JP2017071342A - ハイブリッド自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行中のブレーキオンでクラッチを解放状態としてモータを回生駆動する際の、制動エネルギの回収効率を向上させる。
【解決手段】走行中のブレーキオンでクラッチを解放状態とすると共にエンジンを運転停止状態としてモータを回生駆動する際には、モータの回生トルクTmが最大回生トルクTmminの範囲内となるようにモータを制御する。この際、基本的には、モータの定格トルクTmrtを最大回生トルクTmminに設定するS330)。そして、モータの回生可能トルクTeが定格トルクTmrtを超過するときには、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとの和が最小となるように一時アップトルクTmmin2を設定すると共にこの一時アップトルクTmmin2を最大回生トルクTmminに一時的に設定する(S340,S342)。
【選択図】図4

Description

本発明は、ハイブリッド自動車に関する。
従来、ハイブリッド自動車としては、エンジンとモータジェネレータとクラッチと自動変速機とインバータとバッテリとを備える構成において、EV走行時にブレーキスイッチがオンの場合(ブレーキペダルが踏み込まれている場合)には、HV走行時にブレーキスイッチがオンの場合に比して高車速側に設定された変速線に基づいて自動変速機を変速させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。エンジンとモータジェネレータとは、クラッチを介して接続されている。自動変速機は、モータと駆動輪とに接続されている。バッテリは、インバータを介してモータと電力をやりとりする。EV走行では、クラッチを解放状態としてモータジェネレータのみの動力によって走行する。HV走行では、クラッチを係合状態として少なくともエンジンの動力によって走行する。このハイブリッド自動車では、EV走行時にブレーキスイッチがオンの場合には、HV走行時にブレーキスイッチがオンの場合に比して変速線を高車速側とすることにより、モータジェネレータを高回転数で回生動作させて、制動エネルギの回収効率を向上させている。
特開2013−123986号公報
こうしたハイブリッド自動車では、走行中にブレーキスイッチがオンでクラッチを解放状態としてモータジェネレータを回生動作する際の、制動エネルギの回収効率を向上させることが要請されている。この要請に対して、上述の制御とは異なる制御を考案することは、技術の向上ために有用である。
本発明のハイブリッド自動車は、走行中のブレーキオンでクラッチを解放状態としてモータを回生駆動する際の、制動エネルギの回収効率を向上させることを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1のハイブリッド自動車は、
エンジンと、
モータと、
前記エンジンの出力軸と前記モータの回転軸との間に設けられたクラッチと、
前記回転軸と駆動輪に連結された駆動軸とに接続された自動変速機と、
前記モータを駆動するインバータと、
前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりするバッテリと、
走行中のブレーキオンで前記クラッチを解放状態として前記モータを回生駆動する所定時には、前記モータの回生トルクが最大回生トルクの範囲内となるように前記モータを制御する制御手段と、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御手段は、
前記モータの定格トルクを前記最大回生トルクとして設定し、
前記所定時に前記モータの回生可能トルクが前記定格トルクを超過するときには、前記モータの回生可能パワーに対する回生パワーの不足分としての回生取りこぼし損失と、前記モータおよび前記インバータの損失と、の和が最小となるように、前記最大回生トルクを一時的に前記定格トルクに比して絶対値の大きい一時アップトルクに変更する、
ことを要旨とする。
この本発明の第1のハイブリッド自動車では、走行中のブレーキオンでクラッチを解放状態としてモータを回生駆動する所定時には、モータの回生トルクが最大回生トルクの範囲内となるようにモータを制御する。この際、基本的には、モータの定格トルクを最大回生トルクとして設定する。そして、所定時にモータの回生可能トルクが定格トルクを超過するときには、モータの回生可能パワーに対する回生パワーの不足分としての回生取りこぼし損失と、モータおよびインバータの損失と、の和が最小となるように、最大回生トルクを一時的に定格トルクに比して絶対値の大きい一時アップトルクに変更する。これにより、所定時にモータの回生可能トルクが定格トルクを超過するときに、回生取りこぼし損失とモータおよびインバータの損失との和が最小となるようにして、より多くのエネルギをバッテリに充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。
こうした本発明の第1のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、所定トリップ数毎のイグニッションオン時またはイグニッションオフ時にのみ前記一時アップトルクを更新するものとしてもよい。こうすれば、所定時に一時アップトルクを演算するものに比して制御手段での所定時の処理負荷を低減しつつ、回生取りこぼし損失とモータおよびインバータの損失とを考慮して一時アップトルクを更新することができる。
また、本発明の第1のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定時に前記最大回生トルクが前記一時アップトルクのときに、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクを超過するときには、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクの範囲内のときに比して前記モータの回転数が大きくなるように前記自動変速機を制御するものとしてもよい。モータの回転数を大きくすると、モータの回生パワーを大きくすることが可能となるから、更に多くのエネルギをバッテリに充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率をより向上させることができる。
さらに、本発明の第1のハイブリッド自動車において、前記インバータが接続された第1電力ラインと前記バッテリが接続された第2電力ラインとに接続され、前記第1電力ラインの電圧を前記第2電力ラインの電圧以上の範囲内で調節する昇圧コンバータを備え、前記制御手段は、前記所定時に前記最大回生トルクが前記一時アップトルクのときに、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクを超過するときには、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクの範囲内のときに比して前記第1電力ラインの電圧が高くなるように前記昇圧コンバータを制御するものとしてもよい。第2電力ラインの電圧を高くすると、モータの回生パワーを大きくすることが可能となるから、更に多くのエネルギをバッテリに充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率をより向上させることができる。
本発明の第2のハイブリッド自動車は、
エンジンと、
モータと、
前記エンジンの出力軸と前記モータの回転軸との間に設けられたクラッチと、
前記回転軸と駆動輪に連結された駆動軸とに接続された自動変速機と、
前記モータを駆動するインバータと、
前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりするバッテリと、
走行中のブレーキオンで前記クラッチを解放状態として前記モータを回生駆動する所定時には、前記モータの回生トルクが定格トルクの範囲内となるように前記モータを制御する制御手段と、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御手段は、前記所定時には、前記モータの回生可能パワーに対する回生パワーの不足分としての回生取りこぼし損失と、前記モータおよび前記インバータの損失と、前記モータの回転変動に伴う損失と、前記自動変速機の損失と、の和が最小となるように前記モータの目標回転数を設定し、前記目標回転数に応じて前記自動変速機の目標変速段を設定し、前記自動変速機の変速段が前記目標変速段となるように前記自動変速機を制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の第2のハイブリッド自動車では、走行中のブレーキオンでクラッチを解放状態としてモータを回生駆動する所定時には、モータの回生トルクが定格トルクの範囲内となるようにモータを制御する。そして、所定時には、モータの回生可能パワーに対する回生パワーの不足分としての回生取りこぼし損失と、モータおよびインバータの損失と、モータの回転変動に伴う損失と、自動変速機の損失と、の和が最小となるようにモータの目標回転数を設定し、目標回転数に応じて自動変速機の目標変速段を設定し、自動変速機の変速段が目標変速段となるように自動変速機を制御する。これにより、所定時に、回生取りこぼし損失とモータおよびインバータの損失とモータの回転変動に伴う損失と自動変速機の損失との和が最小となるようにして、より多くのエネルギをバッテリに充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。
こうした本発明の第2のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、所定トリップ数毎のイグニッションオン時またはイグニッションオフ時にのみ前記目標回転数を設定するものとしてもよい。こうすれば、所定時に目標回転数を演算するものに比して制御手段での所定時の処理負荷を低減しつつ、回生取りこぼし損失とモータおよびインバータの損失とモータの回転変動に伴う損失と自動変速機の損失とを考慮して一時アップトルクを更新することができる。
本発明の第1実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 第1実施例のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第1実施例の変速機制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第1実施例の電子制御ユニット70によって実行される最大回生トルク設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値と各損失との関係の一例を示す説明図である。 走行中のブレーキオン時の様子の一例を示す説明図である。 第2実施例の最大回生トルク設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第2実施例のイグニッションオフ時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第2実施例の一時アップトルク更新ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例の変速機制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値と各損失との関係の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120Bの構成の概略を示す構成図である。 変形例の昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHと各損失との関係の一例を示す説明図である。 第3実施例の変速機制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の回転数Nmと各損失との関係の一例を示す説明図である。 走行中のブレーキオン時の様子の一例を示す説明図である。 第4実施例の変速機制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第4実施例のイグニッションオフ時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第4実施例の所定時回転数更新ルーチンの一例を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように,エンジン22と、モータ30と、インバータ34と、クラッチ36と、自動変速機40と、センターデファレンシャルギヤ50と、高電圧バッテリ60と、低電圧バッテリ67と、DC/DCコンバータ68と、油圧ブレーキ装置90と、電子制御ユニット70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや経由などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。エンジン22のクランクシャフト23には、スタータモータ26が接続されている。
