JP2017069375A - シート状熱電変換デバイス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】変形しても、特に、変形が繰り返されても、デバイス内の熱電変換素子と電極との接合のずれ、及びデバイス内の熱電変換素子の配置のずれがより起こり難いシート状熱電変換デバイスを提供する。【解決手段】対向する2つの基材層1、該2つの基材層1に挟まれた熱電変換素子2を含むシート状熱電変換デバイスであって、該熱電変換素子の外周部の少なくとも一部に、該2つの基材層に挟まれた絶縁性材料3を含む。【選択図】図5
Description
本発明は、シート状熱電変換デバイス及びその製造方法に関する。
熱電変換デバイスは、熱と電気を直接変換することのできる装置である。熱電変換材料をある寸法に切断加工するなどして得られた熱電変換素子を複数個まとめた集合体が、熱電変換デバイスとして利用されている。熱電変換デバイスは、通常、p型熱電変換材料を含有するp型熱電変換素子、及びn型熱電変換材料を含有するn型熱電変換素子、電極、並びに負荷抵抗から構成される。熱電変換デバイスは、前記材料が電気的に直列に接続されているという非常に単純な構造を有し、また可動部がないので、コンパクトに設計できるという特徴がある。熱電変換デバイスは、レーザーダイオードの精密温度制御や電子式温冷庫等に実際に応用されているほか、未利用廃熱を用いた分散型発電技術(エネルギーハーべスティング)や災害時の非常用電源としての応用等も期待されている。
熱電変換デバイスの形状としては、軽量性、運搬性、可撓性、汎用性等の観点から、シート状が採用されることがある。シート状熱電変換デバイスは、通常、2つの基材層と、その間に熱電変換可能なように配置されている熱電変換素子及び電極とからなる。
特許第5626830号
「熱電変換技術ハンドブック」第3章熱電モジュール 株式会社エヌ・ティー・エス
シート状熱電変換デバイスは、熱源や冷却源の形状に応じて湾曲又は折り曲げられて使用され得る。ただ、このように変形した場合、特にこのような変形を繰り返した場合には、デバイス内の熱電変換素子と電極との接合がずれることにより絶縁を引き起こしたり、或いは熱電変換素子の配置がずれることにより隣接する熱電変換素子と接触し、短絡を引き起こしたりする恐れがある。これは、熱電変換素子の高集積化に伴い、より顕著に起こり得る。
そこで、本発明は、変形しても、特に変形が繰り返されても、デバイス内の熱電変換素子と電極との接合のずれ、及びデバイス内の熱電変換素子の配置のずれがより起こり難いシート状熱電変換デバイスを提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、シート状熱電変換デバイスにおいて、基材層に挟まれた熱電変換素子の外周部に絶縁性材料を配置することにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、この新たな知見に基づいてさらに種々の検討を重ねることにより完成されたものであり、次に掲げるものである。
項1.
対向する2つの基材層、該2つの基材層に挟まれた熱電変換素子を含むシート状熱電変換デバイスであって、該熱電変換素子の外周部の少なくとも一部に、該2つの基材層に挟まれた絶縁性材料を含むことを特徴とする、シート状熱電変換デバイス。
項2.
前記絶縁性材料が前記熱電変換素子を固定できるように配置されている、項1に記載のシート状熱電変換デバイス。
項3.
前記絶縁性材料が前記基材層と接着している、項1又は2に記載のシート状熱電変換デバイス。
項4.
前記絶縁性材料の厚みが前記熱電変換素子の厚み以下である、項1〜3のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項5.
電極を含む、項1〜4のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項6.
厚みが0.1〜2mmである、項1〜5のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項7.
前記熱電変換素子がカーボンナノチューブ、導電性高分子、金属及び金属間化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1〜6のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項8.
前記熱電変換素子がカーボンナノチューブを含有する、項1〜7のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項9.
前記絶縁性材料の熱伝導率が0.3W/m・K以下である、項1〜8のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項10.
前記電極が突起を有し、該突起と前記熱電変換素子が接触している、項5に記載のシート状熱電変換デバイス。
項11.
(a)主面上に熱電変換素子及び絶縁性材料が配置された第1の基材シートの、熱電変換素子及び絶縁性材料上に、第2の基材シートを配置する工程
を含む、項1〜10のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイスを製造する方法。
項12.
