JP2017071698A - 蓄熱材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱システムに対応した相対水蒸気圧範囲内で大きな水蒸気吸脱着量を有する蓄熱材料の提供。
【解決手段】アルミニウム複合酸化物であって、アルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素が0.01〜5.0原子がドープされており、かつBET比表面積が350〜600m2/gである蓄熱材料。前記第5族元素は、バナジウム、ニオブ又はタンタルから選ばれるいずれか1つ以上の元素。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム複合酸化物であって、アルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素が0.01〜5.0原子がドープされており、かつBET比表面積が350〜600m2/gである蓄熱材料。前記第5族元素は、バナジウム、ニオブ又はタンタルから選ばれるいずれか1つ以上の元素。
【選択図】なし
Description
本発明はアルミニウム複合酸化物からなる蓄熱材料および、その製造方法に関する。
近年、二酸化炭素の排出を抑制すべく化石燃料利用の削減が求められており、エネルギー利用の高効率化に加え、廃熱利用に関する多くの試みが進められてきている。各種工場、発電所やごみ焼却場等からは利用されていない熱エネルギーが多く排出されている。これらの熱は60℃から500℃前後であり、この中でも100℃から200℃前後までの比較的低温の廃熱の利用が強く望まれている。そのためには、蓄熱量が大きいことに加えて、耐久性の良好な、すなわち効率の高い蓄熱材料およびその製造技術が求められている。
水蒸気吸脱着を利用した蓄熱材料としては、例えばゼオライト、シリカゲル、活性炭や多孔性アルミナ、多孔性シリカが知られている(特許文献1)。また、蓄熱密度を向上させた蓄熱材料として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナおよび多孔質シリカに対して1〜50質量%担持した水蒸気吸脱着系蓄熱材料が提案されている(特許文献2)。
吸着冷凍機やデシカント空調システムでは、吸脱着分子(吸脱着質)として主に水が用いられ、システムとしてはいずれの場合も吸着及び脱着(再生)時の温度及び湿度条件により定まる特定の相対水蒸気圧の間で繰り返し吸脱着操作を行うことにより駆動する。このため、水蒸気吸脱着系蓄熱材料に対する要求性能としては、まずシステムの作動相対水蒸気圧間で大きな水蒸気吸着量を持つことが必要であり、基本的にはこの条件を満足するように水蒸気吸脱着系蓄熱材料の開発あるいは最適化が行われている。
しかしながら、ゼオライトおよび多孔性シリカは水蒸気吸脱着量が少ない。また、特許文献1記載の蓄熱材料は利用できるBET比表面積が100〜350m2/gに限定され、水蒸気吸脱着量は少なく、その増大が望まれる。
特許文献2で提案された蓄熱材は特定の相対水蒸気圧間での水蒸気吸脱着量がやはり少なく、また、数百回、数千回を越える繰り返し使用を考えると、担持されている塩化カルシウム等の潮解脱離も懸念される。
特許文献2で提案された蓄熱材は特定の相対水蒸気圧間での水蒸気吸脱着量がやはり少なく、また、数百回、数千回を越える繰り返し使用を考えると、担持されている塩化カルシウム等の潮解脱離も懸念される。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、蓄熱システムに対応した相対水蒸気圧範囲内で大きな水蒸気吸脱着量を有する蓄熱材料を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す構成を備える。
(1)アルミニウム複合酸化物であって、アルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素が0.01〜5.0原子がドープされており、かつBET比表面積が350m2/gより大きく600m2/g以下である蓄熱材料。
(2)前記第5族元素が、バナジウム、ニオブおよびタンタルの群から選ばれるいずれか1つ以上の元素である前項1に記載の蓄熱材料。
(3)前記アルミニウム複合酸化物中のアルミニウム酸化物がγ―アルミナであることを特徴とする前項1または2に記載の蓄熱材料。
(4)相対水蒸気圧に対する水蒸気吸着量の変曲点が相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲にある前項1〜3のいずれかに記載の蓄熱材料。
(5)相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量が0.45(kg/kg)以上である前項1〜4のいずれかに記載の蓄熱材料。
(6)相対水蒸気圧0.65における水蒸気吸着量と相対水蒸気圧0.85における水蒸気吸着量の差分が0.27(kg/kg)以上である前項1〜5のいずれかに記載の蓄熱材料。
