JP2017071676A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】再生樹脂を含有する樹脂組成物でありながらも、剛性及び耐熱性に優れながら、得られる成型体の外観が良好である樹脂組成物及びその製造方法、該樹脂組成物を含有する成型体及びその製造方法、ならびに、該樹脂組成物の物性向上方法に関すること。【解決手段】A)熱可塑性再生樹脂 50質量%以上98質量%以下、B)セルロース繊維 1質量%以上49質量%以下、及び、C)相溶化剤 1質量%以上20質量%以下を含んでなる樹脂組成物、ならびに、A)熱可塑性再生樹脂100質量部に対し、B)セルロース繊維1質量部以上98質量部以下、C)相溶化剤1質量部以上40質量部以下を配合する、樹脂組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。更に詳しくは、熱可塑性再生樹脂を含有する樹脂組成物及びその製造方法、該樹脂組成物を含有する成型体及びその製造方法、ならびに、該樹脂組成物の物性向上方法に関する。
多くの包装材は、熱可塑性複合材料及び/又は積層材料を用いたものであり、例えば、ボトル容器、詰め替え用パウチなどに成形される。これらの材料は、様々なエコフレンドリーの観点かつ機能的な理由から、全く異なる種類のポリマーから構成されることがある。例えば、熱可塑性複合材料は、異なる化学的特性を有するポリマー成分を組み合わせ、ポリマーマトリックス内に不連続相を形成させたものであることが多い。また、積層材料は、各層によって透過性が異なるよう特定のバリヤ特性を付与すべく、各層が異なるポリマーから作製されるように設計されていることが多い。例えば、詰め替え用パウチは、別々の層に極性ポリマーと非極性ポリマーを含ませて積層させた積層材料とすることができる。
熱可塑性複合材料及び/又は積層材料によく使用されるポリマーとしては、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、及びエチレンコポリマーが挙げられる。よって、これらの樹脂を2種以上含有する包装材等を回収して樹脂を再生する場合、製品中のポリマー間の非相溶性によって非均質ブレンドが生じることになる。例えば、パウチを回収再生したポリエチレンはポリアミドを含むことから非均質ブレンドを生じるが、バージンポリエチレンと比較して靱性が著しく低下したものである。そこで、このような問題に対する一解決策としては、異なるポリマーを相溶化する添加剤の使用が挙げられる。
例えば、特許文献1には、ポリエチレン、エチレンコポリマー等の第一のポリマー成分と、ヒドロキシル基又はアミノ基を含む熱可塑性樹脂の第二のポリマー成分とのポリマーブレンドに対して、エチレン/アクリル酸メチル/マレイン酸水素エチル等の極性エチレンコポリマーを相溶化剤として組み合わせることで、得られた組成物が均質なポリマーブレンドとなるため、リサイクルに有用な技術であると記載されている。
特開2009−535452号公報
しかしながら、相溶化剤によって異なる物性を有する樹脂同士の均質化が進んだとしても、相容化は混練条件等にも影響されるため、均質な再生樹脂を得ることは未だ十分ではなく、例えば、組成物内での靱性のバラツキ等が生じやすいという課題がある。また、エコフレンドリーの観点から、再生樹脂の各種用途への適用が試みられることから、剛性と耐熱性の更なる向上も期待される。
本発明は、再生樹脂を含有する樹脂組成物でありながらも、剛性及び耐熱性に優れながら、得られる成型体の外観が良好である樹脂組成物及びその製造方法、該樹脂組成物を含有する成型体及びその製造方法、ならびに、該樹脂組成物の物性向上方法に関する。
本発明は、下記〔1〕〜〔5〕に関する。
〔1〕 A)熱可塑性再生樹脂 50質量%以上98質量%以下
B)セルロース繊維 1質量%以上49質量%以下、及び
C)相溶化剤 1質量%以上20質量%以下
を含んでなる樹脂組成物。
〔2〕 A)熱可塑性再生樹脂100質量部に対し、B)セルロース繊維1質量部以上98質量部以下、C)相溶化剤1質量部以上40質量部以下を配合する、樹脂組成物の製造方法。
〔3〕 前記〔1〕記載の樹脂組成物を含有する成型体。
〔4〕 前記〔1〕記載の樹脂組成物を加工して成型体とする、成型体の製造方法。
〔5〕 A)熱可塑性再生樹脂を含有する樹脂組成物中に、該熱可塑性再生樹脂100質量部に対し、B)セルロース繊維1質量部以上98質量部以下、C)相溶化剤1質量部以上40質量部以下を配合することを特徴とする、該樹脂組成物の剛性を向上する方法。
本発明の樹脂組成物は、再生樹脂を含有しながらも、剛性及び耐熱性に優れ、かつ、得られる成型体の外観が良好であるという優れた効果を奏するものである。また、得られる成型体の外観が良好なことに加えて、当該組成物が均質であるために靱性のバラツキが少ないという優れた効果も奏する。
図1は、実施例1の樹脂組成物のシート断面のSEM画像を示す図である。 図2は、比較例4の樹脂組成物のシート断面のSEM画像を示す図である。
〔樹脂組成物〕
[熱可塑性再生樹脂]
本発明における熱可塑性再生樹脂は、熱可塑性を有する再生樹脂であり、成形性の観点から、熱可塑性樹脂を再生したものであることが好ましい。以降、本発明における熱可塑性再生樹脂のことを、単に、再生樹脂と記載することもある。なお、本明細書において、再生樹脂とは、複数の樹脂が混在した樹脂であり、使用済みの製品から公知の方法に従って回収された後、溶融混練して成形された樹脂のことを意味する。
再生樹脂における熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、本発明で用いられる再生樹脂としては、包装材料としての樹脂使用量の観点から、少なくとも、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリアミド樹脂から選ばれる2種以上を構成樹脂として含有するものが好ましく、少なくともポリオレフィン樹脂を含有するものがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)、ポリスチレン(PS樹脂)、ポリ酢酸ビニル(PVAc樹脂)、ポリ塩化ビニル(PVC樹脂)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC樹脂)、ポリアクリル酸(PA樹脂)、ポリアクリル酸エステル(PAE樹脂)、ポリブタジエン(PB樹脂)、ポリイソプレン(PIP樹脂)、ポリクロロプレン(PCP樹脂)等が例示される。これらのなかでも、包装材料としての樹脂使用量の観点から、ポリエチレンを主成分として含有することが好ましい。再生樹脂におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、得られる成型体の外観を向上させる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上である。また、生産性の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンナフタレート(PEN樹脂)、ポリブチレンナフタレート(PBN樹脂)等が例示される。再生樹脂におけるポリエステル樹脂の含有量は、得られる成型体の外観を向上させる観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。また、ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂が含有されていれば、ポリエステル樹脂が含有されていなくてもよく、下限は特に設定されないが、生産性の観点から、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。
ポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカミド(ポリアミド11)、ポリドデカミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)等が例示される。再生樹脂におけるポリアミド樹脂の含有量は、得られる成型体の外観を向上させる観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。また、ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂が含有されていれば、ポリアミド樹脂が含有されていなくてもよく、下限は特に設定されないが、回収工程における分別の難易度の観点から、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上である。
本発明における再生樹脂の組成としては、具体的には、例えば、ポリオレフィン樹脂を60質量%以上99質量%以下、ポリエステル樹脂を0質量%以上30質量%以下、ポリアミド樹脂を0質量%以上30質量%以下、含有する態様が例示される。
本発明では、かかる熱可塑性樹脂を含有する再生樹脂として、例えば、使用済みの詰め替え用パウチ、洗剤ボトルなどから公知の方法に従って回収された再生樹脂を好適に用いることができる。例えば、使用済みのポリオレフィン樹脂を含有する製品を回収し、回収した製品からポリオレフィン樹脂を分別回収した後、溶融混練して再生して調製することができる。市販品を用いてもよい。
本発明の樹脂組成物における再生樹脂の含有量は、50質量%以上98質量%以下であるが、得られる成型体の外観を向上させる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上である。また、得られる成型体の剛性と耐熱性を向上させる観点から、好ましくは96質量%以下、より好ましくは94質量%以下である。
[セルロース繊維]
セルロース繊維は、軽量化、サーマルリサイクル性が期待できる繊維状補強材であるが、その含有量が多くなると、樹脂組成物の粘度が増加することによる成型性の低下や、繊維の凝集やポリマーマトリックスとの界面不安定化による靭性の低下などが起こる。よって、本発明の樹脂組成物におけるセルロース繊維としては、再生樹脂との界面安定化及び樹脂組成物中での微分散の観点から、以下の(i)〜(iii)からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。なお、以降、各群のセルロース繊維を、単に、(i)のセルロース繊維、(ii)のセルロース繊維、(iii)のセルロース繊維と記載する。
(i)相対結晶化度が33%以下である非晶化セルロース繊維
(ii)炭化水素基がアミド結合を介してセルロース繊維に結合しており、セルロースI型結晶構造を有する、改質セルロース繊維
