JP2017071183A - 複合体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な材料が接合されていても、その密着性に優れ、かつ容易に製造することができる、金属素形材と被接合体とを含む複合体を提供する。
【解決手段】金属素形材102および金属素形材102の表面に形成されている有機樹脂層104を含む塗装金属素形材10と、ホットメルトフィルム30と、被接合体20と、を有する複合体100において、ホットメルトフィルム30が、有機樹脂層104および被接合体20に溶着している複合体100。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合体およびその製造方法に関する。
金属板もしくはそのプレス成形品、または鋳造、鍛造、切削、粉末冶金などにより成形された、いわゆる「金属素形材」は、自動車などの様々な工業製品に使用されている。また、金属素形材と樹脂組成物の成形体とが接合された複合体は、金属のみからなる部品よりも軽量であり、かつ樹脂のみからなる部品よりも強度が高いため、携帯電話機やパーソナルコンピューターなどの様々な電子機器に使用されている。従来、このような複合体は、金属素形材と樹脂組成物の成形体を嵌合させることにより製造されていた。しかしながら、嵌合による複合体の製造方法は、作業工程数が多く、生産性が低かった。そこで、近年は、インサート成形により金属素形材と樹脂組成物の成形体とを接合して、複合体を製造するのが一般的である。
インサート成形により複合体を製造する場合、金属素形材と樹脂組成物の成形体との密着性を向上させることが重要である。金属素形材と樹脂組成物の成形体との密着性を高める方法としては、例えば、インサート成形を行う前に、金属素形材の表面を粗面化処理することが提案されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3の方法では、アルミニウム合金の表面を粗面化処理することで、アルミニウム合金と樹脂組成物の成形体との接合性を向上させている。
また、特許文献4には、金属部材、トリアジンチオール誘導体等の有機被覆層、ホットメルトフィルムを積層させた積層体に対して、ホットメルトフィルムに接するように熱可塑性樹脂を含む材料を配置した後に、ホットメルトフィルムを溶融させて、上記積層体と熱可塑性樹脂の成形体とを接合させて複合体を製造する方法が記載されている。
特開2006−027018号公報 特開2004−050488号公報 特開2005−342895号公報 特開2013−244725号公報
特許文献1〜3に記載の方法で製造した複合体では、アンカー効果によって接合しているため、金属素形材と樹脂組成物の成形体の密着性が十分でないという問題があった。また、特許文献1〜3に記載の複合体の製造方法では、金属素形材の表面を粗面化処理するため、製造工程が煩雑となり、製造費用が増大してしまうという問題もあった。
また、特許文献4に記載の方法で製造した複合体では、熱可塑性樹脂の成形体と金属素形材との密着性が十分に高いとはいえず、より密着性が高い複合体が望まれていた。
また、特許文献1〜4に記載の方法は、樹脂組成物の成形体を金属素形材に接合するものである。複合体の用途を広げるため、樹脂組成物以外の材料が金属素形材に接合された複合体も作製しようとしたときに、特許文献1〜4に記載の方法では、前記樹脂組成物以外の材料と金属素形材との間に十分な密着性が生じるか否かは不明であった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、様々な材料が接合されていても、その密着性に優れ、かつ容易に製造することができる、金属素形材と被接合体とを含む複合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の複合体および複合体の製造方法に関する。
[1]金属素形材および前記金属素形材の表面に形成されている有機樹脂層を含む塗装金属素形材と、ホットメルトフィルムと、被接合体と、を有する複合体であって、前記ホットメルトフィルムは、前記有機樹脂層および前記被接合体に溶着している、複合体。
[2]前記有機樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含む、[1]に記載の複合体。
[3]前記有機樹脂層は、ポリウレタン系樹脂を含む、[1]に記載の複合体。
[4]前記有機樹脂層の付着量は、0.2g/m以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の複合体。
[5]前記ホットメルトフィルムの融点は、50〜200℃である、[1]〜[4]のいずれかに記載の複合体。
[6]前記被接合体は、鉄系金属、非鉄系金属、有機樹脂およびガラスからなる群から選択される一または複数の材料の成形体を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の複合体。
[7]前記有機樹脂層は、防錆剤を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の複合体。
[8]金属素形材および前記金属素形材の表面に形成されている有機樹脂層を含む塗装金属素形材と、前記有機樹脂層に接するように配置されているホットメルトフィルムとを有する積層体に対して、前記ホットメルトフィルムに接するように被接合体を配置する工程と、前記被接合体が接している前記ホットメルトフィルムの少なくとも一部を、加熱して、前記ホットメルトフィルムを前記有機樹脂層および前記被接合体に溶着させる工程と、を含む、複合体の製造方法。
[9]さらに、前記金属素形材の、前記有機樹脂層に接するように前記ホットメルトフィルムを配置して、前記積層体を形成する工程を含む、[8]に記載の複合体の製造方法。
[10]前記有機樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含む、[8]または[9]に記載の複合体の製造方法。
[11]前記有機樹脂層は、ポリウレタン系樹脂を含む、[8]または[9]に記載の複合体の製造方法。
[12]前記有機樹脂層の付着量は、0.2g/m以上である、[8]〜[11]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[13]前記ホットメルトフィルムの融点は、50〜200℃である、[8]〜[12]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[14]前記被接合体は、鉄系金属、非鉄系金属、有機樹脂およびガラスからなる群から選択される一または複数の材料の成形体を含む、[8]〜[13]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[15]前記有機樹脂層は、防錆剤を含有する、[8]〜[14]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
本発明によれば、様々な材料が接合されていても、その密着性に優れ、かつ容易に製造することができる、金属素形材と被接合体とを含む複合体およびその製造方法が提供される。
図1Aは、本発明の複合体の一例に係る平面図であり、図1Bは、当該複合体の、図1A中の1B−1B線に沿っての断面図である。 図2Aは、本発明の複合体の別の例に係る平面図であり、図2Bは、当該複合体の、図2A中の2B−2B線に沿っての断面図である。 図3Aは、実施例で作製した引張り試験用のサンプルの平面図であり、図3Bは、当該引張り試験用サンプルの正面図である。
1.複合体
本発明の複合体は、塗装金属素形材と、ホットメルトフィルムと、被接合体とを有する。前記ホットメルトフィルムは、前記塗装金属素形材の有機樹脂層と、前記被接合体とに溶着し、前記塗装金属素形材と前記被接合体とを接合している。