モータ30は、例えば同期発電電動機として構成されている。インバータ34は、高電圧系電力ライン61に接続されている。高電圧系電力ライン61には、平滑用のコンデンサ62が取り付けられている。モータ30は、電子制御ユニット70によってインバータ34の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。クラッチ36は、例えば油圧駆動の摩擦クラッチとして構成されており、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト23とモータ30の回転軸31との接続および接続の解除を行なう。
自動変速機40は、例えば10段変速式の自動変速機として構成されており、モータ30の回転軸31に接続された入力軸41と、駆動軸46に接続された出力軸42と、複数の遊星歯車と、油圧駆動の複数の摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ)と、を有する。この自動変速機40は、入力軸41と出力軸42との間で10段階に変速して動力を伝達すると共に入力軸41と出力軸42との接続を解除する。
センターデファレンシャルギヤ50は、駆動軸46と、前輪51a,51bにデファレンシャルギヤ53を介して連結された伝達軸54と、後輪55a,55bにデファレンシャルギヤ57を介して連結された伝達軸58と、に接続されている。このセンターデファレンシャルギヤ50は、駆動軸46の動力を伝達軸54,58に分配して伝達したり、伝達軸54,58の動力の総和を駆動軸46に伝達したりする。
高電圧バッテリ60は、例えばリチウムイオン二次電池として構成されており、インバータ34と共に高電圧系電力ライン61に接続されている。低電圧バッテリ67は、定格電圧が高電圧バッテリ60よりも低い例えば鉛蓄電池として構成されており、スタータモータ26と共に低電圧系電力ライン66に接続されている。DC/DCコンバータ68は、高電圧系電力ライン61と低電圧系電力ライン66とに接続されている。このDC/DCコンバータ68は、電子制御ユニット70によって制御されることにより、高電圧系電力ライン61の電力を低電圧系電力ライン66に電圧の降圧を伴って供給する。
油圧ブレーキ装置90は、前輪51a,51bや後輪55a,55bに取り付けられたブレーキホイールシリンダ96a,96b,96c,96dと、ブレーキアクチュエータ94と、を備える。ブレーキアクチュエータ94は、前輪51a,51bや後輪55a,55bに制動力を付与するためのアクチュエータとして構成されている。このブレーキアクチュエータ94は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるマスタシリンダ92の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとに基づく車両に作用させる制動力のうち油圧ブレーキ装置90の分担分に応じた制動力が前輪51a,51bや後輪55a,55bに作用するようにブレーキホイールシリンダ96a,96b,96c,96dの油圧を調整する。以下、ブレーキアクチュエータ94の作動によって前輪51a,51bや後輪55a,55bに作用させる制動力を「油圧ブレーキ」という。
電子制御ユニット70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポートを備える。
電子制御ユニット70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット70に入力される信号としては、以下のものを挙げることができる。
・エンジン22のクランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ24からのクランク角θcr
・モータ30の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ32からのモータ30の回転位置θm
・モータ30とインバータ34とを接続する電力ラインに取り付けられた電流センサ33u,33vからのモータ30のU相,V相の相電流Iu,Iv
・駆動軸46に取り付けられた回転数センサ43からの駆動軸46の回転数Np
・高電圧バッテリ60の端子間に取り付けられた電圧センサ60aからの高電圧バッテリ60の電池電圧Vb
・高電圧バッテリ60の出力端子に取り付けられた電流センサ60bからの高電圧バッテリ60の電池電流Ib
・イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号
・シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP
・アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc
・ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP
・車速センサ88からの車速V
・車重センサ89からの車重m
電子制御ユニット70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット70から出力される信号としては、以下のものを挙げることができる。
・エンジン22への制御信号
・スタータモータ26への制御信号
・インバータ34への制御信号
・クラッチ36への制御信号
・自動変速機40への制御信号
・DC/DCコンバータ68への制御信号
・油圧ブレーキ装置90のブレーキアクチュエータ94への制御信号
電子制御ユニット70は、以下の演算などを行なっている。
・クランクポジションセンサ24からのエンジン22のクランク角θcrに基づくクランクシャフト23の回転数、即ち、エンジン22の回転数Ne
・回転位置検出センサ32からのモータ30の回転子の回転位置θmに基づくモータ30の回転数Nm
次に、こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、走行中のブレーキオン時(ブレーキペダル85が踏み込まれているとき)の動作について説明する。図2は、第1実施例の電子制御ユニット70によって実行されるモータ油圧ブレーキ制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図3は、第1実施例の電子制御ユニット70によって実行される変速機制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。これらのルーチンは、走行中のブレーキオン時に繰り返し実行される。なお、ブレーキオンのときには、電子制御ユニット70は、クラッチ36を解放状態(エンジン22のクランクシャフト23とモータ30の回転軸31との接続が解除された状態)とすると共にエンジン22を運転停止状態とする。また、以下の説明において、モータ30の回生側のトルク(回生トルクTm,回生可能トルクTe,最大回生トルクTmmin,一時アップトルクTmmin2など),パワー(回生パワーPm,回生可能パワーPeなど)としては、負の値とするものとした。以下、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチン,図3の変速機制御ルーチンの順に説明する。
図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、ブレーキペダルポジションBP,車速V,モータ30の回転数Nm,駆動軸46の回転数Npなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、ブレーキペダルポジションBPは、ブレーキペダルポジションセンサ86によって検出された値を入力するものとした。車速Vは、車速センサ88によって検出された値を入力するものとした。モータ30の回転数Nmは、回転位置検出センサ32からのモータ30の回転子の回転位置θmに基づいて演算された値を入力するものとした。駆動軸46の回転数Npは、回転数センサ43によって検出された値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、ブレーキペダルポジションBPと車速Vとに基づいて駆動軸46の要求トルクTptagを設定し(ステップS110)、モータ30の回転数Nmを駆動軸46の回転数Npで除して自動変速機40のギヤ比Grを計算し(ステップS112)、要求トルクTptagをギヤ比Grで除してモータ30の要求トルクTmtagを計算する(ステップS114)。ここで、要求トルクTptagは、実施例では、ブレーキペダルポジションBPと車速Vと要求トルクTptagとの関係を予め定めてマップとして記憶しておき、ブレーキペダルポジションBPと車速Vとが与えられると、このマップから対応する要求トルクTptagを導出して設定するものとした。いま、ブレーキオンのときを考えているから、要求トルクTptag,要求トルクTmtagは、負の値となる。
続いて、モータ30の要求トルクTmtagを最大回生トルクTmminで制限(下限ガード)してモータ30のトルク指令Tm*を設定し(ステップS120)、要求トルクTmtagからモータ30のトルク指令Tm*を減じて油圧ブレーキ装置90のトルク指令Tb*を計算する(ステップS122)。ここで、モータ30の最大回生トルクTmminの設定方法については後述する。なお、モータ30の最大回生トルクTmminには、基本的には、回生側(負の値)の定格トルクTmrtを設定する。
そして、トルク指令Tm*を用いてモータ30を制御すると共にトルク指令Tb*を用いて油圧ブレーキ装置90を制御する(ステップS130)。モータ30の制御としては、トルク指令Tm*でモータ30が駆動されるようにインバータ34の複数のスイッチング素子をスイッチング制御する。油圧ブレーキ装置90の制御としては、ブレーキトルク指令Tb*が値0でないときに、ブレーキホイールシリンダ96a〜96dの制動力がモータ30の回転軸31に換算したときにトルク指令Tb*に相当するトルクとなるようにブレーキアクチュエータ94を制御する。こうした制御により、モータ30を回生駆動して高電圧バッテリ60を充電することができる。
図3の変速機制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、駆動軸46の回転数Npを図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンのステップS100の処理と同様に入力し(ステップS200)、モータ30の目標回転数Nm*に所定回転数Nmsetを設定する(ステップS210)。ここで、所定回転数Nmsetは、次回にエンジン22を始動する際の始動性などを考慮して、例えば、1400rpm,1450rpm、1500rpmなどを用いることができる。
