JP2017072298A - 空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気調和機100は、室温制御機構40と、温度取得部53と、空間特性パラメータ推定部54と、を備える。室温制御機構40は、冷媒を循環させる管路を有し、部屋70の室温Tinを制御する。温度取得部53は、温度情報x[n]を繰り返し取得する。空間特性パラメータ推定部54は、取得された複数の温度情報x[n]を用いて、部屋70に関する空間特性パラメータを推定する。空間特性パラメータは、部屋の熱容量Cを含む。
【選択図】図2
Description
室内冷媒相変化温度は、冷房運転の場合には冷媒の蒸発温度であり、暖房運転の場合には冷媒の凝縮温度である。
本発明の第4観点に係る空気調和機は、空気調和機の制御の精度を改善する。
(1)全体構成
本発明の第1実施形態に係る空気調和機100は、図1に示す室温制御機構40と、図2に示す制御回路60とを有する。図1に示すように、室温制御機構40は、室外機10、室内機20、連絡配管30を有し、冷媒を循環させる冷媒回路である。図2に示すように、制御回路60は、制御部50および操作パネル51を有する電気回路である。
(2−1)室外機10
図1に示す室外機10は屋外に設置され、冷房運転時の冷熱源、または暖房運転時の温熱源として機能する。室外機10は、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、室外膨張弁15、室外冷媒温度センサ16、室外気温センサ19を有する。
圧縮機11は、冷凍サイクルに必要な圧縮動作を行うためのものである。この圧縮動作において、圧縮機11は吸入した低圧ガス冷媒を圧縮し、高圧ガス冷媒にして吐出する。
四路切換弁12は、冷媒回路の接続を変更するものである。図1において、四路切換弁12は、冷房運転の場合には実線で描かれた接続を行い、暖房運転の場合には破線で描かれた接続を行う。
室外熱交換器13は、空気と冷媒との熱交換を行うものである。室外熱交換器13は、冷房運転の場合には凝縮機として機能する一方、暖房運転の場合には蒸発機として機能する。室外熱交換器13には、熱交換の効率を向上させるために空気と室外熱交換器13との接触を促す室外ファン14が設けられている。
室外膨張弁15は開度調整が可能な電動弁であり、必要に応じて冷媒の減圧をする。
室外冷媒温度センサ16は室外熱交換器13を流れる冷媒が相変化をする温度である室外冷媒相変化温度Troを測定する。室外冷媒相変化温度Troは、冷房運転の場合には冷媒の凝縮温度であり、暖房運転の場合には冷媒の蒸発温度である。
室外気温センサ19は、室外機10が設置されている屋外の空気の温度、すなわち室外気温Toutを測定する。
室内機20は屋内に設置され、冷熱または温熱をユーザに提供する。室内機20は、室内膨張弁21、室内熱交換器22、室内冷媒温度センサ26、室内気温センサ29を有する。
室内膨張弁21は開度調整が可能な電動弁であり、必要に応じて冷媒の減圧をする。
室内熱交換器22は、空気と冷媒との熱交換を行うものである。室内熱交換器22は、冷房運転の場合には蒸発機として機能する一方、暖房運転の場合には凝縮機として機能する。室内熱交換器22には、熱交換の効率を向上させるために空気と室内熱交換器22との接触を促す室内ファン23が設けられている。
室内冷媒温度センサ26は室内熱交換器22を流れる冷媒が相変化をする温度である室内冷媒相変化温度Triを測定する。室内冷媒相変化温度Triは、冷房運転の場合には冷媒の蒸発温度Teであり、暖房運転の場合には冷媒の凝縮温度Tcである。
室内気温センサ29は、室内機20が設置されている部屋の空気の温度、すなわち室温Tinを測定する。
連絡配管30は、室外機10と室内機20とを接続しており、液冷媒配管31およびガス冷媒配管32を有する。
液冷媒配管31は、室外機10と室内機20の間で液冷媒を移動させるための管路である。
ガス冷媒配管32は、室外機10と室内機20の間でガス冷媒を移動させるための管路である。