図1Aは、本発明の複合体の一例についての平面図であり、図1Bは、当該複合体の、図1A中の1B−1B線に沿っての断面図である。複合体100は、図1Aおよび図1Bに示されるように、塗装金属素形材10、ホットメルトフィルム30および被接合体20を有する。塗装金属素形材10は、金属素形材102および有機樹脂層104を有する。複合体100では、有機樹脂層104および被接合体20の双方にホットメルトフィルム30が溶着することで、塗装金属素形材10と被接合体20とが接合している。
本発明の他の実施形態に係る複合体を図2Aおよび図2Bに示す。複合体200は、図2Aおよび図2Bに示されるように、塗装金属素形材10、ホットメルトフィルム30および被接合体40を有する。被接合体40は、平面形状が矩形の凹部402と、凹部402の開口部を囲むつば部404とを有する。複合体200におけるホットメルトフィルム30は、被接合体40のつば部404と同じ形状を有しており、被接合体40のつば部404および有機樹脂層104の双方にホットメルトフィルム30が溶着することで、塗装金属素形材10と被接合体40とが接合している。
1−1.塗装金属素形材
本発明に係る塗装金属素形材は、金属素形材および有機樹脂層を含む。有機樹脂層は、金属素形材の表面に形成されている。塗装金属素形材は、金属素形材と有機樹脂層との間に化成処理皮膜が形成されていてもよいが、本発明に係る塗装金属素形材は、有機樹脂層とホットメルトフィルムとの密着性が高いため、化成処理皮膜を有さなくてもよい。以下、塗装金属素形材の各要素について説明する。
(1)金属素形材
金属素形材とは、金属に熱や力などが加えられ、形を与えられたものをいう。塗装基材となる金属素形材は、金属板、そのプレス成形品、あるいは、鋳造、鍛造、切削、粉末冶金などにより成形された金属製の部材である。金属素形材の種類は、特に限定されない。金属素形材の例には、金属板、金属板のプレス加工品および金属部材などが含まれる。上記金属板の例には、亜鉛めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、およびフェライト・マルテンサイト二相系を含む)、アルミニウム板、アルミニウム合金板、および銅板などが含まれる。金属板は、冷延鋼板などの圧延された鋼板でもよい。上記金属部材の例には、アルミダイカストおよび亜鉛ダイカストを含む鋳造、鍛造、切削加工、および粉末冶金などにより成形された各種金属部材などが含まれる。金属素形材は、必要に応じて、脱脂、酸洗などの公知の塗装前処理が施されていてもよい。
(2)化成処理皮膜
前述のように、塗装金属素形材は、金属素形材と有機樹脂層との間に化成処理皮膜が形成されていてもよい。化成処理皮膜は、金属素形材の表面に形成されており、金属素形材と有機樹脂層との間の密着性および金属素形材の耐食性を向上させる。化成処理皮膜は、金属素形材の表面のうち、少なくとも後述する被接合体と接合する領域(接合面)に形成されていればよいが、皮膜形成を容易にする観点からは、金属素形材の表面全体に形成されることが好ましい。
化成処理皮膜を形成するための化成処理の種類は、特に限定されない。化成処理の例には、クロメート処理、クロムフリー処理、およびリン酸塩処理などが含まれる。化成処理によって形成された化成処理皮膜の付着量は、金属素形材と有機樹脂層との間の密着性および金属素形材の耐食性の向上に有効な範囲内であれば特に限定されない。たとえば、クロメート皮膜の場合、全Cr換算付着量が5〜100mg/mとなるように付着量を調整すればよい。また、クロムフリー皮膜の場合、Ti−Mo複合皮膜では皮膜の付着量が10〜500mg/m、フルオロアシッド系皮膜ではフッ素換算付着量または総金属元素換算付着量が3〜100mg/mの範囲内となるように付着量を調整すればよい。また、リン酸塩皮膜の場合、皮膜の付着量が0.1〜5g/mとなるように付着量を調整すればよい。
(3)有機樹脂層
有機樹脂層は、有機樹脂を含有する層であり、金属素形材とホットメルトフィルムとの間の密着性を向上させる。有機樹脂層は、金属素形材上、すなわち金属素形材の表面または化成処理皮膜の表面、に形成されている。有機樹脂層がホットメルトフィルムに溶着することにより、本発明の複合体では、金属素形材および被接合体が、有機樹脂層およびホットメルトフィルムを介して、より強固に密着される。
有機樹脂層が含有する有機樹脂の種類は、金属素形材と水素結合する官能基(水素結合性官能基)を有し、かつ、ホットメルトフィルムに対する溶着性を有するものであれば、特に限定されない。上記水素結合性官能基の例には、カルボキシル基およびアミノ基が含まれる。水素結合性官能基を有し、かつ、ホットメルトフィルムに対する溶着性を有する樹脂の例には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネートユニット非含有ポリウレタン系樹脂が含まれる。これらの樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ系樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などが含まれる。オレフィン系樹脂の例には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが含まれる。フェノール系樹脂には、ノボラック型樹脂、レゾール型樹脂などが含まれる。ポリウレタン系樹脂は、ジオールとジイソシアネートが共重合することで得られる。ジオールの例には、ポリカーボネートジオール以外であって、ビスフェノールA、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオールなどが含まれる。イソシアネートの例には、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが含まれる。
前述した有機樹脂は、市販品として入手することが可能である。また、有機樹脂層中の上記有機樹脂の存在は、NMR、IR、およびGC−MSなどの通常の分析機器によって確認することが可能である。
さらに、上記有機樹脂は、架橋されていてもよい。上記有機樹脂の架橋は、例えば、有機樹脂中の上記水素結合性官能基と反応する二以上の架橋性官能基を有する架橋剤によって行うことができる。上記有機樹脂を架橋することは、有機樹脂層の強度を向上させる観点から好ましい。上記架橋剤には、上記有機樹脂の架橋に用いられる公知の架橋剤を用いることができる。架橋剤の例には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、および金属塩を有する架橋剤が含まれる。架橋剤の使用量は、金属素形材に対する有機樹脂層の接着性と、上記有機樹脂における架橋による効果との両方が得られる範囲で適宜に決められる。
後述するホットメルトフィルムとの間の密着性をより高める観点からは、有機樹脂層の材料である有機樹脂はポリプロピレン系樹脂またはポリウレタン系樹脂であることが好ましい。上記ポリウレタン系樹脂は、ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含んでいることが好ましい。有機樹脂層は、化成処理皮膜と同様に、金属素形材の表面のうち、被接合体との接合面の少なくとも一部に形成されていればよいが、密着性をより高める観点からは、有機樹脂層は、接合面の全部に形成されることが好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂)
上記ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン骨格と、水素結合性官能基とを含む高分子化合物である。上記ポリプロピレン系樹脂の例には、酸変性ポリプロピレンが含まれる。上記酸変性ポリプロピレンは、ポリプロピレンの構成単位中にカルボキシル基またはその無水物基が導入されたポリプロピレンである。上記ポリプロピレン系樹脂中の当該水素結合性官能基の量は、金属素形材に対する十分な接着性が得られる範囲から適宜に決められる。また、上記ポリプロピレン系樹脂は、上記水素結合性官能基以外の他の官能基をさらに含んでいてもよい。
