JP2017069067A - 固体酸化物形燃料電池装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モジュール容器の小型化を維持しつつ、安定的に燃焼部に着火可能な固体酸化物形燃料電池装置を提供する。【解決手段】固体酸化物形燃料電池装置は、着火装置83の下方に位置する燃料電池セルユニット16の上端には、吹出口8fから供給された発電用空気の燃焼室18への流れを遮断するスタックプレート190を備え、着火装置83はスタックプレート190の上方において発電用ガス及び燃料ガスに着火し、さらに、供給される発電用空気を、スタックプレと190の上方へ誘導する立ち上がり部8hを備える。【選択図】図10

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池装置に関し、特に、原料ガスを改質して得られた燃料ガスと空気との反応により発電する固体酸化物形燃料電池装置に関する。
固体酸化物形燃料電池装置(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤ガス(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
このような固体酸化物形燃料電池装置では、例えば、特許文献1に記載されているように、燃料電池セルの上方に発電に寄与しなかった燃料ガス及び発電用空気を燃焼させる燃焼部が設けられており、燃焼部における着火時において燃焼部の気流を安定させるべく、燃料電池セルの上端に下方からの酸化剤ガスを遮断するためのスタックプレートが設けられている。
また、特許文献2に記載されているように、蒸発器をモジュール容器の外部に設けることにより、熱利用率を向上するとともに、モジュール容器をコンパクト化することが行われている。
特開2010−108698号公報 特開2012−221659号公報
ここで、引用文献1に記載されているような固体酸化物形燃料電池装置において、引用文献2に記載されているようにモジュール容器をコンパクト化しようとすると、モジュールケース内の酸化剤ガスの通路が狭くなり、流速が早くなる。このように酸化剤ガスの流速が早くなってしまうと、スタックプレートの下流側(上方)に充分な量の酸化剤ガスが回り込まず、着火不良が生じてしまう。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、モジュール容器の小型化を維持しつつ、安定的に燃焼部に着火可能な固体酸化物形燃料電池装置を提供することを目的とする。
本発明は、固体酸化物形燃料電池であって、原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器と、外表面に供給された酸化剤ガスと、改質器から内部流路に供給された燃料ガスとの反応により発電する複数の燃料電池セルと、複数の燃料電池セルの下方に位置し、燃料電池セルに酸化剤ガスを上方に向けて供給する酸化剤ガス供給手段と、複数の燃料電池セルを収容するモジュール容器と、モジュール容器内の複数の燃料電池セルの上方に設けられ、複数の燃料電池セルの発電に寄与しなかった酸化剤ガス及び燃料ガスを燃焼させ排ガスを生成する燃焼部と、モジュール容器の一側面に形成された挿通孔を挿通するように設置され、燃焼部において酸化剤ガス及び燃料ガスに着火する着火装置と、着火装置の下方に位置する燃料電池セルの上端には、酸化剤ガス供給手段から供給された酸化剤の燃焼部への流れを遮断する酸化剤ガス遮蔽部材と、を備え、着火装置は酸化剤ガス遮蔽部材の上方において酸化剤ガス及び燃料ガスに着火し、さらに、酸化剤ガス供給手段により供給される酸化剤ガスを、酸化剤ガス遮蔽部材の上方へ誘導する酸化剤ガス誘導部を備える、ことを特徴とする。
上記構成の本発明によれば、酸化剤ガス誘導部により酸化剤ガス供給手段から供給された酸化剤ガスを酸化剤ガス遮蔽部材の上方に誘導するため、着火装置により安定的に燃焼部に着火することができる。すなわち、燃焼部の着火装置の周囲に特段の装置を設けることなく、酸化剤ガス遮蔽部材の上方に充分な酸化剤ガスを供給することができ、これにより、モジュール容器の小型化を実現しつつ、安定的に燃焼部を着火することができる。
本発明において、好ましくは、上面視において、酸化剤ガス誘導部は、酸化剤ガス遮蔽部材と重なり合っている。
上記構成の本発明によれば、モジュール容器の下方から上昇する酸化剤ガスを、より安定して酸化剤ガス遮蔽部材の上方に誘導することができる。これにより、より安定的な燃焼部の着火を実現できる。
本発明において、好ましくは、燃料電池セルの上端には、内部流路に接続され、発電に寄与しなかった燃料ガスを排出する燃料電池セルよりも小径の排出端を有するキャップが設けられ、酸化剤ガス遮蔽部材はキャップに支持され、酸化剤ガス誘導部の下端の位置は、酸化剤ガス遮蔽部材の上面の位置よりも高く、排出端の位置よりも低い。
上記構成の本発明によれば、酸化剤ガス遮蔽部材と、酸化剤ガス誘導部の間隔が狭くなるため、酸化剤ガスをより効率良く、酸化剤ガス遮蔽部材の上方へと誘導することが可能になる。さらに、上記構成の本発明によれば、酸化剤ガス遮蔽部材の上方かつ、キャップの排出端よりも低い位置に酸化剤ガス誘導部が位置しているため、装置の搬送時などに酸化剤ガス遮蔽部材が離脱してモジュール容器の底部に落下するのを防止できる。
本発明において、好ましくは、挿通孔の断面は円形であり、酸化剤ガス誘導部の下面は挿通孔と同心の弧面形状である。