図2に示す操作パネル51は、ユーザによる運転設定の入力を受け取るためのものである。操作パネル51は、室温Tinについて設定された目標温度Tin(target)、および配分値Pの設定値を受け取る。ここで、配分値Pとは、空気調和機100のユーザにとっての、温度収束性と省エネルギー性の重要度の主観的または客観的な比率である。操作パネル51は、典型的には室内機20が設置される部屋の壁に設置されるが、代替的に、リモートコントローラ、室内機20そのもの、またはその他の箇所に設置されてもよい。
制御部50は、室温制御機構40の各種センサおよびアクチュエータを制御する。制御部50は、温度取得部53、空間特性パラメータ推定部54、室温変化モデル保持部62、室温軌道保持部61、冷媒相変化温度計算部63、制御計算部64、エネルギー指数計算部65、室温収束性指数計算部66、室温軌道パラメータ計算部67、空調制御部58を有する。
温度取得部53は、各種温度センサの出力を含む信号を受け取り、ディジタルデータの温度情報として整える。それから、温度取得部53は、温度情報を空間特性パラメータ推定部54および室温軌道保持部61へ送信する。
空間特性パラメータ推定部54は、温度取得部53から送られる温度情報を逐次、温度情報履歴として蓄積する。さらに、空間特性パラメータ推定部54は、自身が保持する温度情報履歴の一部または全部に基づいて、後述する「空間特性パラメータ」を推定し、それらの推定値を室温変化モデル保持部62へ送信する。
室温変化モデル保持部62は、後述する「室温変化モデル」を保持している。また、室温変化モデル保持部62は、空間特性パラメータ推定部54より空間特性パラメータの値を受け取り、室温変化モデルの一部として保持する。
室温軌道保持部61は、室温Tinについて設定された初期温度Tin(initial)および目標温度Tin(target)を受け取り、それらに基づいて形成した室温軌道R(t、τ)保持する。室温軌道R(t、τ)は、時間変数tと室温軌道パラメータτを有する関数である。ただし、室温軌道保持部61は、室温軌道パラメータτについての情報を保持していない。
冷媒相変化温度計算部63は、室温変化モデルに基づいて、室温制御機構40において実現されるべき冷媒相変化温度軌道U(t、τ)を算出する。冷媒相変化温度軌道U(t、τ)とは、室内冷媒相変化温度Triにおいて実現されるべき時間推移のことである。
制御計算部64は、冷媒相変化温度計算部63が算出した冷媒相変化温度軌道U(t、τ)を実現するような、各種アクチュエータの制御シーケンスを算出する。
エネルギー指数計算部65は、制御計算部64が算出した制御シーケンスに対応するエネルギー指数JE(t、τ)を算出する。
室温収束性指数計算部66は、室温軌道パラメータ計算部67と情報を授受することにより室温収束性指数JD(t、τ)を算出する。
室温軌道パラメータ計算部67は、エネルギー指数JE(t、τ)と室温収束性指数JD(t、τ)に基づいて、最適な室温軌道パラメータτを算出する。
空調制御部58は、制御計算部64の計算結果に基づいて、最適な室温軌道パラメータτを有する室温軌道R(t、τ)を実現するように、室温制御機構40の各種アクチュエータを制御する。空調制御部58が制御するアクチュエータには、圧縮機11、四路切換弁12、室外ファン14、室外膨張弁15、室内膨張弁21、室内ファン23が含まれる。
(3−1)冷房運転
冷房運転の場合、図1に示す室温制御機構40において、四路切換弁12は実線で示す回路を構成する。
暖房運転の場合、図1に示す室温制御機構40において、四路切換弁12は破線で示す回路を構成する。
(4−1)室温変化モデルおよび空間特性パラメータ
図3は、本発明に係る空気調和機100の室温変化モデル保持部62が想定する室温変化モデルを示す。部屋70は壁71によって外部空間と隔てられている。室外機10は部屋70の外に設置され、室内機20は部屋70の中に設置されている。部屋70は熱容量C[J/K]を有している。室温はTin[℃]であり、室外気温はTout[℃]である。部屋70の中には、家電製品、電子機器、または人間などの熱源72が存在する。
制御回路60の目的は、室内気温センサ29によって検出される室温Tinの時間推移を、室温軌道R(t、τ)に合致させることである。前述のとおり、室温軌道R(t、τ)は、時間変数tと室温軌道パラメータτを有する関数である。関数はどのようなものであってもよい。室温軌道R(t、τ)の一例は、下記の式で表される指数関数である。
