JP2017073222A - 導電材 - Google Patents

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徹 鎌田
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啓資 北島
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Abstract

【課題】硬化物の強度を維持しつつ導電性がより高められた導電材を提供する。【解決手段】(A)成分:金属粒子(a1)とフェノール樹脂(a2)との複合体であって金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有する金属樹脂複合材料、及び、(B)成分:導電性成分(但し、前記(A)成分を除く)を含有する、導電材。金属粒子(a1)を構成する金属は、銀、銅、スズ、ニッケル、鉄、亜鉛、マンガン及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、導電材に関する。
近年、電子機器の小型化又は高機能化が進むのに伴い、電子部品の高信頼性がますます求められている。
電子部品においては、外部電極材料、導電性接着剤、導通スルーホール等の導通部を形成する材料として導電材が利用されている。導電材としては、例えば、導電性成分と熱硬化性樹脂とを含有する導電性ペーストが広く用いられている。
特許文献1には、平均粒径及びタップ密度が規定された特定の銅粉と、熱硬化性樹脂と、を必須成分とする銅ペーストが提案されている。
特開平08−199109号公報
電子部品には、故障しにくく、使用中の高温多湿の環境下で、良好な導電性が安定的に得られることが要求される。これに伴い、導電性ペーストの硬化物については、導電性とともに、使用中の環境に対してクラックや剥離を生じにくい強度も求められる。
しかしながら、従来の導電材においては、硬化物の強度の点で充分とは言えず、導電性及び硬化物の強度の更なる向上が必要である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、硬化物の強度を維持しつつ導電性がより高められた導電材を提供すること、を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
すなわち、本発明の導電材は、(A)成分:金属粒子(a1)とフェノール樹脂(a2)との複合体であって金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有する金属樹脂複合材料、及び、(B)成分:導電性成分(但し、前記(A)成分を除く)を含有することを特徴とする。
本発明の導電材において、(A)成分/(B)成分で表される質量比は、5/100〜30/100であることが好ましい。
前記金属粒子(a1)を構成する金属は、銀、銅、スズ、ニッケル、鉄、亜鉛、マンガン及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記(A)成分に占める前記金属粒子(a1)の割合は、1〜85質量%であることが好ましい。
本発明の導電材によれば、硬化物の強度を維持しつつ導電性がより高められる。
金属樹脂複合材料(A−1)について測定されたAg3dナロースキャンスペクトルを示す図である。 Ag箔をArイオンでクリーニングした試料について測定されたAg3dナロースキャンスペクトルを示す図である。 金属樹脂複合材料(A−1)の表面を、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した像を示す図である。
(導電材)
本実施形態の導電材は、(A)成分:金属粒子(a1)とフェノール樹脂(a2)との複合体であって金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有する金属樹脂複合材料、及び、(B)成分:導電性成分(但し、前記(A)成分を除く)を含有するものである。
かかる導電材の剤形は、例えば固体状、液体状又はペースト状などのいずれであってもよい。
<(A)成分>
本実施形態における(A)成分は、金属粒子(a1)とフェノール樹脂(a2)との複合体であって金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有する金属樹脂複合材料である。
以下、金属粒子(a1)を(a1)成分、フェノール樹脂(a2)を(a2)成分ともいう。
≪金属粒子(a1)≫
(a1)成分の粒子群についての平均粒径の下限値は、硬化物の強度をより高められやすいことから、1nm以上が好ましく、より好ましくは3nm以上、さらに好ましくは5nm以上である。
(a1)成分の粒子群についての平均粒径の上限値は、(a2)成分への分散性が向上しやすいことから、1μm以下が好ましく、より好ましくは600nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。