仮に挿通孔の断面が矩形であり、酸化剤ガス誘導部の下面が水平平面状である場合には、酸化剤ガス遮断部材の上方へ酸化剤ガスを良好に誘導できるものの、酸化剤ガスの流れを阻害しすぎるため、広範囲において酸化剤ガスの流れを乱してしまう。これに対して、上記構成の本発明によれば、必要最低限の酸化剤ガスを酸化剤ガス遮蔽部材の上方に誘導することができ、最低限の範囲の酸化剤ガスの流れのみが乱され、広範囲にわたり酸化剤ガスの流れに大きな影響を与えることがない。
本発明において、好ましくは、モジュール容器の一側面には内側に向かって円筒状に立設された円筒部が形成され、挿通孔は円筒部内に形成されており、円筒部の下面が酸化剤ガス誘導部として機能する。
例えば、バーリング加工によりモジュール容器の一側面に着火装置のための挿通孔を形成すれば、モジュール容器の内側に円筒状に立設された円筒部が形成される。上記構成の本発明によれば、着火装置のために必要な挿通孔を形成することにより、酸化剤ガス誘導部として機能する円筒部も形成することができるため、簡単な構成で安定的に燃焼部に着火することが可能になる。
本発明において、好ましくは、モジュール容器は水平断面が矩形状であり、酸化剤ガス供給手段は、挿通孔が設けられた一側面を挟んで対向するモジュール容器の二側面のそれぞれの下方に設けられており、挿通孔は上面視において酸化剤ガス供給手段の中間位置に設けられている。
酸化剤ガス誘導部の下面を挿通孔と同心の弧面とした場合には、酸化剤ガスが直下から酸化剤ガス誘導部に向かって送られないと、十分に酸化剤ガス遮断部材上の着火装置まで酸化剤ガスを供給することができない。これに対して、上記構成の本発明によれば、酸化剤ガス供給手段は、挿通孔が設けられた一側面を挟んで対向するモジュール容器の二側面のそれぞれの下方に設けられているため、対向する二側面に設けられた酸化剤ガス供給手段から供給された酸化剤ガスが中央で合流し、上方に向かって流れる。このため、酸化剤ガスが酸化剤ガス誘導部の直下から上方に向かって流れることとなり、着火装置に確実に酸化剤ガスを供給することができる。
本発明によれば、モジュール容器の小型化を維持しつつ、安定的に燃焼部に着火可能な固体酸化物形燃料電池装置が提供される。
本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。 図2における点火装置近傍を拡大して示す鉛直断面図である。 図5におけるVI−VI断面図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 図2と同様の、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 図3と同様の、図2のIII-III線に沿った断面図である。 図5と同様の、図2の点火装置近傍の拡大鉛直断面図である。 立ち上がり部がスタックプレートの脱落を防止している様子を示す鉛直断面図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が収容置されている。この燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16(図6参照)が直列接続されて構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、128本の燃料電池セルユニット16を有する。
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった(発電に寄与しなかった)残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器120に供給する。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の原料ガスの供給減である燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
なお、本実施形態では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図であり、図4は、モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュールケース8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュールケース8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュールケース8は、図4に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(図2の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(図3の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
モジュールケース8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167と、発電用空気導入管74を接続するための開口部160cと、が設けられている。天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュールケース8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュールケース8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、天板160a及び側板160bの外面に沿って、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(図3参照)。