図2に示す冷媒相変化温度計算部63は、室温変化モデルと室温軌道R(t、τ)に基づいて、室温制御機構40において実現されるべき冷媒相変化温度軌道U(t、τ)を算出する。室温変化モデルと室温軌道R(t、τ)から冷媒相変化温度軌道U(t、τ)を算出する具体的な計算方法は、どのようなものであってもよい。
最適な室温軌道パラメータτの決定は、図2に示すエネルギー指数計算部65、室温収束性指数計算部66、室温軌道パラメータ計算部67によって行われる。
図2に示す空調制御部58は、室温軌道パラメータ計算部67によって決定された室温軌道パラメータτについての室温軌道R(t、τ)に相当する冷媒相変化温度軌道Uが実現されるように、室温制御機構40の各種アクチュエータを制御する。
図2の空間特性パラメータ推定部54は、図3の室温変化モデルで用いられる空間特性パラメータ、すなわち、熱容量C、内部負荷Lin、外部負荷Loutを以下の要領で推定する。
空間特性パラメータ推定部54は、温度取得部53を介して温度情報を繰り返し取得し、温度情報履歴として蓄積する。n番目の温度情報x[n]は、例えば4つの要素を有する下記のベクトルで表すことができる。
次に、空間特性パラメータ推定部54は、蓄積した温度情報履歴の中から引き出した直近のM個の温度情報x[n](1≦n≦M)につき、多変数最小二乗法を実行する。
(6−1)
空気調和機100は、熱容量Cを含む空間特性パラメータを、温度情報x[n]から推定する。したがって、空間特性パラメータを考慮することにより、室温Tinの制御をより望ましいものにできる。
空気調和機100では、M個という複数の温度情報x[n]が取得される。したがって、空間特性パラメータの推定において、精度が向上する。
室温Tin、室温変化率dTin/dt、室外温度Tout、および室内冷媒相変化温度Triという4種類の要素の数値が利用される。したがって、空間特性パラメータの推定において、精度がより向上する。
室温変化モデルは、熱容量C、内部負荷Lin、および外部負荷Loutを含む。したがって、空間特性パラメータ推定部54が、熱容量Cのみならず、内部負荷Lin、および外部負荷Loutをも推定するので、空気調和機100の制御の精度が改善される。
空間特性パラメータ推定部54は、熱貫流率Kを推定する。したがって、熱貫流率Kの推定値の妥当性を、建築材料に関するデータなどと比較して検証しやすい。
空気調和機100は、室温軌道Rを実現するための空調能力Qを風量指数γに換算できる。したがって、行うべきファン制御を、風量指数γから知ることができる。
空気調和機100では、望ましい過渡的推移を表現する室温軌道Rが、室温変化モデルおよび空間特性パラメータを考慮することによって実現される。したがって、室温Tinの時間推移をより望ましいものにできる。
空間特性パラメータの推定には多変数最小二乗法が用いられる。したがって、適切な空間特性パラメータを効率よく算出できる。
(7−1)空間特性パラメータの更新処理
上述の実施形態では、室温変化モデル保持部62が保持する室温変化モデルの中の空間特性パラメータを、空間特性パラメータ推定部54が新たに推定した値で単に上書きすることにより、空間特性パラメータの更新が行われる。これに代えて、毎回の更新において、空間特性パラメータごとに個々に異なる変動感度を設定することによって、一部の空間特性パラメータの値の変動を緩慢にしてもよい。
上述の実施形態では、温度取得部53は、室温制御機構40の運転中に温度情報x[n]を取得することを想定している。これに代えて、温度取得部53は、室温制御機構40の停止中に温度情報x[n]を取得してもよい。この構成によれば、長らく空気調和動作を行っていない期間の後でも、空気調和機100は適切な制御を行うことができる。
上述の実施形態によれば、空間特性パラメータ推定部54が推定する空間特性パラメータは、熱容量C、内部負荷Lin、外部負荷Loutの3つ、またはこれらに熱貫流率Kを加えた4つである。
配分値Pの設定は、ユーザではなく、空気調和機100の施工者または製造者が行っても良い。そのような設定方法に合致させるため、操作パネル51は、室内機20の内部またはリモートコントローラの内部のように、ユーザの手が届かない領域に設置されてもよい。あるいは、配分値Pの設定は、ユーザが使用しないサービスマン・モードにおいて行われてもよい。