前記絶縁性材料の全体又は表面の一部若しくは全部、及び/又は基材シートの主面の一部若しくは全部が接着材料である、項11に記載の方法。
項13.
前記工程(a)の後に、さらに
(b)前記絶縁性材料と前記基材シートとを、接着材料を介して接着させる工程
を含む、項12に記載の方法。
項1.
対向する2つの基材層、該2つの基材層に挟まれた熱電変換素子を含むシート状熱電変換デバイスであって、該熱電変換素子の外周部の少なくとも一部に、該2つの基材層に挟まれた絶縁性材料を含むことを特徴とする、シート状熱電変換デバイス。
項2.
前記絶縁性材料が前記熱電変換素子を固定できるように配置されている、項1に記載のシート状熱電変換デバイス。
項3.
前記絶縁性材料が前記基材層と接着している、項1又は2に記載のシート状熱電変換デバイス。
項4.
前記絶縁性材料の厚みが前記熱電変換素子の厚み以下である、項1〜3のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項5.
電極を含む、項1〜4のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項6.
厚みが0.1〜2mmである、項1〜5のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項7.
前記熱電変換素子がカーボンナノチューブ、導電性高分子、金属及び金属間化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1〜6のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項8.
前記熱電変換素子がカーボンナノチューブを含有する、項1〜7のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項9.
前記絶縁性材料の熱伝導率が0.3W/m・K以下である、項1〜8のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
項10.
前記電極が突起を有し、該突起と前記熱電変換素子が接触している、項5に記載のシート状熱電変換デバイス。
項11.
(a)主面上に熱電変換素子及び絶縁性材料が配置された第1の基材シートの、熱電変換素子及び絶縁性材料上に、第2の基材シートを配置する工程
を含む、項1〜10のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイスを製造する方法。
項12.
前記絶縁性材料の全体又は表面の一部若しくは全部、及び/又は基材シートの主面の一部若しくは全部が接着材料である、項11に記載の方法。
項13.
前記工程(a)の後に、さらに
(b)前記絶縁性材料と前記基材シートとを、接着材料を介して接着させる工程
を含む、項12に記載の方法。
本発明のシート状熱電変換デバイスにおいては、熱電変換素子の外周部に絶縁性材料が配置されていることにより、熱電変換素子がずれ得る領域がより狭まっている。このため、本発明によれば、シート状熱電変換デバイスが変形しても、特に変形が繰り返されても、該デバイス内の熱電変換素子と電極との接合のずれ、及びデバイス内の熱電変換素子の配置のずれをより抑制することができ、延いては絶縁や短絡をより抑制することができる。
また、通常、熱電変換素子をより高集積化した場合、上記接合や配置のわずかなずれであっても絶縁や短絡が引き起こされるところ、本発明のシート状熱電変換デバイスは上記接合や配置のずれがより抑制されているので高集積化に適しているといえる。
1.シート状熱電変換デバイス
本発明は、対向する2つの基材層、該2つの基材層に挟まれた熱電変換素子を含むシート状熱電変換デバイスであって、該熱電変換素子の外周部の少なくとも一部に、該2つの基材層に挟まれた絶縁性材料を含むことを特徴とする、シート状熱電変換デバイス(本明細書において、「本発明のシート状熱電変換デバイス」と示す場合もある。)に関する。
本発明は、対向する2つの基材層、該2つの基材層に挟まれた熱電変換素子を含むシート状熱電変換デバイスであって、該熱電変換素子の外周部の少なくとも一部に、該2つの基材層に挟まれた絶縁性材料を含むことを特徴とする、シート状熱電変換デバイス(本明細書において、「本発明のシート状熱電変換デバイス」と示す場合もある。)に関する。
基材層は、熱電変換素子を外部から保護及び絶縁する役割を果たすものをいう。基材層としては、特に限定されないが、例えばシート状熱電変換デバイスにおいて、基材層として通常用いられる物を用いることができる。
基材層の素材は、用途に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリイミド、シリコーン、フッ素系樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂や、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどのセラミック等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や柔軟性に優れるという観点から、好ましくはポリイミドが挙げられる。基材層は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