モジュールケース8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図4参照)。発電用空気は、空気通路カバー160の天板160aのうち、モジュールケース8の閉鎖側板8e側の略中央部に設けられた発電用空気導入管74から空気通路161a内に供給される(図2参照)。そして、発電用空気は、空気通路161a,161bを通って、吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(図3、図4参照)。すなわち、対向する一対の側板8bに形成された吹出口8fが本発明における、燃料電池セルに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段として機能する。
また、空気通路161a,161bの内部には、第1及び第2排気通路172a、172b内の排気ガスと空気通路161a,161b内の空気との間の熱交換を促進する熱交換促進部材としてのプレートフィン162,163が設けられている(図3参照)。プレートフィン162は、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられている。すなわち、プレートフィン162は、空気通路161a内の後述する第1排気通路172aに対応する部分に設けられている。また、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。すなわち、プレートフィン163は、空気通路161b内の後述する第2排気通路172b及び排気集中部176に対応する部分に設けられている。
空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュールケース8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
次に、蒸発器140は、モジュールケース8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図2及び図3参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図2の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(図3参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図2及び図3に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)が設けられた仕切り板により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施形態の蒸発器140は、燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
更に、図2に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュールケース8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
次に、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aとの間に排気ガス誘導部材130を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュールケース8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に、脱硫器36まで延びる水添脱硫器用水素取出管65が上側ケース121にそれぞれ連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図2参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュールケース8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内へ入り、更にマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、燃料電池セルユニット16を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
図5は、図2における点火装置近傍を拡大して示す鉛直断面図であり、図6は図5におけるVI−VI断面図である。図5及び図6に示すように、モジュールケース8の閉鎖側板8eには、燃料電池セルユニット16の上端よりもわずかに高い位置に円形の挿通孔8gが形成されている。この挿通孔8gは、バーリング加工により形成されており、挿通孔8gの縁には円筒状の立ち上がり部8hがモジュールケース8の内部に向かって、閉鎖側板8eに対して垂直に立ち上がっている。
挿通孔8gには、円筒状の円筒部材182が、内側端部が立ち上がり部8hの内側端部と一致するように嵌め込まれている。円筒部材182内には、点火装置83が嵌め込まれている。点火装置83は、円筒部材182内に配置された点火装置本体180と、点火装置本体180からモジュールケース8の内部に延びる点火部材181とを有する。点火部材181は、例えば、先端に放電可能な一対の電極を備えた部材であり、点火装置本体180から電力が加えられることにより、火花を放出する。点火部材181の先端は、幅方向中央、かつ、閉鎖側板8e側から一列目と二列目の燃料電池セルユニット16の間に位置している。なお、上記の立ち上がり部8hが本発明の酸化剤ガス誘導部として機能する。また、立ち上がり部8hの下面は、挿通孔8gと同心の弧面形状を呈している。