(7)アルミニウムアルコキシドと第5族元素のアルコキシドとを溶液中で混合し、加水分解させ、得られた析出物を焼成する前項1〜6のいずれかに記載の蓄熱材料の製造方法。
本発明による蓄熱材料は、アルミニウム複合酸化物合成時に特定の範囲の量で第5族元素をドープすることにより、特定の相対水蒸気圧範囲の利用において、水蒸気吸着量を多くすることができ、大容量の蓄熱を行うことができる。
本発明の蓄熱材料は、第5族元素がドープされているアルミニウム複合酸化物を含み、図2に示すようにアルミニウム酸化物のみからなる蓄熱材料に比べて、水蒸気吸着量変化のピーク(変曲点)が存在するとともに、図1において水蒸気吸着の立ち上がりが低相対水蒸気圧側に存在し、相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲における水蒸気吸着量の差分量が大きいため、蓄熱システムに用いられた場合に、アルミニウム酸化物のみからなる蓄熱材料に比べてより効率的な蓄熱材料となる。
水蒸気吸着型蓄熱材料の蓄熱量は水蒸気吸着量が大きいことが望ましく、例えば相対水蒸気圧0.90における総水蒸気吸着量が指標として挙げられる。
一方で水蒸気吸着型蓄熱材料は、用いられる蓄熱システムの作動相対水蒸気圧範囲で大きな水蒸気吸着量の差分量を持つことが好ましい。蓄熱システムの作動に必要なエネルギーが少なくて済むことから、蓄熱システムの作動水蒸気圧範囲は相対水蒸気圧0.5に近いことが好ましく、また狭い範囲の幅に設定できることが好ましい。逆にみると水蒸気吸着型蓄熱材料としては、相対水蒸気圧0.5と0.9の間に水蒸気吸着の立ち上がりのある吸着等温線を示すことが好ましい。相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲において水蒸気吸着差分量の大きい水蒸気吸着型蓄熱材料を蓄熱システムに用いると、エネルギー効率の良い蓄熱システムとなる。
図1において水蒸気吸着の立ち上がりが低相対水蒸気圧側にシフトし、その相対水蒸気圧において図2の変曲点が現れた理由は、以下のように考えられる。アルミニウム酸化物を含め、上記第5族元素からなる酸化物は一般に固体酸や固体塩基とも分類され、その固体表面には酸素欠損や結晶欠陥などの原因により分極した(電荷の集中した)サイト(活性点)が存在する。分極したサイトに水が吸着すると、酸または塩基的性質を示す。アルミニウムより高価数をとる金属の酸化物を導入すると塩基性を示し、低酸化数をとる金属の酸化物を導入すると酸性を示す。例えば、アルミニウムの3価に対して、価数5価の第5族元素を導入すると、水酸化物イオンが解離して塩基点として作用する。従って、このような酸点および塩基点は、水分子の吸脱着できるサイトとして機能する。第5族元素がドープされたアルミニウム複合酸化物により、本発明の蓄熱材料は水分子の吸脱着しやすいサイトを導入することができ水蒸気吸脱着特性を向上させることができる。
本発明の蓄熱材料が含む第5族元素については、電子親和力の観点でみることもできる。第5族元素の電気陰性度が大きければ、隣り合う酸素原子上の電子密度が小さくなり、吸着した水の水素イオンが放出されやすい。第5族元素の電気陰性度が小さければ、隣り合う酸素原子とのイオン結合性が増し、水酸化物イオンが放出されやすい。第5族元素の種類と量を選択することにより、酸点または塩基点の量および、相対水蒸気圧に対する変曲点位置を適切に調節することができる。
アルミニウム複合酸化物のアルミニウム原子に対して、第5族元素の量が少ないうちは、導入された塩基点の量は少なく強い塩基点として機能する。第5族元素の量が多くなると、導入された塩基点の量は多くなるとともに弱い塩基点として機能する。ドープする第5族元素の量を適切に調節することにより、相対水蒸気圧に対する変曲点位置を蓄熱システムに合わせて調節することができる。
第5族元素の量は、蓄熱材料であるアルミニウム複合酸化物中のアルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素が0.01〜5.0原子であり、好ましくは、0.02〜1.0原子であり、より好ましくは0.02〜0.5原子である。アルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素が0.01〜5.0原子であると、第5族元素をドープしていないアルミニウム酸化物の場合と異なり、相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲において水蒸気吸着量の差分量が大きくなる。この場合、後述する方法で水蒸気吸着量の微分値を求めてプロットすると、相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲において変曲点が現れる。蓄熱材料中のアルミニウム元素と第5族元素の合計100原子に対する第5族元素の量は、透過電子顕微鏡(TEM)等に付属のエネルギー分散型分光(EDS)装置を用いてアルミニウム元素と第5族元素とのピーク強度比から求めることができる。また、原子発光分析により求めることもできる。アルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素が0.01原子未満の場合、相対水蒸気圧に対する変曲点が相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲には現れない。一方、第5族元素が5.0を越える場合は水蒸気吸着量そのものが減少してしまい好ましくない。