本発明のシート状熱電変換デバイスは、2つの基材層を含むが、この2つの基材層それぞれは、単層であってもよいし、複層であってもよい。複層とする場合は、例えば複数の基材層を粘着剤等で貼り合わせたものであってもよい。複層とする場合は、同種のものを複数使用してもよいし、複数種のものを使用してもよい。
基材層は、その主面の一部若しくは全部(電極を配置する場合は、電極以外の一部若しくは全部)が接着材料であることが好ましい。これにより、熱電変換素子や絶縁性材料と接着することが可能となり、熱電変換素子及び絶縁性材料が2つの基材層に挟まれた状態でより強固に固定されるので、デバイス内での熱電変換素子のずれをより抑制することができる。
基材層の厚みは、特に限定されないが、例えば、5〜50μmの範囲が挙げられる。柔軟性を確保しつつ一定の強度も確保するという観点からは、基材層の厚みは好ましくは10〜40μm、より好ましくは15〜30μmの範囲が挙げられる。
熱電変換素子は、熱電変換材料を含むものであってもよく、熱電変換材料のみからなるものであってもよい。通常、熱電変換素子は、熱電変換材料のみからなる。
熱電変換材料は、シート状熱電変換デバイスにおいて通常用いられているものであれば特に限定されず、有機系材料又は無機系材料のいずれも用いることができる。有機系材料と無機系材料を複合して用いることもできる。
有機系材料としては、例えば、カーボンナノチューブ(本明細書において、「CNT」と略記することもある。)、導電性高分子等が使用できる。
カーボンナノチューブは、シングルウォールナノチューブ(SWNT)、又はダブルウォールナノチューブ(DWNT)等のマルチウォールナノチューブ(MWNT)であってもよい。好ましくはシングルカーボンナノチューブ(SWNT)を使用する。さらに好ましくは半導体比率が高いものを使用する。
カーボンナノチューブは、p型又はn型ドーパントがドープされたものであってもよい。
p型ドーパントとしては、特に限定されないが、例えば、テトラシアノキノジメタン、9H−カルバゾール、9H-カルバゾール-4-オール、ピラジン等が挙げられる。
n型ドーパントとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、トリフェニルホスフィン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、インドール等が挙げられる。
ドープの方法は、特に限定されないが、個々のドーパントの特性に応じて通常の方法を採用すればよい。例えば、各種ドーパントを溶解可能な溶剤に溶解し、ドーパント溶液を作成し、カーボンナノチューブに塗布した後、乾燥する方法がある。
導電性高分子としては、例えばポリチオフェン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリピロール系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子等が挙げられる。
無機系材料としては、いわゆる非酸化物系材料又は酸化物系材料のいずれも用いることができる。
非酸化物系材料としては、金属又は金属間化合物を使用できる。非酸化物系材料としては、例えばBi(ビスマス)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Pb(鉛)、Se(セレン)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Si(ケイ素)、Mg(マグネシウム)、Ge(ゲルマニウム)、Fe(鉄)等を含む無機半導体が挙げられ、好ましくはこれらを2種以上含む無機半導体が挙げられ、より好ましくはBi2Te3、Bi(2−x)SbxTe3(ただし、0<x<2)、CeBi4Te6、PbTe、Zn4Sb3、CoSb3、MnSi、Mg2Si、SiGe、FeSi2等が挙げられる。
p型熱電変換材料として用いられる無機半導体としては、例えばBi(2−x)SbxTe3(ただし、0<x<2)、PbTe、Zn4Sb3、CeBi4Te6等が挙げられ、好ましくはBi(2−x)SbxTe3(ただし、0<x<2)等が挙げられる。
n型熱電変換材料として用いられる無機半導体としては、例えばBi2Te3、Bi2Te(3−y)Sey(ただし、0<y<3)、Mg2Si等が挙げられ、好ましくはBi2Te(3−y)Sey(ただし、0<y<3)等が挙げられる。
非酸化物系材料は、上記で挙げたもの以外に、ホウ素、ガリウム等のp型ドーパントや、リン、ヒ素、アンチモン、セレン等のn型ドーパントを含んでいてもよい。
酸化物系材料としては、特に限定されないが、例えば層状酸化コバルト系、酸化亜鉛系、酸化チタン系、自然超格子系等が挙げられる。