上記酸変性ポリプロピレンの含有量は、有機樹脂層中の全樹脂に対して40質量%以上であることが、塗装金属素形材とホットメルトフィルムとの間の接合力を高める観点から好ましい。これにより、上記被接合体に対する塗装金属素形材の十分な接合力が得られないことがある。酸変性ポリプロピレンの上記含有量の上限値は、本発明の効果が得られる範囲において、適宜に決めることができる。
上記酸変性ポリプロピレンで構成された有機樹脂層の溶融粘度は、1000〜10000mPa・sであることが好ましい。当該溶融粘度が1000mPa・s未満の場合、被接合体との溶着の際に、上記有機樹脂層が流動してしまうことがある。このため、有機樹脂層が被接合体に溶着せず、上記被接合体に対する塗装金属素形材の接合力が不十分となることがある。一方、上記溶融粘度が10000mPa・s超の場合、ホットメルトフィルムに対する上記有機樹脂層の溶着性が低下して不十分となることがある。このため、上記被接合体に対する塗装金属素形材の接合力が不十分となることがある。上記溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計で測定される。
酸変性ポリプロピレンの酸価は、1〜500mgKOH/gであることが好ましい。酸変性ポリプロピレンの酸価が上記の範囲内であれば、後述のエマルジョンを作製する際に酸変性ポリプロピレンを中和することで、酸変性ポリプロピレン自体が界面活性剤として作用する。
上記酸変性ポリプロピレンの融点が60〜120℃であり、かつ上記酸変性ポリプロピレンの結晶化度が5〜20%であることが好ましい。上記融点および結晶化度を有する酸変性ポリプロピレンは、金属素形材の表面に対する濡れ性が高い。このため、金属素形材の表面の微細な凹凸にも密着した有機樹脂層を形成する観点から好ましい。上記融点が60℃未満または上記結晶化度が5%未満の場合、比較的低温で有機樹脂層が軟化してしまうため、例えば、保管時に塗装金属素形材の耐ブロッキング性が不十分となることがある。上記融点が120℃超または上記結晶化度が20%超の場合、上記被接合体に対する塗装金属素形材の接合性が低下することがある。
なお、酸変性ポリプロピレンの融点および結晶化度は、有機樹脂塗料(有機樹脂層用の塗料)に含まれる状態(焼き付け前)と有機樹脂層の状態(焼き付けた後)とでほとんど変化しない。したがって、有機樹脂層中の酸変性ポリプロピレンの結晶化度は、酸変性ポリプロピレンを含む後述の有機樹脂塗料を、Ruland法によるX線回折により測定することで調べることができる。
上記酸変性ポリプロピレンは、例えば、酸変性ポリプロピレンを分散質とする酸変性ポリプロピレン系エマルジョンとして調製されうる。酸変性ポリプロピレン系エマルジョンは、酸変性ポリプロピレンを調製した後、酸変性ポリプロピレンを水に配合して分散することで調製されうる。また、酸変性ポリプロピレン系エマルジョンには、乳化剤として各種界面活性剤を添加してもよい。
ポリプロピレンには、アイソタクティク、アタクティク、シンジオタクティク、ヘミアイソタクティクおよびステレオタクティクの立体規則性が知られている。酸変性ポリプロピレンにおけるポリプロピレンの立体規則性は、剛性や衝撃強さなどの力学特性または耐久性の観点から、アイソタクティクであることが好ましい。
上記ポリプロピレンの重量平均分子量は、1000〜300000であることが好ましく、5000〜100000であることがさらに好ましい。ポリプロピレンの重量平均分子量が1000未満の場合、有機樹脂層の強度が低下することがある。一方、ポリプロピレンの重量平均分子量が300000超の場合、ポリプロピレンを酸変性する際に、粘度が増大してしまうため、作業が困難になることがある。
ポリプロピレンの酸変性は、ポリプロピレンをトルエンまたはキシレンに溶解させ、ラジカル発生剤の存在下で、α,β−不飽和カルボン酸および/またはα,β−不飽和カルボン酸の酸無水物および/または1分子当たり1個以上の二重結合を有する化合物を用いて行うことができる。または、ポリプロピレンの軟化温度あるいは融点以上まで昇温させることができる機器を使用し、ラジカル発生剤の存在下または非存在下で、α,β−不飽和カルボン酸および/またはα,β−不飽和カルボン酸の酸無水物および/または1分子当たり1個以上の二重結合を有する化合物を用いて行うことができる。ポリプロピレンの変性反応をトルエンおよび/またはキシレンなどの有機溶剤中で溶液状態として行う場合、または水系などでの非溶媒中で行う不均一分散系での反応の場合には、窒素置換を充分に行う必要がある。このようにして、酸変性ポリプロピレンが調製されうる。
上記ラジカル発生剤の例には、パーオキサイドおよびアゾニトリルが含まれる。上記アゾニトリルの例には、ジ−tert−ブチルパーフタレート、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、およびジ−tert−ブチルパーオキサイドなどが含まれる。上記アゾニトリルの例には、アゾビスイソブチロニトリル、およびアゾビスイソプロピオニトリルなどが含まれる。ラジカル発生剤の配合量は、ポリプロピレン100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましい。また、特に好ましくは、0.5〜30質量部である。
α,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物の例には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、および無水アコニット酸が含まれる。上記α,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物は、一種でもそれ以上でもよい。上記α,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物の2種以上を組み合わせて使用すると、有機樹脂層の物性が良好になる場合が多い。
上記の1分子当たり1個以上の二重結合を有する化合物の例には、(メタ)アクリル酸系モノマーおよびスチレン系モノマーが含まれる。上記(メタ)アクリル酸系モノマーの例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸、ジ(メタ)アクリル酸(ジ)エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ジ(メタ)アクリル酸グリセリン、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、およびアクリルアミドなどが含まれる。上記スチレン系モノマーの例には、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、およびクロロメチルスチレンなどが含まれる。さらに、上記化合物に、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、バーサチック酸のビニルエステルなどのビニル系モノマーを併用することができる。
上記の1分子当たり1個以上の二重結合を有する化合物は、一種でもそれ以上でもよい。当該化合物の配合量は、ポリプロピレン100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましい。特に好ましくは、0.5〜30質量部である。
(ポリウレタン系樹脂)
上記ポリウレタン系樹脂は、ポリウレタン骨格と、上記水素結合性官能基とを含む高分子化合物である。上記ポリウレタン系樹脂の例には、ポリカーボネート含有ポリウレタン(以下、「PC含有ポリウレタン」とも言う)が含まれる。上記ポリウレタン系樹脂中の当該水素結合性官能基の量は、金属素形材に対する十分な接着性が得られる範囲から適宜に決められる。また、上記ポリウレタン系樹脂は、上記水素結合性官能基以外の他の官能基をさらに含んでいてもよい。また、上記ポリウレタン系樹脂の重量平均分子量は、本発明の効果が得られる範囲において特に限定されない。
