JP4534934B2 - ハイブリッド車両の発電制御装置 - Google Patents
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Description
前記実エンジントルク推定部は、前記エンジン目標トルクが変化するとき、前記エンジン目標回転数に対するエンジンとモータジェネレータの実回転数の追従度合いにより実エンジントルクの過渡応答を推定することを特徴とする。
図1は実施例1の発電制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、フライホイールFWと、モータジェネレータMGと、第1クラッチCL1と、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RLと、右後輪RRと、左前輪FLと、右前輪FRと、を有する。
実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジンEを始動して発電を行い、バッテリ4を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチCL1は締結で第2クラッチCL2は開放のままでエンジンEを停止する。
エンジン発進時には、アクセル開度APとバッテリSOC状態によって、モータジェネレータMGを連れ回し、力行/発電に切り替える。
モータ発進時で、ロールバックにより自動変速機ATの出力回転が負回転となったら、第2クラッチCL2の滑り制御を行い、モータジェネレータMGの回転を正回転に維持する。次に、駆動力を車両が前進するまで上昇させ、第2クラッチCL2を滑り制御から締結に移行させる。
モータ走行は、エンジン始動に必要なモータトルクとバッテリ出力を確保し、不足する場合はエンジン走行に移行する。
燃費向上のために、モータ走行と発電上乗せ充電はセットで行う(モータトルクとバッテリ出力の制約により、走行可能範囲は、低負荷に限定される)。
発電上乗せ充電は、エンジン燃料消費の最小点を狙い、走行に必要なトルクに発電トルクを上乗せして行う(但し、バッテリSOC上昇時は、発電を行わない)。
アクセル踏み込み時のレスポンス向上のために、エンジントルク遅れ分をモータジェネレータMGによりアシストする。
ブレーキON減速時には、ドライバーのブレーキ操作に応じた減速力を回生協調ブレーキ制御にて得る。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータジェネレータMGを回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
実施例1では、エンジンEとモータジェネレータMGとを連結状態としての発電時、目標発電量tPに基づきエンジン目標トルクtTeを演算し、実エンジントルク推定値eTeに基づきモータジェネレータ目標トルクtTmを演算し、エンジンEとモータジェネレータMGの回転数をエンジン目標回転数tNe(=目標回転数)に保ちながら発電制御を行う。
Ne−tNe=ΔNe …(1)
|ΔNe|≦C1 …(2)
但し、C1は定数である。
そして、YESの場合はステップS205へ移行し、NOの場合はステップS203へ戻る。
|SΔNe|≦C2 …(3)
ここで、|SΔNe|は偏差積算値の絶対値、C2は定数である。
また、ステップS203での時刻をk、ステップS205での時刻をk+3とすると、偏差積算値SΔNeは、
SΔNe=ΔNe(k)+ΔNe(k+1)+ΔNe(k+2)+ΔNe(k+3) …(4)
の式にてあらわされる。
SΔNe>0 …(5)
τe'=τe−SΔNe×C4 …(6)
ここで、τeは現在の時定数、τe'は変更後の時定数、C4は定数である。
τe'=τe+SΔNe×C4 …(7)
ここで、τeは現在の時定数、τe'は変更後の時定数、C4は定数である。
|Ne−tNe|≦C3 …(8)
ΔTe=tTe−tT1 …(9)
このずれ量ΔTeを、エンジン目標トルク、エンジン水温、エンジン回転数に応じて記憶しておく。
また、統合コントローラ10の電源オフ要求があった場合には、ステップS211およびステップS213で記憶した応答時定数とエンジン目標トルクtTeと実エンジントルクtT1とのずれ量ΔTeを、EEPROM等に書き込んだ後に電源オフにする。そして、次回のコントローラ電源オン時には、EEPROM等に書き込まれた値を読み込み、エンジントルク応答推定演算に用いる。
[エンジントルク応答推定制御作用]
図5は発電制御時であって推定エンジントルクの応答が速い場合におけるエンジンEとモータジェネレータMGの回転数・エンジントルク・モータジェネレータトルクを示すタイムチャートであり、このタイムチャートを用いて、エンジントルク応答推定制御作用を説明する。
この実エンジントルクに対して応答の速い推定エンジントルクに応じてモータジェネレータトルクを演算した結果、次の制御周期の時刻k2では、回転数が低下してしまった。
この結果、エンジン目標回転数tNeとエンジン回転数Neとの偏差が増大したため、エンジン回転数制御部300によるモータジェネレータトルクの補償が加わり、モータジェネレータ回転数が収束を開始する。