熱電変換材料としては、上記の中でも、好ましくはカーボンナノチューブ、導電性高分子、金属、金属間化合物等が挙げられ、より好ましくはカーボンナノチューブが挙げられる。カーボンナノチューブは、不織布状(カーボンナノチューブ不織布)であることが好ましい。
熱電変換材料は、それぞれ、一種を用いてもよいし、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
熱電変換素子の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μmの範囲が挙げられる。ここで、熱電変換素子の厚みとは、一方の基材層の主面に最も近い該素子の端から、他方の基材層の主面に最も近い該素子の端までの距離を意味する。
絶縁性材料は、絶縁性を有し、且つデバイス内での熱電変換素子のずれを抑制し得る強度を有する材料である限り、特に限定されない。絶縁性材料としては、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴム、酢酸ビニル樹脂、シリコーン、スチレン−イソブチレン−スチレン樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ニトリルゴム、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、メラミン樹脂等の接着材料、紙、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム等の断熱材料等が挙げられる。
絶縁性材料は、それぞれ、一種を用いてもよいし、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
絶縁性材料の熱伝導率は、熱電変換素子の熱伝導率以下であることが好ましい。これにより、熱電変換時に、熱電変換素子内の温度差をより大きくすることが可能となる。この観点から、絶縁性材料の熱伝導率は、例えば0.30W/m・K以下、好ましくは0.15W/m・K以下、より好ましくは0.10W/m・K以下、さらに好ましくは0.05W/m・K以下である。
絶縁性材料は、その全体又は表面の一部若しくは全部が接着材料であることが好ましい。これにより、基材層と接着することが可能となり、絶縁性材料が2つの基材層に挟まれた状態でより強固に固定されるので、デバイス内での熱電変換素子のずれをより抑制することができる。
絶縁性材料の厚みは、特に限定されないが、例えば、5μm〜995μm、好ましくは45〜495の範囲が挙げられる。ここで、絶縁性材料の厚みとは、一方の基材層の主面に最も近い該材料の端から、他方の基材層の主面に最も近い該材料の端までの距離を意味する。
絶縁性材料の厚みは、好ましくは熱電変換素子の厚み以下であり、より好ましくは熱電変換素子の厚み未満である。これにより、絶縁性材料と基材層とを接着させた場合に(図1)、絶縁性材料が基材層を引き寄せ、その引き寄せる力により基材層が熱電変換素子に押し付けられる(すなわちより強固に固定される)ので、デバイス内での熱電変換素子のずれをより抑制することができる。
「対向する2つの基材層」とは、2つの基材層のそれぞれの主面同士が対向していることを意味する。
「2つの基材層に挟まれた」とは、例えば本発明のシート状熱電変換デバイスの一例の断面図である図1に示されるように、一方の基材層の主面と他方の基材層の主面との間に挟まれていることを意味する。
「熱電変換素子の外周部」とは、例えば、図1に示されるように、熱電変換素子の基材主面に対向する部位以外の全ての部位である。
絶縁性材料は、熱電変換素子の外周部の少なくとも一部に配置されていればよい。これにより、熱電変換素子がずれ得る領域がより狭まることとなり、デバイス内の熱電変換素子のずれをより抑制することができる。熱電変換素子のずれをより抑制できるという観点からは、絶縁性材料は熱電変換素子を固定できるように配置されていることが好ましい。
絶縁性材料の配置の具体的な態様としては、例えば図2に示すように熱電変換素子の外周部の複数(例えば1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上)の点に絶縁性材料が配置される態様、図3に示すように熱電変換素子の周囲のみをひも状の絶縁性材料で囲う態様、図4に示すように熱電変換素子の外周部全てを絶縁性材料で囲う態様等が挙げられる。
絶縁性材料は、基材層と接着していることが好ましい。これにより、絶縁性材料が2つの基材層に挟まれた状態でより強固に固定されるので、デバイス内での熱電変換素子のずれをより抑制することができる。