(iii)炭化水素基がエーテル結合を介してセルロース繊維に結合しており、セルロースI型結晶構造を有する、改質セルロース繊維
なお、本明細書において、セルロースの相対結晶化度とは、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度のことであり、下記計算式(A)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
(i)相対結晶化度が33%以下である非晶化セルロース繊維
(i)のセルロース繊維は、相対結晶化度が33%以下であるが、再生樹脂との相溶性向上、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下、更に好ましくは分析でI型結晶が検出されない実質的に0%である。なお、計算式(A)で定義されたセルロースI型結晶化度では、計算上マイナスの値になる場合があるが、マイナスの値の場合はセルロースI型結晶化度は0%とする。
かかる非晶化セルロース繊維は、木材類、パルプ類、紙類、植物茎・葉類、植物殻類等から選ばれる1種又は2種以上のセルロース含有原料を粉砕機で処理して、セルロースの結晶化度を低減することで得ることができる。例えば、特開2011−1547号に記載の方法を参考にすることができる。なお、市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常60%以上である。
具体的には、セルロース含有原料を、必要により、シュレッダー等の裁断機を利用して予め大きさを好ましくは1〜70mm角に整える粗粉砕を行ってから、衝撃式の粉砕機や押出機による処理を行ったり、乾燥処理を行うことで、嵩密度を50〜600kg/mあるいは比表面積を0.2〜750m/kgの範囲に調整した後、媒体式の粉砕機を用いて0.5分〜24時間攪拌することで、結晶化度を低減させた非晶化セルロース繊維を得ることができる。得られる非晶化セルロース繊維の相対結晶化度は、媒体の種類や大きさ、充填率の他、攪拌時間等を調整することで制御することができる。なお、粉砕処理を効率よく行う観点から、原料の水分含量が1.8質量%以下となることが好ましい。
かくして得られた(i)のセルロース繊維は、得られる樹脂組成物の剛性及び耐熱性を向上させる観点から、平均繊維径が好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは7μm以上である。また、上限は特に設定されないが、取扱い性の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下である。なお、本明細書において、セルロース繊維の平均繊維径は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
(ii)炭化水素基がアミド結合を介してセルロース繊維に結合しており、セルロースI型結晶構造を有する、改質セルロース繊維
(ii)のセルロース繊維は、炭化水素基がアミド結合を介してセルロース繊維に結合している。なお、ここで、「アミド結合を介して」結合とは、セルロース繊維表面に存在するカルボキシ基に炭化水素基がアミド結合した状態を意味し、炭化水素を有するアミンをアミド反応させることにより得られる。
(ii)のセルロース繊維における炭化水素基としては、例えば、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が挙げられ、耐熱性を向上させる観点から、鎖式飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基であることが好ましい。
鎖式飽和炭化水素基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。鎖式飽和炭化水素基の炭素数は、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が更に好ましく、15以上が更に好ましい。また、同様の観点から、30以下が好ましく、24以下がより好ましく、20以下が更に好ましく、18以下がより更に好ましい。
鎖式飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、tert-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、オクタコサニル基等が挙げられ、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくはペンチル基、tert-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基である。これらは、単独で又は2種以上が任意の割合でそれぞれ導入されていてもよい。
鎖式不飽和炭化水素基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。鎖式不飽和炭化水素基の炭素数は、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上がより更に好ましく、15以上がより更に好ましい。また、同様の観点から、30以下が好ましく、24以下がより好ましく、20以下が更に好ましく、18以下がより更に好ましい。
鎖式不飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、イソプレニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、オクタデセニル基が挙げられ、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくはデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、オクタデセニル基である。これらは、単独で又は2種以上が任意の割合でそれぞれ導入されていてもよい。
環式飽和炭化水素基の炭素数は、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。また、同様の観点から、20以下が好ましく、16以下がより好ましく、12以下が更に好ましく、8以下がより更に好ましい。
環式飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられ、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基である。これらは、単独で又は2種以上が任意の割合でそれぞれ導入されていてもよい。
芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる。アリール基及びアラルキル基としては、芳香族環そのものが置換されたものでも非置換のものであってもよい。
前記アリール基の総炭素数は6以上であればよく、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは14以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。
前記アラルキル基の総炭素数は7以上であり、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは8以上であり、また、同様の観点から、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは14以下、更に好ましくは13以下、更に好ましくは11以下である。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ターフェニル基、及びこれらの基が任意の置換基で置換された基が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上が任意の割合でそれぞれ導入されていてもよい。なかでも、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、及びこれらの基の芳香族基が任意の置換基で置換された基などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上が任意の割合でそれぞれ導入されていてもよい。なかでも、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基が好ましい。
(ii)のセルロース繊維における炭化水素基の平均結合量(mmol/g)は、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式飽和炭化水素基については、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは0.001mmol/g以上、より好ましくは0.005mmol/g以上、更に好ましくは0.01mmol/g以上である。また、反応性の観点から、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、更に好ましくは1.5mmol/g以下である。また、芳香族炭化水素基については、炭化水素基の平均結合量は、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上、更に好ましくは0.5mmol/g以上、更に好ましくは0.7mmol/g以上、更に好ましくは0.9mmol/g以上、更に好ましくは1.0mmol/g以上である。また、反応性の観点から、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2.5mmol/g以下、更に好ましくは2.0mmol/g以下である。ここで、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式飽和炭化水素基から選ばれる炭化水素基と、芳香族炭化水素基とが同時に導入されている場合であっても、個々の平均結合量は前記範囲内であることが好ましい。
また、炭化水素基の導入率は、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式飽和炭化水素基については、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上であり、経済性の観点から、好ましくは99%以下、より好ましくは97%以下、更に好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。また、芳香族炭化水素基については、炭化水素基の導入率は、同様の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、更に好ましくは75%以上であり、経済性の観点から、好ましくは99%以下、より好ましくは97%以下、更に好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。ここで、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式飽和炭化水素基から選ばれる炭化水素基と、芳香族炭化水素基とが同時に導入されている場合には、導入率の合計が上限の100%を超えない範囲において、前記範囲内となることが好ましい。