また、エンジン回転数Neとエンジン目標回転数tNeとの偏差ΔNeの積算は、エンジン目標トルクが変化した時刻k1から偏差ΔNeがC1以下となった時刻k3まで行う。したがって、積算値SΔNeは図中の斜線領域となる。すなわち、
SΔNe<0 …(10)
であるから、推定エンジントルクの応答が速かったと判定して、式(7)を用いて、推定エンジントルクの応答が遅くなるように時定数を変更して記憶する。この後、統合コントローラ10の電源オフ要求があった場合には、本時定数と、エンジン目標トルクと実エンジントルクとのずれ量とをEEPROMに書き込み、その後、統合コントローラ10の電源をオフにする。
図6は上述の図5の直後にエンジントルクを変化させた場合のタイムチャートであり、記憶されていた応答時定数が実エンジントルクと推定エンジントルクとで一致したとする。また、統合コントローラ10の電源をオンした直後であっても、EEPROMから応答時定数とエンジン目標トルクと実エンジントルクのずれ量を読み込むことができる。またこれらは、エンジン水温、エンジントルクの変化量、エンジン回転数に応じて記憶されているため、精度良く推定エンジントルクを演算できる。
したがって、推定エンジントルクに応じてモータジェネレータトルクを演算した結果、エンジン回転数はエンジン目標回転数に一致する。この場合には、積算値SΔNeは、
SΔNe=0(≦C2) …(11)
となり、応答速度は一致したとして、応答速度は補正しない。
従来、ハイブリッド車両において、エンジン回転数を所望の回転数に収束させる際に、回転数変化時においてもエンジントルクを応答良く推定するため、モータジェネレータへのトルク指令値をエンジントルク推定値とする技術が知られている。
しかしながら、従来のハイブリッド車両において、このエンジントルク推定値(=モータジェネレータへのトルク指令値)を使用して所望のエンジン回転数に収束させるようにモータジェネレータのトルクを制御した場合には、コントローラ間の通信遅れ等により、収束性が悪化する可能性がある。
そして、実エンジントルク推定部200において、エンジントルクTeとエンジン回転数Neとモータジェネレータ目標トルクtTmz(前回値)とから実エンジントルク推定値eTeが演算される。
また、エンジン回転数制御部300において、エンジン目標回転数tNeとエンジン回転数Neとの偏差から、PI制御器などを用いた偏差を無くすフィードバック制御によりモータジェネレータ補償トルクTmが演算される。
そして、モータジェネレータ目標トルク決定部400において、モータジェネレータ補償トルクTmから実エンジントルク推定値eTeを減算して、モータジェネレータ目標トルクtTmが決定される。
eに対する実エンジントルクが適切な応答により推定されていることを意味する。
しかし、発電時、エンジン目標トルクtTeが変化するとき、エンジンEとモータジェネレータMGの回転数がエンジン目標回転数tNeから高回転数側にずれていれば、エンジン目標トルクtTeに対する実エンジントルクの応答が遅れていることを意味し、低回転数側にずれていれば、エンジン目標トルクtTeに対する実エンジントルクの応答が速いことを意味している。
したがって、発電時、エンジンEとモータジェネレータMGの回転数をエンジン目標回転数tNeに収束させる精度の高い実エンジントルク推定値eTeが演算され、モータジェネレータ補償トルクTmから実エンジントルク推定値eTeを減算してモータジェネレータ目標トルクtTmを決定することができる。
エンジン目標トルク変化時であって、推定エンジントルクの応答がエンジン目標トルクにほぼ一致するとき、図4のフローチャートにおいて、ステップS201→ステップS202→ステップS203→ステップS204→ステップS205→ステップS206→ステップS207→ステップS211→エンドへと進む流れとなる。つまり、ステップS206において、|SΔNe|≦C2であり、決定されている応答時定数が適正な値であるとの判断に基づき、推定エンジントルクの応答速度の補正を行わない。
このため、コントローラ間の通信遅れや経年劣化等により応答特性が変わった場合において、正確にエンジントルクを推定することができる。
このため、電子制御系の電源オン直後から精度の高い実エンジントルクの推定が可能であり、電源オンとした後の初回の発電時においても、エンジンEとモータジェネレータMGの回転数制御の安定性を補償することができる。
このため、電子制御系の電源オフ時と次回の電源オン時において、エンジン水温が変わっていたり、エンジン目標回転数tNeが変更された場合にも、精度の高いエンジントルクの推定が可能となる。
エンジン目標トルクの変化が無く、かつ、エンジン回転数Neがエンジン目標回転数tNeに収束しているとき、図4のフローチャートにおいて、ステップS201→ステップS212→ステップS213→エンドへと進む流れとなり、ステップS212において|Ne−tNe|≦C3であり、エンジン回転数Neがエンジン目標回転数tNeに収束しているとの判断に続き、ステップS213において、モータジェネレータトルク=実エンジントルクとされる。
併せて、ステップS213では、エンジ目標トルクtTeと実エンジントルクtT1とのずれ量ΔTeが演算され、このずれ量ΔTeを、エンジン目標トルク、エンジン水温、エンジン回転数に応じて記憶しておく。さらに、統合コントローラ10の電源オフ要求があった場合には、ステップS213で記憶したずれ量ΔTeをEEPROM等に書き込んだ後に電源オフにし、次回のコントローラ電源オン時には、EEPROM等に書き込まれた値を読み込み、エンジントルク応答推定演算に用いる。
