JP2017072756A - 樹脂硬化膜パターンの形成方法及び樹脂硬化膜パターン付き基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材上に、薄膜で、充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを形成することができる樹脂硬化膜パターンの形成方法を提供すること、及び薄膜かつ充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを備える樹脂硬化膜パターン付き基材を提供すること。【解決手段】 基材上に設けられた感光性樹脂組成物を含む感光層に対して酸素存在下でパターン状に活性光線を照射する工程と、露光後の上記感光層を現像し、上記感光層よりも薄い厚みを有する樹脂硬化膜パターンを形成する工程と、を含む、樹脂硬化膜パターンの形成方法。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂硬化膜パターンの形成方法及び樹脂硬化膜パターン付き基材に関する。
パソコン、テレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話、電子辞書等の小型電子機器、OA、FA機器等の表示機器などには、液晶表示素子、タッチパネル等が用いられている。これらの液晶表示素子、タッチパネルには、透明であることが要求される配線、画素電極又は端子の一部に透明導電膜パターンが使用されている。また、太陽電池、照明等のデバイスなどでも透明導電膜が使用されている。
透明導電膜パターンの形成方法としては、基材上に透明導電膜を形成した後、フォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成し、ウエットエッチングにより導電膜の所定部分を除去して導電パターンを形成する方法が一般的である。酸化インジウムスズ(ITO)膜及び酸化インジウム膜からなる透明導電膜の場合、エッチング液は塩酸と塩化第二鉄との2液よりなる混合液がよく用いられている。
ITO膜、酸化スズ膜等は一般にスパッタ法により形成されるが、スパッタ方式の違い、スパッタパワー、ガス圧、基材温度、雰囲気ガスの種類等によって透明導電膜の性質が変わりやすい。スパッタ条件の変動による透明導電膜の性質の違いは、透明導電膜をウエットエッチングする際のエッチング速度のばらつきの原因となり、パターンニング不良による製品の歩留まり低下を招きやすい。また、上記の透明導電膜パターンの形成方法は、スパッタ工程、レジスト形成工程及びエッチング工程を有しており、工程が長く、コスト面でも大きな負担となっている。
最近、上記の問題を解消する方法として、ITO、酸化インジウム及び酸化スズ等に替わる材料を用いて透明な導電パターンを形成する試みがなされている。例えば、特許文献1には、支持体上に上記支持体とは剥離可能な機能性層を少なくとも有し、且つ上記機能性層は機能性微粒子の圧縮層である転写用機能性フィルムを準備する工程と、転写用機能性フィルムを、感光性接着剤層を介して、支持体が外側になるようにして基板表面に貼り付ける工程と、上記感光性接着剤層をパターン露光して、硬化領域と未硬化領域とにパターニングし、硬化領域に対応する機能性層を硬化した接着剤層を介して基板表面に接着させる工程と、支持体を基板から剥離して、上記接着剤層の硬化領域においては機能性層を基板上に残し、上記接着剤層の未硬化領域においては機能性層を支持体と共に基板から剥離する工程とを備える、機能性層パターンの形成方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ITO等を用いた従来の導電パターンに比べると、感光性樹脂の硬化物である樹脂硬化層の厚みの分だけ、形成される導電パターンの厚みが増すことになる。導電パターンの用途によっては、より薄く形成されることが求められる。そのため、導電パターンを薄膜で形成する観点からは、改善の余地がある。導電パターンを形成した後に研磨等により薄膜化することも考えられるが、形成された導電パターンの破壊、研磨剤の残存による影響などが考えられ、望ましくない場合がある。
そこで、本発明は、基材上に、薄膜で、充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを簡便に形成することができる樹脂硬化膜パターンの形成方法を提供すること、及び薄膜かつ充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを備える樹脂硬化膜パターン付き基材を提供することを目的とする。
本発明者は種々検討した結果、基材上に薄膜の感光性樹脂組成物層を形成した後、酸素存在下で露光、現像を行うことで、研磨等の必要もなく上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、基材上に設けられた感光性樹脂組成物を含む感光層に対して酸素存在下でパターン状に活性光線を照射する工程と、露光後の上記感光層を現像し、上記感光層よりも薄い厚みを有する樹脂硬化膜パターンを形成する工程と、を含む、樹脂硬化膜パターンの形成方法を提供する。
本発明の樹脂硬化膜パターンの形成方法においては、酸素存在下にて感光層に対する露光が行われる。活性光線の照射により開始剤から発生するラジカルが感光層の基材とは反対側の面(解放面)近傍において酸素により失活し、感光層表層の硬化を抑制すると考えられる。その後、現像を経ることにより、この硬化が不充分である領域が除去され、露光前の感光層よりも厚みの薄い樹脂硬化膜パターンを形成することが可能となり、これにより、薄膜で且つ充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを得ることができる。
上記感光層が導電性材料を含有し、上記樹脂硬化膜パターンが導電パターンを含んでもよい。
上記導電性材料が導電性繊維であってもよい。
上記樹脂硬化膜パターンの厚みが300nm以上5μm未満であってもよい。
本発明の樹脂硬化膜パターンの形成方法においては、上記感光層が、支持フィルムと、前記支持フィルム上に設けられた導電性材料及び感光性樹脂組成物を含有する感光層とを有する感光性導電フィルムを、上記基材上に上記感光層が接するようにラミネートすることにより設けられたものであってもよい。
上記感光性樹脂組成物が、バインダーポリマー、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有してもよい。
上記光重合開始剤が、ラジカル硬化型の光重合開始剤であってもよい。
本発明はまた、基材と、上記基材上に設けられた、導電パターンを含み、厚みが300nm以上5μm未満である樹脂硬化膜パターンと、を備える、樹脂硬化膜パターン付き基材を提供する。
本発明の樹脂硬化膜パターン付き基材は、基材上に、薄膜で、充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを有する。
上記樹脂硬化膜パターンが導電パターンを含み、上記導電パターンが導電性材料を含んでもよい。
上記導電性材料が導電性繊維であってもよい。
本発明はまた、上述の樹脂硬化膜パターンの形成方法により、基材上に樹脂硬化膜パターンを形成することを含む、樹脂硬化膜パターン付き基材の製造方法を提供する。
本発明の樹脂硬化膜パターン付き基材の製造方法によれば、本発明にかかる樹脂硬化膜パターンの形成方法を用いていることから、基材上に薄膜且つ充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを備える樹脂硬化膜パターン付き基材を提供することができる。
本発明によれば、基材上に、薄膜で、充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを形成することができる樹脂硬化膜パターンの形成方法を提供すること、及び薄膜かつ充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを備える樹脂硬化膜パターン付き基材を提供することができる。
本発明によれば、物理研磨、化学研磨により樹脂硬化膜パターンを薄膜化する方法に比べて、解像度に優れ、且つ不純物等の介入が抑制されることから、樹脂硬化膜の所望の機能(例えば、電気接続の信頼性)にも優れる樹脂硬化膜パターンを形成することができる。本発明によれば、例えば、厚み5μm未満の樹脂硬化膜パターンを形成することができることから、樹脂硬化膜パターンをタッチパネルに搭載した際の視認性をより向上することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」又は「メタクリロイル」を意味する。
本明細書における「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語には、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されるものであれば、本用語に含まれる。
本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法は、基材上に設けられた感光性樹脂組成物を含む感光層に対して酸素存在下でパターン状に活性光線を照射する工程と、露光後の上記感光層を現像し、上記感光層よりも薄い厚みを有する樹脂硬化膜パターンを形成する工程と、を含む。
図1は、本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法の一例を示す模式図である。図1の(a)は基材20上に感光層4が設けられており、図1の(b)及び(c)は基材20上の感光層4を露光及び現像することにより樹脂硬化膜パターンを形成する工程(以下、「パターニング工程」ともいう)を示している。パターニング工程は、感光層4の所定部分にマスク6を介して、酸素存在下で、活性光線を照射する露光工程(図1の(c))と、その後、感光層4を現像して、パターン化された樹脂硬化膜3bを得る現像工程とからなる。
本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法は、上記構成を備えることにより基材上に、薄膜で、充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを形成することができる。得られる樹脂硬化膜パターン付き基材30は、薄膜且つ充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを備える。