なお、本明細書において、炭化水素基の平均結合量は、アミン添加量、アミンの種類、反応温度、反応時間、溶媒などによって調整することができる。また、改質セルロース繊維における炭化水素基の平均結合量(mmol/g)及び導入率(%)とは、セルロース繊維表面のカルボキシ基に炭化水素基が導入された量及び割合のことであり、セルロース繊維のカルボキシ基含有量を公知の方法(例えば、滴定、IR測定等)に従って測定することで算出することができる。
(ii)のセルロース繊維は、セルロース繊維に炭化水素基をアミド結合を介して導入できるのであれば、特に限定なく公知の方法、例えば、特開2015−143337号に記載の方法に従って製造することができる。具体的には、例えば、以下の工程を含む製造方法により得ることができる。
工程(ii−1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る工程
工程(ii−2):工程(ii−1)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維と、炭化水素基を有するアミンとをアミド化反応させる工程
なお、前記好適な製造方法としては、工程(ii−1)の後に後述する微細化工程を行い、カルボキシ基含有微細セルロース繊維とした後に工程(ii−2)を行う方法(第1の製造形態)、及び、工程(ii−1)の後に工程(ii−2)を行い、その後に微細化工程を行う方法(第2の製造形態)が挙げられる。また、ここで用いられる炭化水素基を有するアミンとは、前記した炭化水素基を有するアミンであれば、公知の方法に従って調製したものであっても、市販品であってもよい。
(ii)のセルロース繊維は、微細化処理を行わずに得られた場合には、平均繊維径が、得られる樹脂組成物の剛性及び耐熱性を向上させる観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上である。また、上限は特に設定されないが、得られる樹脂組成物の靱性を向上させる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下である。
また、微細化処理を行って得られた場合には、平均繊維径が、得られる樹脂組成物の剛性及び耐熱性を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは0.2nm以上、更に好ましくは0.5nm以上、更に好ましくは0.8nm以上、更に好ましくは1nm以上である。また、同様の観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、更に好ましくは20nm以下、更に好ましくは10nm以下である。なお、本明細書において、セルロース繊維の平均繊維径がナノオーダーサイズである場合は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
(ii)のセルロース繊維は、工程(ii−2)の反応により結晶性が低下することがないことから、セルロースI型結晶構造を有するものであり、用いたセルロース繊維の結晶化度と同程度の結晶化度を有することが好ましい。相対結晶化度としては、得られる樹脂組成物の剛性及び耐熱性を向上させる観点から、好ましくは35%以上、より好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上である。また、反応性の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、更に好ましくは80%以下、更に好ましくは75%以下である。
(iii)炭化水素基がエーテル合を介してセルロース繊維に結合しており、セルロースI型結晶構造を有する、改質セルロース繊維
(iii)のセルロース繊維は、炭化水素基がエーテル結合を介してセルロース繊維に結合している。なお、ここで、「エーテル結合を介して」結合とは、セルロース繊維表面に存在するカルボキシ基に炭化水素基がエーテル結合した状態を意味し、炭化水素を有するアミンをエーテル化反応させることにより得られる。
(iii)のセルロース繊維における炭化水素基としては、(ii)のセルロース繊維における炭化水素基と同じものを挙げることができ、前項に記載の通りである。なかでも、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られた成型体の外観を良好にする観点から、以下の一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基から選ばれる1種又は2種以上の置換基が好ましい。
−CH−CH(OH)−R (1)
−CH−CH(OH)−CH−(OA)−O−R (2)
〔式中、一般式(1)及び一般式(2)におけるRはそれぞれ独立して炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、一般式(2)におけるnは0以上50以下の数、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示す〕
一般式(1)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、入手性及び反応性向上の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下である。具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、トリアコンチル基等が例示される。
一般式(2)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、入手性及び反応性向上の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。具体的には、前記した一般式(1)におけるRと同じものが挙げられる。
一般式(2)におけるAは、炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基であり、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数は1以上6以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは2以上であり、同様の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が例示され、なかでも、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(2)におけるnは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nは0以上50以下の数であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、同様の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。
一般式(2)におけるAとnの組み合わせとしては、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、好ましくはAが炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基で、nが0以上20以下の数の組み合わせであり、より好ましくはAが炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基で、nが5以上15以下の数の組み合わせである。
一般式(1)で表される置換基の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシヘプチル基、2−ヒドロキシオクチル基、2−ヒドロキシノニル基、2−ヒドロキシデシル基、2−ヒドロキシウンデシル基、2−ヒドロキシドデシル基、2−ヒドロキシヘキサデシル基、2−ヒドロキシオクタデシル基、2−ヒドロキシイコシル基、2−ヒドロキトリアコンチル基等が挙げられる。
一般式(2)で表される置換基の具体例としては、例えば、3−ヘキトキシエチレンオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ヘキトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクトキシエチレンオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−デトキシエチレンオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−デトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ドデトキシエチレンオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ドデトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ヘキサデトキシエチレンオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ヘキサデトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクタデトキシエチレンオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクタデトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基等が挙げられる。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は0以上50以下であればよく、例えば、前記したエチレンオキシド等のオキシアルキレン基を有する置換基において付加モル数が10、12、13、20モルの置換基が例示される。