本発明の蓄熱材料のBET比表面積は、350より大きく600m2/g以下である。好ましくは400〜550m2/gであり、より好ましくは435〜500m2/gである。BET比表面積が大きくなると、多孔質(ポーラス)構造を維持したまま水分子の吸脱着点を十分に有することができ水蒸気吸着量が大きくなる。350m2/g以下の場合は水蒸気吸着量が少なく高蓄熱性を有しない。一方600m2/gを大きく越えると、アルミニウム複合酸化物の強度が低下してしまい、耐久性が大きく低下する。
本発明に用いるアルミニウム複合酸化物は、例えば、界面活性剤等の有機物が形成するミセルを鋳型として利用するテンプレート法で得ることができる。この方法は、前駆体となるアルミニウムアルコキシド溶液と第5族元素アルコキシド溶液を界面活性剤の存在下で加水分解させ、得られた析出物を洗浄し、乾燥し、そして焼成する工程を含む。使用する界面活性剤の炭素鎖が長いほど、多孔質アルミナの細孔径が大きくなる傾向がある。これを利用して多孔質アルミナの細孔径を数nmのレベルで制御することができる。
本発明の蓄熱材料は、第5族元素をドープしていないアルミニウム酸化物の場合とは異なり、相対水蒸気圧に対する水蒸気吸着量変化のピーク位置(変曲点)が相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲に出現する。本明細書における相対水蒸気圧に対する変曲点の求め方を以下に記す。図1に示す吸着等温線より相対水蒸気圧0.05から0.90までの0.05毎(x1・・・x18)の水蒸気吸着量(y1・・・y18)を求め、相対水蒸気圧に対する傾き(微分値)、すなわち、隣接する点との差分を0.05で割った値をプロットしたものを図2に示す。本明細書において、図2に見られるピークを相対水蒸気圧に対する水蒸気吸着量変化の変曲点とする。本発明の蓄熱材料は、第5族元素がドープされていることにより変曲点を有し、相対水蒸気圧0.90以下の領域において第5族元素をドープしていないアルミニウム酸化物よりも水蒸気吸着量が多い領域を有する。
本発明の蓄熱材料の前記変曲点は、第5族元素のドープ量を調節することにより、相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲に調整することができ、目的とする蓄熱システムの相対水蒸気圧範囲内に適合させやすく、結果として蓄熱効率が高くなり好ましい。相対水蒸気圧0.65における水蒸気吸着量と相対水蒸気圧0.85における水蒸気吸着量の差分量は、0.27(kg/kg)以上であることが好ましく、より好ましくは0.28(kg/kg)以上、さらに好ましくは0.29(kg/kg)以上である。
水蒸気吸着型蓄熱材料は、総水蒸気吸着量が0.45(kg/kg)あることが望ましいとされている。本発明の蓄熱材料は、相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量が0.45(kg/kg)以上とすることができる。相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量は、0.45以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、0.63以上であることがさらに好ましい。
水蒸気吸着量は、市販の水蒸気吸着量測定装置を用いて得られる水蒸気吸着等温線から求めることができる。また、建築材料の平衡含水率測定法(JIS A1475)に沿って飽和塩水溶液の入った複数の密閉容器を用いて簡便に測定することもできる。
相対水蒸気圧に対する水蒸気吸着量の変曲点および相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量は、前述したようにいずれも水蒸気吸着等温線から読み取ることができる。
本発明の蓄熱材料に用いるアルミニウム複合酸化物にドープされる第5族元素は、バナジウム、ニオブおよびタンタルの群から選ばれるいずれか1つ以上が好ましく、ニオブまたはタンタルがより好ましい。
本発明の蓄熱材料において、アルミニウム複合酸化物中のアルミニウム酸化物成分はγ−アルミナであることが好ましい。γ−アルミナを主成分とする多孔質体(メソポーラス)となっていると、比表面積が大きく水蒸気吸着量が多く好ましい。また、このような蓄熱材料であれば、XRD(X線回折)測定によりγ−アルミナに相当するブロードな回折パターンを確認することができる。
