JP2017071399A - 車両の運動制御装置 - Google Patents

車両の運動制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017071399A
JP2017071399A JP2017002240A JP2017002240A JP2017071399A JP 2017071399 A JP2017071399 A JP 2017071399A JP 2017002240 A JP2017002240 A JP 2017002240A JP 2017002240 A JP2017002240 A JP 2017002240A JP 2017071399 A JP2017071399 A JP 2017071399A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
motion control
gain
control device
acceleration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017002240A
Other languages
English (en)
Inventor
山門 誠
Makoto Yamakado
山門  誠
佐々木 光秀
Mitsuhide Sasaki
光秀 佐々木
幹夫 植山
Mikio Ueyama
幹夫 植山
敬一郎 長塚
Keiichiro Nagatsuka
敬一郎 長塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Systems Ltd filed Critical Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority to JP2017002240A priority Critical patent/JP2017071399A/ja
Publication of JP2017071399A publication Critical patent/JP2017071399A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

【課題】
通常時にはぎくしゃくせず、緊急回避操舵時には確実にドライバをアシストする車両の運動制御装置を提供する。
【解決手段】
入力された外界情報及び車両情報に基づいて、車両の危険ポテンシャルを推定する危険ポテンシャル推定部と、車両の横加加速度と予め定めたゲインとに基づいて車両の前後運動制御指令を生成する車両前後運動制御部と、ゲインを調整するゲイン調整部と、を有し、ゲイン調整部は、危険ポテンシャル推定部で推定された危険ポテンシャルに基づいてゲインが調整される。
【選択図】 図8

Description

本発明は、車両の前後加速度を制御する車両の運動制御装置に関する。
近年、自車両が先行車等の制御対象に衝突する可能性が高いときに、ドライバのブレーキ操作とは独立した自動ブレーキ制御を行うことで、衝突防止を図る様々な自動ブレーキ制御装置が提案され、実用化されている。例えば、特許文献1では、カメラで撮像した前方の道路環境に基づいて自車両前方の制御対象を認識し、自車両と制御対象との相対関係に基づいてブレーキ介入距離を設定し、自車両と制御対象との相対距離がブレーキ介入距離以下であるとき、制動制御の実行を判定し、自動ブレーキの介入による自動制動制御装置の技術が開示されている。
また、特許文献2には、入力された車両の横方向の加加速度(Gy_dot)に、速度(V)及び横加速度(Gy)から決定され、予め記憶されたゲイン(KGyV)を乗じ、乗じた値に基づいて、車両の前後加速度を制御する制御指令を生成し、生成された前記制御指令を出力することを特徴とする車両の運動制御方法が開示されている。この方法によると前後加速度と横加速度の合成加速度ベクトル(G)の軌跡が車両重心固定の座標系において、なめらかな曲線を描くように方向づけられ(Vectoring)、G-Vectoring制御(GV
C:G-Vectoring Control)と呼ばれている。GVCによると、緊急回避性能が大幅に向上することが報告されている(非特許文献1)。
特開2009−262701号公報 特開2000−353300号公報
Yamakado, M., Takahashi, J., Saito, S.,: "Comparison and combination of Direct-Yaw-moment Control and G-Vectoring Control", Vehicle System Dynamics, Vol.48, Supplement, pp.231-254, 2012
特許文献1では制動制御ユニット5がドライバによる操舵角|δ|が予め設定された閾値δ0以上であるか否かを調べ、操舵角|δ|≧δ0であると判定した場合、拡大制動制御の禁止時間を規定する禁止タイマtδをセットする。
また、制動制御ユニット5は、ドライバによる操舵角速度|δ’|(=|dδ/dt|)が予め設定された閾値δ’0以上であるか否かを調べ、操舵角速度|δ’|≧δ’0であると判定した場合、制動制御ユニット5は、拡大制動制御の禁止時間を規定する禁止タイマtδ’をセットする。
以上のように、特許文献1ではドライバによる操舵角、あるいは操舵角速度が大きくなると、制動制御を禁止する時間が設定される。すなわちドライバによる緊急回避操舵操作(一般的に操舵角、操舵角速度が大きい)が入った場合、この回避操作をアシストするものではない。
また、特許文献2のGVCにおいては、車両の前後加速度の制御指令値、特に減速度指令を構築するうえで、横方向の加加速度(Gy_dot)に乗じるゲイン(KGyV)を増加させると、基本的に減速度が増加し、制御稼働時の速度が大幅に低減できるため、操舵による回避性能は大幅に向上する。しかしながら、通常時の微小な操舵に対しても過敏に反応するために、ドライバにぎくしゃく感を生じさせるという課題があった。
さらに、過敏に反応するということは、例えば制御稼働時のアクチュエータ要件(応答性、耐久性、NVH性能など)を厳しくしてしまい、コストアップを招きGVC技術の適用車種範囲を狭めることになってしまう。
本発明は、通常時にはぎくしゃくせず、緊急回避操舵時には確実にドライバをアシストする車両の運動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成させるために、本発明の車両の運動制御装置は、入力された外界情報及び車両情報に基づいて、車両の危険ポテンシャルを推定する危険ポテンシャル推定部と、車両の横加加速度と予め定めたゲインとに基づいて車両の前後運動制御指令を生成する車両前後運動制御部と、ゲインを調整するゲイン調整部と、を有し、ゲイン調整部は、危険ポテンシャル推定部で推定された危険ポテンシャルに基づいてゲインが調整される構成とする。
通常時には、ぎくしゃくせず、緊急回避操舵時には確実にドライバをアシストする車両の運動制御装置を提供することができる。
本発明のG-Vectoring制御(GVC)車両の左コーナー進入から脱出までの様子を示す図である。 図1のような走行をした場合の時系列データを示す図である。 通常ゲインのGVCと高ゲインのGVCの走行状況を比較した時系列データを示す図である。 横すべり防止装置(ESC)の基本的な機能を示した図である。 モーメント・プラス(M+)制御則の基本動作を示す図である。 レーンチェンジでのESCのみとハイブリッド制御の稼動状況を示す図である。 本発明に係る車両の運動制御装置の全体構成を示す図である。 ADASコントローラとブレーキコントローラの内部構成を示す図である。 自車両と先行車両の相対関係を示す図である。 先行車両との相対関係に基づき計算された1/TTCと危険ポテンシャルの関係を示す図である。 操舵角速度と危険ポテンシャルの関係を示す図である。 定量化された危険ポテンシャルと危険度の定性的な対応を示す図である。 定量化された危険ポテンシャルに基づく本発明のシステムの稼働状況を示す図である。 本発明の車両の運動制御装置の稼働状況を模式的に示す図である。 自動ブレーキによる直線減速とGVCによる横運動に連係した前後運動との連係状況示す図である。 本発明の車両の運動制御装置の構成の概念を示す図である。 横運動に連係した前後運動を実現する減速アクチュエータに対する要件の緩和を説明する図である。
まず、課題を解決するための手段について、その基本的な考え方を説明し、その構成、実施形態について述べていく。
本発明の運動性能向上面での効果を端的に述べると、以下のようになる。