なお、(iii)のセルロース繊維においては、前記一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基以外の、その他の置換基が導入されていてもよい。その他の置換基としては、例えば、一般式(1)で表される置換基及び/又は一般式(2)で表される置換基においてRの炭素数が好ましくは2以下、より好ましくは1の置換基が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシ−プロピル基等が挙げられる。
(iii)のセルロース繊維において、セルロースの無水グルコースユニット1モルに対する前記一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基から選ばれる置換基の導入率は、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは0.001モル以上、より好ましくは0.005モル以上、更に好ましくは0.01モル以上、更に好ましくは0.05モル以上、更に好ましくは0.1モル以上、更に好ましくは0.2モル以上である。また、セルロースI型結晶構造を有し、経済性の観点から、好ましくは1.5モル以下、より好ましくは1.3モル以下、更に好ましくは1.0モル以下、更に好ましくは0.8モル以下、更に好ましくは0.6モル以下、更に好ましくは0.5モル以下である。ここで、一般式(1)で表される置換基と一般式(2)で表される置換基のいずれもが導入されている場合は合計した導入モル率のことである。また、前記したその他の置換基の導入率は、特に限定されないが、セルロースI型結晶構造を有し、経済性の観点から、1.5モル以下であればよい。なお、本明細書において、導入率は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができ、また、導入モル比又は修飾率と記載することもある。
(iii)のセルロース繊維は、セルロース繊維表面に炭化水素基がエーテル結合を介して結合しているが、置換基の導入は、特に限定なく公知の方法に従って行うことができる。具体的には、例えば、セルロース系原料に、塩基の存在下で、前記置換基を有する化合物を反応させればよい。
セルロース系原料としては、(i)のセルロース繊維で用いた原料と同様のものを用いることができる。その形状は、特に制限はないが、取扱い性の観点から、繊維状、粉末状、球状、チップ状、フレーク状が好ましい。また、これらの混合物であってもよい。
セルロース系原料の平均繊維径は、特に制限はないが、取扱い性及び経済性の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上である。また、上限は特に設定されないが、得られる樹脂組成物の靱性を向上させる観点から、好ましくは10,000μm以下、より好ましくは5,000μm以下、更に好ましくは1,000μm以下、更に好ましくは500μm以下、より更に好ましくは100μm以下である。
また、製造工程数低減の観点から、あらかじめ微細化されたセルロース系原料を用いてよく、その場合の平均繊維径は、耐熱性向上の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、更に好ましくは3nm以上、更に好ましくは10nm以上である。また、上限は特に設定されないが、得られる樹脂組成物の靱性を向上させる観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下、より更に好ましくは80nm以下である。
セルロース系原料の組成は、特に限定されないが、セルロース系原料中のセルロース含有量が、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、入手性の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下であるものが好ましい。ここで、セルロース系原料中のセルロース含有量とは、セルロース系原料中の水分を除いた残余の成分中のセルロース含有量のことである。
また、セルロース系原料中の水分含有量は、特に制限はなく、入手性及び経済性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、取扱い性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(塩基)
前記セルロース系原料に、塩基を混合する。
用いられる塩基としては、特に制限はないが、エーテル化反応を進行させる観点から、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、1〜3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
1〜3級アミンとは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのことであり、具体例としては、エチレンジアミン、ジエチルアミン、プロリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
イミダゾール及びその誘導体としては、1−メチルイミダゾール、3−アミノプロピルイミダゾール、カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。
ピリジン及びその誘導体としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピコリン等が挙げられる。
アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられる。
塩基の量は、セルロース系原料の無水グルコースユニットに対して、エーテル化反応を進行させる観点から、好ましくは0.01等量以上、より好ましくは0.05等量以上、更に好ましくは0.1等量以上、更に好ましくは0.2等量以上であり、製造コストの観点から、好ましくは10等量以下、より好ましくは8等量以下、更に好ましくは5等量以下、更に好ましくは3等量以下である。
なお、前記セルロース系原料と塩基の混合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限はなく、例えば、水、イソプロパノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサン、1,4−ジオキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
セルロース系原料と塩基の混合は、均一に混合できるのであれば、温度や時間は特に制限はない。
(置換基を有する化合物)
次に、前記で得られたセルロース系原料と塩基の混合物に、置換基を有する化合物として、前記一般式(1)で表される置換基を有する化合物及び一般式(2)で表される置換基を有する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物を反応させる。かかる化合物はセルロース系原料と反応する際に、前記置換基を結合させることができるものであれば特に制限はなく、本発明においては、反応性及び非ハロゲン含有化合物の観点から、反応性を有する環状構造基を有する化合物を用いることが好ましく、エポキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。以下に、それぞれの化合物を例示する。
一般式(1)で表される置換基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(1A)で示されるノニオン性の酸化アルキレン化合物が好ましい。かかる化合物は公知技術に従って調製したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
〔式中、Rは炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す〕
一般式(1A)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、反応性向上の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。具体的には、一般式(1)で表される置換基におけるRの項に記載のものを挙げることができる。
一般式(1A)で示される化合物の具体例としては、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシオクタデカンが挙げられる。
一般式(2)で表される置換基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(2A)で示されるノニオン性のグリシジルエーテル化合物が好ましい。かかる化合物は公知技術に従って調製したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。該化合物の総炭素数としては、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、5以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であり、得られる樹脂組成物の靱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、100以下であり、好ましくは75以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは25以下である。
〔式中、Rは炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基、nは0以上50以下の数を示す〕
一般式(2A)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、入手性及び反応性向上の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。具体的には、一般式(2)で表される置換基におけるRの項に記載のものを挙げることができる。
一般式(2A)におけるAは、炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基であり、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数は1以上6以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは2以上であり、同様の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。具体的には、一般式(2)で表される置換基におけるAの項に記載のものが例示され、なかでも、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(2A)におけるnは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nは0以上50以下の数であるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、同様の観点及び低極性溶媒との親和性の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。
