JP2017071559A - トラニラスト−ジフェンヒドラミンのコアモルファス - Google Patents

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戸塚 裕一
Yuichi Totsuka
裕一 戸塚
和紀 門田
Kazunori Kadota
和紀 門田
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Abstract

【課題】原薬を含有し、且つ非晶質状態の安定性がより高い非晶質固体を提供することを課題とする。
【解決手段】(A成分)トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B成分)ジフェンヒドラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、非晶質固体。
【選択図】なし

Description

本発明は、トラニラスト類及びジフェンヒドラミン類を含有する非晶質固体、その製造方法、並びにそれを含有する医薬に関する。
非晶質固体は、通常、結晶固体に比べて高いエネルギー状態にあり、このため溶媒に対して高い溶解性を示す。このため、難溶性原薬の非晶質化は、その溶解性を改善する手段の一つとして広く行われている。しかし、非晶質固体は、高いエネルギー状態であるが故に、保存中に、よりエネルギーの低い状態、即ち結晶固体へと変換されてしまう。
非晶質状態の安定化を図るために、親水性ポリマー等に非晶質状態の原薬を分散させる方法が各種報告されている。例えば、非特許文献1では、トラニラスト等の難溶性原薬を非晶質状態で親水性ポリマーに分散させることにより、その水溶性を改善したことが報告されている。しかし、この方法は親水性ポリマーを用いるので、必然的に原薬濃度を低下させてしまう。また、親水性ポリマーは通常生物学的に分解されず、経口製剤、非経口製剤に関わらず、特に非経口製剤においてはできる限り親水性ポリマー等の添加剤を減らす必要があるため、この方法で得られた薬剤は投与(特に非経口投与)が制限され得る。
一方、近年、原薬同士を組み合わせて非晶質化することにより共非晶質(コアモルファス)固体を得る方法が報告されている(特許文献1)。この方法であれば、親水性ポリマーを用いることによる上記問題も生じないといえる。しかし、無数の原薬の中から成功する組み合わせを見出すことは困難であるし、非晶質状態の安定性の問題は依然として残っている。
特許5596547号
Onoue, S., Kojo, Y., Aoki, Y., Kawabata, Y., Yamauchi, Y., Yamada, S., 2012. Physicochemical and pharmacokinetic characterization of amorphous solid dispersion of tranilast with enhanced solubility in gastric fluid and improved oral bioavailability. Drug Metab. Pharmacokinet. 27, 379-387.
本発明は、原薬を含有し、且つ非晶質状態の安定性がより高い非晶質固体を提供することを課題とする。特に、親水性ポリマー等の他の成分が少なくとも(好ましくは、親水性ポリマー等の他の成分が無くとも)非晶質状態の安定性がより高い非晶質固体を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意研究を進めた結果、トラニラスト類及びジフェンヒドラミン類を組み合わせて非晶質化することにより、非晶質状態の安定性がより高い非晶質固体が得られることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。即ち、本発明は下記の態様を包含する。
項1. (A成分)トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B成分)ジフェンヒドラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、非晶質固体.
項2. 前記A成分及び前記B成分のみからなる、項1に記載の非晶質固体.
項3. 前記A成分1モルに対して前記B成分0.3〜3モルを含有する、項1又は2に記載の非晶質固体.
項4. 前記A成分がトラニラストである、項1〜3のいずれかに記載の非晶質固体.
項5. 前記B成分がジフェンヒドラミン塩酸塩である、項1〜4のいずれかに記載の非晶質固体.
項6. (A成分)トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B成分)ジフェンヒドラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する該A成分及び該B成分の溶融液を、冷却する工程を含む、項1〜5のいずれかに記載の非晶質固体を製造する方法.
項7. さらに、前記A成分及び前記B成分の混合物を、前記A成分及び前記B成分それぞれ単独の融点よりも低い温度で溶融して前記溶融液を得る工程を含む、項6に記載の方法。
項8. 項1〜5のいずれかに記載の非晶質固体を含有する、医薬.
項9. アレルギー性疾患の予防又は治療用である、項8に記載の医薬.
項10. 気管支喘息の予防又は治療用である、項8又は9に記載の医薬.