本発明の蓄熱材料は、例えば工場排熱等によって蓄熱材料を加熱して水蒸気を脱離することにより蓄熱することができる。水蒸気脱離された蓄熱材料は、乾燥状態に保つことにより数日から数年単位で容易に蓄熱状態を維持することができ、またその蓄熱状態を維持しながら所望の場所へ持ち運ぶことができ、使用することができる。例えば、夏期に蓄熱して冬期に活用することも可能である。放熱する場合(またはエントロピー変化による冷熱源化)には、水蒸気と接触させることにより水和反応熱(水蒸気吸着熱)を熱エネルギーとして取り出すことができる。また。気密封鎖空間内の一方で水蒸気吸着を行わせ、他方では水を蒸発させることにより冷熱および温熱の両方を発生させることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
「実施例1」
アルミニウムトリsecondary−ブトキシド(以下、アルミニウムトリs−ブトキシドと略す)82.1g、ペンタエトキシニオブ4N0.064gを2−ブタノール61.8g中に25℃で撹拌しつつ溶解させて溶液Aを得た。別に、界面活性剤としてステアリン酸18.9gを2−ブタノール61.8g中に70℃で溶解させて溶液Bを得た。溶液Aと溶液Bを混合して、さらに水100mlを少量ずつ加えたのち24時間撹拌して白色沈殿を得た。得られた白色沈殿を濾別し、エタノールで洗浄後、室温で48時間乾燥した。続いて空気中で500℃、5時間焼成して粉体の蓄熱材料(アルミニウム複合酸化物)を得た。得られた蓄熱材料のXRD測定を行い、γ−アルミナに相当するブロードな回折パターンを確認した。
アルミニウムトリsecondary−ブトキシド(以下、アルミニウムトリs−ブトキシドと略す)82.1g、ペンタエトキシニオブ4N0.064gを2−ブタノール61.8g中に25℃で撹拌しつつ溶解させて溶液Aを得た。別に、界面活性剤としてステアリン酸18.9gを2−ブタノール61.8g中に70℃で溶解させて溶液Bを得た。溶液Aと溶液Bを混合して、さらに水100mlを少量ずつ加えたのち24時間撹拌して白色沈殿を得た。得られた白色沈殿を濾別し、エタノールで洗浄後、室温で48時間乾燥した。続いて空気中で500℃、5時間焼成して粉体の蓄熱材料(アルミニウム複合酸化物)を得た。得られた蓄熱材料のXRD測定を行い、γ−アルミナに相当するブロードな回折パターンを確認した。
アルミニウム元素と第5族元素の合計100原子に対する第5族元素のドープ量(原子数%)は、TEM装置付属のエネルギー分散型分光(EDS)装置を用いて求めた。
全自動比表面積測定装置Macsorb HM model1208(マウンテック社製)を用いて、試料の前処理を200℃、30分とし、冷却時間4分、吸着ガスをN2にして実施例1で得られた蓄熱材料のBET比表面積を求めた。得られたBET比表面積を表1に示す。
実施例1で得られた蓄熱材料を120℃、8時間の真空加熱前処理を行ってから、BELSORP−max(マイクロトラック・ベル社製)を用いて25℃での水蒸気吸着等温線を求めた。得られた水蒸気吸着等温線を図1に示す。
「実施例2〜4、比較例1〜4」
表1に記載の通りの第5族元素の量となるように、アルミニウムトリs−ブトキシドとペンタエトキシニオブ4Nの割合を変更した以外は実施例1と同様にして作製した。XRD測定を行い、いずれの例においてもγ−アルミナに相当するブロードな回折パターンを確認した。第5族元素ドープ量(原子数%)、BET比表面積、相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量、および変曲点相対水蒸気圧を表1に併せて示す。比較例1の水蒸気吸着等温線を図1に併せて示す。
表1に記載の通りの第5族元素の量となるように、アルミニウムトリs−ブトキシドとペンタエトキシニオブ4Nの割合を変更した以外は実施例1と同様にして作製した。XRD測定を行い、いずれの例においてもγ−アルミナに相当するブロードな回折パターンを確認した。第5族元素ドープ量(原子数%)、BET比表面積、相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量、および変曲点相対水蒸気圧を表1に併せて示す。比較例1の水蒸気吸着等温線を図1に併せて示す。
図1から、第5族元素がドープされることにより、第5族元素がドープされていないアルミニウム酸化物と比べて水蒸気吸着等温線が低相対水蒸気圧側にシフトしていることがわかる。図2に実施例1及び比較例1の水蒸気吸着量変化の微分値のプロットを示す。水蒸気吸着量変化の微分値は前述したとおりの方法で求めた。図2からニオブ元素ドープ量(原子数%)が0.06%のアルミニウム複合酸化物は、微分値がピークを有していることがわかり、その最大ピーク位置(すなわち「相対水蒸気圧に対する水蒸気吸着量の変曲点」の位置)は相対水蒸気圧0.80であることがわかる。実施例2〜4及び比較例2〜4で得られたアルミニウム複合酸化物についても同様に水蒸気吸着量変化の微分値を求めたところ、実施例2〜4及び比較例2及び3で得られたアルミニウム複合酸化物については、いずれも微分値がピークを有した。一方、比較例4で得られたアルミニウム複合酸化物については、微分値がピークを有さなかった。
