JP6566194B2 - 固体酸化物形燃料電池装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する固体酸化物形燃料電池装置に関する。
固体酸化物形燃料電池装置(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤ガス(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
固体酸化物形燃料電池装置では、原料ガスと水とが蒸発器に供給され、蒸発器で水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気により改質器で原料ガスを改質して燃料ガスを生成し、燃料電池セルで燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電を行う。安定した発電を行うためには、原料ガスを改質するために用いられる水蒸気が、原料ガスに合わせて安定的に供給される必要がある。
ここで、原料ガスを改質するのに用いられる水蒸気を生成するための水は非常に微量である。これに対して、蒸発器内は数百度の高温になっているため、水が水滴として蒸発器内に供給されると、供給された水滴が一気に気化して蒸発器内の圧力が上昇してしまうことがある。(以下、この現象を突沸現象という)。このような突沸現象が生じてしまうと、蒸発器内の気圧が高まり、蒸発器内への原料ガスの供給量が減少してしまい、燃料電池セルを損傷の原因となる。
引用文献1には、蒸発器による水蒸気の発生を安定的に行うべく、蒸発器の蒸発面を斜め下り勾配に傾斜させ、水供給管の先端を斜めにカットして供給口を形成し、水供給管を、開口が蒸発器の蒸発面に対して正対し、かつ、水供給管の先端から吐出された水が表面張力により蒸発面に移動するように配置した蒸発器の構成が開示されている。
特許第5641182号
しかしながら、引用文献1に記載された蒸発器の構成では、水供給管の供給口が斜め上方を向いているため、水供給管の供給口の上方に大量の水が溜まる。このように大量の水が溜まってしまうと、溜まった水が高温な部位に落下してしまい突発現象が生じたりするおそれがある。また、水供給管の供給口に溜まった水の近傍の蒸発面の温度が過剰に冷却されることがある。このように蒸発面の温度が過剰に冷却されてしまうと、水供給管の先端と蒸発面との間に保持された水の気化が遅れてしまう。このため、蒸発器における水の気化が不安定になってしまうという問題があった。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、蒸発器において安定した水の気化を実現することを目的としている。
本発明の固体酸化物形燃料電池装置は、燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する固体酸化物形燃料電池装置において、互いに電気的に接続された複数の燃料電池セルと、複数の燃料電池セルを収容するモジュールケースと、水蒸気により原料ガスを改質して燃料ガスを生成し、複数の燃料電池セルに供給する改質器と、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気を改質器に供給する蒸発器と、を備え、蒸発器は、水が供給される供給面を含む蒸発部と、蒸発部の下方に設けられ、蒸発部に熱を供給する熱源と、斜め下方にむけて開口された吐出口から蒸発部に水を供給する水供給管と、を有し、吐出口の水平方向に対する角度が、蒸発部の供給面の水平方向に対する角度よりも小さくなった状態で、吐出口は蒸発部の供給面に対向し、これにより、下方に向かうにつれて吐出口と蒸発部の供給面との間隔が拡がっており、水供給管は蒸発部の供給面に対して、吐出口から吐出された水が表面張力により水供給管の吐出口と蒸発部の供給面との間で保持されるような間隔で配置されている、ことを特徴とする。
上記構成の本発明によれば、水供給管から供給された水は、表面張力により水供給管と蒸発部の供給面との間で保持される。そして、下方に向かうにつれて吐出口と蒸発部の供給面との間隔が拡がっているため、供給された水は過剰に表面張力により水供給管の吐出口と蒸発部の供給面との間で保持されることなく、表面張力により保持できない水量のみが供給面に沿って落下する。このため、供給面が過度に冷却されてしまうことを防止し、供給面における安定した水の気化が実現される。また、水供給管から供給された水は、表面張力により水供給管の吐出口と蒸発部の供給面との間で薄く拡がった状態で保持される。このため、表面張力により保持できなくなった水は、水滴状にならずに広がりながら供給面を流れるため、より安定した水の気化が実現される。
本発明において、好ましくは、水供給管は円環状に形成され、これにより吐出口は楕円形状であり、水供給管は、吐出口の最も進出している部分が、最も下方に位置するように設けられている。
水供給管から供給された水が蒸発することにより発生した水蒸気が水供給管の吐出口に作用すると、水供給管からの水の供給不良が生じる。これに対して、上記構成の本発明によれば、水供給管の吐出口が楕円形状であるため、吐出口の断面が広くなり水が吐出口から確実に吐出されるようになり、水蒸気の影響により水の供給不良が生じるのを防止できる。
本発明において、好ましくは、蒸発部の供給面は、供給面が斜め上方を向くように傾斜しており、吐出口は、吐出口が斜め下方を向くように供給面と同じ方向に傾斜している。
上記構成の本発明によれば、水供給管から供給された水を、水供給管の吐出口と蒸発部の供給面との間で表面張力により保持するため、水供給管からの水の供給が間歇的であっても、水を連続的に気化させることができ、水蒸気と原料ガスとを確実に混合することができる。また、供給面と吐出口とが同じ方向に傾斜して対向することにより、吐出口への水蒸気の流れ込みを抑えることができ、より確実に水蒸気による水の供給不良を防止できる。