PC含有ポリウレタンは、分子鎖中にポリカーボネートユニットを有する。「ポリカーボネートユニット」とは、ポリウレタンの分子鎖中において下記に示す構造をいう。当該カーボネート基は、上記PC含有ポリウレタン中に、個別に存在していてもよいし、連続して存在していてもよい。有機樹脂層におけるポリカーボネートユニットの含有量は、有機樹脂層中の全樹脂の質量に対して15〜80質量%であることが、金属素形材に対する接着性と被接合体に対する溶着性との両方を高める観点から好ましい。ポリカーボネートユニットの上記含有量が15質量よりも少ないと、有機樹脂層が金属素形材に対して十分な強度で接着しないことがあり、80質量%よりも多いと、有機樹脂層が被接合体に対して十分な強度で溶着しないことがある。全樹脂の質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、有機樹脂層をクロロホルムに溶解させたサンプルを用いて、核磁気共鳴分光法(NMR分析)により求めることができる。
Figure 2017071183
PC含有ポリウレタンは、例えば、以下の工程により調製することができる。まず、有機ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、三級アミノ基またはカルボキシル基を有するポリオールとを反応させてウレタンプレポリマーを生成する。なお、本発明の効果が得られる範囲内において、ポリカーボネートポリオール以外のポリオール、例えばポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどを併用することは可能である。
次いで、製造したウレタンプレポリマーの三級アミノ基を、酸で中和するかまたは四級化剤で四級化した後、水で鎖伸長する。こうして、カチオン性のポリカーボネートユニット含有ポリウレタンを生成することができる。あるいは、上記ウレタンプレポリマーのカルボキシル基を、トリエチルアミンやトリメチルアミン、ジエタノールモノメチルアミン、ジエチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリウムなどの塩基性化合物で中和してカルボン酸の塩類に変換する。こうして、アニオン性のポリカーボネートユニット含有ポリウレタンを生成することができる。上記PC含有ポリウレタンは、カチオン性のポリカーボネートユニット含有ポリウレタンであってもよいし、アニオン性のポリカーボネートユニット含有ポリウレタンであってもよい。
上記有機ポリイソシアネートの種類は、特に限定されない。有機ポリイソシアネートの例には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが含まれる。上記有機ポリイソシアネートは、一種でもそれ以上でもよい。
上記ポリカーボネートポリオールは、カーボネート化合物と、ジオール化合物と、を反応させることで得られる。上記カーボネート化合物の例には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートなどが含まれる。上記ジオール化合物の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、および1,6−ヘキサンジオールなどが含まれる。上記ポリカーボネートポリオールは、イソシアネート化合物によって鎖延長された化合物であってもよい。上記ポリカーボネートポリオールは、一種でもそれ以上でもよい。
三級アミノ基またはカルボキシル基を有するポリオールは、例えば、開始剤の存在下でアルカノールアミン類とジカルボン酸とを、酸塩基反応または脱水縮合させることによって得られる。上記開始剤の例には、アンモニア、第1級または第2級のモノアミン類、第1級または第2級の脂肪族ポリアミン類、および第1級または第2級の芳香族モノまたは芳香族ポリアミン類などが含まれる。上記第1級または第2級のモノアミン類の例には、メチルアミン、およびエチルアミンなどが含まれる。上記第1級または第2級の脂肪族ポリアミン類の例には、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミンなどが含まれる。上記第1級または第2級の芳香族モノまたは芳香族ポリアミン類の例には、アニリン、ジフェニルアミン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、およびN−メチルアニリンなどが含まれる。上記アルカノールアミン類の例には、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンなどが含まれる。上記ジカルボン酸の例には、アジピン酸およびフタル酸などが含まれる。上記三級アミノ基またはカルボキシル基を有するポリオールは、イソシアネート化合物によって鎖延長された化合物であってもよい。上記三級アミノ基またはカルボキシル基を有するポリオールは、一種でもそれ以上でもよい。
(添加剤)
有機樹脂層は、本発明の効果が得られる範囲において、添加剤をさらに含有していてもよい。当該添加剤の例には、金属酸化物、防錆剤、リン化合物、潤滑剤、消泡剤、エッチング剤、無機化合物、ならびに色材などが含まれる。
上記防錆剤は、塗装金属素形材の耐食性を向上させ、その結果、複合体の耐食性を向上させる。防錆剤は、一種でもそれ以上でもよい。防錆剤の例には、金属化合物系防錆剤、非金属化合物系防錆剤、および有機化合物系防錆剤が含まれる。有機樹脂層における防錆剤の含有量は、防錆剤の種類に応じて、防錆剤による防錆効果と本発明の効果とが得られる範囲から適宜に決めることができる。
上記金属化合物系防錆剤の例には、Si、Ti、Zr、V、Mo、Cr、Hf、Nb、Ta、W、MgおよびCaからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物、が含まれる。
有機樹脂層における上記防錆剤の含有量は、当該金属酸化物の機能が発現される範囲において、適宜に決めることができる。たとえば、有機樹脂層における当該防錆剤の含有量は、上記耐食性の観点からは、Si換算含有量が0.5質量%以上、Ti換算含有量が0.005質量%以上、Zr換算含有量が0.05質量%以上、Mo換算含有量が0.005質量%以上、V換算含有量が0.02質量%以上であることが好ましい。また、有機樹脂層における防錆剤の含有量は、上記有機樹脂塗料の保管安定性の観点から、Si換算含有量が23.5質量%未満、Ti換算含有量が0.6質量%未満、Zr換算含有量が12.0質量%未満、Mo換算含有量が3.0質量%未満、V換算含有量が3.0質量%未満であることが好ましい。
上記非金属化合物系防錆剤の例には、リン酸水素二アンモニウムなどのリン酸化合物、および、チオ尿素などのチオール化合物、が含まれる。
上記有機化合物系防錆剤の例には、インヒビターおよびキレート化剤が含まれる。当該インヒビターの例には、オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸などのカルボン酸、カルボン酸金属石鹸(ラノリンCa、ナフテン酸Zn、酸化ワックスCa、Ba塩など)、スルフォン酸塩(Na、Ca、Baスルフォネート)、アミン塩、および、エステル(高級脂肪酸のグリセリンエステル,ソルビタンモノイソステアレート,ソルビタンモノオレートなど)が含まれる。上記キレート化剤の例には、EDTA(エチランジアミンテトラ酢酸)、グルコン酸,NTA(ニトリロトリ酢酸)、HEDTA(ヒドロキシエチル、エチレンジアミン三酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、および、クエン酸Naが含まれる。