基材20上に感光層4を設ける方法は特に、限定されるものではないが、例えば、感光性樹脂組成物を含む溶液を基材20上に塗布し溶剤を除去する方法により形成してもよく、また、後述するように別途支持フィルム上に感光層を設けた感光性エレメント(感光性フィルム又は感光性導電フィルム)を用いて基材20上に感光層を転写する方法により形成してもよい。ロールツーロールにより、簡便かつ連続的に形成することができる観点からは、感光性エレメントを用いて形成する方法が好ましい。
露光工程では、活性光線を照射することによって感光層が硬化され、この硬化物によって基材上に固定されることで、基材上に樹脂硬化膜パターンが形成される。露光工程での露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線Lを画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。活性光線の光源としては、公知の光源が用いられる。光源としては、例えば、超高圧水銀灯、超高圧UVランプ、低圧UVランプ、DEEP UVランプ、エキシマランプ、キセノンアークランプ等が挙げられる。また、露光工程では、マスクパターンを使用しない露光方式である、DLP(Digital Light Processing)やLDI(Laser Direct Imaging)と呼ばれる直接描画露光法を用いてもよい。これは光源にレーザーなどの単色光を用いて、パターンのデジタルデータに従い、感光層に光線を照射する方式である。
活性光線Lの露光量は、使用する装置、感光性樹脂組成物の組成等によって異なるが、好ましくは5〜1000mJ/cm2であり、より好ましくは10〜200mJ/cm2である。光硬化性に優れる点では、10mJ/cm2以上であることが好ましく、解像性の点では200mJ/cm2以下であることが好ましい。1000mJ/cm2以下とすることで、感光層の変色を抑制することができる。
基材20が活性光線Lに対して透明である場合には基材側から基材を通して活性光線を照射することができるが、解像度に優れる点で、基材とは反対側(感光層側)から活性光線を照射することが好ましい。
現像工程(樹脂硬化膜パターンを形成する工程)では、感光層の未露光部(露光部以外の部分)及び感光層の硬化不充分な領域が除去される。具体的には、ウェット現像により感光層の未露光部及び硬化不充分な領域を除去する。これにより、所定のパターンを有する樹脂硬化膜3bが残り、かつ硬化不充分な領域が除去されることで、樹脂硬化膜の厚みは、感光層の厚みよりも薄く形成される。樹脂硬化膜3b(感光層の硬化物)のパターンを樹脂硬化膜パターンともいう。こうして、図1(c)に示されるように、樹脂硬化膜パターンを有する樹脂硬化膜パターン付き基材30が得られる。
樹脂硬化膜パターンの厚さは、300nm以上5μm未満であることが好ましく、350nm以上4.5未満であることがより好ましく、400nm以上4.0μm未満であることが更に好ましく、500nm以上3.5μm未満であることが特に好ましく、600nm以上3.0μm未満であることが極めて好ましく、700nm以上2.5μm未満であることが極めて特に好ましく、800nm以上2.4μm未満であることが極めて特により好ましい。
現像工程におけるウェット現像は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の本実施形態における感光層(感光性樹脂組成物の組成)に対応した現像液を用いることができ、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により行われる。
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全、且つ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。上記アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物(水酸化アルカリ);リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等の炭酸塩又は重炭酸塩(炭酸アルカリ);リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等のホウ酸塩又はポリホウ酸塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウム水溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウム水溶液等が好ましい。また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光層の現像性に合わせて調節してもよい。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
本実施形態においては、水又はアルカリ水溶液と1種以上の有機溶剤とからなる水系現像液を用いることができる。ここで、アルカリ水溶液に含まれる塩基としては、上述の塩基以外に、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリン等が挙げられる。
上記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
水系現像液は、有機溶剤の濃度を2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、感光層の現像性にあわせて調整することができる。さらに、水系現像液のpHは、感光層の現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量添加することもできる。
有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
現像の方式としては、ディップ方式、パドル方式、高圧スプレー方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。これらのうち、高圧スプレー方式を用いることが、解像度向上の観点から好ましい。
本実施形態の樹脂硬化膜パターンの形成方法においては、現像後に必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことにより樹脂硬化膜パターンを更に硬化してもよい。
本実施形態の樹脂硬化膜パターン形成方法により得られる樹脂硬化膜パターン及び樹脂硬化膜パターン付き基材の構成要素について説明する。
本実施形態における基材20としては、透明基材を好ましく用いることができる。透明基材としては、例えば、ガラス基材、ポリカーボネート等のプラスチック基材などを用いることができる。基材の厚さは、使用の目的に応じて適宜選択することができ、フィルム状の基材を用いてもよい。フィルム状の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びシクロオレフィンポリマフィルムが挙げられる。基材としては、既にITO等により透明電極等が形成された基材を用いることができる。基材は、450〜650nmの波長域での最小光透過率が80%以上であるものが好ましい。基材が、このような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
感光層4は、感光性樹脂組成物を含有する層であり、感光層4としては、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始を含有する感光性樹脂組成物から形成されるものが好ましい。感光性樹脂組成物はさらに(D)無機フィラを含んでいてもよい。感光層4はまた、導電性材料を含有していてもよい。
(A)バインダーポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、α−ブロモアクリル酸、α−クロルアクリル酸、β−フリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、マレイン酸シクロヘキシル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
上記重合性単量体としては、その他には、2官能の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(A)バインダーポリマーは、(a)(メタ)アクリル酸、及び(b)(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含有する共重合体が好ましい。
(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性をより良好にする観点から、カルボキシル基を有することが好ましい。このようなバインダーポリマーを得るためのカルボキシル基を有する重合性単量体としては、上述したような(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
(A)バインダーポリマーが有するカルボキシル基の比率は、バインダーポリマーを得るために使用する全重合性単量体に対するカルボキシル基を有する重合性単量体の割合として、10〜50質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。アルカリ現像性に優れる点では10質量%以上であることが好ましく、アルカリ耐性に優れる点では、50質量%以下であることが好ましい。
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、10,000〜200,000であることが好ましいが、解像度の見地から、15,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることがさらに好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましい。本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
(B)光重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物を用いることができる。
エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、一官能ビニルモノマー、二官能ビニルモノマー、少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する多官能ビニルモノマー等が挙げられる。
上記一官能ビニルモノマーとしては、例えば、上記(A)成分の好適な例である共重合体の合成に用いられる上記重合性単量体が挙げられる。