本発明において、好ましくは、蒸発部の最下部には、供給された水が貯留される水貯留部が形成され、水貯留部は、逆錐体形状に形成されている。
上記構成の本発明によれば、蒸発部の最下部に水貯留部が設けられており、蒸発部に供給された水は水貯留部に溜まる。このため、蒸発部の底部の水貯留部近傍の部分は温度が高温とならず、供給された水が一気に蒸発することはなく、突沸現象を防止できる。さらに、本発明によれば、水貯留部が逆錐体形状であるため、水貯留部内の水が、水と接触していない高温な部位に水が移動することがなく、これにより水が高温な部位に接触して生じる突沸現象を防止できる。
本発明によれば、蒸発器において安定した水の気化を実現される。
本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 図2のIII−III線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置のモジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールにおけるガスの流れの説明するための、燃料電池モジュールを示す正面断面図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールにおけるガスの流れの説明するための、図2のIII-III線に沿った燃料電池モジュールの断面図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の蒸発器の分解斜視図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の蒸発器の蒸発部の平面図である。 図10におけるXI−XI断面図である。 図10におけるXII−XII断面図である。 図10におけるXIII−XIII断面図である。 図12における水供給配管の先端部を拡大して示す鉛直断面図である。 水貯留部に溜まった水が所定の量が増加した際の変化を本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置と、比較例とを比較して示す図であり、(A)は本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を示し、(B)は比較例を示す。
つぎに、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、8個の燃料電池セルスタック14(詳細は図6で後述する)を備え、この燃料電池セルスタック14は、各々が燃料電池セルを含む、16本の燃料電池セルユニット16(詳細は図5で後述する)から構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、128本の燃料電池セルユニット16を有する。燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器120に供給する。
つぎに、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
なお、本実施形態では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
つぎに、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
つぎに、図2〜図4を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った断面図であり、図4は、モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュールケース8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュールケース8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュールケース8は、図4に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(図2の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(図3の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
モジュールケース8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167が設けられている。天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュールケース8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュールケース8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(図3参照)。
モジュールケース8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図4参照)。発電用空気は、空気通路カバー160の天板160aのうち、モジュールケース8の閉鎖側板8e側の略中央部に設けられた発電用空気導入管74から流路方向調整部164を介して空気通路161a内に供給される(図2、図4参照)。そして、発電用空気は、空気通路161a,161bを通って、吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(図3、図4参照)。