外界情報あるいは車載情報に基づき、危険ポテンシャルを定量的に評価する手段を有し、危険ポテンシャルが大きくなった場合、危険ポテンシャルが小さい、あるいはゼロの場合に比べ、横運動に連係した前後運動制御(減速・モーメント制御)のゲインを大きくすることにより、速度を大きく低減するとともに、荷重移動、あるいはヨーイングモーメント制御により前輪の舵の効きを向上して、緊急回避性能を向上するものである。
まず、横運動に連係した前後運動制御について概要を述べ、調整するべき「ゲイン」を明確にする。
「横運動に連係した前後運動制御」
(1)G-Vectoring
ハンドル操作による横運動に連係して自動的に加減速することにより、前輪と後輪の間に荷重移動を発生させて車両の操縦性と安定性の向上を図る方法が、非特許文献1に示されている。具体的な加減速指令値(目標前後加速度Gxc)は、以下数1に示す通り、
Figure 2017071399
基本的に横加加速度Gy_dotにゲインCxyを掛け、一次遅れを付与した値を前後加減速指令にするというシンプルな制御則である。
なお、Gy:車両横加速度、Gy_dot:車両横加加速度、Cxy:ゲイン、T:一次遅れ時定数、s:ラプラス演算子、Gx_DC:横運動に連係しない加減速度指令とする。
これによりエキスパートドライバの横と前後運動の連係制御ストラテジの一部が模擬でき、車両の操縦性・安定性の向上が実現できることが、非特許文献1で確認されている。
この式のGx_DCは横運動に連係していない減速度成分(オフセット)である。前方にコーナーがある場合の予見的な減速、あるいは区間速度指令がある場合に必要となる項である。また、sgn(シグナム)項は、右コーナー、左コーナーの両方に対して上記の動作が得られるように設けた項である。具体的には、操舵開始のターンイン時に減速し、定常旋回になると(横加加速度がゼロとなるので)減速を停止し、操舵戻し開始時のコーナー脱出時に加速する動作が実現できる。
このように制御されると、前後加速度と横加速度の合成加速度(Gと表記)が、横軸に車両の前後加速度、縦軸に車両の横加速度をとるダイアグラムで、時間の経過とともに曲線的な遷移をするように方向付けられる(Vectoring)のため、「G-Vectoring制御」と呼ばれている。
数1の制御を適用した場合の車両運動に関して、具体的な走行を想定して説明する。
図1は、直進路A、過渡区間B、定常旋回区間C、過渡区間D、直進区間Eという、コーナーへの進入、脱出の一般的な走行シーンを想定している。このとき、ドライバによる加減速操作は行わないものとする。
また、図2は、操舵角、横加速度、横加加速度、数1にて計算した加減速指令、そして四輪の制動、駆動力について時刻暦波形として示した図である。後で詳細に説明するが、前外輪と前内輪、後外輪と後内輪は、左右(内外)それぞれ同じ値と成るように制動力・駆動力が配分されている。ここで制駆動力とは各輪の車両前後方向に発生する力の総称で、制動力は車両を減速する向きの力であり、駆動力は車両を加速する向きの力と定義する。まず直進路区間Aから車両がコーナーに進入する。過渡区間B(点1〜点3)では、ドライバが徐々に操舵を切増すに従い、車両の横加速度Gyが増加していく。横加加速度Gy_dotは、点2近辺の横加速度が増加している間、正の値をとることになる(横加速度増加が終了する3の時点ではゼロに戻る)。このとき、数1より、制御車両には横加速度Gyの増加に伴い、減速(Gxcは負)指令が発生する。これに伴い、前外、前内、後外、後内の各輪に略同じ大きさの制動力(マイナス符号)が加わることになる。
その後、車両が定常旋回区間C(点3〜点5)に入ると、ドライバは操舵の切増しを止め、操舵角を一定に保つ。このとき、横加加速度Gy_dotは0となるため、加減速指令Gxcは0となる。よって、各輪の制動力・駆動力もゼロとなる。
次に、過渡区間D(点5〜7)では、ドライバの操舵の切戻し操作によって車両の横加速度Gyが減少していく。このとき車両の横加加速度Gy_dotは負であり、数1より制御車両には加速指令Gxcが発生する。これに伴い、前外、前内、後外、後内の各輪に略同じ大きさの駆動力(プラス符号)が加わることになる。
また直進区間Eでは横加加速度Gyが0となり横加加速度Gy_dotもゼロとなるため加減速制御は行われない。以上のように、操舵開始のターンイン時(点1)からクリッピングポイント(点3)にかけて減速し、定常円旋回中(点3〜点5)には減速を止め、操舵切戻し開始時(点5)からコーナー脱出時(点7)には加速する。このように、車両にG-Vectoring制御を適用すれば、ドライバは旋回のための操舵をするだけで、横運動に連係した加減速運動を実現することが可能となる。
また、この運動を前後加速度を横軸、横加速度を縦軸にとり、車両に発生している加速度様態を示す“g-g”ダイアグラムに表すと、滑らかな曲線状(円を描くよう)に遷移する特徴的な運動になる。本発明の加減速指令は、このダイアグラムで、時間の経過とともに曲線的な遷移をするように生成される。この曲線状の遷移は左コーナーについては、図1に示すように時計回りの遷移となり、右コーナーについては、Gx軸について反転した遷移経路となり、その遷移方向は半時計回りとなる。このように遷移すると前後加速度により車両に発生するピッチング運動と、横加速度により発生するロール運動が好適に連係し、ロールレイト、ピッチレイトのピーク値が低減される。
この制御は、図1に示すとおり、一次遅れ項、左右の運動に対する符号関数を省略して考えると、車両横加加速度にゲイン-Cxyを掛け合わせた値を前後加速度指令にしているので、ゲインを大きくすることにより、同一横加加速度に対して、減速度、あるいは加速度を大きくすることが出来る。
図3は、図1、2と同一のシチュエーションで通常ゲインの走行と、ゲインを高くした高ゲインの状態での旋回状況を示す図である。ゲインを大きくすることにより旋回開始時の減速度が大きくなり、通常ゲイン時に比べ、車両速度が低下し、同一操舵に対しても横加速度が小さくなり旋回時の安全性の向上につながる通常ゲインと強ゲインとの“g-g”ダイアグラムを比較すると、図3下のようになる。ダイアグラムの曲線は維持されるが、Gx方向に膨れた形になり、Gy方向は速度低下の影響を受け、若干すぼまる傾向となる。
一方、常に高ゲインにしておくと、微小な修正操舵に対しても大きな加減速が生じるようになり、ドライバおよびパッセンジャは強い減速感およびピッチング運動を感じるようになる。したがって、通常、GVCのゲインCxyは制御効果とフィーリングがバランスする0.25近辺に調整されている。しかしながら、緊急レーンチェンジなどにおいては、ゲインを向上したほうが、回避性能が大幅に改善することが確認されている。
(2)制動力制御ESC(Electronic Stability Control:横滑り防止装置)
ESCは、横滑り防止装置の一般的な呼称で、Direct Yaw-moment Control(DYC)の考え方を制動力制御に適用した車両運動制御である。
US5275475(特許文献3)において、車両運動モデルを用いた計算により微小な操舵入力に応じた理想ヨーレイトと横加速度を求め、それらと実際の車両のヨーレイト計測値と横加速度計測値とが比較され、それぞれの偏差(横滑り情報)にあらかじめ決められた重み係数を掛け合わせた値に基づいて各輪のスリップ率を制御し、結果的に各輪の制動力を左右輪別々に調整することによりヨーイングモーメントを発生させ、車両運動モデルで計算された理想的な運動と実際の運動が近づくように、フィードバック制御する方法が開示されている。
図4に示すように、車両運動モデルを用いて操舵入力に対して計算されたヨーレイト、横加速度と実際のヨーレイト、横加速度がほぼ合致しているときを広義のニュートラルステアとして、操舵入力に対してヨーレイト、横加速度が少ない状況、すなわちアンダーステアに対しては、旋回内側の前輪、後輪、あるいは前輪と後輪に制動力を発生させ旋回を促進する方向のモーメントを与え、逆に操舵入力に対してヨーレイト、横加速度が大きい状況、すなわちオーバーステアに対しては、旋回外側の前輪、後輪、あるいは前輪と後輪に制動力を発生させ旋回を安定化する方向のモーメントを与えるようにシステムが構築されている。
この制御はおおざっぱに言って、図4の横滑り角βを推定して、その変化分β_dot(横滑り角速度)も用い、それぞれに適切なゲインを掛け合わせた値を用い、横滑り角が小さくなる方向へ車両のヨーイングモーメントとして、左右輪の速度差、左右輪の前後力差を用いて実現していると考えられ、以下数2のように定式化できる。
Figure 2017071399
ここで、Cβ、Cβは、横滑り角、横滑り角速度ゲインである。
したがって、定性的には横滑り角ゲインCβを大きくすることにより、車両の旋回を促進するモーメントと、安定化するモーメントを大きくすることが出来、車両の操縦性と安定性を向上することができる。