(a1)成分の粒子群についての平均粒径は、(A)成分の表面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、任意に選んだ金属粒子100個の粒径を測定してこれらの平均値を求めることにより決定される。
(a1)成分を構成する金属としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、カドミウム(Cd)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)が挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果が得られやすいことから、金、白金、パラジウム、銀、銅、スズ、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、亜鉛、マンガン、アルミニウムが好ましい。
(a1)成分を構成する金属は、1種単独でもよいし2種以上でもよい。
(a1)成分を構成する金属は、銀、銅、スズ、ニッケル、鉄、亜鉛、マンガン及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
(a1)成分を構成する金属は、通常、その大部分が「0価」の金属原子とされるが、カチオン性を帯びた金属イオンが混在していてもよい。この金属イオンと(a2)成分との相互作用によって、硬化物の強度及び導電性がより高められる。
(A)成分中、(a1)成分は、1種単独でもよいし2種以上でもよい。
(A)成分に占める(a1)成分の割合は、(A)成分全体の総量(100質量%)に対して1〜85質量%であることが好ましい。
(a1)成分の割合の下限値は、金属粒子に由来する機械的強度の発現の度合いがより高まることから、(A)成分全体の総量(100質量%)に対して1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。
(a1)成分の割合の上限値は、(A)成分全体としての比重が抑えやすくなることから、(A)成分全体の総量(100質量%)に対して85質量%以下が好ましく、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。
導電材中の(a1)成分の含有割合は、(B)成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部である。
(a1)成分の含有割合が好ましい下限値以上であると、硬化物の強度及び導電性がより高まる。一方、(a1)成分の含有割合が好ましい上限値以下であると、成形性が向上する。
≪フェノール樹脂(a2)≫
(a2)成分としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等が挙げられる。
・ノボラック型フェノール樹脂について
ノボラック型フェノール樹脂には、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて得られるものが用いられる。
ノボラック型フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、2−ヒドロキシべンズアルデヒド、3−ヒドロキシべンズアルデヒド、4−ヒドロキシべンズアルデヒド又はこれらの誘導体などが挙げられる。
フェノール類は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ノボラック型フェノール樹脂の製造に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド;アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルキルアルデヒド;べンズアルデヒド、2−ヒドロキシべンズアルデヒド、3−ヒドロキシべンズアルデヒド、4−ヒドロキシべンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。
ホルムアルデヒド源としては、ホルマリン(水溶液)、パラホルムアルデヒド、アルコール類とのへミホルマール、トリオキサン等が挙げられる。
アルデヒド類は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
酸性触媒としては、例えば、シュウ酸、酢酸等の有機カルボン酸;ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸;1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等の有機ホスホン酸;塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。
酸性触媒は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ノボラック型フェノール樹脂を合成する際、フェノール類とアルデヒド類との反応モル比率は、フェノール類1モルに対し、アルデヒド類が、好ましくは0.3〜1.7モルであり、より好ましくは0.5〜1.5モルである。
・レゾール型フェノール樹脂について