続いて、モータ30の目標回転数Nm*を駆動軸46の回転数Npで除して自動変速機40の目標ギヤ比Gr*を計算し(ステップS212)、計算した自動変速機40の目標ギヤ比Gr*に基づいて自動変速機40の目標変速段S*を設定する(ステップS214)。ここで、自動変速機40の目標変速段S*は、自動変速機40の各変速段のうちギヤ比Grが目標ギヤ比Gr*以上で且つ目標ギヤ比Gr*に最も近い(モータ30の回転数Nmが目標回転数Nm*以上で且つ目標回転数Nm*に最も近い)変速段を設定するものとした。そして、自動変速機40の変速段Sが目標変速段S*となるように自動変速機40を制御して(ステップS216)、本ルーチンを終了する。
次に、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンで用いるモータ30の最大回生トルクTmminの設定方法について説明する。図4は、実施例の電子制御ユニット70によって実行される最大回生トルク設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンと並行して、走行中のブレーキオン時に繰り返し実行される。
図4の最大回生トルク設定ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、車速V,車重m,モータ30の回転数Nm,モータ30の回生トルクTm,モータ30の回生パワーPm,超過継続時間texなどのデータを入力する(ステップS300)。ここで、車速Vは、車速センサ88によって検出された値を入力するものとした。車重mは、車重センサ89によって検出された値を入力するものとした。なお、車重mは、予め定められた固定値を用いるものとしてもよい。モータ30の回転数Nmは、回転位置検出センサ32からのモータ30の回転子の回転位置θmに基づいて演算された値を入力するものとした。モータ30の回生トルクTmは、上述のトルク指令Tm*を入力するものとした。なお、回生トルクTmは、電流センサ33u,33vからのモータ30のU相,V相の相電流Iu,Ivに基づくd軸,q軸の電流Id,Iqに基づいて設定された値を入力するものとしてもよい。モータ30の回生パワーPmは、モータ30の回転数Nmと回生トルクTmとの積として演算された値を入力するものとした。超過継続時間texは、モータ30の回生トルクTmの定格トルクTmrtに対する超過が開始したときに値0から計時が開始されると共にこの超過が終了したときに値0にリセットされる時間を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、車速Vから前回に入力した車速(前回V)を減じて車速変化量ΔVを計算する(ステップS302)。続いて、次式(1)に示すように、車速変化量ΔVと車重mとデフ損失Pdflossと変速機損失Patlossとを用いてモータ30の回生可能パワーPe(負の値)を計算し(ステップS304)、モータ30の回生可能パワーPeをモータ30の回転数Nmで除してモータ30の回生可能トルクTeを計算する(ステップS306)。なお、式(1)では、値0で上限ガードすることにより、回生可能パワーPeが正の値にならないようにするものとした。
Pe=max(−(1/2・m・ΔV2−Pdfloss−Patdfloss),0) (1)
ここで、デフ損失Pdflossは、センターデファレンシャルギヤ50の損失Pdfloss1と、デファレンシャルギヤ53の損失Pdfloss2と、デファレンシャルギヤ57の損失Pdfloss3と、の和として計算することができる。センターデファレンシャルギヤ50の損失Pdfloss1は、式(2)に示すように、伝達軸54,58のトルクTfp,Trpと、伝達軸54の回転数Nfpと、センターデファレンシャルギヤ50の摩擦係合係数a1,噛合損失係数b1,攪拌損失係数c1,油動粘度Z1と、を用いて計算することができる。デファレンシャルギヤ53の損失Pdfloss2は、式(3)に示すように、伝達軸54のトルクTfpおよび回転数Nfpと、デファレンシャルギヤ53の摩擦係合係数a2,噛合損失係数b2,攪拌損失係数c2,油動粘度Z2と、を用いて計算することができる。デファレンシャルギヤ57の損失Pdfloss3は、式(4)に示すように、伝達軸58のトルクTrpおよび回転数Nrpと、デファレンシャルギヤ57の摩擦係合係数a3,噛合損失係数b3,攪拌損失係数c3,油動粘度Z3と、を用いて計算することができる。伝達軸54,58のトルクTfp,Trpは、巡航走行用の力と、前輪51a,51bまたは後輪55a,55bの半径と、センターデファレンシャルギヤ50の分配比と、を用いて計算することができる。伝達軸54,58の回転数Nfp,Nrpは、駆動軸46の回転数Npに等しい。したがって、回転数センサ43によって検出された駆動軸46の回転数Npを伝達軸54,58の回転数Nfp,Nrpとして用いることができる。
Pdfloss1=a1+b1・(Tfp+Trp)+c1・Nfp・Z1 (2)
Pdfloss2=a2+b2・Tfp+c2・Nfp・Z2 (3)
Pdfloss3=a3+b3・Trp+c3・Nrp・Z3 (4)
変速機損失Patlossは、自動変速機40の損失であり、式(5)に示すように、駆動軸46のトルクTpおよび回転数Npと、自動変速機40の摩擦係合係数a4,噛合損失係数b4,攪拌損失係数c4,油動粘度Z4と、を用いて計算することができる。
Patloss=a4+b4・Tp+c4・Np・Z4 (5)
次に、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とモータ30の定格トルクTmrtの絶対値とを比較する(ステップS310)。この処理は、モータ30の最大回生トルクTmminが定格トルクTmrtであるかそれよりも絶対値の大きい値(後述の一時アップトルクTmmin2)であるかを判定する処理である。
ステップS310でモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とモータ30の定格トルクTmrtの絶対値とが等しいときには、モータ30の最大回生トルクTmminは定格トルクTmrtであると判断し、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の定格トルクTmrtの絶対値とを比較する(ステップS320)。この処理は、モータ30の回生可能トルクTeが定格トルクTmrtの範囲内であるか否かを判定する処理である。
ステップS320でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値以下のときには、モータ30の回生可能トルクTeは定格トルクTmrtの範囲内であると判断し、モータ30の定格トルクTmrtをモータ30の最大回生トルクTmminに設定して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。この場合、モータ30の最大回生トルクTmminを定格トルクTmrtで保持することになる。
ステップS320でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値に比して大きいときには、モータ30の回生可能トルクTeは定格トルクTmrtの範囲外である(定格トルクTmrtを超過する)と判断し、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとの和(Ploss+Peloss)が最小となるように、モータ30の定格トルクTmrtに比して絶対値の大きい一時アップトルクTmmin2を設定し(ステップS340)、設定した一時アップトルクTmmin2をモータ30の最大回生トルクTmminに設定して(ステップS342)、本ルーチンを終了する。
ここで、回生取りこぼし損失Plossは、モータ30の回生可能パワーPeに対する回生パワーPmの不足分であり、油圧ブレーキによって消費されるパワーに相当する。電気損失Pelossは、モータ30を回生駆動する際のモータ30およびインバータ34の損失であり、モータ30の回生パワーPmと高電圧バッテリ60の充放電電力Pbとの差分に相当する。
図5は、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値と各損失との関係の一例を示す説明図である。なお、この関係は、モータ30の回転数Nmおよび回生可能パワーPeに応じて得られる。図示するように、回生取りこぼし損失Plossは、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値が大きいときには小さいときに比して小さくなっている。具体的には、回生取りこぼし損失Plossは、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値が大きいほど小さくなっている。これは、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値が大きいときには小さいときに比してモータ30の回生トルクTm(回生パワーPm)の絶対値を大きくすることができるためである。また、図示するように、電気損失Pelossは、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値が大きいときには小さいときに比して大きくなっている。具体的には、電気損失Pelossは、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値が大きいほど大きくなっている。これは、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値が大きいときには小さいときに比してモータ30の回生トルクTm(パワーPm)の絶対値を大きくすることができるために、モータ30,インバータ34の電流が大きくなりやすいためである。これらによって、和(Ploss+Peloss)は、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtに比して絶対値の大きい或る値のときに最小となっている。
こうした図5の関係を踏まえて、第1実施例では、モータ30の回転数Nmおよび回生可能パワーPeと、和(Ploss+Peloss)が最小となる一時アップトルクTmmin2と、の関係を予め定めてマップとして記憶しておき、モータ30の回転数Nmおよび回生可能パワーPeが与えられると、このマップから対応する一時アップトルクTmmin2を導出して設定するものとした。
このようにして、和(Ploss+Peloss)が最小となるように一時アップトルクTmmin2(|Tmmin2|>|Tmrt|)を設定すると共にこの一時アップトルクTmmin2をモータ30の最大回生トルクTmminに設定すると、モータ30のトルク(回生トルク)が最大回生トルクTmminの範囲内となるようにモータ30が駆動されて高電圧バッテリ60が充電される。これにより、モータ30の回生可能トルクTeがモータ30の定格トルクTmrtを超過したときに、より多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。
ステップS310でモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値に比して大きいときには、モータ30の最大回生トルクTmminは一時アップトルクTmmin2であると判断し、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の定格トルクTmrtの絶対値とを比較する(ステップS350)。この処理は、モータ30の回生可能トルクTeが定格トルクTmrtの範囲内であるか否かを判定する処理である。
ステップS350でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値に比して大きいときには、モータ30の回生可能トルクTeは定格トルクTmrtの範囲外である(定格トルクTmrtを超過する)と判断し、超過継続時間texを閾値texrefと比較する(ステップS352)。ここで、閾値texrefは、モータ30の回生トルクTmの定格トルクTmrtに対する超過の許容時間であり、モータ30およびインバータ34の仕様などに応じて、例えば、3sec,4sec,5secなどとすることができる。