また、図6に示すように、幅方向中央の2列、かつ、閉鎖側板8e側から2列の燃料電池セルユニット16の上部には、スタックプレート190が設けられている。スタックプレート190は、略正方形の耐熱性を有する板材からなり、燃料電池セルユニット16に相当する位置に円形の開口が形成されている。スタックプレート190は、開口に縦横2列ずつの燃料電池セルユニット16の燃料ガス流路細管98が挿通することにより、燃料電池セルユニット16のキャップとして機能する内側電極端子86に支持されている。
立ち上がり部8hの下端は、スタックプレート190の上面の高さ位置よりも上方、かつ、燃料電池セルユニット16の燃料ガス流路細管98の上端の位置よりも下方に位置している。また、立ち上がり部8hの先端部は、燃料電池セルユニット16の上方まで延出しており、上面視において、立ち上がり部8hは燃料電池セルユニット16と重なり合っている。
排気ガス誘導部材130は、改質器120と天板8aとの間でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。排気ガス誘導部材130は、上下方向に所定距離だけ離間された下部誘導板131及び上部誘導板132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133,134とを備えている(図2,図3参照)。上部誘導板132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下部誘導板131に連結されている。連結板133,134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、排気ガス誘導部材130及び改質器120を天板8aに固定している。
下部誘導板131は、幅方向(図3の左右方向)の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上部誘導板132は、下部誘導板131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュールケース8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上部誘導板132及び下部誘導板131を貫通して、改質器120に連結されている。
排気ガス誘導部材130は、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜(ガス断熱層)135が形成されている。このガス溜135は、燃焼室18と流体連通している。すなわち、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス溜135には、運転中に燃焼室18から排気ガスが流入したり、停止時に外部から空気が流入したりすることが可能となっているが、総じてガス溜135の内外間のガスの移動は緩やかである。
上部誘導板132は、天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の上面と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる第1排気通路172aが形成されている。この第1排気通路172aは、モジュールケース8の天板8aを挟んで空気通路161aと並設されており、第1排気通路172a内には、空気通路161a,161b内のプレートフィン162,163と同様なプレートフィン175aが配置されている。このプレートフィン175aは、プレートフィン162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。
上部誘導板132は、上部誘導板132の側面と側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の側面と側板8bとの間には、長手方向及び上下方向に延びる第2排気通路172bが形成されている。第2排気通路172bは上部において第1排気通路172aと連通している。第2排気通路172b内にも、空気通路161a、161b内のプレートフィン162、163と同様なプレートフィン175bが配置されている。このプレートフィン175bは、下端が下部誘導板131の高さまで延びている。
空気通路161a、161bと、第1及び第2排気通路172a、172bのうち、プレートフィン162、163、175a、175bが設けられた部分において、空気通路161a、161bを流れる発電用空気と第1及び第2排気通路172a、172bを流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
また、改質器120は、モジュールケース8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排気ガスを下方から上方へ通過させる第3排気通路173が形成されている。
さらに、下部誘導板131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下部誘導板131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排気ガスを通過させる第4排気通路174を形成している。この第4排気通路174は、改質器120の上方、かつ、側板8bの近傍で第3排気通路173と合流し、排気ガスが集中する排気集中部176が形成される。