一般式(2A)で示される化合物の具体例としては、ステアリルグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
前記化合物の量は、得られるセルロース繊維における前記一般式(1)で表される置換基及び/又は一般式(2)で表される置換基の所望の導入率により決めることができるが、反応性の観点から、セルロース系原料の無水グルコースユニットに対して、好ましくは0.01等量以上、より好ましくは0.1等量以上、更に好ましくは0.3等量以上、更に好ましくは0.5等量以上、より更に好ましくは1.0等量以上であり、製造コストの観点から、好ましくは10等量以下、より好ましくは8等量以下、更に好ましくは6.5等量以下、更に好ましくは5等量以下である。
(エーテル反応)
前記化合物とセルロース系原料とのエーテル反応は、溶媒の存在下で、両者を混合することにより行うことができる。溶媒としては、特に制限はなく、前記塩基を存在させる際に使用することができると例示した溶媒を用いることができる。
溶媒の使用量としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物の種類によって一概には決定されないが、セルロース系原料100質量部に対して、反応性の観点から、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは75質量部以上、更に好ましくは100質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、生産性の観点から、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは5,000質量部以下、更に好ましくは2,500質量部以下、更に好ましくは1,000質量部以下、更に好ましくは500質量部以下である。
混合条件としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物が均一に混合され、十分に反応が進行できるのであれば特に制限はなく、連続的な混合処理は行っても行わなくてもよい。1Lを超えるような比較的大きな反応容器を用いる場合には、反応温度を制御する観点から、適宜攪拌を行ってもよい。
反応温度としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物の種類及び目標とする導入率によって一概には決定されないが、反応性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、熱分解を抑制する観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
反応時間としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物の種類及び目標とする導入率によって一概には決定されないが、反応性の観点から、好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上、更に好ましくは10時間以上であり、生産性の観点から、好ましくは60時間以下、より好ましくは48時間以下、更に好ましくは36時間以下である。
なお、一般式(1)で表される置換基及び/又は一般式(2)で表される置換基以外のその他の置換基を導入する場合には、更に、その他の置換基を有する化合物として、例えば、2−ヒドロキシ−プロピル基を導入する場合には酸化プロピレンを反応系に配合して、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下の温度範囲内において、好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上、更に好ましくは10時間以上であり、好ましくは60時間以下、より好ましくは48時間以下、更に好ましくは36時間以下の時間加熱する態様が例示される。なお、前記一般式(1)で表される置換基を有する化合物及び/又は一般式(2)で表される置換基を有する化合物と、その他の置換基を有する化合物を同時に反応させてもよい。
また、(iii)の改質セルロース繊維は、前記反応後に、公知の微細化処理を行って微細化してもよい。例えば、有機溶媒中で高圧ホモジナイザー等を用いた処理を行なうことで微細化することができる。また、あらかじめ微細化処理されたセルロース系原料を用いて前記した置換基の導入反応を行って微細化された改質セルロース繊維を得ることもできるが、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られた成型体の外観を良好にする観点から、前記置換基導入の反応後に、公知の微細化処理を行って微細化することが好ましい。
反応後は、未反応の化合物や塩基等を除去するために、適宜後処理を行うことができる。該後処理の方法としては、例えば、未反応の塩基を酸(有機酸、無機酸など)で中和し、その後、未反応の化合物や塩基が溶解する溶媒を用いて洗浄することができる。所望により、更に乾燥(真空乾燥など)を行ってもよい。
得られた(iii)のセルロース繊維は、セルロース繊維表面に一般式(1)で表される置換基及び/又は一般式(2)で表される置換基がエーテル結合した状態である。具体的には、例えば、下記一般式(3)で表される改質セルロース繊維が例示される。
〔式中、Rは同一又は異なって、水素、もしくは前記一般式(1)で表される置換基及び前記一般式(2)で表される置換基から選ばれる置換基を示し、mは20以上3000以下の整数を示し、但し、全てのRが同時に水素である場合を除く〕
一般式(3)で表される改質セルロース繊維は、Rが同一又は異なって、水素、もしくは、一般式(1)で表される置換基及び/又は一般式(2)で表される置換基を示すものであり、前記置換基が導入されたセルロースユニットの繰り返し構造を有するものである。繰り返し構造の繰り返し数として、一般式(3)におけるmは20以上3000以下の整数であればよく、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、100以上2000以下が好ましい。
(iii)のセルロース繊維は、微細化処理を行わずに得られた場合には、平均繊維径が、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上である。また、上限は特に設定されないが、得られる樹脂組成物の靱性を向上させる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下である。
また、微細化処理を行って得られた場合には、平均繊維径が、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは3nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上であり、得られる樹脂組成物の靱性を向上させる観点から、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下、より更に好ましくは120nm以下である。
(iii)のセルロース繊維は、前記エーテル化反応により結晶性が低下することがないことから、セルロースI型結晶構造を有するものであり、用いたセルロース繊維の結晶化度と同程度の結晶化度を有することが好ましい。相対結晶化度としては、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上である。また、原料入手性の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下、更に好ましくは50%以下である。
本発明の樹脂組成物においては、前記した(i)〜(iii)のセルロース繊維から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましいが、セルロース繊維の含有量としては、再生樹脂100質量部に対して、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上、更に好ましくは9質量部以上であり、得られた成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは98質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。なお、ここで、本発明の樹脂組成物が複数のセルロース繊維を含有する場合には、合計含有量を意味する。
また、樹脂組成物中のセルロース含有量としては、1質量%以上49質量%以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性と耐熱性を向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。また、得られる成型体の外観を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
[相溶化剤]
本発明で用いることができる相溶化剤としては、公知のものを用いることができるが、再生樹脂内の界面を強化することに加えて、セルロース繊維の分散性向上、セルロース繊維と再生樹脂との界面安定化を図り、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、極性基とポリオレフィンを有する化合物が好ましい。極性基とポリオレフィンを有する化合物は、当該ポリオレフィン部分が再生樹脂と親和性を有する一方で、当該極性基部分がセルロース繊維や再生樹脂がポリアミドを含有する場合には、セルロース繊維、ポリアミドと反応又は相互作用することで親和性を発現することから、得られる樹脂組成物がマトリックス内の親和性が高い構造を示すと考えられる。
極性基としては、有機イソシアネート基、(無水)カルボン酸基、カルボン酸ハライド基、アミノ基、水酸基、エポキシ基が挙げられる。これらのなかでも、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させる観点、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは(無水)カルボン酸基、エポキシ基であり、より好ましくは(無水)カルボン酸基である。具体的には、無水コハク酸基、コハク酸基、グリシジル(メタ)アクリレートが例示される。