「実施例5〜6」
ペンタエトキシニオブ4Nに代えてタンタル(V)エトキシドを用い、表1に記載の通りの第5族元素の量となるように、アルミニウムトリs−ブトキシドとタンタル(V)エトキシドの割合を変更した以外は実施例1と同様にして作製した。XRD測定を行い、いずれの例においてもγ−アルミナに相当するブロードな回折パターンを確認した。
第5族元素ドープ量(原子数%)、BET比表面積、相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量、変曲点の相対水蒸気圧、および相対水蒸気圧0.65〜0.85間での水蒸気吸着差分量を表1に併せて示す。実施例5〜6で得られたアルミニウム複合酸化物についても同様に水蒸気吸着量変化の微分値を求めたところ、いずれも微分値がピークを有した。
ペンタエトキシニオブ4Nに代えてタンタル(V)エトキシドを用い、表1に記載の通りの第5族元素の量となるように、アルミニウムトリs−ブトキシドとタンタル(V)エトキシドの割合を変更した以外は実施例1と同様にして作製した。XRD測定を行い、いずれの例においてもγ−アルミナに相当するブロードな回折パターンを確認した。
第5族元素ドープ量(原子数%)、BET比表面積、相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量、変曲点の相対水蒸気圧、および相対水蒸気圧0.65〜0.85間での水蒸気吸着差分量を表1に併せて示す。実施例5〜6で得られたアルミニウム複合酸化物についても同様に水蒸気吸着量変化の微分値を求めたところ、いずれも微分値がピークを有した。
本発明の蓄熱材料は、アルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素を0.01〜5.0原子の範囲でドープすることにより、相対水蒸気圧に対する水蒸気吸着量の変曲点を相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲に調整でき、目的とする蓄熱システムに対応した相対水蒸気圧範囲内に適合させやすく、加えて350〜600m2/gの比表面積を有することにより、相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量が0.45kg/kg以上の水蒸気吸着量を有し、蓄熱用途に繰り返し使用できる。
本発明の蓄熱材料は、粉体のまま用いることもできるし、ビーズやペレットに加工してから用いることもできる。加えて、市販の高熱伝導性シート上にペーストにして塗布するなどしてシート状として用いることもできる。自動車や工場などから排出される熱エネルギーを蓄熱し、利用することができる。
Claims (7)
- アルミニウム複合酸化物であって、アルミニウム元素と第5族元素との合計100原子に対して第5族元素が0.01〜5.0原子ドープされており、かつBET比表面積が350m2/gより大きく600m2/g以下である蓄熱材料。
- 前記第5族元素が、バナジウム、ニオブおよびタンタルの群から選ばれるいずれか1つ以上の元素である請求項1に記載の蓄熱材料。
- 前記アルミニウム複合酸化物中のアルミニウム酸化物がγ―アルミナであることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱材料。
- 相対水蒸気圧に対する水蒸気吸着量の変曲点が相対水蒸気圧0.65〜0.85の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の蓄熱材料。
- 相対水蒸気圧0.90における水蒸気吸着量が0.45(kg/kg)以上である請求項1〜4のいずれかに記載の蓄熱材料。
- 相対水蒸気圧0.65における水蒸気吸着量と相対水蒸気圧0.85における水蒸気吸着量の差分が0.27(kg/kg)以上である請求項1〜5のいずれかに記載の蓄熱材料。
- アルミニウムアルコキシドと第5族元素のアルコキシドとを溶液中で混合し、加水分解させ、得られた析出物を焼成する請求項1〜6のいずれかに記載の蓄熱材料の製造方法。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN111944491A (zh) * | 2020-08-21 | 2020-11-17 | 中国矿业大学 | 一种金属相变微胶囊储热颗粒的制备方法与应用 |
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CN111944491A (zh) * | 2020-08-21 | 2020-11-17 | 中国矿业大学 | 一种金属相变微胶囊储热颗粒的制备方法与应用 |
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