次に、図7を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。図7は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図7に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図2参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
燃料電池セル集合体12は、各燃料電池セルユニット16の燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86が、他の燃料電池セルユニット16の空気極である外側電極層92の外周面に電気的に接続されることにより、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されて構成される。
次に、図8乃至図10を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図8は、図2と同様の、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図9は、図3と同様の、図2のIII-III線に沿った断面図である。図10は、図5と同様の、図2の点火装置近傍の拡大鉛直断面図である。図8乃至図10は、それぞれ、図2、図3、及び図5中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は発電用空気の流れ、一点鎖線矢印は排気ガスの流れを示す。
図8に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュールケース8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171,及び第1排気通路172aを順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
更に、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。そして、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給され、マニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
また、図8及び図9に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74から空気通路161aに供給される。発電用空気は、空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュールケース8内に形成された第1及び第2排気通路172,173を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。
この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。なお、本実施形態では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において発電用空気と排気ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、空気通路161b内の発電用空気に上下方向の温度ムラが生じ難くなっている。
図10に示すように、発電用空気は、モジュールケース8の対向する側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから中央に向かって噴出される。そして、対向する側板8bの吹出口8fから噴出された発電用空気は、モジュールケース8内の幅方向中央で衝突し、燃料電池セルユニット16の間を通り、燃焼室18まで、上方に向かって流れる。ここで、点火装置83の点火部材181の先端の下方に位置する縦横2列の燃料電池セルユニット16の上方にはスタックプレート190が設けられている。このため、これら燃料電池セルユニット16の下方から吹き上げられる発電用空気は、スタックプレート190により遮られ、側方に迂回して流れる。
これに対して、モジュールケース8の側板8eに沿って上方に流れる発電用空気は、立ち上がり部8hにおいてモジュールケース8の中心側(すなわち、図10における左側に向けて誘導される。これにより、側板8eに沿って上方に流れる発電用空気は、スタックプレート190の上方に向けて斜め上方に流れる。これにより、スタックプレート190の上方に、点火装置83により発火するのに十分な量の発電用酸素が供給される。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、図9に示すように、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、排気ガスは、第3排気通路173と第4排気通路174とに分岐して、改質器120の外側面とモジュールケース8の側板8bとの間、及び、改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間をそれぞれ通過する。このとき、第4排気通路174を通過する排気ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、排気ガス誘導部材130の下部に留まることなく第3排気通路173に向けて誘導され、排気集中部176において第3排気通路173を流れる排気ガスに合流する。ここで、第2排気通路172内にはプレートフィン175bが設けられているため、第3排気通路173及び第4排気通路174を通過した排気ガスは排気集中部176において滞留する(図9のAの部分)。