上記二官能ビニルモノマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート(2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート;多価カルボン酸(無水フタル酸等)と水酸基及びエチレン性不飽和結合を有する物質(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物等が挙げられる。
上記少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する多官能ビニルモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物などが挙げられる。
(C)光重合開始剤としては、ラジカル硬化型の光重合開始剤であることが好ましい。ラジカル硬化型の光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、オキサゾール化合物などが挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
これらの中でも、形成する感光性樹脂組成物層の透明性、及び薄膜としたときのパターン形成能から、オキシムエステル化合物又はホスフィンオキサイド化合物が好ましい。
上記(A)バインダーポリマーの配合量は、(A)バインダーポリマー及び(B)光重合性化合物の総量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましく、55〜65質量部であることがさらに好ましい。この配合量を40質量部以上とすることにより、感光性樹脂組成物の塗膜性(塗工性)に優れ、樹脂が感光性導電フィルムの端部から染み出す現象(エッジフュージョンとも呼ばれる)をより抑制することができる。また、この配合量を80質量部以下とすることにより、感光性樹脂組成物層の露光に対する感度を向上させることができ、且つ充分な機械強度を得ることができる。
上記(B)光重合性化合物の配合量は、(A)バインダーポリマー及び(B)光重合性化合物の総量100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましく、35〜45質量部であることがさらに好ましい。この配合量を20質量部以上とすることにより、感光性樹脂組成物層の露光に対する感度を向上させることができ、充分な機械強度を得ることができる。また、この配合量を60質量部以下とすることで、感光性樹脂組成物の塗膜性(塗工性)に優れ、エッジフュージョンをより抑制することができる。
上記(C)光重合開始剤の配合量は、(A)バインダーポリマー及び(B)光重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましく、0.3〜8質量部であることがさらに好ましい。この配合量を0.1質量部以上とすることにより、感光性樹脂組成物層の露光に対する感度を向上させることができる。この配合量を20質量部以下とすることにより、露光による感光性樹脂組成物層の硬化をより均一に行うことができる。
上記感光性樹脂組成物は(D)無機フィラを含有してもよい。(D)無機フィラとしては、特に制限は無いが、シリカ(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)、酸化亜鉛(ZnO2)、ITO(インジウムスズ酸化物)等が挙げられる。これらの中でも、入手しやすさ及び価格の観点からは、シリカ(SiO2)が好ましい。また、感光性樹脂組成物層の屈折率を高くするという観点からは、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)が好ましい。
感光層は導電性材料を含有してもよいが、導電性材料を含有する場合に感光層がさらに(D)無機フィラを含有することで、基材上に感光層をラミネートする際の圧力が、導電膜中の導電性材料に充分に伝わり、導電性材料と基材表面に設けられた接続端子等との接触を充分に確保することができる。
(D)無機フィラは一次粒径が1〜1000nmの無機フィラを含むことが好ましく、3〜500nmの無機フィラを含むことがより好ましく、5〜300nmの無機フィラを含むことがさらに好ましい。このような一次粒径の無機フィラを含むことにより、ラミネート時の圧力を導電膜中の導電性材料に充分に伝えることができる。図10に示すように、感光性樹脂組成物層3中に無機フィラ8が存在することにより、基材20上に感光層4(感光性樹脂組成物層3及び導電膜2)をローラ60によりラミネートする際の圧力が、圧力Pとして導電膜2中の導電性材料に充分に伝わり、導電性材料と基材表面に設けられた接続端子(図示せず)との充分な接触を可能とすることができる。
(D)無機フィラの平均一次粒径は200nm以下であることが好ましい。無機フィラの平均一次粒子径をこのような範囲とすることにより、450〜650nmの波長域での光透過率が高く、透明性に優れた導電パターンを形成することが可能となる。また、このような無機フィラを使用することで、450〜650nmの波長域での光透過率が高くなり、光散乱も少なくなるため、パターン形成性及び解像性にも優れ、特に透明電極の作製に好適なものとなる。樹脂硬化膜パターン、導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの透明性、パターン形成性及び解像性に優れる観点から、無機フィラの平均一次粒径は、200nm以下であることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましく、10〜50nmであることがさらに好ましい。無機フィラの一次粒径の平均が5nm以上であることにより、無機フィラの凝集による透明性及びパターン形成性の低下を充分に抑制することができる。
感光層中の無機フィラの一次粒径は以下のように測定することができる。まず、作製した樹脂硬化膜パターンを、ウルトラミクロトーム法、収束イオンビーム加工法、クライオウルトラミクロトーム加工法等により、薄膜切片状のサンプルを作製して感光層の断面を切り出す。続いて、薄膜切片上のサンプルを、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて10万倍〜30万倍の倍率で観察することで、感光層中の無機フィラの一次粒径を直接測定することができる。なお、無機フィラが板状や針状等の形状である場合には、長辺(2点間の距離が最大になる長さ)をもって粒径とする。また、無機フィラは、導電膜中に一部含まれていてもよい。感光層中の無機フィラの平均一次粒径は、TEMで観察した断面の中で、無機フィラの含まれる数が最も多い領域(2μm×2μm)の全ての粒径を測長し、その平均値を平均一次粒径とした。
(D)無機フィラの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を100質量部として、20〜70質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましく、40〜50質量部がさらに好ましい。無機フィラの含有量を20質量部以上とすることにより、導電膜中の導電性材料にラミネート時の圧力を充分に伝え、導電性材料と基材表面に設けられる接続端子とを充分に接触させることができ、接触抵抗値を充分に低減することができる。また、無機フィラの含有量を70質量部以下とすることにより、感光層の取扱性及び基材に対する密着性の低下を抑制することができ、また、感光層の透明性の低下を抑制し、充分な解像度でのパターン形成性を確保することができる。
より具体的には、無機フィラの一次粒径が1〜1000nmである場合、(D)無機フィラの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を100質量部として、20〜50質量部が好ましい。また、無機フィラの一次粒径が3〜500nmの場合、(D)無機フィラの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を100質量部として、20〜60質量部が好ましい。さらに、無機フィラの一次粒径が5〜300nmの場合、(D)無機フィラの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を100質量部として、20〜70質量部が好ましい。
なお、一次粒径が500nm〜1000nmの無機フィラの含有量は感光性樹脂組成物の固形分全量100質量部に対して50質量部以内に抑えることが、透明性とパターン形成性の観点から好ましい。これは、一次粒径が異なる無機フィラと組み合わせて用いた場合でも同様である。
(D)無機フィラとしては、感光性樹脂組成物中に分散させるために、粉砕機で粉砕したものを用いてもよく、場合によっては分級を行ったものを用いてもよい。また、好ましくは、シランカップリング剤等の界面活性剤を用いて、無機フィラの表面処理を行うことで感光性樹脂組成物中の分散性を向上させることができる。
感光層4の厚さは、樹脂硬化膜パターン、又は導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの用途、求められる特性等によっても異なるが、解像性と、樹脂硬化膜パターンの段差に由来するパターン見えの抑制(視認性の向上)との観点から、7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。また感光層4の厚さは、基材への感光層の転写性の観点から、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましい。感光層4の厚さは、走査型電子顕微鏡写真によって測定される値を指す。
感光層4に含有される導電性材料としては、導電性繊維を含むことが好ましい。導電性繊維としては、金、銀、白金等の金属繊維、及びカーボンナノチューブ等の炭素繊維などが挙げられる。導電性に優れる観点からは、金繊維又は銀繊維を用いることが好ましく、形成される導電パターンの導電性を容易に調整できる観点からは、銀繊維を用いることがより好ましい。
上記の金属繊維は、例えば、金属イオンをNaBH4等の還元剤で還元する方法、又は、ポリオール法により調製することができる。また、上記カーボンナノチューブは、Unidym社のHipco単層カーボンナノチューブなどの市販品を使用することができる。
導電性繊維の繊維径は、1〜50nmであることが好ましく、2〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。また、導電性繊維の繊維長は、1〜100μmであることが好ましく、2〜50μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。繊維径及び繊維長は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