一方、常に高ゲインにしておくと、微小な修正操舵に対しても大きなモーメント入力が生じるようになり、ブレーキにてモーメントを実現している場合、ドライバおよびパッセンジャは強い減速感およびピッチング運動を感じるようになる。また、旋回するのではなく、自転するような感覚(いわゆる遊園地のティーカップフィーリング)も、強くなってくる。
したがって、通常、ESCのゲインCβは制御効果とフィーリングがバランスするように調整されている。しかしながら、緊急レーンチェンジなどにおいては、ゲインを向上したほうが、回避性能が大幅に改善することが確認されている。
(3)制動力制御モーメント・プラス(Moment+ Control)(図5)
モーメント・プラスは、「山門誠、長塚敬一郎:車両横加加速度に基づくヨーモーメント制御手法の検討、自動車技術会学術講演会前刷集:116-12 ページ:21-26、発行年:2012年10月03日」(非特許文献2)内で報告されている、G-Vectoring Control(GVC)指令値を基に、即ち横加加速度情報を用いて、車両にヨーモーメントを加え、車両の操縦性と安定性を向上する新たな制御則である。ヨーモーメント指令値M+の基本制御則は以下数3のように定式化される。
Figure 2017071399
この制御は、数3に示すとおり、一次遅れ項、左右の運動に対する符号関数を省略して考えると、GVCと同様に車両横加加速度にゲインCmnを掛け合わせた値をモーメント指令にしているので、ゲインを大きくすることにより、同一横加加速度に対して、旋回促進モーメント、あるいは安定化モーメントを大きくすることが出来る。
一方、常に高ゲインにしておくと、微小な修正操舵に対しても大きなモーメント入力が生じるようになり、ブレーキにてモーメントを実現している場合、ドライバおよびパッセンジャは強い減速感およびピッチング運動を感じるようになる。
また、旋回するのではなく、自転するような感覚(いわゆる遊園地のティーカップフィーリング)も、強くなってくる。したがって、通常、Moment+のゲインCmnは制御効果とフィーリングがバランスするように調整されている。しかしながら、緊急レーンチェンジなどにおいては、ゲインを向上したほうが、回避性能が大幅に改善することが確認されている。
さらに、一般的に車両の運動の安定性は速度の増加により、低下する。したがって、旋回促進モーメントは速度増加に伴って、小さくするほうが、車両の安定性確保には有効である場合がある。したがって、ヨーモーメント指令値M+/Vは以下数4のように、制御モーメントを速度に逆比例して加えるという方法も、特にオーバーステア気味の車両には有効であると考えられる。
Figure 2017071399
もちろん、速度が低くなってくるとモーメント指令値は非常に大きくなるため、制御を停止する速度下限リミッターを持たせたり、極低速度では、制御量を固定とする等の方法を取ってもよい。
以上、3つの横運動に連係した前後運動制御について述べた。ESCおよびMoment+については、制御対象はヨーイング運動であるが、左右輪にモータを用いたような構成で、前後力が左右でつりあう状況にしないと必ず加減速(特に、ブレーキ力でモーメント制御する場合は、減速)を伴うため、本発明においては「横運動に連係した前後運動制御」に含めることにする。
これらの制御では具体的な加速度・減速度指令、あるいはモーメント指令を決定する制御則が明確に述べられている。しかしながら、例えば、以下数5のように横運動、あるいは経路曲率と速度等の情報に基づき、目標速度Vtを設定して現在の車速Vrとの差分δvに基づいて、例えばCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)制御などにより減速する制御(速度追従制御)を構成することもできる。
Figure 2017071399
このような制御は、その目標速度に到達するまでの時間を規定していないと、減速度を直接指令値として求めることができず、ドライバのフィーリングに完全に合致する保証はどこにもない。しかしながら、目標速度に到達するための時間をある範囲内に収めることにより、ある程度の制御効果は得ることが出来る。本発明ではこれらの横運動に間接的に連係することを狙った目標速度追従制御も「横運動に連係した前後運動制御」に含めることにする。
さて、これらの横運動に連係した前後運動制御は単独でのみ効果があるのではなく、特に先にのべたように、ESC、Moment+は専ら前後加減速度を制御するためのものではなくヨーイング運動を制御するものであるため、前後加減速度を制御するGVCと非干渉で組み合わせることが出来る。
図6は、30m離してパイロンAとパイロンBを置き、パイロンAの右側をすり抜け、パイロンBの左側に移動する、レーンチェンジンジを模擬的に行った時の、操舵角、前後加速度、横加速度、そして車両速度について、ESCのみを稼働した状態と、GVCとESCの複合制御を稼働した状態を比較したものである。ESCがステアリングを急激に戻している0.75秒から1秒近辺で、横滑り状態を検知して安定化モーメントを加えている(減速度の発生)のに比べ、GVCとESCの連係制御では、操舵を開始した瞬間から減速度が働き操舵開始から0.5秒で速度が10km/hも低下している。
これにより、操舵角も少なくロールレイト、ピッチレイトが大幅に低減され、安全にレーンチェンジができていることがわかる。さらに、上で示したように、加加速度ゲインCxy、横滑り角ゲインCβを大きくすることにより、同一タスクに対し、自動的に大きく速度を低減することが可能となり、大幅に回避性能が向上できる。
さらに、非特許文献2においてはMoment+、GVC、ESCとの連係制御を構築し、圧雪路で評価した結果が報告されている。連係制御においては、GVCによる操縦性の向上と、Momen
t +による早期安定性の向上、さらにはESCによる絶対的な操縦性・安定性向上の相乗効果により、圧雪路での運動性能がESCのみに加え、大幅に向上したことが報告されている。
したがって、これらの横運動に連係した前後運動制御は、操舵回避時に極めて有効な制御と考えることができる。
一方、これらの横運動に連係した前後運動制御は、通常領域から稼働させることにより、通常領域から制御効果があるというのが、その特徴ではあるが、全く別の観点で、このような制御を実現するためのアクチュエータのNVH(Noise、 Vibration、 Harshness)性能、あるいは耐久性能に高い要求が出される場合が多い。
例えば、電機自動車、あるいはハイブリッド自動車などで、前後運動制御アクチュエータをモータとする場合や、制御ブースタ、あるいは電機式ブレーキを用いる場合は、耐久性、NVH性能は問題ない。しかしながら、ESCなどを通常領域から稼働させようとすると、これらの課題解決のためにはコストの増加を伴う。したがって低コストのESCを用いる場合、稼働領域・頻度を狭める必要性が生じる。
以上をまとめると、
(1)横運動に連係した前後運動制御において、横運動を特徴的に表す状態量(横加加速度、横滑り角変化など)に対するゲインを大きくすることにより、速度低減効果などが大きくなり、回避性能が大幅に向上する。
(2)ゲインを増加させると通常領域のぎくしゃく感を増加させるため、制御効果とフィーリングがバランスするようにゲイン調整されている。
(3)制動アクチュエータの耐久性、あるいはNVH性能に課題がある場合は、稼働頻度を少なくする必要がある。
ということである。
本発明においては、危険なときのみ、この横運動に連係した前後運動のゲインを大きく調整するような構成とし、上述したメリットを最大限生かし、デメリットを最小化することを可能とする。
つぎに、危険ポテンシャルを定量的に評価する方法について述べる。これには、車両側のハード構成も関与するため、本発明の実施形態も含めて説明していくことにする。
危険ポテンシャルの評価としては、障害物との距離がまだ遠い状況、すなわち、まだ危険が顕在化していない場合と、実際に、急ブレーキや操舵により回避操作を行っているように、正に危険に遭遇している状態まで考えられる。
前者の危険ポテンシャルの評価については自車以外の環境、即ち進路上の障害物との相対位置、相対速度、相対加速度などを把握するための外部環境認識センサが必要となる。
後者の危険ポテンシャルの評価のためには、自車に搭載された操舵角センサ、ブレーキセンサ、あるいは加速度センサ、ヨーレイトセンサなど、操作入力あるいは車両挙動を計測し、それらが急峻に変化しているときに、危険に遭遇していると大まかには見て取ることができる。