上記潤滑剤は、塗装金属素形材の表面におけるカジリの発生を抑制することができる。潤滑剤は、一種でもそれ以上でもよく、潤滑剤の種類は、特に限定されない。潤滑剤の例には、フッ素系やポリエチレン系、スチレン系、ポリプロピレン系などの有機ワックス、および、二硫化モリブデンやタルクなどの無機潤滑剤、が含まれる。有機樹脂層中の潤滑剤の含有量は、有機樹脂層における上記有機樹脂および上記他の樹脂の総量100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。潤滑剤が1質量部未満の場合、カジリの発生を十分に抑制することができないことがある。一方、潤滑剤が20質量部超の場合、カジリの発生を抑制する効果が頭打ちとなり、また、潤滑性が高すぎて取り扱い性が劣ることがある。
上記消泡剤は、後述する有機樹脂塗料の調製時における気泡の発生を抑制する。消泡剤は、一種でもそれ以上でもよい。消泡剤の種類は、特に限定されない。消泡剤は、シリコーン系消泡剤などの既知の消泡剤を適量添加すればよい。
上記エッチング剤は、金属素形材の表面を活性化することで、金属素形材に対する有機樹脂層の密着性を向上させる。エッチング剤の例には、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、ジルコンフッ化水素、チタンフッ化水素などのフッ化物が含まれる。
上記無機化合物は、有機樹脂層を緻密化して耐水性を向上させる。無機化合物の例には、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの無機系酸化物ゾル、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マンガン、リン酸マグネシウムなどのリン酸塩などが含まれる。
上記色材は、有機樹脂層に所定の色調を付与する。色材の例には、無機顔料、有機顔料および有機染料などが含まれる。
(有機樹脂層の性状)
有機樹脂層における上記有機樹脂の付着量は、後述のホットメルトフィルムとの間の密着性が十分となる量であればよい。塗装金属素形材の耐食性をより高める観点からは、有機樹脂の付着量は、0.2g/m以上が好ましい。有機樹脂の付着量の上限値は、特に限定されないが、上記の効果が頭打ちになる観点や、生産性の観点、コストの観点などから決めることができる。たとえば、有機樹脂の付着量は、20g/m程度以下であることが好ましい。
上記有機樹脂層の付着量は、後述のホットメルトフィルムとの間の密着性が十分となる付着量であればよく、0.2g/m以上であることが好ましい。有機樹脂層の付着量が0.2g/m未満であると、塗装金属素形材に対するホットメルトフィルムの接合力が不十分となることがある。また、有機樹脂層の付着量が0.2g/m未満であると、有機樹脂層中に含まれる添加物の機能(例えば、防錆剤の防錆作用)の発現が不十分となることがある。有機樹脂層の付着量の上限値は、特に制限されないが、上記の効果が頭打ちになる観点や、生産性の観点、コストの観点などから決めることができる。たとえば、有機樹脂層の付着量は、10g/m以下が好ましく、3g/m以下がより好ましい。
上記有機樹脂層は、前述した有機樹脂および任意に配合される上記添加剤を含む組成物によって構成される。当該組成物の融点は、上記被接合体と同等以下が好ましく、例えば60〜160℃であることが好ましい。上記組成物の融点が60℃未満であると、比較的低温で有機樹脂層が軟化してしまうため、塗装金属素形材の耐ブロッキング性が不十分となることがある。上記組成物の融点が160℃よりも高いと、上記被接合体に対する塗装金属素形材の接合性が不十分となることがある。上記樹脂組成物の融点は、有機樹脂の種類および添加剤の使用によって調整することが可能である。
上記有機樹脂層は、金属素形材の表面のうち有機樹脂層を形成すべき領域を均一に被覆してもよいし、上記領域に分散されて金属素形材の表面を被覆してもよい。
1−2.ホットメルトフィルム
ホットメルトフィルムの種類は、熱可塑性樹脂組成物の延伸または押し出し成形などの既存の方法で作製された、加熱により溶融して種々の部材と接合力を発現する成分で構成されるフィルムまたはシート状のものであれば、特に限定されない。
ホットメルトフィルムの融点は50℃以上200℃以下であることが好ましい。ホットメルトフィルムの融点が50℃より低い場合には、比較的低温でホットメルトフィルムが軟化してしまうため、保管時などにホットメルトフィルム同士が貼りついてしまうおそれや、接合後のホットメルトフィルムの軟化により、接合された被接合体が脱落してしまうおそれがある。融点が200℃より高い場合には、ホットメルトフィルムを軟化させるために過大な熱量が必要となり、現実的ではない。融点が50℃以上200℃以下であるホットメルトフィルムの例には、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系およびエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系のホットメルトフィルムが含まれる。これらのホットメルトフィルムは、市販のものでもよいし、所望の特性を有するものを合成して用いてもよい。上記融点は、JIS K 0064に即して測定される。
1−3.被接合体
本発明の複合体において、被接合体は、前述の塗装金属素形材の表面、より正確には、前述の塗装金属素形材が有する有機樹脂層、に前記ホットメルトフィルムを介して接合されている。被接合体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択されうる。なお、よりホットメルトフィルムとの密着性をより高める観点からは、被接合体は、ホットメルトフィルムとの接合面の少なくとも一部が有機樹脂で被覆されていることが好ましい。上記有機樹脂の材料は、被接合体の表面の少なくとも一部を被覆し、かつ乾燥させることができれば、その種類は特に限定されず、たとえば、上記塗装金属素形材に用いる有機樹脂層に含まれうる有機樹脂とすることができる。
被接合体の材料は、上記ホットメルトフィルムに接合可能であれば、その種類は特に限定されない。
このような材料の例には、金属、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、紙、カーボン繊維、加工済みおよび未加工の植物片ならびに無機組成物が含まれる。
材料として金属を用いた被接合体の例には、鉄系金属、非鉄系金属および各種めっき材から成形した金属素形材が含まれる。なお、ホットメルトフィルムとの密着性をより高める観点からは、金属素形材は、ホットメルトフィルムとの接合面の少なくとも一部が有機樹脂で被覆されていることが好ましく、上記有機樹脂層を有する塗装金属素形材であることが好ましい。
材料として熱可塑性樹脂組成物を用いた被接合体の例には、布、繊維、織物および繊維強化プラスチック類(FRTPおよびCFRTPなど)が含まれる。なお、ホットメルトフィルムとの密着性をより高める観点からは、これらの熱可塑性樹脂組成物を用いた被接合体は、ホットメルトフィルムとの接合面の少なくとも一部が有機樹脂で被覆されていることが好ましい。
材料として熱硬化性樹脂組成物を用いた被接合体の例には、布、繊維、織物および繊維強化プラスチック類(FRPおよびCFRPなど)が含まれる。なお、ホットメルトフィルムとの密着性をより高める観点からは、これらの熱硬化性樹脂組成物を用いた被接合体は、ホットメルトフィルムとの接合面の少なくとも一部が有機樹脂で被覆されていることが好ましい。
材料として植物片を用いた被接合体の例には、花弁、葉、およびその他の木質材料から成形した被接合体が含まれる。なお、ホットメルトフィルムとの密着性をより高める観点からは、これらの植物片を用いた被接合体は、ホットメルトフィルムとの接合面の少なくとも一部が有機樹脂で被覆されていることが好ましい。
材料として無機組成物を用いた被接合体の例には、ガラス、セラミックスおよび鉱物から成形した被接合体が含まれる。なお、ホットメルトフィルムとの密着性をより高める観点からは、これらの無機組成物を用いた被接合体は、ホットメルトフィルムとの接合面の少なくとも一部が有機樹脂で被覆されていることが好ましい。