感光層4は導電性材料を含んでいてもよい。この場合、樹脂硬化膜パターンは導電パターンを含むことができる。また、感光層中において導電性材料は基材側に局在していることが好ましく、感光層の面方向に導電性が得られる態様であることが好ましい。以下、便宜的に導電性材料を含有する部分を導電膜といい、この硬化物に由来する部分を導電パターンという。ただし、導電性材料を含有する導電膜と、導電膜上に設けられた感光性樹脂組成物層との境界は必ずしも明確になっていなくともよい。本明細書においては、導電膜は感光層の面方向に導電性が得られるものを意味し、導電膜に感光性樹脂組成物層が混じり合った態様であってもよい。例えば、導電膜中に感光性樹脂組成物層を構成する組成物が含浸されていたり、感光性樹脂組成物層を構成する組成物が導電膜の表面に存在していたりしてもよい。
導電膜は、導電性繊維同士が接触してなる網目構造を有することが好ましい。このような網目構造を有する導電膜は、感光性樹脂組成物層の基材側表面に形成されていてもよいが、感光層の基材側表面においてその面方向に導電性が得られるのであれば、感光性樹脂組成物層に含まれる形態で形成されていてもよい。
導電膜2の厚さは、導電パターン又はその用途、求められる導電性等によっても異なるが、1μm以下であることが好ましく、1nm〜0.5μmであることがより好ましく、5nm〜0.1μmであることがさらに好ましい。導電膜2の厚さが1μm以下であると、450〜650nmの波長域での光透過率が高く、パターン形成性にも優れ、特に透明電極の作製に好適なものとなる。導電膜2の厚さは、走査型電子顕微鏡写真によって測定される値を指す。
本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法において、感光層は感光性エレメント(感光性フィルム又は感光性導電フィルム)のように、別途支持フィルム上にフィルムとして製膜したものを用いることが好ましい。感光性フィルム又は感光性導電フィルムを、タッチパネル用電極を有する透明基材上に積層することにより、ロールツーロールプロセスが容易に実現できる、溶剤乾燥工程が短縮できる等、製造工程の短縮及びコスト低減に大きく貢献することができる。
本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法は、後述するタッチパネルの透明電極の形成、タッチパネルにおける透明電極の交差部に用いる絶縁膜の形成等に適用することができる。
<感光性エレメント>
本実施形態に係る感光性エレメントは、支持フィルムと、感光層とを備える。感光性エレメントの一態様である感光性導電フィルムは、支持フィルムと、感光層とを備え、上記感光層が、導電性材料を含有する導電膜及び感光性樹脂組成物層を含む。
本実施形態に係る感光性エレメントは、支持フィルムと、感光層とを備える。感光性エレメントの一態様である感光性導電フィルムは、支持フィルムと、感光層とを備え、上記感光層が、導電性材料を含有する導電膜及び感光性樹脂組成物層を含む。
図2は、感光性導電フィルムの一例を示す模式断面図である。図2に示す感光性導電フィルム10は、第一のフィルム(カバーフィルム)1と、第一のフィルム1上に設けられた感光層4と、感光層4上に設けられた第二のフィルム(支持フィルム)5を備える。感光層4は、カバーフィルム1上に設けられた導電性材料を含有する導電膜2と、導電膜2上に設けられた感光性樹脂組成物層3とから構成されている。
以下、感光性導電フィルム10を構成するカバーフィルム1、導電性材料を含有する導電膜2及び感光性樹脂組成物層3を含む感光層4、並びに、支持フィルム5のそれぞれについて詳細に説明する。
カバーフィルム1としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。これらのうち、透明性、耐熱性等の観点からは、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリプロピレンフィルムが好ましい。
上記の重合体フィルムは、後に導電膜2からの剥離が容易となるよう、離型処理されたものであることが好ましい。
本実施形態においては、カバーフィルム1が支持フィルム5より優先的に剥離するようにすることができる。そのためには、支持フィルム5と感光性樹脂組成物層3との接着強度が、導電膜2とカバーフィルム1との接着強度よりも大きいことが好ましい。これらの重合体フィルムは、支持フィルム5よりも剥離されやすいように、厚さの調整、材質の選択及び表面処理が施されたものであることが好ましい。厚さを調整する場合は、カバーフィルム1の厚さと支持フィルム5の厚みとの比は、1:1〜1:10であることが好ましく、1:1.5〜1:5であることがより好ましく、1:2〜1:5であることがさらに好ましい。
導電性材料を含有する導電膜2は、例えば、上述した導電性材料を水及び/又は有機溶剤と、必要に応じて界面活性剤等の分散安定剤などとを加えた導電性材料分散液を、カバーフィルム1上に塗工した後、乾燥することにより形成することができる。また、乾燥後、形成された導電膜2を更に加圧してもよい。導電膜を加圧形成することにより、導電性材料間の接点が増加し、導電性を向上させることができる。この際の線圧としては、0.6〜2.0MPaであることが好ましく、1.0〜1.5MPaであることがより好ましい。導電膜2において、導電性材料は界面活性剤、分散安定剤等と共存していてもかまわない。
上記導電膜を形成する際の塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、及びスプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、30〜150℃で1〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
感光性樹脂組成物層3は、カバーフィルム1上に形成された導電膜2上に、上述した感光性樹脂組成物の各成分を、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解した、固形分10〜60質量%程度の感光性樹脂組成物の溶液を塗工した後、乾燥することにより形成できる。ただし、この場合、乾燥後の感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。
上記感光性樹脂組成物層を形成する際の塗工は、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。塗工後、有機溶剤等を除去するための乾燥は、70〜150℃で5〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
感光性樹脂組成物層3の厚さは、乾燥後の厚さで0.5以上5μm未満であることが好ましく、1.0以上5μm未満であることがより好ましく、1.0以上4.5未満であることがさらに好ましく、1.5以上4.0未満であることが特に好ましく、1.5以上3.5μm未満であることが極めて好ましく、2.0μm以上3.5μm未満であることが極めて特に好ましい。この厚さを0.05μm以上とすることにより、塗工による感光性樹脂組成物層3の形成が容易となる。また、50μm以下とすることにより、光透過性が良好であり、充分な感度を得ることができ、且つ転写後の感光層の光硬化性を優れたものとすることができる。
支持フィルム5としては、カバーフィルム1として用いることが可能な重合体フィルムとして例示したものが挙げられる。支持フィルム5としては、特にガス透過性に優れるものであることが好ましい。ガス透過性に優れるフィルムを使用する場合には、支持フィルムを剥離せずに、露光を行うことが可能である。その際、カバーフィルム1が、支持フィルム5よりも優先して剥離されるように、支持フィルム及びカバーフィルムの膜厚制御、表面処理等により調整されることが好ましい。
支持フィルム5の厚さは、10〜200μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましく、30〜100μmであることが特に好ましい。支持フィルムとして酸素透過性に優れるフィルムを用いて、剥離無しで露光を行う場合、支持フィルムの厚さは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係る感光性導電フィルムの製造方法について、カバーフィルム上に導電膜、感光性樹脂組成物層を順次塗布、形成する製造方法を例にして説明したが、感光性導電フィルムはこの製造方法に限られず、他の製造方法により製造することもできる。例えば、支持フィルム上に、感光性樹脂組成物層、導電膜を順次塗布、形成する製造方法、支持フィルム上に感光性樹脂組成物層を塗布形成し、カバーフィルム上に導電膜を塗布形成し、両者を貼り合わせることで感光性導電フィルムを製造する方法などが挙げられる。図3は、感光性導電フィルムの製造方法の一例を示す模式断面図である。図3に示す製造方法においては、導電膜2を第一のフィルム(カバーフィルム)1上に形成し、別途、感光性樹脂組成物層3を第二のフィルム(支持フィルム)5上に形成することを特徴とする。このようにして得られる2つのフィルムを、導電膜2と感光性樹脂組成物層3とが積層されるようにローラ50によりラミネートすることで、感光性導電フィルムを製造する。この製造方法によれば、導電膜と感光性樹脂組成物層とを別々に形成することから、溶液を重ねて塗布する製造方法に比べて、各層内の構造(例えば、導電膜の網目構造)の制御がより容易となる。この際の、導電膜を形成したフィルム及び/又は感光性樹脂組成物層を形成したフィルムを60〜130℃に加熱してラミネートすることが好ましく、圧着圧力は0.2〜0.8MPa程度とすることが好ましい。
本実施形態において、上記導電膜2及び上記感光性樹脂組成物層3の積層体(感光層4)は、450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。感光層4がこのような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。また、感光層4を構成する上記導電膜2及び上記感光性樹脂組成物層3の両層の合計膜厚を1〜10μmとしたときに450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。導電膜及び感光性樹脂組成物層がこのような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
以下、感光性エレメントを用いた場合の樹脂硬化膜パターンの形成方法について図4を参照しながら説明する。
<導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの形成方法>