ステップS352で超過継続時間texが閾値texref以下のときには、モータ30の回生トルクTmの定格トルクTmrtに対する超過が許容されていると判断し、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とを比較する(ステップS354)。この処理は、モータ30の回生可能トルクTeが最大回生トルクTmminの範囲内であるか否かを判定する処理である。
ステップS354でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値以下のときには、モータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲内であると判断し、前回の本ルーチンの実行時に設定したモータ30の最大回生トルク(前回Tmmin)をモータ30の最大回生トルクTmminに設定して(ステップ360)、本ルーチンを終了する。この場合、モータ30の最大回生トルクTmminを保持することになる。
ステップS354でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きいときには、モータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲外である(最大回生トルクTmminを超過する)と判断し、上述のステップS340,S342の処理によってモータ30の最大回生トルクTmminを設定して、本ルーチンを終了する。この場合、モータ30の最大回生トルクTmminを前回値に比して絶対値の大きい値に変更することになる。これにより、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きいときに、更に多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率をより向上させることができる。
ステップS350でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値以下になったときには、モータ30の回生可能トルクTeは定格トルクTmrtの範囲内であると判断し、モータ30の定格トルクTmrtをモータ30の最大回生トルクTmminに設定して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。また、ステップS350でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値に比して大きいときでも、ステップS352で超過継続時間texが閾値texrefを超えたときには、モータ30の回生トルクTmの定格トルクTmrtに対する超過の許容時間が経過した(終了した)と判断し、モータ30の定格トルクTmrtをモータ30の最大回生トルクTmminに設定して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。これらの場合、モータ30の最大回生トルクTmminを一時アップトルクTmmin2から定格トルクTmrtに変更することになる。
図6は、走行中のブレーキオン時の様子の一例を示す説明図である。図示するように、基本的には(時刻t11〜t12,t13〜t14,t15〜)、モータ30の定格トルクTmrtをモータ30の最大回生トルクTmminに設定し、モータ30の回生トルクTmが最大回生トルクTmminの範囲内となるようにモータ30を制御する。そして、モータ30の回生可能トルクTeの定格トルクTmrtに対する超過が開始すると(時刻t12,t14)、和(Ploss+Peloss)が最小となるようにモータ30の一時アップトルクTmmin2を設定し、モータ30の最大回生トルクTmminを定格トルクTmrtから一時アップトルクTmmin2に切り替える(時刻t12〜t13,t14〜t15)。これにより、より多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。モータ30の最大回生トルクTmminを一時アップトルクTmmin2としている最中に、モータ30の回生可能トルクTeの定格トルクTmrtに対する超過が終了すると(時刻t13)、或いは、超過継続時間texが閾値texrefを超えると(時刻t15)、モータ30の最大回生トルクTmminを一時アップトルクTmmin2から定格トルクTmrtに切り替える。
以上説明した第1実施例のハイブリッド自動車20では、走行中のブレーキオンでクラッチ36を解放状態とすると共にエンジン22を運転停止状態としてモータ30を回生駆動する際には、モータ30の回生トルクTmが最大回生トルクTmminの範囲内となるようにモータ30を制御して高電圧バッテリ60を充電する。この際、基本的には、モータ30の定格トルクTmrtをモータ30の最大回生トルクTmminに設定する。そして、モータ30の回生可能トルクTeがモータ30の定格トルクTmrtを超過するときには、モータ30の回転数Nmおよび回生可能パワーPeに基づいて、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとの和が最小となるように一時アップトルクTmmin2(|Tmmin2|>|Tmrt|)を設定すると共にこの一時アップトルクTmmin2を最大回生トルクTmminに一時的に設定する。これにより、モータ30の回生可能トルクTeがモータ30の定格トルクTmrtを超過したときに、より多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施例のハイブリッド自動車120について説明する。第2実施例のハイブリッド自動車120は、図1を用いて説明した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしている。したがって、重複する記載を回避するために、第2実施例のハイブリッド自動車120のハード構成などについての説明は省略する。
第2実施例のハイブリッド自動車120では、電子制御ユニット70は、走行中のブレーキオン時には、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンおよび図3の変速機制御ルーチンを繰り返し実行すると共に図4の最大回生トルク設定ルーチンに代えて図7の最大回生トルク設定ルーチンを繰り返し実行する。また、各トリップでのイグニッションオフ時には、図8のイグニッションオフ時制御ルーチンを実行する。さらに、所定トリップ数ntp1毎のイグニッションオフ時には、図8のイグニッションオフ時制御ルーチンの実行後に、図9の一時アップトルク更新ルーチンを実行する。ここで、所定トリップ数ntp1は、例えば、値3,値5,値7などとすることができる。
まず、図7の最大回生トルク設定ルーチンについて説明する。図7の最大回生トルク設定ルーチンは、図4の最大回生トルク設定ルーチンに対して、ステップS340,S354の処理を削除した点,ステップS400の処理を追加した点を除いて、図4の最大回生トルク設定ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7の最大回生トルク設定ルーチンでは、電子制御ユニット70は、ステップS320でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値に比して大きいときには、一時アップトルクTmmin2をモータ30の最大回生トルクTmminに設定する(ステップS342)。
ここで、一時アップトルクTmmin2は、工場出荷時から所定トリップ数ntp1が経過するまで、即ち、工場出荷後に図9の一時アップトルク更新ルーチンを一度も実行していないときには、初期値Tmmin2iniとなっており、図9の一時アップトルク更新ルーチンが実行されると、そのルーチンによって設定(更新)される。初期値Tmmin2iniは、例えば、US06モードでの走行結果に基づいて設定した値などとすることができる。
ステップS330,S342,S360の何れかでモータ30の最大回生トルクTmminを設定すると、モータ30の回転数Nmおよび回生可能パワーPeの積算値Snm,Speを計算して(ステップS400)、本ルーチンを終了する。積算値Snmは、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時(本ルーチンを繰り返し実行する際)のモータ30の回転数Nmの積算値であり、モータ30の回転数Nmを前回の積算値(前回Snm)に加えて計算する。積算値Speは、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時(本ルーチンを繰り返し実行する際)のモータ30の回生可能パワーPeの積算値であり、モータ30の回生可能パワーPeを前回の積算値(前回Spe)に加えて計算する。なお、積算値Snm,Speは、各トリップでのイグニッションオフ時に、後述の図8のイグニッションオフ時制御ルーチンのステップS520の処理で値0にリセットされる。
次に、図8のイグニッションオフ時処理ルーチンについて説明する。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、現在のトリップでの積算値Snm,Speと、現在のトリップでの総回生時間trg1と、を入力する(ステップS500)。ここで、現在のトリップでの総回生時間trg1は、例えば、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時の総時間(図7の最大回生トルク設定ルーチンの実行回数と実行周期との積)を用いることができる。
こうしてデータを入力すると、現在のトリップでの積算値Snmを現在のトリップでの総回生時間trg1で除して、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時におけるモータ30の回転数Nmの平均値Anm[i]を計算すると共に、現在のトリップでの積算値Speを現在のトリップでの総回生時間trg1で除して、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時におけるモータ30の回生可能パワーPeの平均値Ape[i]を計算し、平均値Anm[i],Ape[i]を図示しないフラッシュメモリに記憶させる(ステップS510)。
ここで、「i」はトリップ番号であり、工場出荷後或いは図9の一時アップトルク更新ルーチンの実行後の次トリップから1,2,・・・と増加し、図9の一時アップトルク更新ルーチンによって値0にリセットされる。そして、積算値Snm,Speを値0にリセットして(ステップS520)、本ルーチンを終了する。
次に、図9の一時アップトルク更新ルーチンについて説明する。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、平均値Anm[i],Ape[i](i=1〜ntp1)を入力する(ステップS540)。そして、平均値Anm[i]と所定トリップ数ntp1とを用いて、次式(6)によって、所定トリップ数ntp1での走行中のブレーキオン時のモータ30の回転数Nmの平均値Anmを計算すると共に、平均値Ape[i]と所定トリップ数ntp1とを用いて、式(7)によって、所定トリップ数ntp1での走行中のブレーキオン時のモータ30の回生可能パワーPeの平均値Apeを計算する(ステップS550)。
Anm=(Anm[1]+・・・+Anm[ntp1])/ntp1 (6)
Ape=(Ape[1]+・・・+Ape[ntp1])/ntp1 (7)
続いて、平均値Anm,Apeを用いて、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとの和(Ploss+Peloss)が最小となるように、更新用一時アップトルクTmmin3を設定する(ステップS560)。