これらのうち、より広い分野に複合体の用途を広げる観点からは、被接合体は、鉄系金属、非鉄系金属、有機樹脂またはガラスなどの材料を成形した成形体を含むことが好ましい。
また、有機樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物または熱硬化性樹脂組成物を材料として用いた被接合体は、ホットメルトフィルムとの密着性がより高いため好ましい。
2.複合体の製造方法
本発明に係る塗装金属素形材の製造方法は、特に限定されない。たとえば、本発明に係る塗装金属素形材は、以下の方法により製造されうる。
本発明の複合体の例示的な製造方法は、1)前記塗装金属素形材と前記ホットメルトフィルムとを含む積層体に対して、前記ホットメルトフィルムに接するように前記被接合体を配置する工程と、2)前記ホットメルトフィルムおよび前記有機樹脂層を前記被接合体に溶着させる工程と、を有する。本発明の複合体の例示的な製造方法は、さらに、3)有機樹脂層が形成された前記金属素形材の、前記有機樹脂層に接するように前記ホットメルトフィルムを配置して、前記積層体を形成する工程を、1)工程の前に含んでいてもよい。本発明の複合体の例示的な製造方法は、さらに、4)金属素形材に有機樹脂層を形成する工程を、3)工程の前に含んでもよい。
(1)ホットメルトフィルムに接するように被接合体を配置する工程
本工程では、前記塗装金属素形材と、塗装金属素形材の有機樹脂層に接するように配置されている前記ホットメルトフィルムとを有する積層体に対して、上記有機樹脂層に接するように配置されているホットメルトフィルムに接するように前記被接合体を配置する。前記積層体は、後述する3)、4)の工程により製造したものでもよいし、別途用意したものでもよい。
例えば、上記被接合体は、少なくとも、上記被接合体の接合されるべき部分と、塗装金属素形材の接合されるべき部分とが、上記ホットメルトフィルムを介して接するように、塗装金属素形材の表面に配置される。当該工程において、当該被接合体の接合されるべき部分と、塗装金属素形材の接合されるべき部分とは、少なくとも後述する2)工程を行う時点で、ホットメルトフィルムを介して接触していればよい。このとき、上記被接合体および塗装金属素形材は、固定用の治具などによって互いに押圧されて付着していることが、位置ずれ防止などの観点から好ましい。また、ホットメルトフィルムは、後述する3)工程で被接合体と接触させる部位の少なくとも一部に配置すればよい。
(2)ホットメルトフィルムを前記被接合体に溶着させる工程
本工程では、前記ホットメルトフィルムを加熱して、前記有機樹脂層および前記被接合体に加熱融着させて、ホットメルトフィルムを介して被接合体を前記塗装金属素形材に接合させる。加熱は、上記被接合体とホットメルトフィルムとが接触している面の少なくとも一部に行えばよいが、より密着性を高める観点からは、上記接触している面の全面に対して行うことが好ましい。
加熱方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。そのような加熱方法の例には、炎などによる直接加熱、ヒーター加熱、超音波加熱、電磁誘導加熱およびレーザー加熱が含まれる。
このとき、たとえば、到達板温が上記ホットメルトフィルムの融点以上となるように加熱することで、ホットメルトフィルムを介して被接合体と前記塗装金属素形材とを密接に接合させることができる。到達板温の付着量の上限値は、特に制限されないが、上記の効果が頭打ちになる観点や、ホットメルトフィルムや有機樹脂層の分解を抑制する観点などから決めることができ、たとえば、250℃以下とすることができる。
(3)有機樹脂層に接するようにホットメルトフィルムを配置する工程
本工程では、塗装金属素形材に対して、その有機樹脂層に接するようにホットメルトフィルムを配置する。上記塗装金属素形材は、後述する4)工程により製造したものでもよいし、別途用意したものでもよい。ホットメルトフィルムを配置する方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。そのような方法の例には、あらかじめフィルム状に成形したホットメルトフィルム用樹脂を、塗装金属素形材の表面に熱ロール等により接着する方法、および、押出機から供給したホットメルトフィルム用樹脂を塗装金属素形材に層状に積層して、冷却ローラーなどによって冷却および固着する方法などが含まれる。また、あらかじめ成形したシート状のホットメルトフィルムを、接着または固着させずに、有機樹脂層に接するように設置してもよい。
(4)金属素形材に有機樹脂層を形成する工程
本工程では、塗装基材となる金属素形材を用意し、この金属素形材に有機樹脂層を形成し、塗装金属素形材とする。化成処理皮膜を形成する場合は、有機樹脂層を形成する前に金属素形材に化成処理を行う。化成処理皮膜を形成しない場合は、このまま有機樹脂層を形成する。
金属素形材の表面に化成処理皮膜を形成する場合、化成処理皮膜は、金属素形材の表面に化成処理液を塗布し、乾燥させることで形成することができる。化成処理液の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法やカーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、浸漬引き上げ法などが含まれる。化成処理液の乾燥条件は、化成処理液の組成などに応じて適宜設定すればよい。たとえば、化成処理液を塗布した金属素形材を水洗することなく乾燥オーブン内に投入し、到達板温が80〜250℃の範囲内となるように加熱することで、金属素形材の表面に均一な化成処理皮膜を形成することができる。
有機樹脂層は、たとえば、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に、前述の有機樹脂を含む塗料を塗布し、焼き付けることで形成することができる。塗料の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法やカーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、浸漬引き上げ法などが含まれる。塗料の焼き付け条件は、塗料の組成などに応じて適宜設定すればよい。たとえば、塗料を塗布した金属素形材を乾燥オーブン内に投入し、到達板温が110〜200℃の範囲内となるように熱風乾燥機で乾燥させることで、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に均一な有機樹脂層を形成することができる。
以上のように、本発明に係る塗装金属素形材は、有機樹脂層が金属素形材とホットメルトフィルムとの間の密着性を高めるため、塗装金属素形材と被接合体との間の密着性に優れている。また、本発明に係る塗装金属素形材は、有機樹脂を含む塗料を塗布し、焼き付けるだけで、容易に製造されうる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.塗装金属板の作製
(1)金属板
溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板として、片面あたりのめっき付着量が45g/mの溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板を使用した。基材鋼板は板厚が1.6mmの冷間圧延鋼板(SPCC)を使用した。
(2)有機樹脂塗料の調製
有機樹脂のエマルジョン、ポリエチレンワックスおよび架橋剤を水に添加して、不揮発成分が20質量%の有機樹脂塗料を調製した。
有機樹脂のエマルジョンには、ウレタン系樹脂のエマルジョン、ポリプロピレン系樹脂のエマルジョンを用いた。ウレタン系樹脂のエマルジョンには、市販のポリカーボネートユニットを含有するポリウレタン樹脂のエマルジョン(アデカボンタイターHUX−386:株式会社ADEKA、単に「UE」とも記す)を用いた。ポリプロピレン系樹脂のエマルジョンには、市販の酸変性ポリプロピレン樹脂エマルジョン(ハードレンNZ−1005:東洋紡株式会社、単に「PPE」とも記す)を用いた。