レゾール型フェノール樹脂には、例えば、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させて得られるものが用いられる。
レゾール型フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、 ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体;1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類;2−ヒドロキシべンズアルデヒド、3−ヒドロキシべンズアルデヒド、4−ヒドロキシべンズアルデヒドなどのアルデヒド基を有するフェノール類;又はこれらの誘導体等が挙げられる。
フェノール類は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
レゾール型フェノール樹脂の製造に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、べンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、2−ヒドロキシべンズアルデヒド、3−ヒドロキシべンズアルデヒド、4−ヒドロキシべンズアルデヒド等が挙げられる。
これらのアルデヒド類の中でも、反応性に優れ、安価であるという点から、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが好ましい。
アルデヒド類は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物若しくは水酸化物;炭酸ナトリウム、アンモニア水;トリエチルアミン、へキサメチレンテトラミンなどのアミン類;酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの二価金属塩などが挙げられる。
アルカリ触媒は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
レゾール型フェノール樹脂を合成する際、フェノール類とアルデヒド類との反応モル比率は、フェノール類1モルに対し、アルデヒド類が、好ましくは0.8〜2.5モルであり、より好ましくは1.0〜2.3モルである。
・アリールアルキレン型フェノール樹脂について
アリールアルキレン型フェノール樹脂とは、1つ以上のアリールアルキレン基を含む繰り返し単位、を有するフェノール樹脂をいう。
このようなアリールアルキレン型フェノール樹脂としては、例えば、キシリレン型フェノール樹脂、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂等が挙げられる。
アリールアルキレン型フェノール樹脂は、公知の製造方法によって製造される。
(A)成分である金属樹脂複合材料は、金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有するものである。
この結合を形成している酸素原子は、(a2)成分(フェノール樹脂)が有するフェノール性水酸基に限定されず、これ以外の官能基に由来する酸素原子であってもよい。このように種々の官能基に由来する酸素原子と、(a1)成分(金属粒子)と、が相互に作用することで、金属原子−酸素原子−炭素原子結合が形成されやすくなる。
(a2)成分の中でも、分子内に脂肪族アルコール基を有するフェノール樹脂、分子内にエーテル基を有するフェノール樹脂、分子内にケトン基を有するフェノール樹脂、分子内にホルミル基(−CHO)を有するフェノール樹脂、分子内にカルボキシ基を有するフェノール樹脂、分子内にエステル基を有するフェノール樹脂、分子内にウレタン基を有するフェノール樹脂が好ましい。
これらの中でも、分子内にケトン基、アルデヒド基、カルボキシ基、エステル基、ウレタン基のようなカルボニル部位(カルボニル基)を有するフェノール樹脂がより好ましい。
かかる好ましいフェノール樹脂を用いることで、(a1)成分における金属原子は、(a2)成分中のフェノール性水酸基の酸素原子のみならず、部分的にカルボニル基の酸素原子にも結合することが可能となる。これにより、金属原子−酸素原子−炭素原子結合がより形成されやすくなる。
尚、前記のような、分子内にカルボニル基を有するフェノール樹脂は、原料として、対応する官能基を分子内に有するフェノール類を用いることで製造される。
分子内にアルデヒド基を有するフェノール樹脂を用いた場合には、(A)成分である金属樹脂複合材料を容易に製造できる。
後述するように、(A)成分を製造する際、金属塩の溶液とフェノール樹脂とを混合して、フェノール樹脂中の酸素原子と金属原子とを結合させる。原料として、分子内にアルデヒド基を有するフェノール樹脂を用いた場合、このアルデヒド基が、金属塩を構成する金属カチオンに対して還元作用をもたらす。加えて、この場合、金属原子とフェノール樹脂中の酸素原子とが結合しやすくなる。
このような、分子内にアルデヒド基を有するフェノール樹脂は、原料のフェノール類として、例えば2−ヒドロキシべンズアルデヒド、3−ヒドロキシべンズアルデヒド、4−ヒドロキシべンズアルデヒドなどのヒドロキシべンズアルデヒド又はその誘導体を用いることで製造される。