本発明のシート状熱電変換デバイスにおいては、熱電発電が可能になるように本発明の熱電変換素子が配置されている。特に限定されないが、通常、本発明のシート状熱電変換デバイスは、前記熱電変換素子を複数個まとめて構成され、より具体的にはp型熱電変換素子とn型熱電変換素子を、直接あるいは電極を介して電気的に直列に接続し、構成される。構成のパターンとしては、図5に示されるように、デバイスの2つの主面の内の一方の主面全体が加熱される(及び/又は他方の主面全体が冷却される)ことにより熱電発電可能になるパターン(パターン1)や、図6に示されるように、デバイスの一端が加熱される(及び/又は他端が冷却される)ことにより熱電発電可能になるパターン(パターン2)が挙げられる。
電極としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、アルミ等を用いることができる。
電極を含む場合、デバイス内で熱電変換素子をより強固に固定し、デバイス内での熱電変換素子のずれをより抑制できるという観点から、電極は突起を有し、該突起と熱電変換素子が接触していることが好ましい。突起により、電極と熱電変換素子とがより密着できる。突起の高さは、上記パターン1の場合であれば、熱電変換素子の厚みに対して5%以内であることが好ましい。
本発明のシート状熱電変換デバイスの厚みは、例えば0.1〜2mm、好ましくは0.11〜1.5mm、より好ましくは0.12〜1mmである。ここで、シート状熱電変換デバイスの厚みとは、該デバイスの一方の主面から他方の主面までの距離を意味する。
本発明のシート状熱電変換デバイスにおいて、含まれるp型熱電変換素子とn型熱電変換素子との対(pn対)の数は、より高い電圧を得るという観点から、例えば2以上、好ましくは5以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは50以上、よりさらに好ましくは200以上である。
本発明のシート状熱電変換デバイスは、用途により、熱電冷却デバイス(ペルチェデバイス)及び熱電発電デバイスに大別される。
本発明の熱電冷却デバイスは、特に限定されないが、各種部品の冷却及び温度制御の目的で、光通信用機器、保冷庫、恒温水循環装置その他の機器及び装置等に組み込むために使用できる。また、熱電冷却デバイスは、電気で温度を制御(冷却)する上記各種用途のほか、この逆作用を利用し、熱を使って電気を作る、いわゆる熱電発電のために使用することもできる。
本発明の熱電発電デバイスは、特に限定されないが、人工衛星、砂漠の無線中継基地その他の局地向けの電源、センサやウェアラブルデバイス等の自立電源、あるいは災害時の非常用電源をはじめとする各種特殊用途のために使用できる。
本発明のシート状熱電変換デバイスは、変形しても、特に変形が繰り返されても、該デバイス内の熱電変換素子と電極との接合のずれ、及びデバイス内の熱電変換素子の配置のずれがより抑制されており、延いては絶縁や短絡がより抑制されているので、これらの現象が起こり易くなる高集積化に適している。高集積化の好ましい一態様として、シート面積1cm2内のpn対の数は、例えば8以上、好ましくは32以上さらに好ましくは128以上である。
2.シート状熱電変換デバイスの製造方法
本発明のシート状熱電変換デバイスの製造は、特に限定されず、種々の方法で行うことができる。製造効率等の観点から、好ましくは(a)主面上に熱電変換素子及び絶縁性材料が配置された第1の基材シートの、熱電変換素子及び絶縁性材料上に、第2の基材シートを配置する工程を含む方法が挙げられる。
本発明のシート状熱電変換デバイスの製造は、特に限定されず、種々の方法で行うことができる。製造効率等の観点から、好ましくは(a)主面上に熱電変換素子及び絶縁性材料が配置された第1の基材シートの、熱電変換素子及び絶縁性材料上に、第2の基材シートを配置する工程を含む方法が挙げられる。
熱電変換素子、絶縁性材料、及びこれらの配置については、上記「1.シート状熱電変換デバイス」と同様である。また、基材シートについては、上記「1.シート状熱電変換デバイス」の「基材層」と同様である。
製造効率等の観点から、絶縁性材料は、全て繋がって、シート状(絶縁性材料シート)となっていることが好ましい。
「熱電変換素子及び絶縁性材料上に、第2の基材シートを配置する」とは、第1の基材シートの主面と第2の基材シートの主面とが対向し、且つ熱電変換素子及び絶縁性材料が第1の基材シートの主面及び第2の基材シートの主面にとの間に挟まれるように配置することを意味する。
第2の基材シートの配置後は、必要に応じて第1の基材シートと第2の基材シートを密着させる。密着させる方法は、工程(a)を真空下で行う方法でもよいが、製造効率等の観点からは、後述のように工程(b)により密着させることが好ましい。
絶縁性材料の全体又は表面の一部若しくは全部が接着材料である場合、及び/又は基材シートの主面の一部若しくは全部が接着材料である場合は、熱電変換素子及び/又は絶縁性材料と基材シートとを接着することが可能となる。この場合、工程(a)の後に、さらに(b)前記絶縁性材料と前記基材シートとを、接着材料を介して接着させる工程を含むことが好ましい。