図4は、感光性導電フィルムを用いた、本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法を説明するための模式断面図である。本実施形態の方法は、上述した感光性導電フィルム10を、カバーフィルム1を剥離し、基材20上に導電膜2が密着するようにローラ60によりラミネートする工程(以下、「ラミネート工程」ともいう。)(図4(a)及び(b))と、基材上の感光層を露光及び現像することにより導電パターンを形成する工程(以下、「パターニング工程」ともいう。)とを備える(図4(c)及び(d))。パターニング工程は、支持フィルム5を剥離して感光層4の所定部分にマスク6を介して、活性光線を照射する露光工程(図4(c))と、その後、感光層4を現像する現像工程(図4(d))とからなる。
図4は、感光性導電フィルムを用いた、本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法を説明するための模式断面図である。本実施形態の方法は、上述した感光性導電フィルム10を、カバーフィルム1を剥離し、基材20上に導電膜2が密着するようにローラ60によりラミネートする工程(以下、「ラミネート工程」ともいう。)(図4(a)及び(b))と、基材上の感光層を露光及び現像することにより導電パターンを形成する工程(以下、「パターニング工程」ともいう。)とを備える(図4(c)及び(d))。パターニング工程は、支持フィルム5を剥離して感光層4の所定部分にマスク6を介して、活性光線を照射する露光工程(図4(c))と、その後、感光層4を現像する現像工程(図4(d))とからなる。
ラミネート工程は、例えば、感光性導電フィルム10のカバーフィルム1を除去した後、加熱しながら導電膜2側をガラス基材等の基材20に圧着して積層する方法により行われる。なお、この作業は、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。感光性導電フィルム10の積層は、導電膜2並びに感光性樹脂組成物層3及び/又は基材20を70〜130℃に加熱することが好ましく、これらの条件には特に制限はない。また、導電膜2及び感光性樹脂組成物層3を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め基材20を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために基材20の予熱処理を行うこともできる。
上記感光性導電フィルム10の積層は、圧着圧力が、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)であることが好ましく、0.2〜0.8MPaであることがより好ましい。
露光工程、及び現像工程は、基本的に上述の樹脂硬化膜パターンの形成方法と同様である。各種条件等も同様である。
導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの形成方法における露光工程では、活性光線を照射することによって感光性樹脂組成物層が硬化され、この硬化物によって導電膜が固定されることで、基材上に導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンが形成される。
本実施形態の樹脂硬化膜パターンの形成方法によれば、別途作製した感光性導電フィルム10を基材20にラミネートすることにより感光層4を設けることで、より簡便に感光層4を基材20上に形成することが可能となり、生産性の向上を図ることができる。また、本実施形態の樹脂硬化膜パターンの形成方法によれば、ガラス基材、プラスチック基材等の基材上に容易に透明な導電パターンを形成することが可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法によれば、ITO等の無機膜のようにエッチングレジストを形成することなく、ガラス基材、プラスチック基材等の基材上に透明な導電パターンを容易に形成することが可能である。
本実施形態の導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの表面抵抗率は、透明電極等として有効に活用できる観点、又は導電パターンと基材表面に設けられる接続端子等との間で良好な電気的接続を確保できる観点から、2000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがより好ましく、500Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、導電性材料分散液の濃度、塗工量等によって調整することができる。
本実施形態の樹脂硬化膜パターン付き基材における、導電パターンと基材表面に設けられる接続端子等との間の接触抵抗は、良好な電気的接続を確保できる観点から、1×106Ω以下であることが好ましく、200×103Ω以下であることがより好ましく、20×103Ω以下であることがさらに好ましい。接触抵抗は、例えば、導電性繊維分散液の濃度、塗工量、ラミネート時の圧力、感光性樹脂組成物層中の無機フィラの含有量等によって調整することができる。
本発明の樹脂硬化膜パターン付き基材は、450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。導電パターン基材40が、このような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での視認性が向上する。
<電子部品>
本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法は、静電容量式タッチパネル等の電子部品の製造に好ましく利用できる。以下、静電容量式タッチパネルの透明電極の形成を例に説明する。
本実施形態に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法は、静電容量式タッチパネル等の電子部品の製造に好ましく利用できる。以下、静電容量式タッチパネルの透明電極の形成を例に説明する。
図5は、透明電極(X位置座標)103及び透明電極(Y位置座標)104が同一平面上に存在する静電容量式タッチパネルの一例を示す平面図であり、図6は、その一部切欠き斜視図である。図7は、図6中のVI−VI線に沿った部分断面図である。上記静電容量式タッチパネルは、透明基材101上に、静電容量変化を検出して、X位置座標とする透明電極103と、Y位置座標とする透明電極104とを有する。これらのX、Y位置座標とするそれぞれの透明電極103、104には、タッチパネルとしての電気信号を制御するドライバ素子回路(図示せず)の制御回路に接続するための引き出し配線105a及び105bを有する。
透明電極(X位置座標)103と透明電極(Y位置座標)104とが交差する部分には、絶縁膜106が設けられている。上記絶縁膜は、電気絶縁特性、透明性、耐現像性を有する材料から選定される。このような材料としては、薄膜で透明な感光性フィルム等が挙げられる。
本発明の樹脂硬化膜パターンの形成方法による、静電容量式タッチパネルの製造方法について説明する。まず透明基材101上に透明電極(X位置座標)103を形成する。具体的には、感光性導電フィルムを導電膜が透明基材101に接するようラミネートする(ラミネート工程)。転写した感光層(導電膜及び感光性樹脂組成物層)に対し、支持フィルムを剥離し、所望の形状に遮光マスクを介してパターン状に活性光線を照射する(露光工程)。その後、遮光マスクを除き、現像を行うことで、感光層の未露光部が除去され、導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンが形成される(現像工程)。この導電パターンによりX位置座標を検知する透明電極103が形成される。
続いて、透明電極(Y位置座標)104を形成する。上記の工程により形成された透明電極103の一部(例えば、透明電極103と透明電極104とが交差させようとする部分)に絶縁膜106を設け、透明基材101上に新たな感光性導電フィルムを更にラミネートし、上記同様の操作により、Y位置座標を検知する透明電極104が形成される。本発明に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法により、透明電極を形成することで、透明電極(X位置座標)103及び透明電極(Y位置座標)104を同一平面上に形成することが可能である。また、透明基材101側に、導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンが形成されることから、引き出し配線105a及び105bを形成する際に、形成された導電パターンと、引き出し配線との導通を図ることが容易となる。
次に、透明基材101の表面に、外部回路と接続するための引き出し配線105a及び105bを形成する。引き出し配線は、例えば、フレーク状の銀等を含有する導電ペースト材料を使って、スクリーン印刷法を用いて形成することができる。
なお、上記静電容量式タッチパネルの製造方法においては、一方の透明電極(例えば透明電極(X位置座標)103)及び引き出し配線105a,105bは、透明導電材料を用いた公知の方法で、透明基材101上に予め形成することが可能である。この場合であっても、透明電極(X位置座標)103及び透明電極(Y位置座標)104を同一平面内に形成することができ、且つ接着性、解像性により優れた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンを得ることができる。また、上記工程によりパターニングすることで、ブリッジした透明電極(Y位置座標)104の導電パターンを形成することが可能となる。
また、本発明に係る樹脂硬化膜パターンの形成方法による、静電容量式タッチパネルの製造方法は、上記の方法に限られるものではない。例えば、透明導電材料を用いた公知の方法により、透明電極(X位置座標)103と、後にY位置座標を検出する透明電極104となる透明電極の一部を透明基材101上に予め形成した基材を用いてもよい。図8は、透明電極が同一平面に存在する静電容量式タッチパネルの製造方法の一例を説明するための図であり、(a)は透明電極を備える基材を示す一部切欠き斜視図であり、(b)は得られる静電容量式タッチパネルを示す一部切欠き斜視図である。図9は、透明電極が同一平面に存在する静電容量式タッチパネルの製造方法の一例を説明するための図である。