(a2)成分の数平均分子量(Mn)の下限値は、150以上が好ましく、より好ましくは200以上、さらに好ましくは250以上である。
(a2)成分の数平均分子量(Mn)の上限値は、1500以下が好ましく、より好ましくは1200以下、さらに好ましくは1000以下である。
(a2)成分のMnを、前記の好ましい範囲に設定することで、樹脂成分としての適度な柔軟性を発現しやすくなる。
(a2)成分の重量平均分子量(Mw)の下限値は、200以上が好ましく、より好ましくは300以上、さらに好ましくは400以上である。
(a2)成分の重量平均分子量(Mw)の上限値は、2500以下が好ましく、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1800以下である。
(a2)成分のMwを、前記の好ましい範囲に設定することで、樹脂成分としての適度な柔軟性を発現しやすくなる。
尚、本発明において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値を意味する。
(a2)成分における、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は、その上限値として2.5以下が好ましく、より好ましくは2.2以下、さらに好ましくは2.0以下である。
Mw/Mnの下限値は、特に限定されず、例えば1.05以上である。
(a2)成分のMw/Mnを、前記の好ましい範囲に設定することで、本発明の効果がより高められる。
尚、(A)成分を製造する際、化学的な反応が行われるため、原料として用いたフェノール樹脂と、(A)成分を構成している反応後のフェノール樹脂と、はその分子量等(Mn、Mw、Mw/Mn)が一致しないことがある。
(A)成分を製造するに当たり、その製造条件を勘案し、(A)成分を構成する反応後のフェノール樹脂が上記の分子量等の範囲となるように、原料として用いる(a2)成分の分子量を設定することが好ましい。
(A)成分中、(a2)成分は、1種単独でもよいし2種以上でもよい。
(A)成分に占める(a2)成分の割合は、(A)成分全体の総量(100質量%)に対して10〜99質量%であることが好ましい。
(a2)成分の割合の下限値は、複合材料としての適度な可撓性を付与しやすく、加工性の向上を図りやすいことから、(A)成分全体の総量(100質量%)に対して10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。
(a2)成分の割合の上限値は、金属粒子に由来する機械的強度の発現の度合いがより高まることから、(A)成分全体の総量(100質量%)に対して99質量%以下が好ましく、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
導電材中の(a2)成分の含有割合は、(B)成分100質量部に対して0.2〜30質量部が好ましく、より好ましくは2〜27質量部である。
(a2)成分の含有割合が好ましい下限値以上であると、成形性又は加工性が向上する。一方、(a2)成分の含有割合が好ましい上限値以下であると、硬化物の強度及び導電性が高められやすくなる。
(A)成分中、(a1)成分と(a2)成分との混合比率は、(a2)成分/(a1)成分で表される質量比(以下単に「(a2)/(a1)」とも表記する)で4〜99が好ましく、より好ましくは6〜32、さらに好ましくは9〜19である。
かかる質量比の(a2)/(a1)が、前記の好ましい下限値以上であれば、複合材料としての適度な可撓性を付与しやすく、成形性又は加工性の向上を図りやすくなり、前記の好ましい上限値以下であれば、機械的強度の発現の度合いがより高まる。
≪その他成分(a3)≫
(A)成分は、必要に応じて(a1)成分及び(a2)成分以外の成分(以下「(a3)成分」ともいう)を含んでいてもよい。
(a3)成分としては、例えば、(a2)成分以外の樹脂;ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムもしくはポリエチレンなどの離型剤;水酸化カルシウムなどの難燃剤;カップリング剤;溶剤等が挙げられる。
(A)成分の比重は、適宜設定すればよく、その比重の下限値としては、例えば1.25g/cm以上が好ましく、より好ましくは1.27g/cm以上、さらに好ましくは1.30g/cm以上である。
(A)成分の比重の上限値としては、例えば16.6g/cm以下が好ましく、より好ましくは16.0g/cm以下、さらに好ましくは15.5g/cm以下である。
本実施形態における(A)成分は、金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有する。
(A)成分においては、(a1)成分である金属粒子表面の金属原子(M)と、(a2)成分であるフェノール樹脂中の酸素原子(O−C)と、が結合を形成し、(a2)成分のマトリックス中に(a1)成分が分散している。