接着の方法は、特に限定されないが、例えば絶縁性材料中の接着材料と基材シートとを接触させ、必要に応じて接着材料の種類(例えば熱可塑性、熱硬化性、光(例えば紫外線等)硬化性等)に適した接着処理(例えば熱、光等)で処理する方法や、予め接着材料が表面に付いた基材シートを、熱電変換素子及び絶縁性材料上に張り付ける方法が挙げられる。
通常、シート状熱電変換デバイスを作製する場合、2つの基材層同士の密着性、又はこれらの基材層とその間に挟まれた熱電変換素子との密着性を確保するべく、真空下において製造する必要があり、煩雑である。しかし、上記工程(b)に依れば、真空プロセスに依らずとも、密着性を確保できる。この密着性は、絶縁性材料の厚みを熱電変換素子の厚み以下(より好ましくは熱電変換素子の厚み未満)とすることにより、より向上させることができる。すなわち、絶縁性材料と基材シートとを接着させた場合に(図1)、絶縁性材料が基材層を引き寄せ、その引き寄せる力により基材層が熱電変換素子に押し付けられる(すなわちより強固に固定される)ので、密着性をより向上することとなる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
銅電極が既にパターニングされたポリイミド基材(総厚35μm)と熱電変換材料が配置される部分が穴開け加工された熱硬化性接着剤付きポリイミドスペーサー(総厚63μm)を位置合わせをして積層し、スペーサーの穴部に厚み70μmのp型およびn型の単層カーボンナノチューブからなる熱電変換材料を直列接続となるように配置したのち、銅電極が既にパターニングされたポリイミド基材(総厚35μm)を位置合わせをして積層した。
銅電極が既にパターニングされたポリイミド基材(総厚35μm)と熱電変換材料が配置される部分が穴開け加工された熱硬化性接着剤付きポリイミドスペーサー(総厚63μm)を位置合わせをして積層し、スペーサーの穴部に厚み70μmのp型およびn型の単層カーボンナノチューブからなる熱電変換材料を直列接続となるように配置したのち、銅電極が既にパターニングされたポリイミド基材(総厚35μm)を位置合わせをして積層した。
上記積層体を厚み10mmのアルミ合金板と厚み1mmのシリコーンゴムで挟んだ後、加熱プレス装置を使い、常温で0.4MPaでプレスし、積層体内部の余分な空気を追い出した。その後、プレスした状態のまま150℃まで昇温し、温度が安定してから30分維持した。その後取出し、シート状熱電変換デバイスを得た。 得られたシート状熱電変換デバイスを5mmφの棒に沿って曲げた後元に戻すという工程を100回繰り返したが、該デバイスの内部抵抗は変化しなかった。
1 基材層又は基材シート
2 熱電変換素子
3 絶縁性材料
4 電極
2 熱電変換素子
3 絶縁性材料
4 電極
Claims (13)
- 対向する2つの基材層、該2つの基材層に挟まれた熱電変換素子を含むシート状熱電変換デバイスであって、該熱電変換素子の外周部の少なくとも一部に、該2つの基材層に挟まれた絶縁性材料を含むことを特徴とする、シート状熱電変換デバイス。
- 前記絶縁性材料が前記熱電変換素子を固定できるように配置されている、請求項1に記載のシート状熱電変換デバイス。
- 前記絶縁性材料が前記基材層と接着している、請求項1又は2に記載のシート状熱電変換デバイス。
- 前記絶縁性材料の厚みが前記熱電変換素子の厚み以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
- 電極を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
- 厚みが0.1〜2mmである、請求項1〜5のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
- 前記熱電変換素子がカーボンナノチューブ、導電性高分子、金属及び金属間化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
- 前記熱電変換素子がカーボンナノチューブを含有する、請求項1〜7のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
- 前記絶縁性材料の熱伝導率が0.3W/m・K以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイス。
- 前記電極が突起を有し、該突起と前記熱電変換素子が接触している、請求項5に記載のシート状熱電変換デバイス。
- (a)主面上に熱電変換素子及び絶縁性材料が配置された第1の基材シートの、熱電変換素子及び絶縁性材料上に、第2の基材シートを配置する工程
を含む、請求項1〜10のいずれかに記載のシート状熱電変換デバイスを製造する方法。 - 前記絶縁性材料の全体又は表面の一部若しくは全部、及び/又は基材シートの主面の一部若しくは全部が接着材料である、請求項11に記載の方法。
- 前記工程(a)の後に、さらに
(b)前記絶縁性材料と前記基材シートとを、接着材料を介して接着させる工程
を含む、請求項12に記載の方法。
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