また、空気通路161a,161bの内部には、熱交換促進部材としてのプレートフィン162,163が設けられている(図3参照)。プレートフィン162は、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられ、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。
空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュールケース8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
つぎに、蒸発器140は、モジュールケース8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図2及び図3参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図2の左右方向)の一側端側に、水を供給する水供給配管69(図9)及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(図3参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図2及び図3に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過し、熱源として機能する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、水供給配管69から供給された水を排気通路部140Aの排気ガスから供給された熱により蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
図2及び図3に示すように、蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)145aが形成された仕切り板145により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板146,147により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施形態の蒸発器140は、上下方向の二層構造のうちの下層構造に燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
さらに、図2に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュールケース8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
つぎに、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aとの間に排気ガス誘導部材130を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュールケース8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に、脱硫器36まで延びる水添脱硫器用水素取出管65が上側ケース121にそれぞれ連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図2参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュールケース8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内へ入り、更にマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
排気ガス誘導部材130は、改質器120と天板8aとの間でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。排気ガス誘導部材130は、上下方向に所定距離だけ離間された下部誘導板131及び上部誘導板132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133,134とを備えている(図2,図3参照)。上部誘導板132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下部誘導板131に連結されている。連結板133,134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、排気ガス誘導部材130及び改質器120を天板8aに固定している。
下部誘導板131は、幅方向(図3の左右方向)の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上部誘導板132は、下部誘導板131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュールケース8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上部誘導板132及び下部誘導板131を貫通して、改質器120に連結されている。
排気ガス誘導部材130は、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜135が形成されている。このガス溜135は、燃焼室18と流体連通している。すなわち、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス溜135には、運転中に燃焼室18から排気ガスが流入したり、停止時に外部から空気が流入したりすることが可能となっているが、総じてガス溜135の内外間のガスの移動は緩やかである。