さらに緊急回避性能の向上について考えてみる。勿論、後者の場合は直接的に自動ブレーキなどの前後運動制御が稼働している可能性がある状況であるが、前者の場合は、まだ回避動作がなされておらず、横運動が発生していない状況である。ここで、注意を要するのは緊急回避性能向上とは、必ずしも緊急回避動作時のアシストのみではなく、もしハンドルが切られて横運動が発生した時に、大きな減速度が発生するようにゲインを大きくなる方向に変化させて、準備しておくということを含むということである(もし、ドライバあるいはシステムがハンドルを切らないと、顕在化しない保険のようなもの)。
以上に述べたような、顕在化していない危険ポテンシャルと、遭遇している危険を把握し、横運動に連係した前後運動制御による緊急回避性能を向上するために、横運動を特徴的に表す状態量(横加加速度、横滑り角変化など)に対するゲインを大きくすることを可能とする本発明の車両の運動制御装置を用いた車両の第一の実施例の全体構成を図7に示す。
最も理想的に実施するために、いわゆるバイワイヤシステムで構成されており、ドライバと操舵機構、加速機構、減速機構の間に機械的な結合は無い。実際の形態では、例えば操舵機構のみ機械結合を有し、ドライバが直接操舵角を決定するように構成しても、本発明を適用できる。
本実施例において車両0はエンジン1により左前輪61、右前輪62を駆動する後輪駆動車(Rear Engine Rear Drive:RR車)である(駆動方式は特に本発明に密接な関係は無い)。
まず、具体的な機器構成を述べる。左前輪61、右前輪62、左後輪63、右後輪64には、それぞれブレーキロータ、車輪速検出用ロータと、車両側に車輪速ピックアップが搭載され、各輪の車輪速が検出できる構成となっている。
ドライバのアクセルペダル10の踏み込み量は、アクセルポジションセンサ31により検出され、ペダルコントローラ48を経て、ADAS(Advanced driver assistance system)コントローラ40で演算処理される。そしてパワートレインコントローラ46は、この量に応じて、エンジン1の図示しないスロットル、燃料噴射装置等を制御する。
また、エンジン1の出力はパワートレインコントローラ46により制御される電子制御トランスミッション2を経由し、左後輪63、右後輪64に伝達される。電子制御トランスミッションとしては、トルクコンバータ式オートマチックトランスミッション、湿式多板クラッチ式オートマチックトランスミッション、セミオートマチックトランスミッション、無段変速機 (CVT)、デュアルクラッチトランスミッションでも良い。
ADASコントローラ40から出力される、速度低下(減速)指令に基づいて、エンジンから各輪までのギア比を切り替えることにより、減速作用を与えることができる。例えば、カーブなどの道路形状から計算された、あるいはあとで述べるGVCで求められる減速度、目標速度指令などの「横運動に連係した」前後運動指令に基づいて減速作用を発生させることができる。
アクセルペダル10にはまた、アクセル反力モータ51が接続され、ADASコントローラ40の演算指令に基づき、ペダルコントローラ48により、反力制御される。また、アクセルを閉じる方向の動き、特にアクセル閉方向の速度から、急なアクセルオフを感知し、「ドライバアクセル操作を用いた危険ポテンシャルの定量化」を行う。
車両0の操舵系は前輪操舵装置となっているが、ドライバの舵角とタイヤ切れ角の間に機械的な結合の無い、ステアバイワイヤ構造となっている。内部に舵角センサ(図示せず)を含むパワーステアリング7とステアリング16とドライバ舵角センサ33とステアリングコントローラ44で構成されている。
ドライバのステアリング16の操舵量は、ドライバ舵角センサ33により検出され、ステアリングコントローラ44を経て、ADASコントローラ40で演算処理される。そしてステアリングコントローラ44はこの量に応じて、パワーステアリング7を制御する。
ステアリング16にはまた、ステア反力モータ53が接続され、ADASコントローラ40の演算指令に基づき、ステアリングコントローラ44により、反力制御される。また、これと同時にADASコントローラ40は、ドライバのステアリング操作量、特に操舵角速度から、急ハンドルを感知し、「ドライバ操舵操作を用いた危険ポテンシャルの定量化」を行う。
ドライバのブレーキペダル11の操作量(踏み込み量)は、ブレーキペダルポジションセンサ32により検出され、ペダルコントローラ48を経て、ADASコントローラ40で演算処理される。
左前輪61、右前輪62、左後輪63、右後輪64には、それぞれブレーキロータが配備され、車体側にはこのブレーキロータをパッド(図示せず)で挟み込むことにより車輪を減速させるキャリパーが搭載されている。
キャリパーは油圧式、あるいはキャリパー毎に電機モータを有する電機式である。油圧式の場合、従来の負圧ブースタに代え、中空モータとその内部のボールねじをアクチュエータとしてマスタシリンダ油圧を発生させるというシンプルな方式を採用しハイブリッド電気自動車や電気自動車の走行用モータによる回生ブレーキと協調して、自然なペダルフィーリングで必要な制動力を確保できる電動アクチュエーションを用いても良いし、ITS対応のESC(Electronic Stability Control)の多筒プランジャポンプ、あるいはギヤポンプで加圧してもよい。
それぞれのキャリパーは、基本的にはADASコントローラ40の演算指令に基づき、ブレーキコントローラ450により制御される。また、このブレーキコントローラ450には前出したように各輪の車輪速、操舵角、ヨーレイト、前後、横加速度などの車両情報がADASコントローラ40を経由して、あるいは直接入力され、車速V、車両横滑り角などが計算される。
そしてこれらの情報はADASコントローラ40内にて、共有情報として、常にモニタリングされている。
ブレーキペダル11にはまた、ブレーキ反力モータ52が接続され、ADASコントローラ40の演算指令に基づき、ペダルコントローラ48により、反力制御される。また、これと同時にADASコントローラ40は、ドライバのブレーキペダル操作量、特にペダル速度から、急ブレーキを感知し、「ドライバブレーキペダル操作を用いた危険ポテンシャルの定量化」を行う。
つぎに本発明の運動センサ群について述べる。
図7に示すように、横加速度センサ21と前後加速度センサ22は、重心点近辺に配置されている。また夫々の加速度センサの出力を微分して加加速度情報を得る、微分回路23、24が搭載されている。本実施例では微分回路の存在を明確化するために各センサに設置しているように図示したが、実際はADASコトローラ40に直接加速度信号を入力して各種演算処理をしてから微分処理をしてもよい。
また、特開2011−7353号公報の〔0082〕〜〔0083〕に示されるように、車両速度、操舵角、車両運動モデルを用いた推定ヨーレイト・横加速度を用いて横加加速度を得てもよいし、これらを例えばセレクト・ハイなどの処理により組み合わせて用いてもよい。また、ヨーレイトセンサ38の信号を用いて車両運動モデルによる推定精度を向上するような構成となっている。
さらに運動センサ群を用いて、路面の状態(摩擦係数など)を推定したり、路面勾配などを推定し、「走行環境に対する危険ポテンシャルの定量化」を行う。ここで注意を要するのは、路面勾配が大きい下り坂の場合は危険ポテンシャルが高く、横運動連係ゲインを向上する方向で良いが、路面摩擦係数が低い場合は、危険ポテンシャルは高いが、横運動連係ゲインを向上すると車輪ロックの危険性が生じる。したがって、このような場合はゲインを増加するとともに、特許4920054号公報に示されているような車輪過スリップ防止制御を組み込む必要がある。
また、車両0には、ドライバへアシスト情報(システム稼働情報)を伝えるHVI(Human Vehicle Interface)55が搭載されている。HVI55は、ドライバが目にすることが出来る画面、警告音、あるいは各ペダルの反力制御と連携して、複数の手段でドライバにシステム稼働情報を伝える。
さらに、車両0には、ステレオカメラ70とステレオ画像処理装置701が搭載されている。ステレオカメラ70は、左右方向に2つの撮像素子であるCCDカメラで構成されている。
2つのCCDカメラは、たとえば車室内のルームミラー(図示せず)を挟むような形で配置され、車両前方の対象物を車両固定系の異なる座標から個別に撮像し、2つの画像情報をステレオ画像処理装置701に出力する。なお、ここではCCDカメラを用いたが、CMOSカメラを用いても良い。
ステレオ画像処理装置701には、ステレオカメラ70から画像情報が入力されるとともにADASコントローラ40を経由してブレーキコントローラ450から車速Vが入力される。これらの情報に基づき、ステレオ画像処理装置701は、ステレオカメラ70からの画像情報に基づいて車両0前方の立体物データや白線データ等の前方情報を認識し、自車走行路を推定する。