ここで、ステップS560の処理は、図4の最大回生トルク設定ルーチンのステップS340の処理と同様に行なうものとした。具体的には、更新用一時アップトルクTmmin3は、平均値Anmおよび平均値Apeと、和(Ploss+Peloss)が最小となる更新用一時アップトルクTmmin3と、の関係を予め定めてマップとして記憶しておき、平均値Anmおよび平均値Apeが与えられると、このマップから対応する更新用一時アップトルクTmmin3を導出して設定するものとした。
そして、設定した更新用一時アップトルクTmmin3を一時アップトルクTmmin2に設定することによって一時アップトルクTmmin2を更新し(ステップS570)トリップ番号iを値0にリセットして(ステップS580)、本ルーチンを終了する。
このようにして、和(Ploss+Peloss)が最小となるように更新用一時アップトルクTmmin3(|Tmmin3|>|Tmrt|)を設定すると共にこの更新用一時アップトルクTmmin3を一時アップトルクTmmin2に設定して一時アップトルクTmmin2を更新することにより、一時アップトルクTmmin2を、運転者のブレーキ操作の特徴(ブレーキペダル85の踏み込み方など)を反映した値とすることができる。
以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車120では、所定トリップ数ntp1毎のイグニッションオフ時にのみ一時アップトルクTmmin2を更新する。これにより、走行中のブレーキオン時の電子制御ユニット70での処理負荷を低減することができる。
そして、第2実施例のハイブリッド自動車120では、一時アップトルクTmmin2を更新する際には、所定トリップ数ntp1での走行中のブレーキオン時のモータ30の回転数Nmおよび回生可能パワーPeの平均値Anm,Apeに基づいて、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとの和(Ploss+Peloss)が最小となるように更新用一時アップトルクTmmin3(|Tmmin3|>|Tmrt|)を設定し、この更新用一時アップトルクTmmin3を一時アップトルクTmmin2に設定して、一時アップトルクTmmin2を更新する。これにより、一時アップトルクTmmin2を、運転者のブレーキ操作の特徴(ブレーキペダル85の踏み込み方など)を反映した値とすることができる。
第2実施例のハイブリッド自動車120では、一時アップトルクTmmin2を更新する際には、更新用一時アップトルクTmmin3を一時アップトルクTmmin2に設定するものとした。しかし、更新用一時アップトルクTmmin3(負の値)を初期値Tmmin2ini(負の値)で制限(下限ガード)した値を一時アップトルクTmmin2に設定するものとしてもよい。こうすれば、一時アップトルクTmmin2の絶対値が大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
第2実施例のハイブリッド自動車120では、所定トリップ数ntp1毎のイグニッションオフ時に、一時アップトルクTmmin2を更新するものとした。しかし、一時アップトルクTmmin2の更新間隔は、一定でないものとしてもよい。例えば、更新用一時アップトルクTmmin3と初期値Tmmininiとの差が大きいときには、この差が小さいときに比して次回の一時アップトルクTmmin2の更新までの間隔を長くするものとしてもよい。こうすれば、一時アップトルクTmmin2の更新による車両の挙動の変化に運転者をより十分に慣れさせることができる。
第2実施例のハイブリッド自動車120では、所定トリップ数ntp1毎のイグニッションオフ時にのみ一時アップトルクTmmin2を更新するものとした。しかし、所定トリップ数ntp1毎のイグニッションオン時にのみ一時アップトルクTmmin2を更新するものとしてもよい。
第2実施例のハイブリッド自動車120では、走行中のブレーキオン時には、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチン,図3の変速機制御ルーチン,図7の最大回生トルク設定ルーチンを繰り返し実行するものとした。しかし、走行中のブレーキオン時には、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンおよび図7の最大回生トルク設定ルーチンを繰り返し実行すると共に、図3の変速機制御ルーチンに代えて図10の変速機制御ルーチンを繰り返し実行するものとしてもよい。
図10の変速機制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、駆動軸46の回転数Np,モータ30の回生可能トルクTeおよび最大回生トルクTmminなどのデータを入力する(ステップS600)。ここで、駆動軸46の回転数Npは、回転数センサ43によって検出された値を入力するものとした。モータ30の回生可能トルクTeおよび最大回生トルクTmminは、図7の最大回生トルク設定ルーチンによって設定された値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とモータ30の定格トルクTmrtの絶対値とを比較する(ステップS610)。この処理は、モータ30の最大回生トルクTmminが定格トルクTmrtであるか一時アップトルクTmmin2であるかを判定する処理である。
ステップS610でモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値以下のときには、モータ30の最大回生トルクTmminは定格トルクTmrtであると判断し、モータ30の目標回転数Nm*に所定回転数Nmsetを設定する(ステップS620)。そして、図3の変速機制御ルーチンのステップS212〜S216の処理と同様に、自動変速機40の目標変速段S*を設定すると共にこの目標変速段S*を用いて自動変速機40を制御して(ステップS670〜S674)、本ルーチンを終了する。
ステップS610でモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値に比して大きいときには、モータ30の最大回生トルクTmminは一時アップトルクTmmin2であると判断し、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とを比較する(ステップS630)。この処理は、モータ30の回生可能トルクTeが最大回生トルクTmmin(一時アップトルクTmmin2)の範囲内であるか否かを判定する処理である。
ステップS650でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きいときには、モータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲外である(最大回生トルクTmminを超過する)と判断し、モータ30の現在の回転数Nmに所定回転数ΔNmを加えて、モータ30の目標回転数Nm*の仮の値としての仮回転数Nmtmpを設定する(ステップS650)。ここで、所定回転数ΔNmは、例えば、30rpm,50rpm,70rpmなどとすることができる。
続いて、モータ30の回生可能パワーPeをモータ30の仮回転数Nmtmpで除してモータ30の回生可能トルクTeを再計算し(ステップS652)、再計算したモータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とを比較する(ステップS654)。この処理は、再計算後のモータ30の回生可能トルクTeが最大回生トルクTmmin(一時アップトルクTmmin2)の範囲内であるか否かを判定する処理である。
ステップS654でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きいときには、再計算後のモータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲外である(最大回生トルクTmminを超過する)と判断し、モータ30の仮回転数Nmtmpに所定回転数ΔNmを加えてモータ30の仮回転数Nmtmpを再計算し(ステップS656)、ステップS652に戻る。
ステップS654でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値以下であると判定されると、再計算後のモータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲内であると判断し、そのときのモータ30の仮回転数Nmtmpをモータ30の目標回転数Nm*に設定し(ステップS660)、上述のステップS670〜S674の処理を実行して、本ルーチンを終了する。
このように、モータ30の最大回生トルクTmminが定格トルクTmrtに比して大きいにも拘わらず、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きいときには、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値以下になるように、モータ30の現在の回転数Nmに比して大きい回転数をモータ30の目標回転数Nm*に設定して、自動変速機40をダウンシフトさせやすくする。自動変速機40のダウンシフトによって、モータ30の回生パワーPmの絶対値を大きくすることができるから、更に多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率をより向上させることができる。
また、自動変速機40をダウンシフトさせる(モータ30の回転数Nmを大きくする)と、以下の効果も奏する。図11は、モータ30の回転数Nmが1450rpm,1800rpmのときの、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値と各損失との関係の一例を示す説明図である。モータ30の回転数Nmを大きくすると、モータ30の回転数Nmを大きくしないときに比して、回生取りこぼし損失Plossおよび電気損失Pelossが小さくなる。したがって、和(Ploss+Peloss)の最小値が小さくなる。したがって、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率の更なる向上を図ることができる。また、図11の例では、モータ30の回転数Nmを大きくすることにより、和(Ploss+Peloss)が最小値となるときの最大回生トルクTmminの絶対値も小さくすることができている。
ステップS630でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値以下のときには、モータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲内であると判断し、モータ30の目標回転数Nm*を保持し(ステップS640)、上述のステップS670〜S674の処理を実行して、本ルーチンを終了する。
モータ30の目標回転数Nm*を所定回転数Nmsetに比して大きくしたことによって、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値以下になったときに、モータ30の目標回転数Nm*を所定回転数Nmsetに戻すと、それによって、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きくなって、再度、モータ30の目標回転数Nm*を所定回転数Nmsetに比してある程度大きくする必要が生じることがある。この場合、モータ30の目標回転数Nm*ひいては回転数Nmを所定回転数Nmsetとそれに比してある程度大きい回転数との間でハンチングさせることになる。実施例では、モータ30の目標回転数Nm*を保持することにより、こうしたモータ30の目標回転数Nm*のハンチングを抑制することができる。
