmの正三角格子の格子点位置には隆起部61bは配置されず、代わりに凹状網目が配置されている。そして、隆起部61bは、間隔Dが500nmの正六方格子の格子点位置に配置されている。また、隆起部のアスペクトは0.7である。下地層に関し、隆起部の転位は7.78×10/cmであり、凹状網目の転位は2.22×10/cmであり、隆起部の転位は凹状網目の転位に比べ3.5倍の配置されている。
比較例1で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凹状網目が形成され、凹状網目により隆起部が互いに離間されるように配置されている。凹状網目の底部線幅は、380nmであった。隆起部は、正六方格子の格子点位置に配置されており、その間隔は500nmである。また、隆起部のアスペクトは0.4である。下地層に関し、隆起部の転位は1.43×10/cmであり、凹状網目の転位は3.57×10/cmであり、隆起部の転位は凹状網目の転位に比べ0.4倍の配置されている。
比較例2で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凸状の網目が形成され、凸状網目により互いに離間されるように陥没部が配置されている。凸状網目の頂部線幅は、50mであった。陥没部は、正六方格子の格子点位置に配置されており、その間隔は500nmである。また、陥没部のアスペクトは0.7である。
比較例3で作製した半導体発光素子の下地層が有するテクスチャは次の通りである。凸状の網目が形成され、凸状網目により互いに離間されるように陥没部が配置されている。凸状網目の頂部線幅は、60mであった。陥没部は、正六方格子の格子点位置に配置されており、その間隔は700nmである。また、陥没部のアスペクトは0.7である。
表1に関し、評価結果の残留圧縮応力の「対比較例1」は、マイクロラマン測定より導出した圧縮応力の逆数の比率である。即ち、比較例1に対して数値が大きい程、残留圧縮応力が低減していることを意味する。
比較例1及び実施例1〜実施例5から、下地層の具備するテクスチャは同じ凹状網目と隆起部であっても、転位の割り振り方により、半導体への圧縮応力が大きくことなり、実施例のように、隆起部に多く転位を割り振ることで、残留圧縮応力を低減できていることがわかる。隆起部は互いに孤立しているため、残留圧縮応力を分散化できないが、隆起部に下地層の第1主面にまで到達する転位を多く配置することで、転位により下地層内部の残留圧縮応力を軽減できたためと、考えられる。
比較例2及び比較例3と実施例と、から、下地層の具備するテクスチャの網目の状態により、半導体への残留圧縮応力が大きくことなり、実施例のように、凹状網目と隆起部によりテクスチャが形成されることで、圧縮応力を低減できていることがわかる。凹状網目は2次元的に広がっているため、凹状網目を起点とした下地層に対する残留圧縮応力が、2次元的な広がりにより分散し、軽減したためと推定される。
本発明は、テクスチャを有する半導体発光素子に有用である。
60 下地層
60a 第1主面
60b 第2主面
61 テクスチャ
61a 凹状網目
61b 隆起部
81 凹状網目に繋がる転位
81a 凹状網目の転位
82 隆起部に繋がる転位
82a 隆起部の転位
100 半導体発光素子

Claims (8)

  1. 第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する下地層を具備し、
    前記下地層は、前記第2主面にテクスチャを有し、
    前記テクスチャは、凹状網目と、前記凹状網目により互いに離間される隆起部とを含み、
    前記下地層において、前記隆起部に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位は、前記凹状網目に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位よりも多いことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記下地層は窒化物半導体を含み、
    前記下地層の前記第1主面側に設けられた窒化物半導体を含む第2導電型の第2半導体層と、
    前記第2半導体層の前記下地層とは反対側に設けられた窒化物半導体を含む発光層と、
    前記発光層の前記第2半導体層とは反対側に設けられた窒化物半導体を含み前記第2導電型とは異なる第1導電型の第1半導体層と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記下地層において、前記隆起部に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位は、前記凹状網目に繋がる転位のうちで前記第1主面に到達する転位に対して2倍以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記凹状網目の底部線幅は50nm以上900nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子。
  5. 前記隆起部のアスペクト比は、0.3以上5以下であり、且つ、
    前記隆起部の間隔は、100nm以上1800nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。
  6. 前記隆起部は、六方格子又は四方格子の格子点位置に設けられ、且つ、前記六方格子又は前記四方格子の格子間距離は、0%以上25%以下の範囲で変動することを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。
  7. 前記隆起部は、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を不規則に省いた前記格子点位置に設けられることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。
  8. 前記隆起部は、六方格子又は四方格子の格子点位置のうち1%以上25%以下を規則的に省いた前記格子点位置に設けられることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。
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