さらに、ステレオ画像処理装置701は、自車が、今後走行していく路上に障害物や先行
車等の立体物の存在を調べ、最も近い立体物を衝突防止のための障害物として認識し、ADASコントローラ40に出力する。そして、ADASコントローラ40は、自車速度、相対位置、相対速度、相対加速度など(これを走行環境データと呼ぶ)に基づいて、「外部情報による、危険ポテンシャルの定量化」をおこなう。
図8に、本発明のADASコントローラ40とブレーキコントローラ450の内部構成を示す。
ブレーキコントローラ450は、基本構成として、ACC、プリクラッシュブレーキを可能とする減速度制御入力、車線逸脱防止システム用のヨーイングモーメント入力用のポートを持つ。CAN(Control Area Network)のI/Oポートの入出力情報に基づき、適切な方法で、制御指令をブレーキコントローラ450側に入力すれば、車両の減速度と、ヨーイングモーメントを制御できる。もちろん、本来のESC動作によるヨーイングモーメント指令も発生されるため、入力ポート側の指令に上限値を設け、一時無効とするなどの調停動作(四輪制動力配分)を行うロジックも組み込まれている。
ADASコントローラ40には、ステレオカメラ、レーダ、GPSなどから取得した撮像画像、距離情報、距離画像、相対速度、相対距離、障害物などの外部情報(外界情報)と、車速、操舵角、加速度、ヨーレイトなどの車両情報を取り込み、危険度(危険ポテンシャル)を推定する、危険ポテンシャル推定部41を有する。また、加減速度コントローラ43とヨーイングモーメントコントローラ44を有する。本実施例においては、加減速度コントローラ43には、GVCロジックが入っており、数1に基づいて、「横運動に連係した前後運動」が加減速度の指令値として求められ、ヨーイングモーメントコントローラ44には、Moment Plusロジックが入っており、数3に基づいて「横運動に連係した前後運動」がヨーイングモーメントの指令値として求められる。
つまり、本発明の車両の運動制御装置であるADASコントローラ40は、入力された外界情報及び車両情報に基づいて、車両の危険ポテンシャルを推定する危険ポテンシャル推定部41と、車両の横加加速度と予め定めたゲインとに基づいて車両の前後運動制御指令を生成する車両前後運動制御部(加減速度コントローラ43とヨーイングモーメントコントローラ44)と、ゲインを調整するゲイン調整部42と、を有し、ゲイン調整部42は、危険ポテンシャル推定部で推定された危険ポテンシャルに基づいてゲインが調整されることが特徴である。
また、ADASコントローラ40は、これら「横運動に連係した前後運動」のゲイン(加減速度コントローラ43においては数1の車両横加加速度ゲイン(第1のゲイン)Cxy、ヨーイングモーメントコントローラ44においては、数3の車両横加加速度ゲイン(第2のゲイン)Cmn)を、危険ポテンシャル推定部41が推定する危険ポテンシャルに基づき、危険ポテンシャルが予め定めた値より高い時には、危険ポテンシャルが低い時に比べ、第1のゲイン及び/又は第2のゲインが大きくなるように調整するゲイン調整部42を有する。言い方を変えれば、ゲイン調整部42は、危険ポテンシャル推定部41で危険ポテンシャルが検出された場合、検出されない場合に比べて、ゲインを大きくなるように調整する。
つぎに「安全運転支援システムのための移動障害物に対する危険度評価方法(http://robotics.iis.u-tokyo.ac.jp/pdf/Safety.pdf: 東京大学情報学環/生産技術研究所鈴木高宏研究室)」(非特許文献3)を参考にして、危険ポテンシャルの定量的評価方法を
示す。
例えば、図9に示すようにx方向に走行中の自車両0の前に、先行車101が走行しており、自車両0の位置がxf、速度がvf、加速度がafで、先行車101の位置がxp、速度がvp、加速度がapとすると、それぞれの相対位置は、xr=xf-xp、相対速度はvr=vf-vp、相対加速度は、ar=af-apとなる。
これらの値を用いて、以下のような危険ポテンシャルが従来提案されている。
(1)TTC(Time-To-Collision:衝突余裕時間)(以下、数6を参照)
Figure 2017071399
TTCは、現在の相対速度が維持されると仮定して、自車が先行車に衝突するまでの時間を予測する指標である。
(2)KdB(接近離間状態評価指標)(以下、数7を参照)
Figure 2017071399
KdBは、「ドライバが先行車の視覚的な面積変化によって接近・離間を検出しながら加減速操作を行っている」とする仮説に基づいて定義された指標である。
(3)THW(Time-Head Way:車間時間)(以下、数8を参照)
Figure 2017071399
THWは。現在の自車速度で現在の先行車位置に到達する時間を示す指標である。
(4)1/TTC(Time-To-Collisionの逆数)(以下、数9を参照)
Figure 2017071399
TTCの逆数は、先行車の大きさ(先行車に対する視覚)の増加率の時間変化、または車間距離の対数の時間変化と等価となる指標である。
(5)RF(Risk Feeling)(以下、数10を参照)
Figure 2017071399
RFは、先行車追従時にドライバの車速制御特性を物理量で表現することを目的として、TTCとTHWのそれぞれの逆数の線形和を、ドライバが主観的に感じるリスクとして定義する指標である(a、bはあらかじめもとめた重みつけ定数)。
これらの危険ポテンシャルは、ステレオカメラのみならず、ミリ波レーダ、レーザレーダなどの前方との測距センサを用いても得ることが出来る。本実施例では、自車両0の先行車101あるいは、障害物(図示せず)への接近に伴い増加傾向を示す、数8の1/TTC(Time-To-Collisionの逆数)を用いることにする。
図10に、1/TTCと、相対的な障害物との距離Di、そして衝突危険ポテンシャルの関係を模式的に示す。先行車101(止まっている場合、障害物)との距離が縮まると、1/TTCが増加し、危険ポテンシャルが向上している様子が示されている(ただし、相対速度は一定と想定している)。
例えば障害物との距離をD4として遠い場合、1/TTCは、1/tc0と、小さい値となり、このときに危険ポテンシャルはRP0となり危険は無い(RP0≒0)。
一方、距離が短くなると衝突の危険性は急激に高くなり、距離D1より短くなると危険ポテンシャルは大幅に大きくなる。この危険ポテンシャルの定量化は、図10の実線のように段階的にしても良いし、図10の点線のように、連続的にしても良い。このように1/TTCにより、危険ポテンシャルの定量的評価が可能となる。
図11は、ドライバ操舵操作を用いた危険ポテンシャルの定量的評価を車載のステアリング角センサが出力する操舵角速度情報に基づいて行った例を示している。一般的に緊急操舵を行い、衝突を回避しているときには、操舵速度が早くなる。したがって、操舵速度が遅い場合は、通常運転時で、早い場合は、危険ポテンシャルが高い時と位置づけることができる。
操舵角速度が正の場合、左側に操舵を増し、操舵角速度が負の場合は、右に操舵を増している状態である。
図11では、危険ポテンシャルが左右の操舵角速度に対して対称になっているが、「右側通行」「左側通行」に対して左右、非対象にしても良いし、カウンターステア(有る方向に操舵している状態で、逆方向に急激に戻す)などを考慮して、操舵角速度のみならず、操舵角と操舵角速度の2次元マップとしても良い。さらにこの危険ポテンシャルの定量化は、図10の実線のように段階的にしても良いし、図10の点線のように、連続的にしても良い。
また、本実施例では図面は省略するが、アクセルオフ側のペダル角速度、ブレーキ踏みこみ側のペダル角速度についても「角速度が大きい時には危険ポテンシャルが高い」として危険ポテンシャルを定義し、危険ポテンシャルの定量的評価を行ってもよい。
図12は、図10、図11の定量的な危険ポテンシャルに対し、定性的な危険度の評価指標を対応させ、また、図13は、本発明の実施例において危険ポテンシャルが定量化された場合の各定量値に対するシステムの稼働状況を示した表である。「自動ブレーキ」、「横運動に連係した前後運動連係ゲインの調整」、HVI55の「マルチインフォメーションディスプレイの表示」、「ブザー」、「ステア反力、ペダル反力等の振動」など、システムの稼働指令の計算はADASコントローラ40が、一括して管理している。以下、危険ポテンシャルとシステムの稼働について概説していく。
RPOは、「危険なし」の状況を示しており、通常の運転状況では、ほとんどこの状態である(発生頻度が高い)。