ポリエチレンワックスには、市販のポリエチレンワックス(E−9015:東邦化学工業株式会社)を用いた。ポリエチレンワックスの添加量は、上記有機樹脂の合計質量100質量部に対して3.0質量部である。
架橋剤には、市販のエポキシ系架橋剤(HUX−XW3:株式会社ADEKA)を用いた。架橋剤の添加量は、上記有機樹脂の合計質量100質量部に対して3.0質量部である。
得られた有機樹脂塗料に、防錆剤および消泡剤をさらに添加した。
防錆剤には、金属化合物(B1)、非金属化合物(B2)および有機系化合物(B3)を用いた。
金属化合物(B1)には、Si、Ti、Zr、VおよびMoの酸化物を用いた。Si酸化物には、SiO(日産化学製、コロイダルシリカST−N、「B11」とも記す)を用いた。Ti酸化物には、TiO(IV)(キシダ化学製、「B12」とも記す)を用いた。Zr酸化物には、(NHZrO(CO(第一稀元素化学工業株式会社、「B13」とも記す)を用いた。V酸化物には、V(太陽鋼工株式会社、「B14」とも記す)を用いた。Mo酸化物には、(NHMo24・4HO(キシダ化学株式会社、「B15」とも記す)を用いた。上記の金属化合物を、単独でまたは組み合わせて添加した。
非金属化合物(B2)には、リン酸化物およびチオール化合物を用いた。リン酸化物には、(NHHPO(キシダ化学株式会社、「B21」とも記す)を用いた。チオール化合物には、NHCSNH(キシダ化学株式会社、「B22」とも記す)を用いた。上記非金属化合物を、単独でまたは組み合わせて添加した。
有機系化合物(B3)には、キレート化合物を用いた。キレート化合物には、クエン酸Na(Na(CO(COO)))(キシダ化学株式会社、「B31」とも記す)を用いた。
消泡剤には、市販のシリコーン系消泡剤樹脂(KM−73:信越化学工業株式会社)を用いた。消泡剤の添加量は、上記有機樹脂の合計質量に対して0.05質量%である。
下記表1および表2に示す種類および量で上記材料を用いて、有機樹脂塗料1〜9を調製した。
(3)有機樹脂塗料の安定性の評価
調製した9種類の有機樹脂塗料について、保管安定性を評価した。密閉容器に入れた各有機樹脂塗料を40℃恒温槽中で保管し、有機樹脂塗料の状態を観察した。各有機樹脂塗料について、30日以上安定であったものを「○」、30日未満で増粘あるいは固化したものを「×」と評価した。結果を表1および表2に示す。
表1および表2中、防錆剤の含有量は、当該防錆剤中の特定の元素または成分の、有機樹脂層の総質量に対する割合である。当該元素または成分は、防錆剤の含有量の数値に併記されている。「P」はリンを、「SH」は(チオール成分)を、「Zr」はジルコニウムを、「V」はバナジウムを、「Si」はケイ素を、「Ti」はチタンを、「Mo」はモリブデンを、それぞれ示す。なお、有機樹脂塗料5および有機樹脂塗料8における防錆剤B31の含有量の欄には、B31の含有量を示す。
Figure 2017071183
Figure 2017071183
表1、2に示されるように、有機樹脂塗料2〜6および8は、金属化合物の防錆剤を含有するが、良好な保管安定性を示した。これは、金属化合物の防錆剤の含有量は、Ti:0.6質量%未満、Zr:12.0質量%未満、Mo:3.0質量%未満、V:3.0質量%未満であったため、と考えられる。
また、有機樹脂塗料1および7は、防錆剤を含有しないことから、良好な保管安定性を示した。なお、有機樹脂塗料9の保管安定性は、不十分であった。これは、金属化合物の防錆剤の含有量が、Ti:0.6質量%以上、Zr:12.0質量%以上であったため、と考えられる。
(4)有機樹脂層の形成
上記金属板を液温40℃、pH12のアルカリ脱脂水溶液(SD−270;日本ペイント株式会社)に1分間浸漬して、表面を脱脂した。次いで、脱脂した金属板の表面に、上記(2)で調製した有機樹脂塗料1をロールコーターで塗布し、到達板温が150℃となるように、熱風乾燥機で乾燥させて、有機樹脂層を形成した。こうして、塗装金属板1を得た。また、有機樹脂塗料1に代えて有機樹脂塗料2〜9のそれぞれを用いる以外は同様にして、塗装金属板2〜9を得た。
また、また、有機樹脂塗料を塗布および乾燥しない以外は同様にして、塗装金属板10を得た。
表3に、塗装金属板1〜10の、塗装原板の種類、有機樹脂塗料の種類、および有機樹脂層の付着量を示す。なお、(NHZrO(COは、有機樹脂層中ではZrOの状態で存在していると考えられる。Vは、有機樹脂層中ではVの状態で存在していると考えられる。(NHMo24・4HOは、有機樹脂層中ではMo24の状態で存在していると考えられる。
耐食性の評価
塗装金属板1を幅70mm×長さ150mmに切り出し、端面部を全周シールしてサンプル1を作製した。次いで、サンプル1を塩水噴霧試験機に投入し、72時間後の白錆発生面積率を求め、当該白錆発生面積率から塗装金属板1の耐食性を評価した。塩水噴霧72時間後の白錆発生面積率が10%未満の場合を「○」、10%以上30%未満を「△」、30%以上を「×」と評価した。また、塗装金属板1に代えて塗装金属板2〜12のそれぞれを用いた以外は同様にして、塗装金属板2〜10の耐食性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2017071183
表3に示されるように、塗装金属板1〜9は、それぞれ、実用上問題のない耐食性を示した。中でも、塗装金属板5、8および9は、良好な耐食性を示した。これは、有機樹脂層の付着量が0.2g/m以上であり、金属化合物の防錆剤の含有量がTi:0.005質量%以上、Zr:0.05質量%以上、Mo:0.005質量%以上、V:0.02質量%以上であったため、と考えられる。
一方、塗装金属板1〜4、6および7は、実用上問題ないが、塗装金属板5、8および9の耐食性よりは低い耐食性を示した。その理由としては、塗装金属板1〜4は、Ti、Zr、Mo、Vなどの金属化合物の防錆成分のうち一部の元素しか含まれていないためと考えられる。また、塗装金属板6は金属化合物の防錆剤の含有量がTi:0.005質量%未満、Zr:0.05質量%未満、Mo:0.005質量%未満、V:0.02質量%未満であったため、と考えられ、塗装金属板7は有機樹脂層の付着量が0.2g/m未満であったためと考えられる。
さらに、塗装金属板10の耐食性は、不十分であった。その理由としては、有機樹脂の層が形成されていないため、と考えられる。
2.複合体の作製と評価
(1)塗装金属素形材
塗装金属板1〜10のそれぞれを切断し、幅(W11)25mm×長さ(L12)100mmの寸法の塗装金属素形材1〜10を準備した(図1Aおよび図1B参照)。なお、塗装金属素形材1〜10のそれぞれの厚さは、1.6mmである。
(2)被接合体
(2−1)塗装金属板
塗装金属板として、実施例1で用いた塗装金属板1〜10と同様の金属板を用意し、上記塗装金属板1〜10と同様に切断して、それぞれ被接合体1〜10とした。
(2−2)木片
木片として、厚さ9mmのヒノキ材を用意して、被接合体11とした。また、上記木片に、実施例1で調製した有機樹脂塗料4をハケ塗りし、60℃の乾燥オーブン内で1時間乾燥させて有機樹脂層を形成し、被接合体12とした。
(2−3)ガラス板
ガラス板として、厚さ6mmのフロート板ガラスを用意して、被接合体13とした。
(2−4)CFRP
CFRPとして、厚さ0.2mmのエポキシ樹脂含浸プリプレグ(東レ製、トレカ3255S−25)を用意して、被接合体14とした。
(2−5)CFRTP
CFRTPとして、厚さ2mmのポリプロピレン樹脂含浸プリプレグ(サカイオーベック製、SA−3203PT1)を用意して、被接合体15とした。
(2−6)紙
紙として、厚さ5mmのAフルートダンボール片を用意して、被接合体16とした。
(3)ホットメルトフィルム