上述の実施形態では、制御部50は図2に示す構造を有していたが、制御部50の構成として、これ以外の様々な態様が採用可能である。例えば、室温変化モデルから冷媒相変化温度軌道Uを計算する工程を経ることなく、直接的に室温制御機構40の各種アクチュエータの制御シーケンスが算出されてもよい。
<第2実施形態>
(1)構成
本発明の第2実施形態に係る空気調和機100Aは、図11に示す室温制御機構40Aを有する。室温制御機構40Aは、2台の室内機20a、20bを有する点で第1実施形態と異なる。
この実施形態によれば、第1実施形態について説明した精度のよい制御を、2台の室内機のそれぞれについて別個に行うことができる。
(3−1)
第1実施形態の各変形例を第2実施形態に適用してもよい。
上述の実施形態では、室温制御機構40Aは、2台の室内機20a、20bを有する。これに代えて、室温制御機構40Aは、3台以上の室内機を有してもよい。
20、20a、20b :室内機
30 :連絡配管
40、40A :室温制御機構
50 :制御部
60 :制御回路
70 :部屋
100、100A:空気調和機
C :熱容量
J :評価関数
K :熱貫流率
Lin :内部負荷
Lout :外部負荷
P :配分値
Q :空調能力
R :室温軌道
S :二乗和
Tc :凝縮温度
Tcs :凝縮温度目標値
Te :蒸発温度
Tes :蒸発温度目標値
Tin :室温
Tout :室外気温
Tri :室内冷媒相変化温度
Tro :室外冷媒相変化温度
U :冷媒相変化温度軌道
Claims (10)
- 冷媒を循環させる管路(30)を有し、部屋(70)の室温(Tin)を制御する室温制御機構(40)と、
温度情報(x[n])を繰り返し取得する温度取得部(53)と、
取得された複数の前記温度情報を用いて、前記部屋に関する空間特性パラメータを推定する空間特性パラメータ推定部(54)と、
を備え、
前記空間特性パラメータは、前記部屋の熱容量(C)を含む、
空気調和機(100)。 - 複数の前記温度情報のうちのn番目のもの(x[n])は、1つまたは複数の要素を有するベクトルであり、
前記要素は、
前記室温(Tin)、
室温変化率(dTin/dt)、
室外温度(Tout)、および
室内冷媒相変化温度(Tri)、
のうちの一部を含み、
前記室内冷媒相変化温度(Tri)は、冷房運転の場合には前記冷媒の蒸発温度(Te)であり、暖房運転の場合には前記冷媒の凝縮温度(Tc)である、
請求項1に記載の空気調和機。 - 前記空間特性パラメータは、前記熱容量(C)のほか、さらに、内部負荷(Lin)および外部負荷(Lout)を含む、
請求項1から3のいずれか1つに記載の空気調和機。 - 空調能力(Q)を変化させるように前記室温制御機構を制御する空調制御部(58)、
をさらに備え、
前記室温制御機構は、圧縮機(11)、電動弁(15、21)、およびファン(23)をさらに有し、
前記空調能力(Q)は、
前記室内冷媒相変化温度(Tri)は、冷房運転の場合には前記冷媒の蒸発温度(Te)であり、暖房運転の場合には前記冷媒の凝縮温度(Tc)であり、
前記空調制御部は、前記空調能力(Q)を生み出すような前記風量指数(γ)および前記室内冷媒相変化温度(Tri)を算出し、前記風量指数(γ)に従って前記ファンを制御するとともに、前記室内冷媒相変化温度(Tri)に従って前記圧縮機または前記電動弁を制御する、
請求項4または請求項5に記載の空気調和機。 - 前記空間特性パラメータ推定部は、前記空間特性パラメータに含まれる前記熱容量Ciおよび前記熱貫流率Kiを推定するi回目の推定を行い、それから所定期間の経過後、更新された熱容量Ci+1および更新された熱貫流率Ki+1を推定する(i+1)回目の推定を行い、
前記(i+1)回目の推定においては、
まず、前記空間特性パラメータ推定部は、前記多変数最小二乗法によって前記空間特性パラメータに含まれる前記熱容量Capproxおよび前記熱貫流率Kapproxを算出する仮計算処理を行い、
次いで、前記空間特性パラメータ推定部は、
請求項8に記載の空気調和機。 - 前記温度取得部は、前記室温制御機構の停止中に前記温度情報を取得する、
請求項1から9のいずれか1つに記載の空気調和機。
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