前記の金属原子(M)と、O−CにおけるO(酸素原子)と、は化学的な結合(M−O)を形成している。これは、X線光電子分光法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis:ESCA)により観察される(後述の図1、図2)。
このように、(A)成分においては、(a1)成分が(a2)成分中の酸素原子と結合を形成しているため、(a2)成分のマトリックス中に(a1)成分が安定に分散し得る。かかる(A)成分を用いることで、導電材の硬化物において高い強度(クラック又は剥離の生じにくさ等)が保たれ、より良好な導電性が発現される。
本実施形態の導電材中、(A)成分は、1種単独でもよいし2種以上でもよい。
導電材中の(A)成分の含有割合は、(B)成分100質量部に対して5〜30質量部が好ましく、より好ましくは6〜20質量部である。
(A)成分の含有割合が好ましい下限値以上であると、硬化物の強度及び導電性がより高まる。一方、(A)成分の含有割合が好ましい上限値以下であると、成形性又は加工性が向上する。
≪(A)成分の製造方法≫
(A)成分である金属樹脂複合材料は、例えば、金属塩の溶液とフェノール樹脂とを混合する工程を有する製造方法によって製造できる。
このフェノール樹脂には、上述した(a2)成分を適宜選択して用いればよい。
・金属塩の溶液
金属塩の溶液は、上述した(a1)成分を構成する金属の塩を、溶媒に溶解することにより調製される。
かかる金属の塩には、上述した(a1)成分を構成する金属原子のカチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)との組合せによって構成されるものが用いられる。
このアニオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオン;酢酸イオン、シュウ酸イオン、フマル酸イオンなどのカルボキシレートイオン;p−トルエンスルホネートイオン、メタンスルホネートイオン、ブタンスルホネートイオン、べンゼンスルホネートイオンなどのスルホネートイオン;硫酸イオン;過塩素酸イオン;炭酸イオン;硝酸イオン等が挙げられる。
例えば、金属として銀を選択する場合、溶媒への溶解性の高さから、硝酸イオンをアニオンとする硝酸銀を用いることが好ましい。
金属として銅を選択する場合、硫酸銅、硝酸銅を用いることが好ましい。
金属として亜鉛を選択する場合、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛を用いることが好ましい。
金属としてカルシウムを選択する場合、塩化カルシウム、硝酸カルシウムを用いることが好ましい。
金属として鉄を選択する場合、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄を用いることが好ましい。
金属としてアルミニウムを選択する場合、硝酸アルミニウムを用いることが好ましい。
金属としてマグネシウムを選択する場合、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムを用いることが好ましい。
尚、金属塩における金属の価数は、溶媒に対する溶解性や、還元のしやすさ等を勘案して適切なものを選択すればよい。
金属塩の溶液を調製する際の溶媒としては、金属塩の特性に応じて適宜選択すればよく、例えば水が挙げられる。
また、溶媒には、水以外も用いることができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、へキサノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルカーボネートなどを用いることができる。
金属塩の溶液の溶媒は、1種単独でもよいし2種以上の混合溶媒でもよい。
好ましい混合溶媒としては、例えば、水とこれ以外の溶媒との組合せが挙げられる。
金属塩の溶液を調製する際、溶媒に対する金属塩の溶解性を向上させること等を目的として、溶液のpHを調整してもよい。
金属塩の溶液中、金属塩の含有割合の下限値は、溶液全体の質量(100質量%)に対し、例えば1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、金属塩の含有割合の上限値は、溶液全体の質量(100質量%)に対し、例えば20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下である。金属塩の含有割合を、前記の好ましい範囲に設定することで、安定的に金属塩から所望の金属粒子が生じる。
[金属塩の溶液とフェノール樹脂とを混合する工程]
本工程では、金属塩の溶液とフェノール樹脂とを混合することにより、(A)成分である金属樹脂複合材料が得られる。
金属塩の溶液とフェノール樹脂とを混合した際、金属塩に対して還元反応が行われることにより、金属塩から金属粒子が生じる(すなわち、0価金属の粒子として析出する)。
この還元反応では、公知の還元剤を用いてもよいし、フェノール樹脂の構造に起因する還元性の官能基を活用してもよい。本実施形態では、(A)成分中の(a2)成分であるフェノール樹脂が還元剤として機能し得る。