このような状態では衝突回避のための自動ブレーキ制御(横運動に連係していない直線ブレーキ)の必要は無い。また、「横運動に連係した前後運動」は、緊急回避などの急激な横移動をアシストする可能性は低く、このため横運動連係ゲインの大きさは、横運動によるロールと前後運動によるピッチがドライバにとって違和感のない範囲に留めておくことが重要となる。
そして、ドライバが直進修正操舵を加えたり、緩いレーンチェンジ(時間をかけて別のレーンに移動)を行ったりするときに、大きな減速度によって「引っかかり感」が生じないようにしておくことが肝要である。また、極端な例として、このときのゲインをゼロにしておくと、通常時は減速用アクチュエータの稼働頻度を著しくさげることができ、耐久性要件を大幅に緩和することができる。また、NVH性能が低い安価な減速用アクチュエータを搭載した車両に対しても、NVH性能が問題になる確率を大幅に低減できる。HVI55のマルチインフォメーションディスプレイ、ブザー、ステア反力、ペダル反力等の振動制御は行わない。
つぎにRP1は「衝突の可能性がある」という状況で、加減速無くこのままの状態を続けると、衝突する状況である。したがって、ドライバに対して、ブレーキ(エンジンブレーキを含む)を促す必要がある(この段階では自動ブレーキ制御は行わない)。
このとき、マルチインフォメーションディスプレイには、前方車両表示とともに前方注意と表示するとともに、「ピピピ…。」というブザーを鳴らし、ドライバに衝突の可能性を伝える。さらにはステア反力、ペダル反力等に弱い振動を与え注意を促す。
RP1のときには、横運動連係ゲイン(ここではCxy)は、RP0のときに比べて大きく設定し万一の衝突を避ける操舵回避のための回避ポテンシャルを向上させておく(操舵が成されない場合は、車両運動に影響を及ぼすものではない)。
危険ポテンシャルがRP2となると「衝突の可能性が高い」状況となり、特許文献1と同様に、ドライバがブレーキをかけなくても、弱い自動ブレーキ(警報ブレーキ)がかかる。この自動ブレーキは、横運動に連係したものではなく〔数1〕のGx_DCにあたるものである。横運動連係ゲインの大きさは、RP1のときに比べて大きく設定し、緊急回避に備えて回避ポテンシャルをさらに向上させておく。ディスプレイ、ブザーは、RP1と同じであるが、ステア反力、ペダル反力はRP1に比べて、大きな振動とする。
さらに、RP3は、「衝突の可能性が非常に高い」状況であり、強い自動ブレーキ(緊急ブレーキ)がかかる。さらに横運動連係ゲインの大きさはRP2に比べ、さらに大きくする。ブザー音は連続の「ピーー」という連続音になり、ステア反力、ペダル反力をRP2に比べて、大きな振動とする。
図14は、これらの状況を模式的に示す図である。この例の「横運動に連係した前後運動」はGVCを採用している。
上記数1で表せるGVCは、符号関数、一次遅れなどを省略して考えると図中にあるように、減速度指令値は、車両横加加速度に横運動連係ゲインである-Cxyを掛け合わせたものとなる。障害物(図14ではエルク)に近づいていくにつれ、ゲインCxyを大きく設定し、警報後の回避、警報ブレーキ後の回避、緊急ブレーキ後の回避を行う。
また、ゲインCxyは定量化された危険ポテンシャルの増加に伴い、段階的に増加するように変えても、連続的に増加するように変えても良い。
図15は、「警報ブレーキ」「緊急ブレーキ」のような自動ブレーキによる直線減速とGVCによる横運動に連係した前後運動との連係状況を示す図である。
特に左の図は、車両前後加速度をx軸に、車両横加速度をy軸とし、車両の合成加速度ベクトルG(Gx、Gy)がどのように推移するかを示す”g-g”ダイアグラムを示している。
図14に示すように、本発明においては、「警報ブレーキ後の回避」「緊急ブレーキ後の回避」を考慮する必要がある。先にも述べたとおり、特許文献1を参照して構成し、図13、図14に示した各自動ブレーキ制御は、前後運動のみを制御した直線減速である。
したがって図15の”g-g”ダイアグラムに示すと、x軸上のみの減速度推移となる(数1のGx_DC)。これに対して、この直線減速を考慮せず、ステアリングによる回避動作時のGVC単体での減速度と横加速度の合成加速度ベクトルG(Gx、Gy)の推移を示したものが、図15中の曲線である。その始点は原点からで、左への回避の際は正の横加速度と、これに連係して前後方向の減速度が加わるので横加速度が増加して他車線に移動していくときは、第4象限での推移となる。
一方、特許文献1にも記載されているように、警報ブレーキあるいは緊急ブレーキなどの自動ブレーキ制御は、ドライバによる操舵角、あるいは操舵角速度が大きくなると、制動制御を禁止する時間を設定しているために、回避動作を開始すると、自動ブレーキ制御は、解除される。ここでGVCにより、横運動に連係した減速度制御は行われるのであるが、自動ブレーキ制御が解除されGVCによる減速が立ち上がってくるまでの間、一瞬減速度の落ち込みが発生する可能性がある。これはいわゆる「G抜け(ブレーキ抜け)」として、フィーリングの悪化を招くだけではなく、ピッチングによるドライバ視点の急激な変動、あるいはタイヤの接地荷重の変動の原因となり、操舵による回避性能の低下が懸念される。
本発明においては、ADASコントローラ40の中に、自動ブレーキによる直線減速指令が、操舵開始タイミングで急激に(ステップ状に)低下しないように、例えば一次遅れフィルター(ローパスフィルタ)のような平滑手段により、操舵操作により発生する横運動に連係したGVCによる減速との間を、滑らかにつなぎ合わせ、図15にあるように、自動ブレーキによる直線減速(A点)からB点を通り、横運動のみのC点へと推移させることができる。
これにより、ドライバの視点の安定、接地荷重変動が低減でき、緊急時でも落ち着いて回避動作を行いやすくなる。
図16は、図8の車両の運動制御システム構成をより明確に示した概念図である。
ステレオカメラなど外界センサにて障害物との相対距離、相対速度、相対加速を検出し、ADASコントローラ40は、この情報を用いて例えば1/TTCという判断基準で危険ポテンシャルを定量化する。ADASコントローラ40においては、危険度に応じて、横運動に連係した前後運動(図16ではGVC)の横運動連係ゲインCxyを記憶しているマップなどで構成されるゲイン調整部42により、加減速度コントローラ43(図16ではGVCコントローラ)のゲインを変更する。つまり、ゲイン調整部42は、予め記憶された危険ポテンシャルに応じたゲインの値が記されたマップを用いて、推定された危険ポテンシャルに対応するゲインが出力される構成にしても良い。
加減速度コントローラ43では、操舵角、ヨーレイト、横加速度、横加加速度などの横運動情報を受けて、減速度指令を形成するための信号処理を行う(数1の計算)。
そして、ADASコントローラ40は、ブレーキ制御装置、回生制動用のモータ、あるいはCVTなどに減速指令を送り、危険ポテンシャル基づく、好適な横運動に連係した前後運動制御が実現できる。もし、ドライバが回避操作を行わない場合には、横運動に連係した減速指令は発令されないが、危険ポテンシャルに基づく直線制動制御は勿論行われることになる。システムとしては、緊急回避操舵操作が行われた場合の回避ポテンシャルを向上させてはいるが、横運動に連係した前後運動制御の稼働は、自動的に行われるものではなく、ドライバの意思(操舵操作)に基づいて、初めて行われるものであることに注意を要する
また、回避動作時に、高度な運転操作により回避を試みるドライバに対しては、ドライバ動作と「横運動に連係した前後運動制御」が干渉を及ぼす可能性もぬぐいきれない。
例えば、後輪駆動車両の場合、操舵操作と合わせて、アクセルを全開にして、駆動力により後輪横力を低減させ、急激にヨーイング運動を立ち上げて回避を行うかもしれないし、パーキングブレーキを操作して後輪をロックさせて、いわゆるスピンターン状態で回避を行うかもしれない。
このような状況に対しては、アクセル、あるいはパーキングブレーキの操作量にあらかじめ設定した閾値を設け、この閾値を超えたときには、「横運動に連係した前後運動」の横運動連係ゲインを危険ポテンシャルに応じて決定されたゲインに比べて小さくするように設定している。具体的には、横運動に連係した前後運動制御指令は、加速指令と減速指令があり、加速指令は、ドライバからのブレーキ操作指令が、予め定めた閾値を超えて入力された場合にゼロとなり、減速指令は、ドライバからのアクセル操作指令が、予め定めた閾値を超えて入力された場合にゼロとなる。
最後に、図17を用いて、本発明により実現できる、横運動に連係した前後運動を実現する減速アクチュエータに対する要件の緩和について述べる。