上部誘導板132は、天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる排気通路172が形成されている。この排気通路172は、モジュールケース8の天板8aを挟んで空気通路161aと並設されており、排気通路172内には、空気通路161a,161b内のプレートフィン162,163と同様なプレートフィン175が配置されている。このプレートフィン175は、プレートフィン162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。空気通路161a及び排気通路172のうち、プレートフィン162,175が設けられた部分において、空気通路161aを流れる発電用空気と排気通路172を流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
また、改質器120は、モジュールケース8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排気ガスを下方から上方へ通過させる排気通路173が形成されている。また、排気ガス誘導部材130も側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、排気通路173は、排気ガス誘導部材130と側板8bとの間の通路を含んで天板8aまで延びている。排気通路173は、天板8aと側板8bとの角部に位置する排気ガス導入口172aで排気通路172と連通している。この排気ガス導入口172aは、モジュールケース8内で長手方向に延びている。
さらに、下部誘導板131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下部誘導板131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排気ガスを通過させる排気通路174を形成している。この排気通路174は、改質器120の上方で排気通路173と合流する。
つぎに、図5を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図2参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
つぎに、図6を参照して、燃料電池セルスタック14について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図6に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16は、8本ずつ2列に並べて配置されている。
各燃料電池セルユニット16は、下端側がセラミック製の長方形の下支持板68(図2参照)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット16が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面と電気的に接続される空気極用接続部102bとを接続するように一体的に形成されている。また、各燃料電池セルユニット16の外側電極層92(空気極)の外表面全体には、空気極側の電極として、銀製の薄膜が形成されている。この薄膜の表面に空気極用接続部102bが接触することにより、集電体102は空気極全体と電気的に接続される。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図6では左端の奥側)に位置する燃料電池セルユニット16の空気極には、2つの外部端子104がそれぞれ接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の内側電極端子86に接続され、上述したように、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
つぎに、図7及び図8を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。
図7は、図2と同様の、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図8は、図3と同様の、図2のIII−III線に沿った断面図である。
なお、図7及び図8は、それぞれ、図2及び図3中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は発電用空気の流れ、一点鎖線矢印は排気ガスの流れを示す。
図7に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、それぞれ蒸発器140の長手方向の一端側に連結された水供給配管69及び燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュールケース8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171,及び排気通路172を順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
さらに、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。そして、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給され、マニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