第2実施例のハイブリッド自動車120では、第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成とした。しかし、図12の変形例のハイブリッド自動車120Bに示すように、ハイブリッド自動車120のハード構成に加えて、昇圧コンバータ164を備えるものとしてもよい。なお、図12のハイブリッド自動車120Bにおいて、第1,第2実施例のハイブリッド自動車20,120とハード構成の同一部分については、同一の番号を付し、その詳細な説明は省略する。
昇圧コンバータ164は、インバータ34が接続された第1高電圧系電力ライン161aと、高電圧バッテリ60が接続された第2高電圧系電力ライン161bと、に接続されている。第1高電圧系電力ライン161aには、平滑用のコンデンサ162aが取り付けられており、第2高電圧系電力ライン161bには、平滑用のコンデンサ162bが取り付けられている。昇圧コンバータ164は、電子制御ユニット70によって昇圧コンバータ164の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、第2高電圧系電力ライン161bの電力を電圧の昇圧を伴って第1高電圧系電力ライン161aに供給したり、第1高電圧系電力ライン161aの電力を電圧の降圧を伴って第2高電圧系電力ライン161bに供給したりする。
電子制御ユニット70には、第1,第2実施例のハイブリッド自動車20,120と同一の信号に加えて、以下の信号も入力ポートを介して入力されている。
・コンデンサ162aの端子間に取り付けられた電圧センサ163aからのコンデンサ162aの電圧VH
・コンデンサ162bの端子間に取り付けられた電圧センサ163bからのコンデンサ162bの電圧VL
電子制御ユニット70からは、第1,第2実施例のハイブリッド自動車20,120と同一の信号に加えて、以下の信号も出力ポートを介して出力されている。
・昇圧コンバータ164への制御信号
この変形例のハイブリッド自動車120Bでは、電子制御ユニット70は、走行中にブレーキオンのときに、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチン,図3の変速機制御ルーチン,図7の最大回生トルク設定ルーチンを繰り返し実行するのに加えて、図13の昇圧制御ルーチンを実行するものとしてもよい。
図13の昇圧制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、モータ30の電流実効値Im,モータ30の回生可能トルクTeおよび最大回生トルクTmminなどのデータを入力する(ステップS700)。ここで、モータ30の電流実効値Imは、電流センサ33u,33vからのモータ30のU相,V相の相電流Iu,Ivに基づいて演算された値を入力するものとした。モータ30の回生可能トルクTeおよび最大回生トルクTmminは、図7の最大回生トルク設定ルーチンによって設定された値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、モータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とモータ30の定格トルクTmrtの絶対値とを比較する(ステップS710)。この処理は、モータ30の最大回生トルクTmminが定格トルクTmrtであるか一時アップトルクTmmin2であるかを判定する処理である。
ステップS710でモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値以下のときには、モータ30の最大回生トルクTmminは定格トルクTmrtであると判断し、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*に第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLを設定し(ステップS720)、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ164を制御して(ステップS770)、本ルーチンを終了する。この場合、昇圧コンバータ164による第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHの第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLに対する昇圧動作を行なわない。
ステップS710でモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値がモータ30の定格トルクTmrtの絶対値に比して大きいときには、モータ30の最大回生トルクTmminは一時アップトルクTmmin2であると判断し、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値とを比較する(ステップS730)。この処理は、モータ30の回生可能トルクTeが最大回生トルクTmmin(一時アップトルクTmmin2)の範囲内であるか否かを判定する処理である。
ステップS730でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きいときには、モータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲外である(最大回生トルクTmminを超過する)と判断し、モータ30の電流実効値Imをモータ30の最大電流Immaxと比較する(ステップS750)。ここで、モータ30の最大電流Immaxは、モータ30の定格電流、例えば、300A,310A,320Aなどを用いることができる。
ステップS750でモータ30の電流実効値Imがモータ30の最大電流Immaxに比して大きいときには、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossと昇圧損失Pvlossとの和(Ploss+Peloss+Pvloss)が最小となるように、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を設定し(ステップS760)、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ164を制御して(ステップS770)、本ルーチンを終了する。
ここで、回生取りこぼし損失Plossおよび電気損失Pelossについては上述した。昇圧損失Pvlossは、昇圧コンバータ164によって第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHを第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLに対して昇圧する際の損失である。図14は、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHと各損失との関係の一例を示す説明図である。なお、この関係は、モータ30の回転数Nmに応じて得られる。図示するように、電気損失Pelossは、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが高いときには低いときに比して小さくなっている。具体的には、電気損失Pelossは、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが高いほど小さくなっている。これは、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが高いときには低いときに比してモータ30およびインバータ34の電流が小さくなるためである。また、図示するように、和(Peloss+Pvloss)は、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが高いときには低いときに比して大きくなっている。具体的には、昇圧損失Pvlossは、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが高いほど大きくなっている。これらによって、和(Peloss+Pvloss)は、第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLに比して高い或る値のときに最小となっている。
こうした図14の関係と回生取りこぼし損失Plossとを考慮して、この変形例では、モータ30の回転数Nmと、和(Ploss+Peloss+Pvloss)が最小となる第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*との関係を予め定めてマップとして記憶しておき、モータ30の回転数Nmが与えられると、このマップから対応する第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を導出して設定するものとした。
このように、モータ30の最大回生トルクTmminが定格トルクTmrtに比して大きいにも拘わらず、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きく且つモータ30の電流実効値Imがモータ30の最大電流Immaxに比して大きいときには、和(Ploss+Peloss+Pvloss)が最小となるように第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を設定して昇圧コンバータ164を制御する。これにより、モータ30の電流実効値Imがモータ30の最大電流Immaxを超過するのを或いは超過する程度を抑制しつつ、更に多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率をより向上させることができる。
ステップS730でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値以下のときには、モータ30の回生可能トルクTeは最大回生トルクTmminの範囲内であると判断し、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を保持し(ステップS740)、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ164を制御して(ステップS770)、本ルーチンを終了する。また、ステップS730でモータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きいときでも、ステップS750でモータ30の電流実効値Imがモータ30の最大電流Immax以下のときには、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を保持し(ステップS740)、第1高電圧系電力ライン161aの電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ164を制御して(ステップS770)、本ルーチンを終了する。
第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLに比して高くしたことによって、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値以下になったときに、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLに戻すと、それによって、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値がモータ30の最大回生トルクTmminの絶対値に比して大きくなって、再度、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLに比してある程度高くする必要が生じることがある。この場合、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*ひいては電圧VHを第2高電圧系電力ライン161bの電圧VLとそれに比してある程度高い電圧との間でハンチングさせることになる。実施例では、第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*を保持することにより、こうした第1高電圧系電力ライン161aの目標電圧VH*のハンチングを抑制することができる。