図16に示すような減速アクチュエータのうち、ポンプアップした油圧を用いて減速させるいわゆるESCを用いたものは、他のモータによる回生、あるいはCVT等に比べて、ポンプ部分の耐久性が課題となる場合が多い。さらに作動時の音なども課題となる場合が多い。これらの課題に対しては、多気筒のプランジャポンプやギヤポンプを用いた、いわゆる「プレミアム仕様」にて通常領域からの稼働に対応している。一方、価格レンジの低い車両においてもESCは義務付けられているが、これらの車両にはコストの制約上採用できな
い。このような価格レンジの低い車両においても、本発明を適用し、緊急回避性能を向上することが出来る。
ADASコントローラ40のゲイン調整部42において、図13のように危険ポテンシャルがRP0すなわち危険無しの状態での横運動連係ゲインを「ゼロ」に設定すると、危険が無い状態では、横運動が発生しても、前後運動制御指令はゼロとなり減速アクチュエータは稼働しない。
ここで、図17の一番上の危険リスク頻度グラフを見ると、通常時(危険なし)が生涯運行状況のうちのほとんどであることがわかる。したがって通常時のゲインをゼロにしておくことにより、耐久性に大きな影響を与える稼働時間を大幅に提案できる。
例えば、本発明を採用せず、「危険なし」状態(RP0)から「衝突の可能性が非常に高い」状態(RP3)まで同じゲイン(正規化ゲイン1.0)とした場合に比べ、定量評価された危険度に対し、危険度が増すにつれて以下のように
RP0に対するゲイン 0.0
RP1に対するゲイン 1.0
RP2に対するゲイン 1.5
RP3に対するゲイン 2.0
ゲインを増加させる本発明の制御方法を採用すると、生涯正規化稼働時間(稼働強さも考慮)を2.3%にまで低減できる。また、危険リスクが高い時は、多少の作動音、振動、ぎくしゃく感は、容認されるため、価格レンジの低い車両においても(ESCは標準装着であるため)本発明により、緊急回避性能を向上することが出来る。
以上、横運動に連係した前後運動制御について、横運動連係ゲインを増加した時の制御効果、体感上の課題、アクチュエータ課題について述べ、本発明による具体的な危険ポテンシャルの定量化方法、危険ポテンシャルに基づく横運動連係ゲインの調整方法、また横運動連係ゲインの調整による効果を示してきた。
本発明によると、通常時には、ぎくしゃくせず、緊急回避操舵時には確実にドライバをアシストする車両の運動制御装置を提供することができる。また発生頻度が非常に高い「通常領域」のゲインをゼロにすることにより、耐久性、NVH性能が低い制動アクチュエータを採用できる可能性を広げ、低コストレンジの車両にまで、上述のメリットを享受することを可能と提供できる。
0 車両
1 エンジン
2 自動変速機
7 パワーステアリング
10 アクセルペダル
11 ブレーキペダル
16 ステアリング
21 横加速度センサ
22 前後加速度センサ
23、24、 微分回路
31 アクセルポジションセンサ
32 ブレーキペダルポジションセンサ
33 ドライバ舵角センサ
38 ヨーレイトセンサ
40 ADASコントローラ
41 危険ポテンシャル推定部
42 横運動連係ゲイン調整手段
43 前後加減速度調整手段
44 モーメント調整手段
450 ブレーキコントローラ
451 ESC制御部
452 四輪ブレーキ力配分調整手段
45 ステアリングコントローラ
46 パワートレインコントローラ
48 ペダルコントローラ
51 アクセル反力モータ
52 ブレーキペダル反力モータ
53 ステア反力モータ
61 左前輪
62 右前輪
63 左後輪
64 右後輪
70 ステレオカメラ
701 ステレオ画像処理装置

Claims (19)

  1. 入力された外界情報及び車両情報に基づいて、車両の危険ポテンシャルを推定する危険ポテンシャル推定部と、
    車両の横加加速度と予め定めたゲインとに基づいて車両の前後運動制御指令を生成する車両前後運動制御部と、
    前記ゲインを調整するゲイン調整部と、を有し、
    前記ゲイン調整部は、前記危険ポテンシャル推定部で推定された前記危険ポテンシャルに基づいて前記ゲインが調整される車両の運動制御装置。
  2. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記ゲイン調整部は、前記危険ポテンシャル推定部で前記危険ポテンシャルが検出された場合、検出されない場合に比べて、前記ゲインを大きくなるように調整する車両の運動制御装置。
  3. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記車両前後運動制御部は、
    車両の横加加速度と予め定めた第1のゲインに基づいて車両の前後加速度指令値を算出し、前記前後加速度指令値を出力する加減速制御部と、
    車両の横加加速度と予め定めた第2のゲインに基づいて車両のヨーモーメント指令値を算出し、前記ヨーモーメント指令値を出力するヨーモーメント制御部と、を有し、
    前記ゲイン調整部は、前記危険ポテンシャル推定部で推定された前記危険ポテンシャルに基づいて前記第1のゲイン又は前記第2のゲインが調整される車両の運動制御装置。
  4. 請求項3記載の車両の運動制御装置において、
    前記ゲイン調整部は、前記危険ポテンシャル推定部で推定された前記危険ポテンシャルが予め定めた値より高い場合、前記値より低い場合に比べて、前記第1のゲイン又は前記第2のゲインが大きくなるように調整する車両の運動制御装置。
  5. 請求項3記載の車両の運動制御装置において、
    前記ゲイン調整部は、前記危険ポテンシャル推定部で推定された前記危険ポテンシャルに基づいて前記第1のゲイン及び前記第2のゲインが調整される車両の運動制御装置。
  6. 請求項2記載の車両の運動制御装置において、
    前記ゲイン調整部は、前記危険ポテンシャルが検出されない場合、前記ゲインをゼロとなるように調整する車両の運動制御装置。
  7. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記外界情報は、カメラ又はレーダから取得した自車前方外界情報であって、
    前記車両情報は、車速、操舵角、加速度、ヨーレイト、ペダル操作速度、ブレーキ操作速度の少なくとも1つの情報である車両の運動制御装置。
  8. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記危険ポテンシャル推定部は、車両の危険ポテンシャルの定量的評価を推定する車両の運動制御装置。
  9. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記車両の危険ポテンシャルの定量的評価は、衝突余裕時間や操舵角速度に基づいて、定量化される車両の運動制御装置。
  10. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記ゲイン調整部は、予め記憶された前記危険ポテンシャルに応じた前記ゲインの値が記されたマップを用いて、推定された前記危険ポテンシャルに対応する前記ゲインが出力される車両の運動制御装置。
  11. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記車両前後運動制御部は、車両の横加速度の絶対値が増加する時、車両が減速し、車両の横加速度の絶対値が減少する時、車両が加速するように前記車両の前後運動制御指令が生成される車両の運動制御装置。
  12. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記車両前後運動制御部は、車両の操舵角の絶対値が増加する時、車両が減速し、車両の操舵角の絶対値が減少する時、車両が加速するように前記車両の前後運動制御指令が生成される車両の運動制御装置。
  13. 請求項3記載の車両の運動制御装置において、
    前記前後加速度指令値Gxcは、
    Figure 2017071399
    (但し、Gy:車両横加速度、Gy_dot:車両横加加速度、Cxy:横加加速度ゲイン、T:一次遅れ時定数、s:ラプラス演算子、Gx_DC:オフセット)
    で生成される車両の運動制御装置。
  14. 請求項3記載の車両の運動制御装置において、
    前記ヨーモーメント指令値は、車両の横加速度の絶対値が増加するときに車両の旋回を促進し、車両の横加速度の絶対値が減少するときに車両の旋回が復元するように生成される車両の運動制御装置。
  15. (M+の表現2)
    請求項3記載の車両の運動制御装置において、
    前記ヨーモーメント指令値は、車両の操舵角の絶対値が増加するときに車両の旋回を促進し、車両の操舵角の絶対値が減少するときに車両の旋回が復元するように生成される車両の運動制御装置。
  16. (M+の表現4)
    請求項3記載の車両の運動制御装置において、
    前記ヨーモーメント指令値Mz+は、
    Figure 2017071399