また、図7及び図8に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74から空気通路161aに供給される。発電用空気は、空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュールケース8内に形成された排気通路172,173を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、排気通路172内には、空気通路161aのプレートフィン162に対応してプレートフィン175が設けられているので、発電用空気は、プレートフィン162とプレートフィン175とを介して、排気ガスとより効率的な熱交換を行う。この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。
なお、本実施形態では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において発電用空気と排気ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、空気通路161b内の発電用空気に上下方向の温度勾配が生じ難くなっている。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、図8に示すように、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、排気ガスは、排気通路173と排気通路174とに分岐して、改質器120の外側面とモジュールケース8の側板8bとの間、及び、改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間をそれぞれ通過する。このとき、排気通路174を通過する排気ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、排気ガス誘導部材130の下部に留まることなく排気通路173に向けて誘導され、排気通路173を流れる排気ガスに素早く合流される。
その後、排気ガスは、排気ガス導入口172aから排気通路172に流入する。排気通路172内では、排気ガスは、排気通路172を水平方向に流れていき、モジュールケース8の天板8aの中央に形成された排気口111から流出する。
なお、排気ガスが排気通路173を上方へ流れていく際に、空気通路161b内に設けられたプレートフィン163を介して、発電用空気と排気ガスとの間で熱交換が行われる。また、排気ガスが排気通路172を水平方向に流れていく際に、排気通路172内に設けられたプレートフィン175と、このプレートフィン175に対応して空気通路161a内に設けられたプレートフィン162とを介して、発電用空気と排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
次に、本実施形態の蒸発器の構成をより詳細に説明する。図9は本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の蒸発器の分解斜視図であり、図10は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の蒸発器の蒸発部の平面図であり、図11は、図10におけるXI−XI断面図であり、図12は、図10におけるXII−XII断面図であり、図13は、図10におけるXIII−XIII断面図である。
上述したが、図9に示すように、蒸発器140は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
上側ケース142は平面視において略矩形状であり、長手方向の一方の端部には水供給配管用開口142a及び燃料供給配管用開口142bが形成されている。水供給配管用開口142aは上側ケース142の短辺方向(横方向)の中央に形成されており、燃料供給配管用開口142bは短辺方向(横方向)の中央からずれた位置に設けられている。図11に示すように、燃料供給配管63の先端は上側ケース142の燃料供給配管用開口142bを貫通して蒸発器140の内側まで延びている。また、図12に示すように、水供給配管69は上側ケース142の水供給配管用開口142aを貫通して蒸発器140の内側まで延びている。
図9及び図10に示すように、中間板144の長手方向の一端の側には平面視矩形状の凹部200が形成されている。凹部200は、略逆四角錐形状に形成されており、水供給配管69から水が供給される。凹部200の最下部には、後述するように水供給配管69から供給された水が貯留される水貯留部202が形成されている。本実施形態では、中間板144に形成された凹部200が蒸発部140Bを構成している。
図13に示すように、水貯留部202は、逆四角錐形状を呈し、横方向の断面視において蒸発部140Bの横方向の中央に位置している。また、図11に示すように、水貯留部202は、長辺方向(縦方向)の断面視において、蒸発部140Bの一方の側(図11における右側)に位置している。なお、本実施形態では水貯留部202は逆四角錐状の凹部200の最下部が構成するが、その形状はこれに限られない。
図11〜図13に示すように、水貯留部202の外周には連続して気化促進面204a、204b、204c、204dが形成されている。また、気化促進面204a、204b、204c、204dの外周には外側に向かって斜め上方に延びる縁部206が形成されている。
図11及び図12に示すように、気化促進面204a、204bは、水平縦方向の断面視において、水貯留部202の両側から斜め上方に向かって傾斜しながら延びている。また、水貯留部202の底面は気化促進面204a、204bに連続しており、水貯留部202は水平縦方向の断面視において逆三角形状を呈している。気化促進面204a、204bの傾斜角度は水平方向となす傾斜角度が鋭角になっており、気化促進面204a、204bは斜め上方に向いている。上述の通り、水貯留部202が縦方向の鉛直断面視において一方の側に偏って配置されているため、気化促進面204aの長さに比べて、気化促進面204bの長さが長くなっている。本実施形態における気化促進面204a、204bは、平面状に形成されている。