次に、本発明の第3実施例のハイブリッド自動車220について説明する。第3実施例のハイブリッド自動車220は、第1,第2実施例のハイブリッド自動車20,120と同一のハード構成をしている。したがって、重複する記載を回避するために、第3実施例のハイブリッド自動車220のハード構成などについての説明は省略する。
第3実施例のハイブリッド自動車220では、電子制御ユニット70は、走行中のブレーキオン時には、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンを繰り返し実行すると共に、図3の変速機制御ルーチンに代えて図15の変速機制御ルーチンを繰り返し実行する。ただし、第1,第2実施例のハイブリッド自動車20,120とは異なり、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンのステップS120の処理では、常時、モータ30の最大回生トルクTmminとしてモータ30の定格トルクTmrtを用いる。
図15の変速機制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、車速V,車重m,モータ30の回転数Nm,モータ30の回生トルクTmなどのデータを図4の最大回生トルク設定ルーチンのステップS300の処理と同様に入力する(ステップS800)。続いて、図4の最大回生トルク設定ルーチンのステップS302〜S306の処理と同様に、車速変化量ΔV,回生可能パワーPe,回生可能トルクTeを計算する(ステップS802〜S806)。
続いて、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとイナーシャ損失Pinlossと変速機損失Patlossとの和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるように、モータ30の所定時回転数Nm2を設定すると共に(ステップS810)、設定した所定時回転数Nm2をモータ30の目標回転数Nm*に設定する(ステップS812)。そして、図3の変速機制御ルーチンのステップS212〜S216の処理と同様に、自動変速機40の目標変速段S*を設定すると共にこの目標変速段S*を用いて自動変速機40を制御して(ステップS820〜S824)、本ルーチンを終了する。
ここで、回生取りこぼし損失Ploss,電気損失Peloss,変速機損失Patlossについては上述した。イナーシャ損失Pinlossは、モータ30の回転変動に伴う損失であり、モータ30の回転数Nmの単位時間あたりの変化量に相当する。図16は、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値とモータ30の回転数Nmと各損失との関係の一例を示す説明図である。図中、「case1」,「case2」は、それぞれ、車両の状態(モータ30回転数Nm,回生可能パワーPeなど)が第1状態,第2状態のときを示す。図示するように、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとの和(Ploss+Peloss)は、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値が大きいときには小さいときに比して小さくなっている。具体的には、和(Ploss+Peloss)は、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値が大きいほど小さくなっている。また、イナーシャ損失Pinlossと変速機損失Patlossとの和(Pinloss+Patloss)は、モータ30の回転数Nmが大きいときには小さいときに比して大きくなっている。具体的には、和(Pinloss+Patloss)は、モータ30の回転数Nmが大きいほど大きくなっている。これらによって、和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)は、モータ30の回生可能トルクTeの絶対値およびモータ30の回転数Nmが或る値のときに最小となっている。
こうした図16の関係を踏まえて、第3実施例では、モータ30の回生可能トルクTeおよび回生トルクTmと、和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小になる所定時回転数Nm2と、の関係を予め定めてマップとして記憶しておき、モータ30の回生可能トルクTeが与えられると、このマップから対応するモータ30の所定時回転数Nm2を導出して設定するものとした。
このようにして、和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるようにモータ30の所定時回転数Nm2を設定すると共にこの所定時回転数Nm2をモータ30の目標回転数Nm*に設定し、自動変速機40の変速段Sがモータ30の目標回転数Nm*に応じた目標変速段S*となるように自動変速機40を制御することにより、より多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。
図17は、走行中のブレーキオン時の様子の一例を示す説明図である。図中、実線は、実施例の様子を示し、一点鎖線は、比較例の様子を示す。ここで、比較例としては、モータ30の目標回転数Nm*として所定回転数Nmsetを常時用いると共にモータ30の最大回生トルクTmminとしてモータ30の定格トルクTmrtを常時用いる場合を考えるものとした。図中、ハッチングを付した領域は、回生取りこぼし損失Plossに相当する。図示するように、実施例では、比較例に比して、走行中のブレーキオン時に、和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるように、自動変速機40の変速段を低くしてモータ30の回転数Nmを大きくすることにより、より多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。
以上説明した第3実施例のハイブリッド自動車220では、走行中のブレーキオンでクラッチ36を解放状態とすると共にエンジン22を運転停止状態としてモータ30を回生駆動する際には、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとイナーシャ損失Pinlossと変速機損失Patlossとの和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるようにモータ30の所定時回転数Nm2を設定すると共にこの所定時回転数Nm2をモータ30の目標回転数Nm*に設定し、このモータ30の目標回転数Nm*に応じて自動変速機40の目標変速段S*を設定して自動変速機40を制御する。これにより、より多くのエネルギを高電圧バッテリ60に充電することができる。即ち、ブレーキオンによる制動エネルギの回収効率を向上させることができる。
次に、本発明の第4実施例のハイブリッド自動車320について説明する。第4実施例のハイブリッド自動車320は、第1,第2,第3実施例のハイブリッド自動車20,120,220と同一のハード構成をしている。したがって、重複する記載を回避するために、第4実施例のハイブリッド自動車320のハード構成などについての説明は省略する。
第4実施例のハイブリッド自動車320では、電子制御ユニット70は、走行中のブレーキオン時には、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンを繰り返し実行すると共に、図15の変速機制御ルーチンに代えて図18の変速機制御ルーチンを繰り返し実行する。ただし、第3実施例のハイブリッド自動車220と同様に、図2のモータ油圧ブレーキ制御ルーチンのステップS120の処理では、常時、モータ30の最大回生トルクTmminとしてモータ30の定格トルクTmrtを用いる。また、各トリップでのイグニッションオフ時には、図19のイグニッションオフ時制御ルーチンを実行する。さらに、所定トリップ数ntp2毎のイグニッションオフ時には、図19のイグニッションオフ時制御ルーチンの実行後に、図20の所定時回転数更新ルーチンを実行する。ここで、所定トリップ数ntp2は、例えば、値3,値5,値7などとすることができる。
まず、図18の変速機制御ルーチンについて説明する。図18の変速機制御ルーチンは、図15の変速機制御ルーチンに対して、ステップS810の処理を削除した点,ステップS900の処理を追加した点を除いて、図15の変速機制御ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
図18の変速機制御ルーチンでは、電子制御ユニット70は、モータ30の所定時回転数Nm2をモータ30の目標回転数Nm*に設定し(ステップS812)、自動変速機40の目標変速段S*を設定して自動変速機40を制御する(ステップS820〜S824)。
ここで、所定時回転数Nm2は、工場出荷時から所定トリップ数ntp2が経過するまで、即ち、工場出荷後に図20の所定時回転数更新ルーチンを一度も実行していないときには、初期値Nm2iniとなっており、図20の所定時回転数更新ルーチンが実行されると、そのルーチンによって設定(更新)される。初期値Nm2iniは、例えば、市街地走行を想定した市街地モード(LA#4)での走行結果に基づいて設定した値などとすることができる。
次に、モータ30の回生可能トルクTeおよび回生トルクTmの積算値Ste,Stmを計算して(ステップS900)、本ルーチンを終了する。ここで、積算値Steは、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時(本ルーチンを繰り返し実行する際)のモータ30の回生可能トルクTeの積算値であり、モータ30の回生可能トルクTeを前回の積算値(前回Ste)に加えて計算する。ここで、積算値Stmは、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時(本ルーチンを繰り返し実行する際)のモータ30の回生トルクTmの積算値であり、モータ30の回生トルクTmを前回の積算値(前回Stm)に加えて計算する。なお、積算値Ste,Stmは、各トリップでのイグニッションオフ時に、後述の図19のイグニッションオフ時処理ルーチンのステップS1020の処理で値0にリセットされる。
次に、図19のイグニッションオフ時処理ルーチンについて説明する。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、現在のトリップでの積算値Ste,Stmと、現在のトリップでの総回生時間trg2と、を入力する(ステップS500)。ここで、現在のトリップでの総回生時間trg2は、例えば、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時の総時間(図18の最大回生トルク設定ルーチンの実行回数と実行周期との積)を用いることができる。
こうしてデータを入力すると、現在のトリップでの積算値Steを現在のトリップでの総回生時間trg2で除して、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時におけるモータ30の回生可能トルクTeの平均値Ate[i]を計算すると共に、現在のトリップでの積算値Stmを現在のトリップでの総回生時間trg2で除して、現在のトリップでの走行中のブレーキオン時におけるモータ30の回生トルクTmの平均値Atm[i]を計算し、平均値Ate[i],Atm[i]を図示しないフラッシュメモリに記憶させる(ステップS1010)。