ポリオレフィンとしては、好ましくはエチレン系重合体[高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他の1種以上のビニル化合物(例えばα−オレフィン、酢酸ビニル、メタアクリル酸、アクリル酸等)との共重合体等]、プロピレン系重合体[ポリプロピレン、プロピレンと他の1種以上のビニル化合物との共重合体等]、エチレンプロピレン共重合体、ポリブテン及びポリ−4−メチルペンテン−1等であり、より好ましくはエチレン系重合体、プロピレン系重合体である。
かかる化合物としては、無水マレイン酸変性ポリオレフィン等が挙げられる。好適な市販品としては、住友化学工業社製「ボンドファースト 7M」(エポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)クリル酸との共重合体)、日本ポリエチレン社製「レクスパール」(エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂)、日本油脂社製「モディパー」(エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂)、三洋化成工業社製「ユーメックス」無水マレイン酸変性ポリプロピレン)、アルケマ社製「オレヴァック」(無水マレイン酸変性ポリエチレン)、アルケマ社製「ロタダー」(酸無水物を有するポリオレフィン系樹脂)、住友化学工業社製「ボンダイン」(酸無水物を有するポリオレフィン系樹脂)、三井・デュポン・ポリケミカル社製「ニュクレル」(カルボキシル基を有するポリオレフィン系樹脂)、ダウケミカル社製「プリマコール」(カルボキシル基を有するポリオレフィン系樹脂)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、相溶化剤の含有量としては、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させ、及び得られる成型体の外観を良好にする観点から、再生樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、好ましくは40量質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。なお、ここで、本発明の樹脂組成物が複数の相溶化剤を含有する場合には、合計含有量を意味する。
また、樹脂組成物中の相溶化剤含有量としては、1質量%以上20質量%以下であるが、得られる成型体の剛性と耐熱性を向上させ、また成型体の外観を良好にする観点から、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、得られる成型体の外観を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、可塑剤;結晶核剤;充填剤(無機充填剤、有機充填剤);加水分解抑制剤;難燃剤;酸化防止剤;炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;防曇剤;光安定剤;顔料;防カビ剤;抗菌剤;発泡剤;界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;香料;流動調整剤;レべリング剤;導電剤;紫外線分散剤;消臭剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。任意の添加剤の含有割合としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜含有されても良いが、例えば、樹脂組成物中20質量%以下が好ましく、10質量%程度以下がより好ましく、5質量%程度以下がより更に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記熱可塑性再生樹脂に対して、特定量のセルロース繊維、及び特定量の相溶化剤を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、前記した3成分の他、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、ヘンシェルミキサー等で攪拌、あるいは密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練又は溶媒キャスト法により調製することができる。
よって、本発明はまた、本発明の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、前記した熱可塑性再生樹脂100質量部に対して、1質量部以上98質量部以下のセルロース繊維、及び1質量部以上40質量部以下の相溶化剤を混合する工程を含むものであれば特に限定はない。例えば、熱可塑性再生樹脂、セルロース繊維、及び相溶化剤の他、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、好ましくは剛性、耐熱性、成型体の外観を向上させる観点から150℃以上、より好ましくは180℃以上であり、成型体の外観を向上させる観点から好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度で混合する態様が例示される。混合時間は、原料の組成や混合温度に応じて一該には設定されず、例えば、5〜10分間程度である。
また、本発明の樹脂組成物の製造方法においては、熱可塑性再生樹脂そのものを調製してもよく、例えば、以下の工程を含むものが好適な製造方法として例示される。
工程(1):使用済みのポリオレフィン樹脂を回収する工程
工程(2):工程(1)で回収したポリオレフィン樹脂を含有する樹脂を再生する工程
工程(3):工程(2)で再生した樹脂100質量部に対して、1質量部以上98質量部以下のセルロース繊維、及び1質量部以上40質量部以下の相溶化剤を混合する工程
工程(1)では、公知の方法に従って使用済みの製品からポリオレフィン樹脂を回収するのであれば特に限定はない。例えば、樹脂の比重差を利用して樹脂を分別回収してもよく、あらかじめ同じ製品を回収することで同種の樹脂を回収してもよい。回収物にポリオレフィン樹脂以外の樹脂が含有されていても構わず、本発明の樹脂組成物において記載した熱可塑性樹脂の組成となるように複数の回収物を混合してもよい。
工程(2)では、公知の方法に従って回収樹脂を再生するのであれば特に限定はない。樹脂の再生方法は、回収した樹脂種が溶融して混合できるのであれば特に限定はない。混合物は公知の方法に従って成型してもよく、例えば、ペレット成形することができる。溶融温度としては、剛性、耐熱性、成型体の外観を向上させる観点から好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上であり、成型体の外観を向上させる観点から好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下である。
工程(3)では、前記した熱可塑性再生樹脂、セルロース繊維、及び相溶化剤の混合を参照して行うことができる。
かくして得られた本発明の樹脂組成物は、剛性及び耐熱性に優れ、例えば、JIS K7127に基づいて2号試験片を作製して、その引張弾性率(GPa)と引張破断歪(%)を測定した際に、剛性を向上する観点から、下記(I)より算出した弾性率向上率が好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上、更に好ましくは150%以上、更に好ましくは200%以上であり、かつ、成型体の外観を向上させる観点から、下記(II)より算出した破断歪変化率が好ましくは150%以下、より好ましくは125%以下、更に好ましくは110%以下である。なお、ここで、「弾性率向上率」とは、本発明の樹脂組成物と、熱可塑性再生樹脂そのものからなるものとを対比した際の弾性率の向上割合のことであり、向上率が高い程、剛性が高いことを示す。また、「破断歪変化率」とは、熱可塑性再生樹脂そのものの破断歪に対して、本発明の樹脂組成物の破断歪の振れ幅の大きさのことであり、変化率が小さい程、樹脂組成物が均質であり得られる成型体の外観が良好であることを示す。
弾性率向上率(%)=(MS/MB)×100−100 (I)
MS:樹脂組成物の熱成形シートの試験片5個の引張弾性率の平均値
MB:熱可塑性再生樹脂のみで成形された熱成形シートの試験片5個の引張弾性率の平均値
破断歪変化率(%)=〔(EL−ES)/EA)〕×100 (II)
EL:樹脂組成物の熱成形シートの試験片5個の引張破断歪の最大値
ES:樹脂組成物の熱成形シートの試験片5個の引張破断歪の最小値
EA:熱可塑性再生樹脂のみで成形された熱成形シートの試験片5個の引張破断歪の平均値
本発明の樹脂組成物は、再生樹脂を含有する樹脂組成物でありながらも、剛性及び耐熱性に優れるため、使用済みのパウチや一般廃棄物を別の成型品に再資源化できる材料として、好適に用いることができる。
よって、本発明はまた、再生樹脂を含有する樹脂組成物に関して、その物性を向上し得る技術を提供するものである。具体的には、例えば、剛性を向上する方法としては、A)熱可塑性再生樹脂を含有する樹脂組成物中に、該熱可塑性再生樹脂100質量部に対し、B)セルロース繊維1質量部以上98質量部以下、C)相溶化剤1質量部以上40質量部以下を配合することを特徴とする方法である。なお、ここでのA)熱可塑性再生樹脂、B)セルロース繊維、C)相溶化剤については、その詳細は本発明の樹脂組成物の項を参照することができる。
本発明はまた、本発明の樹脂組成物を含有する成型体を提供する。
成型体は、本発明の樹脂組成物の成型体であれば特に限定はなく、例えば、前記樹脂組成物を押出成形、射出成形、プレス成形、注型成型又は溶媒キャスト法等の公知の成形方法を適宜用いることによって調製することができる。例えば、パッケージ型や成型型などに注入あるいは塗布した後、乾燥し硬化させることで用途に応じた成型体を得ることができる。
シート状の成型体を調製する場合、加工性の観点から、その厚さは0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が更に好ましい。また、1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。
かくして得られた本発明の樹脂組成物の成型体は、剛性及び耐熱性に優れ、外観が良好であることから、前記樹脂組成物で挙げられた各種用途に好適に用いることができる。