図11及び図13に示すように、気化促進面204c、204dは、水平横方向の断面視において、水貯留部202の両側から斜め上方に向かって傾斜しながら延びている。また、水貯留部202の底面は気化促進面204c、204dに連続しており、水貯留部202は水平横方向の断面視において逆三角形状を呈している。気化促進面204c、204dの傾斜角度も水平方向となす傾斜角度が鋭角になっており、気化促進面204c、204dは斜め上方に向いている。上述の通り、水貯留部202が横方向の鉛直断面視において凹部200の横方向の中央に設けられているため、気化促進面204c、204dは等しい長さとなっている。本実施形態における気化促進面204c、204dは、平面状に形成されている。
このように気化促進面204a、204b、204c、204dは、斜め上方を向くように傾斜しているため、後述するように、気化促進面204a、204b、204c、204dは、所定量の水が供給された際に供給された水と接触する部分の表面積が上方に向かうほど大きくなる。
図13に示すように、燃料供給配管63は、横方向の断面視において蒸発部140Bの横方向の中央に当たる位置に設けられている。また、図11に示すように、燃料供給配管63は縦方向の断面視において、蒸発部140Bの縦方向の一方の側の端部近傍に設けられ、気化促進面204aの上方に位置している。燃料供給配管63は上側ケース142の燃料供給配管用開口142bの近傍で終端しており、燃料供給配管63の供給口63aは水供給配管69の吐出口69aよりも上方に位置している。燃料供給配管63の先端部は鉛直方向に対して傾斜しており、燃料供給配管63の先端部は蒸発部140Bの水貯留部202に向けられており、燃料供給配管63の供給口63aは水貯留部202に対向している。
図13に示すように、水供給配管69は横方向の断面視において、蒸発部140Bの横方向の中央から一方の側にずれた位置に設けられている。また、図11に示すように、水供給配管69は縦方向の断面視において、蒸発部140Bの縦方向の一方の側の端部近傍に設けられ、気化促進面204aの上方に位置している。これにより、水供給配管69から供給された水は気化促進面204a上に供給され、気化促進面204aは水が供給される供給面として機能する。
図14は、図12における水供給配管の先端部を拡大して示す鉛直断面図である。同図に示すように、水供給配管69は円環状であり、先端部は鉛直方向に延びている。水供給配管69の先端部が斜めにカットされており、吐出口69aは楕円形状を呈している。水供給配管69は、吐出口69aの最も進出している部分(曲率半径が最も小さい部分)が最も下方に位置し、かつ、水貯留部202側(すなわち、図14の左側)に位置するように設けられている。また、水供給配管69は吐出口69aが斜め下方を向くように、水供給配管69の吐出口69aは気化促進面204aと同じ方向に傾斜している。これにより、水供給配管69の吐出口69aが斜め下方を向き、気化促進面204aに対向している。
また、水供給配管69は、吐出口69aと気化促進面204aとの間が所定の間隔となるように配置されている。この所定の間隔は、水供給配管69の吐出口69aから吐出された水208が、表面張力により水供給配管69と気化促進面204aとの間で保持されるように、決定されている。また、水供給配管69の吐出口69aは、吐出口69aの鉛直方向に対する角度が、蒸発部140Bの気化促進面204aの鉛直方向に対する角度よりも大きくなるように傾斜しており、これにより、下方に向かうにつれて水供給配管69の吐出口69aと蒸発部140Bの気化促進面204aとの間隔が拡がっている。
以下、蒸発部140Bにおいて水が蒸発されて水蒸気が発生し、この水蒸気と原料ガスとが混合される流れを説明する。
蒸発部140Bには、水供給配管69を通じて水が供給され、燃料供給配管63を通じて原料ガスが連続的に供給される。
水供給配管69から供給された水は、まず、水供給配管69と気化促進面204aとの間で保持される。この際、図14に示すように、表面張力により水供給配管69と気化促進面204aとの間で保持された水は、気化促進面204a上に薄く広がった状態で保持される。そして、水供給配管69からさらに水が供給されると、表面張力により水供給配管69と気化促進面204aとの間で保持可能な水量を超えた分の水が、気化促進面204aに沿って水貯留部202に向けて流れる。この際、水供給配管69から供給された水が、水供給配管69と気化促進面204aとの間で気化促進面204a上に薄く広がった状態で保持されているため、気化促進面204a上を流れる水も薄い状態で広がったまま、下方に向かって拡がりながら流れ落ちる。水供給配管69と気化促進面204aとの間から流れ落ちた水は、気化促進面204aにおいて一部が蒸発されながら水貯留部202まで到達する。
そして、水供給配管69と気化促進面204aとの間から流れ落ち、水貯留部202まで到達した水は水貯留部202に貯留される。水貯留部202には水が溜まっており、さらに連続的に水が供給されているため、水貯留部202の底面近傍は高温とはなっていない。このため、水貯留部202に水が供給されても突沸現象を起こすことはなく、水貯留部202の水は安定状態で気化される。