還元剤としては、公知のものを採用することができ、例えば、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、アスコルビン酸などの無機若しくは有機の還元剤が挙げられる。
また、還元剤としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、イソシアネート樹脂等の、窒素又は酸素を含有する極性基を有している樹脂も挙げられる。
還元反応において、フェノール樹脂の構造に起因する還元性の官能基を活用する場合には、フェノール樹脂として、分子内にアルデヒド基を有するフェノール樹脂を採用することができる。この場合、フェノール樹脂分子内のアルデヒド基が、金属塩を構成する金属カチオンに還元作用をもたらし、金属粒子が得られる。
かかる分子内にアルデヒド基を有するフェノール樹脂を用いる場合、金属塩の質量に対して、好ましくは0.1倍量以上の当該フェノール樹脂が用いられ、より好ましくは0.5倍量以上の当該フェノール樹脂が用いられ、さらに好ましくは2倍量以上の当該フェノール樹脂が用いられる。当該フェノール樹脂量の上限値は、特に限定されず、例えば100倍量以下が用いられる。
本工程においては、 還元反応を促進するために、還元補助剤を適宜用いることができる。例えば、分子内にアルデヒド基を有するフェノール樹脂と硝酸銀とを混合する場合、還元補助剤としては、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジペンチルスルフィド、ジへキシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、チオジエタノール、チオジプロパノール、チオジブタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノール等を用いることができる。
また、還元補助剤としては、アミン化合物、アルコール類も用いることもできる。
このアミン化合物としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
このアルコール類としては、エトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。
本工程において、金属塩の溶液とフェノール樹脂との混合は、加熟しながら行ってもよい。
加熟を行う際の温度条件は、その下限値として、好ましくは30℃以上であり、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは45℃以上であり、その上限値として、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
金属塩の溶液とフェノール樹脂とを混合する時間(反応時間)は、その下限値として、好ましくは10分間以上であり、より好ましくは30分間以上、さらに好ましくは1時間以上であり、その上限値として、好ましくは24時間以下であり、より好ましくは12時間以下、さらに好ましくは8時間以下である。
<(B)成分>
本実施形態における(B)成分は、導電性成分(但し、前記(A)成分を除く)である。
(B)成分としては、特に制限されず、例えば、導電性金属、導電性カーボン等が挙げられ、中でも導通性がより高いことから、導電性金属が好ましい。
導電性金属としては、銅、銀、金、白金、ニッケル、パラジウム等又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、導通性及びコスト等の面から、銅、銀、ニッケルがより好ましく、銅、銀が特に好ましい。
(B)成分の形状は、特に制限されず、例えば樹枝状、球状、鱗片状、箔状などが挙げられる。
(B)成分に粒子群を用いる場合、その(B)成分の粒子群の粒径は、特に制限されず、例えば導電材中での分散性の点から、0.5〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。かかる粒子群の粒径は、メディアン径を意味し、例えばレーザー回折法によって測定される。
(B)成分の見掛け密度は、導電材中での分散性等を勘案して適宜決定され、例えば1.5〜4.0g/cmが好ましく、より好ましくは1.7〜3.8g/cmである。かかる(B)成分の見掛け密度は、例えばピクノメーター法によって測定される。
本実施形態の導電材中、(B)成分は、1種単独でもよいし2種以上でもよい。
導電材中の(B)成分の含有割合は、導電材の総質量(100質量%)に対して30〜95質量%が好ましく、より好ましくは50〜95質量%である。
(B)成分の含有割合が好ましい下限値以上であると、充分な導電性が得られやすくなり、一方、(B)成分の含有割合が好ましい上限値以下であると、導電材中での分散安定化が確保されやすくなる。
本実施形態の導電材において、(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下単に「(A)/(B)」とも表記する)は、5/100〜30/100であることが好ましく、より好ましくは5/100〜25/100、さらに好ましくは10/100〜20/100である。