    (但し、Gy:車両横加速度、Gy_dot:車両横加加速度、Cmnl:横加加速度ゲイン、Tmn
    :一次遅れ時定数、s:ラプラス演算子)
    で生成される車両の運動制御装置。
  17. 請求項3記載の車両の運動制御装置において、
    前記ヨーモーメント指令値Mz+/Vは、
    Figure 2017071399
    (但し、Gy:車両横加速度、Gy_dot:車両横加加速度、Cmnl:横加加速度ゲイン、Tmn
    :一次遅れ時定数、s:ラプラス演算子、V:車両速度)
    で生成される車両の運動制御装置。
  18. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記前後運動制御指令は、加速指令と減速指令とを有し、
    前記加速指令は、ドライバからのブレーキ操作指令が、予め定めた閾値を超えて入力された場合にゼロとなり、
    前記減速指令は、ドライバからのアクセル操作指令が、予め定めた閾値を超えて入力された場合にゼロとなる車両の運動制御装置。
  19. 請求項1記載の車両の運動制御装置において、
    前記危険ポテンシャル推定部は、スレテオカメラから取得した障害物までの距離情報に基づいて車両の危険ポテンシャルを推定する車両の運動制御装置。
JP2017002240A 2017-01-11 2017-01-11 車両の運動制御装置 Pending JP2017071399A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017002240A JP2017071399A (ja) 2017-01-11 2017-01-11 車両の運動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017002240A JP2017071399A (ja) 2017-01-11 2017-01-11 車両の運動制御装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013070950A Division JP2014193691A (ja) 2013-03-29 2013-03-29 車両の運動制御装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018140854A Division JP2018177223A (ja) 2018-07-27 2018-07-27 車両の運動制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017071399A true JP2017071399A (ja) 2017-04-13

Family

ID=58539049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017002240A Pending JP2017071399A (ja) 2017-01-11 2017-01-11 車両の運動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017071399A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005240751A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Nissan Motor Co Ltd 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
JP2006007926A (ja) * 2004-06-24 2006-01-12 Nissan Motor Co Ltd 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
JP2009051430A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Fuji Heavy Ind Ltd 走行支援システム
JP2010162911A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Hitachi Automotive Systems Ltd 車両の運動制御装置
JP2011073530A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Hitachi Automotive Systems Ltd 走行支援装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005240751A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Nissan Motor Co Ltd 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
JP2006007926A (ja) * 2004-06-24 2006-01-12 Nissan Motor Co Ltd 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
JP2009051430A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Fuji Heavy Ind Ltd 走行支援システム
JP2010162911A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Hitachi Automotive Systems Ltd 車両の運動制御装置
JP2011073530A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Hitachi Automotive Systems Ltd 走行支援装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014156256A1 (ja) 車両の運動制御装置
JP6138655B2 (ja) 車両の運動制御装置
JP6204865B2 (ja) 車両の運動制御システム、車両、および、プログラム
JP7256982B2 (ja) 車両の走行制御装置
EP3530535B1 (en) Vehicle movement control device, vehicle movement control method, and vehicle movement control program
JP7000765B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP7198829B2 (ja) 車両制御装置
US9174641B2 (en) Safety device for a motor vehicle and method for operating a motor vehicle
US11407427B2 (en) Driving control apparatus for vehicle
JP6375034B2 (ja) 車両の運動制御システム
JP2008279983A (ja) 車両制御装置
CN108146433A (zh) 车辆的紧急自动制动系统及方法
JP2018177223A (ja) 車両の運動制御装置
JP6810237B2 (ja) 車両の運動制御装置
JP2017071399A (ja) 車両の運動制御装置
US20190202493A1 (en) Vehicle control apparatus
JP2017154512A (ja) 車両制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170111

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20170126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180727

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180814

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20180907

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190530

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190718