さらに、水貯留部202に水が供給されると水貯留部202の水の水位が上昇する。図15は水貯留部に溜まった水が所定の量が増加した際の変化を本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置と、比較例とを比較して示す図であり、(A)は本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を示し、(B)は比較例を示す。
上述したように、本実施形態の水貯留部202は逆四角錐体状を呈しており、その両側から気化促進面204a、204bが斜め上方に向かって傾斜しながら延びており、所定量の水が供給された際に供給された水と接触する部分の表面積が上方に向かうほど大きくなっている。これに対して、図15(B)に示すように比較例では、水貯留部304は水平面状に形成されており、その両側から気化促進面304a、304bが鉛直上方に向かって延びており、所定量の水が供給された際に供給された水と接触する部分の表面積は高さによらず一定である。
比較例の水貯留部202の水量が所定量増加した場合に、比較例では高さh’だけ水位が上昇する。これに対して、本実施形態では、気化促進面204a、204bが斜め上方に向かって傾斜しながら延びているため、水位の上昇した高さhはh’よりも小さくなる。このように、比較例では、水量が増加した場合には急激に水位が上昇するが、本実施形態にでは、水量が増加した場合であっても水位はゆるやかに上昇することとなる。
蒸発部の底面は排気通路部を通過する排気ガスにより加熱されている。このため、本実施形態及び比較例の両者において、水貯留部の底部に当たる部分は水貯留部内に溜まった水により高温とはなっていないが、気化促進面の水と接触していない部分は高温となっている。さらに、気化促進面は、水貯留部の近傍では水貯留部内の水の影響で水貯留部から離れるにつれてより高温になっている。
このため、比較例のように、水が供給された際に水位が急激に上昇する場合には、一気に気化促進面304a、304bの非常に高温となっている部分に増加した水が接触する。このため、比較例では気化促進面304a、304bと水が接触して突沸現象が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、水が供給された際の水位の上昇が遅い。このため、水が供給された場合であっても、徐々に気化促進面204a、204bと接触することとなる。このため、本実施形態によれば、水が供給された際に突沸現象が生じることを防止できる。
さらに、本実施形態では、気化促進面204a、204bが所定量の水が供給された際に供給された水と接触する部分の表面積が上方に向かうほど大きくなっている。このため、蒸発部140B内の水量が増加した場合には、より広範囲において水が蒸発することとなり、広い領域で水を安定して気化させることができる。
また、このように水が気化されるとともに、燃料供給配管63から原料ガスが供給される。この際、燃料供給配管63が水貯留部202に向けて差し向けられている。このため、原料ガスが蒸発部140Bで発生した水蒸気と十分に混合される。また、燃料供給配管63が水供給配管69よりも上方で開口しているため、水貯留部202において発生した水蒸気が急激に燃料供給配管63に流れこみ、原料ガスの噴出が妨げられるのを防止できる。
このようにして、蒸発部140Bにおいて混合された原料ガスと水蒸気とは改質器120へと送られる。
本実施形態によれは、以下の効果が奏される。
本実施形態では、水供給管69は気化促進面204aに対して、水供給管69の吐出口69aから吐出された水が表面張力により水供給管69の吐出口69aと気化促進面204aとの間で保持されるような間隔で配置されている。これにより、水供給管63から供給された水は、表面張力により水供給管69の吐出口69aと気化促進面204aとの間で保持される。
そして、本実施形態では、水供給管69の吐出口69aの水平方向に対する角度が、気化促進面204aの水平方向に対する角度よりも小さくなった状態で、水供給管69の吐出口69aは気化促進面204aに対向し、下方に向かうにつれて水供給管69の吐出口69aと気化促進面204aとの間隔が拡がっている。これにより、供給された水は過剰に表面張力により水供給管69の吐出口69aと気化促進面204aとの間で保持されることなく、表面張力により保持できない水量のみが気化促進面204aに沿って落下する。このため、気化促進面204aが過度に冷却されてしまうことを防止し、気化促進面204aにおける安定した水の気化が実現される。また、水供給管69から供給された水は、表面張力により水供給管69の吐出口69aと気化促進面204aとの間で薄く拡がった状態で保持される。このため、表面張力により保持できなくなった水は、水滴状にならずに広がりながら気化促進面204aを流れるため、より安定した水の気化が実現される。
また、本実施形態では、水供給管69は円環状に形成され、これにより水供給管69の吐出口69aは楕円形状である。これにより、水供給管69の吐出口69aの断面が広くなり水が吐出口69aから確実に吐出されるようになり、水蒸気の影響により水の供給不良が生じるのを防止できる。
また、本実施形態では、気化促進面204aが斜め上方を向くように傾斜しており、水供給管69の吐出口69aは、吐出口69aが斜め下方を向くように気化促進面204aと同じ方向に傾斜している。これにより、水供給管69から供給された水を、水供給管69の吐出口69aと気化促進面204aとの間で表面張力により多量に保持することができ、水供給管69からの水の供給が間歇的であっても、水を連続的に気化させることができ、水蒸気と原料ガスとを確実に混合することができる。また、気化促進面204aと水供給管69の吐出口69aとが同じ方向に傾斜して対向することにより、吐出口69aへの水蒸気の流れ込みを抑えることができ、より確実に水蒸気による水の供給不良を防止できる。