まず、図8(a)及び図9(a)に示されるような、透明電極(X位置座標)103と、透明電極の一部104aとが予め形成された基材を用意し、透明電極103の一部(透明電極の一部104aに挟まれる部分)に絶縁膜106を設ける(図8の(b))。その後、上記基材に感光性導電フィルムをラミネートし、上述した露光工程及び現像工程と同様の方法により、導電パターンが形成される。この導電パターンにより透明電極のブリッジ部104bを形成することができる(図9(c))。この透明電極のブリッジ部104bにより、予め形成された透明電極の一部104a同士を導通することができ、透明電極(Y位置座標)104が形成される。
予め形成された透明電極は、例えば、ITOなどを用いた公知の方法により形成されてもいてもよい。
また、引き出し配線105a,105bは、透明導電材料の他、Cu、Ag等の金属などを用いた公知の方法で形成することが可能である。本発明の導電パターンの形成方法においては、引き出し配線105a,105bが予め形成された基材を用いてもよい。このような基材を用いた場合、本発明の樹脂硬化膜パターン形成方法によれば、引き出し配線と直接導通を図りつつ、透明電極(X位置座標)とは絶縁した状態で、透明電極(Y位置座標)を形成することが可能となり、導電パターン基材をより簡便に製造することが可能である。
本実施形態においては、上記絶縁膜106を、本実施形態の樹脂硬化膜パターン(例えば、導電膜を含まない樹脂硬化膜パターン)の形成方法により形成することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<導電性繊維分散液(銀繊維分散液)の調製>
[ポリオール法による銀繊維の調製]
2000mLの3口フラスコに、エチレングリコール500mLを入れ、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながらオイルバスにより160℃まで加熱した。ここに、別途用意したPtCl22mgを50mLのエチレングリコールに溶解した溶液を滴下した。4〜5分後、AgNO35gをエチレングリコール300mLに溶解した溶液と、重量平均分子量が8万のポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)製)5gをエチレングリコール150mLに溶解した溶液とを、それぞれの滴下ロートから1分間で同時に滴下し、その後160℃で60分間攪拌した。
[ポリオール法による銀繊維の調製]
2000mLの3口フラスコに、エチレングリコール500mLを入れ、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながらオイルバスにより160℃まで加熱した。ここに、別途用意したPtCl22mgを50mLのエチレングリコールに溶解した溶液を滴下した。4〜5分後、AgNO35gをエチレングリコール300mLに溶解した溶液と、重量平均分子量が8万のポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)製)5gをエチレングリコール150mLに溶解した溶液とを、それぞれの滴下ロートから1分間で同時に滴下し、その後160℃で60分間攪拌した。
上記反応溶液が30℃以下になるまで放置してから、アセトンで10倍に希釈し、遠心分離機により2000回転で20分間遠心分離し、上澄み液をデカンテーションした。沈殿物にアセトンを加え攪拌後に上記と同様の条件で遠心分離し、アセトンをデカンテーションした。その後、蒸留水を用いて同様に2回遠心分離して、銀繊維を得た。得られた銀繊維を光学顕微鏡で観察したところ、繊維径(直径)は約40nmで、繊維長は約4μmであった。
[銀繊維分散液の調製]
純水に、上記で得られた銀繊維を0.2質量%、及び、ドデシル−ペンタエチレングリコールを0.1質量%の濃度となるように分散し、導電性繊維分散液1を得た。
純水に、上記で得られた銀繊維を0.2質量%、及び、ドデシル−ペンタエチレングリコールを0.1質量%の濃度となるように分散し、導電性繊維分散液1を得た。
<感光性樹脂組成物の溶液(X)及び(Y)の調製>
[アクリル樹脂の合成]
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブとトルエンとの混合液(メチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)、以下、「溶液s」という)400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。次に、80℃に加熱された溶液sに、溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、100gの溶液sにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加熱した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、アセトンを加えて不揮発成分(固形分)が50質量%になるように調製し、(A)成分としてのバインダーポリマー溶液を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量はGPCによる標準ポリスチレン換算で80000であった。これをアクリルポリマーAとした。なお、重量平均分子量を測定したGPCの測定条件は下記のとおりである。
[アクリル樹脂の合成]
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブとトルエンとの混合液(メチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)、以下、「溶液s」という)400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。次に、80℃に加熱された溶液sに、溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、100gの溶液sにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加熱した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、アセトンを加えて不揮発成分(固形分)が50質量%になるように調製し、(A)成分としてのバインダーポリマー溶液を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量はGPCによる標準ポリスチレン換算で80000であった。これをアクリルポリマーAとした。なお、重量平均分子量を測定したGPCの測定条件は下記のとおりである。
[GPC測定条件]
機種:日立L6000((株)日立製作所製、商品名)
検出:L3300RI((株)日立製作所製、商品名)
カラム:Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400M(いずれも日立化成(株)製、商品名)
カラム仕様:直径10.7mm × 300mm
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度:NV(不揮発分濃度)50質量%の樹脂溶液を120mg採取、5mLのTHFに溶解
注入量:200μL
圧力:4.9MPa
流量:2.05mL/min
機種:日立L6000((株)日立製作所製、商品名)
検出:L3300RI((株)日立製作所製、商品名)
カラム:Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400M(いずれも日立化成(株)製、商品名)
カラム仕様:直径10.7mm × 300mm
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度:NV(不揮発分濃度)50質量%の樹脂溶液を120mg採取、5mLのTHFに溶解
注入量:200μL
圧力:4.9MPa
流量:2.05mL/min
[感光性樹脂組成物の溶液(X)及び(Y)の調製]
表1及び2に示す材料を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、感光性樹脂組成物の溶液(X)及び(Y)をそれぞれ調製した。
表1及び2に示す材料を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、感光性樹脂組成物の溶液(X)及び(Y)をそれぞれ調製した。
表1及び2中の各材料は、以下のものを用いた。
(B)成分
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、商品名)
(C)成分
OXE−01:1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF(株)製、商品名)
その他
SH−30:オクタメチルシクロテトラシロキサン(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名)
メチルエチルケトン:(東燃化学(株)製)
(B)成分
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、商品名)
(C)成分
OXE−01:1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF(株)製、商品名)
その他
SH−30:オクタメチルシクロテトラシロキサン(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名)
メチルエチルケトン:(東燃化学(株)製)
(実施例1)
<感光性導電フィルムの作製>
上記導電性繊維分散液1を、第一のフィルム(カバーフィルム)として用意した厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人(株)製、商品名「G2−16」)上に20g/m2で、均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥し、室温(25℃)において1MPaの線圧で加圧することにより、第一のフィルム上に導電性繊維を含有する導電膜を形成した。なお、走査型電子顕微鏡により測定したところ、導電膜の乾燥後の膜厚は、約0.1μmであった。
<感光性導電フィルムの作製>
上記導電性繊維分散液1を、第一のフィルム(カバーフィルム)として用意した厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人(株)製、商品名「G2−16」)上に20g/m2で、均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥し、室温(25℃)において1MPaの線圧で加圧することにより、第一のフィルム上に導電性繊維を含有する導電膜を形成した。なお、走査型電子顕微鏡により測定したところ、導電膜の乾燥後の膜厚は、約0.1μmであった。