本発明によれば、原薬であるトラニラスト類及びジフェンヒドラミン類を含有し、且つ非晶質状態の安定性がより高い非晶質固体を提供することができる。本発明の非晶質固体は、親水性ポリマー等の他の成分を含有しなくとも、原薬の非晶質状態の安定性が高い。このため、原薬の非晶質状態の安定性を保ったまま、固体中の原薬濃度をより高めることができる。また、本発明の非晶質固体に含まれる2種の原薬は、両方とも、気管支喘息等のアレルギー性疾患に適用可能な原薬である。よって、本発明の非晶質固体を用いた医薬は、特に、気管支喘息等のアレルギー疾患の予防又は治療に好適に用いることができる。この場合、これら2種の原薬の相加効果や相乗効果を期待することができる。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた固体の製造直後(Initial)、並びに保存開始から1日後(1 day)、3日後(3 days)、7日後(7 days)、14日後(14 days)、21日後(21 days)、及び30日後(30 days)のX線回折パターンを示す(試験例1)。 実施例2〜3で得られた固体の製造直後(Initial)、並びに保存開始から1日後(1 day)、7日後(7 days)、14日後(14 days)、30日後(30 days)、60日後(60 days)、及び90日後(90 days)のX線回折パターンを示す(試験例2)。
本明細書中において、「含有」なる表現については、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.非晶質固体
本発明は、(A成分)トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(本明細書において、単に「A成分」又は「トラニラスト類」と示す場合もある。)、並びに(B成分)ジフェンヒドラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(本明細書において、単に「B成分」又は「ジフェンヒドラミン類」と示す場合もある。)を含有する、非晶質固体(本明細書において、「本発明の非晶質固体」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
本発明の非晶質固体に含有されるA成分は、トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種である。
トラニラストは、公知の化合物であり、IUPAC名はN−(3,4−ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸である。
トラニラストの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものである限り特に限定されず、酸性塩、塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩; メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等が挙げられる。
トラニラスト及びその塩は、溶媒和物の形態であってもよい。溶媒和物を形成する溶媒は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
A成分としては、その薬理効果をより確実に発揮できるという観点、及び/又は本発明の非晶質固体をより確実に得ることができるという観点から、トラニラストが好ましい。
トラニラスト及びその塩は、公知の方法に従って又は準じて合成して得ることもできるし、市販品を購入して得ることもできる。
A成分としては、1種単独を採用してもよく、2種以上の組み合わせを採用してもよい。
本発明の非晶質固体に含有されるB成分は、ジフェンヒドラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種である。
ジフェンヒドラミンは、公知の化合物であり、IUPAC名は2−ベンズヒドリルオキシ−N,N−ジメチルエタンアミンである。
ジフェンヒドラミンの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものである限り特に限定されず、例えば酸性塩を採用することができる。酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、サリチル酸、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。
ジフェンヒドラミン及びその塩は、溶媒和物の形態であってもよい。溶媒和物を形成する溶媒は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
B成分としては、その薬理効果をより確実に発揮できるという観点、及び/又は本発明の非晶質固体をより確実に得ることができるという観点から、ジフェンヒドラミン無機酸塩が好ましく、ジフェンヒドラミン塩酸塩がより好ましい。
ジフェンヒドラミン及びその塩は、公知の方法に従って又は準じて合成して得ることもできるし、市販品を購入して得ることもできる。
B成分としては、1種単独を採用してもよく、2種以上の組み合わせを採用してもよい。