かかる質量比の(A)/(B)が、前記の好ましい下限値以上であれば、硬化物の強度及び導電性がより高まり、一方、前記の好ましい上限値以下であれば、充分な導電性が得られやすくなる。
<その他成分>
本実施形態の導電材は、(A)成分及び(B)成分以外の成分を必要に応じて含有していてもよい。
かかる(A)成分及び(B)成分以外の成分としては、例えば、溶剤、還元剤、硬化剤、分散剤、界面活性剤その他添加剤が挙げられる。
本実施形態の導電材は、例えば、(A)成分及び(B)成分を溶剤に溶解させて、又は混練して調製することができる。
この溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、又はこれらの2種以上の混合溶剤などが挙げられる。
還元剤としては、ハイドロキノン、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、フェニルシラン、トリフェニルシラン等が挙げられる。
硬化剤は、(A)成分の種類等に応じて適宜選択すればよく、例えば、へキサメチレンテトラミン、イソシアネート樹脂、ヘキサメトキシメチロールメラミン等を好適に用いることができる。
その他添加剤としては、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤等が挙げられる。
以上説明した本実施形態の導電材には、導電性成分と共に、(a1)成分と(a2)成分との複合体であって金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有する金属樹脂複合材料((A)成分)が含まれている。このため、本実施形態の導電材は、硬化物の強度(クラック又は剥離の生じにくさ等)を維持しつつ導電性がより高められている。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
<レゾール型フェノール樹脂の製造>
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000gと、濃度37質量%のホルマリン1294gと、トリエチルアミン10gとを加え、1時間反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が70℃に達したところでメタノール1100gを加えて溶解し、冷却してレゾール型フェノール樹脂(樹脂固形分50質量%の反応液)2400gを得た。
<金属樹脂複合材料(A−1)の製造>
撹拌羽根、温度計、滴下漏斗及びコンデンサーを備えた4つ口の1Lフラスコを用意し、このフラスコ内に、上記で得られたレゾール型フェノール樹脂60.0gと、水300gに対して水酸化ナトリウム4.6g(0.11モル)を溶解させた水酸化ナトリウム水溶液と、チオジエタノール6.0g(0.05モル)と、1N硝酸銀31.6g(0.03モル)とを装入した。次いで、撹拌を行い、これらを均一に溶解させた。次いで、内温が50℃になるまで昇温し、内温が50℃になった時点からその温度を保ちつつ2時間反応を行った。
反応後、フラスコの内温が30℃以下まで低下したことを確認し、滴下漏斗から酢酸0.5gを滴下して、反応系を、中性からpH=5を限界とする弱酸性に調整することにより、金属樹脂複合材料(A−1)を析出させた。
最後に、フラスコ内に析出したものを回収し、乾燥を行い、金属樹脂複合材料(A−1)33gを得た。
得られた金属樹脂複合材料(A−1)をテトラヒドロフランに加え、金属樹脂複合材料(A−1)のテトラヒドロフランに可溶である部分について、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により分子量の測定を行い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Mw/Mnを求めた。その結果を以下に示した。
数平均分子量(Mn)282、重量平均分子量(Mw)478、Mw/Mn1.70
金属樹脂複合材料(A−1)について、X線光電子分光分析装置(Escalab−220iXL、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)によりスペクトル測定を行った。この際の測定条件を以下のように設定した。
・照射X線:モノクロAlKα
・検出深さ:約5nm
・X線スポット径:約1mm
図1は、金属樹脂複合材料(A−1)について測定されたAg3dナロースキャンスペクトルを示す図である。
図2は、Ag箔をArイオンでクリーニングした試料について測定されたAg3dナロースキャンスペクトルを示す図である。
図1に示されるスペクトルにおいては、Ag3d5のピーク位置が368.9eVであった。一方、図2に示されるスペクトルにおいては、Ag3d5のピーク位置が368.3eVであり、両者の間でピーク位置に0.6eVの差が観察された。
通常、Ag単体のピークは、368.1〜368.3eVに現れるのに対し、例えば酢酸銀のようなAg原子とO原子とが相互作用している化合物においては、このピークが368.3〜368.9eVに現れることが知られている(出典:Handbook ofX−ray Photoelectron Spectroscopy(Physical Electronics))。