このため、エンジン目標トルクtTeの変化がなく、かつ、エンジン回転数に変動がない場合、実エンジントルクをモータジェネレータ目標トルクtTmに等しいと推定することで、実エンジントルクを正確に推定できる。
このため、電子制御系の電源オフ時と次回の電源オン時において、エンジン水温が変わっていたり、エンジン目標トルクtTeやエンジン目標回転数tNeが変更された場合にも、精度の高いエンジントルクの推定が可能となる。
実施例1のハイブリッド車両の発電制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
MG モータジェネレータ
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
100 目標発電量演算部
200 実エンジントルク推定部
300 エンジン回転数制御部
400 モータジェネレータ目標トルク決定部
Claims (7)
- エンジンとモータジェネレータとを連結もしくは連結可能としてハイブリッド駆動系を構成し、
前記エンジンとモータジェネレータとを連結状態としての発電要求時、目標発電量に基づき走行に必要なトルクに発電トルクを上乗せしたエンジン目標トルクと、このエンジン目標トルクに応じたエンジンの燃料消費が小さくなるエンジン目標回転数とを演算する目標発電量演算部と、
実エンジントルク推定値を演算する実エンジントルク推定部と、
フィードバック制御により前記エンジン目標回転数と実エンジン回転数との偏差を無くすモータジェネレータ補償トルクを演算するエンジン回転数制御部と、
前記実エンジントルク推定値と前記モータジェネレータ補償トルクとに基づきモータジェネレータ目標トルクを演算するモータジェネレータ目標トルク決定部と、
を有し、エンジンとモータジェネレータの回転数を目標回転数に保ちながら発電制御する発電制御手段を備えたハイブリッド車両の発電制御装置において、
前記実エンジントルク推定部は、前記エンジン目標トルクが変化するとき、前記エンジン目標回転数に対するエンジンとモータジェネレータの実回転数の追従度合いにより実エンジントルクの過渡応答を推定することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両の発電制御装置において、
前記実エンジントルク推定部は、前記エンジン目標トルクと前記エンジン実回転数と前記モータジェネレータ目標トルクの前回値とから実エンジントルク推定値を演算することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 - 請求項1または2に記載されたハイブリッド車両の発電制御装置において、
前記実エンジントルク推定部は、エンジン目標トルクを変化させたとき、エンジン回転数がエンジン目標回転数からずれた場合、そのずれ量積算値に基づきエンジン目標トルクに対する実エンジントルクの過渡応答を推定することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載されたハイブリッド車両の発電制御装置において、
前記実エンジントルク推定部は、エンジン目標トルクに対する実エンジントルクの過渡応答に応じて応答時定数を変更し、この応答時定数を電子制御系の電源オフ時に記憶しておき、次回の電子制御系の電源オン後に記憶しておいた応答時定数を用いて実エンジントルクの過渡応答を推定することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 - 請求項1乃至4の何れか1項に記載されたハイブリッド車両の発電制御装置において、
前記実エンジントルク推定部は、実エンジントルクの応答時定数を、電子制御系の電源オフ時に記憶しておく際に、エンジン水温やエンジン回転数に応じて応答時定数を記憶させておくことを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載されたハイブリッド車両の発電制御装置において、
前記実エンジントルク推定部は、エンジン目標トルクの変化がなく、かつ、エンジンとモータジェネレータの回転数が目標回転数に収束している場合、実エンジントルクはモータジェネレータ目標トルクに等しいと推定することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 - 請求項6に記載されたハイブリッド車両の発電制御装置において、
前記実エンジントルク推定部は、実エンジントルクはモータジェネレータ目標トルクに等しいと推定する場合、エンジン目標トルクと実エンジントルクとのずれ量を演算し、電子制御系の電源オフ時にこのずれ量をエンジン目標トルク、エンジン水温、エンジン回転数に応じて記憶しておき、次回の電子制御系の電源オン後に記憶しておいたずれ量を用いて実エンジントルクの定常応答を推定することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。
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