また、本実施形態では、蒸発部140Bの最下部には、供給された水が貯留される水貯留部202が形成されている。これにより、蒸発部140Bの底部の水貯留部202近傍の部分は温度が高温とならず、供給された水が一気に蒸発することはなく、突沸現象を防止できる。さらに、本実施形態では、水貯留部202は、逆錐体形状に形成されている。これにより、水貯留部202内の水が、水と接触していない高温な部位に水が移動することがなく、これにより水が高温な部位に接触して生じる突沸現象を防止できる。
1 固体酸化物形燃料電池装置
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
5 気化促進面
6 ハウジング
7 断熱材
8 モジュールケース
8a 天板
8b 側板
8c 底板
8d 閉鎖側板
8e 閉鎖側板
8f 吹出口
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット
18 燃焼室
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット
30 燃料供給源
32 ガス遮断弁
36 脱硫器
38 燃料流量調整ユニット
39 バルブ
40 空気供給源
42 電磁弁
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
63 燃料供給配管
63a 供給口
64 燃料ガス供給管
64a 水平部
64b 燃料供給孔
65 水添脱硫器用水素取出管
66 マニホールド
68 下支持板
69 水供給配管
69a 吐出口
74 発電用空気導入管
82 排気ガス排出管
83 点火装置
84 燃料電池セル
86 内側電極端子
88 燃料ガス流路
90 内側電極層
90a 上部
90b 外周面
90c 上端面
92 外側電極層
94 電解質層
96 シール材
98 燃料ガス流路細管
100 上支持板
102 集電体
102a 燃料極用接続部
102b 空気極用接続部
104 外部端子
111 排気口
112 混合ガス供給管
120 改質器
120A 混合ガス受入部
120B 改質部
120C ガス排出部
120a 混合ガス供給口
120b 貫通孔
121 上側ケース
122 下側ケース
123a 仕切り板
123b 仕切り板
130 排気ガス誘導部材
131 下部誘導板
131a 凸状段部
132 上部誘導板
132a 凹部
133 連結板
135 ガス溜
140 蒸発器
140A 排気通路部
140B 蒸発部
140C 混合部
141 蒸発器ケース
142 上側ケース
142a 水供給配管用開口
142b 燃料供給配管用開口
143 下側ケース
144 中間板
144a 開口
145 仕切り板
146 仕切り板
160 空気通路カバー
160a 天板
160b 側板
161a 空気通路
161b 空気通路
162 プレートフィン
163 プレートフィン
164 流路方向調整部
167 開口部
171 排気管
172 排気通路
172a 排気ガス導入口
173 排気通路
174 排気通路
175 プレートフィン
200 凹部
202 水貯留部
204a、204b、204c、204d 気化促進面
206 縁部
304 水貯留部
304a、304b、304c、304d 気化促進面

Claims (4)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する固体酸化物形燃料電池装置において、
    互いに電気的に接続された複数の燃料電池セルと、
    前記複数の燃料電池セルを収容するモジュールケースと、
    水蒸気により原料ガスを改質して燃料ガスを生成し、前記複数の燃料電池セルに供給する改質器と、
    水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気を前記改質器に供給する蒸発器と、を備え、
    前記蒸発器は、
    前記水が供給される供給面を含む蒸発部と、
    前記蒸発部の下方に設けられ、前記蒸発部に熱を供給する熱源と、
    斜め下方にむけて開口された吐出口から前記蒸発部に水を供給する水供給管と、を有し、
    前記吐出口の水平方向に対する角度が前記蒸発部の供給面の水平方向に対する角度よりも小さくなった状態で、前記吐出口は前記蒸発部の供給面に対向し、これにより、下方に向かうにつれて前記吐出口と前記蒸発部の供給面との間隔が拡がっており、
    前記水供給管は前記蒸発部の供給面に対して、前記吐出口から吐出された水が表面張力により前記水供給管の吐出口と前記蒸発部の供給面との間で保持されるような間隔で配置されている、ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池装置。
  2. 前記水供給管は円環状に形成され、これにより前記吐出口は楕円形状であり、
    前記水供給管は、前記吐出口の最も進出している部分が、最も下方に位置するように設けられている、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  3. 前記蒸発部の供給面は、当該供給面が斜め上方を向くように傾斜しており、
    前記吐出口は、当該吐出口が斜め下方を向くように前記供給面と同じ方向に傾斜している、請求項2記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  4. 前記蒸発部の最下部には、供給された水が貯留される水貯留部が形成され、
    前記水貯留部は、逆錐体形状に形成されている、請求項3記載の固体酸化物形燃料電池装置。
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