このことから、金属樹脂複合材料(A−1)においては、その構造中にAg−O−C結合を有していることが確認できる。
図3は、金属樹脂複合材料(A−1)の表面を、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した像を示す図である。
図3に示される像から、金属樹脂複合材料10においては、レゾール型フェノール樹脂のマトリックス2に、数十nmオーダーの銀粒子1が均一に分散していることが確認できる。
<金属樹脂複合材料(A’−1)の製造>
上記で得られたレゾール型フェノール樹脂90gと、平均粒径1μmの銀粉(DOWA社製)5gと、を溶液混合して金属樹脂複合材料(A’−1)を得た。
<導電性ペースト(導電材)の製造>
(実施例1)
導電性微粒子として、福田金属箔粉工業株式会社製のFCC−TB(商品名;メディアン径6.6μm、見掛け密度1.87g/cmである電解銅粉)100gと、バインダー樹脂として、上記で得られた金属樹脂複合材料(A−1)15gと、溶剤として、エチレングリコールモノブチルエーテルとプロピレングリコールモノブチルエーテルとプロピレングリコールモノプロピルエーテルとの質量比1:1:2の混合溶剤30gと、還元剤としてハイドロキノン5gと、添加剤としてアミノシランカップリング剤(信越化学株式会社製の商品名KBM−573)3gと、をそれぞれ用い、これら全ての材料を、室温で10分間、3本ロールで混練して、導電性ペースト(導電材)を得た。
(比較例1)
金属樹脂複合材料(A−1)15gを、上記で得られたレゾール型フェノール樹脂15gに変更した他は、実施例1と同様にして、導電性ペースト(導電材)を得た。
(比較例2)
金属樹脂複合材料(A−1)15gを、上記で得られた金属樹脂複合材料(A’−1)15gに変更した他は、実施例1と同様にして、導電性ペースト(導電材)を得た。
<導電性ペースト(導電材)についての評価>
評価用試験片の作製:
得られた導電性ペースト(導電材)を、住友ベークライト株式会社製の紙基材であるフェノール樹脂基板PLC−2147RH(商品名、板厚1.6mm)に設けられた0.5mmφのスルーホールに、スクリーン印刷法によって充填し、箱形熱風乾燥機により150℃、30分間で硬化させて、評価用試験片を作製した。
[導電性の評価]
評価用試験片に対し、以下のようにして初期及び吸湿後の導通抵抗値をそれぞれ測定することにより、導電性の評価を行った。
導通抵抗値の値は低いほど、導電性が高いことを意味する。
初期の導通抵抗値:
評価用試験片のスルーホール1穴当たりの硬化物についての導通抵抗値を、KEITHLEY社製の580MICRO−OHM METER(製品名)を用い、4端子法で測定して、初期の導通抵抗値とした。その測定結果を「初期導通抵抗値(mΩ/穴)」として表1に示した。
吸湿後の導通抵抗値:
評価用試験片に対し、初期の導通抵抗値を測定した後、温度40℃、相対湿度90%RHの吸湿条件下にて1000時間の吸湿処理を行った。
前記の吸湿処理の後、評価用試験片のスルーホール1穴当たりの硬化物についての導通抵抗値を、再度、KEITHLEY社製の580MICRO−OHM METER(製品名)を用い、4端子法で測定して、吸湿後の導通抵抗値とした。その測定結果を「吸湿後導通抵抗値(mΩ/穴)」として表1に示した。
[硬化物の強度の評価]
前記の吸湿処理の後、評価用試験片のスルーホール内部の硬化物断面を観察し、導電性ペーストの硬化物に、クラック又は剥離が生じているか否か、を目視で確認することにより、硬化物の強度を評価した。その評価結果を表1に示した。
導電性ペーストの硬化物にクラック又は剥離が生じていない(クラック又は剥離が無い)場合、耐湿性が高く、硬化物の強度が維持されていることを意味する。
表1に示す結果から、本発明を適用した実施例1の導電性ペースト(導電材)は、比較例1〜2の導電性ペースト(導電材)に比べて、硬化物の強度を維持しつつ導電性がより高められていることが確認できる。
1 銀粒子、
2 マトリックス、
10 金属樹脂複合材料

Claims (4)

  1. (A)成分:金属粒子(a1)とフェノール樹脂(a2)との複合体であって金属原子−酸素原子−炭素原子結合を有する金属樹脂複合材料、及び、
    (B)成分:導電性成分(但し、前記(A)成分を除く)
    を含有する、導電材。
  2. (A)成分/(B)成分で表される質量比は、5/100〜30/100である、請求項1に記載の導電材。
  3. 前記金属粒子(a1)を構成する金属は、銀、銅、スズ、ニッケル、鉄、亜鉛、マンガン及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の導電材。
  4. 前記(A)成分に占める前記金属粒子(a1)の割合は、1〜85質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電材。
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