また、本発明の一態様として、本発明の樹脂組成物を加工して成型体とする、成型体の製造方法を提供する。本発明の樹脂組成物を用いるのであれば特に限定はなく、熱可塑性再生樹脂そのものを調製してもよく、例えば、以下の工程を含むものが好適な製造方法として例示される。
工程(1):使用済みのポリオレフィン樹脂を回収する工程
工程(2):工程(1)で回収したポリオレフィン樹脂を含有する樹脂を再生する工程
工程(3):工程(2)で再生した樹脂100質量部に対して、1質量部以上98質量部以下のセルロース繊維、及び1質量部以上40質量部以下の相溶化剤を混合して樹脂組成物を調製する工程
工程(4):工程(3)で得られた樹脂組成物を加工して成型する工程
工程(1)〜(3)については、本発明の樹脂組成物の製造方法の項を参照することができる。
工程(4)で採用する加工方法としては、押出成形、射出成形、プレス成形、注型成型又は溶媒キャスト法等の公知の方法であれば、特に限定なく用いることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは25℃を示す。
〔セルロース繊維及び改質セルロース繊維の平均繊維径〕
セルロース繊維又は改質セルロース繊維の繊維径は、以下の手法により求める。絶乾したセルロース繊維又は改質セルロース繊維を約0.3g計量し、1.0Lのイオン交換水中で家庭用ミキサーを用いて1分間攪拌し、繊維を水中に解する。その後、さらにイオン交換水4.0Lを加え、均一になるよう攪拌し、得られた水分散液から、約50gを測定液として回収した。得られた測定液を、メッツォオートメーション社製の「Kajaani Fiber Lab」にて分析することで、平均繊維径を得る。
〔微細セルロース繊維及び微細化された改質セルロース繊維の平均繊維径〕
微細セルロース繊維又は微細化された改質セルロース繊維を分散させた分散体を、光学顕微鏡(キーエンス社製、「デジタルマイクロスコープVHX−1000」)を用い、倍率300〜1000倍で観察した繊維30本以上の平均値を計測する(四捨五入して有効数字1ケタで計算)。光学顕微鏡での観察が困難な場合は、分散体に溶媒をさらに加えて0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(Digital instrument社製、「AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM」、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維の繊維高さを測定する。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、微細セルロース繊維を5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径(分散体中の繊維径)を算出する。
〔セルロース繊維の結晶構造の確認〕
セルロース繊維の結晶構造は、株式会社リガク製の「RigakuRINT 2500VC X−RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定することにより確認する。
〔測定条件〕
X線源:Cu/Kα−radiation、
管電圧:40kv、管電流:120mA、
測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/min。
測定用サンプル:面積320mm×厚さ1mmのペレット(セルロース繊維を圧縮し作製)。
セルロースI型結晶構造の結晶化度:得られたX線回折強度を、以下の式(A)に基づいて算出する。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
セルロース繊維の調製例1((i)のセルロース繊維)
〔裁断処理〕
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ〔テンベック社製「HV−10」、800mm×600mm×1.0mm、結晶化度81.5%、セルロース含有量(セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中の含有量、以下同じ)96質量%、水分含量8.5質量%〕を、シートペレタイザ(株式会社ホーライ製、「SG(E)−220」)にかけ、約4mm×4mm×1.0mmの大きさ(比表面積1.8m/kg)に裁断した。
水分含量の測定
水分含量は、赤外線水分計(株式会社島津製作所製、「MOC−120H」)を使用し、秤量皿に試料5gを載せ、乾燥温度120℃、自動停止モード(30秒間の水分変化量が0.05%以下になったら測定終了)の条件下で水分蒸発量を求めて算出した。
〔乾燥処理〕
裁断処理により得られたパルプを、棚乾燥機(アドバンテック(ADVANTEC)社製、真空定温乾燥器「DRV320DA」)を用いて、乾燥後のパルプの水分含量が、1.0質量%になるように乾燥した。乾燥処理後のパルプのX線回折強度から算出した結晶化度は82%であった。乾燥処理後のパルプの嵩密度は200kg/mであった。
〔非晶化処理〕
乾燥処理により得られたパルプを、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に100g投入し、直径30mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド13本を振動ミルに充填(充填率57%)して、振幅8mm、円回転1200cpmの条件で、30分間処理して、非晶化セルロースを得た。
セルロース繊維の調製例2((ii)のセルロース繊維)
〔カルボキシ基含有微細セルロース繊維の調製〕
針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、「Machenzie」、CSF650ml)100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)1.25質量%、臭化ナトリウム(和光純薬工業社製)12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム(和光純薬工業社製)28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、「スターバーストラボ HJP−2 5005」)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、カルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度1.3質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.4mmol/gであった。
〔酸型処理〕
得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液4088.75g(固形分濃度1.3質量%)にイオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温下(25℃)、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸及び塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、カルボキシ基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸及び塩を除去した。アセトンで溶媒置換した後、DMFで溶媒置換し、カルボキシ基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のDMF含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.6mmol/gであった。
〔置換基導入〕
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、上記で得られた酸型カルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液40g(固形分濃度5.0質量%)を仕込んだ。続いて、アニリンを微細セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミノ基1.2molに相当する量、4−メチルモルホリン0.34g、縮合剤であるDMT−MMを1.98g仕込み、DMF 300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、エタノールにて洗浄、DMT−MM塩を除去し、さらに50℃で一晩真空乾燥を行うことで、セルロース繊維にフェニル基がアミド結合を介して連結した改質セルロース繊維を得た(炭化水素基結合量1.2mmol/g、導入率80%)。
なお、(ii)のセルロース繊維のカルボキシ基含有量、炭化水素基の導入率は、以下の方法により求めた。
〔セルロース繊維のカルボキシ基含有量〕
乾燥質量0.5gのサンプルを100mLビーカーにとり、イオン交換水もしくはメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、十分に分散するまで該分散液を攪拌した。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得た。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、セルロース繊維又は改質セルロース繊維のカルボキシ基含有量を算出した。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロース繊維の質量(0.5g)
〔セルロース繊維の炭化水素基の導入率〕
炭化水素基導入前後のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量を前記滴定方法により求め、炭化水素基の平均結合量を下記式によりその平均結合量及び導入率を算出した。
炭化水素基の結合量(mmol/g)=炭化水素基導入前のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)−炭化水素基導入後の改質セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)
炭化水素基の導入率(%)={炭化水素基の結合量(mmol/g)/炭化水素基導入前の改質セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)}×100