本発明の非晶質固体は、A成分及びB成分が非晶質状態で存在するものである限りにおいて特に限定されず、A成分及びB成分のみからなるものであってもよいし、A成分及びB成分に加えて他の成分(例えば、A成分及びB成分以外の原薬や、親水性ポリマー等の担体等)を含有するものであってもよい。なお、「のみからなる」とは、本発明の非晶質固体をA成分及びB成分のみを原料として製造する際に不可避的に混入する成分を排除するものではない。
本発明の非晶質固体は、親水性ポリマー等の他の成分が無くとも、A成分及びB成分の組み合わせのみで、より安定に非晶質状態を保つことができる。この観点から、本発明の非晶質固体は、A成分及びB成分のみからなることが好ましい。また、本発明の非晶質固体がA成分及びB成分以外の他の成分(不可避的に混入する成分を除く)を含有する場合であっても、他の成分の含有量はより少ないことが好ましく、例えば本発明の非晶質固体100質量%に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、よりさらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下である。
本発明の非晶質固体の非晶質状態の確認は、公知の方法に従って又は準じて行うことができる。例えば粉末X線回折により得られたX線回折パターンにおいて、結晶固体に特有の明確なピークが確認できなければ、非晶質固体であると判定することができる。
本発明の非晶質固体におけるA成分とB成分とのモル比は、非晶質状態を保つことができる限りにおいて特に限定されない。より安定的に非晶質状態を保つことができるという観点から、本発明の非晶質固体は、A成分1モルに対して、B成分を、例えば0.1〜10モル、好ましくは0.3〜3モル、より好ましくは0.5〜3モル、さらに好ましくは0.8〜2.5モル、よりさらに好ましくは1〜2モル含有する。
本発明の非晶質固体は、非晶質固体の公知の製造方法に従って又は準じて製造することができる。非晶質固体の公知の製造方法としては、例えばメルトクエンチング法、凍結乾燥法、スプレードライ法、粉砕法等が挙げられる。
本発明の非晶質固体は、より効率的に製造できるという観点から、A成分及びB成分を含有する該A成分及び該B成分の溶融液を冷却する工程を含む方法によって製造することが好ましい。
A成分及びB成分の溶融液は、A成分及びB成分を含有し、且つこれらが溶融している限りにおいて特に限定されず、公知の方法に従って又は準じて得ることができる。該溶融液は、例えば、A成分とB成分(それぞれ、結晶状態であってもよいし、非晶質状態であってもよい。)を混合し、得られた混合物を高温下で(好ましくは撹拌しながら)溶融することによって得ることができる。
溶融温度は、A成分及びB成分の混合物中でこれらの成分が両方とも溶融できる温度である限りにおいて特に限定されないが、例えば140〜165℃、好ましくは145〜160℃、より好ましくは150〜155℃である。
なお、本発明者等は、A成分の融点は通常210℃付近であり、B成分の融点は通常170℃付近であるものの、A成分及びB成分の混合物の融点は137℃付近であることを確認している。A成分及びB成分の混合物を、より低い温度、好ましくはA成分及びB成分それぞれ単独の融点よりも低い温度で溶融することにより、これらの成分の分解をより抑制しつつも、A成分及びB成分を溶融させることができる。
溶融液の冷却は、溶融液を急冷することによって非晶質固体を得る公知の方法に従って又は準じて行うことができる。例えば、溶融液を、溶融温度よりも十分に低い温度の環境下に置くこと(例えば液体窒素を用いて急冷すること)によって行うことができる。
冷却後に得られる固体は、そのまま本発明の非晶質固体として用いてもよいし、形状、大きさ等を例えば粉砕することにより適宜調整して、本発明の非晶質固体として用いてもよい。
2.医薬
本発明は、本発明の非晶質固体を含有する、医薬(本明細書において、「本発明の医薬」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
本発明の医薬は、A成分及びB成分の固有の薬理作用に応じて、種々の疾患に対して適用することができる。本発明の医薬は、好適には、アレルギー性疾患の予防又は治療に用いることができる。
本発明の医薬の適用対象であるアレルギー性疾患としては、特に限定されず、例えば花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支炎、気管支喘息、レフレル症候群等の呼吸器疾患; 口内炎、食事性アレルギー性胃炎、腸炎(アレルギー性下痢)、潰瘍性大腸炎等の消化器疾患; 狭心症、心内膜炎、結節性動脈周囲炎、閉塞性動脈内膜炎等の循環器疾患; 蕁麻疹、クインケ浮腫、結節性紅斑、湿疹、接触性皮膚炎等の皮膚科疾患; フリクテン、アレルギー性角膜炎、交換性眼炎等の眼科疾患; リウマチ様関節炎、エリトマトーデス、強皮症等の自己免疫性疾患(膠原病); 小癇、片頭痛、瀰慢性糸球腎炎等のその他の疾患等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは気管支喘息が挙げられる。