次に、上記感光性樹脂組成物の溶液(X)を、第二のフィルム(支持フィルム)として別途用意した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人株式会社製、商品名「G2−50」)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して第二のフィルム上に感光性樹脂組成物層を形成した。なお、走査型電子顕微鏡により測定したところ、感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は5μmであった。
以上のようにして得られた、導電膜を形成したPETフィルム(第一のフィルム)と、感光性樹脂組成物層を形成したPETフィルム(第二のフィルム)とを、導電膜と感光性樹脂組成物層とが向かい合うように配置し、120℃、0.4MPaの条件でラミネートすることにより、目的の感光性導電フィルムを作製した。
<表面抵抗率及び光透過率の測定>
厚さ1mmのポリカーボネート基材を80℃に加温し、その表面上に実施例1で得られた感光性導電フィルムのカバーフィルム(厚さ16μmのPETフィルム、第一のフィルム)を剥離しながら導電膜とポリカーボネート基材とを対向させて、120℃、0.4MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、基材を冷却し基材の温度が23℃になった時点で、支持フィルム(厚さ50μmのPETフィルム、第二のフィルム)を剥離してから超高圧水銀灯を有する露光機((株)オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、1000mJ/cm2の露光量で感光層(導電膜及び感光性樹脂組成物層)に光照射した(酸素存在下による露光工程)。露光後、室温(25℃)で15分間放置し、銀繊維を含有する導電膜を有する樹脂硬化膜をポリカーボネート基材上に形成し、導電膜を含む樹脂硬化膜付き基材を得た。得られた導電膜を含む樹脂硬化膜付き基材について、表面抵抗率及び450〜650nmの波長域における最小光透過率の評価を行った。下記の測定装置を用いて測定した導電膜の表面抵抗率は150Ω/□であり、450〜650nmの波長域における最小光透過率(基材を含む)は90%であった。なお、得られた樹脂硬化膜の厚みは3.7μmであった。
厚さ1mmのポリカーボネート基材を80℃に加温し、その表面上に実施例1で得られた感光性導電フィルムのカバーフィルム(厚さ16μmのPETフィルム、第一のフィルム)を剥離しながら導電膜とポリカーボネート基材とを対向させて、120℃、0.4MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、基材を冷却し基材の温度が23℃になった時点で、支持フィルム(厚さ50μmのPETフィルム、第二のフィルム)を剥離してから超高圧水銀灯を有する露光機((株)オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、1000mJ/cm2の露光量で感光層(導電膜及び感光性樹脂組成物層)に光照射した(酸素存在下による露光工程)。露光後、室温(25℃)で15分間放置し、銀繊維を含有する導電膜を有する樹脂硬化膜をポリカーボネート基材上に形成し、導電膜を含む樹脂硬化膜付き基材を得た。得られた導電膜を含む樹脂硬化膜付き基材について、表面抵抗率及び450〜650nmの波長域における最小光透過率の評価を行った。下記の測定装置を用いて測定した導電膜の表面抵抗率は150Ω/□であり、450〜650nmの波長域における最小光透過率(基材を含む)は90%であった。なお、得られた樹脂硬化膜の厚みは3.7μmであった。
[表面抵抗率の測定]
非接触型表面抵抗計(ナプソン(株)製、商品名「EC−80P」)を用い、測定プローブを導電膜側から当て、ポリカーボネート基材上に形成した導電膜の表面抵抗率を測定した。
非接触型表面抵抗計(ナプソン(株)製、商品名「EC−80P」)を用い、測定プローブを導電膜側から当て、ポリカーボネート基材上に形成した導電膜の表面抵抗率を測定した。
[光透過率の測定]
分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3310」)を用いて、450〜650nmの波長域における最小光透過率を測定した。
分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3310」)を用いて、450〜650nmの波長域における最小光透過率を測定した。
<基材表面の接続端子との電気的接続性評価>
[評価基材の作製]
ITO膜付きPETフィルム基材(厚さ100μm、表面抵抗率150Ω/□)を80℃に加熱し、その表面上(ITO側)にITOエッチング用レジストフィルム(日立化成(株)製、商品名「ME−3315」)を、ラミネートロール温度110℃、ラミネート圧力0.4MPa、ラミネート速度1m/minの条件でラミネートした。ラミネート後、基材を冷却し基材の温度が23℃になった時点で、カバーフィルムであるPETフィルム面に、ライン幅/スペース幅が1mm/1mmで長さが50mmの配線パターンを有するフォトマスクを密着させた。そして、超高圧水銀灯を有する露光機((株)オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、200mJ/cm2の露光量でエッチングレジストに光照射した。
[評価基材の作製]
ITO膜付きPETフィルム基材(厚さ100μm、表面抵抗率150Ω/□)を80℃に加熱し、その表面上(ITO側)にITOエッチング用レジストフィルム(日立化成(株)製、商品名「ME−3315」)を、ラミネートロール温度110℃、ラミネート圧力0.4MPa、ラミネート速度1m/minの条件でラミネートした。ラミネート後、基材を冷却し基材の温度が23℃になった時点で、カバーフィルムであるPETフィルム面に、ライン幅/スペース幅が1mm/1mmで長さが50mmの配線パターンを有するフォトマスクを密着させた。そして、超高圧水銀灯を有する露光機((株)オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、200mJ/cm2の露光量でエッチングレジストに光照射した。
露光後、室温(25℃)で15分間放置し、続いて、カバーフィルム(第一のフィルム)であるPETフィルムを剥離し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を16秒間スプレーすることにより現像した。現像後、ライン幅/スペース幅が約1mm/1mmのエッチングレジストパターンを、ITO膜付きPETフィルム基材上に形成した。その後、上記のITO膜付きPETフィルム基材を25体積%塩酸(液温50℃)に1分間浸漬することで、レジストパターンに覆われていないITOを溶解除去した。
ITOを溶解、除去した後のITO膜付きPETフィルム基材を、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(液温25℃)に2分間浸漬することで、レジストパターンをはく離して、ライン幅/スペース幅が1mm/1mmで長さが50mmのITOパターンを形成したITOパターン付きPETフィルム基材(ITOラインパターン形成基材)を作製した。
[導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの形成]
得られたITOラインパターン形成基材を80℃に加温し、その表面上(ITOラインパターン形成面)に、実施例1で得られた感光性導電フィルムを、カバーフィルム(第一のフィルム)を剥離しながら導電膜とITOラインパターン形成基材とを対向させて、120℃、0.4MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、基材を冷却し基材の温度が23℃になった時点で、支持フィルム(第二のフィルム)であるPETフィルムを剥離した面に、ライン幅1mmで長さが3mmの配線パターンを有するフォトマスクを密着させた。フォトマスクは配線パターンが、評価基材のITOラインパターンと直交するように配置した。そして、超高圧水銀灯を有する露光機((株)オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、40mJ/cm2の露光量(i線(波長365nm)における測定値)で感光層(導電膜及び感光性樹脂組成物層)に光照射した。
得られたITOラインパターン形成基材を80℃に加温し、その表面上(ITOラインパターン形成面)に、実施例1で得られた感光性導電フィルムを、カバーフィルム(第一のフィルム)を剥離しながら導電膜とITOラインパターン形成基材とを対向させて、120℃、0.4MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、基材を冷却し基材の温度が23℃になった時点で、支持フィルム(第二のフィルム)であるPETフィルムを剥離した面に、ライン幅1mmで長さが3mmの配線パターンを有するフォトマスクを密着させた。フォトマスクは配線パターンが、評価基材のITOラインパターンと直交するように配置した。そして、超高圧水銀灯を有する露光機((株)オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、40mJ/cm2の露光量(i線(波長365nm)における測定値)で感光層(導電膜及び感光性樹脂組成物層)に光照射した。
露光後、室温(25℃)で15分間放置し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30秒間スプレーすることにより現像した。現像後、銀繊維を含有する導電膜と感光性樹脂及び無機フィラを含有する感光性樹脂組成物層からなる感光層に感光性樹脂組成物層上方より1J/cm2の露光量(i線(波長365nm)における測定値)で紫外線を照射し、ライン幅約1mmで長さ約3mmの、導電パターンを含む樹脂硬化膜パターン(感光層の硬化物)7をITOラインパターン形成基材上に形成した(図11参照)。この導電パターン7は、1mm幅のスペースを有して並行に配置された2本のITOラインパターンに直交するように形成した。これを、感光性導電フィルムの電気的接続性を評価するための評価基材とした。
図11に示すように、得られた評価基材201に対し、評価基材201上に設けられた2本のITOラインパターン202上に銀ペースト電極203を形成した。銀ペースト電極203は、ITOラインパターン202上の、導電パターン7の形成箇所から30mmの位置に、銀ペースト((株)東洋紡製、商品名「DW−117」)を半球状(直径500μm)に塗布した後、ホットプレート上で90℃、5分間乾燥させることにより形成した。銀ペースト電極203は、2本のITOラインパターン202上にそれぞれ1つずつ形成した。なお、得られた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの厚みは3.7μmであった。