セルロース繊維の調製例3((iii)のセルロース繊維)
〔アルカリ処理バガスの製造〕
バガス(サトウキビの搾りかす)100質量部(乾燥重量)に対し、処理液全体として水937質量部、水酸化ナトリウム15.2質量部となるよう顆粒状の水酸化ナトリウム及びイオン交換水を加え、オートクレーブ(トミー精工社製、「LSX−700」)にて、温度120℃で2時間加熱処理を行った。処理後、ろ過・イオン交換水洗浄を行い、一昼夜70℃で真空乾燥することによりアルカリ処理バガス(繊維状、平均繊維径24μm、セルロース含有量70質量%、水分含有量3質量%)を得た。
〔置換基導入〕
還流管と滴下ロートを取り付けたニーダー(入江商会社製、「PNV−1型」、容積1.0L)に絶乾したアルカリ処理バガス100gを投入し、6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液100g(0.26等量/AGU)及びイソプロパノール100gを順次添加した後、室温、50rpmで30分間攪拌して均一に混合した。さらに1,2−エポキシヘキサン92.7g(1.5等量/AGU)を1分で滴下し、攪拌を行いながら70℃還流条件にて24h反応を行った。反応後、酢酸(和工純薬社製)で中和し、水/イソプロパノール混合溶媒で十分に洗浄することで不純物を取り除き、さらに50℃で一晩真空乾燥を行うことで、改質セルロース繊維を得た。
なお、(iii)のセルロース繊維の炭化水素基の導入率は、以下の方法により求めた。
得られた改質セルロース繊維中に含有される、疎水エーテル基の含有量%(質量%)は、Analytical Chemistry,Vol.51,No.13,2172(1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出した。以下に手順を示す。
(i)200mLメスフラスコにn−オクタデカン0.1gを加え、ヘキサンにて標線までメスアップを行い、内標溶液を調製した。
(ii)精製、乾燥を行った改質セルロース繊維100mg、アジピン酸100mgを10mLバイアル瓶に精秤し、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓した。
(iii)上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、160℃のブロックヒーターにて1時間加熱した。
(iv)加熱後、バイアルに内標溶液3mL、ジエチルエーテル3mLを順次注入し、室温で1分間攪拌した。
(v)バイアル瓶中の2相に分離した混合物の上層(ジエチルエーテル層)をガスクロマトグラフィー(SHIMADZU社製、「GC2010Plus」)にて分析した。分析条件は以下のとおりであった。
カラム:アジレント・テクノロジー社製DB−5(12m、0.2mm×0.33μm)
カラム温度:100℃→10℃/min→280℃(10min Hold)
インジェクター温度:300℃、検出器温度:300℃、打ち込み量:1μL
使用したエーテル化試薬の検出量から改質セルロース繊維中のエーテル基の含有量(質量%)を算出した。
得られたエーテル基含有量から、下記(数式1)を用いてモル置換度(MS)を算出した。
(数式1)
MS=(W1/Mw)/((100−W1)/162.14)
W1:改質セルロース繊維中のエーテル基の含有量(質量%)
Mw:導入したエーテル化試薬の分子量(g/mol)
実施例1〜5及び比較例1〜7
表2に示す組成物原料を、混練機(東洋精機製作所製、「ラボプラストミル」)を用いて、回転数90rpm、表2に示す温度で8分間溶融混練して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、ヒートプレス機(東洋精機製作所製、「ラボプレス」)を用いて、240℃において0.4MPaにて1分、20MPaにて1分それぞれプレスし、次いで20℃まで冷却する事で、厚さ0.4mmのシートを成形した。
尚、表2における原料は以下の通りである。
<熱可塑性再生樹脂>
再生PE:再生ポリエチレン樹脂(組成 ポリエチレン91質量%、ポリアミド6質量%、ポリエステル3質量%)
<セルロース繊維>
セルロース繊維(i):セルロース繊維の調製例1で調製した非晶化セルロース繊維
セルロース繊維(ii):セルロース繊維の調製例2で調製した改質セルロース繊維
セルロース繊維(iii):セルロース繊維の調製例3で調製した改質セルロース繊維
<相溶化剤>
ユーメックス1001:三洋化成工業社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、溶融粘度15000mPa・s(160℃、BL型粘度計)
BF−7M:住友化学社製、ポリエチレン−ポリグリシジルメタクリレート−ポリメチルアクリレート共重合体、MFR(190℃×2.16kg)7.0g/10min
オレヴァックOE808:アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリエチレン、MFR(190℃×2.16kg)0.6g/10min
得られた成型体の特性を、下記試験例1〜2の方法に従って評価した。結果を表2に示す。
試験例1(耐熱性)
動的粘弾性装置(SII社製、「DMS6100」)を用いて、得られた成型体から幅5mm、長さ20mmで切り出した短冊型サンプルの貯蔵弾性率を、窒素雰囲気下、周波数66.7Hzで、−20℃から200℃まで、1分間に2℃の割合で温度を上昇させて、引張モードで計測し、貯蔵弾性率が160MPa以下となる温度を耐熱温度とした。耐熱温度が高い方が耐熱性に優れていることを示す。
試験例2(破断歪変化率、弾性率向上率)
25℃の恒温室において、得られたシートをJIS K7127に基づき2号試験片を5個作製して、引っ張り試験を行い、引張弾性率(GPa)と引張破断歪(%)を調べ、弾性率向上率と破断歪変化率を以下の式(I)及び(II)から求めた。引っ張り試験には、SHIMADZU社製 オートグラフ精密万能試験機(AGS−10kNX)を用い、JIS K7127に従って、1サンプルにつき5点試験を行った。弾性率向上率は数値が高いほど剛性に優れていることを示し、破断歪変化率は数値が小さいほど成型体の外観の質に優れる事を示す。
弾性率向上率(%)=(MS/MB)×100−100 (I)
MS:樹脂組成物の熱成形シートの試験片5個の引張弾性率の平均値
MB:比較例1の熱成形シートの試験片5個の引張弾性率の平均値
破断歪変化率(%)=〔(EL−ES)/EA)〕×100 (II)
EL:樹脂組成物の熱成形シートの試験片5個の引張破断歪の最大値
ES:樹脂組成物の熱成形シートの試験片5個の引張破断歪の最小値
EA:比較例1の熱成形シートの試験片5個の引張破断歪の平均値
表2より、実施例の樹脂組成物は、耐熱温度が高いものであり、また、引張弾性率の向上率が高く剛性が高いものでありながら、かつ引張破断歪の変化率(変化幅)が小さく、均質な樹脂組成物が得られていることが分かる。図1に実施例1のシート断面を、図2に比較例4のシート断面を示すが、この対比から、相溶化剤を添加することにより、再生樹脂とセルロース繊維の界面が安定化していることが分かる。
本発明の樹脂組成物は、再生材料として好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. A)熱可塑性再生樹脂 50質量%以上98質量%以下
    B)セルロース繊維 1質量%以上49質量%以下、及び
    C)相溶化剤 1質量%以上20質量%以下
    を含んでなる樹脂組成物。
  2. 樹脂組成物の熱成形シートについて、JIS K7127に基づいて測定した2号試験片の引張弾性率(GPa)と引張破断歪(%)から算出した弾性率向上率が50%以上であり、かつ、破断歪変化率が150%以下である、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. B)セルロース繊維が、下記(i)〜(iii)からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    (i)相対結晶化度が33%以下である非晶化セルロース繊維
    (ii)炭化水素基がアミド結合を介してセルロース繊維に結合しており、セルロースI型結晶構造を有する、改質セルロース繊維
    (iii)炭化水素基がエーテル結合を介してセルロース繊維に結合しており、セルロースI型結晶構造を有する、改質セルロース繊維
  4. (iii)の改質セルロース繊維が、下記一般式(1)で表される置換基及び下記一般式(2)で表される置換基から選ばれる1種又は2種以上の置換基がエーテル結合を介してセルロース繊維に結合しており、セルロースI型結晶構造を有する、改質セルロース繊維である、請求項3記載の樹脂組成物。
    −CH−CH(OH)−R (1)
    −CH−CH(OH)−CH−(OA)−O−R (2)
    〔式中、一般式(1)及び一般式(2)におけるRはそれぞれ独立して炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、一般式(2)におけるnは0以上50以下の数、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示す〕
  5. A)熱可塑性再生樹脂が、ポリオレフィンを60質量%以上含有する、請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物。
  6. ポリオレフィンがポリエチレンである、請求項5記載の樹脂組成物。
  7. C)相溶化剤が、極性基とポリオレフィンを有する化合物である、請求項1〜6いずれか記載の樹脂組成物。
  8. C)相溶化剤が、無水マレイン酸変性ポリオレフィンである、請求項1〜7いずれか記載の樹脂組成物。
  9. A)熱可塑性再生樹脂100質量部に対し、B)セルロース繊維1質量部以上98質量部以下、C)相溶化剤1質量部以上40質量部以下を配合する、樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物を含有する成型体。
  11. 請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物を加工して成型体とする、成型体の製造方法。
  12. A)熱可塑性再生樹脂を含有する樹脂組成物中に、該熱可塑性再生樹脂100質量部に対し、B)セルロース繊維1質量部以上98質量部以下、C)相溶化剤1質量部以上40質量部以下を配合することを特徴とする、該樹脂組成物の剛性を向上する方法。
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