本発明の医薬は、本発明の非晶質固体そのものであってもよいし、本発明の非晶質固体以外の成分(以下、単に「添加剤」と表記することもある)を含む組成物であってもよい。添加剤としては、薬学的に許容される成分であれば特に限定されるものではないが、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、及びキレート剤等が挙げられる。本発明の医薬が添加剤を含む場合は、剤形に応じた慣用の方法に従って添加剤を用いることにより、本発明の医薬を製造することができる。
本発明の医薬は、任意の形態、例えば錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤の形態や、注射剤、懸濁剤、乳剤等の液剤の形態を採ることができる。投与された際により効率的に体内で溶解でき、ひいて高いバイオアベイラビリティ−の達成を図ることができるという観点から、本発明の医薬は固形剤であることが好ましい。なお、本発明の医薬が液剤の場合であっても、本発明の非晶質固体はその非晶質性に由来してより多く液剤中に溶解することができるので、固形剤と同様に高いバイオアベイラビリティ−の達成を図ることができる。
本発明の医薬の投与対象は、特に限定されないが、好適にはアレルギー性疾患の患者、又はアレルギー性疾患を発症する可能性がある者である。
本発明の医薬の投与経路は、特に限定されない。例えば、経肺投与; 経口投与、経管栄養、注腸投与等の経腸投与; 経静脈投与、経動脈投与、筋肉内投与、心臓内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与等の非経口投与等を採用することができる。本発明の医薬は、A成分及びB成分を非晶質状態で含有しているので、いずれの投与経路であってもバイオアベイラビリティ−が高いと予想される。
本発明の医薬中の、本発明の非晶質固体の含有量としては、適用疾患に対する予防又は治療効果を発揮できる限りにおいて特に限定されない。例えば0.001〜100質量%、好ましくは0.01〜50質量%である。
本発明の医薬の投与形態及び有効な投与量は、投与対象、投与経路、剤形、患者の状態、及び医師の判断などに左右されるものであり、限定はされないが、例えば、体重60kgの成人に対して、1回当たり、1μg〜1000mgを投与することができる。なお、投与回数としては、例えば1日当たり1〜3回が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1:TRL−DPH(2:1)非晶質固体の製造
トラニラスト(TRL)(大和薬品工業社製)65.468mg(2モル)とジフェンヒドラミン塩酸塩(DPH)(東京化成工業社製)29.182mg(1モル)とを、乳鉢と乳棒を用いて均一に混合し、ホットスターラー(アズワン社製、製品コード:HS−5BH)上で撹拌しながら融解温度+15℃(153℃)で溶融させた後、液体窒素で急冷して固体を得た。X線回折装置(BRUKER社製、D8 DISCOVER)を用いて該固体のX線回折パターンを得た結果、結晶構造に特有の明確なピークは確認されなかった。このことから、得られた固体は非晶質であることが確認できた。
実施例2:TRL−DPH(1:1)非晶質固体の製造
トラニラスト(TRL)32.734mg(1モル)とジフェンヒドラミン塩酸塩(DPH)29.182mg(1モル)とを、乳鉢と乳棒を用いて均一に混合し、ホットスターラー上で撹拌しながら融解温度+15℃(153℃)℃で溶融させた後、液体窒素で急冷して固体を得た。X線回折装置を用いて該固体のX線回折パターンを得た結果、結晶構造に特有の明確なピークは確認されなかった。このことから、得られた固体は非晶質であることが確認できた。
実施例3:TRL−DPH(1:2)非晶質固体の製造
トラニラスト(TRL)32.734mg(1モル)とジフェンヒドラミン塩酸塩(DPH)58.364mg(2モル)とを、乳鉢と乳棒を用いて均一に混合し、ホットスターラー上で撹拌しながら融解温度+15℃(153℃)℃で溶融させた後、液体窒素で急冷して固体を得た。X線回折装置を用いて該固体のX線回折パターンを得た結果、結晶構造に特有の明確なピークは確認されなかった。このことから、得られた固体は非晶質であることが確認できた。
比較例1:TRL非晶質固体の製造
トラニラスト(TRL)32.734mg(1モル)をホットスターラー上で撹拌しながら融解温度+15℃(235℃)溶融させた後、液体窒素で急冷して固体を得た。X線回折装置を用いて該固体のX線回折パターンを得た結果、結晶構造に特有の明確なピークは確認されなかった。このことから、得られた固体は非晶質であることが確認できた。
比較例2:DPH非晶質固体の製造
ジフェンヒドラミン塩酸塩(DPH)29.182mg(1モル)をホットスターラー上で撹拌しながら融解温度+15℃(185℃)溶融させた後、液体窒素で急冷して固体を得た。X線回折装置を用いて該固体のX線回折パターンを得た結果、結晶構造に特有の明確なピークは確認されなかった。このことから、得られた固体は非晶質であることが確認できた。
比較例3:TRL−セチリジン固体の製造
トラニラスト(TRL)32.734mg(1モル)とセチリジン二塩酸塩(東京化成工業株式会社製)46.181mg(1モル)とを、乳鉢と乳棒を用いて均一に混合した。得られた混合物について、示差走査熱量測定(DSC)によって共融点が確認できるか否かを調べた結果、該混合物は非晶質にはならないことが示唆された。