その後、排気ガスは、排気集中部176から第2排気通路172bに導入される。そして、第2排気通路172bを通過した排気ガスは、第1排気通路172aを水平方向に流れていき、モジュールケース8の天板8aの中央に形成された排気口111から流出する。
なお、排気ガスが排気集中部176に滞留する際に、空気通路161b内の排気集中部176に対応する部分に設けられたプレートフィン163を介して、発電用空気と排気ガスとの間で熱交換が行われる。さらに、排気ガスが第2排気通路172b及び第1排気通路172aを流れていく際に、第2及び第1排気通路172b、172a内に設けられたプレートフィン175b、175aと、空気通路161a、161b内のプレートフィン175b、175aに対応する部分に設けられたプレートフィン162、163とを介して、発電用空気と排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
なお、立ち上がり部8hは、スタックプレート190の脱落防止機構としても機能する。図11は、立ち上がり部がスタックプレートの脱落を防止している様子を示す鉛直断面図である。例えば、本実施形態の固体酸化物形燃料電池装置1を搬送する際には、図11に示すように、スタックプレート190が、燃料電池セルユニット16の上面から浮き上がることがある。このようにスタックプレート190が浮き上がったとしても、立ち上がり部8hがスタックプレート190の上方まで延出しているため、スタックプレート190が立ち上がり部8hに衝突する。これにより、スタックプレート190は、これ以上浮き上がることはなく、燃料電池セルユニット16の燃料ガス流路細管98がスタックプレート190の開口から離脱することを防止できる。
以上説明したように、本実施形態の固体酸化物形燃料電池装置1によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態によれば、モジュールケース8の閉鎖側板8eに形成された立ち上がり部8hにより、発電用空気がスタックプレート190の上方に誘導される。これにより、点火装置83により安定的に燃焼室18に着火することができる。このように、本実施形態によれば、点火装置83の周囲に新たな装置を設けることなく、モジュールケース8の小型化を実現しつつ、安定的な燃焼室18の着火を実現できる。
また、本実施形態によれば、立ち上がり部8hがスタックプレート190の上方まで延出しており、上面視において立ち上がり部8hと、スタックプレート190とが重なり合っている。これにより、モジュールケース8の下方から上昇する発電用空気を、より安定してスタックプレート190の上方に誘導することができ、より安定的な燃焼室18の着火を実現できる。
また、本実施形態によれば、立ち上がり部8hは、スタックプレート190の上面よりも高く、燃料電池セルユニット16の燃料ガス流路細管98の上端よりも低い位置に設けられている。これにより、立ち上がり部8hとスタックプレート190との間隔が狭くなり、酸化剤ガスをより効率良く、スタックプレート190の上方へと誘導することができる。さらに、固体酸化物形燃料電池装置1を搬送する際に、スタックプレート190が、燃料電池セルユニット16の上面から浮き上がったとしても、燃料電池セルユニット16の燃料ガス流路細管98がスタックプレート190の開口から離脱し、モジュールケース8の底部に落下するのを防止できる。
また、本実施形態によれば、挿通孔8gの断面が円形であり、立ち上がり部8hの下面は挿通孔8gと同心の弧面形状である。仮に挿通孔を矩形状とした場合には、立ち上がり部の下面が水平平面状となってしまう。このように立ち上がり部の下面を水平平面上とすると発電用空気の流れを大きく阻害しすぎてしまい、広範囲において酸化剤ガスの流れを乱してしまう。これに対して、本実施形態によれば、必要最低限の発電用空気がスタックプレート190の上方に誘導され、他の部位の発電用空気の流れに大きな影響を与えることがない。
また、本実施形態によれば、モジュールケース8の閉鎖側板8eには内側に向かって円筒状に立設された立ち上がり部8hが形成され、挿通孔8gは立ち上がり部8h内に形成されており、立ち上がり部8hの下面が発電用空気をスタックプレート190の上方に誘導する酸化剤ガス誘導部として機能する。
例えば、バーリング加工によりモジュールケース8の閉鎖側板8eに点火装置83のための挿通孔8gを形成すれば、モジュールケース8の内側に円筒状に立設された立ち上がり部8hが形成される。このように本実施形態によれば、点火装置83のために必要な挿通孔8gを形成することにより、酸化剤ガス誘導部として機能する立ち上がり部8hも形成することができるため、簡単な構成で安定的に燃焼室18に着火することが可能になる。
立ち上がり部8hの下面を挿通孔8gと同心の弧面形状とした場合には、発電用空気が立ち上がり部8hの直下から上方に向かって供給されなければ、十分にスタックプレート190の上方の点火装置83まで発電用空気を供給することができない。これに対して、本実施形態によれば、モジュールケースは水平断面が矩形状であり、発電用空気は、モジュールケース8の対向する側板8bの吹出口8fから供給され、挿通孔8gは閉鎖側板8eの幅方向中央に設けられている。これにより、対向する側板8bの吹出口8fから供給された発電用空気は、幅方向中央において衝突し、上昇する。これにより、挿通孔8gには下方から上方に向かって発電用空気が流れることになり、点火装置83まで確実に発電用空気を供給することができる。
1 固体酸化物形燃料電池装置
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