形成された2個の銀ペースト電極203にポケットテスターを接触させて、導電パターン(感光層の硬化物)7で繋いだ、2本のITOラインパターン202の抵抗値を測定した。この抵抗値をライン抵抗値(R1)とし、感光性導電フィルムを用いて形成した導電パターンの電気的接続性(ITOラインパターンと本発明に係る導電パターンとの接触抵抗)を評価した。なお、ポケットテスターの仕様上、抵抗値は32×106Ωまでしか測定することができず、それ以上の抵抗値は、電気的に断線(OL;Over Load)となった。
感光性導電フィルムで形成した導電パターンの電気的接続性を、上記のライン抵抗値R1をもとに、以下の評点に従って評価した。
A ; R1≦20×103Ω
B ; 20×103Ω<R1≦200×103Ω
C ; 200×103Ω<R1≦1×106Ω
D ; 1×106Ω<R1
A ; R1≦20×103Ω
B ; 20×103Ω<R1≦200×103Ω
C ; 200×103Ω<R1≦1×106Ω
D ; 1×106Ω<R1
実施例1で得られた感光性導電フィルムで形成した導電パターンの電気的接続性を評価したところ、評点はAだった。導電パターンは、2本のITOラインパターンを良好に電気的に接続していることが確認された。
[解像度の測定]
PETフィルム基板(厚さ50μm、東洋紡績製、商品名A4100)の易接着面に、実施例1で得られた感光性導電フィルムのポリエチレンフィルムを剥がしながら、感光性樹脂層が接するようにラミネータ(日立化成株式会社製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度110℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×105Paの条件でラミネートした。
PETフィルム基板(厚さ50μm、東洋紡績製、商品名A4100)の易接着面に、実施例1で得られた感光性導電フィルムのポリエチレンフィルムを剥がしながら、感光性樹脂層が接するようにラミネータ(日立化成株式会社製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度110℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×105Paの条件でラミネートした。
ラミネート後、基材を冷却し基材の温度が23℃になった時点で、支持フィルム(第二のフィルム)であるPETフィルムを剥離し、支持フィルムを剥離した面に、ライン幅/スペース幅が6/6〜47/47(単位:μm)の配線パターンを有するPET製のフォトマスクを密着させた。そして、超高圧水銀灯を有する露光機((株)オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、フォトマスクを介して露光した。露光量は、41段ステップタブレット(日立化成株式会社製)における感度が、8段となる露光量とした。露光後、室温(25℃)で15分間放置し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30秒間スプレーすることにより現像した。現像後の樹脂硬化膜パターンを光学顕微鏡で観察することで、現像処理によって未露光部の感光性樹脂組成物層をきれいに除去することができ、かつ露光部が欠けなく樹脂硬化膜パターンを形成できた。ライン幅/スペース幅の最も小さい値により解像度を評価した。実施例1の感光性導電フィルムの解像性を評価したところ、20μmであった。解像度の評価は、数値が小さいほど良好であることを意味する。
(実施例2)
感光性樹脂組成物の溶液(X)に代えて感光性樹脂組成物の溶液(Y)を用いて感光性導電フィルムを得たこと以外は、実施例1と同様に導電パターンの表面抵抗率、光透過率、基材表面の接続端子との電気的接続性、及び解像度を評価した。得られた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの厚みは3.8μmであった。
感光性樹脂組成物の溶液(X)に代えて感光性樹脂組成物の溶液(Y)を用いて感光性導電フィルムを得たこと以外は、実施例1と同様に導電パターンの表面抵抗率、光透過率、基材表面の接続端子との電気的接続性、及び解像度を評価した。得られた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの厚みは3.8μmであった。
(比較例1)
実施例1で得られた感光性導電フィルムを用いて導電パターンを製造する際に、露光時に支持フィルム(第二のフィルム)を剥離せずに(すなわち、感光層が酸素に触れない状況下で)、支持フィルム側から活性光線を照射した以外は、実施例1と同様に導電パターンの表面抵抗率、光透過率、基材表面の接続端子との電気的接続性、及び解像度を評価した。得られた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの厚みは5.0μmであった。
実施例1で得られた感光性導電フィルムを用いて導電パターンを製造する際に、露光時に支持フィルム(第二のフィルム)を剥離せずに(すなわち、感光層が酸素に触れない状況下で)、支持フィルム側から活性光線を照射した以外は、実施例1と同様に導電パターンの表面抵抗率、光透過率、基材表面の接続端子との電気的接続性、及び解像度を評価した。得られた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの厚みは5.0μmであった。
(比較例2)
実施例2で得られた感光性導電フィルムを用いたこと以外は比較例1と同様にして導電パターンを形成し、実施例1と同様に導電パターンの表面抵抗率、光透過率、基材表面の接続端子との電気的接続性、及び解像度を評価した。得られた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの厚みは5.1μmであった。
実施例2で得られた感光性導電フィルムを用いたこと以外は比較例1と同様にして導電パターンを形成し、実施例1と同様に導電パターンの表面抵抗率、光透過率、基材表面の接続端子との電気的接続性、及び解像度を評価した。得られた導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンの厚みは5.1μmであった。
本発明の樹脂硬化膜パターンの形成方法によれば、基材上に、薄膜で、充分な解像度を有する樹脂硬化膜パターンを形成することができる樹脂硬化膜パターンの形成方法を提供することができる。また本発明によれば、基材上に、表面抵抗率が充分小さい導電パターンを充分な解像度で簡便に形成することができ、基材表面に設けられる接続端子と電気的に接続することができる導電パターンを形成することが可能となる。更に本発明によれば、無機フィラを感光性樹脂組成物に配合させた場合においても、基材上に、表面抵抗率が充分小さい導電パターンを充分な解像度で簡便に形成することができ、基材表面に設けられる接続端子と電気的に接続することができる導電パターンを形成することが可能となる。なお、無機フィラを配合させない感光性樹脂組成物を用いた実施例2の表面抵抗率の評価結果はDであるが、求められる用途に応じて応用可能である。
1…第一のフィルム(カバーフィルム)、2…導電膜、2a…導電パターン、3…感光性樹脂組成物層、3b…樹脂硬化膜、4…感光層、5…第二のフィルム(支持フィルム)、7…導電パターンを含む樹脂硬化膜パターン(感光層の硬化物)、8…無機フィラ、10…感光性導電フィルム、20…基材、30,40…樹脂硬化膜パターン付き基材、50,60…ローラ、101…透明基材、103…透明電極(X位置座標)、104…透明電極(Y位置座標)、104a…透明電極の一部、104b…透明電極のブリッジ部、105a,105b…引き出し配線、106…絶縁膜、201…評価基材、202…ITOラインパターン、203…銀ペースト電極。
Claims (11)
- 基材上に設けられた感光性樹脂組成物を含む感光層に対して酸素存在下でパターン状に活性光線を照射する工程と、
露光後の前記感光層を現像し、前記感光層よりも薄い厚みを有する樹脂硬化膜パターンを形成する工程と、を含む、樹脂硬化膜パターンの形成方法。 - 前記感光層が導電性材料を含有し、導電パターンを含む樹脂硬化膜パターンを形成する、請求項1に記載の樹脂硬化膜パターンの形成方法。
- 前記導電性材料が導電性繊維である、請求項2に記載の樹脂硬化膜パターンの形成方法。
- 前記樹脂硬化膜パターンの厚みが300nm以上5μm未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂硬化膜パターンの形成方法。
- 支持フィルムと、前記支持フィルム上に設けられた導電性材料及び感光性樹脂組成物を含有する感光層とを有する感光性導電フィルムを、前記基材上に前記感光層が接するようにラミネートすることにより前記感光層を設ける、請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂硬化膜パターンの形成方法。
- 前記感光性樹脂組成物が、バインダーポリマー、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂硬化膜パターンの形成方法。
- 前記光重合開始剤が、ラジカル硬化型の光重合開始剤である、請求項6に記載の樹脂硬化膜パターンの形成方法。
- 基材と、前記基材上に設けられた、導電パターンを含み、厚みが300nm以上5μm未満である樹脂硬化膜パターンと、を備える、樹脂硬化膜パターン付き基材。
- 前記樹脂硬化膜パターンが導電パターンを含み、前記導電パターンは導電性材料を含む、請求項8に記載の樹脂硬化膜パターン付き基材。
- 前記導電性材料が導電性繊維である、請求項9に記載の樹脂硬化膜パターン付き基材。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂硬化膜パターンの形成方法により、基材上に樹脂硬化膜パターンを形成することを含む、樹脂硬化膜パターン付き基材の製造方法。
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- 2015-10-08 JP JP2015200249A patent/JP2017072756A/ja active Pending
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