ここで、「i」はトリップ番号であり、工場出荷後或いは図20の所定時回転数更新ルーチンの実行後の次トリップから1,2,・・・と増加し、図20の所定時回転数更新ルーチンによって値0にリセットされる。そして、積算値Ste,Stmを値0にリセットして(ステップS1020)、本ルーチンを終了する。
次に、図20の所定時回転数更新ルーチンについて説明する。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、まず、平均値Ate[i],Atm[i](i=1〜ntp2)を入力する(ステップS1040)。そして、平均値Ate[i]と所定トリップ数ntp2とを用いて、次式(8)によって、所定トリップ数ntp2での走行中のブレーキオン時のモータ30の回生可能トルクTeの平均値Ateを計算すると共に、平均値Atm[i]と所定トリップ数ntp2とを用いて、式(9)によって、所定トリップ数ntp2での走行中のブレーキオン時のモータ30の回生トルクTmの平均値Atmを計算する(ステップS1050)。
Ate=(Ate[1]+・・・+Ate[ntp2])/ntp2 (8)
Atm=(Atm[1]+・・・+Atm[ntp2])/ntp2 (9)
続いて、平均値Ate,Atmを用いて、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとイナーシャ損失Pinlossと変速機損失Patlossとの和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるように、モータ30の更新用所定時回転数Nm3を設定する(ステップS1060)。
ここで、ステップS1060の処理は、図15の変速機制御ルーチンのステップS810の処理と同様に行なうものとした。具体的には、モータ30の更新用所定時回転数Nm3は、平均値Ateおよび平均値Atmと、和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるモータ30の更新用所定時回転数Nm3と、の関係を予め定めてマップとして記憶しておき、平均値Ateおよび平均値Atmが与えられると、このマップから対応するモータ30の更新用所定時回転数Nm3を導出して設定するものとした。
そして、設定した更新用所定時回転数Nm3を所定時回転数Nm2に設定することによって所定時回転数Nm2を更新し(ステップS1070)トリップ番号iを値0にリセットして(ステップS1080)、本ルーチンを終了する。
このようにして、平均値Ateおよび平均値Atmに基づいて、和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるようにモータ30の更新用所定時回転数Nm3を設定すると共にこの更新用所定時回転数Nm3をモータ30の所定時回転数Nm2に設定して所定時回転数Nm2を更新することにより、所定時回転数Nm2を、運転者のブレーキ操作の特徴(ブレーキペダル85の踏み込み方など)を反映した値とすることができる。
以上説明した第4実施例のハイブリッド自動車320では、所定トリップ数ntp2毎のイグニッションオフ時にのみモータ30の所定時回転数Nm2を更新する。これにより、走行中のブレーキオン時の電子制御ユニット70での処理負荷を低減することができる。
そして、第4実施例のハイブリッド自動車320では、モータ30の所定時回転数Nm2を更新する際には、所定トリップ数ntp2での走行中のブレーキオン時のモータ30の回生可能トルクTeおよび回生トルクTmの平均値Ate,Atmに基づいて、回生取りこぼし損失Plossと電気損失Pelossとイナーシャ損失Pinlossと変速機損失Patlossとの和(Ploss+Peloss+Pinloss+Patloss)が最小となるように更新用所定時回転数Nm3を設定し、この更新用所定時回転数Nm3を所定時回転数Nm2に設定して、所定時回転数Nm2を更新する。これにより、所定時回転数Nm2を、運転者のブレーキ操作の特徴(ブレーキペダル85の踏み込み方など)を反映した値とすることができる。
第4実施例のハイブリッド自動車320では、所定時回転数Nm2を更新する際には、更新用所定時回転数Nm3を所定時回転数Nm2に設定するものとした。しかし、更新用所定時回転数Nm3を初期値Nm2iniで制限(上限ガード)した値を所定時回転数Nm2に設定するものとしてもよい。こうすれば、所定時回転数Nm2が大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
第4実施例のハイブリッド自動車320では、所定トリップ数ntp2毎のイグニッションオフ時に、一時アップトルクTmmin2を更新するものとした。しかし、所定時回転数Nm2の更新間隔は、一定でないものとしてもよい。例えば、更新用所定時回転数Nm3と初期値Nm2iniとの差が大きいときには、この差が小さいときに比して次回の所定時回転数Nm2の更新までの間隔を長くするものとしてもよい。こうすれば、所定時回転数Nm2の更新による車両の挙動の変化に運転者をより十分に慣れさせることができる。
第4実施例のハイブリッド自動車320では、所定トリップ数ntp2毎のイグニッションオフ時にのみモータ30の所定時回転数Nm2を更新するものとした。しかし、所定トリップ数ntp2毎のイグニッションオン時にのみモータ30の所定時回転数Nm2を更新するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータ30が「モータ」に相当し、クラッチ36が「クラッチ」に相当し、自動変速機40が「自動変速機」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、高電圧バッテリ60が「バッテリ」に相当し、電子制御ユニット70が「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
20,120,120B,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクシャフト、24 クランクポジションセンサ、26 スタータモータ、30 モータ、31 回転軸、32 回転位置検出センサ、33u,33v 電流センサ、34 インバータ、36 クラッチ、40 自動変速機、41 入力軸、42 出力軸、43 回転数センサ、46 駆動軸、50 センターデファレンシャルギヤ、51a,51b 前輪、52,56 車軸、53,57 デファレンシャルギヤ、54,58 伝達軸、55a,55b 後輪、60 高電圧バッテリ、60a 電圧センサ、60b 電流センサ、61 高電圧系電力ライン、62 コンデンサ、66 低電圧系電力ライン、67 低電圧バッテリ、68 DC/DCコンバータ、70 電子制御ユニット、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 車重センサ、90 油圧ブレーキ装置、92 マスタシリンダ、94 ブレーキアクチュエータ、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、161a 第1高電圧系電力ライン、161b 第2高電圧系電力ライン、162a,162b コンデンサ、163a,163b 電圧センサ、164 昇圧コンバータ。

Claims (6)

  1. エンジンと、
    モータと、
    前記エンジンの出力軸と前記モータの回転軸との間に設けられたクラッチと、
    前記回転軸と駆動輪に連結された駆動軸とに接続された自動変速機と、
    前記モータを駆動するインバータと、
    前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりするバッテリと、
    走行中のブレーキオンで前記クラッチを解放状態として前記モータを回生駆動する所定時には、前記モータの回生トルクが最大回生トルクの範囲内となるように前記モータを制御する制御手段と、
    を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、
    前記モータの定格トルクを前記最大回生トルクとして設定し、
    前記所定時に前記モータの回生可能トルクが前記定格トルクを超過するときには、前記モータの回生可能パワーに対する回生パワーの不足分としての回生取りこぼし損失と、前記モータおよび前記インバータの損失と、の和が最小となるように、前記最大回生トルクを一時的に前記定格トルクに比して絶対値の大きい一時アップトルクに変更する、
    ハイブリッド自動車。
  2. 請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、所定トリップ数毎のイグニッションオン時またはイグニッションオフ時にのみ前記一時アップトルクを更新する、
    ハイブリッド自動車。
  3. 請求項2記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定時に前記最大回生トルクが前記一時アップトルクのときに、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクを超過するときには、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクの範囲内のときに比して前記モータの回転数が大きくなるように前記自動変速機を制御する、
    ハイブリッド自動車。
  4. 請求項2記載のハイブリッド自動車であって、
    前記インバータが接続された第1電力ラインと前記バッテリが接続された第2電力ラインとに接続され、前記第1電力ラインの電圧を前記第2電力ラインの電圧以上の範囲内で調節する昇圧コンバータを備え、
    前記制御手段は、前記所定時に前記最大回生トルクが前記一時アップトルクのときに、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクを超過するときには、前記回生可能トルクが前記最大回生トルクの範囲内のときに比して前記第1電力ラインの電圧が高くなるように前記昇圧コンバータを制御する、
    ハイブリッド自動車。
  5. エンジンと、
    モータと、
    前記エンジンの出力軸と前記モータの回転軸との間に設けられたクラッチと、
    前記回転軸と駆動輪に連結された駆動軸とに接続された自動変速機と、
    前記モータを駆動するインバータと、
    前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりするバッテリと、
    走行中のブレーキオンで前記クラッチを解放状態として前記モータを回生駆動する所定時には、前記モータの回生トルクが定格トルクの範囲内となるように前記モータを制御する制御手段と、
    を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定時には、前記モータの回生可能パワーに対する回生パワーの不足分としての回生取りこぼし損失と、前記モータおよび前記インバータの損失と、前記モータの回転変動に伴う損失と、前記自動変速機の損失と、の和が最小となるように前記モータの目標回転数を設定し、前記目標回転数に応じて前記自動変速機の目標変速段を設定し、前記自動変速機の変速段が前記目標変速段となるように前記自動変速機を制御する、
    ハイブリッド自動車。
  6. 請求項5記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、所定トリップ数毎のイグニッションオン時またはイグニッションオフ時にのみ前記目標回転数を設定する、
    ハイブリッド自動車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111322188A (zh) * 2019-12-27 2020-06-23 福建中维动力科技股份有限公司 基于一体式混合动力系统的发动机点火控制系统

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