ホットメルトフィルムとして、ポリウレタン(以下、「PU」とも記す)系ホットメルトフィルム、ポリエステル(以下、「PE」とも記す)系ホットメルトフィルム、ポリアミド(以下、「PA」とも記す)系ホットメルトフィルム、ポリウレタンエラストマー(以下、「PU−E」とも記す)系ホットメルトフィルム、およびポリプロピレン(以下、「PP」とも記す)系ホットメルトフィルムを準備した。
PU系ホットメルトフィルムには、厚さ70μmのSHM107−PUR(シーダム株式会社)を用いた。PU系ホットメルトフィルムの融点は、110℃だった。
PE系ホットメルトフィルムには、厚さ200μmのエセランSHM244−PES(シーダム株式会社)を用いた。PE系ホットメルトフィルムの融点は、120℃だった。
PA系ホットメルトフィルムには、厚さ100μmのエルファンNT120(日本マタイ株式会社)を用いた。PA系ホットメルトフィルムの融点は、120℃だった。
PU−E系ホットメルトフィルムには、厚さ200μmのエセランSHM605−CDR(日本マタイ株式会社)を用いた。PU−E系ホットメルトフィルムの融点は、190℃だった。
PP系ホットメルトフィルムには、厚さ40μmのアドマーQE060(三井化学東セロ株式会社)を用いた。PP系ホットメルトフィルムの融点は、139℃だった。
[実施例1]
塗装金属素形材10としての塗装金属板1(25mm×100mm)の長手方向の一片に、幅(W11)25mm、長さ(L11)12.5mmのPU系ホットメルトフィルム30を有機樹脂層に接するように配置し、前記PU系ホットメルトフィルムを挟み込むようにして、被接合体20としての塗装金属板1(25mm×100mm)を重ねて密着させた(図3A、図3B)。
200℃に加熱した定板500上に前記塗装金属素形材10および被接合体20としての2枚の塗装金属板1でホットメルトフィルム30を挟み込んだサンプルを置き、上部から200℃に加熱した別の定板500で挟み込み、プレス機を用いて、2.4MPaで15秒間加圧して、引張り試験用のサンプルを作製した。
[実施例2〜15および比較例1〜4]
塗装金属素形材、ホットメルトフィルムおよび被接合体の種類を下記表4に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして、引張り試験用のサンプルを作製した。
(4)複合体の接合力の評価
実施例1〜15および比較例1〜4で得られた引張り試験用のサンプルにおける塗装金属板を島津製作所製、オートグラフAG−ISに設置し、室温で、上記サンプルの両端を引張速度5mm/分で引っ張り、上記接合部が破断したときの最大荷重(N)を接合面積で除した値(N/mm=MPa)を算出し、せん断強度とした。上記サンプルを引っ張る向きは、接合面と平行でかつ互いに反対向きの方向(図3A中のX方向)であり、引張速度は、100mm/分であった。
上記接合力が10MPa未満の場合を「×」、接合力が10MPa以上であって15MPa未満の場合を「△」、接合力が15MPa以上であって20MPa未満の場合を「○」、接合力が20MPa以上の場合を「◎」と評価した。各サンプル(複合体)の接合力(せん断強度)の測定結果および評価結果を表4に示す。
Figure 2017071183
実施例1〜15に係る複合体では、いずれも、接合力が10MPa以上と良好であった。これは、有機樹脂層が形成された塗装金属板にホットメルトフィルムが積層された積層体を塗装金属素形材として、被接合体を接合させたため、と考えられる。
有機樹脂層を有する木片である被接合体12を接合した実施例4は、有機樹脂層を有さない木片である被接合体11を接合した実施例2よりも接合力の評価が高かった。また、CFRPである被接合体14またはCFRTPである被接合体15はいずれも有機樹脂を含むが、これらを接合させた実施例8および10ではせん断強度が高くなる傾向が見られた。
対して、比較例1〜4に係る複合体では、上記接合力が不十分であった。これは、有機樹脂層を有さない金属素形材とホットメルトフィルムとの組み合わせに被接合体を接合させたため、と考えられる。
本発明の複合体は、塗装金属素形材と被接合体との密着性に優れているため、例えば各種電子機器、家庭用電化製品、医療機器、自動車車体、車両搭載用品、建築資材などに好適に用いられる。
10 塗装金属素形材
20、40 被接合体
30 ホットメルトフィルム
100、200、300 複合体
102 金属素形材
104 有機樹脂層
402 凹部
404 つば部
500 定板

Claims (15)

  1. 金属素形材および前記金属素形材の表面に形成されている有機樹脂層を含む塗装金属素形材と、
    ホットメルトフィルムと、
    被接合体と、
    を有する複合体であって、
    前記ホットメルトフィルムは、前記有機樹脂層および前記被接合体に溶着している、複合体。
  2. 前記有機樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含む、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記有機樹脂層は、ポリウレタン系樹脂を含む、請求項1に記載の複合体。
  4. 前記有機樹脂層の付着量は、0.2g/m以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合体。
  5. 前記ホットメルトフィルムの融点は、50〜200℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体。
  6. 前記被接合体は、鉄系金属、非鉄系金属、有機樹脂およびガラスからなる群から選択される一または複数の材料の成形体を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合体。
  7. 前記有機樹脂層は、防錆剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合体。
  8. 金属素形材および前記金属素形材の表面に形成されている有機樹脂層を含む塗装金属素形材と、前記有機樹脂層に接するように配置されているホットメルトフィルムとを有する積層体に対して、前記ホットメルトフィルムに接するように被接合体を配置する工程と、
    前記被接合体が接している前記ホットメルトフィルムの少なくとも一部を、加熱して、前記ホットメルトフィルムを前記有機樹脂層および前記被接合体に溶着させる工程と、
    を含む、複合体の製造方法。
  9. さらに、前記塗装金属素形材の、前記有機樹脂層に接するように前記ホットメルトフィルムを配置して、前記積層体を形成する工程を含む、請求項8に記載の複合体の製造方法。
  10. 前記有機樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含む、請求項8または9に記載の複合体の製造方法。
  11. 前記有機樹脂層は、ポリウレタン系樹脂を含む、請求項8または9に記載の複合体の製造方法。
  12. 前記有機樹脂層の付着量は、0.2g/m以上である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  13. 前記ホットメルトフィルムの融点は、50〜200℃である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  14. 前記被接合体は、鉄系金属、非鉄系金属、有機樹脂およびガラスからなる群から選択される一または複数の材料の成形体を含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  15. 前記有機樹脂層は、防錆剤を含有する、請求項8〜14のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
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