6 ハウジング
7 断熱材
8 モジュールケース
8a 天板
8b 側板
8c 底板
8d 閉鎖側板
8e 閉鎖側板
8f 吹出口
8g 挿通孔
8h 立ち上がり部
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
16 燃料電池セルユニット
18 燃焼室
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット
30 燃料供給源
32 ガス遮断弁
36 脱硫器
38 燃料流量調整ユニット
39 バルブ
40 空気供給源
42 電磁弁
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
63 燃料供給配管
64 燃料ガス供給管
64a 水平部
64b 燃料供給孔
65 水添脱硫器用水素取出管
66 マニホールド
68 下支持板
74 発電用空気導入管
82 排気ガス排出管
83 点火装置
84 燃料電池セル
86 内側電極端子
88 燃料ガス流路
90 内側電極層
92 外側電極層
94 電解質層
96 シール材
98 燃料ガス流路細管
111 排気口
112 混合ガス供給管
120 改質器
120A 混合ガス受入部
120B 改質部
120C ガス排出部
120a 混合ガス供給口
120b 貫通孔
121 上側ケース
122 下側ケース
123a 仕切り板
123b 仕切り板
130 排気ガス誘導部材
131 下部誘導板
131a 凸状段部
132 上部誘導板
132a 凹部
133 連結板
134 連結板
135 ガス断熱層(ガス溜)
140 蒸発器
140A 排気通路部
140B 蒸発部
140C 混合部
141 蒸発器ケース
142 上側ケース
143 下側ケース
144 中間板
144a 開口
160 空気通路カバー
160a 天板
160b 側板
161a 空気通路
161b 空気通路
162 プレートフィン
163 プレートフィン
167 開口部
171 排気管
172a 第1排気通路
172b 第2排気通路
173 第3排気通路
174 第4排気通路
175a プレートフィン
175b プレートフィン
176 排気集中部
180 点火装置本体
181 点火部材
182 円筒部材
190 スタックプレート

Claims (6)

  1. 固体酸化物形燃料電池であって、
    原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器と、
    外表面に供給された酸化剤ガスと、前記改質器から内部流路に供給された燃料ガスとの反応により発電する複数の燃料電池セルと、
    前記複数の燃料電池セルの下方に位置し、前記燃料電池セルに前記酸化剤ガスを上方に向けて供給する酸化剤ガス供給手段と、
    前記複数の燃料電池セルを収容するモジュール容器と、
    前記モジュール容器内の前記複数の燃料電池セルの上方に設けられ、前記複数の燃料電池セルの発電に寄与しなかった酸化剤ガス及び燃料ガスを燃焼させ排ガスを生成する燃焼部と、
    前記モジュール容器の一側面に形成された挿通孔を挿通するように設置され、前記燃焼部において前記酸化剤ガス及び前記燃料ガスに着火する着火装置と、
    前記着火装置の下方に位置する前記燃料電池セルの上端には、前記酸化剤ガス供給手段から供給された酸化剤の前記燃焼部への流れを遮断する酸化剤ガス遮蔽部材と、を備え、
    前記着火装置は前記酸化剤ガス遮蔽部材の上方において前記酸化剤ガス及び前記燃料ガスに着火し、
    さらに、前記酸化剤ガス供給手段により供給される酸化剤ガスを、前記酸化剤ガス遮蔽部材の上方へ誘導する酸化剤ガス誘導部を備える、固体酸化物形燃料電池装置。
  2. 上面視において、前記酸化剤ガス誘導部は、前記酸化剤ガス遮蔽部材と重なり合っている、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  3. 前記燃料電池セルの上端には、前記内部流路に接続され、前記発電に寄与しなかった燃料ガスを排出する前記燃料電池セルよりも小径の排出端を有するキャップが設けられ、
    前記酸化剤ガス遮蔽部材は前記キャップに支持され、
    前記酸化剤ガス誘導部の下端の位置は、前記酸化剤ガス遮蔽部材の上面の位置よりも高く、前記排出端の位置よりも低い、請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  4. 前記挿通孔の断面は円形であり、前記酸化剤ガス誘導部の下面は前記挿通孔と同心の弧面形状である、請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  5. 前記モジュール容器の一側面には内側に向かって円筒状に立設された円筒部が形成され、
    前記挿通孔は前記円筒部内に形成されており、
    前記円筒部の下面が前記酸化剤ガス誘導部として機能する、請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  6. 前記モジュール容器は水平断面が矩形状であり、
    前記酸化剤ガス供給手段は、前記挿通孔が設けられた一側面を挟んで対向する前記モジュール容器の二側面のそれぞれの下方に設けられており、
    前記挿通孔は上面視において前記酸化剤ガス供給手段の中間位置に設けられている、請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
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