なお、示差走査熱量測定は次のようにして行った(比較例4及び5も同様である)。混合試料を、示差走査熱量計を用いて、昇温・冷却・再昇温工程で処理した。パージガスとして窒素を使用した。混合試料(1〜3mg)は密封アルミニウムパンで秤量した。ランプ速度は、すべての工程において 20℃/分で行った。得られた結果は4.7Αで Universal analysis 2000 ver. (TA instruments Japan) により分析した。昇温工程において融点 (Tm)、冷却又は再昇温工程において再結晶化温度 (Tc)、再昇温工程においてガラス転移温度 (Tg) といった熱パラメータを得た。
比較例4:TRL−クロルフェニラミン固体の製造
トラニラスト(TRL)32.734mg(1モル)とクロルフェニラミン(東京化成工業株式会社製)39.086mg(1モル)とを均一に混合した。得られた混合物について、DSCによって共融点が確認できるか否かを調べた結果、該混合物は非晶質にはならないことが示唆された。
比較例5:TRL−メトキシフェナミン固体の製造
トラニラスト(TRL)32.734mg(1モル)とメトキシフェナミン塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)21.572mg(1モル)とを均一に混合した。得られた混合物について、DSCによって共融点が確認できるか否かを調べた結果、該混合物は非晶質にはならないことが示唆された。
試験例1:非晶質固体の安定性試験1
実施例1〜3及び比較例1〜2で製造した非晶質固体を、シリカゲル入りのデシケーター内40℃で保存した。製造直後、並びに保存開始1日後、3日後、7日後、14日後、21日後、及び30日後に、X線回折装置を用いて固体のX線回折パターンを得た。この結果を図1に示す。
図1に示されるように、トラニラスト単独で製造した固体(比較例1)は、製造直後(Initial)は非晶質であったものの、保存開始1日後(1 day)から結晶構造に特有の明確なピークが観察されたことから、すぐに結晶へと変化したことが示唆された。ただ、ピーク強度が比較的低いことから、結晶化の程度は比較的低いと考えられた。
また、ジフェンヒドラミン塩酸塩単独で製造した固体(比較例2)も、製造直後(Initial)は非晶質であったものの、保存開始1日後(1 day)から結晶構造に特有の明確なピークが観察されたことから、すぐに結晶へと変化したことが示唆された。ピーク強度が比較的高いことから、結晶化の程度は比較的高いと考えられた。
以上より、トラニラスト単独又はジフェンヒドラミン塩酸塩単独で製造した非晶質固体の安定性は極めて低いことが示された。また、その安定性は、トラニラスト単独の場合よりも、ジフェンヒドラミン塩酸塩単独の場合の方が低いことが示唆された。
これに対して、トラニラストとジフェンヒドラミンの混合物から製造した非晶質固体は、長期間に亘って安定に非晶質状態を保っていた。このことより、トラニラスト及びジフェンヒドラミンが組み合わされた非晶質固体の安定性は、それぞれ単独の非晶質固体の安定性よりも、顕著に高いことが示された。
試験例2:非晶質固体の安定性試験2
実施例2〜3で製造した非晶質固体を、室温、湿度52%条件下で保存した。製造直後、並びに保存開始1日後、7日後、14日後、30日後、60日後、及び90日後に、X線回折装置を用いて固体のX線回折パターンを得た。この結果を図2に示す。
図2に示されるように、トラニラストとジフェンヒドラミンの混合物から製造した非晶質固体は、長期間に亘って安定に非晶質状態を保っていた。

Claims (10)

  1. (A成分)トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに
    (B成分)ジフェンヒドラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種
    を含有する、非晶質固体。
  2. 前記A成分及び前記B成分のみからなる、請求項1に記載の非晶質固体。
  3. 前記A成分1モルに対して前記B成分0.3〜3モルを含有する、請求項1又は2に記載の非晶質固体。
  4. 前記A成分がトラニラストである、請求項1〜3のいずれかに記載の非晶質固体。
  5. 前記B成分がジフェンヒドラミン塩酸塩である、請求項1〜4のいずれかに記載の非晶質固体。
  6. (A成分)トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに
    (B成分)ジフェンヒドラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種
    を含有する該A成分及び該B成分の溶融液を、冷却する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の非晶質固体を製造する方法。
  7. さらに、前記A成分及び前記B成分の混合物を、前記A成分及び前記B成分それぞれ単独の融点よりも低い温度で溶融して前記溶融液を得る工程を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の非晶質固体を含有する、医薬。
  9. アレルギー性疾患の予防又は治療用である、請求項8に記載の医薬。
  10. 気管支喘息の予防又は治療用である、請求項8又は9に記載の医薬。
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